児童虐待遭遇場面における大学生の心的様相に関する研究 : 場面想定法を用いた質的調査から
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(2) 場面想定法とは,状況を仮定し,自分の認知. られるのではないか,という不安を抱えており,. や感情等を推測する方法であるため,想定場面. 虐待通報の義務を知り得ていても,虐待通報後,. と類似した体験のない大学生には,回答のしに. 専門機関がどう対応をとるか認識できてない. くさが見られた。. ことで,大学生が通報を躊踏していたと考えら. 以上の結果と考察をふまえて,調査2ではよ. れる。匿名での虐待通報が可能であるというこ. り具体的な大学生の行動と心的様相を明らか. と,さらには専門機関が通報者や通報対象家庭. にすることとした。. に対してどのような対応をとるのかについて,. 調査2. 地域や学校での積極的な情報提供が,通報への. 調査対象 調査1の質問紙調査の回答者のうち,. 不安の解消に繋がると推察される。. 調査目的をふまえた上で協力を可能とした大. また,大学生が【怒鳴ること】と【身体的暴. 学学部生4名(男性3名,女性1名)であった。. 力】を族として許容している背景には,親が虐. 実施期間及び場所 2012年10月に,大学また. 待者であっても,養育態度を肯定的に捉えると. は公共施設の会議室にて実施した。. いう世代間伝達が生じていると考えられた。. 調査手続きと内容 家庭教師場面とスーパー. 限界と課題. 場面を提示し,筆者が約1時間の半構造化面接. 調査2のインタビュー調査は,調査対象者が. を実施した。. 4名と限定されていたこと,調査対象者全員に,. 主な質問項目は,調査1の3項目と,想定場. 生育過程における身体的・言語的暴力遭遇の有. 面と類似した経験があるかどうか,等であった。. 無を聴取しなかったことは,本研究が浅い側面. 結果と考察 半構造化面接の逐語記録を,. にとどまった感がある。. SCAT(大谷,2008)を用いて分析した。. 今後,対象者数を拡大し,想定場面と類似し. 調査2においては,大学生が【子どもへの聴. た虐待場面への遭遇経験の有無や生育歴にお. き取り】,【子どもへのはたらきかけ】,【周囲へ. ける身体的・言語的暴力の有無をインタビュー. の相談】といった積極的な行動を想定する一方. 項目に加え,大学生の児童虐待遭遇場面におけ. で,【母親への恐怖心】や【第三者としての無. る心的様相の質的研究を積み重ねていくこと. 力感】から,消極的な行動を取る可能性も示唆. が,課題として挙げられる。. していることが明らかになった。このことから,. また,r大学生が生活している中で自然に遭. 大学生らが相反する行動を想定し,迷いを感じ. 遇しそうな児童虐待の場面」として作成された. ていることが推察される。. 8場面のうち,本研究では身体的虐待に分類さ. スーパー場面においては,親子の様子を観察. れる2場面のみを用いたが,他の6場面につい. しながら,その間に身体的暴力が止むことを期. ても,場面想定法の想定場面として用いること. 待している心的様相があった。大学生は,スー. も,今後の課題として考えられる。. パーという閉鎖的でない空間においては,暴力 がエスカレートしない,という認識を持ってい たと考えられる。一. 主任指導教員 市井雅哉. 家庭教師場面においては,通報行為が親に知. 指導教員:海野千畝子.
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