大震災と保険
⎜⎜ 平成18年度大会共通論題 ⎜⎜
総合司会 野 村 修 也
巨大地震への懸念が拡がっている。どのぐらいの規模の地震が,どのぐら いの確率で起こると予想されているのか。まずは,正確な情報を得ることが 大切である。そこで,今回の共通論題では,まずはじめに,この分野の第一 線でご研究中である纐纈一起教授(東京大学地震研究所)より,首都直下型 の地震の発生可能性やその規模についてご報告をお願いする。
大震災への備えは,保険だけで満たされるものではない。再保険マーケッ トの規模から考えれば,巨大リスクの吸収先として金融・証券市場を視野に 入れることが肝要である。そこで,高尾厚教授(神戸大学大学院)には,こ うした観点から,リスクファイナンスの手法と問題点についてご報告いただ くことになっている。この報告では,オリエンタルランドのリスクファイナ ンスの手法を丹念に事例分析することによって,リスクマネジメントにおけ るコンティンジェンシー問題について,有益な問題提起がなされる。
次に,大災害が生命保険経営に与える影響について,山本信一教授(立命 館大学)にご報告いただく。仮に大地震が起こったとしても局地的な被害に とどまる限りでは,生命保険経営に与えるインパクトは必ずしも大きいとは 言えないだろう。しかし, 大震災 という概念の定義を広げてみるならば,
そこには,大規模なテロ行為や新型インフルエンザなど見逃すことのできな
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*平成18年10月29日の日本保険学会大会(中央大学)報告による。
/平成19年4月27日原稿受領。
【平成18年度日本保険学会大会】共通論題 大震災と保険
い巨大リスクが浮かび上がってくる。山本教授の報告では,こうした広い意 味での 大震災 が生命保険経営に与える影響も分析される。
最後に,竹井直樹氏(損害保険協会)より,地震保険の現状や問題点等に ついて,ご報告をお願いする。地震保険がなぜ公的保険なのかといった根本 問題を見据えながら,最近の制度改革の動きと将来の展望について,有益な 示唆が与えられるであろう。
これまでわが国では数々の大地震が起こってきたにもかかわらず,保険学 の分野において,大震災をテーマに多角的に分析する試みは必ずしも十分に 行われてきたわけではない。世間一般においても,これまで以上に,大地震 に対する危機感が高まっている現在,保険学会の場で,この問題を取り上げ る意義は大きい。巨大リスクに対するリスクマネジメントという観点からみ た場合,保険制度は,今後どのような役割を果たしていくべきなのか。また,
果たすことが可能なのか。今回は,この点をフロアの方々とともに,大いに 議論できればと考えている。
(筆者は中央大学法科大学院教授) 大震災と保険
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