アメリカ獣医内科学学会(ACVIM)合意声明 -犬と猫における全身性高血圧の同定、評価および管理のガイドライン
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(2) 血圧上昇の悪影響と介入の利点が確認されており、場. る手技の標準化がいかに重要であるかが浮き彫りに. 合によっては間接測定装置も臨床的に有用な情報をも. なってくる。他の要因も「正常」血圧と見なされる値. 13, 14. たらすことが示されているからである。. したがって、. に影響を及ぼす。ヒトでは加齢に伴う収縮期血圧と脈. 本専門家委員会は、装置が市販された場合には、意識. 圧の上昇の解析評価は十分になされている。19 犬と猫. 下の猫と犬において設定されている妥当性確認基準に. においては年齢の影響はそれほど明らかではない。犬. 適合したもののみを用いることを推奨する。. では加齢に伴い、血圧がわずかながら 1 ~ 3 mmHg/. 血圧測定において信頼できる結果を得るには、標準. 年ずつ上昇することが認められているが、20, 21 このよ. 的プロトコールに従うことが大切である(表 1) 。検. うな加齢の影響がどの研究でも例外なく観察されてい. 査者は、動物と機器の取扱いに熟練熟達する。各種の. るというわけではない。22, 23 猫の不均一集団において. 研究で、操作者の経験が血圧測定に大きな影響を与え. 加齢に伴う血圧上昇が研究で観察されているが、24 健. る場合があることが示されている。1, 15 最も熟練した. 康な猫を対象とした別の 2 研究では年齢の影響は観察. 操作者は、獣医師ではなく、よく訓練を積んだ技師で. されていない。4, 25 一見健康な猫で行われたさらに別. あることがしばしばである。不安/興奮によって誘発. の研究では、1.5 mmHg / 年の平均血圧の微増が認め. される高血圧が認められることがある. 16, 17. が、これは、. られている。26 さらに最近、もっと規模の大きな研究. 他の処置を行う前に、他の動物がいない静かな場所で. で、9 歳を超えている猫で血圧測定を繰り返し行って. 患者を 5 ~ 10 分間周囲環境に馴致した後に血圧測定を. 経時的な血圧の上昇が確認されているが、高血圧発症. 行うことによって最小限に抑えられる。可能な限り、. リスクは、一見健康な猫のほうが高窒素血症性慢性腎. 飼い主の立ち会いのもと、保定時間を最小限に留める。. 臓病(CKD)の猫よりも低い。27 大規模な横断的研究. 正確な測定値を得るには、適正サイズのカフを選ぶこ. においても、一見健康な猫で加齢に伴う血圧上昇が確. とが肝要である。1 獣医専用オシロメータには特別設. 認されている 28 が、この研究では併発疾患による猫の. 計のカフを備えているものがあるが、そういった装置. スクリーニングは行われていない。. を常に使用する。ドプラ超音波測定装置や多くのオシ. 犬で行われた研究 20 で、血圧に対する性別の影響が. ロメータ装置を用いる場合は、カフ幅がカフ装着肢の. 確認されている。不妊手術を受けた犬と比べた場合、. 周囲長の 30%~ 40%のものであること。最初の測定. 去勢されていない雄犬は血圧が高く、不妊手術を受け. 値は破棄し、5 ~ 7 回連続で一貫してとれた間接的測. ていない雌犬は血圧が低かった。いずれの場合も群間. 定値の平均をとる。ばらつきが大きい場合、測定値は. 差は 10 mmHg 未満であった。別の研究では性別と高. 破棄し、同じプロセスを繰り返す。患者によっては、. 血圧・低血圧の間に関連はまったく認められていな. 測定プロセスが進むにつれて血圧が低下する傾向を示. い。29, 30 獣医が評価したほとんどの猫は不妊処置を受. すことがある。そのような場合は、プラトーに達する. けており、猫では性別の影響が明白でない研究がほと. まで測定を続け、一貫した値が連続して 5 ~ 7 回とれ. んどである。24, 26 雄猫は雌猫より血圧が高く、不妊処. るまで記録を続ける。逆に、患者によっては、収縮期. 置を受けた猫は処置を受けていない猫よりも血圧が高. 血圧(SBP)を測定すると値が漸増する場合もある。. いが、差はごくわずかである。28. これが起こった場合、結果は個々の患者の臨床的な状. 犬の血圧には犬種差があり、特にハウンド種(グレ. 況に応じて解釈する。動物の体位と態度、カフのサイ. イハウンド、ディアハウンドなど)で顕著で、雑種. ズと部位、カフ装着部位の円周(cm) 、検査者名を綿. 犬に比べて血圧が 10 ~ 20 mmHg 高い。20, 29, 31, 32 他の. 密に記録し、以後の血圧測定時に利用する。音に過敏. 犬種の血圧には 7 ~ 10 mmHg のばらつきがあるが 20, 33. な患者もいるが、一般に検査者が患者にヘッドフォン. これはおそらく気質に基づいている。34–36 本専門家委. を装着しても血圧測定値が下がることはない。18. 員会の認識では、犬種別に血圧の範囲を定める必要性 がある。猫では血圧に対する猫種の影響は観察されて. 3 犬と猫の正常血圧値. いない。24, 28 肥満はいくつかの種において血圧上昇を伴ってい. 犬と猫の正常血圧値は様々な研究で報告がなされて. る。37 ~ 42 肥満の影響は犬を使った実験によって研究さ. いる(表 2) 。そのような報告値にはばらつきがあるが、. れている。37, 43 肥満犬で血圧のわずかな上昇(5 mmHg. それは被験者集団、測定技術、動物の取扱い方法の違. 未満)がオシロメトリー 20 によって認められているが、. いの現れである。このばらつきから、獣医診療におけ. ドプラ血圧計では認められていない。22 犬の肥満と高. 51.
(3) 血圧の関係は、基礎疾患有病率に関係していることが. るのかどうかは疑わしいが、正常血圧の患者よりも白. ある。30 猫においては、肥満が血圧に及ぼす影響はオ. 衣高血圧の患者のほうが長期的な心血管リスクが大き. 24. シロメトリーでは観察されていないが、 低体重の猫は、. いことを示唆する証拠が若干ある 49, 50 今のところ、犬. 理想体重の猫や肥満の猫に比べてドプラ血圧計による. や猫の状況高血圧を治療することの妥当性を示す根拠. 測定値がわずかに低い。28 最近の各種の研究で犬や猫. はない。もっと重要なことは、不安や興奮が誘発する. のボディコンディションスコア、体重、収縮期血圧測. 血圧上昇は、真の病理的な全身性高血圧の誤診につな. 定値の間に相互関連性はないことが示唆されているが、. がるおそれがあるということである。22, 51. 猫では、マッスルコンディションスコアとサルコペニ. 残念ながら、不安が高血圧に及ぼす影響は予測不能. アが橈骨動脈血圧測定に影響するが尾動脈血圧測定に. で、著しく血圧が上がる動物もいれば、そうでない動. は影響しないことが報告されている。44, 45. 物もいる。血圧測定の過程で血圧が下がる動物すらい. 健康な動物の血圧測定結果は、品種、気質、患者の 体位、測定方法、検査者の経験、患者内変動性によっ て大きくばらつく. 15, 17, 29, 46, 47. る。16 ヒトの患者では「白衣」高血圧や「仮面高血圧」 という現象があることが認識されているため、従来の. ので、どの犬や猫にもあ. 院内血圧測定を補完するものとして外来または在宅で. てはまるであろう単一の値と範囲を定めることは難し. の血圧評価が奨励されている( 「仮面高血圧」は、診. い。さまざまな測定手法を用いて健康な犬と猫につい. 察室内の血圧測定では正常値であるが、病院以外の環. ての行われた多数の研究で得られた期待値の範囲を表. 境で高血圧である患者に対して用いられる) 。52, 53 獣. 2 に示す。血圧測定値が正規分布すると予想される無. 医学の対象動物種において仮面高血圧が重要であるか. 病患者集団では、期待される正常値を平均値± SD と. どうかは不明であり、獣医学分野では血圧モニタリン. して示したが、高血圧患者では、少数の非常に高い測. グの使用については体系的な評価は行われていない。. 定値を示す患者がおり、血圧測定値の頻度分布は歪む 傾向がある。48 このため、本専門家委員会は、正規分 布でない母集団で今後の行われる研究からのデータは 中央値と四分位範囲で表すことを推奨する。. 4.2 二次性高血圧 二次性高血圧は、高血圧の原因として既知の疾患や 状態に伴う持続的で病的な血圧上昇(表 3)か、血圧 上昇を引き起こすことがわかっている治療薬の投与や. 4 高血圧の定義. 毒性物質の摂取に伴う高血圧である(表 4)。高血圧 は原発症状の治療が有効であっても持続することが. 全身性高血圧という用語は、持続的な収縮期血圧の. あり、54-56 また血圧は治療開始後に上昇することもあ. 上昇をさすのに用いられ、一般に 3 つのタイプに分類. る。57 二次性高血圧を引き起こすことがわかっている. できる。全身性高血圧は、環境ストレス要因や状況ス. 症状がある場合は、治療的介入により効果的に解消し. トレス要因のために生じる場合や、血圧の上昇を招く. たとしても一連の追跡評価を促す。. 他の疾患プロセスに伴って生じる場合(すなわち二次 性高血圧)もある。また、他の潜在的な原因となる疾 患プロセスがない中で生じることもある(すなわち特 発性高血圧) 。従って、以下の定義と基準を提案する。 4.1 状況高血圧. 4.3 特発性高血圧 「原発性」高血圧または「本態性」高血圧という用語は、 ヒトでは、特定できる根本原因がない病的な持続高血 圧を説明する場合によく用いられ、遺伝的要因や生活 様式、環境要因を含む複雑な多因子障害を表す。犬で. 正常血圧の動物において院内での測定プロセスの結. は本態性高血圧が報告されている。58–62 高血圧のヒト. 果として起こる血圧の上昇を状況高血圧という。状況. や動物には無症候性腎疾患がある場合が多いため、原. 高血圧は、興奮や不安が中枢神経系の高次機能中枢に. 発性高血圧または本態性高血圧の正当な確定診断を行. 影響を及ぼした結果、自律神経系が変化することによっ. うことは難しい。さらに、慢性的な血圧上昇状態であ. て起こる。この種の高血圧は、生理的刺激を低減・除. ることは、血圧調節に関与する神経体液系と腎系のど. 去する条件(測定条件を変更して動物の不安を減らす、. ちらかが、両方に異常があることを示唆する。したがっ. 動物が飼われている家庭環境で血圧を測定するなど). て、二次性高血圧の既知の原因である顕性疾患が臨床. 下で解消する。ヒトでは、いわゆる「白衣高血圧」が. 上明らかに認められない状態で高血圧が起こる動物に. 実際に、その後高血圧性障害を発症する危険因子であ. ついては、 「本態性」ではなく「特発性」という用語. 52.
(4) くとも高血圧が重度の場合、タンパク尿の重症度が低. の使用が推奨される。 信頼性の高い血圧測定によって持続的な血圧上昇が. 下する。13, 72–74 少なくとも犬と猫において証明されて. 認められるものの、完全血球計算検査、血清生化学検査、. いないことは、この降圧薬治療によるタンパク尿の軽. 尿検査の結果が正常である場合は、特発性高血圧の診. 減が腎障害を緩和するのかどうか、あるいは単に糸球. 断を疑う。残念ながら、血圧上昇は多尿症(いわゆる. 体濾過率(GFR)低下率(通常は血清クレアチニン. 血圧利尿)を誘発することがあるため、高血圧患者の. 濃度を測定して評価する)や腎関連死亡率などの腎転. 尿比重値が低くても(<1.030) 、腎疾患であるという. 帰の改善の代理指標であるのかどうかということであ. 証拠にはならない。一方、濃縮尿(> 1.030)であれば、. る。13, 72 治療利益は未証明であるが、高血圧誘発性ま. 腎臓病である可能性は低くなる。特発性高血圧の動物. たは高血圧増悪性のタンパク尿はやはり獣医患者の関. には無症候性腎疾患や二次性高血圧を引き起こすこと. 心を引きつける治療標的となっている。. が知られている他の状態が存在している可能性がある. 数件の疫学的研究で、自然発症疾患の猫で高血圧と. ため、 高血圧動物で完全血球計算検査、 血清生化学検査、. タンパク尿(一部の研究では特にアルブミン尿)が関. 尿検査のほかに、診断検査の実施を検討することが推. 連付けられている。70, 72, 74 また、実験による猫の誘発. 奨される。臨床所見にもよるが、こういった検査として、. 腎疾患研究でアルブミン尿と血圧上昇が関連付けられ. 腎超音波検査(犬、猫) 、血清対称性ジメチルアルギ. ている。75 最近行われた猫の研究で、降圧治療を行っ. ニン濃度検査(犬、猫) 、糸球体濾過率測定(犬、猫) 、. た場合でも、時間平均収縮期血圧値が高いほど、患者. タンパク尿(犬、猫) 、血清チロキシンホルモン濃度(猫) 、. の死亡後に確認された糸球体硬化症・過形成性動脈硬. 血清コルチゾール濃度(犬)の定量的評価が挙げられ. 化症病変との関連性も高いことが判明している。71 た. る。このほかに患者ごとに個別に検討する検査として. だし、2 度目に行われた小規模研究ではこの影響は再. は、血清および尿中のアルドステロンおよびカテコー. 現していない。76. ルアミンの濃度、副腎超音波検査がある。. 高窒素血症性慢性腎臓病の犬では、血圧の高さとタ. 犬と猫では二次性高血圧が最も一般的であるが、特. ンパク尿が関連付けられており、さらにこのことは生. 発性高血圧はこれまで認識されていた以上に多く、猫. 存期間の短縮と関連付けられている。14, 77 高血圧は慢. の症例の約 13 ~ 20%を占める。13, 63, 64 ある報告では. 性腎不全動物の生存期間の短縮とも関連していたが、. 高ナトリウム血症も甲状腺機能亢進症もない猫の約. タンパク尿が分析から除外された場合にのみ関連があっ. 65. 12%がベースラインで高血圧である ほか、最近の研. た。14 犬における実験による研究において、タンパク. 究で、9 歳以上の一見健康な、最初は血圧が正常な猫. 尿は血圧上昇度と糸球体濾過率(GFR)の低下率に直. 133 匹の 7%が研究の追跡期間中に特発性高血圧を発. 接関係していた。78 リーシュマニア症の犬は、窒素血. 症している。27. 症でない場合でも、タンパク尿および全身性高血圧で あることがよくあるが、この状況ではタンパク尿は高. 5 標的臓器障害(TOD) 全身性高血圧が問題となるのはもっぱら、慢性的な. 血圧の結果生じるのではなくて、主に免疫介在性糸球 体病変に関連すると考えられている。68, 79 高血圧のグ レイハウンドは、微小アルブミン尿症の有病率が高い. 血圧上昇が続くと組織損傷を招くからである。高血圧. が、腎損傷の組織学的証拠がある犬はほとんどいない。. 治療を行う根拠は、この障害の予防である。持続性高. 29. 血圧の存在によって生じる損傷は一般に、末端臓器障. あり、血清クレアチニン濃度は高血圧と直接関連して. 害または TOD と呼ばれ(表 5) 、その存在は通常まず. いない。4, 80 高血圧の猫と犬が高窒素血症であることは、. 間違いなく降圧治療の適応である。. ほとんどないか全くないことが多い。81. 高血圧は、実験による研究と自然発生疾患の両方で. どの段階の慢性腎臓病にも高血圧は存在することが. 多くの高血圧症猫で眼病変が観察される。眼損傷の. タンパク尿と組織学的腎障害に関連しており、この高. 有病率はさまざまであるが、眼病変の頻度は 100%と. 血圧の影響は、ヒト、66, 67 犬、14, 68, 69 猫 70, 71 を含むいく. 高いことが報告されている。60, 63, 64, 82-89 高血圧犬でも眼. つかの種で確認されている。したがってタンパク尿. 病変はよく認められる。14, 59, 60, 90, 91 この症候群 91 は一般. は、慢性腎臓病(CKD)や高血圧を含む無数の病態. に高血圧性網膜症および脈絡膜症と呼ばれ、犬 14, 59, 60, 92. において腎疾患の進行を加速させ全死因死亡率の上昇. と猫 63, 64, 84, 85, 93–96 で頻繁に報告されている。滲出性網膜. に関連している。70, 72 降圧治療を行うと一般に、少な. 剥離は最もよく観察される所見である。その他の病変. 53.
(5) としては網膜出血、多巣性網膜浮腫、網膜血管蛇行、. 病率を下げられる。114 心不全やその他重篤な合併症. 網膜血管性浮腫、乳頭浮腫、硝子体出血、前房出血、. が稀ではあるが発生することもある。63, 94, 115. 続発性緑内障、網膜変性がある。92 両側性滲出性の完. 診断歴のない高血圧の猫は、輸液療法後にうっ血性. 全網膜剥離による失明の急性発症は、両方の種におい. 心不全の徴候を不意に示すことがある。さらに、高血. て主訴であることがある。60, 93, 94 効果的な降圧治療を. 圧症の人でしばしば起こるように、116 他の原因(慢性. 行えば網膜が再付着に至る可能性はあるが、視力の回. 腎臓病など)による二次性高血圧症の猫は心血管合併. 87. 63. 復 は一般に少数の患者でしか起こらず、 高血圧治 92. 症で死亡することがある。64 高血圧誘発性血管異常の. 療が成功しても眼の異常は解消しないであろう。 高. ために起こる鼻出血は全身性高血圧に関連付けられて. 血圧性の眼異常は、収縮期血圧が 168 mmHg と低い患. いるが、犬猫どちらの種でも高血圧が鼻出血の主因と. 86. 者で報告されており、 収縮期血圧が 180 mmHg を超. なることは稀である。117–119 大動脈瘤と大動脈解離は. えると発症リスクがかなり増大する。60, 82, 93, 95. 犬猫両方で報告される高血圧の稀で重篤な合併症であ. 高血圧性脳症 97 は犬 14 と猫 63, 94, 98 で報告されており、 ヒトでも発生し、白質浮腫および血管病変を特徴と. り、通常、その診断を下すには、これらを疑うための 高度な指標と高度な画像診断が必要である。115, 120, 121. する状態として詳述されている。99, 100 高血圧の猫の 29% 63 と 46% 94 で神経学的徴候が報告されている。高 血圧性脳症は、ヒトでも腎移植後に発症し、101 この 状態の猫おいて、これ以外には説明のつかない死因の 一つである。98, 102, 103 この症候群は初期段階では降圧 75, 98. 治療に応答する。. 血圧の急上昇があるか、収縮期. 血圧が 180 mmHg を超えるか、その両方である猫では、 75. 6 高血圧スクリーニング患者の有病率と 選択方法 全身性高血圧が懸念される患者の血圧評価の明らか な適応はふたつある。ひとつは、高血圧性標的臓器障 害と一致する臨床的異常のある患者の場合、血圧測. 高血圧性脳症が生じることがある。 臨床で観察され. 定を行う(表 5)。特に、全身性高血圧を伴っていて、. ている徴候は頭蓋内疾患で典型的なものであり、元気. ほかに説明のつかない臨床所見がある場合は、診断時. 消失、発作、性格の急な変化、行動の変化、見当識障害、. に血圧測定を行う。該当する臨床所見として、高血圧. 平衡障害(前庭徴候、頭位傾斜、眼振など) 、脳卒中. 性脈絡膜症または網膜症の徴候、前房出血、頭蓋内神. 関連虚血に起因する局所神経学的異常がある。ヒト. 経学的徴候(発作、精神状態の変化、局所神経障害な. 104. 出血や梗塞な. ど) 、腎異常(タンパク尿、微量アルブミン尿、高窒. どのその他の中枢神経系の異常も犬と猫において観察. 素血症など) 、心血管異常(左心室肥大、奔馬音、不. において慢性高血圧に関連している 105. 最近の研究に、神経学的徴候のある罹患. 整脈、収縮期雑音、鼻出血など)がある。このような. 猫と犬において脳の後頭葉・頭頂葉の血管新生浮腫と. 臨床所見がない場合は、全身性高血圧と診断し状況高. 一致する磁気共鳴画像病変についての記載がある。106. 血圧という誤診をしないためには、疑う根拠となる指. 高血圧は、頭頸部脊髄の虚血性脊髄症の危険因子であ. 標が高いまま維持されていなければならない。全身性. るようであり、高齢の猫で、痛覚異常を伴わない歩行. 高血圧に関連する臨床徴候は、飼い主や獣医には歴然. される。. 107. と思われても、わかりにくくて加齢やまだ診断されて. 四肢麻痺または四肢麻痺を引き起こす。. 心臓の異常は高血圧の猫 63, 64, 82 と犬 108 に多い。影響. いないかもしれない基礎症状によるものであるかもし. を受けている場合は心臓が標的臓器であり、動物では. れない。ヒトでは高血圧の初期徴候は自覚され、朝の. 心拍出量の増大が高血圧の原因であることは稀であ. 頭痛、顔面紅潮、不安感などがある。犬や猫ではその. る。63 犬 59, 108 と猫 63, 64, 82 の内診時の異常に収縮期雑音. ような臨床徴候は認識が難しいであろう。猫では、不. および / または奔馬音が含まれることがある。犬と猫. 活発、元気消失、光恐怖症、食欲の変化(増進・減退). において高血圧性心筋症に伴う心臓の変化の中で最. など、一部の非特異的な臨床徴候が実験環境における. も多いのは、左心室同心性肥大を伴う心肥大である. 高血圧に関連付けられている(S.A. Brown、未発表. 109, 110. の所見、2004 年)。. が、心エコー所見はさまざまであり、猫特発性. 肥大型心筋症に関連する心肥大であることを識別でき 63, 93, 94, 110–113. ない場合もある。. 左心室同心性肥大は生存. 二次性高血圧の原因疾患・状態の存在(表 3) 、血 圧に対する影響が既知の薬剤による治療、血圧を上昇. 期間短縮の危険因子ではないかもしれないが、 効果. させる可能性があることが既知であるか疑わしい中毒. 的な降圧治療を行うと罹患猫の左心室同心性肥大の有. 物質への暴露(表 4)は、血圧測定の二つ目の適応で. 82. 54.
(6) ある。標的臓器障害を評価するためには、リスク集団. 結果をふまえて行う(図 1)。標的臓器障害(網膜症. で眼底検査、心聴診、タンパク尿を含む腎機能評価、. や慢性腎臓病など)がある場合は血圧測定を 1 回行っ. 神経学的検査などの徹底した検診も実施する。猫と犬. た後に治療を開始してかまわないが、通常は数回(3. の場合、加齢と全身性高血圧有病率の相関関係は、ヒ. 回以上)繰り返し測定を行って結果を確認する。前高. トの場合ほど明白ではないが、健康で血圧が正常な高. 血圧(140 ~ 159 mmHg)の場合や標的臓器障害リス. 齢の猫に関する最近のデータは、100 日あたり 0.4 ± 0.1. クが中等度の高血圧(160 ~ 179 mmHg)の場合は 4. mmHg の血圧の上昇が予想されることを示唆してい. ~ 8 週間でもう一度血圧測定を行う。しかしながら、. 122. る。. 二次性高血圧は成猫から高齢の猫(慢性腎臓. それより重度の高血圧(180 mmHg 以上)の場合は標. 病や甲状腺機能亢進症の猫など)と犬(副腎皮質機能. 的臓器障害リスクがあるため、再測定は 1-2 週間後に. 亢進症の犬など)で観察される頻度が増えることから、. 行う。血圧上昇が続き、測定誤差や状況高血圧による. これらの病状に関するスクリーニングを高齢の動物に. ものではないと判断されたら、二次性高血圧に関連す. おいて行うことは賢明であろう。. る状態の探索を始める(表 3)。. 犬と猫の高血圧有病率は不明である。一見健康な犬 123. の調査では、400 匹の犬の 0.5%、 124. の 0.9%、. 125. 215 匹の犬の 2%、. 1000 匹の若い犬. 犬と猫の両種とも、高血圧は標的臓器障害リスクに 基づいて次のように分類される。. 22. 102 匹の犬の 10%、. 健康なシェトランドシープドッグの 13% 126 で高血圧 が特定されている。他の調査では、犬が高血圧を発症 20, 80, 127. しにくいことを示唆する証拠が出ている。. 高血. 圧有病率は猫でも同様であろう。一見健康な猫 104 匹 の研究で、2%が 170 mmHg を超える収縮期血圧を示 している。24 しかしながら、本ガイドラインの別の箇 所で述べたように、獣医学分野で高血圧の確定診断に ついては均一な測定技術がないこと、組入基準がばら. • 正常血圧(標的臓器障害リスクは極めて低い) 収縮期血圧 <140 mmHg • 前高血圧(標的臓器障害リスクは低い) 収縮期血圧 140 ~ 159 mmHg • 高血圧(標的臓器障害リスクは中等度) 収縮期血圧 160 ~ 179 mmHg • 重度の高血圧(標的臓器障害リスクが高い) 収縮期血圧≥ 180 mmHg. ついていること、閾値に一貫性がないことが、有病率 データの解釈を困難にしている。もっとも、高血圧は. 現時点では品種別の基準範囲に関する情報はあまり. 若い健康な犬や猫では稀であるようだ。入手できるデー. ないが、サイトハウンドは入院時血圧が他の犬種より. タからは、一見健康に見える犬と猫の日常的なスクリー. も高いことが知られている。32, 128 この差は、状況高血. ニングがこの母集団の真の高血圧の検出方法として信. 圧によるものであって収縮期血圧の真の差ではないよ. 頼性の高いものであるかどうかは依然として不明であ. うである。17 しかしながら、サイトハウンドについて. る。なぜなら、広範囲のスクリーニングでは誤診リス. は院内収縮期血圧が 180 mmHg を超える犬は標的臓. クが増す可能性が高いからである。したがって、全身. 器障害リスクありとすべきであるという提案がなされ. 性高血圧の存在について犬と猫の定期的な一斉スク. ている。129 本ガイドラインは、品種別情報が入手可. リーニングは推奨されない。二次性高血圧を引き起こ. 能になるに伴い改訂される。. すいくつかの状態(甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能. ヒトでは、高血圧患者の血圧を下げると標的臓器障. 亢進症、慢性腎臓病など)は高齢の動物に多いが、潜. 害リスクは下がる。犬と猫では正確な標的臓器障害発. 在性であることもある。このため、9 歳以上の猫と犬. 症血圧は不明である。しかしながら、高血圧または重. の年次スクリーニングの実施は適切である。高血圧で. 度の高血圧の範疇の血圧値が持続している患者では治. ある以外は健康な動物、特に若い動物の場合の高血圧. 療を開始する。治療目標は、血圧を前高血圧か正常血. は、確定診断測定で数回証明がなされるまでは状況高. 圧の範囲まで下げることである。. 血圧であると考えるとよい。. 7 高血圧の診断. 8 高血圧患者:評価と治療の決定 前高血圧に分類される血圧の患者の場合、通常は降. 高血圧の診断は常に、信頼性の高い血圧測定の実施. 圧薬による治療は行わないが、血圧だけでなく全体. に基づいて行い、猫と犬の治療の決定は収縮期血圧の. の状態をモニタリングする頻度を増やすと良い。腎. 55.
(7) リスク分類がわかっている患者(International Renal. を効果的に管理することで、全症例とはいかなくても、. Interest Society による慢性腎臓病のステージ分類で. 高血圧を完全にあるいは一部解消できる症例があるで. ステージ 2 以上)や全身性高血圧の発症に関連付けら. あろう。4, 14, 55 降圧薬を使用するかどうかは、入手で. れている全身性疾患(甲状腺機能亢進症、副腎皮質機. きる臨床情報をすべて統合した上で決定し、治療の決. 能亢進症など)の患者は、全身性疾患の最適な管理と. 定(事実上、生涯にわたって薬物治療が必要になるこ. 全身性高血圧の発症の検出を行えるよう、6 か月ごと. ともある)には定期的再評価が必須である。. に全身の健康状態と血圧を評価することから恩恵を受 けるであろう。. 高血圧症の治療は患者に合わせて個別化し、併発す る状態を考慮する。治療は 1 日 1 回が理想である。常に、. 高血圧と診断された後、状況高血圧の可能性が排除. 治療回数は少ないほうがよい。持続的に緩やかに降圧. されたら、罹っていそうな基礎疾患や、二次性高血圧. することが治療目標である。急激な降圧は避ける。選. に関連付けられている薬剤の探索を開始する。二次性. 択した降圧薬の効果が部分的にしか得られない場合は. 高血圧が確認された場合は、基礎疾患の治療を直ちに. 通常、増量か別の薬の追加を検討する。ヒトの難治性. 行う。そうすることで全身の血圧が下がり、患者の高. 高血圧の管理では多剤治療(2 剤以上)の実施が必要. 血圧は治療しやすくはなるが、ほとんどのペットは正. になることが多い。同様の状況は犬でもしばしば発生. 常血圧までは下がらず、引き続き標的臓器障害リスク. するが、猫ではやや稀である。最初の薬が処方された. 状態にある。このため、患者の高血圧の治療は基礎疾. ときの降圧薬に対する応答には個体差があること、治. 患がコントロールされるのを待つべきではない。. 療目標の達成まで頻繁にモニタリングすることについ. 家族への教育は非常に重要である。高血圧は、まず. て飼い主と話し合うと治療が行いやすくなることが多い。. 間違いなく無症状であり、標的臓器障害は長い間に徐々. 降圧治療の目標は標的臓器障害の発症確率と重症度. に進み、飼い主は適切な治療と経過観察の重要性を過. の低減である。高血圧は一般に緊急症ではなく、急速. 小評価しがちである。高血圧の管理を行うことで長期. な降圧を強く求めすぎないこと。ヒトにおける研究で、. 的にペットの生活の質を改善できる可能性は高いが、. 降圧治療による標的臓器障害リスクの低下はなだらか. 目に見える利益がすぐに得られる可能性はほとんどな. であり、血圧が低いほど標的臓器障害リスクが低いこ. いということを、飼い主は認識する必要がある。血圧. とが示されている。犬 78 において行われた最近の実験. 測定の結果とともに高血圧の合併症と高血圧管理薬の. による研究の結果は、血圧が腎臓病の進行の持続的リ. 合併症の両方について実用的な知識を飼い主にもって. スクマーカーであり、獣医領域の患者でも同様の治療. もらい、飼い主が治療目標を明確に理解できるように. 方法が適切であるであろうことを示唆している。初期. する。将来的な来診予約も含めて明確な再評価計画を. の血圧値がどうであれ、治療目標は標的臓器障害リス. 必ず飼い主に提示してから診療を終える。. クを最大限下げる(収縮期血圧を 140 mmHg 未満に. 高血圧の発症は緩やかで、以下に概説するように治. する)ことであり、収縮期血圧が 160 mmHg 以上の. 療・制御できる患者がほとんどであるが、血圧が急上. 場合は、収縮期血圧を 160 mmHg 以下に下げること. 昇して高血圧性脈絡膜症、脳症、急速に進行する急性. を最低限達成すべき治療目標であるとして、再評価時. 腎障害を発症する患者も少数いる。このような患者で. に降圧治療の調整を行うべきである(表 6)。血圧が. は、血圧上昇は高血圧緊急症とみなす。このような患. 120 mmHg 未満の場合は、虚弱や失神、頻脈の臨床所. 者の管理に関する推奨事項については、高血圧緊急症. 見があれば全身性低血圧であり、それに応じて治療を. のセクションを参照のこと。. 調整する(図 2)。. 8.1 全般的な治療ガイドライン 犬と猫の高血圧は二次的なものが多いため(症例の. 薬物治療による高血圧管理の最初のステップとして よく推奨されている(図 2)が、塩分摂取制限につい 84, 130, 131 ては議論の余地があり、 入手できるエビデンスは、. 80%以上)、基礎疾患や関連疾患の治療とともに降圧. かなりのナトリウム摂取制限を行なってもそれだけで. 薬治療を開始する。最初の考慮事項(図 2)には、二. は一般に血圧は下がらないことを示唆している。130-132. 次性高血圧の発症因になりそうな病態の特定と管理、. ナトリウム摂取制限はレニン - アンジオテンシン - アル. 標的臓器障害の特定と治療を必ず含める。可能な場合. ドステロン系(RAAS)軸を活性化し 59, 131 血圧に対し. は、これらの考慮事項は病態特異的な標的診断・治療. てさまざまな影響を及ぼす 130, 132 が、このホルモン系. レジメンで対処する。二次性高血圧を引き起こす状態. に干渉する血圧降下薬(アンジオテンシン変換酵素阻. 56.
(8) 害薬[ACEi] 、アンジオテンシン受容体拮抗薬[ARB] 、. ~ 0.5 mg/kg アムロジピン PO q24h など)である。カ. アルドステロン受容体拮抗薬など)の有効性を増強す. ルシウムチャネル拮抗薬は犬の単独療法として使用し. は一般に塩分感. ないこと。なぜなら、カルシウムチャネル拮抗薬は腎. 受性ではないが、高塩分の摂取は、慢性腎臓病の動物. 求心性細動脈を優先的に拡張し、有害な糸球体毛細血. など、一部の状態 136, 137 で有害な転帰を生じることが. 管静水圧上昇に糸球体を曝すおそれがあるためである。. ることがある。健康な猫. 133, 134. と犬. 135. ある。 したがって、高塩化ナトリウム食の摂取を避. アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテンシン. けることが推奨される。ただし、適切な食餌を選択す. II 受容体拮抗薬は腎輸出細動脈を優先的に拡張するた. るには基礎疾患や併発疾患、食味など、その他各患者. め、RAAS 阻害薬とカルシウムチャネル拮抗薬の同時. に固有の要因も考慮する。. 投与によって、糸球体毛細血管静水圧への影響を低く. 84. 抑えられるであろう。. 8.2 犬における高血圧の管理. 降圧療法に効果がない場合には、通常、使用中の薬. 高血圧犬の治療を決定したら、将来標的臓器障害に. の増量か代替薬の追加を決定する。降圧効果がある薬. なる可能性の低減(すなわち収縮期血圧ステージを少. 剤は他にもさまざまなものがあり(表 7) 、そういっ. なくとも 1 段階下げる)という治療目標のもと、主に. た薬剤は、適切であれば、アンジオテンシン変換酵素. 患者の併発症状に基づいて降圧治療を個別に調整する。. 阻害薬やカルシウムチャネル拮抗薬の単剤投与や併用. ほとんどの犬では、高血圧は緊急症ではなく、数週間. では十分にリスクが軽減しない患者に使用できる(図. かけて収縮期血圧を徐々に下げる。特定の疾患症状は、. 2)。利尿薬は高血圧の人に投与されることが多いが、. 種々の疾患特異的な薬剤を用いて対処するのが最善で. 獣医患者にとっては、特に高血圧犬では慢性腎臓病の. ある。そのような薬剤として、褐色細胞腫関連の高血. 有病率が高く、この病態においては利尿薬による脱水. 圧症向けのアルファアドレナリン拮抗薬およびベータ. と体液量の減少が有害な結果をもたらすことを考える. アドレナリン拮抗薬、アルドステロン症に関連する副. と、第一選択薬ではない。しかしながら、体液量の増. 腎腫瘍に起因する高血圧症向けのアルドステロン受容. 加が臨床的に明らかな高血圧動物の下位集団(浮腫が. 体拮抗薬などがある。75, 138-141 また、RAAS 阻害薬とカ. 認められる場合など)においては利尿薬を検討できる。. ルシウムチャネル拮抗薬(CCB)は、犬用として最. 一般に降圧薬と特に RAAS 阻害薬は、投与すると急. 142. も広く推奨されている降圧剤である。. 抗タンパク. に GFR が下がることがある脱水症の犬では慎重に使. 尿作用がある薬剤であることと、高血圧犬は慢性腎臓. 用すること。重度の高血圧と急速に進行する標的臓器. 病の有病率が高いことから、しばしば RAAS 阻害薬. 障害が同時に存在しない限り、脱水状態の患者には慎. が犬の第一選択降圧剤として選択される。慢性腎臓病. 重に水分補給を行い、降圧治療開始前に再評価を行う。. が併発している犬では、臨床上意味のあるタンパク尿 の軽減(すなわち、尿タンパク / クレアチニン[UPC] 比を 50%以上下げる、好ましくは 0.5 未満まで下げる). 8.3 猫における高血圧の管理 全身または腎内の RAAS 軸が高血圧の病因や維持. が降圧治療の二次目標である。市販されている RAAS. に関与している可能性はある 26, 143–148 が、特発性高血. 阻害薬にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi) 、. 圧症の猫や慢性腎臓病の猫では、有効性 64, 75, 114, 149-152. アンジオテンシン II 受容体拮抗薬(ARB) 、アルドス. が確立されているためカルシウムチャネル拮抗薬. テロン拮抗薬があるが、獣医学領域の臨床経験はほと. (CCB) 、特にアムロジピンベシル酸塩が降圧治療の. んどがアンジオテンシン変換酵素阻害薬のものである。. 第一選択肢となっている。高血圧から重度の高血圧の. たいていの場合、アンジオテンシン変換酵素阻害薬. 猫で平均 28 ~ 55 mmHg の収縮期血圧の低下が観察さ. (0.5 ~ 2.0 mg のエナラプリルまたはベナゼプリル /kg. れる。64, 149, 150, 152 最近のデータで、最初の収縮期血圧. PO q12h)が高血圧犬の最初の推奨選択薬である。ア. が 200 mmHg 未満の猫では 1 匹あたり 1 日あたり 0.625. ンジオテンシン II 受容体拮抗薬(1.0 mg テルミサル. mg のアムロジピンベシル酸塩が有効であるが、収縮. タン /kg PO q24h など)は、RAAS 阻害のためのもう. 期血圧が 200 mmHg を超えている猫では 1 匹あたり 1. 一つの方法である。RAAS 阻害薬による単剤治療を最. 日あたり 1.25 mg という高開始用量によって恩恵が得. 初に行わない例外的な場合は極めて重度の高血圧犬で. られることがあることが示されている。151 稀に、1 匹. ある。この場合適切な処置は、RAAS 阻害薬とカルシ. あたり 1 日あたり最大 2.5 mg の用量が必要になること. ウムチャネル拮抗薬を最初から同時投与すること(0.1. がある。降圧薬としてのアムロジピンの有効性を考え. 57.
(9) て、アムロジピンを増量する前に飼い主の服薬遵守性. プラセボ対照臨床試験で猫の自然発生高血圧の治療に. をよく調べる。血漿アムロジピン濃度の評価を行った. おいてテルミサルタンを 2 mg/kg/ 日の用量で投与す. 研究で、血圧を十分にコントロールするための用量漸. ることが検討された。165 この研究で、14 日間治療し. 増の必要性は、体重やアムロジピンの薬物動態ではな. た後、テルミサルタン治療群の収縮期血圧の平均値の. く高血圧の重症度に関連しているようであることを示. 低下量(-19 ± 22 mmHg)がプラセボ治療群(-9 ± 17. 151. している。. 経皮投与も検討されているが、この投. mmHg、P<0.0001)に比べて有意に大きかったことが. 与経路の有効性はまだ確立されていないため、投与経. 確かめられた。28 日間治療した後は、テルミサルタ. 153, 154. 末梢浮. ン投与群の 54.6%が 20 mmHg を超える収縮期血圧の. 腫や歯肉過形成を含むアムロジピンの有害作用は、犬. 低下という目標エンドポイントに到達したが、プラセ. ではほとんど報告されず、猫でも稀である。歯肉過形. ボ群では 27.6%であった。ただし、この研究では、収. 成は、新薬承認試験において健康な幼猫への投与中に. 縮期血圧が 200 mmHg を超えている猫、眼または中. 報告されているが、臨床診療の場では比較的稀である. 枢神経系(CNS)の標的臓器障害の証拠がある猫、血. 路としては経口(PO)投与が好ましい。. 155, 156. 管作用薬で既に治療中の猫は除外されていた。重度の. ようである。. 劇的な降圧効果があるにもかかわらず、アムロジピ. 高血圧の猫と明白な眼および中枢神経系高血圧標的臓. ンベシル酸塩による収縮期血圧の長期的なコントロー. 器障害の猫におけるテルミサルタンの有効性は実証さ. ルが高血圧の猫の生存期間を延ばし、64, 157 その使用に. れていない。また、所定の組み入れ除外基準に標的臓. よって全身または腎内の RAAS を活性化できるとい. 器障害を発症している猫や収縮期血圧が 200 mmHg. 148. う証拠はまだ得られていない。. を超える猫が含まれていたので、この縦断的研究の母. 高血圧猫の生存予測因子として重要なものとしてタ. 集団は範囲が狭かった。テルミサルタンの抗タンパク. ンパク尿がある。カルシウムチャネル拮抗薬で治療し. 尿効果が評価された少数の猫(n = 8)で、アムロジ. た場合、当初タンパク尿ぎりぎりかタンパク尿であっ. ピンベシル酸塩とテルミサルタンの併用は忍容性が良. た猫でタンパク尿が有意に改善することが確認されて. 好であることが示されたが、テルミサルタンの降圧効. いる。157 一方、アムロジピンとアンジオテンシン変. 果はこの研究の主要転帰ではなかった。158. 換酵素阻害薬の併用またはアムロジピンとアンジオテ. 猫で第一選択降圧剤としてアンジオテンシン変換酵. ンシン II 受容体拮抗薬の併用は忍容性が良好であると. 素阻害薬(ACEi)の使用は推奨されない。動脈血圧. 報告されている. 158, 159. が、アムロジピンベシル酸塩に. の直接モニタリングが可能な場合に、収縮期血圧の統. よる血圧コントロール後もなおタンパク尿が続いてい. 計的に有意な低下が確認されているが、収縮期血圧の. る高血圧の猫に抗タンパク尿薬を追加することによっ. 低下量は小さく(± 10 mmHg) 、ほとんどの猫で十分. て生存利益の上乗せが可能かどうかを探る研究は行わ. とはいえないであろう。166 しかしながら、ベナゼプ. れていない。しかしながら、タンパク尿が猫の腎臓. リルは、二つ目の降圧剤が必要な猫で使用されており、. 病の発症と進行に寄与する可能性があることと、その. 臨床的には、アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアム. ことが慢性腎臓病猫の生存と関連していることを踏ま. ロジピンベシル酸塩の併用の忍容性は良好である。159. 65, 160, 161. え、. この状況では抗タンパク尿薬による治療. を検討する。162, 163. アンジオテンシン変換酵素阻害薬とアンジオテン シン II 受容体拮抗薬は、腎輸出細動脈を優先的に拡張. テルミサルタンは、慢性腎臓病に起因する猫タンパ. し、そのことによって糸球体内圧とタンパク尿の程度. ク尿症の治療薬として現在ヨーロッパで認可されて. を軽減する。158, 167, 168 しかしながら、遠心細動脈拡張. いるアンジオテンシン II 受容体拮抗薬(ARB)であ. の副次的な結果として、理論上、糸球体濾過率が低下. 158. る。. 麻酔下における健康な猫の血圧テレメトリー. する傾向がある。単一ネフロンを用いた研究で、猫で. モニタリングによる初期の研究では、テルミサルタン. はこのことは必ずしも事実ではないことが示されてお. によってアンジオテンシン I に対する血圧上昇反応が. り、169 実際にアンジオテンシン変換酵素阻害薬の投. 有意に抑制されたが、ロサルタンでは抑制されなかっ. 与によって起こる血清クレアチニン濃度の増加は非常. 164. た。. テルミサルタンを現在の認可用量よりも高い. にわずかで(<0.5 mg/dL、<50 μmol/L)、一般に忍. 投与量(3 mg/kg PO q24h)で投与した場合の収縮期. 容性は良好である。しかしながら、最近の研究で、慢. 血圧の上昇の抑制度は、ベナゼプリル投与時よりも有. 性腎臓病の確定診断を受けたり慢性腎臓病が疑われた. 意に大きかった。164 さらに最近、二重盲検無作為化. りした猫の約 30%でベナゼプリルの投与開始から 30. 58.
(10) 日以内に血清クレアチニン濃度が上昇し、慢性腎臓病. 対して副腎摘出術が及ぼす効果については限られた情. の確定診断を受けている猫の 23.8%で血清クレアチニ. 報しかない。術後アムロジピンベシル酸塩による治療. ン濃度が 30%を超えて上昇することが観察されてい. は必要となっていない猫の患者も個々にはあるが、こ. 170. テルミサルタンを投与した猫 112 匹において腎. ういった場合の血圧モニタリングの頻度は明らかでな. 機能検査値の悪化と尿毒性クリーゼが、有害事象とし. い。177 個々の猫において別の非副腎性併発疾患(慢. てそれぞれ 2 匹と 1 匹に報告されているが、これらの. 性腎臓病など)が存在し高血圧の病因に寄与している. 猫の試験開始時の慢性腎臓病の病期は提供データから. 場合は、副腎摘出術のみによる全身性高血圧の解消は. る。. 73. はわからない。 これに対して、アムロジピンベシル. 期待できないであろう。そのような場合は、アムロジ. 酸塩などのカルシウムチャネル拮抗薬を導入した場. ピンベシル酸塩による継続的な降圧管理が必要になる. 合、血清クレアチニン濃度が変化することは考えられ. であろう。したがって、副腎摘出治療を行なった原発. 171. ない。. 臨床医は、アンジオテンシン変換酵素阻害. 薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬の同時投与によ. 性アルドステロン症の猫では周術期および術後期に注 意深く血圧モニタリングを行うことが推奨される。. る高窒素血症の急性増悪の可能性を認識しておく必要. 褐色細胞腫は猫で報告されることは稀である。179–182. があり、注意深くモニタリングを行うことが推奨され. 罹患猫の血圧を十分にコントロールするにはフェノキ. 67, 169, 172, 173. る。. 糸球体濾過率(GFR)が急激に低下す. シベンザミン、α1 アドレナリン受容体拮抗薬およびα. るおそれのある脱水状態の猫では、アンジオテンシン. 2 アドレナリン受容体拮抗薬、アムロジピンベシル酸. 変換酵素阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬の. 塩の併用投与による治療が必要になることがある。181. 投薬を開始してはならない。このような場合は、慎重. 頻脈性不整脈が懸念される猫ではβアドレナリン受容. に水分補給を行い、その後アンジオテンシン変換酵素. 体拮抗薬(アテノロールなど)治療が検討されること. 阻害薬かアンジオテンシン II 受容体拮抗薬による治療. もあるが、αアドレナリン遮断後にのみ追加すること。. 開始前に再評価を行う。. 副腎摘出術を行う猫については、術後期に持続的な高. 初期の研究でほかにもいくつか降圧薬(表 7)の探 索が行われているが、猫の高血圧の治療にそういった 降圧薬の使用が必要になることは稀である。利尿薬 は猫では降圧薬としては日常的に用いられてはいな. 血圧や低血圧が発生することがあるため、注意深く血 圧モニタリングを行う。 8.4 高血圧緊急症. い。63, 94 ベータ拮抗薬(アテノロールなど)は一部の. 著しい血圧上昇に急性標的臓器障害が進行している. 頻脈性高血圧の猫(甲状腺機能亢進症の猫など)の心. 徴候を伴う場合は即時に積極的治療を行う。犬と猫の. 拍数の制御に役立つこともあるが、そのような患者で. 急性高血圧症の治療法と治療戦略の臨床試験は発表さ. の降圧作用は無視できるレベルであるため、高血圧管. れておらず、推奨事項は逸話的で、ヒトの患者につい. 理薬として単剤使用するべきではない。63, 94, 174 全身性. てなされている推奨事項から外挿されたものである。. 高血圧と甲状腺機能亢進症が同時診断された猫につい. 犬と猫では、急性標的臓器障害の明白な証拠は、眼(網. ては、やはりアムロジピンベシル酸塩が第一選択降圧. 膜出血や網膜剥離、前房出血など)や神経(昏睡、意. 薬であり、甲状腺機能亢進症の管理と併用する。ヒド. 識障害、全身発作、限局性顔面発作など)の症状であ. ララジンなどの血管拡張薬が猫の高血圧の管理に必要. る可能性が最も高い。素因的病状の知見に関係なく、. になることは稀であるが、過去、緊急の状況で役立っ. 頭蓋内標的臓器障害の徴候(限局性顔面発作など)が. ている(緊急管理を参照) 。. 175. ある患者において収縮期血圧が 180 mmHg 以上(高. 原発性高アルドステロン症の猫では、アルドステロ. 標的臓器障害リスク分類)という診断になった場合は. ン拮抗薬(スピロノラクトンなど) 、カリウム補充薬. 即時緊急治療が必要である。そのような症例における. および副腎摘出術(実施できる場合)による管理が必. 積極的治療ニーズでは通常、24 時間態勢のケア能力. 176. 要である。. 原発性高アルドステロン症と高血圧症. の患者で手術が選択肢ではない場合は、管理に薬物併 177. 用療法を長期に利用することができる。. 猫のスピ. ロノラクトンの使用に関連する稀な有害作用として、 178. 顔面の皮膚炎と表皮剥脱が報告されている。. 現在. 有効な原発性高アルドステロン症猫の降圧治療要件に. が必要であり、24 時間ケアを利用できない場合は 24 時間ケアが可能な施設への紹介を行う。 急性高血圧緊急症患者の治療目標は、短時間で血圧 を正常にすることではなく、収縮期血圧を徐々に下げ ることである。慢性高血圧の場合、脳と腎臓の自己調 節性血管床が高めの灌流圧に適応していることがあり、. 59.
(11) 短時間で著しく降圧すると低灌流を引き起こすおそれ. 使用については逸話的な情報さえも乏しい。ヒドララ. がある。最初の収縮期血圧を、最初の 1 時間で約 10%. ジンの皮下投与(猫 1 匹あたり 1.0 ~ 2.5 mg を皮下投. 183. 下げ、次の数時間でさらに約 15%下げ、. その後徐々. 与)が猫腎移植患者の術後急性高血圧の治療に用いら れている。98 血管拡張薬を非経口投与する場合は、確. に正常血圧にまで戻す。 収縮期血圧を徐々に下げる必要性があるため、高血. 実に十分な降圧を達成するとともに低血圧を避けるた. 圧緊急症の最適な急性管理には、段階的に増量を行っ. め、必ず常時または頻繁に血圧モニタリングを行う。. て効果を上げ、作用の発現と停止が迅速な非経口治療. 12 ~ 24 時間血圧がコントロールされた時点で経口投. が必要である。ヒトの高血圧患者では数薬がこの状況. 与薬治療を開始でき、経口投与薬の効果が出たら非経. において検討されており、そういった薬剤のいくつか. 口薬は減量できる。推奨非経口薬が入手できず、患者. が犬や猫で用いられている逸話はあるが、重度の高血. が経口投与薬を服用できる場合は、アムロジピン経口. 圧の犬や猫においてこういった薬剤を比較した研究の. 薬かヒドララジンを以下に示した手順で投与できる。. データはない。現時点における推奨事項は、作用機序、. 収縮期血圧が著しく上昇している(180 mmHg 以上). ヒトの医療における推奨事項、獣医領域の患者におけ. が急性標的臓器障害の証拠がない患者は、経口薬で治. る報告と逸話的経験に基づいている。. 療することができる。好ましい薬剤は、経口投与した. 最も実行性のある獣医臨床用非経口薬のひとつ(可. 場合に即効性で、原発性疾患に関係なく血圧を下げる. 用な場合)はフェノルドパムであろう。184 これはヒ. 薬剤である。ヒドララジン(0.5 ~ 2 mg/kg PO q12h). トの高血圧緊急症患者への使用が現時点で承認されて. は即効性であり、猫と犬の両方で速やかな降圧のため. 185, 186. 犬. に使用できる。アムロジピンベシル酸塩は、24 時間. や猫の急性高血圧においてこの薬剤を検討した獣医学. ごとに 0.2 ~ 0.4 mg/kg PO の用量で投与でき、慎重に. 研究はないが、フェノルドパムは獣医患者の急性腎障. 0.6 mg/kg PO q24h までの用量を使用できる。多くの. いる選択的ドーパミン 1 受容体作動薬である。. 184. ドーパミ. 臨床医は、特に猫において、低血圧を発生させるリス. ン 1 受容体への作用があるため、フェノルドパムは健. クが低いのでアムロジピンなどのカルシウムチャネル. 康な犬において腎動脈血管拡張、ナトリウム利尿を引. 阻害薬の経口薬を好む。. 害治療用として安全であるようである。. 187. き起こし、糸球体濾過率(GFR)を増加させ、 188. 康な猫で利尿作用を生じる。. 健. これらはすべて、高. 血圧緊急症の獣医患者に有益であろう。フェノルド パムは、注意深く(すなわち少なくとも 10 分間隔で). 9 結論 高血圧の管理に関する最初の ACVIM 合意声明が発. 血圧をモニタリングしながら、0.1 μg/kg/ 分という投. 表されてから 10 年以上経ったにもかかわらず、コン. 与量で、最初は定速注入(CRI)投与する。投与量は、. パニオン動物の全身性高血圧の病態生理学、測定、治. 所望の収縮期血圧になるまで 15 分ごとに 0.1 μg/kg/. 療に関する理解は発展途上である。知識不足の部分が. 分ずつ、最大 1.6 μg/kg/ 分まで増量できる。犬と猫. かなりある。. 106, 189. そういった知識不足を補うため、正常血圧とその最. 注入を中止してから数分以内に効果は止むと予想され. 適な評価方法の理解を深めることを目的とした大規模. る。高血圧犬で効果が期待できる他の非経口薬として. な多施設臨床研究を行うことが推奨される。また、最. は、ラベトロール(2 分間 0.25 mg/kg 静注、総投与量. 良の高血圧治療方法を定め、そのような治療が獣医患. 3.75 mg/kgまで反復投与後、 25 μg/kg/ 分で定速注入) 、. 者の生活の質と平均余命にどのように影響を及ぼすの. ヒドララジン(2 分間導入用量 0.1 mg/kg を静注後、1.5. かを明らかにするには長期研究が必要である。獣医学. ~ 5.0 μg/ kg/ 分で定速注入) 、またはニトロプルシド. 領域の進歩を反映して本ガイドラインが定期的に更新. におけるフェノルドパムの血漿中半減期は短く、. (0.5 ~ 3.5 μg/ kg/ 分で定速静注)があるが、これら の薬には腎血管拡張という利点はない。フェントラミ ン(短時間作用型競合的αアドレナリン受容体拮抗薬) は、褐色細胞腫切除中に発生することがある術中高血 圧の管理に成功裏に使用されているという逸話があ る(導入用量 0.1 mg/kg 静注後、1 ~ 2 μg/kg/ 分で定 速注入)。190 猫では、非経口投与による血管拡張薬の. 60. されることを著者らは願っている。.
(12) 表 1 正確な血圧測定の手順 ・ 血圧測定の較正については、ユーザー(セルフテストモードがある装置の場合)か製造業者が半年に 1 回検査する。 ・ 手順を標準化する。 ・ 測定環境は、隔離された静かな部屋で、他の動物と接触しないようにする。一般に、飼い主が立ち会う。患者は無鎮静で、血 圧測定を試みる前に 5 ~ 10 分間、測定室に馴致させる。 ・ 動物が快適な体位で保定する。心基底部からカフまでの垂直距離を制限するため、伏臥位か横臥位で優しく保定する(距離 が 10 cm を超える場合は、心基底部の上下に +0.8 mmHg/cm の補正係数を適用できる)。 ・ カフの幅は、カフ装着部位の周囲長の約 30%~ 40%とする。 ・ 動物の体型や忍耐力、使用者の好みに応じてカフを四肢や尾に装着する。 ・ 同一の検査者が、標準プロトコールに従ってすべての血圧測定を行う必要がある。この検査者の訓練は必須である。 ・ 測定は必ず、患者が落ち着いており、動いていないときに行う。 ・ 最初の測定値は破棄する。一貫した値を計 5 ~ 7 回連続して記録する。測定プロセスが進むにつれて血圧測定値が下がる傾 向のある患者もいる。このような場合は、プラトーに達するまで測定を続け、一貫した値を 5 ~ 7 回連続して記録する。 ・ 一貫性のある値をとるのに必要であれば、カフの位置を変えて、必要に応じて測定を繰り返す。 ・ 測定値の平均をとり、血圧測定値とする。 ・ 疑わしい場合は、測定を繰り返す。 ・ 記録文書を標準化された形式で保管し、検査者、カフのサイズと装着部位、測定値、除外した値がある場合はその根拠、最 終結果(平均値) 、獣医による結果の解釈を記載する。. 表 2 意識下の健康な犬と猫で得られた動脈血圧値(単位:mmHg) 測定方法. N数. 収縮期. 平均. 拡張期. ノンパラメトリック. 犬: 動脈内: Anderson et al (1968)191. 28. 144 ± 156. 104 ± 13. 81 ± 9. 21. 148 ± 16. 102 ± 9. 87 ± 8. 12. 154 ± 31. 115 ± 16. 96 ± 12. 27. 154 ± 20. 107 ± 11. 84 ± 9. 1267. 131 ± 20. 97 ± 16. 74 ± 15. 51. 144 ± 27. 110 ± 21. 91 ± 20. 14. 137 ± 15. 102 ± 12. 82 ± 14. Stepien et al (1999). 28. 150 ± 20. 108 ± 15. 71 ± 18. Meurs et al (2000)23. 22. 136 ± 16. 101 ± 11. 81 ± 9. 89. 139 ± 16. 71 ± 13. 12. 145 ± 23. 28. 151 ± 27. 51. 147 ± 25. 6. 125 ± 11. 105 ± 10. 89 ± 9. 6. 126 ± 9. 106 ± 10. 91 ± 11. 20. 132 ± 9. 115 ± 8. 96 ± 8. Zwijnenberg et al (2011). 6. 160 ± 12. 138 ± 11. Jenkins et al (2014)198. 6. 111 ± 4. 192. Cowgill et al (1983). 193. Chalifoux et al (1985). 194. Stepien et al (1999) オシロメトリー:. Bodey and Michell20 6. Coulter et al (1984) 51. Kallet et al, 1997. 194. 36. Hoglund et al (2012) ドプラ超音波検査:. Chalifoux et al (1997)193 194. Stepien et al (1999). 46. Rondeau et al (2013) 猫: 動脈内: Brown et al (1997)195 16. Belew et al (1999). 196. Slingerland et al (2007). 197. 116 ± 8. 75 ± 2. 61.
(13) オシロメトリー: Bodey et al (1998)24 26. Mishina et al (1998). 104. 139 ± 27. 99 ± 27. 77 ± 25. 60. 115 ± 10. 96 ± 12. 74 ± 11. 33. 118 ± 11. 50. 162 ± 19. 53. 134 ± 16. ドプラ超音波検査: Kobayashi et al (1990)4 25. Sparkes et al (1999) 199. Lin et al (2006). 200. Dos Reis et al (2014) 201. 113. Quimby et al (2011)202. 30. 137 ± 16b. 87. 131 ± 18. 20. 151 ± 5. Paige et al (2009). 133. Chetboul et al (2014) 28. Payne et al (2017) b. 125 ± 16 a. Taffin et al (2016). 203. a. 30. 780. 133 ± 20 中央値 138(範囲は 106 ~ 164). 78 ± 3. b. 122 ± 16. 中央値 121(IQR は 110 ~ 132). 腎性高窒素血症の猫 3 匹を含む。 最初の文献には含まれておらず、著者らの直接四分位範囲(IQR)法を適用して得たデータ。. 表 3 犬および猫の二次性高血圧を伴う疾患 疾患または状態. 高血圧の有病率(%). 参考文献. 犬: 慢性腎臓病. 93. 191. 60. 192. 80. 192. 79. 204. 9. 20. 62. 81. 19. 205. 28.8. 79. 14. 206. 47. Jacob et al (1999) (ACVIM 要旨). 急性腎疾患. 87. 207. 15%-37%(入院時). 208. 62%-81%(入院中) 副腎皮質機能亢進症 (自然発生または医原性). 糖尿病. 62. 73. 55. 80. 204. 35. 209. 36.8. 210. 20-46.7. 211. 46. 212. 24. 204. 67. 213. 55. 214.
(14) 肥満. 効果は小さい. 20, 22, 30, 37, 43, 215, 216. 原発性アルドステロン症. 稀な疾患. 217 218. 褐色細胞腫. 43%. 219. 86%. 220. 54.5-65%. 221. 甲状腺機能低下症. 一般的ではない. 222. 短頭種. 有病率データなし. 223. 46. 4. 65. 85. 19. 48. CKD 診断時 39.6%. 27. 猫: 慢性腎臓病. CKD 診断時に正常血圧の場合、17%に発現 診断後 3 か月を超えてから高血圧 29%(12 か月間安定した CKD). 74. 40%(12 か月間進行性 CKD) 糖尿病. 甲状腺機能亢進症. 0. 111. 血圧上昇なし. 224. 15%. 225. 87. 4. 23. 85. 治療前 5 および治療後 25. 56. 治療前 10% 12.8%(前)および 22%(後). 226. 22%(前)および. 227. 24%(後). 228. 肥満. 高血圧は稀. 24. 原発性高アルドステロン症. 50%-100%. 63, 229–235. 一般的ではない疾患 褐色細胞腫. 一般的ではない疾患. 236 237 181. 副腎皮質機能亢進症. 19%. 238, 239. 組み入れ基準、測定技術、高血圧の定義のばらつきは有病率データの直接比較を困難にする. 63.
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