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論文審査の結果の要旨

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Academic year: 2021

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論文審査の結果の要旨

氏名:鈴木 到

博士の専攻分野の名称:博士(歯学)

論文題名:Role of SCFAs for fimbrillin-dependent biofilm formation of Actinomyces oris and regulation of SMU.940 for dextran-dependent aggregation and biofilm formation in Streptococcus mutans

Actinomyces oris の fimbrillin 依 存 的 な バ イ オ フ ィ ル ム 形 成 に お け る SCFAs の 役 割 と Streptococcus mutans のデキストラン依存的な凝集およびバイオフィルム形成における SMU.940 遺伝 子による制御)

審査委員: (主 査) 教授 落合 智子

(副 査) 教授 平塚 浩一 教授 清水 武彦

歯面上における細菌の初期付着は, 口腔バイオフィルム形成において他の細菌との凝集や相互関係 に重要な役割を果たす. Actinomyces oris (A. oris) は初期付着菌として知られ, 口腔内の他の細菌 と相互作用する. A. oris は菌体表面に I 型および II 型線毛を持つ. II 型線毛は共凝集やバイオフィ ルム形成に関係し, shaft fimbrillin である FimA と tip fimbrillin である FimB で構成される. 短鎖 脂肪酸 (SCFAs) は Porphyromonas gingivalis や Fusobacterium nucleatum を含む多くの口腔細菌の 代謝産物であり, 歯垢や歯周ポケット内からも高濃度の酪酸およびプロピオン酸などが検出される.

過去の報告において, 酪酸が Actinomyces neslundii の初期付着やバイオフィルム形成を増加させる ことが示され, 酪酸が細菌のバイオフィルム形成能を促進させる可能性が示唆されている. しかし, A.

oris の FimA 依存的なバイオフィルム形成における外因性 SCFAs の影響の報告は少ない.

本研究では, FimA 依存的なバイオフィルム形成における SCFAs の影響を明らかにするために, A.

oris MG1 株と FimA 欠損株である MG1ΔfimA 株を用いてバイオフィルム形成実験を行い比較した. 増殖 により産生される代謝産物が除外されない条件下では, SCFAs は A. oris MG1 株と MG1ΔfimA 株の 6 時間および 16 時間バイオフィルム形成を誘導しなかった. しかし, 増殖による代謝産物が除外される フローセルシステムにおいて, 6.25 mM 酪酸と 3.125 mM プロピオン酸は FimA 依存的なバイオフィルム 形成と細胞死を誘導した, これらの結果から, A. oris のバイオフィルム形成において SCFAs は FimA 依存的なバイオフィルム形成の誘導し, 菌の増殖により生じる代謝産物はその影響を妨げると考えら れた.

口腔細菌である Streptococcus mutans (S. mutans) は齲蝕原性を有するグラム陽性菌である. S.

mutans によるバイオフィルム形成は, スクロースが存在する環境下の歯面において, 細菌の付着, 凝 集, グルカン形成により促進される. 表面関連グルカン結合タンパク (Gbp) は凝集やバイオフィル ム形成, グルカンへの結合に関係し, S. mutans の齲蝕原性に寄与する. グルカン結合タンパクの一つ である GbpC はS. mutans の重要な Gbp であり, 齲蝕原性に直接的に関与すると考えられている. GbpC 欠損株ではバイオフィルム形成が減少し, 構造が異なっていることが報告された. 過去の臨床分離株 のマイクロアレイ分析において, S. mutans のバイオフィルム形成に関与する 74 遺伝子が報告された.

しかし, S. mutans のバイオフィルム形成におけるこれらの遺伝子の役割については理解が乏しい.

本研究では, これら 74 遺伝子中のSMU.940 遺伝子の S. mutans の凝集やバイオフィルム形成におけ る役割を明らかにするために, S. mutans UA159 株における SMU.940 および gbpC 遺伝子変異株を用い, バイオフィルム形成実験および凝集実験を行った. S. mutans の SMU.940 遺伝子変異株は, 0.25%グル コース添加 TSB 培地における急速なデキストラン依存的な凝集とバイオフィルム形成を促進し, 0.25%

スクロース添加 TSB 培地においてバイオフィルム形成をわずかに減少させた. S. mutans のデキストラ ン依存的な凝集に関係しているとされるgbpC の変異株は SMU.940 変異株のデキストラン依存的な凝集 を完全に排除した.これらの結果から, SMU.940 遺伝子は, S. mutans のデキストラン依存的な凝集や バイオフィルム形成の制御に関与することが示された.

(2)

以上より, A. oris のバイオフィルム形成において, SCFAs は FimA 依存的なバイオフィルム形成を 誘導することが明らかとなった. また, S. mutans の SMU.940 遺伝子は, デキストラン依存的な凝集や バイオフィルム形成の制御に関与することが明らかとなった. 本研究で得られた知見は, 口腔バイオ フィルム形成のメカニズムを明らかにし, 齲蝕や歯周病の新たな予防法の開発の一助になると考えら れ, 小児歯科臨床の発展に大きく寄与し, 今後一層の発展が望めるものである.

よって本論文は, 博士(歯学)の学位を授与されるに値するものと認められる.

以 上 平成31年2月21日

(3)

参照

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