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金 融 政 策 の 近 代 的 特 色

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金 融 政 策 の 近 代 的 特 色

藤 沢 正 也

1序

∬FiscalPolicy 鉦Financialcontrel

は し が き

金 融政策 の方法 は,大 掴 み に 量 的 調 整 と質 的統 制に分 け られ る。 レツセ ブエー レを合 言葉 とした古典的 な資本主義 の段階 には,金 融政 策は金 利操作 と公 開市場操作 を申心 とす る量 的通貨政 策 に力点 が おかれ ていた。 しか るに国家独 占資本主義 の現段階 では,質 的統 制 が強 く加 味 され るよ うになっ た。本 稿 は序説 におい て斯 る政策転換 の必然性 を 明 らかに

してか ら,近 代的金 融政策 の 手段 として 重視 されて い る質 的統 制 をFiscalPolicyと

FinancialControlに 分 け,両 者の金 融要因 に対 す る政策 的効果 を検 討す る。 なお現代 で も通 貨管理 の不可欠 な手段 として用 い られ てい る金利操 作,公 開市 場操作,支 払準 備操 作 を と りあげ るこ とな くしては,課 題 の ま と もな解答 にはな らないが,こ \では紙 面 の都合 で割愛す る。前三者 の現 代的 な利 用価 値 について は,拙 著 「現代 の金融 問題」 を参照 され

た い 。

1序 説

金 融 政策 と1ま,一 国 の金 融 当局 が経 済 政 策 の一環 と して,通 貨 お よ び信 用 の 円滑 をは か る 目的 か ら,金 融 要 因 を規制 す る こ とで あ る とい っ て よい 。現 代 の 資 本 主 義諸 国 で は,政 府(大 蔵省)が 申央 銀 行 と結託 して金 融 当局 を形 成 して い る。 独 占的 な発 券 銀 行 として,ま た全 国準 備金 の保 管 者 と して,政 府 に対 し ては独 立 性 を誇 っ てい た イ ング ラ ン ド銀 行 や フ ランス銀 行 で さえ,第 二 次 大戦 後 は 国有化 され た。全 額 政府 出資 の形 を とらない わが 国 や合 衆 国 の 中 央 銀 行 も,政 府 の代 行 機 関 として の 『公 共 的 な性 格』 は益 々強 化 され てい る。 し たが って大 蔵 省 と申 央 銀行 の政策 には本 質 的 な対 立 は考 え られ な い が,政 策 の分 野 は 異 な っ て い る とみ て よい 。政 府 当局(大 蔵 省)の 政 策 は,法 律 や行 政上 のル ール に か な り厳 し くしば られ てい て

,迅 速 な金 融措 置 を講 ず る こ とは比 較 的困

(2)

難 で あ る。 い うま で もな く重要 な 法規 の改 廃 は,国 会 の議 決 や政府 の決 定 を ま た な けれ ば な らな い 。 これ に比 して通 貨 当 局(中 央銀 行)は 業 務上 金 融 業者 と 不 断 に接触 を保 っ て い るか ら,取 引 を通 じて金 融 要 因 を機 動 的 に規 制 し得 る立 場 に あ る。金 融 要 因 は単 な る通 貨 現 象 の 動機 で は な く,貸 付 資本(資 金)の 引動 機 で あ る。資 金 は主 として銀 行 資 本 に集 中 され,銀 行 資本 に よ っ て取 引上 の主 導 権 を握 られ て い る。申央 銀 行 は そ の よ うな銀 行 資本 の銀 行 として,政 策 の執 行 の み な らず,政 策決 定 に っい て も独 自な 力 をダ ィ ナ ミツ クに行 使 してい

る。

一 般 に金 融 政 策 の近 代 的 な特 徴 は ,金 融 当局 が経 済 を客 観 的 に み て,そ の将 来 を予 測 した うえ で,通 貨 や信 用 を意識 的 に管 蓮 す る主 体 性(管 理 通 貨制 度)

ロ  

を もっ よ うに な っ た こ とで あ る とい わ れ て い る。 た しか に最 近 で は,金 融 当局 の先 見的 な対 策 に よ っ て,悪 性 イ ン フ レや パニ ッ クの危 険 はか な り防止 され る よ うに な っ た。 これ は当 局 が資 本 主 義 の構 造 的 な変 化 に照 応 して,近 代 経 済学 の テ クニ ックを巧妙 に利用 して い る た め で あ る。現 代 の資 本主 義 は 国 家独 占資 本主 義 の段 階 に あ る。 金 融界 で は,資 金 を集 積 し資 本 を集 申 した大銀 行 の斡旋 に よ っ て,公 然 もし くは暗 黙 の うち に カル テル,シ ンジ ケ ー ト,ト ラス ト等 のい ろい ろ な団 体 が形 成 され て い る。 こ うした 利益 集 団 は,産 業界 の それ と同様 に 自由競 争 を制 限 し,大 資 本 の独 占的支 配 を強 化 す る もの で あ る。金 融 資 本 とは, そ の よ うな産 業 界 と金 融 界 の独 占資 本 が 融 合 し た資 本 主 義 最 高 の少数 独 占者 な の で あ る。金 融資 本 の成 立は,国 家 の法 律 的行 政 的 措 置 の介 入 に よっ て促 進 さ れ る場 合 が 多い が,い っ たん成 立 し た金 融 資 本 は,国 家 権力 や国 家資本 を意 の ま ㌧に操 縦 す る実 力 を もって い る。 資本主 義 の現 段 階 で は強 力 な金 融資 本 を も た ない 国 は,国 民 的 な 自立 性 を主 張 す る こ とは 難 しい 。 したが っ て金 融 当局 は 一 国 の通 貨信 用 を 意識 的 に管 理 す る とい っ て も,金 融 資本 の意 思 を 多分 に尊重 せ ざる を得 な い。 金 融 資本 が まだ確 立 して い な い 国 の金 融 当局,も し くは金 融 資本 の意 思 を無 視 した当局 の政 策 が,如 何 に深 刻 な体 制 的危 機 を露 呈 したか は 特 に後 進 資 本主 義 国 の現 代 史 が これ を証 明 して い る。

管 理 通 貨 制度 は 近代 の もの で あ るが,そ の思 想 は 古 くか ら あ ら われ てい た。

(1)R.C.SayersCentralBank量ngAfterBagehot,.1957.pp.1〜7.

(3)

,

金融政策の近代的特色(藤 沢)‑3‑

H.TbomtonやW.Bagehotは,イ ング ラ ン ド銀 行 を当 局者 とす る通貨 信 用 の意 識 的 な管 理 を提 唱 して い た とい う意 味 で は,そ の先 駆者 とみ る こ と もで き よ う。 しか し彼 等 の時 代 は,本 位 貨 の価 値 を維 持 し安定 させ る こ とが先 決 問題 で あ っ ナこ。 そ の た め には,本 位 貨 が慣 習 的 に金 貨 とされ て か らは,貨 幣 当 局 は 地 金 の鋳 造価 格(mintprice)を 一 定 不変 として,公 衆 の要 求 次 第 両者 の 交換 に応 じ且 っ地 金 の輸 出入 も官 由 に放 任 す る こ とが望 ま しか っ た。 ま た貨 幣標 章'

もし くは信 用 貨 幣 と しての銀 行券 を発 行 す る銀 行 も,正 貨 へ の 交換 を維 持 す る に必 要 な準 備金 を 越 え て ま で発 行 を拡 大 すべ きで は な か っ ナこ。す な わ ら彼 等 は 景 気 変 動 に照 応 して通 貨 を フ レキ シ ブル に調 整 す る必 要 を認 め て は い たが,貨 幣 制 度 として の金 本 位 と発 雰制 度 として の 自由免 換 を前 提 として い テこか ら,当 局 の 自主 的 な判 断 に よ る通 貨 管管 理 の 余地 に は い きおい 狭 い限 界 が あっ た。金 融 当局 が 通貨 や信 用 を本格 的 に管 理 す る た め に は,以 上 の前提 条件 を修 正 す る

必 要 が あ つ た。

しか し この修正 は,金 融 当局 に よ っ て積 極 的,計 書 的 に行 われ た とい うよ り は,寧 ろ資本 主 義 の全般 的危 機 の な か で金 融恐 慌 にぶ っ か っ て,や むを得 ず行 わ れ た必 要 悪 で あ っ た。 もっ と も金 本位 制 度 を とっ てい た先 進 国 に おい て も,法 貨 として の銀 行 劣 を発 行 す る銀 行 が,正 貨 へ の免 換 を停 止 した場 合 が な い わ け

では ない 。だ が それ は戦 時 そ の 他 内外 の非常 事 態 に対 処 す る暫 定 措置 とされ, 恒 久 的 に制 度化 され は しなか っ た。"しか るに1929年 に始 ま っ た世 界恐 慌 以 後 は

ど この 国 で も金 本位 制 度 は停 止 され,あ ら ゆ る通 貨 は不 換紙 幣 化 され て い る。

そ して現 在 の と ころ,国 内 の通 貨 が 価 値 尺度 と して の金 に 自由 に免 換 され,か っ金 貨 が 通 貨 として用 い られ る可能 性 は 殆 どな くな っ てい る。 これ は貸 付 奪本 の法 則 に立 脚 して 造 出 され た擬 制資 本(FictiveCapital),特 に国 家信 用(公 債)の 彩 しい 膨脹 に よ る もの で あ る。擬 制 資 本 の 大 半 は 市場 性 あ る有価 証 券

の形 を とっ て,金 融 資本 家 の手 に集 中 され て い る。 この集 申 的 な支 配 を円滑 に す る た め には,屡 々証劣 の 名 目価 格 を 吊上 げ,公 衆 の信 頼 を繋 ぎ とめて お く必 要 が あ る。 擬制 資 本 の名 目価 格 は 他 の 条件 を一 定 とすれ ば,法 貨(銀 行劣)の

(2)鈴 木 武 雄 近 代 財 政 金 融 第3章 第3節 に は こ の 点 が 明 確 に 指 摘 され て い る 。 特 にPP.IO2〜5参 照 。

(4)

数量 とその 流通 速 度 に左右 され る。金 融 当局 は 一 旦放 出 した銀 行 券 の 流通 速 度, な か ん つ くその金 融流 通 に お る速 度 を緯 制 す る こ とは か な り難 しい が,前 述 の よ うに銀 行 券 の正 貨 へ の 交換 性 を制 限 し,も し くは停 止 す る こ とに よ って,任 意 に これ を増 発 し,以 上 の 目的 を遂 行 しよ うとす る。 各 国 の 中央 銀 行 にお け る 保 証 発 行(FiduciaryIssue)の 拡大 は,こ の 間 の事情 を物 語 って い る。

この よ うな銀 行 劣 の ほか に申央 銀行 へ の預 ケ金(Banker'sDoposit)を も現 金 準 備 として,ピ ラ ミ ッ ド的 に信 用 を創 造 す る近代 的 銀 行組 織 の もとにお い て は,中 央 銀 行 の操 作 に よ る通 貨 の膨 脹,し たが っ て ま た物 価 や証券 価 格 を維 持 す る効 果 は非 常 に大 きい 。 しか し斯 る通 貨制 度 は た え ず イ ン フ レー シ ヨ ンを誘 発 す る危 険 を孕 ん で い る。勿 論 イ ン フ レー シ ヨン の原 因 は,不 換 紙 幣制 度 お よ

び その よ うな通 貨 を増 発 す る側 に の み に あ る ので は な い 。近代 経 済学 者 は,一 般 に イン フ レギ ツヤ プ(lnflationaryGap)と は,社 会 の 総 支 出額 が基 準 価 格 で 測 定 し た財 貨 や 用役 の供 給 額 を上廻 る差 額 で あ つて,こ の ギヤ ヅプが 通 貨 の 惜 しみ な き造 出 に支 え られ て社 会 を完全 雇 用 の 限度 に接 近 させ るほ ど,通 貨 膨

でおノ

脹 と物 価 騰 貴 の悪 循環 の 可能 性iは大 とな る と規 定 して い る。 それ は イン フ レー シ 。ンを単 な る通 貨 現 象 と して で は な く,再 生 産 過程 まで 立 入 っ て考 察 しよ う

とす る こ ころみ とす れ ば当 を得 た もの で あ る。 ところ で両 大戦 間,特 に世界 恐 慌 は,民 間 の投 資 や消 費葦 出 の減 退 に よ っ て,そ の基 本 的 な 原 因 は ど うあれ, 寧 ろ デ フ レギ ヤ ップ(DeflatioraryGap)カS慢 性 化 して い た 。 し た が つ 赤 字 財 政

を 以 て す る公 共 事 業 費 や 軍 事 費 の 支 出 は,そ れ が 一 時 的 に は 萎 縮 し た民 間 の投 資 や 消 費 を 自動 的 に刺 戟 す る誘 い水 効 果(PumpPrimmingEffect)が あ る と

か,長 期 的 に沈 滞 し た 民 間 支 出 を 挺 入 れ す る補 整 効 果(CompensatoryEffect)

が あ る と か い う理 論 に よ つ て 正 当化 され て い た 。 しか し こ の よ うな 膨 脹 主 義 的 な 財 政 政 策(FiscalPolicy)・ も充 分 の 効 果 を 発 揮 し な い う ら に,第 二 次 大 戦 に 入 つ て 事 態 は 一 変 し て し ま つ た 。 国 民 経 済 バ ラ ン ス に お け る財 政 収 支 の比 重 は 飛 躍 的 に 膨 脹 す る と と もに,赤 字 財 政 の 規 模 も拡 大 され た 。 こ うし た政 府 支 出 の 増 大 に と もな つ て 設 備 資 本 の 稼 働 率 は た か ま り,滞 貨 や 失 業 者 は 目立 つ

て 減 少 し,あ ら ゆ る生 産 要 因 は 所 謂 完 全 就 業 の 状 態 に 入 つ た 。

(3)A.C.LDay.OutlineofMonetaryEconomics.1957,PP.253〜263'

(5)

金融政策の近代的特色(藤 沢)‑5一

この場 合 に商 品 や資金 の取 引 が 自由市場 の決 定 に まか され る と,次 の よ う な 動 機 に よ る物 価 や 賃銀 の上 昇 が 懸 念 され る。 す な わ ちJ・Brownは 戦 時 の 物 価 変 動 につ い て, .「人 々が 過 大支 出 しよ う とす るか ら物 価 は 上 昇 す るば か りで な く,物 価 が上 昇 す るか ら人 々は 過 大支 出 し よ うとす る。換 言 すれ ば価 格 変 動 に関 す る思 惑 は,そ れ と と もに 社 会 の 流動 的 購 買 力 と財 貨 の 選 好 を 変 化 させ る。 極端 な場 合 には所 得 の過 大 支 出性 向 は,既 に 惹起 され て い る価 格 イ ン フ レ

'④

か ら 発 生 す る し,ま た価 格 イ ン フ レを 培 養 す る こ とに な る」と して,公 衆 の物 価 に 関 す る集 団 的 な 期 待 要 因(CollectiveEstimateFactor)を 悪 性 イ ン フ レ の 契 機 と し て 重 視 して い る 。 も し イ ン フ レー シ 。ン が この よ うに 悪 循 環 の 様 相 を 呈 して く る と,そ れ は銀 行 劣 等 の 通 貨 的 機 能 を破 壊 す る ば か りで な く,独 占 資 本 や金 融 資本 が イン フ レー シ ・ンか ら引 き出 そ うとす る超過 利 潤 の 機 会 を さ え 消滅 させ る危 険 が生 ず る。 も と もと彼 等が イ ン フ レ政 策 にバ イア ス を示 す の は,少 く と もイン フ レの経 過現 象 た る不 均 等 な物価 騰 貴,た とえ ば 資本 財 と消

費財 の シ エ ー レ,或 は 同 じ消 費財 で も卸 売 物価 と小 売 物 価 の シ エ ー レ,そ して 根 本 的 に は賃 銀,俸 給 の物 価 に対 す る立 ち遅 れ に便 乗 して,特 別 利 潤 を引 出 そ

へらラ

うとす るた めに ほか な らな い。だ が 公 衆 ま で集 団 的 に換 物 運 動 に乗 り出 す よ う に なれ ば,財 政支 出お よ び通 貨 の増発 に対 す る物価,賃 銀 の反 応 は,相 対 価 格 の 束 が縮 ま る とい うプ ロセ スで強 化 され,シ エ ー レは解 消 す るか逆 シ エ ー レが 現 出 され るか も知 れ ない 。特 に賃銀 イ ン フ レは 産 業資 本 に直 接 的 な打撃 を与 え

ざる を得 ない 。

証 劣 価 格 の変 動 は そ れ に劣 らず金 融 資本 家 の関 心 事 で あ る。 第 二 次 大戦 前 か ら金 融 資 本 の最 も有 力 なエ ー ジヱ ン トた る機 関投 資 家(lnStitUtiOnalInVeStOr) の 放 資 物 件 は,主 と し て 確 定 利 付 債 劣(特 に公 債)と なつ て い たが,そ れ は い うまで もな く物価 水 準 の上 昇,ま たは 通貨 の減 価 が 確実 に予測 され る限 りは 不 利 な放 資物 件 とな る。1したが つ て金 融 市 場 で は,イ ンフ レを 掛繋 ぎ(hedge) で きな い長 期 債 よ りは,短 期 債 もし くは利 潤証 劣(あ るい は 参加 証 券)が 選 好

(4)A.J。BrowhTheGreatInflation.1939〜1951.1955.p。16.

(5)エ ー ・ ブ レ ー ゲ リ(山 田 茂 訳) pp,299〜300.

租 税,公 債,イ ン フ レ ー シ ヨ ン 下 巻

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一6一 商 学 討 究 第9巻 第1号

され る傾 向 が あ る。 これ を放 置 すれ ば長期 債 発行 者 の負 担 金 利 は加 重 され る ば か りで な く,債 券 価 格 の下 落 に よ つ て機 関投 資 家 も資本 減 価 の損 失 を蒙 るお そ れ が あ る。以 上 の よ うな大 衆 的 思 惑 を制 限 す る た め,戦 時完 全雇 用 の段 階 に お い て は,商 品 市 場 に対 して は物 価 の公 定 や物 資 お よ び労 務 の割 当等 の 実物 統 制 (PhysicalControl)が 強 化 され る し,金 融 市場 に対 して は金 利 の 協 定 や資 金 の割 当 等 の金 融 統 制(FinancialControl)が 強 化 され る こ とに なつ た。 こ う

し た両面 統 制 の金 融 的効 果 は,少 く と も英 米 で は金 利 水 準 が低 目 に安 定 す る結 果 となつ て あ ら われ,戦 時申 の物 価 と金 利 の相 関係 数 は ネ ガ テ ィ ー ブで あ る と い う歴 史 的 に前 例 の ない現 象 が み られ た。 これ は要 す るに,政 府 資金 の追 加的 支 出 に よ る民 間流 動 性 の増 加 に もか 〜わ らず,民 間 の支 出が 直 接 に統 制 され た

、め に,余 分 ρ資金 が債 劣 の利廻 りを圧 縮 す るよ うに作 用 した た めで あつ て, MDaceyほ この メ カ ニズ ムを次 の よ うに明確 に規 定 して い る。 「だか ら,統

制 経 済 にお け る赤 字 財 政 とい う体制 は,特 に低位 の漸 減 す る利子率 に見 事 に順 応 す る。 貯 蓄 に対 す る政府 外 の 借手 の競 争 は,民 間投 資 の規 制 に よつ て必 要最 小 限 に圧 縮 され る。流 動 資 産 を潤 沢 に造 出 して も実 物統 制 のお か げ で,直 接 に はイ ンフ レ的 な結 果 は招 か れ な い。 そ して タ ップ発 行 の制 度(貯 蓄 債 劣 等 に よ る固 定 利率 の継 続 借 入 れ)そ れ 自体 は金 利 の上 昇 を阻 止 し,あ る限 度 内 で は実

へ ラ

際 に それ を 引下 げ るサ ー モ スタ ッ トの よ うな役 割 を果 す 。」・

以 上 の よ うに戦 時 に各 国 は,一 方 で は膨 脹主 義 的 な通 貨制 度 を 打 出 しな が ら, 他 方 で は直 接統 制 を強 化 す る とい う金 融 政 策 の パ タン を仕上 げ たが,そ れ は戦 後 に経 済 政 策 の 目標 や環 境 が変 つ て も,根 本 的 には現 代 に 引継 が れ て い る。 目 下 の と ころ軍 事 費 の 削減 に と もな つ て,実 物 面 に対 す る直 接統 制 は緩 和 され撤 廃 され て い る。 こ うして形 式 的 に は 自由なPriceMechanismは 復活 してい る

よ うにみ え るが,独 占資 本 ない し金 融 資本 に よ る間接 統制 は緩 め られ て は い な い。 経 済 の復興 や正 常 化 とは,大 資本 へ の経 済力 の集 申 を促 進 し,大 資 本 に よ

る商 取 引 の独 占的 支配 を固 め る こ とにほか な らな い。DecontrolやDenation‑

alizationも そ の手 順 の 一 つ で あ る。 設 備 の復 旧 や 原材 料 の 調 達 に つ い て民 間 の大 企 業 に優 先 的 な便 宜 を はか る た め に,低 利資金 を重 点 的 に供 給 す る とい う

(6)M,DaceyTheBritishBankingMechanism1952,P.169.

ρ

(7)

金融政策の近代的特色(藤 沢) 一7一 金 融 統 制 は,以 上 の意 味 に お け る正 常 化 の 目的 に大 き く役 立 つ て い る。戦 前戦 時 を通 じて独 占企 業 の新傾 向 と され て い た 自己 金 融(SelfFinancing)の 発 展

(7)

は,英 米 で さえ修 正 を 余儀 な く され てい る。戦 後 は大企 業 も外 部 資金 に依存 す る よ うに な つ たが,そ の資 金 を調 達 す る方 法 は戦 前 とは梢 々異 つて い る よ うで

、 あ る。す な わ ら以 前 設備 資 金 の大 半 は,株 式 や社 債 の発 行 によ つ て証 券市 場 を 通 じて調 達 され て い た が,い まや それ は市 申 銀 行 や保 険 会社,投 資 銀 行 等 の機 関 投 資 家か らの直 接 借入 に よ つ て主 に賄 わ れ て い る。 これ は配 当 の制 限 とか累 進 的 な所 得税 に よつ て,高 額 所 得 者 の危険 資 本(RiskCapital)に 運 用 し得 る資 金 が逼 迫 してい る こ と,イ ン フレ的 に放 出 され た通 貨 が全 国 に 滲透 す るに つれ て, あ る程 度 ま で大 衆 貯蓄 の総 額 が 増 加 し,そ の大 半 が 巨大 金 融 機 関 の預 金 や 掛金

(8)

と して集 中 され て い る た めで あ る とい わ れ てい る。 この よ うに して商 業銀 行 の 預 金 は特 に増加 して い るが,そ の 多 くは 当座 的預 金 と して の通 貨性 が強 く,企 業 の長 期 資 本 を賄 う貸 出 に運 用 す るに は無 理 が あ つ た。 したが つて 銀 行 の金 繰 り は絶 え ず 緊張 した。 これ は英 米 で は戦 時 の遺産 と して堆 積 され て い た公 債,な か ん つ く大 蔵 省 証 券 の換 貨(Monetization)に よつ て緩 和 され た が,低 金 利 政 策

の基本 線 を崩 さな い た めに は,も ち ろん申 央 銀 行 の サポ ー トが 不 可欠 で あ つ た。

しか し中央 銀 行 の公 債 引 当 に よ る通 貨 の供 給 お よびそ れ を基礎 とす る銀 行組

(7)V.PerloTheEmpireofHighFinance1957.p.26.

同 書 に よ る と,ア メ リ カ に お け る 自 己 金 融 の 発 展 は193Q年 代 の 不 況 期 に 著 し か つ た 特 殊 な 現 象 で あ つ て,現 代 資 本 主 義 の 一 般 的 な 特 徴 と は 断 言 で きな い と い う 。 即 ち 戦 後(1946〜50年)に お け る全 米 会 社 の 総 投 資 の64%は 積 立 金 や 準 備 金 か ら 自賄 い さ れ,残 りの36%は 外 部 資 本(証 券 罪 行 や 借 用 金)に よ つ て 賄 わ れ た 。 だ が 総 投 資 の 半 分 は 磨 損 し た 固 定 資 本 の 維 持 更 新 に 使 用 さ れ た もの と 推 定 さ れ る か ら,新 設 拡 充 の 新 規 投 資 の72%は 外 部 資 金 に 依 存 した もの と み られ る 。 「こ れ(外 部 資 金)は 投 資 の 決 定 的 な 要 素 で あ る 。 そ れ は ど の 会 社 が 出 し抜 き,ど の 会 社 が 追 い 抜 か れ て

吸 収 合 併 や 破 産 の 非 運 に み ま わ れ る か を 決 定 す る もの で あ る 」 と し て,ヂ ェ ネ ラル モ ー タ ー ス,プ オ ー ド,ク ラ イ ス ラ ー 三 会 社 の 熾 烈 な 借 入 競 争 の 経 過 を 語 つ て い る 。 (8)N。MacraeTheLondonCapitalMarket,1955.P.13.に よ る と,こ れ は 特 に 戦 後 の イ ギ リス 資 本 主 義 に と つ て は 苦 悶 の 種 で あ る ら し く,彼 は イ ギ リ ス の 資 本 形 成 が 戦 前 よ り低 下 し,他 国 に 立 遅 れ て い る 原 因 を次 の 如 く 説 明 し て い る 。 「現 代 イ ギ リス で 最 も必 要 と さ れ て い る 型 の 現 実 投 資 は 生 産 的 な 産 業 へ の 投 資 で あ る 。 だ が 産 業 投 資 は 必 然 的 に 危 険 性 が あ り,国 民 所 得 の 大 半 は.大 きな リス ク を と もな う 部 面 に 投 下 さ れ る こ と を 許 さ な い よ う な 階 層 の 人 々 や 機 関 の 手 中 に 累 積 さ れ て い る 。 こ れ は 所 得 が 無 産 者 に 有 利 に 配 分 さ れ た 必 然 の 結 果 で あ る 。 人 々 が 貯 蓄 の 一 部 を リ ス ク を 犯 して ま で 投 下 で き る の は,高 率 な 貯 蓄 が で き る ほ ど 富 裕 に な る 場 合 に 限

ら れ る 。 」

(8)

織 の信 用 創造 は,必 ず し も社 会 総 資 本 の資金 需 要 を無 差 別 同 等 に充 足 す る 目的 で 行 わ れ るわ け で は な い 。 そ の信 用 政 策 に は,い ぜ ん質 的 な信 用統 制(Ωualit‑

ativeCreditControl)カs強 く加 味 され て い る。質 的統 制 として は,法 規 に基 く 強 制 措 置 か ら申 央銀 行 の説 得 や指 導 とい つ た広 汎 な手 段 が あ る。何 れ に せ よ当

局 の圧 力 に よ る資 金 の 割 当 や選 別 は,産 業 の復 旧 や拡 大 に と もな う商品 の出廻'

増 加 に もか 〜わ らず,独 占資 本 の 売 手 市 場 を バ ック アップ す る た め に 強 化 され て い る とみ て よい 。PostKeynsianは こ の種 の 資 金 統 制 を 支 持 す る 者 が 多 く, R.C.Sayersは 「低 目 の 安 定 し た金 利 は 疫 資 活 動 に有 利 な 背 景 を 与 え る もの

と信 じ ら れ る が,そ の 場 合 経 済 は 別 の 方 向 よ りは あ る方 向 を と る と脱 線 し易 く な る とい う こ と,お よ び 申 央 銀 行 は そ の 特 定 方 向 に お け る不 健 全 な 発 展 を 阻 止

す るた め,金 融統 制 を行 使 す べ きで あ る とい う こ とは認 め られ る」 と述 べ て い る。,だが統 制 の主 体 が何 で あれ,そ の 経 済効 果 を現 実 の もの とす る た め に は, 多 か れ 少 なか れ 追 加 資金 の裏 付 を要 す る こ とは 明 らか で あ る。 た とえ ば輸 出産 業 を奨 励 す る とい う目的 の質 的統 制 に は,申 央 銀 行 が輸 出手 形 の 再割 を優 遇 す る とか,重 工 業 の 設備 を合 理 化 す ため には 特 殊 金 融 機 関 を 媒介 として 政府 資 金 を注 入 す る とか 。 そ して この信 用 は直 接 間接 に通 貨 当局(中 央 銀 行)の 追加 資 金 の供 給 に依 存 せ ざ るを得 な い 。 したが つて現 代 の金 融 政 策 の特 色 とみ られ て い る質 的信 用統 制 も,実 は イ ン フ レー シ ヨ ンの原 因 と無 縁 で は ない 。 しか し質 的 な統 制 に よつて武 装 され た イ ン フ レ政 策 も,封 鎖 体 系(ClosedSystem)の

も とにお い て さえ,経 済 の そ こか し こ に 自由価 格 の機 能 す る リングが 設 け られ

く   くド

て い る限 り,資 金 の 滲 透 運 動(Osmosis)や 浪 費 を 避 け る こ とは で きな い し, 況 や 国 際 経 済 との 商 業 べPtシ ス に よ る 接 触 が 頻 繁 とな る 開 放 体 系(OpenSyst・

em)と もな れ ば,一 国 の 貿 易 収 支 や 資 本 収 支 の 悪 化 に よ つ て,破 局 的 な行 詰 り に 逢 着 せ ぎ る を 得 な い 。

こ う し て 各 国 は 大 恐 慌 後 約20年 間 に わ た つ て ほs"一一貫U .て 実 施 し て き た CheapMoneyPolicyに 再 検 討 を 加 え る こ とに な つ た 。 で は 新 通 貨 政 策(New MonetaryPolicy)と い わ れ る 当 面 の 金 融 政 策 の 在 り方 は ど うか 。 これ は 目 下

(g)R.C。SayersModernBanking1953.p.263.

(10)W.PaishPostWarFinancialProblem,PP.143〜4.

(9)

金融政策の近代的特色(藤 沢)‑9一

論 争 の的 とな つ て い る問題 で あ るが,低 金 利 政 策 に対 す る批 判 者 の通説 に よ る と,イ ン フレ対 策 として の質 的 な信 用 統制 も,量 的 な統 制 と表 裏 して行 わ れ な け れ ば充 分 の効 果 を発揮 す る こ とはで きな い とい うので あ る。しか も信 用 量 を 全 般 的 に引締 め る た め には,申 央 銀 行 の再 割制限 もし くは 公 開市 場 で の売 オペ レー シ 。ン等 何 れ の通 貨政 策 に よ るに せ よ金 利 水 準 の上 昇 が 不 可欠 で あ る。蓋 し 「それ は何 よ り も金 利 は流 動 性 の価 格 で あ り,し たが つ て金 利 が 引上 げ られ るだ けで経 済 の流 動 性 は制 限 され て,必 要 な程 度 の信 用 規制 が充 分 に強 行 され 得 る とい う明 白 な事 実 に よ る もの で あ る。 これ が成 功 しな い とい う こ とは,金 利 引上 の銀 行貸 出需 要 に与 え る効 果,(そ れ は投 資 決定 へ の資 金 コス トの作 用

に よ るか,も し くは主 と して金 利 引上 に よ つ てか もし出 され る心 理 的 な作 用 に よ るか 何 れ にせ よ)を 消 極 的 な も の に し て お こ う と す る要 請 に よ る もの で あ る。 銀 行 の貸 付意 慾 を抑制 し よ う とす るだ けで,借 手 の借 入意 慾 に影 響 を お よ ぼ さない よ うな 型 の信 用統 制 は,銀 行 に は全 くた え きれ な い圧 力 を か け る もの で あ る。 この圧 力 は高 金 利 の金 融 的 な規 律 に よ つ て,あ る種 の信 用 需要 の息 の

くユ  

根 を とめ る ので な けれ ば緩 和 され な い。」 この よ うな主 張 は 目新 しい もので は な いが,1950年 代 か ら各 国 の金 融 当局 に よつ て再認 識 され,実 行 に移 され て い る現 状 で あ る。 し たが つ て近 代 学 者 か らは,古 典 的 な通 貨 政 策 の手 段 とし て 閑 却 され て い た諸 々 の量 的統 制 も再 び脚 光 を浴 び るよ うにな つ た。だが現 代 の資 本 主 義 経 済 は,伝 統 的方 法 の み に依存 す るに は 余 りに も複 雑 な諸 要因 を 内包 し な が ら高 度 に 燗熟 し切 つ て い る。金 利操 作,公 開市 場 操 作,.支 払 準備 操 作 等 通 貨 政 策 の復 活 が 強 調 され て は い る もの の,現 実 に は財 政補 整 や選 別 融資 等 の質 的 な金 融統 制 が緩 め られ て い る!とい う証 拠 は 殆 どな い。 これ は 金 融 資 本 の エ ージ エ ン トとして の金 融 機 関 の高渡 な 発 展 に よ つ て,金 融 市 場 の機 能 が 阻害 され,不 完 全 な もの にな つ た とい う基 本 的 な事 実 に よ る もの と思 われ る。だ が 本 稿 で は その点 は別 問 題 として,金 融 政 策 の 流線 型 として のFiscalpolicyと FinancialControlを 考察 し よ う。

(ll)L。ThunholmMonetaryandBankingPolicy.1955.:RecentTrendsin CreditPolicy.p.63.

(10)

皿FiSealPolioy

現 代 の金 利 操 作,公 開 市場 操 作 お よび支 払 準 備操 作 等 の 金 融 政 策 は,政 (大 蔵 省 当局)と 申央 銀 行 の協 力 によ つ て実 施 され て い るが,斯 る金 融 政策 が 量 的 金 融 要 因 の操 作 に力点 をお い て い る限 りは,少 く と も管 理 面 にお い ては 申 央 銀 行 が よ り大 きな指 導性 を もつ て い る。 と ころが 財 政 的信 用 調整(Fiscal Policy,CompensatoryFinance)と い う金 融 政 策 は,す ぐれ て財 政 当局 の イ

ニ シ ア ティ ー ブ に よつ て実施 され て い る。 この操 作 は政 府 が 民 間 に対 す る借 手 や貸 手 として機 能 す る限 り,必 然 的 に発 動 され る。 だ が 安価 な 政 府 を金 科玉 条 とす る レツセ フエ ー レの時 代 には,財 政 規 模 は必 要 最小 限 に圧 縮 され て い た ば

く  

か う で な く,『 蔵 相 は 平 時 に は 剰 余 金 を 計 上 す べ きア ニ マ ル で あ る』 と さ え い わ れ て い た 。 し た が つ て 国 民 経 済 に お け る政 府 貸 借 の 比 重 は,現 代 ほ ど大 きな もの で は な か つ7c。 当 時 イギ リス で は,政 府 支 出 は 国 民 所 得 の10%内 外 に 過 ぎ な か つ た し,公 債 も ナ ポ レ オ ン戦 争 後 は 減 少 の 一 路 を 辿 つ て い た 。 し た が つ て 政 府 の 収 支 や 貸 借 が 金 融 情 勢 に お よ ぼ す 影 響,す な わ ちFiscalpolicyの 効 果 は ネ グ リシ ブ ル な もの で あ つ た。 だ が19世 紀 の 末 か ら,あ ら ゆ ゆ る 政 府 収 支 が 減 債 基 金(ConsolidatedFund)の イ ン グ ラン ド銀 行 勘 定 に よ つ て 統 合 され,か つ 政 府 収 莱 が 増 加 す る と と もに,財 政 の 金 融 的 効 果 は 無 視 で きな い もの に な つ た 。1880〜90年 代 に は イ ン グ ラ ン ド銀 行 のLidderdale総 裁 は,Goschen蔵 相 とタ ィア ツプ して ・地方 公共 団 体 の余 裕傘 を管理 す る とか,大 蔵省 証 券 を増発 さ せ る等 の財 政措 置 に よ つ て,通 貨 政 策 の補 強 を は か つ た。第 一一次 大戦 にお け る イ ン フ レ的 な 金 融 政 策 は,い うま で もな く赤 字 財 政 の 圧 力 に よ る もので あつ

た 。

し か し 真 に 経 済 政 策 の 二 環 と し て,財 政 を もつ て 金 融 を 調 整 し よ う と す る 症 代 的 なFiscalPolicyの 理 論 が 打 出 され,か っ 本 格 的 に実 行 され る よ うに な つ

た の は 大 恐 慌 の30年 代 に 入 つ て か らで あ る 。KeynesはTreatiseonMoney

に お い て,不 況 の 原 因 は 計 画 貯 蓄 が 計 画 投 資 を 超 過 す る こ と に あ る と示 唆 し て い たが,GeneralTheoryは この ア イ デ ア を さ ら に 発 展 させ,景 気 変 動 に つ い て

(1)Gladstoneの 門 下Lowe蔵 相 の 言 葉 を 指 す 。

(11)

金融政 策 の近代的 特色(藤 沢)‑11一

次 の よ うな テ ーセ を 明 らか に し た。す な わ ち社 会 の総 莱 出 が現 存 の生 産資 源 を, もつ て産 出 し得 る財 貨 や用役 を不 充 分 に しか消 化 し得 な くな る と,失 業 が お こ り,所得 水 準 は 予想 外 に低 下 して不況 が 招来 され る。逆 に総 支 出が,利 用 し得 る 財 貨 や用 役 を上廻 るよ うな状 況 に な る と,生 産 資 源 は 超完 全 就 業 とな つ て,イ

ンフ レ圧 力 が 加重 され る。彼 に よ る と,こ の よ うな不 安定 要因,な カ∫ん つ く投 資 を不 当 亭『萎縮 させ た り不健 全 に膨 脹 させ る もρ)は,古 典 的 な 通貨 政策(金 利操 作 や公 開 市場 操 作)の み を もつ て しては制 御 され 得 な い。 したが つ つて経 済 を 安定 させ た り,釣 合 の とれ た成 長 を はか る た め には,投 資 を社会 的 に規 制 す る こ とが 必 要 で あ る。 この政 策 主体 は,資 本 の限 界効 率 を客 観 的 に把 握 し,左 右 し得 る立 場 に あ る国 家 に ほか な らな い。彼 は一 般 理 論 の各 章 で そ の よ うな 政 策

くの

を提 示 して い る。30年 代 に於 て資本 主 義 各 国 で は,民 間 の投 資 や消 費 の総 支 出 が,あ らゆ る生 産 資 源 を動員 す るに は不 充分 の もの とな り,失 業 の増加 に と も

な う所 得 水 準 の低 下(し たが つ て有 効需 要 の減 退)が,深 刻 な 過剰 生 産 とな つ て あ らわれ て い た 。 この場合 「投 資 の社 会化 』 が 不 毛 な 投 資 か,懐 妊 期 間 の な が い投 資 を振 興 させ る よ うな 政 策 に傾 くの は必 然 で あ つ た。政 府 は軍 備 の拡 充 や公 共 事 業 に対 す る投 融 資 に よ つ て,こ の イニ レアテ》t'一ブを とる。 しか も

そ の財 源 は,単 に民 間購 買 力 の強 制 移 転 の形 を とる増税 に求 め られ るべ きで は

な く,r流 動 性 」 を増 加 させ る財 政 操 作 に よ るべ きで あ る。

この オペ レー シ ヨンは,次 の よ うな赤 字 財 政(DeficitFinance)に よ る。

す な わ ち政 府 は必 要 な投 融 資 の財 源 を公 債 発 行 に求 め る。実物 資 本 が 不完 全 就 業 の場 合 には,貨 幣資 本 もま た休 息 して 安全 有 利 な運 用先 を求 め て い る。 し た が つ て発 行 され た公債 は,難 な く既 存 貯蓄 に よ つ て消 化 され るか も知 れ な い。

この よ うな 財 政 操 作 の 「貨幣 的効 果』 は,単 な る購 買 力 の 移 転 には 止 ま らな い。 僅 か な 政府 支 出 も乗 数 的 に民 間所 得 を増 加 させ る。 し たが つ て民 間 の流 動

(2)‑r般 理 論第12章r私 は資本財 の限界効率 を長 い眼で且 っ一般 の社会的利益 を基 礎 として計算 し得 る地 位 にあ る国家が投 資 を直 接組織 化す る上 に於て,今 後益 々大

な る責任 を負 うよ うにな るのを期待す る。」塩野 谷訳p.196.

同第22章 「私 は一 方 に於 て資本 の限界効 率 を漸 次低下 せ しめ る目的 を以 つて投 資 率 を社 会的 に統 制 しよ うと企図 しなが ら,同 時 に消費性 向を増大 せ しめ るた めのあ

らゆ る種 類 の政策 を採 るこ とに賛 成で あ る。」 同上p.389.

同第24章 「私 は投 資 のか な り広 汎 な社 会化が,略 々完全雇 傭 に近 い状態 を確 保 す る唯rの 方 法 とな るべ きこ とを認 め る。」同上P.457.

(12)

的 ポ ジシ ヨンや銀 行 組織 の金 融 ベ ー スは 改 善 され る。 これ に よ つ て 商取 引 が増 加 し,中 央 銀 行 の 追加 信 用 が必 要 と され \ば,当 局 は買 操 作 に出 る。 これ が 自 由 に行 われ る条件 は,金 本位 な ら び に銀 行 劣 の免 換 停 止 に よ つ て与 え られ て い る。 しか し斯 る操作 が大 規 模 に実 現 され る とい うこ とは,貸 手 と して の中 央 銀 行 が 政府 の代 行 機 関 の域 を 踏 み 出 し,実 質 的 に政 府 機 関 に転 化 す る こ とを意 味

す る 。 銀 行 券 は た と え制 度 的 に免 換 が 停 止 さ れ て も,本 来 の 貨 幣(Money Proper)に 対 す る請 求 権 に か わ りは な い 。 しか もそ の銀 行 劣 は,公 債 を 引 当 と

し て 発 行 され る か ら,実 質 的 に は 国 の 債 務 で あ る 。PostKeynsianが,「 内 国 債 は 借 替(債 務 の 移 転)に よ つ て 償 還 を ま ぬ が れ る こ とが で きる 。 そ れ は 社 会 全

くの

体 の見 地 か らす る と,国 家 が それ 自体 に負 う債 務 の よ うな もので あ る」 と規 定 す る場 合 には,借 替 を援 助 す る申 央 銀 行 が 事実 上PublicDepartmentに 転 化 され て い る こ とを前 提 として い る。し たが つ て イ ング ラン ド銀 行 の公 債 保 有 は 他 の 政 府 機 関,た と え ば 為 替 平 衡 基 金,社 会 保 険,郵 便 貯 金 等 の公 債 保 .有 と同様 に一一種 のOfficia1H61dingで あ る。 そ し て こ の よ うな 国 家 資 本 に よ る公 債 投 資,換 言 す れ ば 政府 の 自 己 金 融 が,財 政 的 信 用 調 整 の き わ め て重要 な装 置 とな つ たも しか し通 貨 当局 の 公 債 保 有 と他 の 政 府 機 関 の そ れ との経 済 的 効果 は や は り異 つ て い る。 す な わ ち 後 者 の 余 裕 金 は,各 官 庁 の 経 常 収支 の余剰(貯 蓄)匿 あた る わ け で あ つ て,民 間 か ら は そ れ だ け 資 金 が 引揚 げ られ て い る こ とを意 味 す る。 し た が つ て 後 者 の 公 債 保 有1ま,実

(5)

的 に は政 府 債務 の償 却 に等 しい 。 これ に対 して イ ン グ ラ ン ド銀 行 の 公債 保 有 は

・ 何 等 の 追加 貯 蓄 を と もな うこ とな しに発 行 部 の場 合 は銀 行 券 を,銀 行部 の場 合 は それ と同・一の流動 性 を もつ預金 通 貨 の増 発 に な る。それ は 当然中 央 銀 行 とし て の準備 率 の低 下 とな つ て あ らわれ,イ ン フ レの必 要 条件 にな る。 しか し こめ

(3)11ersicGovernmentFinanceandFiscalPolicy.「 金 本 位 か らの 離 脱 は, 通 貨 政 策 の 責 任 を イ ン グ ラ ン ド銀 行 か ら大 蔵 省 に 全 く移 転 させ た 。 尤 も 当 時(30年

代)に は この 権 力 の 移 転 は 公 式 に は 認 め られ て い な か つ た の で あ る が 。 」p.194.

(4)Ibid.p.172,

(5)NevinTheProhlemofTheNationalDebt,1954.P.97.「 国 家 機 関 の 公 債 保 有 は 単 に 債 務 の 償 却 を 記 録 す る に 過 ぎ な い 。 こ れ に 引 続 き金 利 を 支 払 う こ とは 昔

戦 死 し た 兵 士 の 名 儀 で 年 金 を 引 渡 す こ と 〜同 様 で あ る 。 … … 」

(13)

金融政策の近代的特色(藤 沢)‑13一

買 操 作 は前 述 の よ うに必 し もイ ン フレの充分 条 件 で は な い。 イ ング ラン ド銀 行 は 少 く と も30年 代 には,通 貨不 安 に よ つ て貯蓄 資 金 の形 成 が 阻害 され,社 会 的 に負 貯 蓄 が惹起 され な い よ うに慎 重 な考 慮 を払 つ て いた6こ れ に つ いて は 『通

くの

貨 当 局 の 理 性 と熟 練 が 金 本 位 の 権 威 とル ール に代 位 し て い た 』 と さ え い わ れ て い た 。

イ ギ リス に お け る膨 脹 主 義(Expansionism)に 対 す る こ の よ うな 通 貨 当 局 の 抵 抗 は(金 融 資 本 が 産 業 資 本 よ りは 銀 行 資 本 を 優 遇 した こ とに 基 く もの と推 察 され る が)30年 代 に お け るFiscalPolicyを 消 極 的 な もの に し て い た こ とは 争 わ れ な い 。Daceyは 金 融 政 策 をCreditpolicyとMonetarypolicyに 区 別 し て,前 者 を 現 金 需 給 の 一 時 的 な 偶 発 的 な 変 化 の 結 果 掩 乱 さ れ る支 出 の 流 れ を 防 止 す る政 策 と し,後 者 を 国 民 所 得 水 準 を 変 動 させ て,支 出 の 流 れ を適 当

くわ

な方 向 に誘 う政 策 と してい る。30年 代 にお け る イギ リス のFiscalpolicyは, その意 味 で は、OreditPolicyに 力 点 をお き,銀 行 資 本 の 拡 大 や 膨脹 よ りは, 安 定 を重 視 し て い た と も い え よ う。 そ の端 的 な例 は,為 替 平 衡 資 金 勘定(E EA)の 操 作 で あ っ た。 一般 に金 の流 出入 が 貨 物 の貿 易収 支 や 対 外投 資 の変 動

を反 映 してい る よ うな段 階 で は,そ れ に よっ て銀 行 券 その 他 の 国 内信用 が増減 す る こ とは 合理 的 で あ ろ うが.金 の流 出 入 が実 物 資 本 とは無 縁 の 国際 的 短期 浮 動 資 金(FunkMoney)の 収 支尻 に よっ て強 く動 か され る よ うに な っ てか ら.

これ に 符合 して国 内信 用 が変 動 す る こ とは,為 替 相場 の維 持 に は役 立 っ て も, 国 内経 済 に 不 当 な軋 韓 を惹起 す る要 因 に な る もの と憂 慮 され た。これ に対 して は,古 くか ら イレ グ ラ ン ド銀 行 の 銀 行 部 の準 備 率(Proportion)を 変動 させ る とい うクツシ ヨ ン もあ っ た が,そ れ で も金 利体 系 が撹 乱 され る とい う副 作用 を 避 け る こ とは困難 で あ っ たbこsに お い て長 期 的 な 見地 か ら,為 替相 場 を経 済 力 の実 勢 に相 応 した均 衡水 〜隼に お ち っか せ,国 内信 用 を国 際 的浮 動資 金 の影 響 か ら申 立 化 す た め に,1932年 のFinanceActに よ っ てEEAが 創 設 され た。

その基 金 に は タ.プ 発 行 の大 蔵 省証 劣150百 万 硝 が充 当 され,ま つ商 業銀 行 に この蔵 券 を引受 け させ て英貨 を取 得 し,外 資 の 流 入 に応 じて この英 貨 で金 を買

(6)D.H.RobertsonBritishMonetaryPolicy.EssaysinMonetaryTheory.

1948P.158〜9.参 照.

(7)M.DaceyBritishBankingMechanism.P.31.

(14)

入 れ た 。外 資 が銀 行 の預 金 に 転 化 され る限 り預 金 は増 加 す るが,完 全 な金 本位 制 度 の 際 とは異 っ て,こ の よ うな金 の流 入 は商 業銀 行 の 現 金 準 備 の 増加 に は な らな い か ら,信 用 膨 脹 の 副作 用 は な い ばか りか,CashRatioの 低 下 に よ っ てむ し ろデ フ レ圧 力 と化 すお それ が あ る。 そ こでEEAは 商 業 銀 行 が現 金 準 備 に払 底 した とみ るや,金 買 入 資金 の 全部 を商 業 銀 行 に対 す る蔵 券 の 放 出 に よ っ て調 達 す る こ とな しに,そ の 一 部 をイ ン グ ラン ド銀 行の 銀 行 部 か ら調 達 す る(こ の 割合 は銀 行 の慣 習 的 な現 金 準 備率 に よ る)。 この 銀 行部 との 取 引で,ω 銀 行 部 が蔵 券 を背 負 い こ め ばProportionは 低 下 す るが,第 二次 大 戦前 は な お それ が ポ ン ドの対 外 信 用 の イ ンデ サキス と され てい た か ら,あ る程 度 ま で これ を喰 い と め る必 要 が あっ た 。12に れ に 反 して銀 行 部 が金 を引 当 に受 取 れ ばProportion は もち ろん上 昇 す る。 そ こで仮 に この 割 合 を30%に 支 持 しよ う とすれ ば,銀 行 部 とEEAの 取 引 を70%は 蔵 券 で,残 り30%は 金 で決 済 す れ ば よい 。 これ で 商 業銀 行 のCashRatioは 慣 習率 に維 持 され るが,蔵 劣 の 保有 増 に よっ て貨 幣市 場 資 金 をふ くめた 広義 のLiquidityRatioは 過 大 とな るか ら,銀 行 は採 算 上 この 準 現金 資産 た る手 形 や コール ローン を減 ら し て,長 期証 券 を買 い 漁 るか も知 れ な い。これ は他 の 事情 が不 変 だ と金縁 証 券 の価 格 を 引上 げ,手 形 割 引歩 合 や コー ル レ ー ト等 の 短 期金 利 を引下 け,長 短 金 利 の ギ ヤップ を拡 大 させ るお それ が あ る。

だ が この よ うな金 融 市 場 の変 調 も,イ ング ラ ン ド銀 行 をふ く め て政 府 機 関 の ポ ー トフ ホ リオ に お け る長 申 期 債 を流動 債 とお きか え るよ うに操 作 す れ ば,原 則 的 に は 防止 で きるわ けで あ る。 そ し てU.K.Hicksに よ る と 「金 融 機 関 が この 貸 付 に嫌 気 が さし て くる と,銀 行 に は 多額 の 流 動資 金 が供 給 され る,そ の結 果 彼 等 の資 産 構 成 は反 転 して,っ い に長 期 証券 を追 加 的 に取 得 す る こ とに よ っ て, 篭 券投 資 に対 す る準現 金資 産 の比 率 が再 び正 常 化 され る とい うこ とに な る。 当 局 が この 政 策 を実 行 す るに っ い て は,銀 行 が流 動性 指標 として従 来 の現 金 準 備 率 よ りは,現 金 に コール ロー ンや 割 引手 形 ま で を ふ くめた 全 流 動 資 産 の 比 率

くの

(LiquidityRatio)に 頼 る よ う に な つ た とい う事 実 に よ っ て 力 づ け ら れ た 。!

以 上 は 外 資 が 国 内 金 融 機 関 の 預 貯 金 に 転 化 され る こ とが 明 ら か な場 合 の 操 作 で あ る が,実 際 は 当 局 と し て も,そ れ が 銀 行 券 で 保 蔵 され るか,あ る い は 株 式 や 不

(8)U.K,HicksBritishPuklicFillance.1954.P.190.

(15)

金融政策の近代的特色(藤 沢)‑15一

動産 に投 資 され るか ど うか は必 し も的確 に追求 で きな い。 した が っ て外 資 の国 内 にお け る流 れ を追 っ て,上 述 の よ うに機 動 的 に信 用 操 作 す る こ とは,こ れ に 対 す る資金 統 制 を実 施 す る以 外 に は 不 可能 で あ った 。た とえば1936年 に流 入 し た 外資 が 予想 外 に も銀 行 券 の ま 〜保 蔵 され た 〜め相 当の 金 融 逼迫 を み てい る

し,翌 年 に は 多額 に流 入 した金 が長 期 公 債 の放 出 に よ っ て賄 わ れ た 〜めに,国 内の 流動 資金 源 が 澗 渇 した こ とが あ る。だ か ら為 替管 理 に よ って 国 内金 融 が 国 際 的金融 要因 か ら完全 に 申 立 化 され るた めに は,Daceyが い うよ うに 「外 国 人 が 取得 しよ うとす る英 貨 の請 求 権 が,当 局 の意 思 で 自由 に変 動 で きるよ うな

(9):

形 態 を もっ た資 産,す な わ ち公 債 で あ る場 合 に限 られ る こ とに な ろ う。 」 イギ リス が この よ うな統 制 に まで 踏切 っ たの は今 次 大 戦 に入 って か らで あつ た 。

国債 管 理 委員 会所 管 の 政府 機 関(政 府 筋)の 補 整 操 作 に っい て み る と,そ れ らの 資 金 は通 常 タ 。プ発 行 の 蔵券 や歳 入補 填 貸 付(WaysandMeans)に 放 資 され,時 期 を み て当 該 委員 会 あ て に発 行 され た特 殊 の 申 長 期証 劣 に 借替 えられ る仕 組 とな っ てい た。 な お そ れ らの 政 府 筋 は,大 蔵 当局 と して短 期 債 を発行 す る必 要 の な い 時で も余 裕金 を抱 きこむ こ とが屡 々 あ るか ら,大 蔵 省 は その場 合 に は 政府 筋 に タ ップ証 劣 を発 行 して資 金 を借 入 れ,こ れ で銀 行 や 公 衆 の 保有 し て い る公債 を償 還 す る こ とがで きる。これ も事 実 上 政 府 の 自己 金 融 で あっ て, 多少 の 時差 は あ るが タ9プ 証 劣 の増 加 は テ ンダ ー一証 券 の減 少 とな っ て相 殺 され るわ けで あ る。 しか し政 府 筋 に 余裕 金 が発 生 す る こ とは,公 衆 が銀 行預 金 を引 出 して,当 該 筋 に そ の資 金 を引 渡 す こ とに ほ か な らな い か ら,こ の よ うな公衆 の 流 動 資金 減 は金 縁 証 券 を圧 迫 す る傾 向 が あ る。特 に テ ンダ ー証 券 の長 期 借 替 (Funding)が 行 わ れ る と,銀 行 自体 の流動 性 が傷 っ け られ,信 用縮 小 に よ っ て預 金 は乗散 的 に減 退 す るお それ が あ る。この よ うな デ フ レ圧 力 を避 け るた め に は,政 府 筋 は その 余裕 金 を以 て短 期 債 の代 りに,今 迄 公衆 に保 有 され て い た 長 期債 を買 上 げ る用 意 がな けれ ば な らない 。 そ の た めに は タ 。プ発 行 が その償 還期 日 と一 致 す る とか,小 口貯 蓄 債 劣 の換 金 化 が要 請 され る とか複 雑 な 条件 を 要 す るが,「 こ うした諸 取 引 の連鎖 が全 うされ \ば,公 衆 は全 体 と して銀 行 の 流 動 的立場 を全 然 変 え る こ とな しに,現 金 で は な く,証 券 を引渡 す こ とに よ っ

(9)Dacey.Ibid.p.111.

(16)

ロの

て,政 府 筋 に然 るべ き資 金 を支 払 つ た こ とに な る。」 もち ろん 実 際 に は 政府 余 裕 金 は まず現 金 で 支払 わ れ るが,こ の現 金 は政 府 筋 の証 劣 買 上 け を通 じて銀 行 め 立 場 に加 え られ た最 初 の衝 撃 を排 しな が ら,銀 行 組織 に還 流 して くる。 「政 府 筋 に よ る この よ うな長期 証 劣 の買 上 げは,当 局 が金 縁証 劣 市 場 を管 理 す るた

く   

め,す なわ ち長 期 金 利 を処理 す るた め の最 も有 力 な武 器 の 一 っで あ る」 とい わ れ る所 以 で あ る。

し か し 以 上 の よ うに長 期 金 利 を引下 げ るた めに政府 筋 が 借替 え をや る こ と は,イ ング ラ ン ド銀 行 自体 が短 期 債 を長申 期 債 に借 替 え るの と実 質的 な 内容 ば 異 な らな い 。何 れ にせ よ金 利 の 上昇(証 劣 価 格 の下 落)を 喰 い とめ るた めに は, 銀 行 の慣 習 的 な準 備率 が維 持 され るだ けの現 金 と,貨 幣市 場 資産 が附 与 され な

くユの

けれ ばな らない 。 この メ カニズ ムの 意 味 す る とこ ろ を繰 返 して述 べ る と,そ う した信 用 創 造 の 過程 に お い ては,銀 行 側 が第 一線 準 備 として申 央銀 行預 ケ金 の み な らず手 許現 金 と しての銀 行 劣 を追 加 的 に必 要 とす る よ うに,公 衆 もま た預 金 膨 脹 に照 応 して追 加 的銀 行 劣 を必要 とす る。 した が って銀 行 部 に お け る プ ロ

ーポ ー シ ヨ ンの 低 下 は必 須 で あ る。だ が イ ング ラ ン ド銀 行 の発 行部 が,金 を 引 当 とす る以 外 一定 額 の保 証 限 度 以 上 の銀 行 券 発行 はで きな い とい う前 世紀 の銀 行 法 に拘 束 され てい る限 りは,金 融市 場 や公 衆 の 要求 を充 す ほ どの 買 操 作 を実 行 す る こ とは到底 不 可 能 で あ る。 だ か らイ ン グ ラン ド銀 行 は,昔 か らパ ニ ックの お そ れ あ る場 合 は,屡 々銀 行 法 を停 止 して保 証 発 行 の 枠 を拡 大 して きたが,19 31年 に は本 格 的 に銀 行 劣 の 免 換 を 停 止 す る とと もに,翌 年 に はEEAを 創 設 し

て,正 貨 や外 貨 の大 半 を これ に 引渡 し,っ い に1939年 に はr銀 行 券発 行 の規 模 は 発行 部 に よ っ て 保有 され る金 の 市 場 価 格 及 び そ の 他 の 資産 と同 等 で な けれ ば な らな い 』 と規 定 され た新 通 貨 法 に よっ て,管 理 通貨 制 度 の 名 で膨 脹 主 義 的

ロ ヨ 

な マ ネ タ リシ ス テ ム の 総 仕 上 げ が 行 わ れ た わ け で あ る 。

(10)Dacey.Ibid.P.76.

(11)Dacey.Ibid.p.76.

02)こ れ に つ い てSayersは 三 っ の 条 件 を 指 摘 し て い る 。 「(1)政府 筋 等 に よ つ て 保 有 さ れ る 証 券 の 平 均 期 間 を 延 長 し よ う とす る 当 局 の 意 思 と 能 力,(2)銀 行 が 現 金 を 附 与 さ れ る に と も な つ て,蔵 券 保 有 を 増 加 し よ う とす る 意 思 が あ る こ と,㈲ イ ン グ ラ ン ド銀 行 が 短 期 金 利 を 引 上 げ る こ と な し に,銀 行 に 現 金 を 附 与 す る 意 思 が あ る こ と 」ModemBanking.P.209."

(13)Daceyに よ る と,「要 す る に 我 国 の 本 当 の 金 融 革 命 は,金 本 位 制 度 を 容 赦 な く 撤ve

(17)

金融政策の近代的特色(藤 沢)‑17一

合 衆 国 のFiscalPolicyも,イ ギ リス に前 後 して高 度 に 発 達 して い る。 そ れ は特 に第 二 次 大戦 後,経 済 安定 の 最 も重 要 な装 置 とされ てい る。 その方 法 は イ ギ リス と大 同小 異 で あっ て,財 務 省 に よ る公 債 管理 が操 作 の か な め とな っ て い る。 す な わ ち財 務 省 は,不 況 期 に は赤 字 予算 の も とに 政府 支 出 を ふや して経 済 活 動 を刺 戟 す る一 方,所 得 税 を減免 して民 間の 可処 分 所得 を ふや し消 費 支 出 を 増加 させ る。赤 字 公債 を短期 債 と して 市中 銀 行 に消 化 させ れ ば,連 邦 準 備 銀 行 の援 助 とあい ま っ て銀 行 預金 を増 加 させ る。繁 栄期 に は 当局 は政府 支 出 の節 約 や 増税 等 に よ っ て黒 字財 政 とし,そ の 剰 余金 を もっ て公 債償 還 に あ て る。市 中 銀 行 の保 有 す る短 期 債 の償 還 は預 金 の減 退 を招 く。 ま た一一般 公 衆 に は諸 々の 貯 蓄 債 券 を,機 関投 資 家に は 高 利 廻 の 長 期 債 券 を 発 行 して 民 間 の資 金 を 吸上 け る。 以 上 予算 の決 定 は,勿 論 国会 の議 決 を要 す るが,実 際 の 租税 収 入 は特 に累 進所 得 税 制 の 場 合,国 民 所 得 の 変動 に よ っ て大 巾 に 予算 を上 下 し,し た が っ て 自動 的 に不 況 期 に は赤 字財 政,好 況 期 に は黒 字 財 政 とな る。 この よ うな実 収 入 と歳 出 予算 の ギ ヤ ップは財 務 省 当局 の意 識 的 な公債 管 理 に よっ て フ ア イナ ン ス され,そ れ が金 融 取 引 に対 す る補 整効 果 とな る こ とが期 待 され て い るわ けで あ る。 な お公債 管 理 に お け る財 務 省 当局 の 自由裁量 の権 限 は 「連邦 債 の 満 期 日を 変更 した り,長期債 と短 期 債 の比 率 を変 えた り,発行 の 期 日や 発行 条件 を き めた

く の

り,あ るい わ 譲渡 に制 限 を附 す るか ど うか を きめ る等」 相 当 に大 きい 。

合衆 国 に お い て も,財 政資 金 は連 邦準 備 銀 行 の 政府 預 金 勘 定 を通 じて一 元 的 に受 払 い され てい る。 した が っ て加 盟 銀 行 の 連銀 預 ケ金(準 備 金)は,財 務 省 の 対 民 間 支 払 に よ っ て増 加 し,逆 の 場合 に は減 少 し,こ れ が金 融 市 場 に大 きな イ ンパ ク トを与 え る。 そ こで当 局 は この影 響 を除 去 す るた めに,納 税 代理 店 の 実 権 を もっ全 国 の商 業銀 行 に租税 及 び貸 付勘 定(TaxandLoanAccount)を

設 け た 。右 指定 銀 行 は,税 金 の ほか老 齢 年金 や 公 務員 の 退職 手 当積 立 金a)掛 金 等 の払 込 を受 け る と,そ れ を直 ちに連 銀 の 国庫 勘 定 に払 込 む代 りに,TL勘 に貸 付 け て,銀 行 自体 もし くは顧 客 の計算 で新 規 発 行 の 市場 性 あ る公債 に応 募

曇 廃 して,適 正 通 貨 量 の 裁 定 者 を 国 際 収 支 の 自動 的 指 標 で な く,国 会 の 意 思 に よ る法 認 と し た こ と に よ つ て 実 現 さ れ た の で あ る 。 根 本 的 な こ と は 管 理 通 貨 制 度 へ の 転 換 で あ る 。 」Ibid.P.118.

(14)NadlerTheMoneyMarketandItsInstitution.1955.P.189.

(18)

す る。TL勘 定 に お け る財 務 省 の 可処 分 資金 は,当 局 の必 要 に応 じて 引 出 され 連 銀 勘 定 に移 され る。 以上 の操 作 は資金 が財 務 省 に よ っ て民 間 に支 出 され,商

業銀 行 に還流 す る まで の期 間 に行 わ れ るわ けで あ る か ら,も ち ろん短 期 的 な補 整 措 置 で あ る。 同様 に 当局 は特 殊 の 国庫 証 券 を発 行 して連 銀 に 引受 け させ,納 税 期 にお け る国庫 収 支 の短 期 変 動 を補整 す る こ と もで きる。す な わ ち公 債 の 利 払 いや償 還 は 四半 期 末 各 月 の上 旬 まで に行 わ れ な けれ ば な らな い が,租 税 収 入 は 手続 上 そ れ か ら数 日お くれ るの が常 で あ る。 この 数 日間 が連銀 の 公債 引受 げ に よ っ て っ な が れ るわ けで,こ れ は加 盟 銀行 に対 す る準 備金 の逼 迫 を緩 和 す る 効 果 を もっ。

 の

なお 合 衆 国 に お い て も諸 種 の政 府 金 融機 関お よび投 資特 別 会 計 が 設 け られ, 政 府 当局 が貸手 として金 融 政 策 の効 果 を補強 しよ うと して い る。す な わ ち それ

らのAgenceyは,直 接 に民 間 に 貸 付 けた り,あ るい は民 間金 融 機 関 の債 権 を保 険 もし くは保 証 した り,低 利資 金 を融 通 す る こ とに よ っ て,通 常 の銀 行 ベ ー

ス に乗 らな い借 手 を援 助 してい る。 これ は明 らか に後 述 の質 的信 用統 制 の性 格 を もお び て くるが,金 融市 場全 般 に対 して量的 な影 響 力 も もっ て い る。 た とえ ばMotagageAssociationが 国庫 証 劣 を市 中 銀 行 に売 りっ けて,住 宅 資金 を貸 付 けれ ば,銀 行預 金 は 増加 す るが,そ うした長 期 低 利資金 が 巨額 に貸 付 け られ る と,状 況 に よ っ て は,金 融 を緩 和 して不 況対 策 に役 立 っ。 ま た そ れ らの政 府 機 関 に 余 裕金 が発 生 す る場 合 に は,財 務 省 は諸 種 の公 債 を引受 け させ,信 用 調 整 の 円滑 を期 す 。

Fiscalpolicyは 以 上 の よ うな手 順 に よ っ て,中 央 銀 行 の 通貨 政 策 を 補 強 す る 近 代 的 な金 融 政 策 と して益 々 重要 視 され て い る。そ れ は前 述 の よ うに 大恐 慌 後 特 に不 況 を打 開 す る一 時 的 な 覚醒 剤 と して用 い られ てい た が,後 に資 本主 義 の 構造 的 な・不 均衡 を 是 正 す る 長 期 的 な 安定 剤 と して の 期 待 も もたれ るよ うに な

(15)合 衆 国 の 右 政 府 機 関 は1954年 現 在 次 の よ う な も の が あ る 。 す な わ ち 住 宅 金 融 と し て はFederalNationalMortagageAssociation.FederalHousingAssociation.

PublicHousingAssociation,農 業 金 融 と し て はRuralElectrificationAdmini‑

stration.CommodityCreditCorporation.Farmers'Home.Administration,

貿 易 金 融 に はExportImportBank,復 員 軍 人 の 援 助 に はVetranAdministration

等 が あ り,以 上 直 接 融 資 額115億 弗,政 府 の 保 証 債 務400億 弗 に 上 つ て い る 。

Nadler.Ibid.p.202.

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