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'Ode on a Grecian Urn'における死と永遠

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Academic year: 2021

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(1)`Ode on a Grecian Urn'に お ける死 と永遠 竹. 内. 美. 佳. 様 々な議論 を捲 き起 こ して きた。 しか しなが ら,こ の 作品の特筆すべ き特徴 の一つ は,美 しい ものは永遠 で. 序. ある と讃美 しなが らも,そ の下には,永 遠 とは一見正 Hcard mclodies arc swcct,but thosc unhcard. 反対 であるかの ような「死」 の色濃 い影が投げかけら. Are swecter; therefore,ye soft pipes,play on.. れてい ることだ と思われる。そこで本小論 では,古 代. (11-12). ギ リシア世 界 ・パ ル ナ ソスの丘 に思 い を馳 せ た Kcats の死 と永遠 につ い ての考 えについ て考察 して い く。. John Keats(1795-1821)は ク ラ ー ク学 院 で 学 ん で い た少時 の 頃 か ら,ギ リシア ・ ローマ神話 な どの古典. I.永 遠 の 世 界 へ の 憧 憬. 文 学 を熱心 に読 み 学 んで い た。当 時 の 彼 の 愛 読 書 に は ,Andrew Took(1673-1732)著 の. John Lemprier(1765-1824)の. 7物 ιPα れ 力ι θんや. BJbJJθ ′ んι θ α σJα ssJθ α な. um"と は読 む佃1に 奇異 の まず ,こ の詩 の titleの “ 観 を起 こさせる言葉であろう。 とい うの も本来 urnは. どが あ った とい う。 それ らの読 書体験 か ら Keatsは 古. 死者 の遺骨 を納 める骨壺 の役割 を果 た したか らであ. リシア的 なる ものへ の憧憬 を抱 い て. る。そ こか ら自然 とこの詩の 中には,厳 粛な までの静. 代 世界 を夢 み ,ギ. い た とい われ ,ク ラー ク学 院在学 中に は Virgil(Publius. け さが支配す る奥行 きの広 い世界 の存在 を予感 させ. Vergilius Maro,70-19 Bo C.)の 動θAι んι tt A`ん ι αsの. る。第 一 stanzaを 見 て い くと,詩 人は この壷 に向 か. 大半 の英訳 を試 み ,彼 の傾任lぶ りは 同時代 の詩 人 たち. って “ ThOu still unra宙 shed bride of quietness"(1)つ. を して 「Keatsは ギ リシア人 だ」 と言 わ しめ るほ どだ. ま り,い ず れは犯 され る運 命 にあ る花嫁 だ と呼 びか け. っ た。そ の Keatsが 彼 の annus mirabilisで あ る 1819. て い る。壷が女性 と して形 容 されて い るのは,そ の丸. 年 の春 に `Ode to a Nightingale'の 次 に書 き上 げた のが. み を帯 びた形状 のためで あ り,そ して まだ清 らか な花. ,彼 の傑作 odcの 一 つ と言. 嫁 に擬せ られて い るのは ,壺 の壊 れやす い性 質 の ため. わ れ て い る。 この Odeは Keatsが あ る 特 定 の 壷 に 寄. なのだろ う。 この壺 を見 つ めて い る うち に,詩 人 はや. せ て歌 ったので はな く,大 英博 物館 な どで 見 た Elgin. が て壺 が作 られた古代 世界 へ い ざなわれて い く。. `Ode on a Grecian Urn'で. Marblesや Sosibios vaseな どの様 々 な遺物 の美 しさか. 沈黙 によって語 りか け る とい う想像 の世界 に この壺. ら inspirationを 得 て ,書 き上 げた もの と考 え られて い. は存在 して い る。静誰 の世界 に住 む この壺 は,あ らゆ. る。 また ,こ の 詩 の themcで あ る壺 は,遥 か 昔 か ら. る ものの破壊者 で あ る 「時」 の魔 の手 か ら奇跡 的 に免. 未来 にかけて時代 を超 えて存在す る,芸 術 の永遠性 の. れて ,生 まれた時す なわち製作 当時そ の ままの姿 を保. 象徴 とな って い る。 そ して ,彼 の 作 品 の 特 徴 で もあ. ってい る。 だが ,壷 の生 みの親 であ る陶工が遥 か昔 に. る,美 しい ものへ の意識 の没入か ら現 実 へ の 目覚 め に. 時 の手 にかか って死 んだ今 となっては,壺 は沈黙 の 世. 至 る詩 人 の 意識 の 流 れ に つ い て は,こ の Odcが 書 か. 界 にい わば全 くの孤独 の状態 で件 んで い る。 この壺 に. れた直前 の作 品 の 60de tO a Nightingale'と の 関連性が. とって ,時 は破壊者 で はな く,む しろ 自らを育 んで く. Its 指摘 されて い る。そ の点 につい て Allottは “. pOsition. れ る養 い 親 なのだ。壺 の表面 に浮 き彫 りにされた葉 の. in f82θ suggests that K。 (Keats)may have intended it to. 模様 か ら見 て ,こ の静離 の花嫁 は また ,緑 濃 い森 の歴. providc an answer to the qucstions raised at the cnd of. 史家 で もあ る と詩人 は呼 びか け,憧 れの古代 世界 の物 ま. 語 に耳 を傾 け よ う とす る。詩人が壺 を見 つ めて い る う. た ,こ の Odeは 最終 stanzaの 最後 の 2行 での “ Bcauty. ちに沈黙 の世界 は一 変 し,神 々 と人 間達が共存 して い. thc θグι ″ θ α М g力 ″ J4gα Jι ."と 言 っ て い る (538)。. is truth,trtlth Bcauty…. .."(49-50)の 解釈 につい て. ,. る神話 の世界が広 が る。Tcmpeや Arcadiaの 谷 を,笛.

(2) 甲南女子 大学大学 院論集創刊号. 文学 。文化研究編 (2003年 3月. ). とタ ンバ リ ンが激 しく打 ち鳴 らされ る喧騒 の 中 ,物 狂. 永遠 に若 く美 しい ままで恋 し続 ける こ とがで きる特権. お しい 求愛 に抗 う乙女 た ちが駆 け巡 る姿 が 見 え て く. を持 ってい る。現実世界 の恋 は叶 う こ とが あ る代 わ り. る。 そ の様子 はボルゲ ー ゼ美術館 (GJlcria Borghese). に,冷 める こ ともままあ るが ,非 現実 の壺 の 中に閉 じ. 所蔵 で Gianlorcnzo Bcrnini(1598-1680)作 の彫刻 動ι. 込 め られた恋 は,尽 きる こ との ない喜 び を求 めて永遠. ′ Dα ρ力. に熱 い ままなのだ。 決 してそ の 恋 は成就す る こ とがで. (1622-25)を 街彿 とさせ る。 また詩 人 は,“ A■ owcry. きないの だが ,そ の代償 と して恋 の情熱 も衰 えず に燃. R9ρ θ げ Prθ sθ ψttι. ′ θ α4グ (1621-22)や 均η′. tale more swectly than our rhyme"(4)と. `. ある ように. ,. 壷 の 中 の 世界 は,外 側 の 人間界 よ りももっ と甘美 で 牧. え続 け,恋 人 も永遠 に美 しい。 そ して老 い や死 を迎 え る 日を思 って戦 くこ ともな いの だ。. 歌 的 な理想郷 に違 い ない と考 えて い た。 ところが詩 人. だが ,視 点 を変 えて見 てみ る と,木 々の葉 は とこ し. の予想 に反 して ,そ こは人間 の情熱 があ らわな世 界 で. えに青 い まま とい う こ とは ,つ ま り葉 を落 とす こ とが. あ って ,お よその どか とは言 い が た い ところなのだ。. で きな い とい う意 味 に解 釈 で きる。 この 見 方 に よれ. そ こで 詩 人は,古 代 人たちの情熱 に打 たれて 7つ の 質. ば,若 者や乙女 らは年 を取 って死 に絶えるとい う,自. mad pursuit"(9),“ strllg― 問 を立 て続 けに発す る。特 に“. 然 の時の移 り変 わ りに従 うことす らもで きないこ とに. gle to escape"(10),“ wild ecstasy"(10)と い つた激. can noF「 で きな い」 と なる。Keatsは この よ うな “. しい 問 い か けが な されて い る。 これ らは沈黙 の 世界 に. い う否定表現 を実 に 7回 も反復 させる ことによって. 件 む壺 に描 かれ る よ うな物語 には,一 見 お よそ似 つ か. これ らの停滞 した変化のなさを強調 してい るのであろ. わ しくない ように思 えるが,壷 の製作者が この ような. う。. ,. 情景 を描 い た理 由は,お そらくこの世 の苦悩 を乗 り越 えたい とい う願望 を表そ うとしたか らなのか もしれな. Ⅲ .死 の 霧 り. い。つ まり,逃 げ惑 う乙女 らを追 い求 める求愛者 の姿 に託 された,苦 悩 か らの癒 しを求める飽 くなき人間の. 第 三 stanzaに 至 る と,第 二 stanza後 半 か らの死 を. ヾ 亡 1青 を読み取る ことによ 姿 を刻み込んだ壷 の製作者の″. 思 わせ る騎 りは い よい よ濃 くな って くる。 この stanza. って,詩 人は現実 の苦悩 か ら解放 されるための よすが. で も,壺 の 中 の 世 界 が永 久不 滅 か つ 至福 の 世 界 で あ. を得 た いの で あ ろ う. また,求 愛者. り,現 実世界 よ りも遥 か に素晴 ら しい と繰 り返 し強調. の姿 をとった苦悩 は,た とえば 「死」へ の思 い といつ. されて い る。壺 の 世界 は現実 の裏返 しであ つて ,現 実. た現実 の苦 しみを象徴 してい ると考 えられる。. の願望 を満 た して い るかの よ うだ。21か ら 22行 目で. (藤. 田 70-71)。. は「春 に 別 れ を 告 げ る こ と の で き な い」 木 々 が Ⅱ .肉 体 の 耳 に は 聞 こ え な い 音 楽. “ happy"だ と い い ,第 二 stanzaで の “ can not"の 繰. happy"と い う形 容 詞 を重複 り返 しに加 えて ,こ の “ 乙女 らは どこへ 逃 れ る ことがで きるのだろ うか , と. させ て い るため に リズムが 簡潔 にな り,素 朴 な壺 の美. い う問 い を読 者 に抱 かせ て ,詩 人 は 第 二 stanzaへ と. happy"の しさを思 わせ る効 果 を与 えて い る。 この “. 歩 み を進 め る。先 ほ どまでの ざわめ きと喧騒 が支配す. for ever"や 繰 り返 しは 6回 に も の ぼ り,さ ら に “. る 世 界 は,こ の stanzaに 入 る と突 如 静 ま り返 る。 ま. “ ncvcr"を 含 む “ cver'の 使 用 の 反復 に至 って は,第. た ,こ の stanzaの 後 半 か ら微 妙 な翡 りが投 げ か け ら. 二 ,第 三 stanza両 方 を合 わせ て実 に 10回 に も及 ぶ 。. れて くる よ うに感 じられ る。詩 人 は,壺 の世界 は魂 の. しか しなが ら,こ の ように反復 が余 りに も頻繁 で あ る. 耳 で しか 聞 くこ との で きな い 甘 美 な調 べ が あ る と考. ため に,読 む側 には い ささか腑 に落 ちない感 を抱 かせ. え,そ の音楽 に聞 き入 ろ う と試 み る。 肉体 の耳 で は聞. る。 つ ま り,果 た して詩人 は ,壷 の 中の桃 源郷 を本 当. くこ とので きない この音楽 は ,言 うな らば,心 の耳 で. に幸 せ な世界だ と受 け止 めて い るのだろ うか , との疑. しか聞 くこ とがで きない 。壺 の世界 で は魂 の耳 ,つ ま. 念が湧 き出て くる のだ。 む しろ ,壺 の 中 の 人 々 こそが. り「生 きた」想像力 で しか聞 き取 る こ とので きない調. 幸 せ なのだ と信 じた い が ため に反復 表現 を再三用 い. べ が 倦 む こ とな く奏 で られて い るのだ。 この常春 の桃. 自らに言 い 聞 かせ て努力 して い るのだ と考 え られ る。. 源郷 で は ,歌 を止 め られ ない若者 ,永 遠 に葉 を落 とせ. 老 い る こ と もで きず衰 え を知 らな い 常 春 の 世 界 こ そ. の ところでお預 け の恋人 た ち とい ない木 々,あ と一 虐、. が ,実 は停滞 して澱 んだ死 の 世界 なのだ と詩 人は考 え. う三 つ の 図が展 開 されて い る一― 楽 の音 は絶 え間な く. て い るので はない だろ うか 。 “ All breathing human pas―. 続 き,木 々の葉 は いつ まで も豊 か に繁 り,恋 人たち も. sion far above, /That leaves a heart high― sorowful and. ,.

(3) 美佳 :`Ode on a Grecian Urn'に お け る死 と永遠. 竹内. cloyed,/A buming forehead,and a parching tongue."(28. mad pur― て い る。 一例 を挙 げ る と,第 一 stanzaで の “. -30)と 詩 人 は 言 う が ,こ の 状 態 は,第 一 stanzaの. wild suit"(9)や “stmggle to escape"(9), “. ecstasy". “ What mad pursuit?What stmggle to escape?"(9)の 間. (10)の よ う な 激 情 は 見 ら れ ず ,“ peaceful. citadel". い かけ に答 えて い る よ う に見 受 け られ る。 それ に比 べ. pious morn"(37)の よ うに穏 やか な情景 が (36)や “. て壷 の桃源郷 の恋 は,人 間界 の情熱 を遥 か に凌駕す る. 広 が っ て い る。壺 の 景 色 に つ い て も,“ sca shore". のだ と繰 り返 し強調 して い る。 しか し. (35)や “mountain"(36)に 位 置 す る “little. ,. town". (38)は ,`Odc to a Nightingalc'で 言 及 され て い る “ . . . rnagic casements, opening on foattOf pe五 lous seas. Fair youth beneath the trees,thou canst not leave. Thy song,nor ever can those trecs be barc;. in fairy lands forlorn."(69-70)を 彿彿 とさせ る もの. Bold lovcr,never,ncver canst thou kiss,. が あ る。そ の上 ,こ の stanzaの 人 影 が途 絶 え た町 の. Though winning near the goal―. 姿 は ,住 民 が 祭儀 に赴 いてい るため に無 人状態 になっ. yet do not gricve:. て い る とは い え,あ たか もゴース トタウ ンの よ うな荒. She cannot fade,though thou hast not thy bliss,. 涼 として朽 ちた死 の イメ ー ジが 印象的 で あ る。 そ こに. For ever wilt thou love,and she be fair!. (15-20). は まるで ,死 に絶 えて時 の 歩 み が 永 遠 に止 ま った 町. Pompeiiに 足 を踏 み入 れて しまったか の よ うな情景 が とい う壺 の 中で展 開 される永遠 に停滞 した状態 こそ. 広 が ってい る。 この こ とは 「誰 一 人 い ない」 とい う と. は,壷 の世界 とは対極 にある現実 の世界 は,確 かに傍. ころ を,“ nOt a soul"(39)つ ま り「魂 の な い」す な. い ものではあ って も,そ の短 い時間を懸命 に生 き尽 く. わち「死 んだ」 と読 み取 るこ との容易 な表現 を用 い て. す ことがで きるとい う真 の美 しさがあるのだと,逆 説. い る こ とか ら見 て も,詩 人 の死 の世界 を強 く意識 して. 的に表 してい ると思われ る。. い る こ との表 れ と言 える。 また ,“ des01ate"(40)の 一 語 が 深 い 余 韻 を響 かせ. Ⅳ .死 に 絶 え た 町. て 印象 的 で あるが ,こ の語 は `Ode tO a Nightingale'に. fOrlom"(71)と お い て ,妖 精 の 国 を表 現 して い る “ 第 四 stanzaに 入 る と詩 人 は壷 を回 して視 線 を変 え. い う絶唱 に呼応 してい るかの よ うに思 われ る。 この. たのだろ うか ,裏 側 にあ った と思 われ る,今 まで とは 違 った 光 景 が 目に入 る。 この stanzaで は 司 祭 に導 か. ,死 の影が覆 う町 の姿 を目にして,壺 の 世界へ の没入か ら不意 に目覚 め,様 々な思 い を後 に残. れて ,人 々は生 贄 を捧 げ に祭壇 へ 向か ってい る。 この. して現実 の世界へ と舞 い戻 って きた詩人の心境 を表す. stanzaで は壺 の 中の 人 々は動 きを止 め て はい な い。 そ. 印象深 い一語 となって い る。 この よ うに,“ desolate". の動 きは緩 やかで は あ るのだが ,人 々は行動 し生活 を. はただ町のみが 「打 ち捨てられた」 のではな く,詩 人. して い る。 そ の祈 る姿 は,様 々 な苦 しみか らの癒 しを. もまた壷 の圧倒的な存在感 を前 にして打 ち捨 て られた. 求 め る姿 で あ り,行 列 の 目的地 で ある緑 の祭壇 は,永. 心境 にある ことを示 してい るのだろう。. “ desolate"は. 遠 の 平和 を願 う心 を象徴 して い るの だ ろ うか。 また “ What little town by river or sca shore.… ?"(35)と. ,. V。. 美 ・永 遠 ・死. 「町」「り ││」 「海辺」 な どを描 写 して地 図 を見 る よ う に 俯厳 して い るので ,空 間的 に も広 が りを感 じさせ る。. 最 終 stanzaに 入 る と,悠 久 の 時 に育 まれ た壷 の 沈. だが 第 三 stanzaま で の ,恋 にや つ れ た様 子 を露 に し. 黙 の音楽 を聞 き,そ こか ら慰 め を見 出す こ とは もはや. た人 間的 な感情表現 に満 ちた詩行 とは打 って変 わ り. 叶 わない と悟 った詩人 は,日 の前 にあ る壺 の超然 と し. この stanzaで の 詩 人 は ,壺 の 世 界 と一 体 化 は して い. た ,余 りに も圧倒 的 な美 しさに冷 た さや疎外感 す ら感. な い 。 む しろ詩 人 と壺 の 間 の 距 離 は広 が って きて い. じる。壺 には前 に も後 に も茫 々たる永遠 の 時 の流 れが. る。詩人 の壷 を見 つ め る まな ざ しは,あ くまで冷静 か. 存在す るの に, 自分 には永遠 の 時 な ど約束 されて い な. つ 客観 的 で あ って ,今 までの壺 の 中 の 人物 になったか. い こ とに思 い至 り,壷 と 自分 との距離感 を遠 く,ま た. の よ うな没入状態 か らは退 い て い る よ うに思 われ る。. 骨 身 に しみ て冷 た く感 じるほか はない。初 め詩人 は. た とえば この stanzaで の 壷 には,人 々 の 様 子 に つ い. 壺 の世界 には永遠 の至福 の世界が存在す るだろ う と夢. て は,第 一 stanzaで の 人 間 ら しさ に溢 れ た情 熱 的 な. 見 たのだが ,そ こにはただ打 ち捨 て られた町の姿 が あ. 光景 は展 開 されず ,静 説 で枯淡 なたたず まいが描 かれ. るだ け だ った。誰 も三度 と帰 っては来 られ ない こ とを. ,. ,.

(4) 甲南 女子大学大学 院論集創刊 号. 彼 は知 り,減 んで い くこ とこそ人 間 の定 めだ と現実 を. 文学 ・文化研究編 (2003年 3月. ). 大 まか に見 て ,以 上 の よ うな経 過 を経 て Keatsは. 受 け入 れ よ う と して い るの だ ろ うか。 第 一 stanzaで. “ Bcauty is tmth,trLlth beauty"の 至言 へ と発展 させ て い. は,詩 人 は この世 で経験す る苦 しみ を癒 す術 を探 ろ う. ったのだろ うと考 え られ る。 だが ,こ の言葉 は あ ま り. として ,壷 の製作者 の心 を読 み取 ろ う と努 めた。 しか. に も重 いの で 今後 の課題 とした い 。. しなが ら,壷 は製作 当時 の姿 を清 らか な ままに保 ち. ,. あ らゆる この世 の煩 い か らは超然 として件 み ,そ の 隔 た りは余 りに も大 き く,遂. 結. に魂 の耳 に しか聴 こえな い. 音楽 を詩 人 に聞 かせ る こ とな く,口 をつ ぐんで しまっ. Keatsは. ,現 実 の 世界 は苦 しみ に満 ちて い る とい う. こ とを明確 に認識 した上 で , もが き苦 しみ なが らも懸. たのだ。 そ して最 終 stanzaの 最 後 の二 行 に,か の 有 名 な言. 命 に生 きて い くこ とにこそ ,真 の喜 びが あ る と考 えて. 葉 が語 られ る。 曰 く, “`Bcauty is tmth,tmth bcauty'―. い た。 それ は 〃νθ んで “ r′ θ Receive thc tmth,and lct it. that is al1/Ye know on carth, and all ye nced to know.". to be your balm."(II,243)と 述 べ て い る こ とか らも. (49-50)で あ る。 こ の 二 行 は こ れ ま で 人 口 に 1會 久. 窺 わ れ る。 また,こ の Odcで の 壺 の 世 界 ,死 を免 れ. し,様 々 な解釈 を生 み ,議 論 され て きた。か の. た非現実 の永遠 の 世界 は,不 死 身 で あるが ため に停 滞. To S。. meaningless and therefore a Eliotは この二行 につ い て “. して い るので ,却 って死 の世界 そ の もの になって い る. blcmish."(Allott 533)と 断 じて い るほ どで あ る。 こ. こ とを指摘 して い るのだ と考 え られ る。 それ は,死 を. の詩行 の 解釈 につい ては多様 な解釈が な されて きて い. 強 く意識 し,何 事 に も必 ず 終 わ りが 来 る こ とを 「知. るが ,全 体 が壷 か ら人間へ の語 りかけであ る とす るの. る」 こ とに よって こそ ,生 は輝 か しい もの になる とい. が妥 当 であろ う。本小論 では敢 えて この二 行 につ い て. う こ となのであ ろ うか。苦痛 と快 楽 はヤ ヌスの鏡 の よ. 詳説 しなか つたが , Kcatsは 60de On a Grccian Urn'. うに表裏 一 体 となってお り,現 実 をあるが ままに受 け. を書 く二 年前 に,助 フ. 月 にお い て beautyに つ い て. 入れ る苦 しみ の 中 に こそ ,真 の ,ま た永遠 の喜 びはあ. 興味深 い言 及 を して い る。哲 人そ して賢 人 と して描 か. るの だ と言 う こ とが Kcatsの この Odeを 書 い た 目的. れ て い る Oceanusが beautyと mightと の 繋 が りに つ. の一 つ なのか もしれ ない 。. `rjθ. い て語 ってい る言葉 が それで あ る。Oceanusに よれ ば. Keats自 身 は ,ギ リシア本土 をその足 で 踏 み しめ る. “ .. ., tis the etemal law/That first in beauty should be. こ とを願 い なが らも,遂 にその夢 が 叶 う こ とはなか っ. irst in might;"(H,228-29)な のだ とい う。 つ ま り. た。 しか し彼 の作 品 は ,そ の濁 りの ない美 しさに よつ. 神 の 世界 は あ らゆ る面 にお いて完全無 欠 で あ るが ,そ. て ,ま るで壷 の 中 に描 かれ た青年 さなが らに,永 遠 に. れ ゆ え に bcautyの 分 野 にお い て も完 全 で あ る者 こ そ. 老 い る こ とな く常 に清 新 な印 象 を読 む側 に与 え て い. が 力 mightを 持 つ とい う,い か に も美 の 詩 人 Kcatsら. る。. ,. しい 考 えが 示 され て い る。 また ,Kcatsは 1817年 に. 壺 は ,ス フ イ ン クスの よ うに後世 の 人 に解 き難 い謎. つ いて重要 な意 見. を投 げかけなが ら,そ の神秘 的 な美 しさで心 あ る者 を. を述 べ てお り,彼 の beauty観 につ い ての 解釈 の 助 け. 圧倒 して ,詩 人亡 き後 も存 在 し続 ける。 そ して この壷. となって い るので二例 挙 げてお きた い 。. は ,叡 智 を こめ た沈黙 の音楽 をその 中に秘 め なが ら. 書 い た書 簡 中 に も beautyと. trtlthに. ,. 死 と永遠 とは ,実 は分 か ちが た い繋 が りにあ る とい う I am certain of nothing but of thc holiness of the. Keatsの 考 えを体現 して い るのだろ う。. Hcart's affections and the tl■lth of lmagination― ―. 引証 資料. What thc imagination seizes as Bcauty must bc tmth 一 whether it cxisted bcforc or not― ―for l have thc samc ldca of all our Passions as of lLove they are aH in their sublime, creative of essential Beauty― ―.. ... (Rollins,I,184) 。. . the exceHence of every Art is its intensity, capa― blc of making all disagrecables evaporate, fronl thcir. being in close relationship with Bcauty gこ Truth― 一 … … (Rollins,I,192). Keats,John。 =力. `Pθ `722S(√. s.Edo Miriam Allott. ノθ力″ κια′. London: Longman, 1970。 Keats,John.F」 2`L′ ′ ただ. (プ. ノθ力″κ. な,ノ 8ノ イーノ82fo Ed.Ho E.. `α. RoHins.Harvard University Press,1958。. 高野 II夫 『感性 の宴 ―キーツ,ワ ーズ ワス,ブ レイクー』 篠崎書林 ,1986。 藤田真治 『キー ツのオー ドの世界』南雲堂 ,1989。 ※本稿 は 2002年 7月 10日 ,平 成 14年 度 甲南女子大学英 文学会春季研究発 表会 にお い て口頭発表 した原稿 に ,. 加筆修正 した ものである。.

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