奈良教育大学学術リポジトリNEAR
ソフトボールの授業における技能レベルと授業評価 との関係
著者 高田 俊也, 元塚 敏彦, 岡沢 祥訓
雑誌名 奈良教育大学教育研究所紀要
巻 26
ページ 1‑12
発行年 1990‑03‑01
その他のタイトル The Relationship Between The Skill Levels and The Attitudes toward Instructional Physical Education in Softball Course
URL http://hdl.handle.net/10105/6694
ソフトボールの授業における技能レベルと授業評価との関係
The Re1ationship Between The SkiIl Leve1s and The Attitudes toward Instructiona1Physica1Education in Softba11Course
高田俊也(奈良教育大学大学院)
元塚敏彦(畝傍高等学校)
岡沢祥訓(奈良教育犬学体育学教室)
要約:現行の学習指導要領において体育の内容から消限されていたソフトボー ルが、特に生涯スポーツとの関連を重視する立場から、新たに採用されるよう になった。そこで本研究においては、ソフトボールの授業改善のための基礎的 資料を得るために、高校生を対象に研究を行った。すなわち、技能レベルが低 い生徒もソフトボールを楽しめるようにルールを変えて授業を行い、生徒の授 業評価が技能レベルとどのような関係になるのかを検討した。
その結果・次のようなことが明らかになっれ技能レベルの低い生徒も十分 ゲームを楽しむことができるので、技能レベルの低い生徒の授業評価は高まる 傾向がみられた。しかし、技能レベルの高い生徒の授業評価はほとんど変化し ないことが明らかになった。今後の改善すべき点として、技能レベルの高い生 徒も楽しむことができるような授業を行うためのルールづくりをする必要があ ると考えられる。
キーワード:ソフトボール 技能レベル授業評価
I.研究の目的
今日、運動技能や体力の向上だけでなく、すべての生徒が運動の特性に触れる楽しさや運動の 喜びを通して生涯にわたって楽しく豊かな生活が営めるよう、運動に対する愛好度を高めること が体育授業の重要な目標の1つとなっている。それに加えて、基礎的な知識や運動技能について、
一定の目標に到達させるようにする必要性から、個人差に応じた授業のあり方が求められなけれ ばならない。そこで、生徒が自主的・自発的に運動に参加する能力・態度を育てるための教育が 必要とされてきている。
今回の学習指導要領は、さきに述べたように「生涯を通して行う体育・スポーツや、自ら進ん
ToshIya TAKADA(Graduate student,Master s Degr㏄Program of Phys1ca1Educat1㎝,
Nara University of Education)
Toshihiko MOTOZUKA(Unebi High School)
Yoshinori OKAZAWA(Depart㎜ent of Physical Education,Nara University of Education)
一1一
で行おうとする自主的・自発的な能力や体力を育てる」という目標を挙げそれら諸目標を踏襲し て改訂が行われた。なかでも改訂後、中学校及び高等学校の指導要領においては、球技の領域で 野球型のソフトボールが取り上げられている。
ソフトボール州〕は・「投げる」・「打つ」、「捕る」・「走る」等の基礎的技能を含み、野球と類似 したものである。しかし、野球と異なるのは、「ボールが重く、大きい」、「バットカ細く、短い」、
「競技する場所が狭い」ということである。そのため、攻撃側は、ボールを思いきり強打したり、
軽打したりできる。また、走塁も短い距離を判断よく行うことができる。逆に、守備側は、相手 の攻撃を読み、打者や走者の働き、打球を素早く判断してプレーを行うことができる。そして、
狭い場所でも多くの人が楽しむことができるうえ、運動量を適度に増減できるため、性差や運動 能力に応じて実施できる。以上のようなことから、ソフトボールは生涯スポーツに適した教材で あると考えられる。
しかし、すべての人が楽しむことができるかというと、やはり技能レベルの低い生徒にとって は、打つことができないとか守っていてもボールがこない、またボールを取れないという具合い に多くの問題点を抱えていると思われる。すなわち、プレーに直接的に関わる一部の選手のみが 運動を行うので、他の選手は、傍観者になりがちである。実際、他の選手もそのプレーを中心に 動く必要があって傍観者になっていてはいけないが、そこまでのプレーを体育授業の中で要求す
るには非常に困難があると考えられる。
そこで、この授業では投手を攻撃側の生徒が行うことによって打者が打ち易くなるように設定 し、また、打者は1人3球だけというルールを設定することで技能レベルの低い生徒にとっても ゲームを楽しむことができるように工夫した。このようなルールを採用することで生徒のソフト ボールに対する愛好度を増そうと考えれすなわち・ルールを工夫することによって技能レベル の低い生徒もソフトボールを楽しむことができ、その結果ソフトボールに対する愛好度を増し、
授業に対する好意的態度を向上させようと考えた。
体育授業の情意的な側面の評価は、自由記述の作文やインベントリーによる評価法を用いて行 われている。例えば、最近では増田4〕が、中学校のリレー教材に対する生徒の授業評価を鏡ケ江
ら舳〕によって作成された評価法を使用して行っている。この授業評価法は授業改善に有効な情 報を与えることが明らかにされている。
そこで本研究では、ソフトボールの授業改善を図るための基礎的研究として、技能の低い生徒 が十分に運動でき、楽しむことができるようにルールを工夫してゲームを中心に行われたソフト ボールの授業における技能レベルと生徒の授業評価との関係に検討を加えた。
I.研究方法 1.対 象
高校3年生男子生徒Aクラス46人、Bクラス48人、計94人(うち、記録の確実に残されて いた生徒86人を対象とした。)
21期 日
1987年5月から9月までの全30時間 3 研究の手続き
1)生徒の授業中の記録について <打 率>=全安打数÷全打席数
<守備機会数》=フェアーの打球の処理回数及びファール7ライを補ってアウトにした回数 2)生徒による授業評価について
鏡ケ江ら舳〕によって作成された30項目からなる調査用紙による態度評価尺度を利用し て授業評価を単元の前後に実施した。その質問項目は、付表1に示した通りである。また、
その質問項目の構成次元別の項目名
表1 質問項目の構成次元別の項目名 は表1に示した通りである。
3)授業の進め方について ω チーム編成について
生徒をAクラス(46人)は・8人偏 成の4チームと7人編成の2チーム、
Bクラス(48人)は8人編成の6チー ムにそれぞれ分けた。6チームにより リーク戦の組み合せに従い試合を各チー ム5戦すっ行った。
12)指導について
準備とボールを使った準備運動(計 10分間)以外は、すべて試合を行った。
指導は、チーム内の生徒同士の教え合い や、教師による個人指導を中Nこ行った。
13)守備・打111頁について
守備は、自由に変わることができる ようにした。
打順は、記録の整理のため最初に決 めた打順で毎時間行っ島また・その 試合が終了したときの次打者が次の時 間の先頭打者となった。
(4〕ルールについて
①投手は攻撃側のひとりが行う。
ただし、投手は1人に3球しか投げ られない。また、打者は3球以内に ヒットエリア(ヒットエリア内側に ファウルエリアを設け、その中にボ
次元 下位次元 ;員 .目 4弓
楽 菱好的口度 o1侵業が好き
02授業を休みたくない
し 03生涯スポ円ツ
さ 心理的充足 04引観的活動意欲
05心身の際張をほぐす
次 06快い興汀ψ 集団活動の業しさ
元 Q8頑棚つた満足感
選動目標 o9体カづくり
成 010体カづくりの方法
011キビキピした動き O12技能の向上
果 013正しい選動の方法
014選動の讐本的理釣
次 祉会的行動目標 O15チームブレーの方法 016チームプレーの発員 O17マナーの学習
元 O18チームワークの発展
019友だちとの敦え合い Q20巴カの習慣
先 02I熟心な指韓
生 022生徒の意見を取り上
次一 023ユーモアで業しい
冗 024教え方,遣め方025連切な助言 イ中 026みんなの活動
間 027榊聞麗係
次 Q28みんなのよろこぴ
冗 029利已主書の抑制030永続的な仲聞
注)録ケ江らの□立によって因子分析の描呆、
分懸された次元別の項日名
一3一
一ルが止まったり、守備側がその中でボールに触れた場合はファウルとした)に打ち返す ことができないとアウトとなる。投手は、何人の打者に対して投げてもよい(交代しても しなくてもその投手の打順がくるまではどちらでもよい)。
②打球が直接、投手に触れると打者はアウトとなる。
③7人編成のチームは、捕手を相手チームに任せそのときの捕手の記録はそのまま本人 の守備の記録とした。
④その他、プレー上のルールについては、現行のソフトボールのルールを適用し㍍
15〕記録について
①個人記録は、攻撃側が攻撃・守備の記録を行った。
②記録の判定(エラー加ヒットの判断等)について、リーグ戦の前に各チーム3試合づ つ行い、ほぼ統一された記録を残せるようにトレーニングした。試合中に不明瞭なことが 起これば、その時点でみんなで判定させた。
③記録の仕方は、記録用紙にヒット(エラーで出塁した場合は含まれない)及び守備の 成功(打者をアウトにした場合)した場合「○」を記録し、アウト及ぴエラーした場合 「×」を記録した。また、一週間(3時間)毎にその記録を数字に変え、個人の記録を算 出し、攻撃時等の自分の空き時間や授業終了後に記録を確認できるようにした。
④ダブルプレー等の併殺プレーに対しては、プレーに参加した生徒全員にr○」を記録
した。
⑤ク回スプレーやタッチプレーの時は・最終的にアウトにした生徒とそのプレーをアシ ストした生徒に「○」を1っ記録した。
⑥捕手がフライを捕球すれば・r○」を2っ記録し㍍
⑦三振は・r×」が3つ記録され、打席数も3回と記録しれ
⑧攻撃・守備のミスには、それぞれを打席数、守備回数と考え、r×」として記録された。
4.結果の処理について
京都大学大型電算機センターのS P S S統計プログラムパッケージを利用して処理を行った。
統計処理は、授業評価を従属変数とし、それぞれの記録を上位群、中位群、下位群、の3群に分 け、それぞれの独立変数に対し一要因分散分析及び多重比較(L S D)を行った。
なお、質問項目のQ2,Q26,Q27,Q28,Q29,Q30は否定的な項目であったため得点を反転さ せ処理を行った。
皿.結果と考察
分析は、打率、守備機会数の各ゲーム成績と鏡ケ江らによる態度評価の各質問項目の授業前、
授業後、変容のそれぞれについての関係を求めた。
なお、紙面の都合上、分析結果に有意差が認められた項目についてのみ取り上げた。
1.打率について
表2は、ソフトボールの打率と態度評価の関係を示したものである。
妻2 ソフトボールの打率と態度の関係(上位群28人,中位群29人,下位群29人)
蜆
次 元 項 日 上位砕 一中位砕 下位砕 一要因分散分析F 値
《楽しさ次元》 03 授業前 2.86(O.36〕 2.90(O.31) 2.52(O.69) 5.39 愛好的態度 生涯スポーツ 授業後 2.89(O.32〕 2.93(O.26) 2.62〔O.56〕 5.14山
変容 O.04(O.19) O.03(O.33) 0.10{0.41〕 0.43 09 投業餉 2.50(O.64〕 1.93(0.70〕 2.34(0.81) 4.74書 体力づくり 授業段 2.32(O.67〕 2.10〔O.72) 2.48(O.63) 2.29
《成果次元》 変容 一〇.18(O.67〕 O.17(O.60〕 0.14{O.69) 2.47 運動日漂
o11 授業前 2.07(O,77) 1.90(O.56) 1.72(O.80〕 1.68 キピキピした動さ 授業後 2.14(0.65) 1.9?{O.68) 2.28(O.75〕 1.45
変容 O.07{O.74) O.07(0.75) O,55(O.83〕 4.31重
《成果次元》 O16 授業前 2.25(O.70) 2.34(0.61) 2.03(O.73) 1.57
社会的行動日管 チームプレーの発展 授業後 2.14(O.71〕 2.21 0.68) 2.38(0.68) 0.91 変 容 一〇.l1(O.63〕 一〇.14{O.79〕 0.34(O.77) 3.92■
Q23 授業前 2.79(O.42〕 2.48(0.63) 2.44{O.57) 3.23駅
《先生次元》 ユーモアで楽しい 侵業後 2.68(O.67) 2.62〔O.49) 2.76{O.44〕 O.48
変容 0.21(O,83〕 O.14(0.64〕 O.31(O.66) 2.45 029 授業前 2.21(O.69) 2.07(0.65〕 2.17(O.71) 0.34
《仲間次元》 利己主峯の抑制 授業後 2.25(O.65) 2.62(0.49) 2.31(0.71) 2.92
変容 O.04(O,88〕 0.55(0.69〕 O.14{O.79) 3.45一
多重比戦(LSD)
下位尋く中位砕榊,下位砕く上位砕8書 下位群く中位砕 ,下位黎く上位僻
中位群く下位緕■ ,中位影く上位黎}
中位砕く下位砕 ,上位尋く下位群一
中位群く下位黎. ,上位暁く下位砕.
下位群く上位衛■ ,中位砕く上位群8
上位群く中位砕8 ,下位砕く中位砕8 P〈O.05.,P〈O.O1舳,P〈0,001㈹
楽しさ次元の愛好的態度において「生涯スポーツ」の授業前及び授業後について一要因分散分 析の結果、授業前[F=5.39,df=(2,83),P<0.01]及び授業後[F=5.14,df:(2,83),P<0.O1]
それぞれに有意差が認められた。また、多重比較の結果、授業前及び授業後のそれぞれについて 中位群及ぴ上位群と下位群との間に有意差が認められた。上位群、中位群の生涯スポーツに対す る評価は授業前、授業後ともに下位群と比較して高い傾向が認められた。
ソフトボールはヒットを打てないとおもしろくなく、また、ルールが変えられたためヒットを 打ち易くなったとはいえ、このことは、ヒットを多く打つことが生涯を通してスポーツを楽しみ たいという態度と関係があることを示しており、ヒットの打てない生徒への配慮が必要であるこ とを示している。
成果次元の運動目標においてr体力づくり」の授業前について一要因分散分析の結果[F=4.74,
df=(2,83),P<O.05コ有意差が認められた。多重比較の結果、中位群と下位群及び上位群との 間に有意差が認められた。授業前は、上位群、下位群は体育授業が体力作りに役立つと評価して いるにもかかわらず中位群にその評価が低い傾向が認められた。しかし、授業後にはその差は認 められなくなった。
このような結果が得られたことに関しては、次のことが考えられる。すなわち、下位群は技能 レベルが低いが、 体育授業は体力を身にっけるためにある と合理化を図り、上位群は、 体力 が身にづいているのは体育授業の成果である と捉える傾向があるからであ乱しかし、中位群 は、その狭間で」の項目に対する評価は低くなっているのではないかと考えられる。
授業後には上位群の評価が低くなったが・ソフトボールがあまり活動量の多い教材であるとは いえないので他の教材ほど体力がっかないのではないかと判断したためであると考えられる。
「キビキビした動き」の変容について一要因分散分析の結果[F=4,31,df=(2,83),P<0,05]
有意差が認められた。多重比較の結果、下位群と上位群及び中位群との間に有意差カ溜められた。
授業前、授業後には差が認められなかったが下位群の変容の得点が他の群と比較して大きかった。
下位群の生徒にとっては・活動量の比較的少ないソフトボールの授業においては・体力的には あまり負担がなく十分ついて行ける教材であるため、このようなゲーム形式を取れば普段のルー ルよりもボールを打っ機会が増えるためキビキビとした動きができると評価していると考えられ
る。
また、成果次元の社会的行動目標においても「チームプレーの発展」の変容について一要因分 散分析の結果[F=3,92,df=(2,83),P<0.05コ有意差が認められた。多重比較の結果、下位群
と上位群及ぴ中位群との間に有意差が認められた。
下位群は、このゲーム形式を取った場合、上位群、中位群と同程度の活動、すなわち、打席や 守備機会を得ることができる。そのため、自分もチームに貢献することができるということを確 認できたのではないかと考えられる。そして、この項目に対する評価が高くなったと考えられる。
先生次元において「ユーモアで楽しい」の授業前について一要因分散分析の結果[F=3.23,
df=(2.83),P<0.05コ有意差が認められた。多重比較の結果、下位群及び中位群と上位群との 間に有意差が認められた。上位群の先生に対する評価は、授業前は高かったが授業後は下位群が
最も高くなった。
これは、打率の高い生徒はこの授業で設定されたルールでは満足せず教師に対する評価が低く なり、逆にボールを容易に打つことができるため中位群や下位群はこのルールを設定した教師に 対する評価が高くなったと考えられる。
仲間次元において「利己主義の抑制」の授業前及び授業後には差は認められなかったが変容に ついて一要因分散分析の結果[F=3.45,df=(2,83),P<0.05]有意差が認められた。また、多 重比較の結果、上位群及ぴ下位群と中位群との間に有意差が認められた。
上位群の生徒は、同じチームの生徒に技術やルール等について教えてあげる必要性を感じたが、
そのようにできない自分自身の評価を高めることができなかった。また、下位群の生徒は自分自 身のことで精一杯であったため評価が高くならなかった。しかし、中位群の生徒は下位群よりも ゆとりがあり、上位群ほど責任感を感じなくてもよい立場にあるためこのような結果が得られた と考えられる。
2.守備機会数について
表3は、ソフトボールの守備機会数と態度評価の関係を示したものである。
楽しさ次元の愛好的態度について「授業が好き」の授業前において一要因分散分析結果[F=
4.94,df=(2,83),P<O,01]有意差が認められた。また、多重比較の結果,中位群及ぴ上位群と 下位群の間に有意差が認められた。
授業前の評価において下位群が低かったことに関しては・従来の授業のルールではボールがあ まり飛んでこないポジションに技能レベルの低い生徒が多くいたと考えられこのレベルの生徒の 評価が低くなることは容易に想像できる。しかし、この授業で設定されたルールで行われた授業 後の評価にはその差がほとんど認められなくなり、ほとんどの生徒が同じ活動量を得ることがで
きたというこの授業の特性が現れたと考えられる。
「授業を休みたくない」の変容において一要因分散分析の結果[F=3.79,df=(2,83),P<O.0 5コ有意差が認められた。また、多重比較の結果、下位群と上位群の闇に有意差が認められた。
これは・前述した「授業が好き」では授業後の評価は高くなっているが潜在的に授業に対して 否定的であったのではないかと考えられる。
「生涯スポーツ」の授業前・授業後及ぴ変容のすべてにおいて一要因分散分析の結果・授業前
[F=12.89,df=(2,83),P<01001]、授業後[F=5.14,df=(2,83),P<0.01]、変容[F=6.18,
df=(2,83),P<0.01]の全てに有意差が認められた。また、それぞれ多重比較の結果、授業前 の下位群と中位群及び上位群との間に、授業後の下位群と中位群及ぴ上位群との間に、変容の上 位群及び中位群と下位群の間に有意差が認められた。
授業前、授業後を通して上位群と中位群の生涯を通してスポーツを行うという評価は高く、逆 に下位群の評価は低い。しかし、変容については下位群の伸びが大きかった。このことは、技能 の高い生徒が接球機会の多いポジションについており、また生涯スポーツを楽しみたいと考えて いることは、打率と同様であることが考えられる。また、その変容に関しても下位群の仲びが大
一7一
①
次 元 須 日 上位準 中位勝 下位講 一重因分 分戸
01 畳業m 2.96{O119〕 2.90 0.31〕 2.69{O.47一 4.94韓
棍桑が仔。 橋業後 2.90{O.19) 2.93{O.20〕 2.86(O.35〕 1.03
変容 O.OO{O.η〕 0.03 O.33〕 O.17ω.38〕 2.18
《楽しき次元》 02 振桑前 2,82{O.48〕 2.86 O.44〕 2.93{0,28〕 O.54 菱好的。度 浸桑を休みたくない 握実& 2.93{O,38〕 2.76ω.58〕 2.59{O.73〕 2.姻 変 容 O.11{O.63〕 一〇.1O{O.49〕 一〇.34{O.72〕 3.79.
03 授業前 2.96{O.19〕 2.90{O.31〕 2.仙O.68〕 12.89...
生種スポーツ 種業城 2.89〔O.32〕 2.93{O.鋤 2.6210.56, 5.14■■
査 客 一〇.07{0126〕 O.03 O118〕 O.21{O.41〕 6.18.■
《楽しさ次元〉 05 授業前 2.τ9〔O,50〕 2,86{O.舳 2,62 O.56〕 王.?4
心建的充足 心身の騒張をほぐす 浸業後 2,89{O.32〕 2.76{O.64i 2.83{O.4?} o.調
変容 O.l1〔O.ω ・O.10{0.3I〕 O,2王〔O.41〕 4.98帆
《成貝荻元》 o11 緩桑餉 2.11{O.69〕 1.72 O.65〕 1.86 O.τ9〕 2.I2
遺動目標 キピキピした動書 侵業後 2.04{O.64〕 2.14{O.69〕 2.21{O.τ?〕 0.43 変 客 一〇.07−O.66j 0.41〔O.73〕 O.34 0177〕 3.?3●
《成果次元》 O16 侵桑前 2.32{O.馴 2.21{O.73〕 2.1O{O.剛 o、?1
社会釣行動日● チームプレーの発畳 侵業後 2.14 O.59) 2.1{〔O.79〕 2.45〔O,63〕 1.99 書 容 一〇.18{O.61, ・O,07{0.84〕 O.3ヰ=O.72〕 4.08●
021 授業前 2.71{0.46〕 2.59{O.57〕 2.41〔O.63〕 2.09
熱心な指。 撮桑螢 2.64{O.49〕 2.76{O.44〕 2.?6〔O.5工〕 0.55 変 容 一〇.07〔O.38〕 O.17〔O.60〕 0134{O.?2〕 3.62
o22 浸業前 2,64{O.49〕 2.21{O.η〕 2,34{O.57〕 3,27・
《先生次元〉 生徒の意見を 侵桑後 2−04 0149〕 2.76{O. 4〕 2.59{O.5?} O.89 戦目上げる 変 容 O.OO O.6]〕 O,55 OI78〕 O.24{O.58〕 4.97 ■
025 授業前 2.64ω.49〕 2.34〔O.州 2.38{0.73コ 1.65
貸切な助言 振業災 2.洲O.勤) 2.フ2ω、蝪 2.62ω,ω o,98
変容 ・O.u{O.5刀 0138ω、90〕 O.24ω.64〕 3.46■
oη 侵桑帥 :〜125{O.75} 2,48{O.7そ) 1.9フ{O.73〕 3.55
伸聞醐操 侵実機 2.64〔O.56〕 2.55{O.酬 2.31{O.?6〕 1188 変 客 O.39 O、?4〕 O,0?{O.84〕 O.34{O.90〕 1.28
028 授業前 2.2910160〕 2.28{0.75〕 2.48〔O.69〕 O.84
《仲間次元》 みんなのよろこぴ 浸桑& 2.54〔0.58〕 2.72{O.53〕 2.洲O.67〕 2.95 変 容 O.25{0.65} O.45{O.78, 一0.一4 O.88} 4.29■
029 授業軸 2.11{O.69− 2.00ω.71〕 2.洲O,Ol〕 2.ol
利蔓主選の柳罰 振業後 2.29(O.60, 2.弱ω.69〕 2.拠{O.6一) 】.39
書量比敷(LSD)
下位8<中位絶■ 、下位議く」:位静・■
下位業<上位議..
下位縦<中位機■●■.下位機く上位議●0 下位業く中位縦0,下位盤く上位課.
上位書く下位難韓・、中位 く下位篠・
中位篠く上位黎 ,中位勝く下位}・
上位縦く下位榊・ ,上位黎く中位議・
上位縦く下位議ω,中位機く下位静・
上位盤く下位議舳 中位数く上位,.
上位議く中位準
上位機く中位黎●
下位讐く中位縦}
下位鐵く中位準
鮒
ω
〈
】 ブ 先
I ミ
4θ
轟 離 扮灘 欝〜 隔
θ
彊 痢 ト 冑 報 蟹 片
一日・
高 緯8
戸
→ 冑 韓 轟
>
)
きいのは、この授業で設定されたルールにより比較的全員が等しい活動量を得ることができると いうこの授業の特性であると考えられる。
楽しさ次元の心理的充足について「心身の緊張をほぐす」の変容において一要因分散分析の結 果[F=4.98,df=(2,83),P<0.O1]有意差が認められた。また、多重比較の結果、中位群と上 位群及び下位群の間に有意差が認められた。上位群と授業前に低かった下位群の評価が授業後で は高くなり、逆に中位群の評価が低くなったことにより変容において上位群と下位群が中位群と 比較して高くなった。
このことは、守備機会の多いポジションにつくと思われる技能の高い生徒やその機会の少ない ポジションにつくと思われる技能の低い生徒は、それぞれ授業前には授業に対して緊張して構え ていたと考えられる。しかし実際、授業は緊張なく行えたが中位群は授業前は比較的リラックス して考えていたが実際、かなり緊張して授業を行ったのでその評価が低くなったと考えられる。
成果次元の連動目標において「キビキビした動き」の変容について一要因分散分析の結果[F=
3.73,df=(2,83),P<0.05コ有意差が認められた。多重比較の結果、下位群及ぴ中位群と上位群 との間に有意差が認められた。授業前は最も高かった上位群が授業後は最も低くなり逆に中位群、
下位群が伸びたため変容において差が認められた。
守備機会数も打率の結果と同様のことがいえると考えられる。すなわち、上位群は授業前にお いて・授業でキビキビした動きのできる身体をつくることができると考えていたが・中位群や下 位群は活動量の少ないソフトボールの授業においてその評価は低くなる。授業後の評価は、中位 群や下位群はこの授業で設定されたルールによって活動量が増えたことで授業に対する評価が高
くなったと考えられる。
成果次元の社会的行動目標において「チームプレーの発展」の変容について一要因分散分析の 結果[F:4.08,df=(2,83),P<O.05]有意差が認められた。多重比較の結果、上位群及ぴ中位 群と下位群との間に有意差が認められた。
下位群は、上位群や中位群が変容で負の伸びを示したのに対して正の伸びを示してい孔この ような傾向は、この授業で設定されたルールによって活動や役割が比較的均等に与えられたため、
技能レベルの低い生徒もチームプレーの発展を期待できると評価したと考えられる。
先生次元において「熱心な指導」の変容について一要因分散分析の結果[上3.62,df(2,83),
P<O.05]有意差が認められた。多重比較の結果、上位群と下位群との間に有意差が認められた。
下位群が上位群と比較して伸びたので差が認められた。
ここでも打率と同様の結果が得られており、この授業特有の技能レベルの低い生徒を考慮した ルールを実施した教師の評価は、技能レベルの低い生徒ほど高くなり、逆に技能レベルが高くな るほどその評価は低くなると考えられる。
「生徒の意見を取り上げる」の授業前及ぴ変容について一要因分散分析の結果、授業前[F=
3.27,df=(2,83),P<O.05]及び変容[F=4.97,df=(2,83),P<0.01]のそれぞれに有意差が 認められた。また、多重比較の結果、授業前は中位群と上位群との間に、変容は、上位群と中位 群との間にそれぞれ有意差が認められれ
一9一
この授業で設定されたルールで行われる前は、上位群の先生に対する評価が最も高く中位群の 評価が最も低かった。これは、この授業までは、教師ができる生徒の意見を取り入れ、できない 生徒には個別にアドバイスをすることでその生徒の意見を聞き入れるということが行われ、中位 のレベルの生徒にはあまりアドバイスや理解がなかったのではないかと考えられる。しかし、こ の授業では教師の直接的な指導がなく個人的な指導が多く行われたことで全ての生徒の評価が同 じようになったと考えられる。そこで、授業前に最も評価の低かった中位群と最も高かった上位 群の聞で変容において差が認められたと考えられる。
「適切な助言」の変容において一要因分散分析の結果[F=3.46,df:(2,83),P<0.05コ有意 差が認められた。多重比較の結果、上位群と中位群との間に有意差が認められた。
これは、下位群の生徒にも個別にアドバイスがあったが一般的に放置されがちな中位群にもそ のような指導があったため変容の伸びが大きくなったと考えられる。逆に上位群に対してはアド バイスがあまりなくその評価が低くなったと考えられる。「生徒の意見を取り上げる」にみられ た傾向と同様に授業前に評価の低かった中位群の変容の伸びが最も大きくなり、逆に授業前に高 かった上位群と差が認められたと考えられる。
仲間次元において「仲間関係」の授業前について一要因分散分析の結果[F=3.55,df=(2,83),
P<O.05]有意差が認められた。また、多重比較の結果、下位群と中位群との間に有意差が認め
られた。
下位群の生徒が授業前は最も評価が低く、中位群の生徒と比較して差が認められた。これは、
中位群の生徒にとっては、仲間関係については嫌な思いをすることはなく、逆に、下位群の生徒 は、技能レベルが低いため劣等感から仲間関係で嫌な思いをすることが多くあったためこの授業 前の評価が低くなったと考えられる。しかし、この授業では技能レベルの低い生徒を配慮したルー ルによって下位群の評価が高くなり授業後の評価にはほとんど差が認められなくなったと考えら
れる。
「みんなのよろこぴ」の変容について一要因分散分析の結果[F=4.29,df=(2,83),P<0.05]
有意差が認められた。また、多重比較の結果、下位群と中位群との間に有意差が認められた。
多くの項目について下位群の評価は高くなっているが、この授業で設定された技能レベルを配 慮したルールで行っても下位群の生徒は、上位群や中位群の生徒よりも運動の喜びを味わえるこ
とができるのは一部の人だけであると考えていることが明らかになった。このことは、技能レベ ルg低い生徒に運動の喜びを与えることの困難さを示しており、今後、授業で取り組む上でその 改善を必要とするということを示唆していると考えられる。
「利己主義の抑制」の変容について一要因分散分析の結果[F=3.72,df=(2,83),P<0.05コ 有意差が認められた。また、多重比較の結果、下位群と中位群との間に有意差が認められた。
このことは、打率と同様に下位群の生徒にとっては自分自身のことに精一杯で他の人のことを 配慮する余裕がないことを示してい乱
3、まとめ
打率と守備機会という個人的技能に関してまとめてみると次のことが考えられる。
ソフトボールは他の教材と比べて比較的技能レベルに関係なく活動することができる教材であ る。例えば、バレーボールでは技能レベルの低い生徒はボールに触れる機会も少なく、そのまま 授業が終わってしまいがちである。ソフトボールでは、打席はほぼ同じだけ機会が与えられ、ま
た、守備も接球機会に差はあっても役割自体には差がなく同じように与えられる。
この授業では技能レベルの低い生徒を配慮したルールで行われたため、技能レベルの低い生徒 の授業評価が高くなる結果になったと考えられる。しかし、もともと評価の高い上位群の変容の 伸びは小さくなり、逆に評価の低い下位群の伸びが大きくなる可能性(天井効果)を考慮する必 要があると考えられる。また、「みんなのよろこぴ」や「利己主義の抑制」に技能レベルの低い 生徒の評価の高くならない項目について検討しなければならない。加えて、技能レベルの高い生 徒評価が向上しなかったことに関しては、やはりこのルールで行った場合には技能レベルの低い 生徒を配慮するあまり、技能レベルの高い生徒が多少の不満を抱いていたという可能性がある。
今後・今回の問題点を考慮したルール作りを行う必腰がある。
<文 献》
1)鏡ケ江淳一、江原武一、高橋健夫「生徒による授業評価の検討(1〜4)」体育科教育、19 85、第33巻、第5号〜7号、9号 大修館書店
2)鏡ケ江淳一、高橋健夫、江原武一「体育の授業に対する生徒の態度構造に関する研究」奈 一良教育大学研究所紀要、1986、第22巻、pp.9〜21
3)功力靖雄・「ソフトボール」・松田岩男・宇土正彦編著・体育実技指導法ハンドブック・大 修館書店、1981,pp,576〜589
4)増田辰夫、よい授業をめざして 中学校 「リレー」学校体育、1989、第42巻、第8号、
日本体育社
5)高橋健夫・鏡ケ江淳一・江原武一「生徒の態度評価による体育授業診断法の作成の試み」
奈良教育大学紀要、1986、第35巻、第1号、pp163〜180
6)大橋美勝、第4章 運動技術の中核と学習指導のポイントーその理論と実際一、3.
球技、「ソフトボール」体育科教育、工985、第33巻、第11号、大修館書店
一11一
付表1 態度評価用アンケート
体育の授業に関する調査
《おね肌・〉
この識査は、体育の蟹業に役立たせるものです,成績にはいっさい関係がありませんので、あなたの思っている 考えをそのまま答えてください.
」の調査真には、体育の授業について述べた短い文亡が教多<あげであります.この短文が自分のξえに当ては まるものにっいてはO、当てはまらないものにはx、そしてどちらともいえない場合には△を、マスの中に記入し て下さい.一つもぬかさずに全部の貫閲に答えて下さい。
年組香男・友氏名
1.私は体育の畳業が好著だ。
2.体育の侵業は、できることなら休みたいという気持ちになる 3.私は将来にわたってスポーツを楽しみたい.
4.体育の紀美は、自分から種匝的に汗を流し、体を銭えようという意欲をおこさせる 5.体育の授業は、心や体の際張をほぐしてくれる。
6体育の授業の後は、快い興富が勇る.
7体育の侵桑でいろいろな人と一価二活動することが、私はとても楽しい.
8体育の授業では需一杯がんばったという満足感を味わうことができる.
9.体育の授実は、体力作りに設立つ.
10体育の浸棄では、体力作りの方法について学ぶことができる。
11.体育の授業は、キピキビした動きのできる体を作る。
12体育の侵素で よ、自分の三量劇技能を伽ますことができる.
13体育の浸棄では、正しい遺動の仕方について理解することができる.
14体育の擾業では、量動のやり方だけではなく、その菱本となる蟹業を字ぶことができる 15体育の侵業では、チー一ムプレーの行い方を理解できる.
16体育の授業では、良いチームプレー(コンビネーション)の発民を細待することができる.
17.体育の侵業では、フェアプレーやスポーツマンシップなどのマナーの大切さを学ぶことができる.
18体育の侵業では、良いチームワークをつくりだすことができる.
19体育の授業では、友だちと教え合うことがある。
20体育の侵業では、お互いに動け合い、協力しあう習慣を身につけることができる.
21.体育の先生は、熱心に指構してくれる.
22.体育の先生は,生徒の意見をよく取り上げてくれる.
23.体育の先生は、ユーモアがあって楽しい.
24.体育の先生の教え方や授業の進め方に濱足している.
25.体育の先生は,侵業刺こ違切な助言を与えて<れる.
26.体育の侵業では、能力の古いものや図々しいものがのさぱる.
2?.体育の授業では、仲間関係で○な馴、をすることがある.
28体育の菱業で、運動のよろこぴを味わえるのは一部の人にすぎない.
29・体育の授業では、人聞の利己土着がむきだしになる.
30.体育の侵業の崎の仲間は、その場かぎりの仲簡にすぎない.