産学連携の仲介組織:TLOの技術移転戦略に関する一考察
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(2) 4. 調査から見たTLOの特徴と問題点 このように組織整備が名実伴に進んでいる日本型 TLO であるが、ミクロレベルで観察するとどのよう な状況が浮かび上がってくるのだろうか。以下では代表的な承認 TLO を対象に筆者が行ったヒアリング 調査結果をもとに、TLO の技術移転戦略について紙面の制限で概要をまとめる。 表 1. 実施許諾件数から見た承認 TLO の実績推移 (上位 10 TLO) 承認 TLO 名. 2001 年 9 月. 2002 年 3 月. 2002 年 9 月. 2003 年 3 月. 2003 年 9 月. 2003 年 12 月. (株)CASTI(東大 TLO)* 22 (15.5%). 45 (15.1%). 88 (25.9%). 111 (27.4%). 151(34.6%). 169(36.5%). (株)東北テクノアーチ*. 44 (69.8%). 58 (70.7%). 70 (70.7%). 94 (74.0%). 107(77.5%). 113(77.9%). (学) 慶應義塾大学 TLO*. 16 (10.5%). 34 (14.7%). 41 (16.3%). 57 (18.0%). 75 (18.7%). 82 (19.2%). (財) 理工学振興会*. 27 (17.8%). 34 (16.0%). 44 (16.5%). 52 (16.8%). 73 (19.1%). 74 (17.8%). (学) 日本大学 TLO. 16 (10.9%). 29 (12.7%). 40 (13.2%). 48 (12.2%). 60 (12.7%). 73 (14.8%). (株)関西 TLO*. 25 (14.5%). 33 (16.0%). 43 (17.6%). 55 (19.3%). 65 (20.8%). 68 (20.2%). 多摩 TLO(株)*. 1 (4.8%). 5 (10.4%). 5 (6.9%). 31 (30.7%). 35 (29.4%). 48 (36.6%). (学) 早稲田大学 TLO. 10 (10.9%). 20 (16.1%). 28 (17.5%). 38 (18.8%). 45 (15.6%). 46 (14.6%). (財)新産業創造研究機構. 8 (21.6%). 14 (22.6%). 21 (26.6%). 31 (32.3%). 37 (33.3%). 43 (35.8%). (財)名古屋産業科学研究所. 4 (6.9%). 11 (14.5%). 22 (20.2%). 29 (21.6%). 35 (22.0%). 38 (22.9%). 全 TLO 合計(平均移転率) 1306 (17.1%) 2043 (17.4%). 2625 (19.6%) 3378 (20.8%) 4088 (22.5%) 4425 (23.5%). 注:1)括弧の値は技術移転比率(=実施許諾件数/特許出願件数). 2)*はヒアリング調査実施した TLO. 出所: 経済産業省・TLO 協議会調べより筆者が作成. CASTI ①大手企業リクルート社と提携し,二人三脚でマーケティング活動の展開,②リクルート社と の「CRミーティング」による技術評価,③民間企業で豊富な経験を持つ若い人材の大胆採用,④技術移 転実績が最も顕著で,特許出願件数と実施許諾件数が共に第1位。 東北テクノアーチ ①第三者組織による技術評価,②技術移転に特化したマーケティング戦略を重視し移 転率が最も高い,③技術移転担当者が積み重ねてきたネットワークの活用,④中小企業への会費低減。 慶應義塾大学TLO ①技術移転とベンチャー支援の合体組織,②スライド方式によるロイヤリティ収入の. 配分で,研究者へのインセンティブを最も重視,③非会員制,④知的資産に関する教育・研究を重視。 理工学振興会 ①技術移転とリエゾン機能の合体組織,②大学発ベンチャーの設立に積極的関与,③研究. の御用聞きとしてのコーディネーターの役割が目立つ,④非会員向けのセミナーの効果が顕著。 北海道TLO ①技術シーズを道内企業中心に販売する地域型組織,②道内経済界から多くの人材支援,③ 技術移転に特化したマーケティング戦略を重視し道内の他組織との連携により移転実績が急成長。 多摩TLO(株) ①企業のニーズから始まるユーザー型組織,②取り扱う発明は製品化できるものに限定, ③特定の大学のためのTLOではない,④個別訪問型マーケティング戦略をより重視。. 5. まとめ TLO 法をはじめ一連の法制度の実施により、政策・実績の両面で日本の産学間の技術移転に極めて大 きなインパクトを与えている。調査から見た日本型 TLO の活動は、①組織形態の多様化、②経営面では, 特許出願費用等の工面で苦労しながらも,自由度とアクティビティの高い TLO は多い、③マーケティン グ活動を戦略的に重視し各 TLO は自分の特色と実情に見合ったアプローチを確立し活動を進めている、 ④比較的老舗の研究型大学を持つ TLO ほど技術移転比率は高い、などの特徴が挙げられる。一方、財務 基盤の不安定、人材不足、TLO 協議会への期待など多くの問題も抱えている。今後の戦略として、リニ ア・モデルからノンリニアモデルへの転換、多様な技術移転形態の展開、技術ライセンスからインキュ ベーション機能まで拡大していくことが極めて重要となる。日本型 TLO が産学間の技術移転に牽引役を 果たせるかどうかは、中小企業・ベンチャー企業や内外の独立資本を視野に入れ、大学発ベンチャーの 創出に必要な経営支援までができるかどうかに関わっていると言ってもいいだろう。 産学連携学会第2回大会講演予稿集(2004). −54−.
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