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職 軽部昭夫・松枝

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Academic year: 2021

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(1)

−39−

Eudesmane型セスキテルペン類の機器分析 による研究(第2報')) ヘキサヒドロサ

ントニン類のNMRスペクトル

軽部昭夫・松枝 澄・佐藤孝行

StudiesonEudesmane‑SesquiterpenesbyAnalytical Instruments. II.NMRSpectraofHexahydrosantonins

AkioKARUBE,SumuMATSUEDA*andTakayukiSATO (昭和53年2月13日受理)

それぞれmp,IR,NMRから純品であることを確認 した。

NMRは日本電子C60HL型により, C‑11メチ ル基の検討以外は重クロロホルム溶液で測定した。

l

Eudesmane型セスキテルペン類の機器分析によ る研究の一環として,サントニンの還元生成物につ いてNMRによる検討を行なった。NMRスペクト ルと立体構造の関係については多くの報告があり,

なかでもステロイドについては多くの経験則があ る。これらの経験則とEudesmane型セスキテルペ ン類の関係を検討する目的で, 1−α‑サントニンの 還元で得られる6種類のヘキサヒドロサントニン

(以下HHSと略す)について,NMRスペクトルの 精査を行なった。

3 結果および考察

HHS類のNMRスペクトルは3種のメチルプロ、

トンと酸素が結合しているメチンプロトンに特徴が みられる。よって, これらのシグナルと立体構造の 関係について検討する。

3. 1 メチルプロトン 2試料および測定

表1はA/B環がトランス結合のHHS類につい て, C‑10メチルプロトンとC−4メチノレプロトン の化学シフトを示したものである。いずれの場合も C−3水酸基の立体配置による影響は小さく, C

−4メチルの立体配置による影響が大きい。すなわ ち, IおよびIIのC‑10メチルプロトンは, IIIおよ tJIVのそれより低磁場にシフトしている。これはI およびIIのC‑10メチルがC−4メチルと1,3 I〜IVのHHS類は前報')と同じ試料を使用した。

V,VIはCockerら2)の方法で合成し,分別再結晶し た。アセチル誘導体(IA〜VIA)はそれぞれ対応す るHHSを無水酢酸一ピリジンで常法によりアセチ ノレ化し,酢酸エチノレー石油ベンジンから再結晶した。

鶇L蓬Ⅳq芸当: "毎蚤;

HO

(I) [11) (1I1)

ⅧⅢ

勲考と蓬 ㈹

Hぴ

表1 C‑10, C‑4メチルプロトンの化学シフト

が(ppm)

HHS C,o‑CH3 C4‑CH3

I

1 ' II

III IV

l I

1.01 1.04 0.95 0.94

0.99 0.98 1.16 働引前大学教養部 1.17

昭和54年2月

(2)

1111冊1111河︑1︲︲

−40−

軽部昭夫・松枝 澄・佐藤孝行

表4 C‑11メチルプロトンの化学シフト 表2 ステロイドC‑19プロトンの化学シフト

6(mm) 6(wm)

inBenzene HHS inCDCl3

19‑H

33

﹄︾母錘

戸︑m α制u ︲m66

I II III IV

1.19 l.20 1.16 1.17 0.792

0.792 0.867

0.97 1.03 1.04 0.96

0.22 0

0.075

0.17 0.12 0.21

C‑11メチル基の立体配置とNMRスペクトル の関係はNarayananeら7,8)によって検討された。そ れによると,重クロロホルム溶液による測定値とベ ンゼン溶液による測定値を比較して, その差が 0.23iO.06ppmではquasi‑equatorial, 0.46iO.06 ppmではquasi‑axialであると報告している。表4 はHHS類の測定値で,いずれもquasi‑equatorial になる。したがって,最初の立体構造を保持してい ることになる。

4HS

−ジアキシャルの関係にあるためと推定する:*表2 はステロイドのC‑‑19プロトンについてC−6メチ ルの影響を示したZiircher4)の値である。これは HHS類の値(0.06〜0.10ppm) とほぼ一致してい る。

一方, C‑4メチルプロトンでは,逆に1I1および 1VがIおよびIIより低磁場にシフトしている。これ はⅢおよび1VではC−4メチルがC−6酸素と1,

3−シスの関係にあることが影響していると推定す る。

Il3118H11qq8I11J0︐ft

3. 2 メチンプロトン

メチンプロトンは酸素の結合しているC−6とC

−3プロトンが特徴を示している.…表5はHHS 類およびそれらのアセテート類におけるC−6とC

−3プロトンの測定値である。

C−6プロトンはラクトン環の結合様式に関係す るもので,Herzら'0)はシクロヘキサンに結合したγ 一ラクトンについて次のような値を報告している。

人寺人三人

HO

1 d−

HO

(I, II) (III, IV) 表3はステロイドのC‑19プロトンに対するC

−6とC−4の置換基の影響を示すもので, 1,3

−ジアキシャルの関係になった場合は低磁場にシフ トしていることがわかる:・5)このような例はポルネ オールの場合についても報告されているf)

表3 ステロイドC‑19プロトンの化学シフト

CpoH

3.97ppm

cp。■■■■

4.60ppm

表5の値と比較すると, I〜ⅣのHHS類およびそ れらのアセチル体(IA〜IVA)ではトランス結合の 値とよく一致する。しかし,VとⅥおよびそれぞれ のアセチル体(VA〜VIA)では非常に低磁場で共鳴 している。これらの化合物はA/B環がシス結合に なっているので,それによる立体障害が影響してい るものと推定する。それでもHerzらが報告してい るシス結合の値よりは高磁場になっている。

6(mm)

19‑H

EEcHHAAAleOOOOO伽↑防娠トト1酷66664

α︑q 7子八

一︑鋤

0.792 0.800 l.017 0.834 0.975 1.022

0.008 0.225 0.042 0.183 0.230

.・C一メチル基のNMRについては神川の総説がある3)。 …メチンプロトンについては神川の総説がある9)。

秋田高専研究紀要第14号

=・マ暫。茸−−−.』・一一一一も三二三一一一一勺?三一 ・ .一

(3)

−41−

Eudesmane型セスキテルペン類の機器分折による研究(第2報')) 表5 C‑6, C‑3プロトンの化学シフトと半値巾

C6‑H Compds. 6(ppm) aa)

C3‑H

6(ppm) aa) W1/2 W1/2b) Conf.c)

⑥側飢⑧6別

(6)d) (1M

21 (8)

18 16

IⅡⅢⅣVV

3.80 3.85 3.05 3.70 3.80 3.20 3.80

3.85 3.77 3.70 4.45 4.40

xqxqeqxaeaeea 9羽Ⅲ66︐

1.10 0.95 1.33 1.24 1.10 1.20 IA

IIA IIIA IVA VA VIA

211050222210

4.90 4.80 4.38 4.94 4.90 4.40 3.90

3.93 3.82 3.80 4.35 4.40

0.10 0.08 0.05 0.10

−0.10 0.00

xqxqqXaeaeea

a)対応するHHSとの差(ppm) b)半値巾(Hz)

c)C‑3プロトンの立体配置

d) ( )はC−6プロトンとC−3プロトンの重なったシグナルの値

グナルがVIA以外はC−6プロトンのシグナルと 重ならないので化学シフトや半値巾の測定が容易に なる。アセテート類の場合も,HHS類の場合と同様 の傾向を示し, C‑3プロトンがアキシャルの場 合は高磁場に,エクアトリアルの場合は低磁場にシ フトしている。ただし, IAはIと同じくアキシャル プロトンにもかかわらず低磁場(4.90ppm)で半値巾 も小さい(9Hz)。またIIAの半値巾もエクアトリ アルとしては大きい(23Hz)。これらの理由もIお よびIIの場合と同様にA環の歪が原因していると推 定する。

C−3プロトンは椅子型シクロヘキサノールのカ ルピノールプロトンに相当し, この立体配置と化学 シフトの関係についてはLemieuxら'1)の報告があ る。それによると,アキシャルプロトンがエクアト リアルプロトンよりも高磁場で共鳴し, シグナルの 半値巾は大きい。HHS類についてみるとI以外は この経験則と一致している。すなわち,ⅢおよびⅥ ではC−3プロトンがアキシャルなので高磁場シフ ト (3.05, 3.20ppm)し, シグナルの半値巾も大き

"(21, 20Hz)。一方, II,ⅣおよびVではエクア トリアノレなので低磁場シフト(3.85〜3.70ppm)し,

1VおよびVでは半値巾も小さい(8, 6Hz)。 IIでは C−3プロトンとC−6プロトンが重なっているの で単独の半値巾は測定できないが,シグナルの形か ら半値巾は比較的大きいと言える。 IのC−3プロ トンはアキシャルであるにもかかわらず,低磁場シ フト (3.80ppm)し,半値巾も小さい(6Hz)。これ はC−4メチルとC‑10メチルの立体障害が大き く,A環が歪んでいることが原因であると推定して いる。 IIのC−3プロトンのシグナルが大きな半値 巾を示すのも同様の理由と推定する。このような例 は10‑metyl‑cis‑decanolの場合について報告されて いる;2)HHS類の水酸基をアセチル化するとC−3 プロトンは約・lppm(0.95〜1.33ppm)低磁場シフ トする。この値は一般的に報告されている値と一致 する:)アセテート類においてはC−3プロトンのシ

昭和54年2月

1)前報:軽部昭夫,松枝澄,佐藤孝行,秋田高専研 究紀要, 13, 48( 1978)

2)W.Cocker,T.B.H.McMurry,J.Chem.Soc.,1956,

4549

3)神川忠雄, 、日本化学会編,実験化学講座(続5),"

丸善( 1965)p.4

4)R、F.ZUrcher,Helv.Chim・Acta,44, 1380(1961), ibid.,46,2054(1963)

5)K.Kawazoe,Y・Sato,M・Natsume,H.Hasegawa, T・Okamoto, K.Tsuda, Chem.Pharm・Bull., 10, 338( 1968) } {,

6)K.Tori,Y・Hamashima,A.Takamizawa,Chem.

(4)

−42−

軽部昭夫・松枝 澄・佐藤孝行

丸善( 1965)p.80

10)W.Herz,L.A.Glick,J.Org.Chem.,28, 2970 ( 1963), ibid.,29,613( 1964)

11)R.U.Lemieux,R.K・Kulling,H.J.Bernstein,W.G.

Schneider,J.Amer.Chem.Soc.,80, 6098( 1958) 12) J.1.Musher,J.Amer.Chem・Soc.,83, 1146( 1961) Pharm.Bull., 12,924( 1964), ibid., 13, 1052

( 1965)

7)C.R.Narayanan, N.K・Venkatasubramanian TetrahydronLetters,47,5867( 1966)

8)C.R.Narayanan,N.K.Venkatasubramanian, J.

Org.Chem.,33,3156( 1968)

9)神川忠雄, 、日本化学会編,実験化学講座(続5 ),〃

I ()

3

6(ppm)

5 4 3 2

6 (ppm)

4 1 0

5

図l HHS類のNMRスペクトル

秋田高専研究紀要第14号

[I)

二斗

(11)

Q Q Q

1

(VI)

一丁一ノ…し、一一一、‑−

参照

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