特別講演「北海道畜産の未来を考える」
技術開発,特に酪農技術を巡って
ただ今,紹介にあずかりました宍戸でござい ます。いまのご紹介にありましたように,昭和6
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月に初めて北海道の地を踏んだ訳です けれども,その時,北海道に来ることは嬉しか ったのですが,北海道は技術レベルも高いし, そこで苛められるのは辛いなと,半分嬉しいよ うな,反面おつかなびっくりといった格好で北 海道にきた訳ですがお陰様で何とか過ごして まいりました。実は,今日の創立大会で何か話 をといわれた時,またそのときの気持ちを思い 出しましたが,朝日田先生から直接いわれると, 断るわけにもいかず こうして壇上にいる次第 です。先程,水問先生から農業,とくに畜産を 巡る基本的な考え方についてお話されましたが, 私は北海道の技術的な問題に絞ってお話させて いただきたいと思います。 現在,北海道が乳牛でいえば全国頭数で40%, 肉用牛でも 12%を越し,豚,採卵鶏やブロイラ ーにしてもそれぞれの地位を占めています。い ずれにせよ,大家畜を中心にした日本畜産の大 基地であることは間違いないことであります。 昭和6
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年に農水省が発表した酪近法に基づく将 来計画,それを受けて北海道でもどのように畜 産を発展させるかというプランが出されていま す。それを見ますと,平成 7年度には乳用牛は 91万頭,肉用牛は57.5頭と非常に大幅な,特に 肉用牛では倍以上の伸ぴが期待されています。 北海道ではこうした目的を掲げる一方,その達 成のため技術者がどのような技術を開発するか について厳しい注文が出されていると聞いてい 前農水省畜産試験場長宍 戸 弘 明
ます。こうした問題を解決していくためには当 然行政的な措置も重要でありますし,農家の方 々がどういう意識を持って取り組むか,それか ら先程,水問先生が話された社会的風潮とどう 調和させていくかなど,色々なアプローチがあ る訳ですが,技術開発にさまざまな問い掛けが 出てくるのも当然かと思います。私も農水省畜 試にいた時には,何かというとすぐ後は技術の 問題だ,技術者が解決しなればとせっかちな要 求が出されて当惑することが多かったものです。 畜産という立場から考えれば,北海道の場合 肉用牛の問題も非常に大きいし,あるいは北海 道としてはマイナーかも知れませんが,養豚, 養鶏の問題も実はありますが,私自身が北海道 でも酪農についていろいろな資料を集めたりし ていましたので,北海道の酪農の技術的な問題 は何だろうかということに絞ってお話ししたい と思います 昨年の4月の「北農」に「北海道酪農の技術 の展開方向を探る」というよくまとめられた論 文が掲載されています。これは当時滝川部長が 序文を書かれ,北農試,道立農試の方々,西村, 坂東,仮屋,小倉,竹下といった方々がそれぞ れ育種,飼養技術,繁殖,自給飼料,機械・施 設について書かれています。私も北海道にいた 時代に将来の展望についていろいろ考えたこと がございましたが これらの論文が代弁してく れていると思いますので是非ご一読下さい。 今日,私はこの「北農」に書かれた論文を下 敷きにするのではなく,別の面から北海道の酪- 6
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農技術の問題点を挙げたい。というのは「北農」 に書かれていることは,いかに家畜の生産力を 伸ばすか,個体の生産性を伸ばすにはどうした らよいかということが,それぞれの分野別に触 れられているのです。そういった技術がなけれ ば,家畜は成り立たないので,そのような研究 を大いに進めてもらわなくてはならないことは 事実です。しかし一方では個々の農家というこ とで見ると,開発された技術をどのようにして 取り入れればよいのか,また取り入れた結果が どうなるのか。もう少しトータルな面を中心に お話ししたいと思います。特に北海道の酪農の 場合は技術的な面あるいはスケールの面で内地 とは違った素晴らしいものを持っている訳で, 内地と比べながらああだ,こうだというのは必 ずしもプラスではないだろうと思います。むし ろ北海道の酪農技術が国際的な面から見た場合, どのような問題点を持っているのか。こうした ことを少し考えてみたいというのが今日お話す る内容であります。 私がこういう問題に興味を持つようになった のは昭和
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年に北海道にきた頃,ガットつまり 酪農製品の自由化の問題が起こったからです。 明日にも自由化がされ,そうなれば日本の酪農 は壊滅し,特に内地は駄目だろう。内地が駄目 になれば北海道が内地に殴込めばいいんじゃな いか。そのような話もあって 国内的にも国際 的にも酪農の位置づけをどのようにするかが非 常に関われた時代でもありました。そうした中 で農業経営や経済の専門家からの提言もかなり ありました。しかし私たち技術者にとって何を もたらしているのか,よく分からないようなも のも沢山ありました。ただ私にとって非常にイ ンパクトがある論説がいくつかありました。と いいますのは,それらの論説がかなり具体的な 技術論にも立ち入っていて,日本の酪農が何ら かの形で国際的レベルに達するには技術的にど こに問題があるのかに触れているからです。今 日はこうしたインパクトを与えてくれた論説を 紹介しながら,日本酪農,特に北海道の酪農を 外国と比較したとき,どのような長所や欠点が あるかについてお話ししたいと思います。 まず始めに昭和6
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月に酪農総合研究所か ら発表された「酪農の国際競争の現状とわが国 の国際競争力強化に関する提言」があります。 昭和61年に発表させれたので,今から 6年前に なりますから,古いといえば古いかも知れませ んし,またその後情勢も色々変わっていると思 うのですが,今日でも生きている重要なポイン トがいくつかありますので,それについて触れ たいと思います。スライドお願いします(表1
。) 表1
大規模経営モデルの概要 単 位 大規模経営 1 . 家 族 構 成 人 6.7 う ち 労 働 力 ~ 3.0 2.土 地 ha 69.3 飼 科。
67.8 施 設 今 1.5 3.家 畜 頭 132 経 産 牛 今 70 未 経 産 牛一
60 4.収 支 収 入 千円 42,360.0 支 出 か 33,878.5 所尋
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今 8,481.5 所 得 平F品, % 20.0 5.生 産 費 第 1次 生 産 費 円/kg 57.28 第 2次 生 産 費 か 69.83 6.生 産 乳 量 トン 511.0 7.労 働 生 産 性 1人年間労働時間 時間/年 2,099 1頭年間管理時間 日開/頭 1 31 1時間当たり乳量 kg/時間 166酪農総合研究所がその比較対象としているの はECです。この後に紹介するいくつかの論文 でもすべて ECをターゲットにしています。こ れはご承知のようにそれらが家族経営を中心と した酪農形態で日本と似ていること,また土地 もアメリカあるいはオーストラリアのように大 きくないということで比較しやすいからだと思 います。この酪総研の提言は7 ・7 • 7提言と も言われています。この7が 3つ重なっている のは,その
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つは牛乳の生産費(第2
次生産費) 70円からの 7で,当時いろいろな根拠から算出 された値で,現在でも通用する目標だと思いま す。経営規模として経産牛を70頭規模にする, これが2つ目の7です。それから 3つ目の7は 1頭当たりの乳量7000kgからです。つまり 70円 の 乳 価 を 実 現 す る た め に は , 経 産 牛 が70頭 で 7000勾の乳量を出すことが骨子で,それを裏付 ける詳細な算出基礎が示されています。また, こうした経営を実現していくためにはどうしな くてはという点もかなり詳しく提案させていま す。例えば新しい技術の導入や複合経営のこと, 農民の意識のこと,さらに国の施策についても 提言されています。ただ私がこの提言を見たと き非常に難しいとd思った点がいくつかありまし た。当時7000kgの乳量の牛はかなり高泌乳牛で, その粗飼料をどうするか飼料の体系をどうす るかといったことが論議されていました。どう しても良質な粗飼料をたくさん作らなければな らない。酪総研の提案でも10a当たり 61-"の生 草収量を挙げることが1
つのポイントでした。 また次いで1頭当たり年間管理時間が31時間, 30時間程度であることです。さらに1頭当たり 7000kgの乳量です。私がこの提案を拝見した時 に多分7000kgの乳量は育種技術と飼養管理技術 の向上で可能と思いましたが 問題は粗飼料生 産レベルと管理労働時間が難問で,技術者とし てはどう解いたらよいのか,非常にきつい問題 だと思いました。といいますのは,それだけの 粗飼料を採れなければ高泌乳牛に対する飼料を 確保できず, 30時間以内の管理労働でなければ 経産牛70頭を家族経営で管理できなくなってし まうからです。飼料について更にいえば,当時 北海道でも高泌乳化につれてかなり濃厚飼料に 依存するようになってきていて,粗飼料の占め る割合も下がり, 60%の前半台になっていまし た。一方牧草の単収はここ10---15年で 3トン台で ずっと止まっています。こうした中で果たして この提案は実現できるのだろうかという疑問が あった訳です。次のスライド(表 2) お願いし ます。 これは「北農」の中で小倉さんが昭和56年と 平成元年について北海道の牧草,粗飼料の生産 状況を示した表です。昭和56年の利用形態を見 ると半分くらいが乾草で,サイレージが17%, 表2
牧草の利用形態とサイレージ用とうもろこしの栽培面積 昭和56年 平成元年 地 域 乾 草 サ イ 放 牧 とうも 乾 草 サ イ 放 牧 とうも レージ ろこし レージ ろこし ーーーーーー司-- (%) ーーーーーーーーー (百ha) ーーーーーーーーー (%) ーーー・・ーーーー・ (百ha) 根室・留11路 31.6 26.9 41.5 64 34.9 47.8 17.3 19 宗谷・留萌 39.4 23.0 37.5 16 50.6 33.4 16.0 7 十勝・網走 61.8 9.4 28.8 313 56.6 33.6 9.8 270 道央・上川 61.6 8.4 30.0 46 68.8 20.0 11.2 72 全 道 平 均 47.3 16.9 35.8 517 49.6 35.4 15.0 418 注)北海道農林水産省統計年間および北海道農政部資料より作成 - 63-あと 35%が放牧となっていますが,これが平成 元年にどう変わっているかというと,乾草の 50%はだいたい同じですが,サイレージ35%, 放牧15%とサイレージと放牧の割合が完全に逆 転しています。小倉さんはこうしたことから, 北海道の牧草の利用の仕方に問題があるのでは ないか,つまり乾草が作りにくい北海道におい てあまりにも乾草に頼りすぎているのではない か,それからとうもろこしが有利な場所でとう もろこしが減少していると指摘している訳です。 この問題は実は外国との比較をする場合にも指 摘されています。ただ小倉さんは牧草の収量に ついては触れていませんが,こうした提案につ いて草を生産し,利用する方々がどう答えてい くかは,まだ残された問題だと思います。次の 400
内
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~飼料 医 盟 ふ ん 尿 区S
搾乳 仁コその他 間200 150 100 50 0 ~ ~<
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~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 00a
昭 和 図1
作業別労働時間の推移(搾乳牛通年換算1
頭当たり) (畜産物生産費調査報告) スライド(図 1)お願いします。 次のポイントは管理時間の話ですが,これは 竹下さんがやはり問題点として指摘している所 です。この図は昭和62年の資料ですが,これか ら分かるように,日本では一頭当たりの年間飼 養管理労働時間は 100時間を切れないのです。 今まで報告された統計で 100時間を切っている のは北海道の50頭以上の大規模酪農家ですが, 97,8時間で,先程の酪総研の提案で目標とする 30時間は現状の三分のーに当たります。諸外国 では実現しています。日本の場合管理労働時間 は次第に減ってきていますが,外国と比べると 相変わらず多い。粗飼料生産面と管理労働の2
つの問題があって 酪総研の方に「この2
つの 問題をどうやって解けというのですか」と話し たことがありますが非常に大きな技術的課題 です。「北農」の小倉さん,竹下さんの論文を 利用させていただいたのも オランダ,イギリ スとの比較報告でも常に出てくるからです。酪 総研も独自の調査研究から提起されているので す。当時私が印象を受けたいくつかのポイント は未だ解決されていない。これらの課題は提言 が発表されて数年がたった今でも非常に大きな 問題であると思います。つぎのスライド(表3) 願います。 これからは生源寺さん(東京大学農学部農業 経済の助教授)とイギリスのプライス氏が共同 表3
土地利用(搾乳牛1
頭当たり) ヘクタール/頭 頭 数 規 模 北 海 道 都 府 県 イ ギ リ ス 50 ~ 全平均 30 ~ 全平均 30~40 60~70 全平均 経 営 土 地 面 積 1.229 1.164 0.163 0.299 1.275 1.157 1.159 経 営 耕 地 面 積 0.897 0.883 0.139 0.198 1.233 1.127 1.126 飼 料 作 面 積 0.853 0.790 0.127 0.144 1.128 0.909 0.876 酪農用飼料作面積 0.636 0.596 0.107 0.122 0.699 0.628 0.594 放 牧 地 面 積 0.232 0.181 0.013 0.007 0.348 0.299 0.296 資料 〔日 本J
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昭和60年畜産物生産費調査報告j 〔イギリスJ
Milk Production1984/85, Milk Costs1984-85 (Booklet2, 3)で発表したものを紹介します。これはイギリス と日本の酪農の特徴を比較したものですが,そ の主体は北海道の50頭以上の大規模酪農家と同 じ程度の規模のイギリスの酪農経営との比較で す。この表は土地の利用状況を示していますが, 細かい点を別にすればそう大きくは違わない。 次のスライド(表 4) 願います。 表
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草地利用(イギリス) %,ヘクタール,ヘクタール/頭 頭 数 規 模 30-40 60-70 全平均 放 牧 50.2 48.5 51.5 乾 草 15.6 8.1 9.0 サ イ レ ー ン 34.2 43.4 39.2 そ の 他 0.0 0.0 0.3 計 100 100 100 総 草 地 面 積 24.25 39.37 39.29 搾乳牛 1頭当たり 0.692 0.617 0.575 草 地 面 積 資 料 Mi1kCosts 1984-85 (Booklet 2) 先程,小倉さんの話で日本の草地の利用につ きまして話しましたが イギリスでの利用は放 牧が半分くらいで残りの殆どがサイレージ利 用です。つまり放牧とサイレージで決まります。 日本では約50%が乾草で,最近ロールベール等 の技術がでて,今後どう変わっていくか分かり ませんが,少なくともサイレージと放牧という ことは機械化体系に非常に馴染みゃすい体系と 思います。こういう体系にイギリスではほとん どなっている。次のスライド(表5)願います。 先程の管理作業時間に関係する搾乳方式です が,フリーストールと午床のタイプに分けると イギリスでは経営の25%が牛床で搾るタイプで すが,後の75%は何らかの形でフリーストール です。搾っている牛の頭数で見ますと,牛床で 搾るのは 10%位, 90%はフリーストールで,規 模の大きい農家では全てフリーストールになっ ている。イギリスでは1970年代に半分以上の牛 がフリーストールで飼われていると聞いていま す。竹下さんによると北海道への導入は 1--2 %程度だそうですが,それに比べるといかに 早い時期に導入されたかが分かると思います。 次のスライド(表6
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お願いします。 乳牛 1頭当たりの濃厚飼料の給与はどうなっ ているかを示しています。給与量の合計は北海 道の大規模農家が約2
ント イギリスはその半分 の 1トン位です。日本は北海道といえども,同じ ような草地面積を持ちながら,飼料の構成から 見ると濃厚飼料にかなり依存している。先程い いましたように,土地の条件はほとんど変わら ないと見ていいわけですからこれだけの差が出 るという所に,飼料の生産,給与の面でやはり 問題があると言えるかと思います。次のスライ ド(表7)願います。 飼料生産費で日本はイギリスに比べて自給飼 料のコストが高いということが指摘されます。 イギリスの単収は日本とほぼ同じです。従って, 土地の生産生は殆ど変わらない。どこが違うか というと, 1トン作るのにとeの位の時間がかかっ ているかという所です。例えば北海道では中心 表5
イギリスにおける搾乳方法の変化 % 搾乳方式 経 営 数 割 合 搾 乳 牛 頭 数 割 合 (搾乳場所) 1976177 80/81 84/85 76177 80/81 84/85 牛 床 46 24 25 26 12 11 並 列 式 パ ー ラ ー 22 25 26 22 22 20 ヘリンボーンパーラー 23 34 45 41 52 66 そ の 他 9 17 4 11 14 3 資 料 Mi1kProduction 1984/85- 6
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表 6 搾乳牛 1頭当たり飼料給与量(購入濃厚飼料) キログラム/頭.% 頭数規模 北 海 道 都 県 府 イ ギ リ ス 50 ~ 全平均 30 ~ 全平均 30~40 60~70 全平均 配 合 飼 料 1,249 給 大 麦 10 与 乾 燥 ピ ー ト パ ル プ 435 量 大 立 油 か す 10 そ の 他 231 言十 1,935 1,446 22 357 7 151 1,983 1,501 270 710 36 661 3,178 1,529 284 563 41 516 2,933 975 30 39 7 37 1,088 987 1,045 10 22 94 97 8 9 105 89 1,204 1,262 配 合 飼 料 64.5 72.9 47.2 52.1 89.6 82.0 82.8 給 大 麦 0.5 1.1 8.5 9.7 2.8 0.8 1.7 与 乾 燥 ビ ー ト パ ル プ 22.5 18.0 22.3 19.2 3.6 7.8 7.7 割 大 豆 油 か す 0.5 0.4 1.1 1.4 0.6 0.7 0.7 合 そ の 他 11.9 7.6 20.8 17.6 3.4 8.7 7.1 計 100 100 100 100 100 100 100 資料〔日 本.J
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昭和62年畜産物生産費調査報告』 〔イギリス)Milk Costs 1984:-85 (Booklet 2) 表7 自給粗飼料生産における労働係数 時間/トン 頭 数 規 模 北 海 道 都 府 県 イ ギ リ ス 50 ~ 全平均 30 ~ 全平均 30~40 60~70 全平均 乾 草 4.52 4.79 9.05 15.61 3.42 2.68 2.33 グ ラ ス サ イ レ ー ジ 2.15 1.53 4.38 . 4.55 0.52 0.49 0.46 コ ー ン サ イ レ ー ジ 1.44 1.78 4.78 5.56 N. A. N. A. N. A. 資料〔日 本.Jr
昭和60年畜産物生産費調査報告j 〔イギリス)Milk Production 1984/85, Milk Costs 1984-85 (Booklet 2, 3) 表8 搾乳牛1頭当たり労働費及び労働時間(飼養管理) ポンド,時間/頭 頭 数 規 模 北 海 道 都 府 県 イ ギ リ ス 50 ~ 全平均 30 ~ 全平均 30~40 60~70 全平均 労 働 費 323.37 413.20 441.30 557.98 167.38 109.75 114.72 労 働 時 間 91.2 124.3 128.1 166.2 53.21 35.98 36.55 (搾乳及び牛乳管理 46.2 64.8 59.1 76.6 27.39 18.80 18.57 一 般 飼 養 管 理 45.0 59.5 69.0 89.6 25.82 17.18 17.98 雇 用 労 働 6.1 3.1 1.1 0.6 1.85 7.94 13.74 家 族 労 働 85.1 121.2 127.0 165.6 51.36 28.04 22.81 1時間当たり労働費 3.546 3.324 3.445 3.357 3.145 3.050 3.139 資料〔日 本.Jr
昭和60年畜産物生産費調査報告』 〔イギリス)Milk Production 1984/85, Milk Costs 1984-85 (Booklet 3)になっているのが乾草ですから,大規模農家で も 1トン作るのに4.5時間かかりますが,イギリ スの大規模農家ではサイレージですから 0.29時 間と,その位の差がでます。ですから土地の生 産性はあまり差がでませんが,それを飼料とし て貯蔵する所で大きな差が生じます。この表で はでていませんが,機械導入コストは日本の方 が遥かに高い。多い労働力と高いコストを使っ てより多くの労働時間をかけている。生源寺さ んによれば,エンジニアリング・プロセス,要 するに工業的なプロセスの面で日本が劣ってい るということです。工業的なプロセスという発 想が我々日本の畜産技術の面ではそれほど考え られてこなかったことも問題です。次のスライ ド(表8)願います。 管理労働時間ですが,北海道の91時間と比べ てイギリスの大規模農家は36時間と日本の約三 分の一程度です。これは大きくコストに影響す ることは事実です。竹下さんも述べているよう に,こういったところの労働力節減をどうする のか。次のスライド(表
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願います。 これらをまとめてみると,日本の牛乳生産コ ストはイギリスの倍位です。このように倍にな ったのがどういう要因から生じているのかを示 した表です。色々な項目がありますが,ここで 数量というのは実際に使った量(投入量)で, 価格はその単価を示しています。数量と価格の それぞれによって 牛乳コストの増加がどの程 度影響されているか,その割合が示されていま す。これをみると,大きいのが労働費と自給飼 料費です。自給飼料費では投入量も多く,それ による影響が15%位 またその価格が高いこと により影響は 6 %強と自給飼料費全体で牛乳コ ストを上げている要因の20%以上を占めていま す。それから飼養管理労働費もほぼ20%,また 購入濃厚飼料費が15%と この 3つの項目で日 本の牛乳生産コストが 2倍になっていることの 大半が説明されます。先程申しましたように, 自給飼料費が高いのは単収のような土地生産性 は良いが,機械の使い方などを含めた労働生産 性が非常に悪いのが原因だと指摘されています。 つまり,ここでのポイントも労働時聞が長すぎ 表9 コスト格差の要因分解(刈 大 規 模 層 全 平 均 数 量 価 格 数 量 価 格 購 入 濃 厚 飼 料 費 9.8 7.3 8.1 7.6 購 入 粗 飼 料 費 0.2 1.7 ... 0.5 1.8 自 給 濃 厚 飼 料 費 ... 1.3 3.2 ... 0.8 2.1 自 給 粗 飼 料 費 15.4 6.3 16.2 5.3 放 牧 費 企1.8 3.5 ... 1.4 2.9 種 付 料 及 び 獣 医 師 料 0.0 3.8 0.0 3.6 その他諸材料及び農場共通費 ... 3.0 4.5 ... 2.5 4.3 乳 牛 償 却 費 2.1 4.9 0.3 8.6 飼 養 管 理 機 械 ・ 施 設 費 ... 0.7 2.2 0.4 1.8 建 物 費 1.5 0.7 1.1 0.7 飼 養 管 理 労 働 費 17.6 2.1 25.3 0.7 地 代 0.2 8.4 ... 0.3 6.8 残 差 11.4 7.8 資料:生源寺真一及びD.C. Pricer
酪農のコスト及び生産生に関する日英比較」 - 67-る。飼養管理の労働費,飼料生産の労働費,そ れから濃厚飼料の購入量,これらが量と価格の 両方とも高すぎることが日本の酪農の共通した 弱点だとはっきり指摘されているのです。つぎ のスライド(表10) 願います。 表10 日本の生産性のイギリスに対する割合 労働生産性 土地生産性 粗 生 産 名 目 0.682 2.380 実 質 0.308 1.073 付加価値 名 目 0.669 2.332 実 質 0.238 0.830 この表は牛乳の粗生産に対する実質的な土地 生産性は先程も言いましたようにイギリスより も日本の方がむしろ高いくらいであることを示 しています。単収などはヨーロッパ全体と比べ てもそう変わらない。家畜個体の生産性につい ても同様です。従って,育種,栽培,飼養管理 といった個別技術は私達の成果もあって高いの ですが,それを全体としてまとめ,作業として 組み立てていくという面では,労働生産性がイ ギリスの三分のーにしか過ぎないといった欠点 としてでてきているのです。この論文は細かい ところまで触れているのですが,要するに動物 個体および土地が持っている生産力を発揮させ る面では日本はイギリスに劣っていない。それ より全体として 1つのシステムとして組織化し, それをうまく使いこなすという所に大きな欠点 がある。必ずしも資材を購入しない訳でなく, かなりな資材を投入しているにも拘らずという ことであります。次のスライド(表
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願いま す。 次に紹介するのは荏開津さん(東京大学農学 部 農 業 経 済 教 授 ) ら と オ ラ ン ダ の van der Meerさんが行った日本とオランダの酪農の比 較です。両国の酪農家の規模の大きさで分けて, 細かく資料を分析しています。ここでオランダ と北海道の大きい農家を比べてみますと,経営 表11 Structure of Japanese and Dutch Dairy FarmsNetherlands Japan total Hokkaido Other Regions a11 big sma11 a11 big a11 big a11 big milk cows/farm 57.9 72.3 31.4 17.8 63.3 28.1 66.3 15.2 57.6 ha grass & iodder 24.5 29.6 15.2 8.2 33.1 23.4 53.3 2.2 4.8 milk cows/ha 2.4 2.4 2.1 2.2 1.9 1.2 1.2 6.9 12.1 milk cows in% of total adult units 78 78 76 78 75 70 71 82 89 concentrates/ cows 154 157 139 163 134 123 111 184 184 ton milk/farm 316 402 158 101 339 164 347 85 321 kg milk/cow 5456 5562 5025 5651 5348 5820 5237 5585 5568 fat content of milk 4.14 4.14 4.14 3.63 3.65 3.68 3.69 3.60 3.56 kg milk fatl cow 226 230 208 205 195 214 193 201 198 total hours/farm of which 4141 4595 3418 3243 6914 4221 7236 2991 6524 ma1e 1776 3968 2211 3958 1664 3980 female 1018 1995 1430 2095 912 1873 fodder production 430 879 537 1105 402 606 contractor 109 131 68 19 72 43 78 13 65 family labour 3830 4196 3316 3194 6436 4089 6608 2963 6228 mi1k production 3279 3667 2599 2998 6422 3855 6575 2776 6237 kg milk/hour 96 110 61 34 53 42 53 31 51 hours/cow 57 51 83 168 101 139 99 183 108 Sources: ANNEX TABLE A. 1.and original sources: for Japan CP; and for the Netherlands Melkkoeien.
規模の状況はほぼ同じです。土地などはむしろ オランダより北海道の方が大きい。また乳脂率 は向こうの方か清いのですが乳量などは日本 の方が優っています。ただここでも目につくの は労働時間の問題で,いちばん下の欄に書いて ありますが,一頭当たりの年間飼養管理時間は オランダの規模の大きい農家では50時間くらい で,北海道の大規模酪農家は先程も申しました ように90数時間で約倍の時間をかけています。 オランダは比較的土地が狭いことから,かなり 機械化が進んでいるといった印象を受けるので すが,この資料によけば機械装備は向こうの方 が2.5%位しか高くないということで,必ずし も機械に頼りきったということにはならないと 思います。いずれにせよ,向こうの方が土地が 狭いにも拘らず,それをうまく使っている。た た濃厚飼料の給与量が北海道の大規模農家よ り多く,濃厚飼料の利用が高まっています。イ ギリスが草地を利用できることに対してオラン ダは異なり,北海道と比べるとこうした条件で は不利です。このことが先程水問先生がお話 になった環境汚染についてオランダでは非常に 厳しくなってきている理由だと思います。ただ オランダはこうした条件にありながら,技術確 信に非常に力を入れてきたということが次のス ライド(表12) に示されております。 表
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日本とオランダの酪農の労働生産性の推 移 労 働1
時間当たりの生乳生産量 オ ラ ン ダ 日 本 匂/時間 年成長% kg/時間 年成長% 1950/51 13.1 4.9 1960/61 18.3 3.4 7.5 4.3 1970171 31.5 5.6 16.0 7.9 1982/83 85.6 8.7 31.1 5.2 全期間 6.0 5.8資 料 :van der Meer, CC. L. G., S. Yamada & F. Egaitu: Pro -ductivity and Income inDiary Faming in J apan and Netherland in 1983/84_ これは日本とオランダの酪農の労働生産性の 推移を示したものです。労働時間1時間当たり の乳量で表していて 1950,60,70,80年と 10年 間隔で示しであります。 1950年頃のオランダで は労働1時間当たりの乳量は 13.1kgで,その頃 の日本は4.9kgでした。その後,どちらも増加 していきましたが,よく見ると日本は丁度10年 遅れてオランダと同様のレベルになっています。 この飼料は1982年と少しふるいので,最近発表 された日本のデータから計算すると北海道の大 規模酪農家の平均は70勾となりますが,それで もオランダの7--8年前の値よりまだ低い(因 みに酪総研の提言では166勾,表 1)。こうした ところから少なくとも労働生産性という点だけ から見ると,日本の労働生産性はオランダより 10年遅れています。そして労働生産性の伸び, 年成長率とでも言いますか,オランダも日本も 6%くらいです。つまり,同じようなペースで 向上しているのですが 日本の酪農は個体の生 産性あるいは土地の生産性について育種改良, 飼養管理技術の向上を通して非常に高い技術を 持っていますが, トータルにコストを下げよう とすると,残されているのは労働生産性にある と言うのが,オランダと日本の比較からも指摘 されているのです。日本の中でも北海道と内地 の酪農を比べればやはりこのような差があるの は事実ですが,目を海外に向けて比較しようと してこのような報告がだされています。スライ ドどうも有難うございました。 私どもがこれまで、行ってきた研究や技術開発 はまだまだ改良の余地が沢山あります。先程申 しましたように,個体の生産力を上げる方法, 牧草でも育種的にレベルを上げなくてはという ことはありますが,個体の能力の向上,土地の 生産性の向上といった面ではかなり高く,これ らは皆様方が開発された技術が生かされた成果 といえます。しかしながら何度も申しているよ うに,日本では北海道を含めて人の労働力を多 - 69
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く使わなくてはならない酪農になってきている という点が,諸外国の酪農と比べると非常に劣 っています。この問題の解決が規模拡大とか, 苦しい酪農でなく楽しい酪農(楽農)というこ との前提となります。そしてこれらを解決する ためにはどうしたらよいかが,次の問題になり ます。このような問題が生ずる背景,あるいは 畜産研究の中で無視されてきた背景には,ある 技術,例えば個体の能力向上といった技術が開 発された場合,それを取り入れる時の方法に問 題があるのか。私が北海道にいた頃,色々な会 議に出席しましたが,普及員の方々を含めて非 常に激しい議論が行われていました。それを思 い起こしますとその場に問題はなかったように も思うのですが, しかし現実に海外比較のデー タをみると,北海道でも経営の中で労働を軽減 し,労働の効率を上げることへの取り組みは不 十分であり,少なくとも意義が低かったのかと 考えている次第です。研究,技術開発そして普 及といった流れの中で研究のスタートの部分で も,普及の場でも,そして両方を併せた面でも 不十分であったという気がしています。 私が筑波にいた頃,明日表彰される十勝農協 連の方にお話をしていただいたことがあります。 いろいろお話をお聞きしますと,
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畜産試験場 のいっていることは理念としては分かるけど, 今一つじれったい」ということでした。労働の 強度を含めて,労働時間を短縮することを目指 して研究をしようとするとどうすればよいのか。 いろいろ難しいことがあります。こうした研究 を行なう時,どこに研究の場を求めるのか,そ して誰が行うのか。現在,大学も国の研究機関 もそうだと思いますが,なるべく基礎的な研究 を行うべきだといわれています。一方,大学で も試験場でも家畜管理の現場であっても,週休 2日制が導入され,超勤をなくし,勤務時間を なるべく短縮することになっています。そうし た中で多くの部門の協力を必要とし,長い期間 を要する地道な研究を行うとすれば,どういう 方法があるのか。技術開発の成果を基にシミュ レーションする方法も一つの方法かも知れない。 ああすればよいのか,こうすればよいのかと考 えるのですが,実はこの問題は私には解けてい ません。解こうにも非常に難しい問題であるこ とは分かつています。そうはいいながら,繰り 返し申し上げた問題が日本酪農の先進地,北海 道の中にもあり,本腰を入れて取り組まなけれ ばならないと申し上げて,今日の締め括りにし たいと思います。長時間どうも有難うございま した。参考文献
1 )滝川明宏・西村和行・坂東健・仮屋尭由・ 小倉紀美・竹下潔 (1991):北海道酪農の技 術の展開方向を探る、北農 58(2)6 ---34 2)酪農総合研究所 (1986):酪農の国際競争 の現状のわが国の国際競争力強化に関する提 I=l 3)生源寺真一および D.C. Price(1989):酪 農のコスト及ぴ生産性に関する日英比較研究 4) van der Meer C. L. J,. S. Yamada and F.Egaitu(1978) : Productivity and Income in Dairy Farming in ]apan and Netherland in 1983/84, Research Memorandum nr.230.In -stitute of .Economic Research, Faculty of Eco -nomics, University of Groningen.