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(1)

研 究 論 文

高 Cr 白鋳鉄溶湯 によるサーメ ッ ト鋳 ぐるみ材料の高温圧縮衝撃疲労特性

池 浩 之 , *後

,*

*勝負滞 善 行 , *麻 生 節 夫 , * *

小 松 芳 成 , ** 小 西 信 夫 ***

Hi gh‑ t e mpe r at ur eCompr e s s i ve ‑ i mpac tFat i gueSt r e ngt hofCe r me tPowde rLaye rI ns e r t e d byMol t e nWhi t eCas tI r on

Hi r oyukiI KEI,Sho j iGoT OI f ,Yos hi yukiSyoB UZ AWA†,Se t s uoAs o† † Yos hi nar iKoMAT S U I †andNobuoKoNI S HI † † T

I nor de rt oi mpr ov et hehi gh‑ t e mpe r at ur ewe arr e s i s t anc eofwhi t ec as ti r on,ac e r me tpowde r l aye rmi xe dwi t hNiand/OrCrpowde rwasi ns e r t e dbymol t e n2 7mas s % Crwhi t ec as ti r on・ The mi c r os t r uc t ur e sofs ur f ac eandv e r t i c alc r os s ‑ S e c t i on oft hei ns e r t e dl aye rwe r ee xami ne dt o i nv e s t i gat ec as t abi l i t yoft hemol t e nc as ti r on. Hi gh‑ t e mpe r at ur ewe arr e s i s t anc eoft hei ns e r t e d l aye rwase xami ne dbyme ansofahi gh‑ t e mpe r at ur ec ompr e s s i v ei mpac tf at i guet e s t . Ther e s ul t s o bt ai ne dar easf ol l ows . ( 1 )Thei ns e r t e dl aye rwi t h5 0vo l . % Nipowde ror2 5v o l . % Niand2 5 v o l . % Crpowde rs howss at i s f ac t or yme t al l ogr a phi cs t r uc t u r e ,t hought hei ns e r t e dl aye rwi t h5 0 vo l . % Crpowde ri nc l ude ss omemi c r opor e sandv oi ds . ( 2 )Thewe arr e s i s t anc ede c r e as e swi t h i nc r e as i ngt e mpe r at ur ef orwhol et hei ns e r t e dl aye r s . Thei mpac tf at i gues t r e ngt hoft hel aye r wi t h5 0vo l . % Crpowde ri shi ghe s ti nwhol et hei ns e r t e dl aye r sathi ghe rt e mpe r at ur es i de . ( 3 ) Howe ve r,t hei ns e r t e dl aye rwi t h5 0vo 1 . % Crpowde rs howsmanyc r ac ksc o nne c t i ngwi t ht he mi c r opor e sandv oi dsaf t e rt hei mpac tf at i guet e s t . The r e f or e ,i ti si mpor t antt omakean i ns e r t e dl aye rwi t houtanymi c r opor e sandv oi dsbyus i ngs mal l e rs i z e dc e r me tpowde r .

Ke yWor d s: i ns e r t ,s ur f ac ehar de ni ng,whi t ec as ti r on,c e r me t ,mi c r os t r uc t ur e ,i mpac tf a t i guet e s t , c ompos i t

1 . 緒 言

製鉄機械 において使用 され る部品材料 は,常温での硬 さや衝 撃 に耐え る靭性のほかに,高温硬 さ,耐熱衝撃性,耐酸化性 そ して高温圧縮衝撃疲労強度 などが要求 され る1 ) 。例 えば,粉鉱 焼結設備 にお ける破砕機 の鬼歯 や受 け歯 な どは,最高 1 3 7 0K の温度 に加熟 された焼結原料を破砕す るために,特 に高温硬 さ や高温圧縮衝撃疲労強度 などが要求 され,材料 としては,高 マ ンガ ン鋳鋼,高 クロム鋳鉄そ して硬化肉盛材料などが利用 され ている1 ) 。 しか し生産効率の向上のためには, よ り安価で寿命 の長い部品材料が待望 されている。そ こで著者 らは,硬質の使 用済みサーメッ トチ ップを利用 した高温耐摩耗材料開発 に取 り 組んでいる2 ) 〜 4 ) 。すなわち, サーメ ッ ト粉砕粉鋳 ぐるみ材 の開

平成 1 5 年 8 月 2 7 日受付 ;平成 1 6 年 1 月 6 日受理

*岩手県工業技術セ ンター 材料技術部

〒 0 2 0 ‑ 0 8 5 2 岩手県盛岡市飯岡新田 3 ‑3 5 ‑2

**秋田大学工学資源学部 材料工学科

〒0 1 0 ‑ 8 5 0 2 秋田市手形学園町 1 ‑1

***㈱小西鋳造

〒0 2 7 ‑ 0 0 0 6 岩手県宮古市鍬 ヶ崎上町 6 ‑1 4

†I wa t el n d u s t r l a lRe s e a r c hl n s t i t u t e , 3 ‑ 3 5 ‑ 2I i o k a s h l n d e nMo r i o k a c l t y0 2 0 ‑ 0 8 5 2I wa t ep r e f e c t u r eJ a p a n

E‑ ma l l : l k e @s v O 2 . k l r l p r e f . l Wa t e . J p

千千Fa c u l t yo fEn g l n e e r i nga n dRe s o u r c eS c i e n c e , Ak l t aUn l V e r S l t y ,

1 ‑ 1Te g a t aGa k l ユ e n C hoAk l t aC i t y0 1 0 ‑ 8 5 0 2Ak l t ap r e f e c t u r eJ a p a n 千T†Ko n l S h lFo u n d r y CO. , LTD, 6 ‑ 1 4Ku wa g a s a k i k a ml ma C h iMl y a k o

c i t y0 2 7 ‑ 0 0 0 6I wa t ep r e f e c t u r eJ a p a n

発を行 っている。

ここでサーメ ッ ト粉砕粉を利用す る理 由は,サーメ ッ トはす ぐれた機械的特性を有 しているのに もかかわ らず,鋳 ぐるみ母 材溶湯 との接合性が悪 く,熟衝撃性 にも劣 るためチ ップ形状の まま鋳 ぐるむ ことが困難 なためである2 ) 。 これまでの研究 の結 果では,サーメ ッ ト粉砕粉 にニ ッケルや クロム粉末を 5 0v o l . % 添加 し,十分な熱量 を供給す ることやニ ッケルを 5 0v o l . %添加 した粉末をあ らか じめ加圧成形 して鋳型中に充てんす ることな どによ り良好 な鋳 ぐるみ層が得 られ ることな どが確 かめ られ た2 ト4 ) 。 そ こで, これ らの鋳 ぐるみ材 についてその組織 と機械 的性質の関係を明 らかにす ることが強 く望 まれている。

したが って,本研究では, ニ ッケル及 びクロム粉末を添加 し たサーメ ッ ト粉砕粉加圧成形体 を 2 7mas s%Cr ( 以下単 に 2 7%

Cr とい う) 白鋳鉄溶湯で鋳 ぐるみ,試験片 を作製 し,組織観 察を行 った。そ して,本鋳 ぐるみ材料の粉鉱焼結設備の破砕機 鬼歯への応用化 を図 るため,試験片表面 の圧縮衝撃疲労強度 を 室温か ら 1 0 8 3K の高温 まで測定 し,本鋳 ぐるみ材料 の機械的 特性 について検討 した。

2 . 実験方法

2‑1 鋳 ぐるみ試験片の作製方法

本研究で用いたサーメットチ ップは市中か ら回収 した種々メー

カーの使用済みサーメッ トチ ップ ( EDS による分析結果では,

組成 は Ti CN‑ Mo 2 C‑ WC‑ Ni 系合金 が主 であ った。 その他 これ

(2)

に V,Nb,Co などの元素が ピークと して得 られた組成 の合金 もあ った) で あ る。 これ を ス タ ンプ ミルで 0. 1 5 ‑0. 5mm の粒 度 に粉砕分級 した. そ して このサーメ ッ ト粉砕粉 に対 し, ニ ッ ケル粉末 ( 粒度 2. 2〟m) を 5 0vo l . %添加 した粉末 ( A 粉末), クロム粉末 ( 粒度 <1 0/ Jm) を 5 0vo l . %添加 した粉末 ( B粉末), 及 びニ ッケル とク ロム粉 末 をそれ ぞれ 2 5vo l . %添加 した粉 末 ( C粉末) を被鋳 ぐるみ材 と した。被鋳 ぐるみ材 は,鋳 ぐるみ 材 の強化 のために用 い られ るので,本実験で はこれを強化材 と

一やj㌦ j M oi t enwh皇 t ecas ti r on

函 露 i 義 塾 責窮 鼠 放 i j i 義敵 責蔓 腰 監 題 艶 謹

=

= Z Z = ‑ A ‑ ; Z f Z ‑ 泌 淡 2 ‑ g ̲ = 萎 1 : ≡ 歪 古家設栄蔓 琵 霧 8 ‑ 2 ‑ , 3 ‑要 盛宴

≡ 盛諾革

Fi gur e1 Mol df orhar df ac i ngofwhi t ec as tI r on

Fi gur e2 0ve r v i e w oft hehi ght e mpe r at ur ec ompr e s s i ve i mpac tf a t i guemac hi ne .

Tabl e1 Expe r i me nt alc ondi t i onf orhi ght e mpe r at ur ec om‑

pr e s s i v ei mpac tf at i guet e s t .

Ⅰ ni t i a ll oa d 0. 1 5 kN Te s t l ngl oa d 20 kN

Wa Vef bm Re c t a ngl ewa Ve Fr e q ue nc y 6Hz

Ⅰ mpa c tn umbe r 1 00

Te s t i ngt e mpe r a t ur e RT〜1 073K

呼ぶ ことにす る。 次 に各 強化材粉末 2 0g を超 硬合金製金型 に 充填 し, プ レス圧 1 5 0MPa で ¢2 5×7 . 2‑9. 7 の寸法 に成形 した。

そ して ,Fi gur e lに示 す よ うに鋳型 内 に成形体 を配置 した後, 1 82 3K の 2 7 %Cr自鋳鉄 ( Fe‑2. 7mas s %C‑2 7mas s %Cr ‑ 0. 8mas s %Mn10. 8mas s %Si ) 溶湯 を注湯 して, 鋳 ぐるみ試 験片 を作製 した。得 られた試験片 については,鋳 ぐるみ部 の断 面 および底面研削後 の組織観察 などを行 った。

2‑2 高温圧縮衝撃疲労強度試験方法

本研究で は,上記 の方法で作製 した試験片 の鋳 ぐるみ部 の圧 縮衝撃疲労 強度 を測定 す るために ,Fi gur e2 に示 す デ ジタル 油圧 サーボ試験 システム (イ ンス トロ ン社製 Type 8 8 0 0 ) を用 いた。試験 は,上郡試験片取 り付 け治具 にサーメ ッ ト製 ポ ンチ ( 先端 が ¢2 0 の球形状,硬 さ HV1 6 5 0 ) を, そ して下部取 り付

Fi gur e3 Se t t i ngoft hes pe c i me ni nho l de r#gf orhi gh

t e mpe r at ur ec ompr e s s i v eI mpac tf at i guet e s t .

(3)

け 治具 に鋳 ぐるみ面 を上 に した試験片 を固定 し ( Fi gur e3 ) , 一定 の荷重,速度,回数で試験片 をポ ンチに衝突 させて行 った。

その時の荷重 と衝撃速度 ( 周波数) はアクチュエー タによ り制 御 した。 試験温度 は室温 か ら 1 07 3K までの範 囲で変化 させ, その時の温度 は試験片 に接触 させた熱電対 によ り測定 した。 ま た,試験温度 に達す るまで, ポ ンチ と試験片 は 0. 1 5kN の一定 荷重で常 に接触 させた。試験終了後,試験片 は室温 まで冷却 し た後,試験片 に生 じた圧痕 の深 さ ( 変形量) を非接触三次元測 定装置 ( 三鷹光器製 NH‑ 3 SP) によ り測定 して圧縮衝撃疲労 試験強度 を求 めた。高温圧縮衝撃疲労強度試験 の条件 を Tabl e l にまとめて示 した。

3. 実験 結果

3‑1 鋳 ぐるみ試験片の組織

Fi gur e4 には ,A〜C の各粉末 を強化材 と した鋳 ぐるみ試験 片の,断面 と研削後の底面のマクロ組織を示 した。 これよ りサー メ ッ トとニ ッケルを混合 した A 粉末 を強化材 と した場合, 空 げさなどの存在 しない完全な鋳 ぐるみ層が得 られた。 しか しサー メ ッ トとクロム粉末 を混合 した B 粉末 を強化材 と した場合 は, 断面 か ら観察す ると,強化材 と鋳型 との接触郡 に ごくわずかな 空 げ さが観察 された ( a 部)。 また,研削後 の底面組織 で顕著 であるが,鋳 ぐるみ層 のマ トリックス部分 に白色相が多数観察 された ( b 部)。 サーメ ッ トに クロム粉末 とニ ッケル粉末 を複 合添加 した C粉末 の場合 は,鋳 ぐるみ層表面 に収縮 が見 られ た ものの ,A 粉末 と同様 に完全 な鋳 ぐるみ層 が得 られ る こと が分か った。 なお,サーメ ッ ト粒子 のみを強化材 と して鋳 ぐる んだ場合 は,本実験 のよ うな方法で は全 く鋳 ぐるみ層が得 られ ない ことも確認 した。

次 に Fi gur e5 には ,A 粉末 と B 粉末 を強化材 と した試料断 面の SEM 組織を示 した。 これよりいずれの組織中にもサーメ ッ ト粒子が ほぼ均一 に分散 して い ることが明 らか とな った。 こ こでサーメ ッ トは市 中か ら回収 した種 々サーメ ッ トチ ップを利 用 してい るため,組成 の異 なるサーメ ッ ト粒子が観察 された。

したが って,本鋳 ぐるみ法 によれば鋳 ぐるみ層 はサーメ ッ トの 組成 によ らず ほぼ形成可能 で あ ることが分 か った。 そ して A

u O ! tU a S S S O I U g u !p tl 葛

J

a銭感

心3 肇 n

S

粉末を強化材 とした場合,鋳 ぐるみ部 にポアなどは観察 されず, サーメ ッ ト粒子形状 は元 の形状 をその まま保 って鋳 ぐるみ部 の マ トリックス と完全 に接合 してお り,良好 な鋳 ぐるみ層が得 ら れ ることが分か った。 また,鋳 ぐるみ層 のマ トリックス部 には, 強化材 の成分 と 2 7%Cr 白鋳鉄 が合金化 して生成 した炭化物 が 観察 され た。一方 ,B 粉末 を強化材 と した場合 ,27 %Cr 自鋳 鉄 と添加 した クロム粉末 などが合金化 した粗大 な M 7 C 。炭化物 が鋳 ぐるみ層 マ トリックス部 を中心 に多数生 じたほか, そ こに は多 くの ミクロポア も観察 された。 これ よ り Fi gur e4 で B 粉 末 を強化材 と した鋳 ぐるみ層内部 に観察 された白色相 はこの ミ

ク ロポアで あ る ことが分 か った。 この B 粉末 を強化材 と した 場合 のみ,強化材 と鋳型 の接触部 に空 げ きが生 じ, さ らに鋳 ぐ るみ層 内に も多 くの ミクロポアが観察 された。 この ことはニ ッ ケル とクロムの鋳 ぐるみ層形成時 にお ける反応挙動 の相違 によ る もの と考 え られた2 ) 。 す なわ ち, ニ ッケル粉末 の場合, 強化 材粉末 を圧縮成形す ることによ り鋳 ぐるみ層形成時, ニ ッケル が溶湯中に溶 け込 むの と同時 にサーメ ッ トとニ ッケル粉末 との 焼結性 と濡れ性が向上す るためポアが生 じに くいと考え られた。

一方 クロム粉末 を同時添加 した強化材 を用 いた場合,鋳型 との 接触面 に鋳 ぐるまれない層が出来 た ことか ら,強化材粉末を圧 縮成形す ることによ り,成形体 と鋳型 との接触面 まで熟が十分 に伝達 されていないため鋳 ぐるみ層内 に多 くの ミクロポアが生 じたと考 え られた。 この ことについて は後 で詳細 に述べ る。

3‑2 高温圧縮衝撃疲労強度試験

Fi gur e6 には ,A 粉末及 び B 粉末 を強化材 と した鋳 ぐるみ 試験片 と,比較 のための 2 7 %Cr 白鋳鉄 試験片 につ いて,室温 と 97 3K で圧縮衝撃疲労強度試験 を行 った後 の表面組織 を示 し た。繰 り返 し衝撃荷重負荷 によ り, いずれの試験片 に もポ ンチ か ら転写 された圧痕が生 じることが分 か った。 そ して,明 らか に室温 の結果 に比較 して ,9 7 3K の高温 で試験 を行 った ものの 圧痕径が大 き くなることが分か った。 これ は,サーメ ッ ト粒子 や M 7 C 3 炭化物 そ してオーステナイ ト相 の硬度 が高温 になるほ ど低下 す る5 ) ・ 6 ) ことによ る もの と考 え られた 。Fi gur e7 は Fi g‑

ur e6( a) の室温試料 の圧痕深 さを非接触三次元測定装 置で測

( a ) Apo wde r ( b)Bpo wde r ( C )Cpowde r

Fi gur e4 Mi c r os t r uc t ur e si nt hec r os ss e c t i onsands ur f ac e saf t e rgr i ndi ngoft hes pe c i me ns , i nwhi c h( a),( b)and

( C )i ndi c at et hes pe c i me nsi ns e r t i ngA po wde r( Ce r me t 十 5 0vo l . % Nipowde r ),Bpowde r( Ce r me t+5 0

v o l . % Crpowde r )andCpowde r( Ce r me t+2 5vo 1 . % Nipowde r+2 5vo l . % Crpowde r ),r e s pe c t i ve l y.

(4)

定 した時の結果を一例 として示 した。 これ らの結果 より, この 試験片 に生 じた圧痕の深 さ,すなわち圧縮衝撃疲労強度試験 に よる塑性変形量 ( 以下変形量)を測定 して求めることによ り, 鋳 ぐるみ材料表面 の高温圧縮衝撃疲労特性が定量的に評価可能 と考え られた。 そ こで,室温 か ら 1 0 8 3K まで試験温度 を変化 させ ,A 及 び B 粉末 を強化材 と した鋳 ぐるみ試験片 と 2 7%Cr 白鋳鉄単体の圧縮衝撃疲労強度試験 を行 った試験片の変形量を 測 定 した結 果 を Fi gur e 8 に示 した。 これ よ り室 温 で は, 2 7%Cr 白鋳鉄 と B 粉末 を強化材 とした試験片の変形量 はほぼ

( a )Apowde r ( b)良po wde r

Fi gur e5 SEM mi c r os t r uc t ur e si nt hec r os ss e c t i onsoft he s pe c i me ns ,i n whi c h ( a)and ( b)i ndi c at et he s pe c i me nsi ns e r t i ng A powde rand B powde r , r e s pe c t i v e l y.

( a) 27 9 0 Crv v hi t e

casti r on

I nde nt a t i onde pt h Fi gur e7 Exampl eoft hei nde nt at i o nde pt hme as ur e me nt

by me ans of a non‑ c ont ac t t ype t hr e e ‑ di me ns i onalde t e r mi nat i onme t hod,i nwhi c ht he s pe c i me n i ns e r t i ng A powde rwasus e d af t e r c ompr e s s i vei mpac tf a t i guet e s ta tr oom t e m‑

pe r at ur e .

2 0 0 4 0 0 6 0 0 8 0 0 1 0 0 0 T e s t i n gt e mp e r a t u r e ( K )

1 2 0 0

Fi gur e8 Re l at i onbe t we e ni nde nt at i onde pt handt e s t i ng t e mpe r at ur ei n2 7% Crwhi t ec as ti r ons pe c i me n , s pe c i me n i ns e r t i ng A powde r and s pe c i me n i ns e r t i ng B powde r af t e r c ompr e s s i v ei mpac t f a t i guet e s tatv ar i oust e mpe r at ur e s .

( b) Apowder ( C)Bp owder

Fi gur e6 Mi c r os t r uc t ur e si nt hes ur f ac e sofs pe c i me nsaf t e rc ompr e s s i v ei mpac tf at i guet e s tatr oom t e mpe r at ur e

and9 7 3K.( a),( b)and( C )i ndi c at et hes pe c i me nsof2 7% Crwhi t ec as ti r on,i ns e r t i ngA powde rand

i ns e r t i ngBpowde r ,r e s pe c t i ve l y,

(5)

同 じで あ るが ,A 粉末 を強化材 と した場合, これ らの約 3 倍 も変形量 が大 き くな ることが分 か った。 そ して ,2 7%Cr 白鋳 鉄 の場合 ,87 3K 以上 の高温 にな ると急激 に変形量が増加 す る が,鋳 ぐるみ試験片 の場合 は ,87 3K 以上 の高温で も緩 やか に 増加 す る ことが分 か った。 そのため ,1 07 3K の高温 で, 変形 量が最 も大 きいの は ,2 7%Cr 白鋳鉄単体 ( 約 3 6 0/ Jm) で,吹 に A 粉末鋳 ぐるみ材料 ( 約 2 7 0〟m) , そ して B 粉末鋳 ぐるみ 材料 ( 約 1 5 0〃m) とな った。 す なわち 1 07 3K の高温 にお いて ほ, サーメ ッ トにクロム粉末 を 5 0vo l . %添加 した強化材 を 2 7%

Cr 白鋳鉄 で鋳 ぐるんだ材料が ,2 7 %Cr 白鋳鉄単体 に比較 して 2 倍以上 の圧縮衝撃疲労強度 を示す ことが分か った。 なお, こ こで は実験結果 の説明を省略 したが, ニ ッケル粉末 とクロム粉 末 を併用 した C 粉末 の場合 は,各温度 で A 粉末 と B 粉末 の場 合のほぼ中間の変形量 となることを確かめた。

4 . 考察

4‑1 クロム粉末添加強化材 の鋳 ぐるみ層 中に生 じるボ ア 本研究 において, サーメ ッ ト粉砕粉 にクロム粉末 を 5 0 V。1 . % 添加 した B 粉末 を成形体 に して 2 7%Cr 自鋳鉄溶湯で鋳 ぐるん だ試験片 の鋳 ぐるみ層 には,ポアが多量 に観察 された ( Fi gur e 5 ) 。 これ までの研究 の結果 2 ) ,鋳 ぐるみ層 の形成機構 は, 強化 材 に添加す るニ ッケル粉末 とクロム粉末で異 なることが分 か っ ている。 そ していずれの場合 も良好 な鋳 ぐるみ層が得 られ るこ とも分 か っている。 そ こで,本研究 において, なぜ クロム粉末 を同時添加 した強化材 の場合 のみ, ポアが生 じたかその理 由に ついて検討 した。

まず クロムは母材 の 2 7%Cr 白鋳鉄 の主成分 で ある こと, そ して クロム粉末 を多量 に含 む強化材 は溶解 に必要 な熱量 が少 な くなる 4 ' ことなどか ら, この場合 の強化材 は 2 7 %Cr 白鋳鉄溶湯 中に溶 け込 みやす くなる。 そ して クロムを多 く含む過共晶 の白 鋳鉄溶湯 は, サーメ ッ ト粒子 との濡 れ性 も向上 し2 ) , この とき 溶湯か ら十分 な熱量 が強化材 に対 し加 え られ ると,強化材 中の サーメ ッ ト内部 に も M 7 C 3 炭化物 を生成 しなが ら,鋳 ぐるみ層 は形成 され る2 ) 。 しか し,本研究 の場合, 強化材 は 1 5 0MPa の 圧力で成形 した圧粉体で十分 に徹密化 されてお り,圧粉体表面 で は ,2 7 %Cr 白鋳鉄溶湯 によ り, クロム粉末 が瞬時 に溶 け込 み,上記理 由によ り鋳 ぐるみ層が形成 され る。 しか し, クロム 粉末 は, ニ ッケル粉末 の場合 と異 な り, サーメ ッ ト粒子 を包 み 込 むよ うなネ ッ トワークを形成 しないため,圧粉体 内部 は,港 湯か らの熱伝達が表面部 に比較 して遅 い と考え られ, そ して さ らに強化材 は撤密化 されているため,溶湯が流れ込 むに も時間 を要 す ると考 え られ た。 そのため ,2 7%Cr 白鋳鉄溶湯が強化 材内部 に到達 した ときは,溶湯温度 も低下 し, クロム粉末 と接 触 した瞬間 に合金化 し,反応 が十分でな く,多 くのポアが発生 した と考 え られた 。Fi gur e5 に示 したよ うに鋳 ぐるみ層 界面 部 に比較 して内部 に多 くのポアが生 じた こと及 び鋳型 との接触 面 には空 げきが観察 された ことが この ことを裏付 けていると思 われた。

一方,強化材 にサーメ ッ トと同時 にニ ッケル粉末 を添加 した 場合, ニ ッケルは 2 7 %Cr 白鋳鉄 に多 く溶解 す ることに加 え, 溶解 に必要 な熱量 も少 な くな る4 ) , そ してニ ッケル はサーメ ッ トとの濡れ性 も良 くサーメ ッ ト粒子を包み こむようにネ ッ トワー クを形成す る 2 ) ため, 強化材 を加圧成形 し撤密化す ることで,

圧粉体 内部 の焼結性 と濡 れ性が向上 し,鋳 ぐるみ層 内にはポア が全 く生 じず,健全 な鋳 ぐるみ層が得 られた と考え られた。

4‑2 圧縮衝撃疲労強度 に及ぼす温度の影響

室温 か ら 1 07 3K までの高温 で圧縮衝撃疲労強度試験 を行 っ た結果,室温 で は 2 7%Cr 自鋳鉄 の変形量 は小 さいが ,87 3K 以 上 の高温 になると,急激 に変形量が増加 す るため,鋳 ぐるみ材 料 に比較 して高温での圧縮衝撃疲労強度が低下す ることが分か っ た 02 7%Cr 白鋳鉄 の場合 ,Fi gur e9 に示 したよ うに M 7 C 3炭 化物 とオーステナイ トか らなる組織 を有 している。従 って,室 温で は ,M 7 C 3 炭化物 の硬 さが高 い ( HV1 5 505 ) ) こととオ ース テナイ トの加工硬化 などによ り比較的変形量 は少 な くな るもの と考 え られ る。 しか し,試験温度が 87 3K 以上 になると ,M 7 C 3

炭化物 の硬 さが減少す ると共 に,回復 の効果 によ りオーステナ イ トの加工硬化が生 じに くくなるため急激 に変形量 が増加 した と考 え られた。 この ことは,高 クロム白鋳鉄 の高温圧縮強 さの 測定結果 5) か らもはぼ妥 当 と考 え られた。一方 ,A 粉末 を強化 材 と した試験片 の変形量 が室温 で大 き くな った理 由 は ,A 粉 末 の場合, ニ ッケル粉末 を 5 0vo l . %同時添加 しているため,鋳 ぐるみ層 内のオーステナイ ト領域 が多 い ( Fi gur e5( a) ) こと と同時 に, オーステナイ ト中にニ ッケルを多量 に含むためオー ステナイ ト領域が室温 で も安定化 し7 ) ,圧縮衝突疲労試験 によ る加工硬化が生 じ難か ったため と考え られた。 そ して高温 にな ると, サーメ ッ トの硬度が低下す る 6 ) ため,変形量 は,温度上 昇 に伴 い緩やか に増加 した と考え られた。 また ,B 粉末 を強化 材 とした場合,鋳 ぐるみ層内にはオーステナイ ト領域が少 な く, 硬 い M 7 C 3 炭化物が多 く分散 ( Fi gur e5( b) ) した。 そ してサー

メ ッ ト粒子 も 5 0vo l . %以上分散 してい るために,鋳 ぐるみ層 の 変形量 は 2 7%Cr 白鋳鉄 の場合 とほとん ど変 らなか った と考 え られた。 さ らに,高温 で はサーメ ッ ト粒子 と M 7 C 3 炭化物 の硬 さの低下 に伴 い,変形量が緩やかに増加 した もの と考 え られた。

4‑3 高温圧縮衝撃疲労強度試験後 の断面組織

Fi gur e8 の高温圧縮衝撃疲労 強度試験結果か ら ,87 3K 以上 の高温 において ,2 7 %Cr 白鋳鉄 の変形量 は急激 に増加す るが, A,B 粉末 を強化材 と した鋳 ぐるみ材料 の変形量 は緩 やかな増 加 に とどまる。 そのため 1 0 7 3K で は ,2 7%Cr 白鋳鉄 の変形量 が最 も多 く, その変形量 は B 粉末 を強化材 と した場合 の 3 倍 以上 に も達 す る ことが分 か った。 また 1 07 3K で は, いず れの 試験片 とも室温 の場合 に比較 して約 2 倍 か ら 7 倍以上 に変形量

Fi gur e9 Mi c r os t r uc t ur eof2 7% Crwhi t ec as ti r on.

(6)

が増加 した。 この変形量 が増加 す ると,圧痕周辺 の 2 7%Cr 白 鋳鉄 中の M 7 C3 炭化物 や鋳 ぐるみ層 に分散 す るサーメ ッ ト粒子 の内部 とその界面 などには,変形 による破壊組織が生 じやす く な る 5) ・ 8) と考 え られた。 そ こで ,1 0 7 3K で試験 を行 った各試料 の圧痕周辺部 の組織観察 を行 った結果 を Fi gur e l Oに示 した。

この図 よ り ,2 7%Cr 白鋳鉄 で は,予想 に反 して圧痕直下及 び 圧痕 の肩部 な どに も変形 による破壊組織 は観察 されなか った○

しか し ,A 粉末 を強化材 と した場合 は,圧痕肩部 のサ ーメ ッ ト粒子 とマ トリックス界面部及 びサーメ ッ ト粒子 内部 にクラッ クが生 じることが分か った。一方, クロム粉末 を同時添加 した B 粉末 を強化材 とした場合 は,試験 による変形量すなわち圧痕 深 さは小 さいが,圧痕 の肩部 か ら内部 に約 6mm もの大 きな ク

ラックが発生 していることが分か った。 そ して クラックは圧痕 の肩部付近 のサーメ ッ ト粒子 とマ トリックスの界面 か ら発生 し, サーメ ッ ト内部 と界面,炭化物 内部 と界面及 び鋳 ぐるみ層 に生

じたポアな どを経 由 して伝播す ることが分か った。 すなわち B 粉末 を強化材 と した場合 は,鋳 ぐるみ層 内には硬 い炭化物が多

く晶出 した ことと多 くのポアが発生 した ことによ り,高温で は 変形量が少 ない ものの,著 しく靭性 に劣 る材料 とな った と考 え られた。 つ ま り高温 にお ける変形量 を少 な くす るだ けで な く, クラックの伝播 を抑制す るためには, サーメ ッ ト粒子 内部及 び 界面 の クラック発生 を低減 させ るために粒子 の形状 を小 さ くす ること, そ して鋳 ぐるみ層 マ トリックス部 は,炭化物 を発生 さ せて硬度 の上昇 を図 るだ けでな く,鋳 ぐるみ部 に靭性 を持 たせ るために もオーステナイ ト相 を多 く晶出 させ ること, そ して鋳 ぐるみ層 にはポアな どの欠陥を出来 るだけ発生 させないよ うに す ることなどが重要であると考 え られた。

5 . まとめ

サーメ ッ ト粉砕粉 にニ ッケルや クロム粉末 を添加 した粉末 を 強化材 と した 2 7%Cr 白鋳鉄鋳 ぐるみ試験片 につ いて,組織観 察 および高温圧縮衝撃疲労強度試験 を行 った結果以下 の結論が 得 られた。

1 各強化材 を圧縮成形 して鋳 ぐるんだ試験 片 にお いて ,5 0 V。 1 . %Ni ( A 粉 末) と 2 5vo l . %Ni ‑ 2 5vol . %Cr ( C 粉 末 ) を用 いた場合 は,健全 な鋳 ぐるみ層が得 られた。 しか し, 5 0 V。 1 . %Cr 添加 した粉末 ( B粉末) の場合, 一部 に空 げ さが観察 され,鋳 ぐるみ層 には多 くの ミクロポア も観察 さ れた。 その理 由 と して は, クロムとニ ッケル との鋳 ぐるみ 層形成機構への関与 の相違 による もの と考 え られた。

2 圧縮衝撃疲労強度試 験 によ る変形量 につ いて ,2 7%Cr 白 鋳鉄 の場合,室温 にお ける変形量 は小 さいが 87 3K 以上 の 高温 な ると急激 に変形量 が増加 す ることが分か った。 そ し て A 粉末 を強化材 と して用 いた場合,室温 にお ける変形 量 は最 も大 き くな るが ,9 7 3K 以上 の温 度 で は ,2 7%Cr 白鋳鉄 よ り変形量 が小 さ くな ることが分 か った。一方 ,B 粉末 の場合,室温での変形量 も小 さ く,高温 において も変 形量 は緩 やかな増加 に止 ま り ,1 0 7 3K で は 2 7%Cr 白鋳鉄 の 1 /2 以下 の変形量 とな ることが分か った。

3 上記 の理由 としては ,2 7%Cr 白鋳鉄 の場合,室温ではオー ステナイ ト相 の加工硬化 などによ り変形量が少 な くな るが, 高温で は,加工硬化 が生 じ難 くな るため変形量 が急激 に増 加 した と考 え られ た。A粉末 の場合, オーステナイ ト相 に多 くのニ ッケルを含有す るため,室温で も安定で加工硬 化が生 じに くく,変形量 が大 き くなると考 え られた。 そ し て高温で は,サーメ ッ トの硬度低下 に伴 い緩やかに変形量 が増加 す ると考 え られた。 そ して ,B 粉末 の場合 ,M 7 C 3

炭化物 の晶出が多 く, オーステナイ ト相 が少 な くな ったた め硬度が上昇 し,室温及 び高温 で も変形量 が少 な くな った と考 え られた。

4 B 粉末 を強化材 と した場合,圧痕肩部 のサーメ ッ ト粒子界 面 に発生 した クラックが, サーメ ッ トや炭化物 の界面 およ び内部 さ らに鋳 ぐるみ層 に生 じたポアなどを経 由 して伝播 す ることが分か った。 そ して クラックの発生 を抑制す るた めには,サーメ ッ ト粒子 の形状 を小 さ くし,鋳 ぐるみ層 マ トリックス部 は, オーステナイ ト相 を晶出させて靭性 を持

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powde r ,r e s pe c t i ve l y.

(7)

たせ,鋳 ぐるみ層 にポアなどの欠陥を発生 させないことな どが重要 と考え られた。

文 献

1 ) ( 蜘綜合鋳物 セ ンター編 :鋳物のアプ レ‑シブ摩耗, ( 1 9 8 0 ) 4 9 .

2 )池 浩之,麻生節夫,後藤正治,勝負滞善行,小西信夫 : サーメ ッ ト粉末鋳 ぐるみによる 2 7ma s s %Cr 白鋳鉄 の表面 硬化,鋳造工学 ,7 5( 2 0 0 3 )5 3 8 ‑5 4 4 .

3)池 浩之,後藤正治,勝負葎善行,麻生節夫,小松芳成, 小西信夫 :白鋳鉄 による粉砕サーメ ッ ト粒子 の鋳 ぐるみ性 評価,素材物性学雑誌 ,1 6( 2 0 0 3 )7 ‑1 2 .

4)池 浩之,後藤正治,麻生節夫,勝負澤善行,小西信夫 : 2 7 %Cr 白鋳鉄溶湯 によるサーメ ッ ト粒子 の鋳 ぐるみ とそ の特性,鋳造工学 ,7 5( 2 0 0 3 )6 1 8 ‑6 2 3 .

5 )劉 沖明,麻生節夫,後藤正治,小松芳成 :高 クロム白鋳 鉄の高温圧縮強 さ,鋳造工学 ,7 0( 1 9 9 8 )7 9 3 ‑7 9 9 . 6 )鈴木 寿編 :超硬合金 と焼結硬質材料基礎 と応用 ( 丸善),

( 1 9 8 6 )3 6 4 .

7 ) ステ ンレス協会編 :ステ ンレス鋼便覧第 3 版 (日刊工業新 聞社) ,( 1 9 9 5 )1 7 1 ‑1 8 1 .

8 ) 鈴木 寿,林 宏爾,寺 田 修 : Ti c‑ Mo ‑ Ni 合金 の ビッ

カース圧痕周辺 に生 じる破壊組織,粉体および粉末冶金,

2 2( 1 9 7 5 )1 3 1 ‑1 3 5 .

Tabl e1 Expe r i me nt alc ondi t i onf orhi ght e mpe r at ur ec om‑

参照

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