中国における教育格差の拡大と教育現状のジレンマ
―「学区房」・学校外の「教育ブーム」・戸籍と
子どもの教育に関するフィールドワークを中心に―
著者
張 奇
学位授与機関
Tohoku University
学位授与番号
11301
URL
http://hdl.handle.net/10097/00130133
博士論文の要約 中国における教育格差の拡大と教育現状のジレンマ ―「学区房」・学校外の「教育ブーム」・戸籍と子どもの教育に関する フィールドワークを中心に― 東北大学大学院教育学研究科 総合教育科学専攻 人間形成論研究コース 張 奇 1. 論文の概要 本研究では、近年の中国における教育問題の中で特に社会問題ともなっている受験競争 を巡って、関心が高まりつつある教育格差の拡大と教育政策によってこれにどう対応した か、その教育現状のジレンマについて、長期間に渡るフィールドワークを手がかりとしなが ら、分析と考察を行った。 序章では、本研究の研究目的、背景、手法、先行研究及び意義・独自性について述べた。 本研究は長年続く激しい受験競争に伴って、近年に拡大しつつある中国の教育格差とこれ に関連して生じた教育現状におけるジレンマについて 3 つのアプローチから総合的に解明 し、その傾向と問題点を考察する。 3 つのアプローチとは、①名門小学校に入学するために通学区の住宅を購入・入居する「学 区房」の問題、②生徒が頻繁に学校外の学習塾・習い事教室に通う学校外の「教育ブーム」 の問題、③戸籍の制限による子どもの就学、進学の問題である。この 3 つの問題は、現在の 中国社会で深刻な教育問題として注目され、いずれも生徒の教育格差に大きな影響を与え る重大な問題である。これらの問題の実態を解明するため、本研究では、教育人類学の角度 から以下のフィールドワークを行った。 第一章では、「学区房」と教育格差の拡大に関するフィールドワークにおいて、中国北京 市東城区の M 重点小学校と G 一般小学校の生徒と親にアンケート調査とインタビュー調査 を実施した。アンケート調査では、400 名の親を対象にし、彼らの収入、学歴、社会地位に ついて調査した。調査の結果により、「学区房」を購入した「重点小学校」の保護者と一般 小学校の保護者の間に、収入、学歴、社会階層の 3 つにおいて、確かに格差が存在してい た。また、「学区房」に移住した家庭生活の面においては、保護者に対するインタビュー調 査を通して 3 つの考察が見られた。 第二章では、中国における教育格差の問題のもう 1 つの側面として、近年に起きている学 校外の「教育ブーム」について調査研究を行った。学校外の「教育ブーム」が進んでいる中 国の北京市で、子どもの学校外の教育に力を入れる保護者 15 人を対象とし、インタビュー 調査を行った。
それ以外に、受験競争の中で一定の規模に達している寄宿生の学校外の教育状況につい ても調査を行った。4 つの寄宿学校の 109 人の生徒に対する調査を通じて、彼らの学校外の 教育の実態を明らかにした。 第三章では、中国の教育格差の拡大につながりがある戸籍と子どもの教育について、フィ ールドワーク調査を実施した。北京市に在住している 20 人の親を対象にし、3 つのカテゴ リーに分類し、インタビュー調査を行った。 第四章では、中国における激しい受験競争の状況の中で、上述した 3 つの視点から、それ ぞれの問題による教育格差の拡大について考察した。また、さらに一歩進んで、生徒の教育 現状におけるジレンマの実態を明らかにし、考察を行った。 終章では、研究において行ったフィールドワークをまとめ、中国における様々な教育政策 の改革と受験競争の激化、教育格差の拡大、教育現状のジレンマの間のギャップについて論 じた。また、本研究で行った考察を踏まえてこれからの教育改革においての課題について述 べた。 2. 論文の構成 序章 研究目的・背景・構成・先行研究及び意義 第一章 「学区房」から見る教育格差の拡大 第二章 学校外の「教育ブーム」から見る教育格差の拡大 第三章 戸籍と子どもの教育から見る教育格差の拡大(北京市を事例に) 第四章 教育格差の拡大と教育現状におけるジレンマ 終章 研究の結果・課題および今後の展望 序章では、研究目的、研究背景、研究の構成、先行研究のまとめ及び研究の社会的意義に ついて述べた。第一章、第二章、第三章は本研究で取り上げた 3 つの問題についてそれぞれ の研究の過程及び結果について述べた。第四章では前三章の研究結果を基ついて、考察を行 い、3 つの問題と現在中国における教育格差、教育現状のジレンマとの関連性について述べ た。終章では、研究の結論及び今後の課題について述べた。 3. 各章の概略 序章 研究目的・背景・構成・先行研究及び意義 第 1 節 研究の目的 第 2 節 研究の背景 ⑴中国におけるピラミッド型の教育システムの形成 ⑵「高考」における受験競争の拡大 ⑶中国における教育政策を巡る社会問題 第 3 節 研究の方法及び構成
⑴「学区房」に関する研究調査 ⑵寄宿生・非寄宿生の学校外の「教育ブーム」に関する研究調査 ⑶戸籍と子どもの教育に関する研究調査 第 4 節 先行研究の検討 ⑴「学区房」に関する先行研究の検討 ⑵学校外の「教育ブーム」に関する先行研究の検討 ⑶戸籍と子どもの教育に関する先行研究の検討 第 5 節 研究の位置付け及び意義 「中華人民共和国義務教育法」の規定により、義務教育段階において児童生徒が戸籍所在 地で通学区にある学校に入学する(「就近入学」1)ことが要求されている。「就近入学」の 制限によって子どもを受験に有利な名門小学校に入学させるにはその通学区に引っ越さな ければならず、このことが、親が「学区房」2を購入する現象を生み、広がっていった。 また、近年では受験競争が激しくなるにつれ、政府が受験準備のため増大する学校内の学 習負担を軽減する政策を打ち出すなかで、中国では以前見られなかった学校外の教育市場 が出現し、拡大する事態を招いた。各種の学校外の学習塾や習い事教室が相次いで開設され、 生徒を集めるようになった。 さらに、高等教育への進学においては、現在の中国の教育政策上、受験生は戸籍所在地で 全国統一入試(「高考」3)を受ける必要がある。ところが、中国では都市と農村の戸籍は原 則固定され、容易に移動できず、農村から大都市に出稼ぎに行く場合も戸籍の移動は認めら れていない。激しい受験競争の裏には戸籍の制限より、子どもの教育にも影響を与えている ようである。 この状況を踏まえて、本研究は長年続く激しい受験競争に伴い、拡大しつつある中国の教 育格差の問題とこれに関連して生じた教育現状におけるジレンマについて、3つのアプロ ーチからその実態を解明し、問題点を考察することである。 1 「中華人民共和国義務教育法」の記載により、中国の公立小学校の入学条件については 「地方各レベルの人民政府は、小学校及び前期中等教育学校(初級中学と前期中等教育レ ベルの職業中学)を合理的に設置し、児童・生徒を居住地域ごとに指定された学校に入学 させる」。(文部科学省(2007)『諸外国の教育の動き 2006』教育調査第 137 集,国立印刷局 p. 325.)義務教育段階の公立学校については、各学校に主管の地方教育行政機関が通学地 域を定めたており、原則として同区域に住む児童生徒は無選抜で通学地域の学校に就学す る。(文部科学省生涯学習政策局調査企画課(2016)『諸外国の初等中等教育』教育調査第 128 集,明石書店 p. 172.) 2 中国語の「房」とは、住宅のことを指すが、「学区房」とは「重点小学校」の通学区にあ る住宅のことを指す言葉として広まった。本研究において、「学区房」は「重点小学校」 の入学条件に指定された「重点小学校」周辺にある住宅のことを指す。 3 高等教育を受けるための全国統一試験であり、全称は「普通高等学校招生全国統一考 試」である。
3 つのアプローチとは、①名門小学校に入学するために通学区の住宅を購入、入居するい わゆる「学区房」 問題、②学校外の学習塾に通う「教育ブーム」4 、③戸籍の制限と子ども の就学、進学問題である。この 3 つの問題は、現在の中国社会で深刻な教育問題として注目 されている問題であり、いずれも生徒の教育機会の均衡に大きな影響を与える重大な問題 である。 第一章 「学区房」から見る教育格差の拡大 第 1 節 「重点学校」の成立及び「学区制」の導入 ⑴「重点学校」の概念 ⑵「重点学校」の設立と義務教育段階の「重点学校」の廃止 ⑶中学校への進学試験の廃止の動き 第 2 節 「就近入学」の実施及び「学区房」の形成と現状 ⑴「就近入学」の原則の確立 ⑵「学区房」の価格が高騰する現状 ⑶ 教育格差と調査地域の設定 第 3 節 「学区房」を購入した保護者と未購入の保護者の比較 ⑴調査対象である M 重点小学校・G 一般小学校 ⑵M 重点小学校・G 一般小学校の保護者対する調査の実施 ⑶M 重点小学校・G 一般小学校の保護者に対する調査の結果と分析 第 4 節 半構造化インタビュー調査による「学区房」の実態 ⑴インフォーマントである保護者の概要 ⑵「学区房」の実態に関するインタビュー調査の事例 ⑶保護者に対する半構造インタビューの内容と分析 第 5 節 「学区房」未購入の一般小学校の保護者の不安と子供の教育状況 ⑴「学区房」未購入の一般小学校の保護者の不安 ⑵「学区房」未購入の一般小学校の保護者の教育状況 中国における「重点学校」とは、「中国の各省、市、自治区の教育庁(局)が指定した当 該地域で、教師のレベルが高く、学校の設備が充実し、環境が良く、実力のある指導者がい る小学校及び中学校、高校」のことである5。「重点学校」の政策は当時に経済の発展の制限 により実施された学校の政策であった。一部の学校に重点的に投資し、優先的に発展させた。 しかし、このような政策の局限性と欠点が現れ、学校の間に大きな格差がもたらしていた。 現在では、「重点学校」の制度が徐々に廃止されるようになったが、「重点学校」は名門学校 4 生徒は学校以外の時間を利用し、各種の学習塾や習い事教室に通うことがブームとなっ た現象を指している。 5 程凱(1998)「中国の重点学校教育政策についての検討」『人文学報』289,pp. 65-82.
としての地位が変わることはなく、実質的な進学エリート校になっている。90 年代以降に、 中国の学歴社会を背景に6、進学に有利な「重点小学校」、「重点中学校」、「重点高校」とい ったピラミッド型の学校制度が強化された7。 中国の義務教育段階における「就近入学」の原則に従い、これらの名門学校の指定された 通学区にある「学区房」は、子供を名門学校に入学させたい親たちに注目されるようになり、 値段も高騰する事態へと発展している。本研究では、このような背景を踏まえて、「学区房」 を注目し、調査研究を行った。 「学区房」の研究において、M 重点小学校、G 一般小学校の 2 つの小学校の 400 名の保護者 に対するアンケート調査、半構造化インタビュー調査を実施し、その結果を分析した。収入、 学歴、社会階層 3 つの面において、M 重点小学校の「学区房」を購入した保護者と購入しな かった保護者の間に格差が見られた。また、M 重点小学校の「学区房」を購入しなかった保 護者と G 一般小学校の保護者の収入、学歴、社会階層 3 つの面において、明確な格差がみら れなかった。よって、「学区房」の購入による「重点小学校」の入学は「重点小学校」内の 保護者格差の拡大に繋がり、また「重点小学校」と一般小学校の保護者の間の格差の拡大に 繋がった。つまり、高収入、高学歴や高い社会階層に所属する保護者は自分の子どもに「学 区房」を買い与え、「重点小学校」に入学させたのである。 「就近入学」の政策の下で「重点小学校」の「学区房」の価格の高騰は、一部の収入、学 歴、社会階層が高い家庭の子どもに良質な教育資源を占有させる傾向が見られた。このこと は、義務教育段階の教育格差の拡大、良質な教育を受ける機会の不均衡を示唆しているだろ う。 「学区房」の価格は市内の一般の住宅よりも高かった。古い住宅が多く、居住環境も快適 ではなかった。「学区房」への引っ越しは実際に保護者一家の生活に大きな変化をもたらし た。「学区房」に引っ越した保護者は生活環境の変化、仕事や通勤時間の変化、コミュニテ ィと近所の付き合いの変化の 3 つの変化に悩まされることはよくあった。子どもの教育の ために、住み慣れない土地に引っ越し、生活している親の姿が浮き彫りされたのである。こ れもまた、子どもの教育のために、「学区房」を買い、「学区房」に引っ越した保護者のジレ ンマである。 第二章 学校外の「教育ブーム」から見る教育格差の拡大 第 1 節 「素質教育」の理念と生徒の負担を軽減する政策 第 2 節 教育政策の変遷と学校外の「教育ブーム」の由来 ⑴生徒の学校内の負担を軽減するための政策の変遷 ⑵受験競争と学校外の「教育ブーム」の由来 6 園田茂人・新保敦子(2010)は中国の学歴社会の誕生と所得を批判的に考察している。 7 園田茂人・新保敦子(2010)『教育は不平等を克服できるか』(叢書中国的問題群 8)岩波 書店
第 3 節 生徒の学校外の学習負担の増大に対する学習塾の整理の活動 第 4 節 学校外の「教育ブーム」の実態に関する調査 ⑴調査の概要 ⑵子どもの学習塾と習い事教室の参加状況 ⑶学校外の「教育ブーム」に関する事例 ⑷学校外の「教育ブーム」の特徴についての考察 ⑸学校外の「教育ブーム」と保護者の関与・負担 ⑹学校外の「教育ブーム」と保護者の対策・選択 第 5 節 寄宿生の学校外の「教育ブーム」に関する研究 ⑴調査の概要 ⑵寄宿生の学校外の学習塾・習い事教室の参加状況 ⑶寄宿生の学校外の「教育ブーム」の実態 ⑷寄宿生の学校外の「教育ブーム」に対する検討 中国は 1977 年に 10 年間中断された大学統一入試「高考」を再開して以来、激しい受験競 争が再燃し、小学校や中学校の生徒は毎日多大な宿題の負担を負うようになり、試験や授業 が多くなった。生徒は日々学校の宿題に追われ、多くの時間を学業だけに費やすこととなっ た。そのため、生徒の睡眠不足、遊び時間の減少、総合能力の低下といった問題が起こった。 それに対し、教育部は生徒の学校内の過重な学習負担を軽減するために様々な教育政策を 打ち出した。 しかし、受験競争は依然激しく、試験を中心に行われる進学選抜システムは変わっていな かった。一人っ子の家庭では子どもに対する親の期待が高く、親たちは成功の鍵は早めの準 備にあると考えて、小学校段階から優れた教育環境を求めて奔走していた。高額の費用を払 って子どもたちを各種の学習塾に通わせようとしている親もいた。自分の子どもの成功を 願う親たちの「教育熱」は高まる一方であった。「教育熱」が学校外へと向かった。 本研究では、北京市における子育て中の 15 戸の家庭の調査によると、以下の考察が見ら れた。①難しい試験問題と学校教育の矛盾がある。②学校外の教育の低年齢化、入学前事前 学習のブーム(「助長」式教育)がある。③生徒の学校外の「教育ブーム」において、保護 者の関与・負担が見られ、特に保護者の付き添い学習が特徴である。 また、4 つの寄宿学校の 109 人の生徒に対する調査を通じて、彼らの学校外の教育活動は 夏・冬休みの短期間に集中し、高学年になるにつれ、試験科目を中心とする補習や事前学習 が主要な活動になり、習い事の学習は副次的になることが明らかになった。受験科目の成績 向上のための補習活動が中心となり、子どもの成績が落ちることに不安を感じる親は、子供 の素養を深める学習系、芸術系、スポーツ系といった習い事に関心を持たず、積極的に子供 に習い事をさせることは少ない。また、寄宿生の学校外の教育において、親と生徒の間の合 意の欠如があることが明らかになった。
第三章 戸籍と子どもの教育から見る教育格差の拡大(北京市を事例に) 第 1 節 北京市における戸籍の取得と子どもの教育 ⑴北京市戸籍の取得の条件 ⑵戸籍の制限による子どもの進学問題 第 2 節 戸籍と子どもの教育に関する調査 ⑴調査の概要 ⑵インフォーマントと子どもの放課後の学習状況 ⑶戸籍と子どもの教育に関するインタビューの事例 第 3 節 戸籍と子どもの教育においての比較 ⑴北京市出身の保護者の子どもの教育 ⑵北京市に移籍した保護者の子どもの教育 ⑶北京市戸籍の未取得の保護者の子どもの教育 本研究におけるもう 1 つの着眼点として、中国における戸籍制度と子どもの教育を取り 上げた。1958 年に中国における「戸口登記条例」が実施されて以後、1 人の公民は 1 つの戸 籍(中国語では「戸口」)を持つようになった。戸籍は子どもの就学、進学などの教育問題 と深く関わるようになった。その原因は子どもの就学や進学試験の参加において、子どもの 戸籍所在地が問われたからである。 戸籍の所在地は居住地と異なる場合、子どもの学校の就学が制限され、さらに戸籍所在地 に戻り、高等教育への進学試験である「高考」に参加しなければならない。試験問題、入試 の合格率は地域によって違うので、「高考」の結果はどの地域で受験するかによって大きく 影響されている。 戸籍と子どもの教育に関するフィールドワークでは、このような戸籍が子どもの教育へ 及ぼす影響に着目した。本研究では、中国の北京市在住の保護者 20 人を訪問し、フィール ドワーク調査を実施した。戸籍が彼らの子どもの教育にどのような影響を与えていたのか について考察する。 調査対象の親を①上の世代から既に北京市の戸籍を受け継いだ保護者(北京市出身の親)、 ②自らの努力で北京市の戸籍を取得した保護者(北京に移籍した親)、③北京市の戸籍を取 得していない親(北京市に生活し、戸籍を持っていない親)の 3 つのカテゴリーに分類し た。 その調査の結果は、調査した北京市の親たちの中では、自らの努力で厳しい条件を乗り越 えて新しく北京市に移籍した保護者たちは相対的に子どもの教育に熱心であり、北京市内 の子どもの学力の競争を引き起した。一部の競争意識がそれほど強くなかった保護者は、あ る意味では、この競争に引き込まれることになったのだろう。 また、北京市の戸籍を取得していない親たちは子どもの進路に対して不安を感じ、学年が 上がるとともに不安が強くなっていることがわかった。同じく北京市で生活している親は
戸籍の違いにより、子どもの教育の影響が違っている。 第四章 教育格差の拡大と教育現状におけるジレンマ 第 1 節 「学区房」、学校の「教育ブーム」、戸籍から見る教育格差の拡大 ⑴「学区房」と教育格差の拡大についての考察 ⑵学校外の「教育ブーム」と教育格差の拡大 ⑶戸籍と教育格差の拡大についての考察 ⑷本研究における 3 つのアプローチのまとめ 第 2 節 「学区房」、学校外の「教育ブーム」、戸籍の関連性 ⑴生徒の家庭の状況との強い結びつき ⑵大都市における教育の負担の増大 第 3 節 生徒の教育現状におけるジレンマについての考察 ⑴「学区房」と生徒の教育現状のジレンマ ⑵学校外の「教育ブーム」と生徒の教育現状のジレンマ ⑶戸籍制度と生徒の教育現状のジレンマ 「学区房」、学校外の「教育ブーム」、戸籍と子どもの教育の 3 つの要素による教育格差の 拡大は実に中国の教育におけるジレンマをもたらしていた。「就近入学」の原則や生徒の学 校内の負担を軽減させるための政策は教育の平等を保つためであった。しかし、教育の資源 の分配の不均衡や進学試験による受験競争の激化とった根本的な問題が解決しない限り、 こういった政策は教育の平等に効果的に作用することが少なく、かえって教育格差の拡大 の原因になりかねない。 「学区房」と生徒の教育現状のジレンマが見られた。「学区房」を購入することによって 確かに、子どもを名門である「重点小学校」に入学させることができた。しかし、高い金額 で「学区房」を購入したとしても、「学区房」の多くは部屋自体が古く、住み心地は決して よいとは言えなかった。子どもが名門の小学校に入学できるように、住み慣れた家を売り、 年代の古い「学区房」に引っ越すことは至難の選択であった。「学区房」に引っ越し、居住 環境の変化、仕事や通勤時間の変化、コミュニティの変化といった変化に違和感をもった家 庭は少なくなかった。こういった変化も間接的に子どもの成長と関わり、学校以外の面にお いて、子どもの教育に影響を与えていた。このジレンマは小学校入学前のこれらの親の悩み となった。 また、学校外の「教育ブーム」と生徒の教育現状のジレンマも見られた。受験の競争の下 では、親も生徒も受験科目の学習を優先させる傾向があった。生徒の総合的な素質の養成に 有利であった習い事は副次的、二次的となり、長年習っていたにも関わらず、受験が原因で 中断されたこともあった。習い事を長期的継続させるのは非常に難しいであることがわか った。受験のプレッシャーがある以上、習い事と学業の両立が難しくなり、習い事を長期的
に継続することが難しくなっている。習い事においてはこのようなジレンマがあった。 それ以外に、子どもの学校外の学習の負担が増加することは、子ども自身だけではなく、 家族全員の時間、労力がかかっていた。一部の保護者は子どもの塾の学習に付き添い、子ど もと一緒に学習塾の授業を聞き、さらに、授業中で子どもがわからないところを授業の後で 子どもにもう一回を教えていた。このプロセスは非常に時間や精力がかかるのである。また、 学校の宿題の指導も親の負担を増加させていた。一部の小学校では、親に子どもの宿題の指 導をするように要求している。親たちは仕事帰りで疲れているのにも関わらず、子どもの勉 強を手伝い、関与しなければならない。中国の保護者は子どもの学校外の教育において、仕 事と子どもの付き添い学習の両立が難しく、このようなジレンマに陥ったのである。 その他、戸籍制度と生徒の教育現状のジレンマも見られた。本研究で行なった戸籍と子ど もの教育に関するフィールドワークにおいては、北京市の戸籍を所有していない親たちは、 子どもの進路のために、北京市での仕事を諦め、子どもと一緒に地元に戻るか、中国での受 験を諦め、国際学校に子どもを入れ、将来海外への大学への進学を目指すのかのいずれを選 択しなければならい。地元に戻り、高考に参加する場合では、地域の差で試験の結果に不利 の影響が出る可能性がある。また、子どもを国際学校海外の学校へ進学させる場合は、中国 の教育のシステムから外れることになる。後戻りができない状態になる。これらの親たちは はこのようなジレンマに陥り、子どもの進学に悩まされている。 終章 研究の結果・課題および今後の展望 第 1 節 研究調査のまとめ・考察 ⑴実施したフィールドワークと研究調査の結果 ⑵フィールドワークに関する考察・分析 第 2 節 今後の課題・展望 ⑴「学区房」の課題について ⑵学校外の「教育ブーム」の課題について ⑶戸籍と子どもの教育の課題について 第 3 節 教育格差と教育現状のジレンマを克服するために ⑴ 調査の結果と考察 本研究では、初めに、「重点小学校」に関する政策の変遷によって生じた「学区房」問題 について論じた。また、「学区房」問題の由来と関わる「重点小学校」の政策と「就近入学」 の原則について検討した。その上で、北京市の価格が高騰していた「学区房」の現状につい て述べた。こういった事情を踏まえ、フィールドワーク調査を行った。 「学区房」の購入による「重点小学校」への進学は確かに、一部の保護者たちにとって大 きな難関となる。しかし、収入、学歴、社会階層の高い家庭は「学区房」の購入により、子 どもに「重点小学校」に入学させ、良質な教育を受ける機会を与えることができた。この調
査の結果によって、子どもの教育格差は小学校の段階ですでに生まれたのだろう。実際に、 教育格差の拡大は教育の機会が平等に与られるべき義務教育の早い段階からすでに始まっ たのだろう。また、「学区房」の研究において、良好な生活環境と子どもの良質な教育環境 の両立が難しいというジレンマが現れた。 次に、学校外の「教育ブーム」において、寄宿生と非寄宿生両方は受験競争の影響で、小 学校の高学年や進学の時期なるにつれ、彼らの学校外の教育活動は受験科目に集中するこ とである。また、事前学習においては寄宿生も非寄宿生も多く参加している。そのほかに、 学習の低年齢化や習い事の継続の難しさといった共通点がある。また、子どもたちは受験の プレッシャーがある以上、習い事と学業の両立が難しくなり、このようなジレンマがあった。 中国の保護者は子どもの学校外の教育において、仕事と子どもの付き添い学習の両立が難 しく、このようなジレンマに陥ったのである。 最後に、戸籍と子どもの教育について考察を行なった。北京市で生活し、子どもを育てる 親たちは戸籍の取得の違いがあり、3 つのカテゴリーに属している。3 つのカテゴリーは① 元々北京市の戸籍を持つ北京市出身の親たち、②北京市の戸籍を取得して北京へ移住した 親たち、③北京で生活し、まだ北京市の戸籍を取得していない親たち、である。それぞれの カテゴリーに属す親たちの研究調査を通し、戸籍は彼らの子どもの教育にどのような影響 を与えていたのかについて考察を行なった。 調査した北京市の親たちの中では、自らの努力で厳しい条件を乗り越えて新しく北京市 に移籍した保護者たちは相対的に子どもの教育に熱心である。子どもがまだ幼い頃から子 どもを様々な学習をさせている。 北京市の戸籍を持たない親たちは子どもの教育に力を入れたとしても、子どもの将来の 進学に不安を感じている。将来に北京市の仕事や生活を諦め子どもと一緒に早めに地元に 戻り、子どもを地元の学校に馴染ませるか、それとも子どもを一人で地元へ帰らせ、子ども と離れ離れになるのかはこれらの親たちが抱えているジレンマである。戸籍を持たずに北 京市で生活している親たちにとって、子どもの教育において、こうした難しい選択が強いら れ、ジレンマに陥っている。 ⑵ 生徒の「所属する地域」による教育格差 教育格差の拡大を学校外の「教育ブーム」、「学区房」、戸籍と子どもの教育の問題と結び つけ分析を行った。その結果、この 3 つの要素は実際に生徒の「所属する地域」と大きく関 わることが分かった。 「学区房」の研究調査においては、生徒が属する「学区」の違いにより、義務教育段階で 「重点学校」に就学するのか、あるいは一般学校に就学することが決められる。この「所属 する地域」の違いにより、このような就学の格差が生まれた。また、戸籍と子どもの教育に 関する研究調査の中では、生徒の戸籍の「所属する地域」の違いにより、受験地域と受験人 数が違い、競争の激しさにも違っていることわかった。生徒の戸籍の「所属する地域」の違
いにより教育格差の拡大は見られた。 ⑶ 教育政策と教育現状のギャップ ⅰ.「就近入学」の政策と「学区房」の現状とのギャップ 「就近入学」の教育政策がもたらす「学区房」問題、学校内の学業の負担を減らすための 「減負」政策と伴い、拡大しつつある学校外の「教育ブーム」は教育政策と生徒の教育現状 のギャップを示唆している。 「就近入学」の政策の主旨と「学区房」の購入による「重点小学校」に入学の現状の間に ギャップが存在する。親たちは子どもが「重点小学校」へ進学することを求めているが、「重 点小学校」の数が限られ、さらに「就近入学」の原則に従うと、多くの家庭の希望を満たす ことができない。その中の一部の家庭状況が良い親は「学区房」の抜け道を利用し、子ども に良質な教育資源を持つ「重点小学校」に入学させた。この現状は「就近入学」の政策の主 旨との間にギャップが生まれた。 「就近入学」の政策は「学区房」という抜け道がある以上、良質な教育資源を巡る競争は 家庭状況の競争となる。教育資源が不均衡である現在の中国では、「就近入学」の政策を通 して義務教育段階の生徒の入学の機会の公平を保つことが難しく、生徒の家庭状況の競争 が広まる一方である。この現状の下では、「就近入学」の政策の局限性が見えてきた。一般 学校の教育の質をあげ、一般学校と「重点学校」の間の格差をなくすことが根本にあるが、 「就近入学」の政策にも現在の状況に応じて改革が必要である。 ⅱ.生徒の負担軽減の政策と学校外の「教育ブーム」の現状のギャップ 現行の教育政策の中では、「素質教育」の教育改革における生徒の受験の負担を軽減する 方針や生徒の「徳、知、体、美、労」の総合的能力を上げる目標はと現在の生徒たちの学校 外の「教育ブーム」の現状の間にギャップが存在する。 「素質教育」が推進されて以来、中国政府は過重なる生徒の学校内、学校外の補習活動に 反対している。しかし、問題は現在の教育システムの現状の下で、親たちの子供に対する教 育熱が冷めることがなく、子供の学校外の補習を求めていることである。政府が行った生徒 の学習負担を軽減させる政策の方針は教育熱心の親たちの要望との間にギャップがある。 ⑷ 今後の課題 本研究で考察した 3 つのアプローチによる教育格差の拡大や生徒と保護者が陥るジレン マの根本的な原因はピラミッド式の教育システム、受験競争の拡大、教育資源の配置の不均 衡にあった。 「学区房」による入学機会の不均衡を解決するには、「重点学校」と一般学校の間の格差を 無くすことは根本的な問題である。これは、過去の教育政策上に残された問題であり、経済 が発展してなかったから解決できなかった問題でもあった。
しかし、現在の中国では 2012 年から 2017 年の間に 5 年連続で GDP の 4%を超える経費を 教育に支出している8 。十分な資源の配置を進めば、「重点学校」と一般学校の間の格差が 縮小されるだろう。だだし、本研究の時点では、これはまだ先の話でもある 「学区房」の価格の高騰の状況の下で、教育資源の分配の不平等、教育機会の不均衡の壁 は簡単に超えるものではなかった。現状の下で、親たちが争って「学区房」を購入する状況 をどのように緩和すれば良いのだろうか。こういった問題については、これから中国の教育 政策の改革はどのように根本的に学校の間の格差に触れて調整すべきだろうか。これにつ いてはまだ課題が残されている。 中国教育部は生徒の学習負担を軽減させるために、学校の教育改革において、様々な教育 政策を打ち出した。しかし、生徒の負担は軽減されることがなく、学校外へと移転し、学校 外の「教育ブーム」が起こった。 学校外の「教育ブーム」を緩和させ、生徒の学習負担を軽減し、子どもの多様な才能を開 発するためには、根本的に受験競争によるプレッシャーの軽減を目指し、より多くの子ども に良質な教育を与えることが課題になる。 【参考・引用文献】 石井光夫(1997)「<中国>過熱する大学受験競争--進学塾や越境入学禁止の対策も効果薄(諸 外国の大学入試)」文部省(編)『教育と情報』447,pp. 20-23. 市川博(1978)「中国の教育方法学研究-能力に応ずる教育と重点学校(教育方法研究年鑑 78 年版)-(海外における教育方法学研究の動向)」『現代教育科学』明治図書出版 21(7),pp. 256-265. 植村広美(2009)『中国における「農民工子女」の教育機会に関する制度と実態』風間書房 浦川邦夫(2010)「所得格差と教育格差(特集教育問題と個人金融)」『個人金融』5(1),pp. 11-21. 袁振国(1999)『論中国教育政策的転変:対我国重点中学平等与効率的個案研究』広東教育出 版社 袁振国・南部広孝(監修)高峡・辻本雅史(編)(2012)『東アジア新時代の日本の教育-中国と の対話』京都大学学術出版会 科学技術振興機構中国総合研究交流センター(2013)(編)『中国の初等中等教育の発展と変 革』科学技術振興機構中国総合研究交流センター 改革開放 30 年中国教育改革与発展課題組(2008)(編)『教育大国的崛起 1978-2008』教育科 8 中国教育部が発表された 2012 年から 2017 年までの「全国教育経費執行情況統計公告」に よる。
学出版社 何暁毅(2008)「中国の義務教育における格差についての実例研究」『大学教育』5,pp. 9-20. 龔婷(2013)「制度分析視野中的農村寄宿制学校管理」『教学与管理』5,pp. 12-15. 楠山研(2003)「中国における小学校と初級中学の接続に関する考察」『京都大学大学院教育 学研究科紀要』49,pp. 376-386. 楠山研(2010)『現代中国初中等教育の多様化と制度改革』東信堂 胡思曼(2019)「学区房溢价研究-以北京市西城区為例」『广西質量監督導報』08,p. 212. 顧明遠(2000)『世界教育大事典』江蘇教育出版社 顧明遠(2009)『中国教育の文化的基盤』東信堂 項純(2013)『現代中国における教育評価改革-素質教育への模索と課題』日本標準 高穎・張秀蘭(2016)「我国特大城市人口結构特点及変動趨勢分析-以北京為例」『人口学刊』 38,pp. 18-28. 呉徳剛(2011)『中国義務教育研究』教育科学出版社 赤坂真人(2012)「現代中国における経済格差と教育格差:所得格差が生む教育格差」『吉備国
際大学研究紀要.人文・社会科学系・医療・自然科学系 Kibi International University』 22,pp. 19-39. 佐藤富雄(1987)「文化的再生産と文化資本-教育の再生産機能をめぐって」『社会学年誌』 28,pp. 113-127. 佐々木衞(2012)『現代中国社会の基層構造』東方書店 周満生(2009)『教育宏観決策比較研究』人民教育出版社 杉村美紀(2012)「中国における教育格差の連鎖と重層化」『東洋文化研究』14,pp. 215-241. 薛海平・丁小浩(2009)「中国城鎮学生教育補習研究」『教育研究』348,pp. 39-46. 薛海平(2015)「从学校教育到影子教育:教育競争与社会再生産」『北京大学教育評論』 13(3),pp. 47-69. 薛海平・李静(2016)「家庭資本、影子教育与社会再生産」『教育経済評論』1(4),pp. 60-81. 薛海平(2018)「家庭資本与教育獲得:基于影子教育中介効応分析」『教育与経済』34(4),pp. 69-78. 薛海平・方晨晨(2019)「我国義務教育課外補習:現状与趨勢」『教育経済評論』4(4),pp. 75-97. 龐圣民(2017)「家庭背景、影子教育与“初升高”:理解当代中国社会教育分層的新視角」『社 会発展研究』4,pp. 105-123. 曾暁東(2008)「家庭教育支出的階層差異及其社会意義」『教育学報』4(6),pp. 80-86. 園田茂人・新保敦子(2010)『教育は不平等を克服できるか』(叢書 中国的問題群 8)岩波書店 楚紅麗(2009)「我国中小学生課外補習家庭之背景特徴及個人因素」『教育学術月刊』12,pp. 22-27.
角野雅彦(2006)「現代中国の教育格差とその背景-一人っ子政策以降の子どもと家族」『四 国学院論集』121,pp. 1−32. 橘木俊詔(2009)「The Compass 世帯所得と教育格差」『週刊東洋経済』6223,pp. 128−129. 田中圭治郎(2013)「中国における教育課題と展望」『教育学部論集』24,pp. 35−51. 田志磊・張雪・袁連生(2011)「北京市不同戸籍幼儿学前教育資源差异研究」『中国人民大学 教育学刊』3,pp. 165-180. 張驥(2017)「学区房溢价的再估計:以北京市為例」『経済問題探索』8,pp. 57-63. 張奎・鄭毅・郭棟・丁金伯(2016)「寄宿与非寄宿初中生行為問題対比分析」『中国健康心理 学雑誌』5,pp. 789-791. 中華人民共和国教育部(1984)『中国教育年鑑(1949-1981)』中国大百科全書出版社 中華人民共和国教育部(1962)「関于有重点地辦好一批全日制中、小学校的通知」『中国教育 年鑑(1949-1981)』中国大百科全書出版社,pp. 769-770. 中華人民共和国教育部(1978)「関于辦好一批重点中小学校的試行方案」『世界教育大事典』 江蘇教育出版社,p. 1022. 北京市教育志編纂委員会(1992)『北京市普通教育年鑑(1949-1991)』北京出版社 陳玲玲・堂学玉(2009)「“学区房熱”的原因及外溢效応研究」『中国集体経済』25,p. 2. 陳全功・程蹊・李忠斌(2011)「我国城郷補習教育発展及其経済成本的研究」『教育与経済』 2,pp. 32-36. 程凱(1998)「中国の重点学校教育政策についての検討」『人文学報』289,pp. 65-82. 都村聞人・西丸良一・織田輝哉(2011)「教育投資の規定要因と効果―学校外教育と私立中 学進学を中心に」佐藤嘉倫・尾嶋史章(編)『現代の階層社会 1 格差と多様性』東京大学出 版会,pp. 267-280. 董樹梅(2005)「城市寄宿制小学“熱”的原因探析」『西北成人教育学報』2,pp. 63-65. 仲田陽一(2014)『知られざる中国の教育改革 : 超格差社会の子ども・学校の実像』かもが わ出版 南亮進・牧野文夫・羅歓鎮(2008)『中国の教育と経済発展』東洋経済新報社 哈巍・勒慧琴(2018)「教育経費与学区房溢价-以北京市為例-」『教育与経済』1,pp. 35-41. 馬芳芳(2015)「関于小学生課外補習及興趣班的社会学研究-基于中国浙江省慈渓市的調査」 『中日教育論壇』5,pp. 8-15. 馬芳芳(2017)「中国中小都市における学校外教育から見た親の教育戦略に関する階層差- 浙江省慈渓市を事例に」『家族社会学研究』29(1),pp. 19−33. 馬欣儀・凌輝・李新利・王梦怡(2013)「寄宿与非寄宿小学生学習適応性、心理健康与学業成 績比較」『中国臨床心理学雑志』3,pp. 497-499. 文部科学省(2007)『諸外国の教育の動き 2006』教育調査第 137 集,国立印刷局 文部科学省生涯学習政策局調査企画課(2016)『諸外国の初等中等教育』教育調査第 128 集, 明石書店
別敦栄(2016)「普及化高等教育的基本邏輯」『中国高教研究』3,pp. 31-42. 本田(沖津)由紀(1998)「教育意識の規程要因と効果」苅谷剛彦(編)『1995 年 SSM 調査シ リーズ 11 教育と職業─構造と意識の分析』1995 年 SSM 調査研究会,pp. 179-197. 本田(沖津)由紀(2008)『「家庭教育」の隘路―子育てに強迫される母親たち』勁草書房 マーク・ブレー(2014)『塾・受験指導の国際比較』東信堂 牧野文夫・羅歓鎮(2013)「誰が重点学校に進学するか: 教育を通じた格差固定化に関する 分析」『中国経済研究』10(1),pp. 82−94. 谷口洋志・朱珉・胡水文(2009)『現代中国の格差問題』同友館 毛豊付・羅剛飛・潘加順(2014)「優質教育資源対杭州学区房価格影響研究」『城市与環境研 究』02,p. 12. 陸学芸(2002)『当代中国社会階級研究報告』社会科学文献出版社 劉英杰(1993)『中国教育大事典(1949-1990)(上)(下)』浙江教育出版社 劉先麗(2007)『低齢寄宿対農村小学生社会化的影响』(修士論文)吉林大学. 李文勝(2008)『中国高等教育入学機会的公平性研究』北京大学出版社 李璧・羅昭遜・楊国珍・喩華春・楊澤紅・詹潔・孟坤邦・盛克強(2003)「寄宿制小学儿童感 覚統結合及行為問題分析」『中国校医』1,pp. 16-18. 【欧文文献】
David Lee Stevenson, and David P.Baker (1992)“Shadow
education and allocation in formal schooling: transition to university in Japan” American Journal of Sociology, Vol.97, No.6, pp. 1637-1657.
【研究資料】 中華人民共和国国家中長期教育改革和発展規划綱要工作小組辦公室「国家中長期教育改革 和発展規划綱要(2010-2020 年)」中華人民共和国教育部ホームページ,2010 年(最終閲覧 日:2020 年 6 月 30 日) http://old.moe.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/moe/info_list/201407/xxgk_1 71904.html 中華人民共和国教育部「中共中央関于教育体制改革的決定」中華人民共和国教育部ホームペ ージ,1985 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://old.moe.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/moe/moe_177/200407/2482.htm l 中華人民共和国教育部「面向 21 世紀教育振興行動計划」中華人民共和国教育部ホームペー ジ,1998 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/jyb_sjzl/moe_177/tnull_2487.html 中華人民共和国教育部「2003-2007 年教育振興行動計划」中華人民共和国教育部ホームペー
ジ,2004 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://old.moe.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/moe/moe_177/200407/2488.htm l 中華人民共和国教育部「教育部辦公庁関于開展義務教育階段学校“減負万里行”活動的通知」 中華人民共和国教育部ホームページ,2013 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A06/s3321/201303/t20130320_149943.html 中華人民共和国教育部「教育部等九部門関于印発《厳禁中小学校和在職中小学教師有償補課 的規定》的通知」中華人民共和国教育部ホームページ,2015 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A10/s7002/201507/t20150706_192618.html 中華人民共和国教育部「教育部等九部門関于印発中小学生減負措施的通知」中華人民共和国 教育部ホームページ,2018 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A06/s3321/201812/t20181229_365360.html 中華人民共和国教育部辦公庁・民政部辦公庁・人力資源社会保障部辦公庁・工商総局辦公庁 「教育部辦公庁等四部門関于切実減軽中小学生課外負担開展校外培訓机构専項治理行動的 通知」中華人民共和国教育部ホームページ,2018 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A06/s3321/201802/t20180226_327752.html 中華人民共和国教育部辦公庁・国家市場監管総局辦公庁・応急管理部辦公庁「教育部辦公庁 国家市場監管総局辦公庁 応急管理部辦公庁関于健全校外培訓机构専項治理整改若干工作 机制的通知」中華人民共和国教育部ホームページ,2018 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A06/s3325/201811/t20181126_361476.html 中華人民共和国教育部「校外培訓機構学科类培訓備案審核操作指南」海南省教育庁ホームペ ージ,2018 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://edu.hainan.gov.cn/attachment/cmsfile/edu/24895/201812/daofile/30247P02018 1214380340308881.pdf 中華人民共和国教育部「2011 年全国教育事業発展統計公報」中華人民共和国教育部ホーム ページ,2012 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A03/s180/moe_633/201208/t20120830_141305.html 中華人民共和国教育部「2012 年全国教育事業発展統計公報」中華人民共和国教育部ホーム ページ,2013 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A03/s180/moe_633/201308/t20130816_155798.html 中華人民共和国教育部「2013 年全国教育事業発展統計公報[1]」中華人民共和国教育部ホー ムページ,2014 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A03/s180/moe_633/201407/t20140704_171144.html 中華人民共和国教育部「2014 年全国教育事業発展統計公報[1]」中華人民共和国教育部ホー ムページ,2015 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日)
http://www.moe.gov.cn/srcsite/A03/s180/moe_633/201508/t20150811_199589.html 中華人民共和国教育部「2015 年全国教育事業発展統計公報[1]」中華人民共和国教育部ホー ムページ,2016 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A03/s180/moe_633/201607/t20160706_270976.html 中華人民共和国教育部「2016 年全国教育事業発展統計公報[1]」中華人民共和国教育部ホー ムページ,2017 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/jyb_sjzl/sjzl_fztjgb/201707/t20170710_309042.html 中華人民共和国教育部「2017 年全国教育事業発展統計公報[1]」中華人民共和国教育部ホー ムページ,2018 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/jyb_sjzl/sjzl_fztjgb/201807/t20180719_343508.html 中華人民共和国教育部「2018 年全国教育事業発展統計公報[1]」中華人民共和国教育部ホー ムページ,2019 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/jyb_sjzl/sjzl_fztjgb/201907/t20190724_392041.html 中華人民共和国教育部・国家統計局・財政部「全国教育経費執行情況統計公告」中華人民共 和国教育部ホームページ, 2012-2017 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/jyb_xxgk/zdgk_sxml/sxml_zwgk/zwgk_jytj/jytj_jftjgg/ 中華人民共和国教育部「教育部辦公庁関于開展校外培訓機構専項治理“回頭看”活動的通知」 中華人民共和国教育部ホームページ,2019 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/srcsite/A06/s3325/201906/t20190603_384274.html 中華人民共和国国家教育委員会「国家教育委員会関于在普及初中的地方改革初中招生辦法 的通知」正保法律教育網,1986 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.chinalawedu.com/falvfagui/fg22598/19722.shtml 中華人民共和国国家教育委員会「关于減軽義務教育階段学生過重課負担、全面提高教育質量 的指示」正保法律教育網,1993 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.chinalawedu.com/falvfagui/fg22598/34545.shtml 中華人民共和国国家教育委員会「国家教委关于全面貫徹教育方針、減軽中小学生過重課業負 担的意見」正保法律教育網,1994 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.gov.cn/zhengce/content/201808/22/content_5315668.html 中華人民共和国国家教育委員会「国家教委関于進一步推動和完善初中入学辦法改革的通知」 正保法律教育網,1995 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.chinalawedu.com/falvfagui/fg22598/21565.shtml 中華人民共和国全国人民代表大会「中華人民共和国戸口登記条例」中国人大網,1958 年(最 終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.npc.gov.cn/wxzl/gongbao/2000-12/10/content_5004332.htm 中国教育在線「2019 年北京高考報名人数 5.9 万,考生上 211 院校難不難」中国教育在線ホ ームページ,2019 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日)
https://gaokao.eol.cn/gaokao/gkyc/201906/t20190610_1663091.shtml 中国教育在線「2018 年河南高考報名人数 98.38 万人」中国教育在線ホームページ,2018 年 (最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) https://gaokao.eol.cn/he_nan/dongtai/201805/t20180531_1604117.shtml 中国共産党中央委員会・国務院「中国教育改革和発展綱要」中華人民共和国教育部ホームペ ージ,1993 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://old.moe.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/moe/moe_177/200407/2484.htm l 中国共産党中央委員会・国務院「中共中央国務院关于深化教育改革、全面推進素質教育的决 定」中華人民共和国教育部ホームページ,1999 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://old.moe.gov.cn/publicfiles/business/htmlfiles/moe/s6986/200407/2478.html 中華人民共和国国務院辦公庁「国務院辦公庁関于規範校外培訓機構発展的意見」中華人民共 和国教育部ホームページ,2018 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/jyb_xxgk/moe_1777/moe_1778/201808/t20180822_345833.html 中華人民共和国財政部国家財務総局「関于調整个人住房転讓営業税政策的通知」中華人民共 和国中央人民政府ホームページ,2009 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.gov.cn/zwgk/2009-12/23/content_1494506.htm 中華人民共和国全国人民代表大会「中華人民共和国義務教育法」中華人民共和国教育部ホー ムページ,1986 年(2006 年改正)(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.moe.gov.cn/s78/A02/zfs__left/s5911/moe_619/201001/t20100129_15687.htm l 中華人民共和国国家統計局『中国統計年鑑 2019』国家統計局ホームページ,2019 年(最終閲 覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/2019/indexch.htm 文部科学省「中国の学校系統図」文部科学省ホームページ(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shougai/015/siryo/attach/1374966.htm 人民日報「2018 年河南高考“一分一段表”出炉,12 万人過一本線」人民日報社 (最終閲覧 日:2020 年 6 月 30 日) https://baijiahao.baidu.com/s?id=1604204689733322002&wfr=spider&for=pc 北京市教育考試院「2017 年中招計划説明」北京市教育考試院ホームページ,2017 年(最終閲 覧日:2020 年 6 月 30 日) https://www.bjeea.cn/html/2017wszx/jhcx/2017/0608/66501.html 北京市教育考試院「北京市 2020 年普通高等学校招生報名通知」北京市教育考試院ホームペ ージ,2019 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) https://www.bjeea.cn/html/gkgz/tzgg/2019/1015/75042.html 北京教育考試院「2020 年進城務工人員随遷子女在京参加高等職業学校招生実施辦法」北京
市人民政府ホームページ,2019 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.beijing.gov.cn/zhengce/zhengcefagui/201910/t20191016_415486.html 北京市統計局国家統計局北京調査総隊「2018 年全市常住人口発展変化情况」北京市統計局 国家統計局北京調査総隊ホームページ,2019 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://tjj.beijing.gov.cn/zt/rkjd/sdjd/201907/t20190709_143423.html 北京市人力資源和社会保障局「北京市人力資源和社会保障局関于印発《北京市人才引進公开 招聘管理辦法(試行)》的通知」北京市人民政府ホームページ,2018 年(最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.beijing.gov.cn/zhengce/zhengcefagui/201905/t20190522_60895.html 北京市人民政府「北京市外地来京人員戸籍管理規定」北京市人民政府ホームページ,1995 年 (最終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) http://www.beijing.gov.cn/zhengce/gfxwj/201905/t20190522_56362.html 持田聖子「幼児期の家庭教育国際調査」ベネッセ教育総合研究所ホームページ,2018 年(最 終閲覧日:2020 年 6 月 30 日) https://berd.benesse.jp/up_images/research/YOJI_seikatsu2018_28P_5th_web_all.pdf