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幼年期における数概念の形成について(1)― 推 移律と順序系列 ―

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奈良教育大学学術リポジトリNEAR

幼年期における数概念の形成について(1)― 推 移律と順序系列 ―

著者 重松 敬一

雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要

16

ページ 41‑50

発行年 1980‑03‑23

その他のタイトル On Conception of Number in Childhood (I) ― Relation of Transivity and Seriation ― URL http://hdl.handle.net/10105/6441

(2)

幼年期における数概念の形成について(1)*

一推移律と順序系列一

重  松  敬  一州

 (数学教育学教室)

I 序  言

 子どもが、ものの個数を数えたり、順番を示すのに数を使って表現するようになるプロセスは、

かなり分析され、明らかになって来たが、依然複雑なメカニズムであることに変りはない。時に は、ものの個数を反復して数えさせることによって数概念の獲得が可能となる一と考えられる。

実際、数える場面も数字も、子どもの身の回りに多く提示されているので、かなりの部分は可能 かも知れない。が、この可能性は個人的なもので、学校教育として場面を設定することには直接 結びつかない。それだけに、幼稚園などから数を系統的に教えることの基礎的研究が要請されて

いる。

 本稿は、数概念の背景となるいくつかの意識を、数学的視点から整理し、基礎概念として捉え、

それらの概念に関して、子どもの概念化の実態調査の一端を担うものである。これらの意識を数 学的に規定でき、系統化できれば、子どもの数概念形成を目的とする指導のカリキュラム作成に

1つの視点を与えるものと思れる。

 本稿では、意識の中でも推移律の操作に焦点をあて、子どもの実態を明らかにしようとしてい る。この研究は、かなり古くから行われている。J.ピアジェは、1960年に、本実験と同様、

棒の長さの比較を用いて推移律の操作能力の発達を調査している。用いられた方法は異なるが、

7〜8才になってはじめてこの能力が獲得されると報告している。P.ブライアントは、1971 年に、4才児でも2つの前提が記憶できれば、推移律の操作は可能であることを示した。ほ一  本実験では、この二つの見解を検証することをはじめとして、以下の点を明らかにしようとし

ている。

 ω 長さの保存の成立後に推移律の操作が可能となるのか。

 12〕同値関係と順序関係における推移律に対する子どもの意識に差があるのか。

 ;3〕長さの順序系列化の操作は、推移律の操作が可能となった後で一可能となるのか。

 なお、ここで言う同値関係、順序関係とは、次の関係を意味している。

 [同値関係コ       [順序関係]

  集合Xにおける関係Rが次の3条件を満   集合Xにおける関係R が次の3条件を満  たすとき、RをXにおける同値関係という。 たすとき、R をXにおける順序関係という。

*  On Concept ion of Number in Chi ldhood(I)

       _Reiation of Transivity and Seriation_

** Keiichi Shigematsu (Department of Mathematics Education,Nara       University of Education,Nara,J apan)

(3)

 ① Xのすべての元xに対して、xRx。  ① Xのすべての元xに対して、x賄。

 ②Xの元x,yに対して、xRyならばyRx。② Xの元x.yに対して、xRケかつ、y腋       ならば、 X=y

 ③Xの元x,y,zに対して、    ③ Xの元x.y.zに対して、

  xRyかっyRzならば、xRz       x酎yかつyRzならば・xRz

 ここで、①、①を反射律、②を対称律、②を反対称律、③、③を推移律という。とくに〈同じ

>という関係宣は、同値関係となり・<大小>の関係≦は・順序関係とな乱

 この2つの関係が、数概念を構成するための基礎概念であるとは次のようなことである。即ち、

同値関係は、大きさが同じ集合を集めて、ものの集合の中に等値集合(equiVa1㎝t Set)を構 成するときに働く意識を形式化した関係である。また、順序関係は、3つ以上の数を大きさの順 に従って系列化するときに働く意識を形式化したものであると言える。

1I 研究の方法

 幼年期における数の概念化の発達過程を実証的に明らかにするために、以下に述べるような方 法によって、個人面接テストを実施した。調査項目は、同値関係と順序関係における推移律と順 序系列化とした。なお、調査の目的上、保存と錯視、理由説明も合わせて行った。

1.調査対象

 国立N大学附属幼稚園、同附属小学校1年に在籍する合計115名の子どもを調査対象とした。

なお・調査対象者の内訳は以下の通りであ乱

 (裏1)    調査対象者の内訳

学年 3才児 4才児        6才児5才児  (小学校1年)  全  体

刑男女計男女計男女計男女計男女計

子どもの数  9 9 18 16 15 31 15 15 30 18 18 36 58 57115

2.調査方法

 個人面接テストを各施設・学校において実施した。面接テストの実施は、奈良教育大学3,4 回生、合計24名に依頼した。実施期間は、1979年11月13日から11月21日までである。

3 調査項目および材料

 調査は・11ト171の順に従って質問を行い・回答を求めた。

ω同じ長さの棒による長さの保存(同値関係)(注)①棒A,Rはともに1O㎝。

      ②実験者側の棒をA・被験者側の        棒をBとする。12jも同様。

場面

A (指で示しながら)

B

↓ Bだけを右へずらす 「この2本の棒は、どちらま

長いかしら、同じかしら」

A 「同 上」

B 「どうして」

「この2本の棒は、どちらが

(4)

12〕異なる長さの棒による長さの保存        (順序関係)

場面 発問

A (権で示しながら)

B rこの2本の棒はどち

Bだけを らが長いかしら、同じ

右へずらす かしら」

「同  上」

AB 「どうして」

rこの2本の棒はどち らが長いかしら、同じ

(注)Aは10例、 Bは9.5伽。

同じ長さの棒による長さの錯視

場 面 発 聞 紙の上にコピ

i   ) 一されている rこの2本の棒(Aと

C)では、どちらが長い

1

かしら、同じかしら」

A C

14〕

    (同値関係)

rこの2本の棒(Aと C)では、どちらが長い

A

(注)①視覚で判断させる。

  ②13〕〜171においては、棒Aが被    験者側にある。

  ③Aは10㎜、Bも10㎝。

同じ長さの捧による長さの推移律

場 面 発 間

棒Bを棒Aの

i . )陵に置く 「たしかめてみようね.

rこの棒(A)とこの 捧(B)ではどちらが 長いかしら、同じかし

C

 一BA ら」

↓(・)

    (同値関係)

「たしかめてみようね」

捧(B)ではどちらが

15〕

17〕

(ωの続き)

    ↓(*)  rこの棒(B)とこの棒          (C)では、どちらが長         いカ・しら、同じかしら」

   B C

    ↓    rでは、この棒(A)とA         この榛(C)ではどちら         が長いかしら、同じかし         ら」  「どうして」

A

 (注)棒A,児,Cはともにユ0伽。

 異なる長さの棒による長さの錯視       (順序関係)

制と手続きは同じ。ただし、Aは10㎝、

Cは9㎜。

 異なる長さの棒による長さの推移律       (順序関係)

14〕と手続きは同じ。ただし、Aは10伽、

Bは9.5c胴、Cは9cmo

 異なる長さの棒による長さの順序系列化。

   場 面   発 間 棒5本を被験

(機1) 「よく見て、一番短いも のからだんだん長くなる ように順番に並べてごら

ん」

 A B C D亙

(注)①棒の長さ、Aは9㎝、Bは8伽、

   Cは10㎝へDは8.5απ、

   Eは9−5伽。

  ②子どもに棒を操作させる。

  ③反応のない時は、r1番短いの    はどれ」というヒントを与える。

(5)

皿結果と考察 1.実検結果

 子どもの目の前で実験者が棒を操作し、操作による変化への意識についての回答を求めたとこ ろ、表2のような結果を得た。

(表2) 幼児・児童の回答一覧表

   (注)①○…正答・〉…誤答・⑫…無答      ②3才児学級3.8〜47・4才児学級47〜5−7       5才児学級5.7〜6.7・小学校1年6.7〜7.6

分類 同値関係 順序関係 順序系列化 6.11 30 V ○ ○ O

6.1 31 O O

  項目年令番雪明)骨性 保存 錯視 推移律 理由 保存 錯視 推移律 理由

32 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 33 ○ ○ V ○ ○ O

7.6 1 ○ ○ ○ ○ ○ O ○ ○ 6.9 34

O

⑫ ○ ○ ⑫ ○

2 男 ○ ⑫ ○ ○ ○ 35 ○ ○

O

O

○ ○

7.5 3 O

O

O ○ ○ 6.7 36 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ O O

4 V O

O

○ ○

O

5 ○ ○ ○ O 67) 1 V

6 ○ ○ ○

O

O 2 V V ○ ○ ○

7.4 7 ○ ○ V O O O 3 V V V O

8 6.6 4 ○ ○ ○ ⑫ V V O

9 V O

O

⑰ ○ ○ ○ 5 ○ ○ V

O

O

7.3 10 V O ○ ○ ○ 6.5 6 ○ ○ ○

11 ○ ○ V O 6−4 7 V V V O

12

O

○ ○ ○ ○ V ○ ○ 8 ○ ○ V ○ ○ V 13 V

O

○ ○ ○ O 9 ○ ○ ○ ○ ○ O

14

O

O

O O

O

10 V O

O

○ ○ ○

7.2 15 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 11 O V

16 V ○ ○ O ○ ○ 6.3 12 V O O

17 ○ ○ ⑫ ○ O ○ ○ 6.2 13 O ○ ○ ○ V ○ ○

18 ○ ○ O

O

O ○ ○ ○ 14 O O

19 V ○ ○ O 15 ○ ○ ○

O

7.1 20 ○ ○ ○ O ○ ○ 16 O O

21

O

O O 17 ⑫ ⑰ O

O

22 ○ ○ V O O O 6.1 18 ○ ○ O V O ○ ○

23 V O 6.0 19 ○ ○ ○ ○ O O

24 ○ ○ V ○ ⑫ O 20 O

7.O 25

O

O O

O

O 5−11 21 ○ ○ ○ ○ ⑫

26 ○ ○ ○ ○

O

22 ○ ○

O

V

27 ○ ○ ○ V 5.1 23 O

6.11 28

O

O O O 24 ○ ⑫ O

29 ○ ○ ○ V

O

○ ○

O

5.9 25 V

O

O

(6)

5.8 26 V ⑫ ⑫ ○ ⑰ ⑰ 50 23 ○ ○ V V O

27 ○ ○ ○ V 24 ○ ○ ⑫ V ○ ○ ⑫ ○ 28 ○ ○ ○ O V O

O

4J1 25 V V V V

5.7 29 V

O

⑰ ○ O 26 ○ ○ V

30 ⑫ ○ ○ ○ ○ 4.9 27 V ○ ○ 28 ○ ⑰ ⑫ ○ ⑰ V

(57) 1 ○ ○ ○ V V 48 29

O

O

2 ○ ○ ○ ○ V V ○ ○ ○ 30 V V V

3 V V V

O

V 4.7 31

O

V O V

4 ○ ○ ○ V ○ ○

5.6 5 (47) 1

O

○ ⑰ V V

6

O

⑫ ⑫ O 4.6 2

O

○ ⑫ ○ ⑰ ○

7 O O 3 O V

5.5 8 ○ ○ O V 4.5 4 O O V

9 V ○ ○ O O 5

O

V

10 V

O

4.2 6

O

○ ○

5.4 11 ○ ○ ○ O O O 7 V

O

⑫ ⑫

12

O

○ ⑫ ⑰ ○ 8

O

V V ○ ○ ○

13 V ○ ○ O 9 O V

14 O V O 4.1 10 O

5.3 15

O

O

3.11 11 O O

16 V O 12 O V 〉」

17 O 3.10 13 v v v v

18 V v V 14 O

5.2 19 ○ ⑰ ⑫ v 3.9 15

O

v v

20

O O

O

O

O 3.8 ユ6

O

V

O

5.1 21 O v v O ○ ○ V 17 v

22 O V 18 v O ⑰ ○

(注)実験および集計の際、次のような処理をしれ

①錯視の調査など時間割隈を設けた方がよい項目があったが、反応に長時間を要する事例  以外・原則として制限は設けなかった。

②系列化の調査以外、実験者が棒を操作することを原則とし、時として、子どもが棒を操  作した場合、そのまま操作させた。

③同値関係における保存では、実験材料の不備から、A<B(またはA>B)なる回答を  しても、操作後、同様の判断を示した場合は正答とした。

④同値関係における錯視では、A<Cのみを、順序関係における錯視では、A二C,A<

 Cをともに正答とした。

⑤2つの推移律の判断では、実験材料の不備もあり、厳密に判断しようとした子どもには、

 次の場合もわずかだが正答とした。

(7)

  ①A−B,B〉C→A>C、⑤A−B,BくC→A<C、

  ⑧A>B,B−C→A>C、⑤A<B,B−C→A<C、

 ⑥順序系列化では、並べる向きは考慮せず正答とした。

⑦実験中・一部にのみ反応したものは誤答としれ

次に、正答、誤答、無答を実験項目、学年別、性別に集計して、表3のような結果を得た。

さらに、主たる項目の年令別発達をグラブに示すと次のようになる。

 (%)

100 90 80 70 60 50 40 30 20 10

推移律

         

!理由

推移律

 

,・ 摎R

0  3 4 5 6(

  才 才 才 才小   児 児 児 児一   (図1)同値関係

 3 4 5 6(

才 才才 才小 児 児 児 児一

(図2)順序関係

 3 4 5 6(

才 才 才 才小 児 児 児 児一

(図3)順序系列化

2.考  察

 ここでは、保存と錯視を子どもの発達の指標とし、主として推移律と順序系列化の論理的操作 能力の発達について分析してみたい。その際、男女の性別についてはどの項目も有意差はなく、

区別して扱うていない。また、無答も誤答に含めて処理している。

 まず・各項目を学年別に見てみたい。

 ω 保存について

 同値関係、順序関係のいづれの場合も学年別に有意差があった。(それぞれ、パ=17.09・

df:3,P<α01; 」17.88,df:3,P<0−01)。とりわけ、4才児と5才児の間で有 意差があり、比較的大きな変化が見られる。(それぞれ、£㌧4.32,df=1,P<0.05;

グ=8.83,df=1,P<αO1) このことより、本実験の被験者は、4才〜5才で長さの保 存を獲得していると考えられる。

 ② 推移律の操作能力について

 同値関係・順序関係のいずれの場合も学年別に有意差が認められる(パ=11.5,df=3、

(8)

学年別・性別集計表

(表3) 数字は%を示す ただし( )内は人数

学年 3才児(3.8〜47) 4才児(47〜5−7〕 5才児(5−7〜6−7) 小学校1年(6.7〜τ6) 全   体

項目回答 男(9) 女(9) 計(18) 男(16 女(15 計(31) 男(15) 女(15) 計(30) 男(18 女(18 計(36) 男(58 女(57) 計(115)

22.2(2) 33.3(3) 27.8(5) 25−O(4) 6.7(1) 16.1(5) 60.O(9 20.O(3) 40.O(12) 66.7(12) 61.1(11) 63.9(23) 蝸.6(27) 31.6(18) 39.1(45)

保存 77.8(7) 66.7(6) 7Z2(13) 75−O(12) 93.3(14) 83.9(26) 40.O(6) 80.O(12) 60.O(18) 33.3(6) 鉛9(7) 36.1(13) 53.4(31) 68.4(39) 60.9(70)

O (0) O (O) O(0) O(O) O(O) O(O 0(O O(O) 0(0) O(O) O(O) O(O) O(O) 0(O) O(O)

22.2(2) 77.8(7) 肌O(9) 68.8(11) 73.3(11) 71.O(22) 53.3(8 66.7(1O) 60,0(18) 72.2(13) 阻3(15) 77.8(28) 58.6(別) 75.4(43) 67.0(77 錯視 66.7(6) 22.2(2) 幽、4(8) 31.2(5) 26.7(4) 29.O(9) 46.7(7) 33.3(5) 40.O(12) 22.2(4) 16.7(3) 19.4(7) 38.0(22) 24.6(14) 31.3(36)

11.1(1) O (O) 5.6(1) O(O) O(O) O(O) 0(O) O(O) O(O) 5.6(1) O(O) 2.8(1) 3.4(2) O(O) 1.7(2)

22.2(2) 33.3(3) 27.8(5) 68.8(ll) ω.0(6) 54.8(17) 60.O(9) 40,O(6) 50.0(15) 72.2(13) 77.8(14) 75.O(27) 60,3(35) 50.9(29) 55.7(64)

推移律 7τ8(7) 66.7(6) 72−2(13) 24.9(4) 33.3(5) 29.1(9) 26−7(4) 46.7(7) 36.7(11) 22.2(4) 16−6(3) 19.4(7) 32.8(19) 36.8(21) 34.7(ω)

O(0) O (0) O(O) 6.3(1) 26−7(4) 16.1(5) 13.3(2) 13.3(2) 13.3(4) 5−6(1) 5.6(1) 5−6(2) 6−9(4) 12−3(7) 9.6(11)

11.1(1) 11.1(1) 11.1(2) 3τ5(6) 13.3(2) 25−8(8) 40.O(6) 26.7(4) 33.3(lO) 50.O(9) 55.6(lO) 5Z8(19) 37.9(22) 29.8(17) 33.9(39)

理由 幽.5(4) 55−6(5) 50.O(一9) 43.7(7) 53.4(8) 48.4(15) 26−7(4) 60.1(9) 43.4(13) ψ.4(8) 38.8(7) 41.6(15) 3917(23) 50.9(29) 45.2(52)

44.4(4) 33.3(3) 38.9(7) 18−8(一3) 33.3(5) 25−8(8) 33.3(5) la2(2) 233(7) 5.6(1) 56(1) 5−6(2) 22.4(13) 19.3(11) 20.9(m)

33.3(3) 22.2(2) η.8(5) 31.3(5) 13.3(2) 22.6(7) 66.7(1O) 53.3(8) 60.O(18) 66.7(12) 72.2(13) 69.4(25) 51.7(30) 43.9(25) 47.8(55〕

保存 66.7(6) 77.8(7) 72.2(13) 68.7(11) 86.7(13) 77.4(幽) 26.6(4) 46.7(7) 2a7(8) 33.3(6) 27.8(5) 30.6(11) 姐6(27) 56.1(32) 51.3(59)

O(O) O (O) O(0) O(O) O(O) O(O) 67(1) 0(O) 13.3(4) 0(O) O(O) O(O) 1.7(1) O(0) O.9(1)

33.3(3) 22.2(2) 27.8(5) 1a8(3) 20.O(3) 1舳(6) 20.O(3) 13.3(2) 16.7(5) 33.3(6) 72−2(13) 52−8(19) 25.9(15) 35.1(20) 30.4(35)

錯視 44.5(4) 77.8(7) 61.1(ll) 81.2(13) 73.4(11) 77.6(24) 80.O(12) 80.O(12) 80.O(m) 50.O(9) 27.8(5) 38.9(M) 65−5(38) 61.4(35) 63,5(73)

22.2(2) O (O) 11.1(2) O(O) 6−6(1) 3−2(1) 0(O 6,7(1) 3.3(1) 167(3) O(O 8.3(3) 8.6(5) 3.5(2) 6.1(7)

55−6(5) 33.3(3) 似.4(8) 68.8(11) 73.3(11) 71.O(22) 86.7(13 !00.O(15) 93.3(28) 88.9(16) 88.9(16) 88.9(32) 77.6(45) 78,9(化) 78.3(90)

推移律 33.3(3) 55.6(5) 幽.5(8) 31.2(5) 20.1(3) 25−8(8) a6(1) 0(O) 3.4(1) 5.5(1) 11.1(2) &3(3) 17.2(10) 17.6(1O) 17.4(20)

11.1(1) 11.1(1) 11.1(2) O(0) 6.6(1) 3−2(1) 6.7(1) O(O) 3.3(1) 5.6(1) O(O) Z8(1) 5.2(3) a5(2) 4.3(5)

22.2(2) O (O) 11.1(2) 43.8(7) 40.O(6) 41.9(13) 53.3(8) 53,3(8) 53.3(16) 66.7(12) 83.3(15) 75.O(27) 50−O(29) 50.9(29) 50.4(58)

理由 66.7(6) 幽.4(4) 55.6(10) 37.4(6) 46,7(7) 41.9(13) 33−4(5) 33.4(5) 33.4(1O) 22.2(4) 16.7(3) 19−4(7) 36.2(21) 33.3(19) 釧.8(40)

11.1(1) 55.6(5) 33.3(6) 18.8(3) 13.3(2) 16.1(5) 13.3(2〕 13.3(2) 13.3(4) 11.1(2) O(O) 5.6(2) 13.8(8) 15.8(9) 14.8(17)

O (O) 11.1(1) 5.6(1) 62.5(10) 60.O(9) 61.3(19 73−3(11) 66,7(lO) 70.O(21) 100.O(18) 100.O(18) 100.0(36) 67.2(39) 66,738) 67.O(77 順序系列化 1000(9) 88.9(8) 94.4(17) 37−5(6) 40.O(6) 38.7(12 26−7(4 33.3(5) 3αO(9) O(O) O(O) O(O) 32.8(19) 33.3(19) 33.O(38)

(9)

P〈0.01;〆=9.53,df三3,P<0.05)。詳細に見れば、同値関係では、5才児と6才 児との間で比較的大きな変化があり(〆=4.41,df=1,P<O.05)、順序関係では4才児

と5才児の間で比較的大きな変化がある(〆=5.16,df=1,P〈O.05)。このように、推 移律の操作能力は、5才〜6才ぐらいに安定した状態に達すると思われる。ただ、同値関係にお いて5才児で正答率が下ったのは、2つの棒を厳密に比較する傾向が現れたためであり、順序関 系において6才児で正答率が下がったのは、実験に不適応を示した子どもが多かったためと考え

られる。

 本実験から、J.ピアジェの報告よりも皐く推移律の操作能ノ」が発達することがわかる。したが って、Rブライアントの実証を裏づけることとなった狐ここでは記憶に対する統制を図ってい ないので必ずしも同じ結果であるとは言えないかも知れない。いずれにしても、媒介項を用いて 比較するというアイデアは・早くから生れると考えられ乱

 131順序系列化について

 本実験では、要素が棒5本となり、3本間の比較の推移律の応用という面からも誤答率が高い はずなのに、事実は予想に反している。学年別にまず見てみると、有意差は大きく、比較的急な 発達の様相を示している( :49.04,df:3,P<0.01)。詳細に見れば、3才児と4才 児、5才児と6才児の問で比較的大きな変化が見られる(それぞれ、〆三14.64,df=1,P

<O.O1;z㌧12−73,df=1,P<αO1)。 ただ3才児と4才児の間で有意差が現れたの は、3才児が操作の意味を理解できず、誤答が多かったためであろう。したがって、5才〜6才

ぐらいで安定した発達を示すものと考えられる。

 4才児以上で正答率が高かったのは、本実験では、5本とも操作することができ、2本ずつの 直接比較から系列化が可能であったためと考えられる。さらに、6才児において正答率が100

%を示したのは、小学校入学凌に算数の中で長さの比較について少し学習しているためであろう。

 次に、項目間の関係から、子どもの発達の様相を調べてみよう。

 l1〜保存の成立と推移律の操作能力

 宮崎(1965年)が、保存の成立を待って、推移律の操作能力も獲得されると述べている松 本実験においては、特に両者に関係がある一といえる結果は得られなかった。 21保存が成立し ていなくても推移律の操作ができた子どもは、同値関係で48.6%、順序関係では76.7%もい る。このことは、先の宮崎の結果を否定するよりも、保存においては目の前で変化することに意 識がより集中し、推移律では、1つ1つの判断が恒常的であった本実験の特性からの結果であろ うと考えられる。棒の操作を子ども自身にさせれば、保存の正答率もよくなったかも知れない。

 12〕同値関係と順序関係における推移律の操作能力について

 2つの関係における推移律の操作には当然のことながら、関連が考えられる(パ=7.24,

df昌1,P<O,O1)。 しかし、発達の特性を見ると先に述べたように順序関係における推移 律の操作能力の方が皐く発達することがわかる。これは、<同じ>ということよりも<違う>こ とへの意識がより早く発達するためであろう。したがって、数概念指導においては、同値関係へ の意識化が促進できるような場面設定が必要である。

(10)

 制 推移律の操作と順序系列化について

 推移律の操作と順序系列化との関係には、本実験でも関連が考えられる(それぞれ、 パ:

1O.57,df=1,P<αO1;〆:1O.49,df=1,P<O.O1)。2つの推移律の操作 と順序系列化との正答率を比較すると、とくに4才児と5才児においては、同値関係、順序系列 化、順序関係の順に高くなっていっている。これは、3者が強い関連をもちつつも、発達には差 があることを示している。したがって、順序関係における操作能力が発達した後に、順序系列化 が可能となると考えられるので、数を系列化させる指導においては、この順序関係への意識化が 図れるための場面設定が必要である。

 なお、本実験においては、順序関係における推移律の成立理由の説明と順序系列化との間にも 関連が考えられる(パ=16.25,df二1,P<α005)。 これは、推移律が無意識にでき

るだけでなく、言葉によって意識化が表現できれば、順序系列化もより容易になることを示して いる。したがって、数の系列化においては、く次の数は1つ多い〉という特性を意識化でき、説 明できるように指導すれば、一層の学習効果が期待できる。

 最後に、この榛の長さによる実験から示唆されることから、数概念の形成について考えておこ う。本実験は、棒の長さを操作の対象として限定しナこために、形式的操作としての推移律の操作 能力の発達を明らかにはできなかった。それでも、3つの要素を比較するときは、媒介項を用い て比較する一というアイデアがかなり早くから発達し、中でも順序関係がより早いことが示唆 された。この点を、数概念にもっと近接した対象、即ち、ものではなく、ものの集合を対象とし た操作として確認できれば、案台数と順序数の数の性質を指導するときの手がかりが得られるも のと思れる。{べその第一歩として、本実験と同時に調査された、対関係、比較、数比較との関係 などを分析する必要があろう。

lV 要  釣

 本稿では、幼年期における子どもの数概念の発達過程、とりわけ、推移律の操作能力と順序系 列化の操作能力の発達過程を、幼児・児童115名を対象として実施した調査結果に基づいて、

明らかにした。調査項目は、同値関係および順序関係における保存、錯視、推移律と順序系列化 である。これからわかったことは次のことである。

 はj本実験の被験者は・4〜5才で長さの保存を獲得してい乱

 121推移律の操作能力は、5〜6才で比較的大きく発達する。この事実は、P.プライアントの   実証を裏づけている。即ち、3つの要素を媒介項を用いて比較する一というアイデアは、

  かなり早くから発達すると考えられる。

 制 順序系列化の操作能力は、順序関係における推移律の意識化が進んだ後に発達し、5〜6   才ごろに比較的大きな変化が認められる。

 ω 本実験からは、保存の成立と推移律の操作能力との関係について特に知見は得られなかっ   た。

 ㈲ 同値関係と順序関係における推移律の操作は、後者の方がより容易であると認められる。

(11)

 ㈹ 順序関係における推移律の成立理由を言葉で説明できることと順序系列化の操作との間に   関連が考えられる。

 本実験は長さを対象にした推移律の操作と順序系列化について調べたものであり、形式的ルー ルとしての推移律などの操作能力の発達については明らかにしていない。今霞はとくに、ものの

集合を対象としたより数に近接したところの操作能力の発達についての調査が必要である。

(付記)

 1.本研究のために御協力をいただいた国立N大学附属幼稚園および附属小学校に対して、厚   く御礼を申し上げます。

 2.本研究のために本学数学教育学教室の小川庄太郎教授に多くの御教示をいただいたことに  対して、厚く御礼を申し上げます。

 a 本研究の調査実施にあたって本学学生諸君の協力を得た。氏名を記して謝意を表したい。

 広瀬令子、河野正子、豊田有子、板谷寿子、奥西一恵、荒木伸子、石原裕美、井上政子、勝  井ひろみ、内波三知子、楠田淑子、粟田知子、細川尚美、植村鈴子(以上、54年度4回生)

 柚本典子、万代典子、中辻美智子、西松由里、角田尚子、田中聖子、乾季美子、尾花郁子、

 吉田和子、中矢陽子(以上、54年度3回生)

      参 考 文 献

111太田静樹他:r幼年期における自然認識の発達過程とその指導内容・指導方法の開発に関         する研究(1)」、奈良教育大学紀要、第27巻、第1号、昭和53年。

② 宮崎積子:r保存および推移律の学習による変容」、教育心理学研究、第13巻、第1号、

        1965。

制 P.プライアント、小林芳郎訳:『子どもの認知機能の発達』、協同出版、1977.

14〕1)。Womack:0nτe㏄〃ng舳e Fo伽aoれ。m∫oゾ肋刎δe7,Mathematics in         School, vol.7, ㎞1. 1978.

参照

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