• 検索結果がありません。

<原著>新卒看護師の職場適応状況と指導対策の検討 : 非職場適応者・適応者と指導者の認識の相違 利用統計を見る

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "<原著>新卒看護師の職場適応状況と指導対策の検討 : 非職場適応者・適応者と指導者の認識の相違 利用統計を見る"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

原 著

新卒看護師の職場適応状況と指導対策の検討

−非職場適応者・適応者と指導者の認識の相違−

Guidance Methods for Job Adaptation of Newly Graduated Nurses

–Differences between the Recognition of Newly Graduated Nurses Unable to Adapt to

the new Job, Newly Graduated Nurses Who Could, and Preceptors–

石井くみ子

1)

,中村美知子

2)

ISHII Kumiko, NAKAMURA Michiko

要 旨

新卒看護師の職場適応状況を指導者の認識との相違から明らかにし,その結果をもとに非職場適応者の職 場適応対策を検討し,指導者に向けた提言を目的として,A 県 2 病院の新卒看護師と指導者 46 組を対象に藤 本らの看護師の職場適応度測定尺度の 28 項目で調査した。調査は就職後 3 ヶ月目(1 期),6 ヶ月目(2 期),9 ヶ 月目(3 期)に実施した。職場適応の認識は適応群より指導者群が高値を示し,非適応群は指導者群の方が低値 だった。退職者(n=1)は,ほとんどの項目が指導者よりも低値を示し,就職後 6 ヶ月目でも上司・患者・同僚 関係が適応群よりも低値で,関係が十分に築けない現実を認識していた。休職者(n=3)は,指導者より高値の 項目が多く適応群より高い傾向にあった。非適応者への対応は,就職後早期から職場適応の自己評価,他者 評価の機会を設けて指導者より自己評価が低すぎる者・高すぎる者を早期から把握し,退職・休職を防止す る個別指導が必要である。

The aim of this study was to determine the differences among recognizing those newly graduated nurses who could not adapt to their new job, those who could and their preceptors. The subjects were 46 pairs of new nurses and preceptors at two hospitals, and the measurement instrument was the 28-item survey from Fujimoto et al. The survey was completed three times: three months after employment, six months after employment, and nine months after employment. In recognizing job adaptation, the preceptors scored higher than those newly graduated nurses who adapted well to their new jobs, but lower than those nurses who did not.

Most of the scores for the retiree (n = 1) were lower than those of the preceptor group; the retiree recognized that she could not build a relationship with the patients, colleagues, or the supervisor after six months of employment. Many item scores from leave of absence from work for the new nurses were higher than those from both the adaptation group and the preceptors.

Regarding preventative measures for those newly graduated nurses who could not adapt to their new job, it is important that the nurses have opportunities for self-evaluation, evaluation from others on their job adaptation, and individual guidance by the preceptors and the supervisors from an early stage. キーワード 新卒看護師,職場適応,非職場適応者,指導者

Key Words Newly Graduated Nurses, Job Adaptation, Non-job Adaptation of Newly Graduated Nurses, Preceptors

受理日:2015 年 7 月 22 日

1) 元山梨大学大学院医学工学総合教育部:Interdisciplinary Graduate School of Medicine and Engineering, Previous Yamanashi University

2) 山梨大学大学院総合研究部(基礎・臨床看護学):University of Yamanashi, Graduate School of Interdisciplinary Research (Fundamental and Clinical Nursing)

Ⅰ.緒 言

近年,新人看護師の離職率の高さが問題となり早期離 職防止の観点から日本看護協会や国の検討会は,新人看 護職員の卒後研修制度の検討を行い,2010 年より新人 看護職員の卒後臨床研修が努力義務となった1) 新人看護師の能力向上のために,1980 年代から新人

(2)

看護師のための職場内教育(OJT:on the job training) を効率的に行うためにプリセプターシップが導入され, 新卒看護師が満足し,リアリティショックに陥ることな く教育が行われる方法2)として多くの施設で導入され た。新卒看護師にとってのリアリティショックは,職場 適応を阻害する大きな原因として離職の原因となる3)4) ため,リアリティショックの構成因子抽出による新卒看 護師の離職防止に向けたプリセプターの役割が注目され た5) 。リアリティショックに影響する要因は,看護技術仕 事の失敗,人間関係,指導・教育面に対する苦痛3)6)や新 卒看護師の知識・技術能力と臨床現場で期待される能力 と現実との間に乖離が大きい7),患者の死に関する対応5) がある。新卒看護師は,「できない」「自信がない」「わ からない」「怖い」と認識し,「思考力低下」「ケアしたい が手が出せない」8)などの職場での不適応な状態になる。 特に職就職後 3 〜 6 ヶ月の新卒看護師は,人間関係形成 の未熟さや力量不足,業務量の多さ9),看護の優先順位 を考えて行えないなど,学生時代に学んだことと現実と のギャップに不安やストレスを感じ10) ,自尊感情が低 下している3)。一方,プリセプターは新人看護師の主体 的な問題解決行動や判断力を高めるための積極的な関わ りへの葛藤や行動するまで待つことに多くのエネルギー を費やしている11)。職場の先輩の関わりは,新卒看護 師の能力の変化に影響を及ぼし8),信頼関係形成,知識・ 技術の指導,学習の援助等を通して新卒看護師に満足を 与え,離職や事故・転倒・インシデント減少12) に繋がっ ているが,国内では年間約 8% の新卒看護師の早期離職 が,社会問題になっている13)。新人看護師採用の増加, プリセプター育成等に伴い臨床経験年数が 2 〜 6 年の看 護師がプリセプター(以下,指導者)の役割を担ってい る現状がある14)15)。そのため,新卒看護師の職場適応の 認識と指導者の認識の相違を明らかにし,新卒看護師の 適応対策を検討することとした。

Ⅱ.目的

新卒看護師の職場適応状況と指導者の認識との相違 を,1 期(就職後 3 ヶ月目),2 期(就職後 6 ヶ月目),3 期(就職後 9 ヶ月目)まで追跡調査してその特徴を明らか にし,その結果をもとに非職場適応者の職場適応対策を 検討する。

Ⅲ.用語の操作的定義

新卒看護師 : 看護基礎教育課程修了直後〜 9 ヶ月以内 の看護師(以下,新卒者)。 職場適応 : 新卒看護師が,職場の上司関係,同僚関係, 患者関係,職場自立度,職場環境,仕事関係,職場規則 に適応すること。 非職場適応者 : 新卒者で就職後 9 ヶ月までに休職ある いは退職した者(以下,非適応者)。適応者は,非適応者 以外をさす。 指導者 : 新卒者の指導を担当する看護師(プリセプ ター)。(複数の指導者,以下,指導者群)

Ⅳ.研究方法

  1. 対象者 A 県内病院 2 施設(600 床以上,プリセプターシップ 導入施設)に勤務する看護基礎教育課程修了直後から 9 ケ月以内の 4 月に就職した新卒者とその指導者 46 組, 合計 92 名を対象者とした。 2. 調査期間  2013 年 6 月〜 12 月 3. 調査内容   1) 基本属性 : 年齢,性別,学歴,現在の勤務場所,臨 床経験年数 2) 職場適応調査項目 28 項目を用いる。これは,藤本 ら(2010 年)作成の「看護師の職場適応度測定尺度 (一次元尺度)40 項目」Chronbachα=. 9485,因子妥 当性,弁別的妥当性,基準関連妥当性検証16)から, 質問の重複,回答困難な表現等を削除・修正して 抽出した 28 項目。これらの I-T 相関は,全項目 rs=.309 〜 .716(p<0.05 〜 p<0.01),主因子法,バリ マックス回転にて固有値 1.0 以上,因子負荷量 0.35 以上抽出,第 7 成分累積寄与率は 61.28 % で構成し た。28 項目の Chronbachα=. 921,7 下位尺度,上 司関係 6 項目,職場自立度 4 項目,同僚関係 5 項目, 患者関係 5 項目,職場環境 5 項目,仕事関係 2 項目, 職場規則 1 項目で構成した。評点は,「よく当てはま る」 5 点〜「全く当てはまらない」1 点の 5 段階リッ カート尺度を用いた。なお,本調査項目 28 項目の 使用については,尺度作成者(藤本)に承諾を得た。 4. 調査手順 新卒者と指導者に 1 期(就職後 3 ヶ月目),2 期(就職 後 6 ヶ月目),3 期(就職後 9 ヶ月目)に自己記入式調査 用紙を配付し留置法にて 2 週間後に研究者が施設から回 収した。 5. データ分析 基本属性は単純集計を行った。新卒者と指導者の認識 の 差, 非 適 応 者・ 適 応 者 と 指 導 者 の 差 の 検 定 に は Wilcoxon 符号付順位検定を用いた。 データ分析には統計解析ソフト IBM SPSS Statistics

(3)

20.0 Advanced を用いた。 6. 倫理的配慮 本研究は,山梨大学医学部倫理委員会において承認 (No.918)を得て実施した。対象には,本研究の主旨と内 容,匿名性の確保,個人情報の保護,研究参加は任意で あり調査の拒否・中断が可能であること,調査の参加拒 否において不利益を被らないこと,同意後も撤回可能で あること,得られたデータは研究以外に使用しない旨を 説明した。調査協力の諾否は,同意書に記載し,調査用 紙と共に提出することを依頼した。

Ⅴ.結果

1. 対象者の特徴(表 1) 新卒者 46 名,指導者 46 名。新卒者の平均年齢が 22.0 ± 2.0 歳,指導者の平均年齢が 26.8±3.7 歳であった。性 別は,新卒者が女性 42 名(91.3%),男性 4 名(8.7%),指 導者が女性 41 名(89.1%),男性 5 名(10.9%)であった。 学歴は,新卒者が大学卒業者 24 名(52.2%),専門学校卒 業者 22 名(47.8%)であった。指導者は,大学卒業者 15 名(32.6%),短期大学・専門学校卒業者 30 名(65.2%)で あった。勤務場所は,外科系 11 組(23.9%),内科系 8 組 (17.4%),小児 7 組(15.2%),精神 3 組(6.5%),OP 1 組 (2.2%),ICU 2 組(4.3%),混合 13 組(28.3%),その他 1 組(2.2%)であった。対象者 46 組のうち,新卒看護師は 適応者 42 名(以下,適応群)と非適応者 4 名(以下,非適 応群)とした。 2. 適応群と指導者群の職場適応の認識の相違(表 2) 1 期の「職場での学びを感じる」は,適応群(中央値 : 以 下,Me4.0)が指導者群(Me4.0)より高く有意差があった (p<0.05)。「勤務時間を遵守できる(適応群 Me4.0,指導 者群 Me5.0 ),「患者の苦痛に向き合うことができる」「職 場・病院の規則に慣れた」「職場では努力や勤勉さが評 価される」「自分の担当範囲の看護業務を処理できる」(適 応群 Me3.0,指導者群 Me4.0),「職場では自分の能力を 発揮しやすい」「給料に満足している」(適応群 Me3.0, 指導者群 Me3.0 )「職場ではたいていのことは自分でで きる」(適応群 Me2.0,指導者群 Me3.0 )は,適応群よ り指導者群が有意に高値を示した(p<0.05)。2 期の「患 者の排泄の世話をすることが苦痛なくできる」「患者の 依頼ごとを面倒と思わずに受け入れることができる」「職 場・病院の規則に慣れた」(適応群 Me4.0,指導者群 Me4.0),「上司の自分に対する評価がストレスになって いない」「職場ではたいていのことは自分でできる」「給 料に満足している」(適応群 Me3.0,指導者群 Me3.0)は, 適応群より指導者群が高く有意差があった(p<0.05)。3 期の「患者の依頼ごとを面倒と思わずに受け入れること ができる」(適応群 Me4.0,指導者群 Me4.5),「患者の 排泄の世話をすることが苦痛なくできる」「患者の苦痛 に向き合うことができる」「自分の担当範囲の看護業務 を処理できる」(適応群 Me4.0,指導者群 Me4.0),「職 場の状況を判断して動けるようになった」「患者の文句 に対処できる」「職場では努力や勤勉さが評価される」(適 応群 Me3.0,指導者群 Me4.0),「職場ではたいていのこ とは自分でできる」(適応群 Me3.0,指導者群 Me3.5)は, 表1  対象者の特徴 項   目 新卒者(n=46) 指導者(n=46) 属性 区分 Me Mean±SD Me Mean±SD 年齢 22(21 ~ 31) 22.0±2.0 25.5 (24 ~ 41) 26.8±3.7 経験年数 4 (3 ~ 17) 5.2±2.8 性別 女性 名(%) 42 (91.3) 41(89.1) 男性 名(%) 4 (8.7) 5 (10.9) 学歴 看護系 大学 名(%) 24(52.2) 15(32.6) 短期大学 名(%) 0(0) 4(8.7) 専門学校 名(%) 22(47.8) 26(56.5) 大学院(修士) 名(%) 0(0) 2(4.3) (重複あり) 勤務場所 外科系 組(%) 11(23.9) 内科系 組(%) 8(17.4) 小児 組(%) 7(15.2) 精神 組(%) 3(6.5) OP 組(%) 1(2.2) ICU 組(%) 2(4.3) 混合 組(%) 13(28.3) その他 組(%) 1(2.2)

(4)

表 2 適応群と指導者群の職場適応の認識の相違 n=42 項        目 1 期 1) 2期 1) 3 期 1) 適 応群 指導 者 群 適 応群 指導 者 群 適 応群 指導 者 群 Me M ea n ± SD Me M ea n ± SD 有意 差 2) Me M ea n ± SD Me M ea n ± SD 有意 差 2) Me M ea n ± SD Me M ea n ± SD 有意 差 2) 休 暇・ 欠 勤 ・ 遅 刻 時 の 事 前 届 出 を守 れ て い る 4.0 4.3 ± 0.9 4.0 4.1 ± 1.0 4.0 3.9 ± 0.9 4.0 4.1 ± 1.0 4.0 3.9 ± 0.9 4.0 4.1 ± 0.9 職 場 で の 学 び を 感じ る 4.0 4.3 ± 0.7 4.0 3.9 ± 0.7 * 4.0 4.0 ± 0.8 4.0 3.9 ± 0.7 4.0 3.9 ± 0.9 4.0 3.7 ± 0.8 失 敗 ・苦 痛 時 に は 同 僚 か ら の 支 援 が 得 ら れ る 4.0 4.1 ± 0.9 4.0 3.9 ± 0.9 4.0 4.1 ± 0.8 4.0 4.0 ± 0.9 4.0 4.0 ± 1.0 4.0 3.8 ± 0.9 患 者 の 排 泄 の 世 話を す る こ と が 苦 痛な く で き る 4.0 4.1 ± 0.7 4.0 4.3 ± 0.7 4.0 4.0 ± 0.8 4.0 4.4 ± 0.5 ** 4.0 4.0 ± 0.8 4.0 4.4 ± 0.5 ** 同 僚 か ら の 注 意も素 直 に 受 け 止 め られ る こ と が で き る 4.0 4.1 ± 0.6 4.0 4.0 ± 0.9 4.0 4.1 ± 0.7 4.0 4.0 ± 0.7 4.0 4.2 ± 0.8 4.0 4.0 ± 0.9 患 者 の 依 頼 ご と を面 倒 と 思 わ ずに 受 け 入 れ る こ と が で き る 4.0 4.0 ± 0.7 4.0 4.2 ± 0.6 4.0 3.9 ± 0.7 4.0 4.2 ± 0.6 ** 4.0 3.7 ± 0.7 4.5 4.4 ± 0.7 ** 上司 へ の 報 告 がで き る 4.0 4.0 ± 0.7 4.0 3.8 ± 0.9 4.0 3.8 ± 0.8 4.0 4.0 ± 0.8 4.0 3.9 ± 0.7 4.0 3.9 ± 0.7 職 場 では , 教え を 受 け や す い 4.0 3.9 ± 0.9 4.0 3.7 ± 0.7 4.0 3.8 ± 0.7 4.0 3.7 ± 0.8 4.0 3.7 ± 0.8 4.0 3.9 ± 0.7 患 者と容 易 に 会 話 で き る 4.0 3.8 ± 0.9 4.0 3.9 ± 0.8 4.0 3.9 ± 0.8 4.0 4.1 ± 0.7 4.0 3.9 ± 0.9 4.0 4.1 ± 0.6 同 僚 に 苦し いこ と を 相 談 で き る 4.0 3.8 ± 1.1 3.0 3.5 ± 0.9 4.0 3.9 ± 1.0 4.0 3.6 ± 0.9 4.0 3.7 ± 1.0 4.0 3.5 ± 0.9 勤 務 時 間 を 遵 守 で き る 4.0 3.8 ± 1.1 5.0 4.3 ± 0.9 * 4.0 4.0 ± 1.1 4.0 4.2 ± 0.9 4.0 3.8 ± 1.2 4.0 4.2 ± 0.9 職 場 の 看 護 方 式 に つい てい け る 4.0 3.7 ± 0.7 4.0 3.5 ± 0.7 4.0 3.8 ± 0.7 4.0 3.8 ± 0.7 4.0 3.9 ± 0.8 4.0 3.9 ± 0.7 看 護 業 務 の 内 容 が 苦 痛 で ない 3.0 3.5 ± 0.9 3.5 3.4 ± 0.8 4.0 3.6 ± 0.8 4.0 3.7 ± 0.7 4.0 3.5 ± 0.9 4.0 3.6 ± 0.7 患 者 の 苦 痛 に 向き 合 う こ とが で き る   3.0 3.4 ± 0.7 4.0 3.7 ± 0.7 * 4.0 3.6 ± 0.5 4.0 3.8 ± 0.8 4.0 3.5 ± 0.6 4.0 4.0 ± 0.7 ** 同 僚 の 仕 事 を 助 け る こと が で き る 3.0 3.4 ± 0.8 3.0 3.1 ± 1.0 4.0 3.6 ± 0.8 3.5 3.5 ± 0.9 4.0 3.8 ± 0.7 4.0 3.8 ± 1.0 職 場 ・ 病 院 の規 則 に 慣 れ た 3.0 3.4 ± 0.8 4.0 3.8 ± 0.8 ** 4.0 3.7 ± 0.8 4.0 4.1 ± 0.7 ** 4.0 3.7 ± 0.9 4.0 4.0 ± 0.7 患 者の 文 句 に対 処 で き る 3.0 3.4 ± 0.8 3.0 3.2 ± 1.0 3.0 3.2 ± 0.8 3.0 3.4 ± 0.9 3.0 3.3 ± 0.7 4.0 3.7 ± 0.8 * 職場 で は 努 力 や 勤勉 さ が 評 価 さ れ る 3.0 3.3 ± 0.9 4.0 3.7 ± 0.8 * 3.0 3.4 ± 0.8 4.0 3.6 ± 0.8 3.0 3.4 ± 0.9 4.0 3.7 ± 0.8 * 自 分 の担 当 範 囲 の看 護 業 務 を 処 理で き る 3.0 3.3 ± 0.8 4.0 3.6 ± 0.8 * 4.0 3.6 ± 0.5 4.0 3.7 ± 0.8 4.0 3.7 ± 0.6 4.0 4.0 ± 0.7 ** 上 司 の 忠告 がス ト レ ス に な っ て い な い 3.0 3.2 ± 1.0 3.0 3.1 ± 0.9 3.0 3.1 ± 1.0 3.0 3.4 ± 0.9 3.0 3.2 ± 0.9 3.0 3.2 ± 0.8 上 司 の 自 分 に 対 す る 評 価 が スト レ ス に な っ て い な い 3.0 3.1 ± 1.0 3.0 3.3 ± 0.8 3.0 3.0 ± 1.0 3.0 3.5 ± 0.9 ** 3.0 3.0 ± 1.0 3.0 3.3 ± 0.7 職 場 で は 自 分 の能 力 を発 揮 し や す い 3.0 3.0 ± 0.9 3.0 3.4 ± 0.8 * 3.0 3.2 ± 0.8 3.0 3.4 ± 0.7 3.0 3.3 ± 0.8 4.0 3.5 ± 0.7 患 者 に 医 療 的 処 置 を で き る 3.0 3.0 ± 0.6 3.0 3.0 ± 0.7 3.0 3.3 ± 0.7 3.0 3.3 ± 0.6 3.0 3.4 ± 0.6 4.0 3.5 ± 0.8 職 場 では , 自 分 の意 見 を 言 い やす い 3.0 3.0 ± 0.9 3.0 3.0 ± 0.9 3.0 3.0 ± 0.8 3.0 3.0 ± 0.8 3.0 3.1 ± 0.8 3.0 3.1 ± 0.8 給 料 に 満 足し て い る 3.0 3.0 ± 1.0 3.0 3.4 ± 0.5 * 3.0 2.7 ± 1.1 3.0 3.2 ± 0.7 * 3.0 2.8 ± 1.0 3.0 3.1 ± 0.6 職 場 で は 失 敗 や 苦 言 を 言 わ れな い 3.0 2.9 ± 1.0 3.0 3.2 ± 0.9 3.0 3.0 ± 0.9 3.0 3.2 ± 0.9 3.0 3.0 ± 0.9 3.0 3.3 ± 1.0 職 場 の 状 況を 判 断 し て 動 け る よ う に な っ た 3.0 2.7 ± 0.7 3.0 2.9 ± 0.7 3.0 3.1 ± 0.6 3.0 3.3 ± 0.7 3.0 3.2 ± 0.7 4.0 3.7 ± 0.7 ** 職 場 で は たいて い の こ と は 自分 で で き る 2.0 2.3 ± 0.8 3.0 2.8 ± 0.8 * 3.0 2.6 ± 0.8 3.0 3.3 ± 0.7 ** 3.0 2.9 ± 0.7 3.5 3.5 ± 0.8 ** 注 1) 1 期:就職後 3 ヶ月目,2 期:就職後 6 ヶ月目,3 期:就職後 9 ヶ月目 注 2) Wilcoxon の符号付順位検定 *p<0.05 ** p<0.01 得点は 「よく当てはまる」 5 点~「全く当てはまらない」 1 点の 5 件法 得点が高いほど項目について当てはまることを示す

(5)

適応群より指導者群が高く有意差があった(p<0.05)。 3. 非適応群と指導者群の職場適応の認識の相違(表 3) 1 期の非適応群(n=4)と指導者群の職場適応の認識は, 有意差がなかった。2 期の「失敗・苦痛時には同僚から の 支 援 が 得 ら れ る 」( 非 適 応 群 Me4.5, 指 導 者 群 Me3.5),「 患 者 に 医 療 的 処 置 を で き る 」( 非 適 応 群 Me3.5,指導者群 Me2.5)は,非適応群が指導者群よりも 高く有意差があった(p<0.05)。 4. 退職者の職場適応の認識の特徴 (表 4) 退職者(n=1)の適応群との比較では,1 期・2 期の各 26 項目 /28 項目が低値であった。上司関係,職場自立度, 患者関係,職場環境,仕事関係,職場規則,同僚関係が 低値であった。指導者の比較では,1 期の「職場では, 教えを受けやすい」「職場の看護方式についていける」が 高値であった。2 期は「看護業務の内容が苦痛でない」「失 敗・苦痛時には同僚から支援が得られる」「患者に医療 的処置をできる」など 6 項目が高値であった。「職場・病 表 3 非適応群と指導者群の職場適応の認識の相違   n=4 項        目 1 期 1) 2期 1) 非 適 応群 指導 者 群 非 適 応群 指導 者 群 Me M ea n ± SD Me M ea n ± SD 有意 差 2) Me M ea n ± SD Me M ea n ± SD 有意 差 2) 失 敗 ・苦 痛 時 に は 同 僚 か ら の 支 援 が 得 ら れ る 4.5 4.3 ± 1.0 4.0 3.8 ± 0.5 4.5 4.3 ± 1.0 3.5 3.3 ± 1.0 * 患 者 の 依 頼 ご と を面 倒 と 思 わ ずに 受 け 入 れ る こ と が で き る 4.5 4.0 ± 1.4 4.0 3.8 ± 0.5 4.0 4.0 ± 0.8 4.0 3.8 ± 0.5 患 者 の 排 泄 の 世 話を す る こ と が 苦 痛な く で き る 4.5 4.0 ± 1.4 4.0 3.8 ± 0.5 4.0 3.8 ± 1.3 4.5 4.0 ± 1.4 同 僚 か ら の 注 意も素 直 に 受 け 止 め られ る こ と が で き る 4.5 4.0 ± 1.4 3.5 3.3 ± 1.0 4.0 3.8 ± 1.3 2.5 3.0 ± 1.4 職 場 で は , 教え を 受 け や す い 4.0 4.0 ± 0.8 3.5 3.3 ± 1.0 4.5 4.3 ± 1.0 4.0 3.5 ± 1.0 職 場 で の 学 び を 感じ る 4.0 4.0 ± 0.8 3.5 3.5 ± 0.6 4.5 4.3 ± 1.0 4.0 3.8 ± 0.5 上司 へ の 報 告 がで き る 4.0 3.8 ± 0.5 3.5 3.8 ± 1.0 4.0 3.8 ± 0.5 4.0 3.8 ± 0.5 同 僚 に 苦し いこ と を 相 談 で き る 3.5 3.8 ± 1.0 3.5 3.5 ± 1.3 3.0 3.3 ± 1.3 3.0 3.3 ± 0.5 休 暇・ 欠 勤 ・ 遅 刻 時 の 事 前 届 出 を守 れ て い る 3.5 3.8 ± 1.0 4.0 3.8 ± 1.3 3.5 3.5 ± 1.3 3.5 3.3 ± 1.0 患 者 の 苦 痛 に 向き 合 う こ とが で き る 3.5 3.3 ± 1.0 3.0 3.0 ± 0.8 4.0 3.8 ± 0.5 3.5 3.5 ± 0.6 患 者と容 易 に 会 話 で き る 3.5 3.3 ± 1.0 2.5 3.0 ± 1.4 4.0 4.0 ± 0.8 3.0 3.0 ± 0.8 上 司 の 忠告 がス ト レ ス に な っ て い な い 3.5 3.3 ± 1.0 2.5 2.8 ± 1.0 3.5 3.3 ± 1.0 2.5 2.8 ± 1.0 上 司 の 自 分 に 対 す る 評 価 が スト レ ス に な っ て い な い 3.5 3.0 ± 1.4 2.5 2.8 ± 1.0 4.0 3.5 ± 1.0 3.0 3.0 ± 0.8 職 場 の 状 況を 判 断 し て 動 け る よ う に な っ た 3.5 3.0 ± 1.4 2.0 2.0 ± 0.8 4.0 3.5 ± 1.0 3.0 3.0 ± 0.0 同 僚 の 仕 事 を 助 け る こと が で き る 3.0 3.5 ± 1.0 3.0 2.8 ± 1.3 4.0 4.0 ± 0.8 3.0 2.8 ± 0.5 職 場 の 看 護 方 式 に つい てい け る 3.0 3.3 ± 0.5 3.0 3.0 ± 0.8 3.5 3.5 ± 0.6 3.5 3.3 ± 1.0 看 護 業 務 の 内 容 が 苦 痛 で ない 3.0 3.3 ± 1.3 3.0 3.0 ± 1.2 3.5 3.5 ± 0.6 4.0 3.5 ± 1.0 給 料 に 満 足し て い る 3.0 3.3 ± 0.5 3.5 3.0 ± 1.4 3.0 3.0 ± 0.0 3.5 3.5 ± 0.6 職 場 で は 自 分 の能 力 を発 揮 し や す い 3.0 3.0 ± 0.8 3.0 3.0 ± 1.2 3.5 3.5 ± 1.3 3.0 2.8 ± 0.5 職 場 ・ 病 院 の規 則 に 慣 れ た 3.0 3.0 ± 0.8 3.5 3.8 ± 1.0 3.0 3.3 ± 1.3 4.0 4.0 ± 0.8 患 者 に 医 療 的 処 置 を で き る 3.0 2.8 ± 0.5 2.0 2.3 ± 0.5 3.5 3.5 ± 0.6 2.5 2.5 ± 0.6 * 自 分 の担 当 範 囲 の看 護 業 務 を 処 理で き る 3.0 2.8 ± 0.5 2.5 2.8 ± 1.0 4.0 3.5 ± 1.0 3.5 3.3 ± 1.0 職 場 で は, 自 分 の意 見 を 言 い やす い 3.0 2.8 ± 0.5 2.5 2.8 ± 1.0 3.0 3.3 ± 1.3 3.0 3.0 ± 1.2 職 場 で は 失 敗 や 苦 言 を 言 わ れな い 3.0 2.8 ± 1.3 2.5 2.5 ± 1.3 3.5 3.3 ± 1.0 2.5 2.5 ± 0.6 職場 で は 努 力 や 勤勉 さ が 評 価 さ れ る 3.0 2.8 ± 1.3 3.0 3.3 ± 0.5 3.5 3.3 ± 1.0 3.0 3.3 ± 0.5 勤 務 時 間 を 遵 守 で き る 3.0 2.8 ± 1.5 4.0 4.3 ± 0.5 2.5 3.0 ± 1.4 4.5 4.3 ± 1.0 職 場 で は たいて い の こ と は 自分 で で き る 3.0 2.5 ± 1.0 2.5 2.3 ± 1.0 3.0 2.8 ± 0.5 2.0 2.3 ± 0.5 患 者の 文 句 に対 処 で き る 2.5 2.8 ± 1.0 3.0 3.0 ± 0.0 3.5 3.3 ± 1.0 3.0 2.8 ± 0.5 注 1) 1 期:就職後 3 ヶ月目 2 期:就職後 6 ヶ月目 注 2) 非適応群と指導者群の比較 Wilcoxon の符号付順位検定 *p<0.05

(6)

名から 2 期で 2 名が低値であった。 指導者の比較は「職 場の状況を判断して動けるようになった」が 1 期・2 期 で 3 名中 3 名が高値であった。「失敗・苦痛時には同僚 からの支援が得られる」「同僚の仕事を助けることがで きる」「患者に医療的処置をできる」は 1 期の 3 名中 2 名 から 2 期で 3 名と高値になった。「職場では失敗や苦言 を言われない」「職場では教えを受けやすい」「同僚から の注意も素直に受け止めることができる」は 1 期・2 期 の 3 名中 2 名が高値,1 名が同値であった。「職場・病 院の規則に慣れた」「勤務時間を遵守できる」は 1 期・2 期の 3 名中 2 名が低値であった。 院の規則に慣れた」「勤務時間を遵守できる」「休暇・欠 勤・遅刻時の事前届出を守れている」「職場では失敗や 苦言を言われない」等 6 項目が低値であった。 5. 休職者の職場適応の認識の特徴 (表 4) 休職者(n=3)は,適応群の比較では「上司の自分に対 する評価がストレスになっていない」「職場の状況を判 断して動けるようになった」が 1 期の 3 名中 2 名から 2 期で 3 名が高値になり,「失敗・苦痛時には同僚からの 支援が得られる」が 1 期・2 期で 3 名中 2 名と高値であっ た。「同僚に苦しいことを相談できる」は 1 期の 3 名中 1 表 4 非適応者1)と適応群・指導者の職場適応の認識の特徴 n= 4 項       目 1 期 2 期 適応群との比較2) 指導者との比較3) 適応群との比較2) 指導者との比較3) A B C D A B C D A B C D A B C D 上司関係 上司の忠告がストレスになっていない ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ 上司の自分に対する評価がストレスになっていない ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 看護業務の内容が苦痛でない ↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ 職場・病院の規則に慣れた ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 職場では失敗や苦言を言われない ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ 職場での学びを感じる ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 職場自立度 職場ではたいていのことは自分でできる ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 職場では自分の能力を発揮しやすい ↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 職場の状況を判断して動けるようになった ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ 自分の担当範囲の看護業務を処理できる ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ 同僚関係 同僚に苦しいことを相談できる ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ 失敗・苦痛時には同僚からの支援が得られる ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 同僚の仕事を助けることができる ↑ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 患者の苦痛に向き合うことができる ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ 給料に満足している ↑ ↓ ↓ ↑ ↓ ↓ 患者関係 患者の文句に対処できる ↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 患者の依頼ごとを面倒と思わずに受け入れらる ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ 患者に医療的処置をできる ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 患者の排泄の世話をすることが苦痛なくできる ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ 患者と容易に会話できる ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ 職場環境 職場では,教えを受けやすい ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 上司への報告ができる ↓ ↑ ↓ ↓ 職場では,自分の意見を言いやすい ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ 職場では努力や勤勉さが評価される ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↑ 職場の看護方式についていける ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ 仕 事 関 係 同僚からの注意も素直に受け止められることができる ↓ ↑ ↑ ↑ ↑ ↓ ↑ ↑ ↑ 勤務時間を遵守できる ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 職 場 規 則 休暇・欠勤・遅刻時の事前届出を守れている ↓ ↑ ↓ ↓ ↑ ↑ ↓ ↓ ↓ ↑ ↓ ↑ ↑ 高値 :   ↑ 0 12 10 9 2 23 6 10 0 10 11 13 6 16 14 12 低値 :   ↓ 26 1 5 1 13 1 12 4 26 2 5 2 6 2 5 5 同値 :     2 15 13 18 13 4 10 14 2 16 12 13 16 10 9 11 注) 1) 非適応者(n=4): A 退職者(1 名) B ~ D 休職者(3 名) 2) 適応群(n=42 の中央値)との比較 ↑:非適応者>適応群 ↓:非適応者<適応群 空白 :非適応者=適応群 3) 指導者(n=4)との比較: ↑:非適応者>指導者 ↓:非適応者<指導者 空白 :非適応者=指導者

(7)

Ⅵ.考察

近年,新卒者の離職防止は重要な課題であり1),その 対策となるプリセプターシップの導入は重要である2) 今回,プリセプターシップを導入している施設において 新卒者の職場適応の認識調査の結果,職場適応の認識は 適応群より指導者群が高値を示し,非適応群は指導者群 の方が低値だった。退職者(n=1)は,ほとんどの項目が 指導者よりも低値を示し就職後 6 ヶ月目でも上司・患者・ 同僚関係が適応群よりも低値を示した。休職者(n=3)は, 指導者より高値の項目が多く適応群より高い傾向にあっ たため,非適応者(退職者 1 名,休職者 3 名)の職場適応 状況から職場適応対策の検討が必要と考え,適応群 (n=42)および指導者との認識の相違の結果を分析し非 適応者の課題と対策について考察する。 1. 退職者の特徴と課題 退職者は,6 ヶ月でも患者・同僚・上司との関係が築け ず,看護業務が苦痛,職場・病院の規則を遵守できない等, ほとんどの項目で適応群および指導者より認識の低いこ とが特徴であった。新人看護師の就職後 4 ヶ月間の職場 適応過程は,日常生活,患者との関わり,職場の人間関係, 業務関連の要因が,適応・不適応状態の両方に揺れながら, この順序で適応していくといわれている17)。また新卒者 の離職願望の理由は,3 ヶ月・6 ヶ月に仕事の失敗,人 間関係,自尊感情の低下等3) があり,離職を考えたとき, その解決方法は同期の同僚と話すことであるといわれて いる18)。退職者は,適応できない状況にいたと考えら れる。上司の忠告や評価はストレスになっており,報告 もできなく,指導者もこの状況を同様に認識していた。 1〜2 年目の退職者の特徴としてコミュニケーションス キルが低く,心身の不調から労働遂行能力の低下により 退職が生じているといわれている19)。これも退職者の 特徴を示している。退職者は,看護業務内容が苦痛で処 理できないと自己評価が低く,指導者も低かったことか ら看護技術,専門知識,業務遂行も取り組めない状況が 6 ヶ月間も続いたと考える。一般に就職後 1 ヶ月と 3 ヶ月 後の職務上の困難は,看護技術,専門知識,業務遂行に 関するものが多く,先輩看護師やプリセプターに看護技術 の指導や業務遂行の援助,精神的な支えを求めている20) 当該退職者の場合,看護業務に取り組めない状況を指導 者は早期に把握し,把握できた状況を先輩看護師や上司 に相談して早急な対応が必要となる。プリセプターや先 輩看護師に求めることは精神的な支えであることから, 業務に適応できない場合は,業務に適応させることを焦 らず,長期に渡って話し合い,本人の意向を知ることが 先決である。退職者は,職場・病院の規則を遵守できて いない。規則は,職場が円滑に機能し患者や看護師など 職員の保護と秩序の維持やトラブルの防止に繋がる。職 場適応における職場規則の遵守は 50 歳代に比べ 20 歳代 は有意に低く,職場の仕組みや人間関係などを掌握でき ていないこと,自己を考えることでいっぱいであり職場 規則などを考える余裕がない21)。退職者も職場に慣れ ることや日々の業務を実施することが精一杯で余裕がな いと考えられる。規則遵守の必要性を認識できるための 就職直後からの対策が必要である。 2. 休職者の特徴と課題 休職者は,就職後 3 ヶ月目,6 ヶ月目ともに適応群お よび指導者より高い傾向にあった。これは,自己評価が 高く指導者の指導や評価を正しく理解できていないこと を示している。新卒後 1 年間は,プリセプター制度のも とでマンツーマンの指導体制が組まれ,プリセプターの 支援を受けて徐々に実施できる内容が増加していくが, 3 ヶ月・6 ヶ月では,状況を判断して動くことは現実的 には難しい。看護師の職場適応において 20 歳代は 40 歳 代,50 歳代より自律度が低いことは,看護技術の習得 だけでなく同僚の行動・思考の傾向が掌握できていない ためにどのように動いてよいか,仕事の進め方が理解で きないと考えられる21)。適応群よりも実践能力がある とする休職者の実力が伴わない思い込みは,実践場面で の失敗やできないことに直面することで,リアリティ ショックに陥いる危険性がある6)。それを予防するため にも職場での人間関係を豊かにし,相互理解を深めなが ら,新卒者自身が正しく自己の能力を評価してスキル アップできる関わりの検討が必要である。新卒者の自立 過程には,患者ケアの実施や身近な先輩看護師やプリセ プター,病棟に関わる医療スタッフ等,他者との関わり の中で自分自身が気づくことやさらにアドバイスを吸収 することで成長している22)。このことから日々の看護 業務の中で早期に育成を期待する援助技術は,早期から 体験する機会を多く計画し,期待する看護師を育成する ためには,先輩の看護師等が率先して真摯な看護師とし ての役割モデルを示していくことが重要である。さらに 休職者が職場適応をできるためには,自己評価だけでな く他者評価も活用して自己の課題を明確にしていくこと が重要である。「同僚に苦しいことを相談できる」は,適 応群・指導者よりやや低い傾向にあった。休職者も同僚 に相談ができない状況にいたことが考えられる。新人看 護師の職務上困難で就職後 1 ヶ月・3 ヶ月の人間関係は, 一番上手くいかないのは同期との関係であったが,1 ヶ 月・3 ヶ月で有意に低かったのはプリセプターとの関係 だった20)。休職者は,同僚からの働きかけが多く,そ れに応えることはできているので支援を受けて問題を少 しでも解決する手段は持っている。しかし長期的には休 職者自身が,新卒者との関係づくりをしていかなければ

(8)

けないなど職場適応のほとんどの項目が適応群・指導者 より低く,関係が十分に築けない現実を認識していた。 休職者は,就職後 6 ヶ月目まで職場の状況を判断して動 けるなど自己の課題が認識できず,適応群および指導者 より認識の高い項目が多かった。そのため就職後早期か ら職場適応の自己評価,指導者等からの他者評価の機会 を設けて指導者より自己評価が低すぎる者,高過ぎる者 を早期から把握し,退職・休職防止のための個別指導な どの対策が必要である。

謝辞

本研究の調査の主旨をご理解いただくとともにご快諾 下さり,大変ご尽力・ご協力を頂きました看護師の皆様, 病院関係者の皆様に心より感謝申し上げます。 引用文献 1) 厚生労働省(2011)新人看護職員研修ガイドライン平成 23 年 2 月.http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000128o8-att/2r985200000128vp.pdf (2012 年 3 月 26 日アクセス). 2) 後藤桂子(1986)新卒看護師のリアリティショック対策としての プリセプターシップ.看護展望,11(6):589-591. 3) 水田真由美,上坂良子,他(2004)新卒看護師の精神健康度と離 職願望.和歌山県立医科大学看護短期大学部紀要,7:21-27. 4) 宗像恒次,及川尚美(1986)リアリティショック −精神衛生学 の視点から−.看護展望,11(6):562-567. 5) 平賀愛実,布施淳子(2007)新卒看護師のリアリティショックと プリセプターからみた新卒看護師のリアリティショックに関す る認識の相違.日本看護研究学会雑誌,30(1):109-118. 6) 水田真由美(2004)新卒看護師の職場適応に関する研究−リアリ ティショックと回復に影響する要因−.日本看護研究学会雑誌, 27:91-99. 7) 勝原裕美子,ウイリアムソン彰子,他(2004)専門職のキャリヤ 発達に影響を与えるリアリティショックの実態 −看護学生か ら看護師への移行プロセスにおけるプロフェッションフッドの 変容に焦点を当てて−.経営行動学会年次大会発表論文集,7: 40-47. 8) 井部俊子(2002)看護系大学新卒者の臨床実践能力.病院,61 (4):288-295. 9) 大久保仁司,平林志津保,他(2008)新卒看護師が入職後 3 ヶ月 までに感じるストレスと望まれる支援.奈良県立医科大学看護 学科紀要,4:26-33. 10) 久保江里,前田ひとみ,他(2007)新卒看護師の仕事に対する予 想とのギャップと対象の実態−就職 3 ヶ月と 6 ヶ月後の縦断的 調査から−. 南九州看護研究誌,5(1):45-52. 11) 寺澤明子(2003)プリセプターシップにおけるプリセプターの看 護専門職としての成長過程.日本赤十字広島看護大学紀要,3: 45-52. ならない。同僚から欲しい支援に「何でも話し合い,支 えあう関係」「辛さを共有しあう」「情報を交換し支えあ う・学びあう」等20) 相互に作用する関係形成が求められ る。先輩看護師の効果的な関わりとして挙げられた内容 は,状況を敏感に察し,見守っていることを感じさせ, やる気を失い挫折しないように積極的に支援する,行動 を補う「無条件フォロー」であった23)。新卒時早期から の同僚やプリセプターとの人間関係形成が課題である。 3. 新卒者の職場適応のための対策と課題 医学教育では,2004 年から「新臨床研修制度」により 6 年次修了後,2 年間以上の臨床研修が義務化されている。 大学病院あるいは臨床研修病院でプライマリケア(初期 治療)の診療ができることを目標に,研修プログラムに 沿って研修に専念できる環境を整備している24)。看護 職の新卒者に対しては,2010 年度に努力義務として「新 人看護職員研修」が開始された。就職後の新人看護研修 期間は 1 年間が最も多い(52.5%)が 1 ヶ月〜 6 ヶ月間も 多く(37%)25) ,一旦就職すると所属部署はほぼ固定化さ れ,その後は毎年希望を提出しなければ配置転換は,認 められないことも多い。就職後の継続教育は,各施設の 采配によって行われている。新卒者の早期離職・休職の 予防にむけて,看護基礎教育課程修了後の卒後教育の期 間と内容の整備が必要とされる。現在,多くの施設で導 入されているプリセプターシップは,長くても 1 年間, それより短期間の施設もあり,期間が限られていること, プリセプターの役割をとる看護師も卒業後 3 年程度の若 い者も多いため14)指導者としての負担の重さ等多くの 問題を抱えている。そのため非適応者の抱える問題,人 間関係,看護業務の取り組み,職場・病院の規則の遵守 等を,プリセプターは先輩や管理者と相談しながら早期 に把握し,個別に相互に話し合いを持ちながら改善策を 見出すことで,プリセプターの負担も軽減し,牽いては 新卒者の士気も向上すると考える。

Ⅶ.研究の限界と課題

本研究は,非適応者の職場適応の早期把握と対策のた めのスクリーニングに活用できる内容であったが,個別 の原因と改善策の分析には至っていない。今後,非適応 者を早期から把握し,適応できる改善策を提示できるよ う退職者等の継続した調査と分析・検討が課題である。

Ⅷ.結論

適応群は,指導者群の方が上司・患者・同僚関係,職 場自立度などの認識が有意に高く,非適応群は,指導者 群が低かった。退職者は,患者・同僚・上司と関係が築

(9)

12) Lee TY, Tzeng WC, et al.(2009) Effects of a preceptorship programme on turnover rate, cost, quality and professional development. Journal of Clinical Nursing, 18 (8):1217-1225. 13) 日本看護協会(2012)「2011 年病院看護実態調査」結果速報, 1-14.http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20120806122153_f.pdf (2012 年 6 月 3 日アクセス). 14) 伊津美孝子,清水房枝,他(2008)プリセプターシップにおける 看護師長の役割行動評価とプリセプターシップ概念の解釈との 関連.三重看護学誌,10:77-81. 15) 木内妙子,関根早苗(1997)我が国におけるプリセプター制度の 普及動向と今後の課題− 1986 年から 1996 年の報告研究論文を 対象に−.東京都立医療技術短期大学紀要,10:205-212. 16) 藤本ひとみ,山内弘子,他(2010)看護師の職場適応度尺度の妥 当性と信頼性.新田塚医療福祉センター雑誌,7(1):19-23. 17) 片山富美代,池田明子(1997)新卒看護師の職場適応に関する研 究−就職後 4 ヶ月間の適応過程の分析−.日本看護研究会雑誌, 20(3):158. 18) 宮澤朋子,松本じゅん子(2008)新卒看護師の精神的未熟さ・弱 さに対するスタッフ看護師および新卒看護師自身の認識.長野 県看護大学紀要,10:69-78. 19) 渡邊里佳,荒木田美香子,他(2011)若手看護師における退職の 予測因子の検討.日本看護管理学会誌,15(1):17-28. 20) 唐澤由美子,中村惠,他(2008)就職後 1 ヶ月と 3 ヶ月に新人看 護師が感じる職務上の困難と欲しい支援.長野県看護大学紀要, 10:79-87. 21) 藤本ひとみ,成瀬早苗,他(2011)看護師の人口学的背景からみ た職場適応度.新田塚医療福祉センター雑誌,8(2):35-39. 22) 坂村八重,岡本裕子,他(2008)新卒看護師の専門職としての自 立体験− 8 名の第卒看護師へのインタヴューを通して−.広島 国際大学看護学ジャーナル,6(1):47-56. 23) 濱元淳子,井上範江,他(2012)新卒看護師の職場適応を促す先 輩看護師の効果的な関わり.日本赤十字九州国際看護大学紀要, 11:11-24. 24) 遠藤久夫(2012)医師の労働市場における需給調整メカニズム− 卒後研修(臨床研修制度と専門医制度)に注目して−.日本労働 研究雑誌,618:69-80. 25) 上泉和子,羽生田俊,他(2010)新人看護職員研修のあり方に関 する研究.平成 21 年度厚生労働科学研究補助金(特別研究事業) 総括報告書,1-98.

参照

関連したドキュメント

地域の感染状況等に応じて、知事の判断により、 「入場をする者の 整理等」 「入場をする者に対するマスクの着用の周知」

既存の精神障害者通所施設の適応は、摂食障害者の繊細な感受性と病理の複雑さから通 所を継続することが難しくなることが多く、

さらに, 会計監査人が独立の立場を保持し, かつ, 適正な監査を実施してい るかを監視及び検証するとともに,

適応指導教室を併設し、様々な要因で学校に登校でき

3 指定障害福祉サービス事業者は、利用者の人権の

◆後継者の育成−国の対応遅れる邦楽・邦舞   

開催数 開 催 日 相談者数(対応した専門職種・人数) 対応法人・場 所 第1回 4月24日 相談者 1 人(法律職1人、福祉職 1 人)

①正式の執行権限を消費者に付与することの適切性