保険,銀行と経済成長の相互作用に 関する研究
韓 洛
朴 尚 範 孫 判 道
■アブストラクト
本研究では,1970〜2005年の間の韓国の保険,銀行と経済成長の関係を時 系列データを通じて分析した。研究結果として,経済成長は,銀行産業自体 および銀行と保険産業の相互作用に影響を与え,結局,経済成長に伴い金融 仲介機関が発展していることが分かった。一方,銀行産業および銀行と保険 産業の相互作用は,経済成長に影響を与えていないが,保険産業は,経済成 長と銀行産業の成長に影響を与えていることが分かった。
■キーワード
保険,銀行,経済成長
1.はじめに
金融機関は,リスクの集中と分散,流動性の創造および調整,そして專門 のサービスを提供する役割を果している。もちろん,金融機関の種類によっ て,これらの役割はその軽重において違いを示す。
最近,資本市場統合法の韓国国会の通過など,資本市場の統合に伴う区分 の撤廃は,業種別の区分をなくすことを骨子としているが,代表的な金融機
*平成20年12月12日の日本保険学会関東部会報告による。
/平成21年5月11日原稿受領。
関である銀行業,保険業などは,歴史的にはそれぞれ別の軌跡を描きながら 発展しまた分野ごとにお互いに協調関係があったことも事実である。金融機 関の中でも,特に保険と銀行は経済の発展に大きな影響を及してきたのも事 実である。実際に貯蓄を通じた資金蓄積,リスクと不確実性の緩和,企業家 精神の高揚,資本の蓄積,そして国家次元での資本および法的インフラの構 築に貢献することにより,経済規模の拡大と発展にそれぞれ寄与してきたと いう研究はいくつかある。また,これと類似した理由で,最近の銀行,保険,
それから経済成長との間に強い関連性るといった説明が行われる場合がある。
これらの金融機関と経済発展との関係についての考察は,主に経済史学者に より行われており,資本のサービスが経済成長をリードしたのか,または経 済成長に続くものであったのかについての研究と論議は多くの国で活発に行 われてきた。
しかし,現代経済の歴史的発展において,金融機関(特に保険)の役割に 焦点をあてた研究は多くない。さらに類似した研究においては,銀行と他の 金融機関(例えば,保険)の結合の効果および経済発展の歴史的なパターン は明らかではないという主張が提起されて来た。特に,資本の仲介と経済成 長の因果関係についての考察は,理論的に議論の余地があるという主張があ る。すなわち,経済成長が,銀行や保険会社のような資本の仲介機関の発達 の結果による供給誘引に因ったか,または経済成長が,資本市場の機能の一 般的需要を促進させたものであるのかといった問題である。したがって,資 本市場の部門とその役割が経済全般に与える意味についての計量経済分析は,
色々なことで意味があると思われる。
本論文は,韓国の銀行,保険と経済の発展過程を動的側面から考察する。
す な わ ち,銀 行,保 険,そ れ か ら 経 済 発 展 と の 歴 史 的・動 的 関 係 を 1970〜2005年の間のデータを対象として時系列に分析する。以下,第2章で は文献研究,第3章では実証分析を行い,第4章では本研究の全般的な内容 をまとめてみたい。
2. 献研究
シュムペーター(1911)は,銀行のような金融機関は技術の発展と経済成 長において重要であり,産業革新が金融の発展を先導してきたと主張した。
その後,国家の経済成長において銀行の役割の歴史的重要性を 強調してい る い く つ か の 論 文 が 発 表 さ れ た(Diamond(1984);Boot & Thakor
(1997a,1977b);Levine(1999);Rousseau & Sylla(2005);Sylla
(2003);Crothers(1999))。実際に,銀行活動の役割についての主張を見 ると,貯蓄の動機付けおよびこれにより造成された資金をベースとする貸出 と信用の増大,地域と国家次元のインフラの構築への寄与,企業の投資を通 して支配構造の改善と経営の透明性向上,貸出契約の過程における経営者の モニタリングの役割とこれによる利害当事者との間の利害衝突の緩和,シグ ナリング効果による情報の非対称性の縮小の役割などをあげている。
保険産業の経済発展への寄与についての見方には差があるが,まず,肯定 的視覚としては投資が予想もしなかった損失から保護されうるという確信を 高め,投資の活性化を高めるとか,特に海上保険は投資が予想もしなかった 損失から保護されうるという方策となるため,輸出入の画期的増進に寄与す ることとなり,これにより経済発展に大きく寄与したという研究の結果があ る(Ward & Zurbruegg(2000);Kugler & Ofogui(2005))。次に,保険 産業は損失発生の以降も資本調達機能を遂行し,大型の資産損失をこうむる 可能性がある企業(特に負債比率が高い企業)で発生しうる過小投資の誘引 な ど と い っ た 利 害 相 衝 の 問 題 を 緩 和 さ せ る こ と が で き る(MacMinn
(1987))。すなわち,これは保険産業が雇用の創出,経済活性化,技術革新 等の側面とリスクを甘受しようとする側面から肯定的外部効果を保有してい るという意味になる。そして効率的である保険市場においては,数理上公正 な価格が、保険の存在による過度なリスクの甘受に起因するモラルハザード
(moral hazard)のような 否 定 的 外 部 効 果 を 緩 和 す る で あ ろ う(Roths- child & Stiglitz(1976))。また,これらの公正価格は生産的資本の効率的
蓄積を容易にして経済成長に肯定的刺戟を加えるであろう。
しかし,否定的見方としての保険産業は,新しいリスクと関連し,内在す る不確実性により,経済に生気を呼び起こすことはできないという主張があ る。経済が成長期にあるとき,保険会社は流動性の限界を経験することにな り,これにより経済成長と産業拡張に必要な革新資金を提供する能力が欠如 となるであろうという主張である(Pearson(1997))。
国内研究では,鄭(2000)の金融産業の発展に関する研究と,鄭(1997)
の金融政策の運営現況と改善方策に関する研究があるが,これらの研究は,
主に政策および改善方策に関するものである。一方,保険と関連した研究と しては,朴(1987,1991)の保険需要の所得弾力性に関する比較研究があり,
鄭他(2000)の貯蓄と保険の関係に関する研究がある。朴の研究結果から見 ると,保険需要は,1人当りGDPに正比例するということを明らかにして いる。鄭他(2000)は,総貯蓄の増加は生命保険の規模増加に有意の関係を 見せ,損害保険も短期的に肯定的な影響を及ぼすとしている。ただ,損害保 険は経済成長よりも経経済安定などといった他の次元で寄与していると主張 している。南(2006)は,先進16カ国を対象に保険産業と経済成長との間の 因果関係の分析において保険産業の成長は経済成長を牽引し,経済成長もや はり保険産業の成長に肯定的効果を与えているということを示している。
3.分析
⑴ データ
本研究で使用された標本データは,1970〜2005年までの経済成長,銀行,
保険の年間時系列データである。経済成長はGDPデータを,銀行の場合は 銀行の全体産業貸出金の総額を変数に,そして保険の場合は保険産業全体を 網羅しているため,生命保険と損害保険の保険料を合わせた金額を変数とし て活用している。これらのデータは,韓国銀行月刊統計データ,国家統計デ ータから抜粋して使用している。まず,3つの変数の対数値をとった統計量
は,次の<表1>に提示されている 。
次の<表2>の3つの変数間の相関関係を見ると,経済成長は,銀行,保 険産業の間に非常に密接した相関関係を持ち,銀行産業と保険産業の間にも 非常に有意的な相関関係を持っている。したがって,3つの変数間の相関関 係はかなり高い。
⑵ モデルの設定
動態的相互作用を検定するために,p次元の多変量VARモデルを利用し て,金融機関と経済成長との間の長期因果関係を調査する。本研究において 使用されるVAR (p) モデルは,次のようである。
y =c+δ+β・y +β・y +…β ・y +ε y =c+δ+β・y +β・y +…β ・y +ε
y =c+δ+β・y +β・y +…β ・y +ε ⑴ 1)
www
.kosis
.kr
<表1>要約統計量
変数 観測数 (年) 平均 標準偏差 最小値 最大値
LNECONCapital 37 6.42531 0.63085 5.37729 7.36024 LNBankCapital 37 7.88712 0.95841 6.41154 9.58124 LNInsCapital 37 14.94919 1.49467 12.10819 16.53208
<表2>変数間の相関関係
経済成長 銀行産業 保険産業
経済成長 1
銀行産業 0.98747 (<.0001) 1
保険産業 0.97087 (<.0001) 0.94401 (<.0001) 1
ここで,y は,t時点の経済成長,y は,t時点の銀行産業,y は,t時 点の保険産業を意味する。
3つの経済変数の時系列が定常的(stationary)であれば,VAR (p) モ デルを利用してグレンジャー因果関係についての仮説検定が実行される。し かし,時系列が定常的でない場合,関係の変換を通じてグレンジャー因果関 係についての仮説検定が行われるべきである。
さらに,長期均衡関係を検定するため,共和分分析を実施しており,
VECM (p) モデルは,次のように表すことができる。
ΔY=ΦD+ΠY +ΓΔY +,…,+Γ Y +ε, ⑵ ここで,
Π=Π+ …+Π−I= Π−I,Γ=− Π,k=1,p−1.
Πは,長期均衡関係に影響を及すマトリックスであり,Γは,短期均衡関 係に影響を及すマトリックスである。もしマトリックスΠが2つのpxrマ トリックスαとβ(定常的線形結合へ分解される場合,すなわちΠ=αβ′で あ れ ば,共 和 分(cointegration)関 係 が 方 程 式 に 内 在 さ れ る(Engle &
Granger(1987))。したがって,共和分関係が内在されたVECM (p) モデ ルは,次のようである。
ΔY=ΦD+αβ′Y +ΓΔY +…+Γ ΔY +ε ⑶ または
ΔY=ΦD+αβ′Y + ΓΔY +ε
ここで,β′が共和分ベクトルであるため,β′Y :I 0である。
したがって,本論文において使われている3つの関係を用いて共和分関係
を表す方程式は,次のようである。Yがベクトルβ=(β,β,β)′(3×1),
β′Y=βy +βy +βy 関係が存在する場合,Yは共和分関係を有するの で あ る。β=1,β=−β,β=−βへ 標 準 化 さ せ る と,共 和 分 関 係 は,
β′Y=y −βy −βy になり,このような標準化は,次のような長期均衡 の関係が成り立つ。
y =βy +βy +u, ⑷
ここで,u:I 0であり,y =βy +βy の均衡関係から離脱している 程度を表す。
ベクトルαの構成要素は,調整係数の速度であり,共和分ECM‑VAR
⑴は,次のようである。
Δy =α(y −β −β )+ε Δy =α(y −β −β )+ε
Δy =α(y −β −β )+ε ⑸
本論文の検定段階は,次のとおりである。まず,時系列に対する事前検定 を通して,定常的であるかどうかを検定する。第二に,もし時系列が定常的 でない場合,差分(階差)を通して、定常性を検定する。第三に,差分とな った時系列を利用してVECM (p) モデルの時差を めるために設定された VAR (p) モデルを推定し,最適なpを決定する。第四に, 定された時差 のVAR (p) モデルを利用して,グレンジャー因果関係を検定する。最終 的に,3つの変数間の長期関係を検定するために,VECM (p) モデルでヨ ハンセン検定を通して,共和分の数を 定し,これを基礎として共和分の分 析を実行する。
⑶ 変数の定義
本研究では,3つの経済変数についての定義は,次のとおりである。まず,
経済成長(ECON)は,国家の経済成長を測定するために,前述したよう に国民総生産(GDP)を人口数に分けて,一単位の資本に示した比率を対 数値として使用する。第二に,銀行信用(BANK)は,銀行貸出の年間総 額 を 人 口 数 で 割 っ た 比 率 を 対 数 値 と し て 使 用 し て い る。第 三 に,保 険
(INS)は,年間収入保険料(生保と損保)の総額を総人口数で割った値を 対数値のために使用する。
⑷ 実証検定の結果
1) 事前検定(Preliminary Tests)
<図1>のように,3つの経済変数である経済成長(ECON),銀行産業
(BANK)と保険産業(INS)の対数値が標本期間の間に著しく右上向トレ ンドを示している。したがって,各時系列の変数をモデルに適合させるため,
または推論の正確度を高めるため変数の変換が必要であることが分かる。3 つの時系列の変数は線形的なトレンドが存在し,時間に応じて同様に動くこ とがわかる。しかし,これらの時系列の関係が特定トレンド(determinis- tic trend)や共和分関係により発生するかは,追加的分析が必要である。
さらに,グレンジャー因果関係,つまり特定変数の出来事が他の特定変数の 出来事を体系的に動因するかを把握するためには,原時系列(raw time series data)を利用して把握することは容易でない。したがって事前検定
では,原時系列の値が定常的である形態を有しているかどうかをモデルとし て適合させる前に事前検定を実施する。
Ward& Zurbruegg(2000)の研究のように,本研究では,まず時差と 和分の形態(order of integration)を 定するため,標本期間の時系列デ ータを把握する。最初に,ADF検定を通して,時系列の非定常性(non‑
stationarity)を調査するため,単位根検定(unit root test)を実施する。
<図1>に提示されているように,切片とトレンドが検定に含まれている。
第二に,AIC,SBC,HQを基礎として,時差 (p) の大きさが 定される。
ADF検定において使用されている時差の選定基準は,次の通りである。
ADF検定において次数pを設定することは非常に重要であるため,pが小 さすぎると,残差に時系列の相関関係が存在し便宜が生じるが,pが大きす ぎると検定力に問題が生じるため,Ng & Perron(1995)が提示した次の 段階に従わなければならない。最初に,最大pを設定して,ADF検定回帰 式を実行し,最終選定される時差は最大時差のt統計量の絶対値が1.6倍以 上にもなる時差 を 選 択 し て 再 び 単 位 根 検 定 を 実 施 す る。検 定 の 結 果,
<表3>から3つの変数すべての切片がある場合と,切片とトレンドがある 場合の原時系列の定常性が存在しないということが分かり,したがって3つ の変数は,I⑴を有している。すなわち,ADF,Phillip‑Perron検定で単位 根が存在するという帰無仮説(時系列が非定常性)を設定し検定した結果す べての帰無仮説を棄却することができないということが分かる。また,単位
<図1>Time plots of the logarithms of the variables ECON, BANK and INS.
根が存在しないという帰無仮説を設定して,KPSSの検定の結果で帰無仮 説を1%および5%の有意水準でそれぞれ棄却しており,これらの結果を通 して,原時系列が非定常性を有していることがわかり,したがって変換を通 して,定常性時系列へ転換をさせる必要がある。
次の段階で,VECMモデルの時差の大きさを決定するために,VARお よびベイジアン(Bayesian)VARモデルを比較分析しており,各モデルを 利用し最小AIC,SBC,HQの値を有する時差を決定する。ベイジアンモ デルを利用する理由は,一般的なVARモデルでは変数相互間の共線性
(collinearity)や時系列データの不足のための系数の過度推定問題が存在し ており,多くの変数と長い次数を有したVARモデルは,多くのパラメータ
変数 使用の
時差
注: :5%水準で有意的。
:1%水準で有意的,KPSS統計量についての1%有意水準(99%
quantile
)で臨界値=0.229,5%有意水準(95% quantile
)で臨界 値=0.149。0.2441 0.9969
0.476 0.9911
‑0.168 4
保険産業(INS)
1.0213 0.4514
‑9.048 0.6217
‑1.922 銀行産業 2
(BANK)
0.1553 0.8316
‑1.439 0.8622
‑1.337 経済成長 1
(ECON)
切片やトレンドがある場合
0.9648 0.2460
‑2.1000 0.2691
‑2.0400 4
保険産業(INS)
1.0213 0.9945
0.9115 0.982
0.4427 銀行産業 2
(BANK)
1.0246 0.7937
‑0.8457 0.8037
‑0.8117 経済成長 1
(ECON)
LM統計量 t統計量 p値
p値 t統計量
KPSS検定 Phillip‑Perron検定
ADF検定 切片のみがある場合
<表3>原時系列単位根検定の結果
を持っているためである。したがって,制約されていないこれらのモデルを 推定するためには,多くのデータが求められており,推定されたパラメータ もそれほど正確ではない。結局,標準誤差(standard error)がパラメータ の不確実性を説明することができないため,正確度と信賴度に問題が生じる 可能性があることがわかる。本研究で使用されるデータは,年間データであ り,総36個の時系列から成っているためデータの不足による問題が存在して いる。
このような問題点についてベイジアンVARモデルを利用する場合,それ を乗り越えることができる。もしモデルの構造と発生可能なパラメータの値 または関数に事前的情報が知られている場合は,パラメータの推定と予測が 向上されるであろう。したがって,ベイジアンVARモデルには,パラメー タの不確実性が一般的な測定値として内在することができる。本研究では,
時系列に対する事前的情報として一般的な経済変数は単位根および共和分の 関係が存在するため,ベイジアンVAR推定にこれらの情報を内在させる。
<表4>では,時差によるVARモデルのAIC,BIC,HQ,LogLの値 が提示されている。時差1からAIC,BIC,HQの値が最も小さいため,
VAR⑴モデルが選ばれ推定されたVAR⑴モデルの結果は,以下のようで ある。
<表4>VAR モデルを利用した最適時差決定の結果 p AIC BIC HQ Log L 1 ‑298.1287 ‑279.4655 ‑291.6868 161.0649 2 ‑290.4950 ‑258.4415 ‑279.5639 166.2475 3 ‑266.139 ‑221.2439 ‑251.0332 163.0696 4 ‑261.8285 ‑204.6648 ‑242.8804 169.9143 5 ‑244.1094 ‑175.2780 ‑221.6721 170.0547 6 ‑264.9307 ‑185.0625 ‑239.3802 189.4654
VAR⑴の推定結果:
Δy =0.064+0.2007・y −0.1395・y −0.0522・y +ε, AdjR =0.0088
Δy =0.0775+0.1004・y +0.2994・y −0.1613・y +ε, AdjR =0.0825
Δy =0.1934+0.4317・y −0.7025・y +0.2041・y +ε, AdjR =0.0234
⑹
<表5>では時差によるベイジ ア ンVARモ デ ル のAIC,BIC,HQ, LogLの値が提示されている。VARモデルから選択された時差と同 に,
ここでも時差1からAIC,BIC,HQの値が最も小さいため,ベイジアン VARモデルから時差1が選択され推定されたベイジアンVAR⑴モデルの 結果は,次の通りである。
<表5>ベイジアン VAR モデルを用いた最適時差決定の結果
p AIC BIC HQ LogL 1 ‑612.8626 ‑594.1985 ‑606.4198 318.4313 2 ‑593.6671 ‑561.6136 ‑582.7360 317.8336 3 ‑555.7266 ‑510.8314 ‑540.6207 307.8633 4 ‑515.8274 ‑458.6637 ‑496.8793 296.9137 5 ‑475.5272 ‑406.6908 ‑453.0849 285.7611 6 ‑437.2371 ‑357.3689 ‑411.6866 275.6186
ベイジアンVAR⑴の推定結果:
Δy =0.0004+0.8884・y −0.0061・y −0.0123・y +ε, AdjR =0.7950
Δy =0.0006+0.0256・y +0.8915・y −0.0215・y +ε, AdjR =0.7839
Δy =0.0010+0.0038・y −0.1282・y +0.9180・y +ε, AdjR =0.9400
⑺
VAR⑴モデルとベイジアンVAR⑴モデルを比較してみると,モデルの 説明力(AdjR2)については,ベイジアンVAR⑴モデルのほうが説明力が 非常に高いことが分かる。ベイジアンVAR⑴モデルの回帰系数の定常性の 検定から3つの変数の固有値は,それぞれ0.963,0.867,0.807となり,す べてが1よりも小さいため定常的であることが分かる。ベイジアンVAR⑴ モデルの線形関係を検定するため,すべての回帰系数が0であるという帰無 仮説を設定して,ワル ド(Wald)検 定 を 実 施 し た 結 果 の 検 定 統 計 量 は 207.6071であり,p値は0.000で 帰無仮説を1%有意水準で棄却しているた めモデルの適合度は有意的であることが分かる。
2) グレンジャー 因果関係の検定(Granger Causality test)
ベイジアンVAR⑴モデルを設定した後,Toda・Yamamoto(1995)教 授が提示された方法に基づき,グレンジャー因果関係・ワルド検定を用いて 変数間の因果関係を調査する。
仮説1:他の条件が同様が同 であれば,銀行産業は経済成長の直接的な 原因となる。
仮説2:他の条件が同様であれば,保険産業は経済成長を直接的に動因す
る。
仮説3:他の条件が同様であれば,経済成長は銀行産業を直接的に動因す る。
仮説4:他の条件が同様であれば,経済成長は保険産業を直接的に動因す る。
仮説5:他の条件が同様であれば,銀行と保険産業の相互作用は経済成長 を直接的に動因する。
仮説6:他の条件が同様であれば,経済成長は銀行と保険産業の相互作用 を直接的に動因する。
仮説7:他の条件が同様であれば,銀行は保険産業を直接的に動因する。
仮説8:他の条件が同様であれば,保険は銀行産業を直接的に動因する。
以上の仮説についての検定結果を要約すれば,以下の<表6>のようであ る。
3) 長期均衡関係(Long‑Run Equilibrium)
検定の時に,共和分の公式に常数である切片と時間のトレンドが排除され たモデルが用いられる。これについての妥当性は,統計的検定を通じたヨハ
<表6>仮説検定の結果
順序 検定 検定統計量(ワルド) p値 結果
1 BANK‑>ECON(仮説1) 1.872 0.3921 棄却
2 INS‑>ECON(仮説2) 8.701 0.0129 判断
3 ECON‑>BANK(仮説3) 5.114 0.0775 判
4 ECON‑>INS(仮説4) 0.784 0.6757 棄却
5 INS,BANK‑>ECON(仮説5) 0.187 0.9106 棄却 6 ECON‑>BANK,INS(仮説6) 64.76 0.0000 判
7 BANK‑>INS(仮説7) 0.844 0.3976 棄却
8 INS‑>BANK(仮説8) 4.499 0.1054 棄却
ンセンのランク(rank)検定から提示されるであろう。
経済成長,銀行産業および保険産業との間の長期均衡関係が存在している かどうかを検定するため,ヨハンセンの多変量検定を利用した共和分検定を 実施する。
ヨハンセンのトレイス(trace)(LR)検定のための仮説:
H(r):r=r vs.H(r):r>r LR (r)=−T 1n(1−λ)
⑻
ヨハンセン最大固有値(Maximum Eigen Value)検定のための仮説:
H(r):r=r vs.H(r):r=r+1
LR (r)=−T ln(1−λ+1) ⑼
まず制約式,つまり切片およびトレンドが含まれている制約式の仮説を検 定した結果は,次の<表7>に提示されている。切片とトレンドが常数であ るというHo仮説を設定して,Chi‑Square検定の結果,Rank 0,1,2のそ れぞれがHoを棄却していないため,ヨハンセン共和分ベクトルにおいて切 片およびトレンドを含める必要はない。したがって,切片およびトレンドが 含まれないヨハンセン共和分ベクトルの検定結果のみを提示すればよい 。
実証分析の結果は,次のとおりである。まず,ヨハネセン・トレイスの検
2) 切片およびトレンドが含まれたヨハンセン共和分ベクトルの検定結果は,次 のとおりである。
3.84 15.34 29.38
7.9663 27.8489 61.9224
0.2036 0.4334 0.6223
Rank>2 Rank>1 Rank>0
Rank=2 Rank=1 Rank=0
5%臨界値 トレイス統計量(LR)
Eigen Value
H0
H1定の結果,5%の有意水準で変数間の共和分の関係,すなわち,長期均衡関 係がないという帰無仮説r0=0,(r0=1),(r0=2)を1%と5%の有意水 準でそれぞれ棄却しているため,2つ以上の変数,すなわち,経済成長,銀 行産業と保険産業との間に(共和分ベクトル)長期均衡関係が存在している ことが分かる。第二に,最大固有値(Max Eigen Value)検定の場合は,
H0(r0=2)を棄却しており,したがって,トレイスの検定と同じように,
経済成長,銀行産業,保険産業との間の共和分の関係が存在することが分か る。
推定された共和分方程式で,経済成長について銀行産業の長期弾力度も正
(+)の値,すなわち0.4541であり,保険産業の長期 力度も正(+)の値,
すなわち0.077であることが分かる。そしてこの方程式においては保険産業 よりも銀行産業のほうが経済成長により多くの影響を及していることを実証 的に示している。
<表7>制約式ヨハンセン共和分ベクトルの検定結果 Rank Eigen Value Restricted Eigen Value DF Chi‑Square P Value
0 0.6223 0.6231 3 0.10 0.9922
1 0.4334 0.4335 2 0.02 0.9933
2 0.2036 0.2037 1 0.01 0.9378
共和分方程式(経済成長を標準化)
経済成長=‑0.0977+0.4541・銀行産業+0.077・保険産業
4.14 4.6566
0.0731 Rank>2
Rank=2
12.21 14.7838
0.2928 Rank>1
Rank=1
24.08 35.7893
0.4531 Rank>0
Rank=0
5%臨界値 トレイス統計量(LR)
Eigen Value H1
H0
<表8>ヨハンセン共和分ベクトルの検定結果
<表9>のように,結局,3つの変数間に共和分の関係が存在するため,
したがって経済成長と金融仲介機関の発展は長期的に均衡関係が存在してい ることが分かる。これらの3つの変数間の相互従属性は,経済成長と金融仲 介機関のサービスとは密接な関係が存在していることが分かる。VECM共 和分モデルを利用して,3つの変数間の影響力の程度を把握した結果は,
<表10>に提示されている。
<表10>の回帰係数は,共和分ベクトルを意味し,INSが標準化された 変 数 で あ る。上 記 の 結 果 に し た が っ て,変 数 間 の 定 常 的 関 係 式 は,
−0.215+BANK−0.033+0.202ECONであり,回帰係数の値は弾力度を 意味する。すなわち,銀行貸出の1%の増加は,経済成長が約4.95%(1/
0.202)増加していることを提示している。
モデルの強さ(強度)を検定するために,VECM⑴モデルの残差を検定 する。VECM⑴モデルの時系列自動相関関係の検定から自動相関関係が存
共和分方程式(經濟成長を標準化)
経済成長=‑0.0977+0.4541・銀行産業+0.077・保険産業
3.84 7.9663
0.2036 Rank>2
Rank=2
15.34 27.8489
0.4334 Rank>1
Rank=1
29.38 61.9224
0.6223 Rank>0
Rank=0
5%臨界値 トレイス統計量(LR)
Eigen Value H1
H0
<表9>ヨハンセン共和分ベクトルの検定結果(切片およびトレンド)
<表10>VECM ⑴モデルから推定された共和分ベクトル
変数 推定計数の値
常数 ‑0.215 BANK 1.000 INS ‑0.033 ECON 0.202 注: :1%水準で有意的。
在しないという帰無仮説を検定した結果,すべてが有意水準で帰無仮説を棄 却することができずにいるため,推定されたVECM⑴モデルの時系列の相 関関係は存在しないということが分かる。
4.むすびにかえて
金融機関の役割を考慮すれば,経済成長と金融機関の密接な関係を容易に 推測できる。すなわち,一般に,金融機関は,経済において血管のような役 割を遂行していると言われているように,経済成長において金融機関は,非 常に重要な貢献をしている。金融機関の中でも,銀行や保険の役割は,他の 金融機関より直接的であり緊密であると思われる。これを受け,本研究では,
韓国の金融機関,特に保険や銀行の経済成長との関連を時系列データを利用 して分析した。その結果,経済成長は銀行産業および銀行と保険産業の相互 作用に影響を与えて,結局,経済成長による金融仲介機関の発展をもたらし ていることが分かる。
一方,銀行産業および銀行と保険産業の相互作用は,経済成長に影響を与 えていない。特に,保険産業は,経済成長と銀行産業の成長の直接的な原因 となっていることが分かる。したがって,成長の原因となるレベルを見ると,
銀行よりも保険の役割が大きいということが分かる 。その反面,全般的な
<表11>VECM ⑴モデルの残差についての時計列相関関係の検定結果
P Value 0.258 0.9818 0.9185 検定統計量 18.087 5.8747 8.1285
銀行 保険 経済成長
3) 韓国の場合,政策資金(主に外資の借入,たとえば日本とドイツからの借款 の導入)が産業を牽引するのに,主な役割をしたこと,そしてこれによる輸出 等の効果により経済規模が大きくなるにつれ,銀行の規模および役割もそれに よって大きくなったことである。その結果,つまり保険は,産業発展に積極的 な貢献をしたのに反して,銀行の場合はそのような結果が出なかったことで,
ある程度の説明ができると思われる。
関係(長期均衡関係)を分析してみた結果,銀行の貸出は経済成長に非常に 大きな影響を及ぼしていることが分かる。
本研究では,経済成長と金融機関との関係を1970〜2005年にかけての年間 データを時系列分析を通じて分析た。今後の研究課題としては期間をさらに 細分化し各期間別の研究を行い,より詳細な結果を得ることである。
(韓 洛 :慶南大学校経済貿易学部副教授)
(朴 尚範:韓国航空大学校経営学科教授)
(孫 判道:東亜大学校経営学科助教授)
参考 献
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