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ニューカマーの生徒に対する教育的支援のあり方に関する研究~中国をルーツとする中学生への母語によるインタビューを通して~

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Academic year: 2021

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(1)  ニューカマーの生徒に対する教育的支援のあり方に関する研究. ∼中国をルーツとする中学生への母語によるインタビューを通して∼                               教科・領域教育学専攻                               総合学習系コース                               M063091                               益田 洋一. 1.問題の所在と研究の目的. 2.研究の方法と内容.  1990年代以降、ニューカマーとよばれる新規. (1)調査対象. 外国人移住者が増加し、学校現場では、ことば.  兵庫県公立A中学校のJSL教室に在籍する. や生活習慣の異なるニューカマーの子どもが増. 「中国」をルーツとする生徒(中学校1年生∼3. え始め、混乱をきたした。2007年末の外国人登. 年生)1O名を本研究の調査対象とした。. 録者数は215万人を超え、今後もニューカマー. (2)調査期間. の子どもたちが全国的に増加していく可能性が.  2006年10月から2007年1月までJSL教室に. 高いと思われる。. て観察を行い、2007年2月から2007年12月ま.  学校現場では、急増するニューカマーの子ど. で計14回(同一調査対象者に重複して調査をし. もたちへの教育的支援が急務となり、日本語習. たものも含む)調査を行った。. 得や学習支援が中心として行われてきた。それ. (3)調査方法. らの支援は一定の成果をみせているものの、彼.  放課後、A中学校内の教室で、調査内容①から. らが生活言語を習得した段階で打ち切られてし. ④について、日本語(版)、中国語(版)のいずれ. まうことが多く、継続的支援は難しい。このよ. か、もしくは両方で行った。. うに、これまでのニューカマーの子どもたちへ. (4)調査内容. の支援は、彼らの日本語能力の不十分さを補う. ①調査用紙A(FaceSheet):調査対象者の生. ことのみに焦点化されているといっても過言で.  まれや性別、渡日などの項目の聞き取り. はない。しかし、彼らは文化を越えて日本で生. ②調査用紙B(母語学習、日本語教育関係). 活しており、日本語習得や学習以外にも、自分.   家族内での使用言語や家族との関係、目. がこれからどう生きていけばいいのかについて.  本語学習や学校での学習などの項目にっい. 悩むなど、助けを必要としているのではないだ.  ての聞き取り. ろうかと考える。. ③こころの健康調査用紙:(a)バールソン自己.  そこで本研究では、全国的に増加傾向にある.  記入式抑うっ評価尺度、(b)不安・ストレス. 中国をルーツとするニューカマーの子どもたち.  調査票(中学生版)について本人が記入. が、どのような状況の中で生活し、悩みを抱え. ④フリーインタビュー. ているのかについて調査する。そして、彼らが どの段階で、どのような教育的支援を求めてい. 3.研究の成果と考察. るのかを探りながら、その支援の担い手と継続.  今回の調査では、中国をルーツとする生徒10. 的支援の必要性について考える。. 人に対する横断的データを分析した。その中か. 一512一.

(2) ら滞在期間が3ヶ月(滞在初期段階)の生徒と. らせるのではなく、長期的に、そして彼らが必. 7年(滞在長期段階)の生徒をそれぞれ1名ず. 要としている支援を行っていくことが重要であ. つ抽出し、そのインタビューについて分析した。. る。.  滞在初期段階にある生徒にとって必要な支援. (1)生徒の現状.  滞在3ヶ月の滞在初期段階にある生徒につい. とは、JSL教室の教師や日本語教師などによる. ては、中国人として日本で生きているという自. 日本語教育支援と、中国語話者などによる母語. 覚をしっかりと持っていた。また、自分の将来. 話者支援であり、一方、滞在長期段階にある生. 像についても描くことができていた。しかし、. 徒にとって必要な支援とは、異文化経験者など. 日本語能力が未習得であるため、学校での学習. による文化的視点にたった「共感」による教育. や日本人とのコミュニケーションに悩み、学校. 的支援であると考えられる。. の教師にも相談できずにいる現状にあった。ま.  しかし、滞在期間によって必要な支援が規定. た、家族から勉強について叱られる度合いが高. されるような明確な区切りがあるわけではな. まるにつれ、家族との会話を楽しく感じること. く、それらの支援はひとつの連続線上に位置づ. ができなくなっている。. けることができる。つまり、ニューカマーの子.  滞在7年の滞在長期段階にある生徒について. どもたちひとりひとりの日本語能力や異文化へ. は、日本の学校生活において日本語で問題なく. の適応具合などをみながら、その子に応じたよ. コミュニケーションができているようにみえ. りよい支援を選択することが大切である。. た。しかし、自分の将来像については具体的に.  また、これらの教育的支援をすべて家庭や学. 描くことができていなかった。また、家族から. 校任せにするのではなく、第三者的外部人材を. の期待と自分の意志との食い違いや、親の文化. 活用し、ニューカマーの子どもも自信を持って. と日本の生活文化との不一致などから、悩みや. 自分の将来を描き、切り開いていけるよう支援. ストレスを抱えていることも明らかとなった。. することが求められる。. (2)考察.  滞在初期段階と滞在長期段階の生徒のちがい. 4.今後の課題. の背景にあるのは、 「中国」と「日本」という. 本研究の課題は、以下の2点である。. 二つの文化的世界の比重であると考えられる。. (1)異文化経験者の「共感」による教育的支. 中国をルーツとする生徒は、滞在期間が長期化. 援に関して、青年海外協力隊などの異文化経験. することで彼らの中にある二つの文化的世界の. 者を活用することなど、具体的な実践を通して. 比重が変化し、その中でアイデンティティはゆ. その有用性について検証していく必要がある。. れ動き、自分の将来に対する悩みを抱える。そ. (2)滞在中期段階にあると思われる生徒の調. して、その悩みに対して適切な支援が行われな. 査分析を行い、初期から長期にわたるニューカ. ければ、自分がどのように生きていけばいいの. マーの子どもたちの適応過程を明らかにしたい。. か将来の自分を描くことができなくなってしま うという経過をたどると考えられる。. 主任指導教員 佐藤 真.  このことから、彼らへの支援を短期的に終わ. 一5I3一. 指導教員   鈴木 正敏.

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