Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№11:千葉歯科医療センターで使用している光照射器
の出力がコンポジットレジンの硬化深さに及ぼす影響
Author(s)
亀山, 敦史; 久永, 竜一; 杉山, 利子; 杉山, 節子; 江
川, 昌宏; 村松, 敬; 高橋, 俊之
Journal
歯科学報, 119(3): 238-238
URL
http://hdl.handle.net/10130/4901
Right
Description
目的:東京歯科大学千葉歯科医療センターは開院か らすでに35年以上経過しており,一部の機器は老朽 化している。コンポジットレジン重合用の光照射器 についても旧世代のものが混在しているため,一部 の機器についてはコンポジットレジンの硬化に影響 を及ぼしている可能性がある。本研究では,千葉歯 科医療センターの各診療科に設置されている光照射 器の先端照射出力(パワー密度)の測定を行うとと もに,コンポジットレジンの硬化深さに及ぼす影響 について検討を行った。 方法:2018年8月現在,千葉歯科医療センターで使 用されている光照射器93台(保存科6台,歯科麻酔 科2台,総合診療科20台,小児歯科6台,口腔外科 8台,補綴科27台,矯正歯科17台,口腔インプラン ト科7台)のライトガイド先端から照射される光の パワー密度を歯科用ラジオメーター(Model L. E. D. Radiometer by Demetron,SDS Kerr)で計測 した。さらに,各診療科の光照射器で最も高いパ ワー密度を示したもの,最も低いパワー密度を示し たものを選出し,ISO 4049に示す実験方法に準じ て 硬 化 深 さ の 測 定 を 行 っ た。す な わ ち,直 径4 mm,深さ8 mm の円筒形割型にコンポジットレジ ン(ハーキュライト XRV,シェード A2,Kerr) を塡入,10秒間または30秒間の光照射を行った後, 硬化した部分の長軸をデジタルノギスで計測した (n=5)。各診療科間の比較には Scheffé の多重比 較法を用いた(p<0.05)。また,パワー密度とコン ポジットレジンの硬化深さの相関分析もあわせて 行った(Pearson の積率相関,p<0.05)。 結果および考察:全96台中13台(17.6%)で一般に 必要とされるパワー密度400mW/cm2 を下回ってい た。コンポジットレジンに10秒間または30秒間光照 射した場合の硬化深さは,パワー密度との正の相関 を認めた(10秒間 r=0.902,p<0.001;30秒間 r=0.934,p<0.001)。総合診療科および補綴科で 最もパワー密度の小さい光照射器を用いてコンポ ジットレジンに30秒間の光照射を行った場合,その 硬化深さは最もパワー密度の大きい光照射器で10秒 間光照射した場合の硬化深さより小さかった。した がって,重合不足に起因する臨床上の不具合を未然 に防ぐためにも各光照射器の出力を定期的に点検 し,把握することが必要であると考えられた。 目的:奇形様嚢胞は卵巣や精巣で好発すると報告さ れているが,口腔領域ではまれな非歯原性発育性嚢 胞である。 2017年 WHO により奇形様嚢胞の定義が正式に定 義され,今回私たちはこれに基づき,口底に生じた 奇形様嚢胞を診断した一例を経験したので報告す る。 症例(事例):16歳の女性。口底部の腫脹を主訴に 2018年に当科受診。現病歴として2017年頃より口底 部の腫脹を自覚し,症状がないためかかりつけ歯科 で経過観察を行っていたが,徐々に増大を認め学校 検診で指摘されたため精査目的に当科を紹介され来 院した。口腔内所見として口底に弾性軟の腫脹を認 め,舌が後方へ押され二重舌を呈していた。その 際,滑舌はやや不明瞭だったが構音障害は認めな かった。CT 所見として口底正中部に境界明瞭な30 ×70mm 大の低濃度領域を認めた。MRI 所見とし て同部位に境界明瞭な嚢胞状構造を認め,T2W1 にて内部は高信号,T1W1にて低信号を示してい た。穿刺吸引細胞診を実施したところ,類皮嚢胞, 類表皮嚢胞が疑われるという結果であった。同年10 月に全身麻酔下に口内法により,嚢胞摘出術を行っ た。口底の正中からアプローチして,嚢胞壁を鈍的 に剝離し,一塊として摘出した。術後の病理検査で は,嚢胞壁に皮膚付属器とともに Desmin,SMA 陽性の平滑筋が観察されたため,奇形様嚢胞である と診断された。術後の合併症はなく,経過は良好で ある。 成績および考察:奇形様嚢胞は,1955年 Meyer が 初めて発表し,病理組織学的に類表皮嚢胞,類皮嚢 胞と並列して分類されていたが2017年 WHO により 新たな分類が掲載され本疾患は,嚢胞壁に皮膚付属 器を有する類皮嚢胞に加えて本症例のように嚢胞壁 に平滑筋組織を伴うものを奇形様嚢胞と定義され た。口 腔 領 域 で は 類 皮 嚢 胞 の 発 生 頻 度 は16.7∼ 39.0%という報告があるが,奇形様嚢胞は全類皮嚢 胞の中で1.6%とまれである。発生機序は胎生期の 胚上皮よりなるという報告から先天性嚢胞と考えら れ,新生児や乳児に発見されることが多い。また発 生部位は類皮嚢胞と同様に口底に多く,多彩な内容 液を呈するため臨床的に鑑別は困難である。初期治 療として開窓療法施行後の再発例や約5%に悪性転 化するという報告もあることから,本症例のような 周囲筋との癒着に注意し確実な完全摘出が望まれ る。