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代数体における 0 でない平方数の和

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(1)

代数体における0でない平方数の和

三重大学大学院教育学研究科教育科学専攻 理数・生活系教育領域 215M028福田 裕花

2017210

(2)

目 次

1 0でない有理整数の平方数の和で表される整数 1

1.1 k個の平方数の和で表される整数 . . . . 1

1.2 k個の0でない平方数の和で表される整数 . . . . 2

1.3 4個の0でない平方数の和で表される整数 . . . . 4

1.4 2個の0でない平方数の和で表される整数 . . . . 5

1.5 3個の0でない平方数の和で表される整数 . . . . 5

1.6 k個のnv. sq.の和になるnxをみたす整数の個数 . . . . 9

2 二次体の整数論 11 2.1 二次体Q( m)の整数 . . . . 11

2.2 二次体のイデアル . . . . 16

2.3 イデアルの素因子分解 . . . . 21

2.4 二次体における素のイデアル. . . . 25

2.5 イデアルの類別 . . . . 30

2.6 イデアルを法とする合同式 . . . . 34

2.7 二次体の単数 . . . . 40

2.8 Pell方程式 x2ay2=±1 . . . . 46

3 二次体における0でない整数の平方数の和で表される整数 50 3.1 Q( 5)における0でない整数の平方数の和で表される整数 . . . . 50

3.2 Q( 2)における0でない整数の平方数の和で表される整数 . . . . 50

(3)

1 0でない有理整数の平方数の和で表される整数

このセクションはGrosswald[1]を参照した.整数の集合をZ,非負の整数の集合をZ0,自然 数の集合をZ>0と表す.このセクションでは,p, qあるいはpi, qjは常に素数を表すものとする.b aで割り切れるときa|bと表し,baで割り切れないときabと表す.

1.1 k個の平方数の和で表される整数

2個の平方数の和で表せる整数については次の定理が成り立つ.

定理1.1.1. nを自然数とする.n= 2an1n2(aZ0)とする.ただしn1=

pi1 (mod 4)piai, n2=

qj3 (mod 4)qjbj である.このときn2が平方数であるとき,またそのときに限りn=x12+x22

を満たすx1, x2Zが存在する.

3個の平方数の和で表せる整数については次の定理が成り立つ.

定理 1.1.2 (Legendreの定理). M={4a(8m+ 7)|a, mZ0}とすると,n /Mの場合に限り,

n3個の平方数の和で表せる.

k4以上のとき,負でない整数がk個の平方数の和で表される.なぜなら任意の自然数は 4個の平方数の和で表される(Lagrangeの定理)から,0を任意の個数用いることによってn =

4

i=1xi2+ 02+· · ·+ 02 (xiZ)とかける.

nk個の平方数の和で表す方法の個数をrk(n)と表す.

定理 1.1.3. d(n)nの約数の個数とし,gk (mod 4)となるnの約数gの個数をdk(n)とす る.n= 2an1n2 (aZ0)とする.ただしn1 =

pi1 (mod 4)piai, n2 =

qj3 (mod 4)qjbj ある.あるbjが奇数であるときr2(n) = 0であり,全てのbjが偶数であるときr2(n) = 4d(n1) = 4(d1(n)d3(n))である.

1.1.4. n0のすべての素因数qq3 (mod 4)であるときr2(n) =r2(2an) =r2(2ann02) ある.

定理 1.1.5. nが奇数のとき任意のaZ>0に対してr4(2·4an) =r4(2n)である.

x1, x2, x3が互いに素である場合にn=x21+x22+x23n3個の平方数の和で表す方法の個数 R3(n)とする.平方因子をもたない整数をsquarefreeという.

定理 1.1.6 (Gaussの定理). nZ>0squarefreeであるとする.h(n)は二次体Q(

n)の類 数とする.n 3 (mod 8)のとき二次体の判別式をd=nとし, n 1,2,5,6 (mod 8)のとき d=4nとする(これらについてはセクション2で詳しく述べる).

δ1= 12, δ3=13 を除いてδn = 1とする.このとき

R3(n) =

12h(n)δn (n1,2,5,6 (mod 8)) 24h(n)δn (n3 (mod 8)) となる.

(4)

nが平方因子をもたないときはR3(n) =r3(n)であり,一般には r3(n) =

d2|n

R3 (n

d2 )

(1.1)

である.

定理 1.1.7 (Gauss-Batemannの定理). n= 4an1, 4n1のとき r3(n) = 16

n

nL(1, χ)q(n)P(n), (1.2)

q(n) =

0 (n17 (mod 8)), 2a (n13 (mod 8)), 3·2a1 (n11,2,5,6 (mod 8)),

P(n) =

p2b|n,p:odd

1 +b1

j=1

pj+pb {

1 ((p2bn)

p )

1 p

}1

,

squarefreeの整数nに対してP(n) = 1であり,χ(m) = (m4n)に対してL(s, χ) =

m=1χ(m)ms である.

(1.2)を用いて定理1.1.7から以下のことがいえる.

R3(n) =π1Gn

nL(1, χ), Gn =

0 (n0,4,7 (mod 8)) 16 (n3 (mod 8)) 24 (n1,2,5,6 (mod 8)).

(1.3)

f 1 (mod 4)のときf squarefree,4|f,42 f のときf /4squarefreeとし,n =f g2に対 して,

L(1, χ) =

p|g

( 1(

f p

)1 p

) L

( 1,

(f m

))

(n3 (mod 4)), L(1, χ) =

p|g

( 1(

4f p

)1 p

) L

( 1,

(4f m

))

(n1,2 (mod 4)).

(1.4)

定理1.1.8. M3個の平方数の和で表せない自然数の集合とし,M(x) =

n∈M, nx1としたと き,C= 7 log 78 log 476, R(x) = 76+θ2(loglog 4x7 +θ3)78θ376·4θ3 (0θi1)に対して

M(x) = x 6 7

8 log 4logx+C+R(x).

1.2 k個の0でない平方数の和で表される整数

0でない平方数(nonvanishing square)を省略して nv. sq. と表す.

定理 1.2.1. k= 2,3,4のときk個のnv. sq.の和で表せない整数が無限に存在する.

(5)

証明.

(i)k= 4のとき.

nが奇数のとき任意のaZ>0に対してr4(2n) =r4(2·4an)だから4個の平方数の和による2n 2·4anの表し方は11で対応している.2n4個のnv. sq.で表せないものが存在する場合 4a·2nも同様である.2·1 = 12+ 12+ 02+ 02だから2·4a= (2a)2+ (2a)2+ 02+ 02であり,こ の他に2·4a4個の平方数で表す方法は存在しない.

(ii)k= 3のとき.

4|nに対して,n=3

i=1xi2 (xi Z)のとき全てのxiは偶数で n4 =3

i=1(x2i)2である.よって

n

4 3個の平方数の和で表せる.この作業を繰り返すことで,4n1に対してn= 4an13個の nv. sq.の和で表されるものが存在するとき,n13個のnv. sq.の和で表される.25 = 32+ 42+ 02 としか3個の平方数の和で表せないから,n= 4a·25もまたn= (2a·3)2+ (2a·4)2+ 02としか 表せない.

(iii)k= 2のとき.

4|nに対して,n=2

i=1xi2(xiZ)のとき(ii)と同様にして,4n1に対してn= 4an1(4n1) 2個のnv. sq.の和で表されるものが存在するとき,n12個のnv. sq.の和で表される.1 = 12+ 02 としか2個の平方数の和で表せないから4a·1 = (2a)2+ 02としか表せない.

定理 1.2.2. k()5に対して,一部の整数を除いてほとんどの整数はk個のnv. sq.の和で表せる.

証明.

(i)k= 5のとき.

169169 = 132= 122+52= 122+32+42= 112+42+42+42= 122+42+22+22+121,2,3,4,5 個のnv. sq.の和で表せる.n170のときn169 =4

i=1xi2 (xi Z, x1x2x3x4) する.このときxi ̸= 0ならばn= 132+4

i=1xi25個のnv. sq.の和で表せる.同様にして,

x4= 0ならばn= 122+ 52+3

i=1xi2と,x4=x3= 0ならばn= 122+ 32+ 42+2

i=1xi2と,

x4=x3 =x2 = 0ならばn= 112+ 42+ 42+ 42+xi2 と表せる.よって170以上のn5個の nv. sq.の和で表せるからn <170について調べるとn= 1,2,3,4n= 6,7,9,10,12,15,18,33 除いた全ての自然数は5個のnv. sq.の和で表せる.

(ii)k= 6のとき.

n171とするとn15個のnv. sq.の和で表せるからn=5

i=1xi2+ 12(xiZ, xi̸= 0)6 個のnv. sq.の和で表せる.n <171について調べるとn= 1,2,3,4,5n= 7,8,10,11,13,16,19 が例外的に6個のnv. sq.の和で表せないことが分かる.

(iii)k= 7のとき.

n1 =6

i=1xi2(xiZ, xi̸= 0)と表すとn= 12+6

i=1xi2である.n= 1(ii)の例外の整数に 1を足した整数n= 2,3,4,5,68,9,11,12,14,17,20のみが7個のnv. sq.の和で表せない整数にな りうる.まず明らかにn= 1,2,3,4,5,67個のnv. sq.の和にならない.さらに和の平方数の最小 値を22とすると和が20を越えてしまうから最小の平方数は12である.ここで8,9,11,12,14,17,20 のいくつかが7個のnv. sq.の和で表せるとすると7 = 81,8 = 91, . . .19 = 2016個の nv. sq.の和で表せることになる.これは(ii)に矛盾するから7個のnv. sq.の和で表せない整数は n= 1,2,3,4,5,6n= 8,9,11,12,14,17,20である.

より一般的に考える.6以上のkに対して例外として1,2, . . . , k1k+b(bB={1,2,4,5,7, 10,13})を除いた全ての整数がk個のnv. sq.の和で表せるとする.まず1,2, . . . , kは明らかに(k+1) 個のnv. sq.の和で表せない.n1 =k

i=1xi2(xiZ,

ixi̸= 0)のときn=k+1

i=1xi2(xk+1= 1)

(6)

と表せる.よってb+ (k+ 1) (bB)の整数のみを検討すればよい.ここで(k+ 1)22>13 + (k+ 1) だから和に含まれる最も小さい平方数は12 である.全てのb Bに対してxk+1 = 1と決め b+k+ 1 = k+1

i=1xi2 (

ixi ̸= 0)と仮定するとb+k= k

i=1xi2 (

ixi ̸= 0)となる.これは b+kk個のnv. sq.の和で表せないことに矛盾する.

以上により定理1.2.2を次のように改める.

定理 1.2.3. n̸= 1,2, . . . , k1, n̸=k+b (bB)であるnZ>0k(6)個のnv. sq.の和で 表される.k= 5のとき,bB∪ {28}として同様の主張を得る.

1.3 4個の0でない平方数の和で表される整数

定理 1.3.1. 1,2,34 +b (bB∪ {25,37})4an1 (aZ0, n1= 2,6,14)から成る集合の数 を除いて,全ての自然数は4個のnv. sq.の和で表される.

証明.

n1=4

i=1xi2 (xiZ, 4

i=1xi̸= 0)のときn= 4an1=4

i=1yi2 (yi= 2axi ̸= 0 (i= 1,2,3,4)) とかける.n0 (mod 8)のときn= 4an1とするとn1が偶数のときr4(4an1) =r4(n1)であり,

n1が奇数のときr4(4a1(4n1)) =r4(4n1)である.よってn0 (mod 8)のときはn1, 4n1のそれ ぞれが4個のnv. sq.の和で表せるかどうかを考えればよい.

n2,3,4,6,7 (mod 8)のときn169 1,2,3,5,6 (mod 8)だからn 170とし,n1,5 (mod 8)のときn4·169 = n676 1,5 (mod 8)だからn677として考える.このとき,

n169,n676のいずれも4a(8k+ 7)0,4,7 (mod 8)と等しくないから1,2,3個のnv. sq.の和 で表せる.ここで169 = 132= 52+ 122= 32+ 42+ 122, 676 = 262= 102+ 242= 62+ 82+ 242 を用いるとn169,n6764個のnv. sq.の和で表せる.

(i)n̸≡0 (mod 8)のとき.

n̸≡1 (mod 4)ならばn169とし,n1 (mod 4)ならばn676として考える.

(ii)n0 (mod 8)のとき.

n= 4an1(4n1, aZ>0)と決め,n1̸≡1 (mod 4)ならばn1169とし,n11 (mod 4)なら n1676として考える.

n14個のnv. sq.の和で表せるとき,n= 4an1も同様である.よって(ii)においては,(i)におい 4個のnv. sq.の和で表せない整数のみを考えればよい.n̸≡0 (mod 8)をみたすn169 (n1 (mod 4)のときはn676)に対して1つずつ確かめていくとA={1,2,3,5,6,9,11,14,17,29,41} の要素のみが4個のnv. sq.の和で表せない.

n1 Aのそれぞれに対して4an1の形のものを考える.n1 = 1のとき4a ·1 = 4a1·4 = 4a1(12+ 12+ 12+ 12)だから4個のnv. sq.の和で表せる.同様にしてn1= 3,5,9,11,17,29,41 はそれぞれ4a·3 = 4a1·12 = 4a1(32+ 12+ 12+ 12), 4a·5 = 4a1·20 = 4a1(32+ 32+ 12+ 12), 4a·9 = 4a1·36 = 4a1(52+ 32+ 12+ 12), 4a·11 = 4a1·44 = 4a1(52+ 32+ 32+ 12), 4a·17 = 4a1·68 = 4a1(72+ 32+ 32+ 12), 4a ·29 = 4a1·116 = 4a1(92+ 52+ 32+ 12), 4a·41 = 4a1·164 = 4a1(112+ 52+ 32+ 32)だから4an1 (n1 = 3,5,9,11,17,29,41)4個の nv. sq.の和で表せる.n1= 2,6,14のときr4(2·4a) =r4(2),r4(6·4a) =r4(6),r4(14·4a) =r4(14) だから4a·2, 4a·6, 4a·14は全て4個のnv. sq.の和で表せない.

(7)

1.4 2個の0でない平方数の和で表される整数

定理 1.4.1. n1=

pi1 (mod 4)piai,n2=

qj3 (mod 4)qjbj としたときn= 2an1n22 (aZ0) とすると,n1= 1かつaが偶数である場合を除き,n2個のnv. sq.の和で表される.

証明.

定理1.1.1より,n= 2an1n22 (aZ0, n1 =

pi1 (mod 4)piai, n2 =

qj3 (mod 4)qjbj)のと きに限ってn=x12

+x22

(x1, x2 Z0)となる.2個の平方数の和でnを表す全ての方法は n= (n2x1)2+ (n2x2)2 (x1, x2Z0)の形であり2an1=x12+x22だからn2= 1のとき,すな わちn= 2an1の場合を考えればよい.yiを奇数としてxi= 2ciyi (ciZ0)とする.

(i)c1=c2=cのとき.

n= 2an1=x12+x22= (2c1y1)2+(2c2y2)2= 22c(y12+y22)である.yiは奇数だからy12y221 (mod 8)であり,y12+y222 (mod 8)である.n11 (mod 4)だからn1 =12(y12+y22)より y1y2はいずれも0でない.よってx1x20でない.

(ii)c1< c2のとき.

c =c1, d=c2c1 >0とすると,n= 2an1 = (2c1y1)2+ (2c2y2)2 = 22c1(y12+ 22c22c1y22) = 22c(y12+ 4dy22)である.よってa= 2c,n1=y12+ 4dy22y121 (mod 4)が成り立っている.

ここでy1̸= 0のときx1̸= 0となる.しかしまだx2=y2= 0の可能性がある(これはc2= の場合に対応している).y1y2̸= 0のときはx1x2̸= 0である.

nそしてn12個のnv. sq.の和で表されない可能性はnn =m2の完全平方であり,n= 2an1= 22cy12= (2cy1)22個の平方数の和で表す方法が(±m)2+ 02= 02+ (±m)24通りの みであるときである.ここでn1=y12=p12a1p22a2· · ·pr2ar (pi1 (mod 4) (i= 1,2, . . . , r)) ある.

n1 > 1 のときr2(n1) = 4d(n1) = 4d(

pi2ai) = 4

(2ai + 1) 4·3 = 12 > 4 だから r2(n) =r2(m2) =r2(2an1) =r2(n1)>4である.よって2個のnv. sq.の和で表せる.

n1= 1のときn= 2a= 22cだからb= 1のとき,n2個の平方数で表す方法はn= 22= 22+02 の表し方のみとなる.またc1まではn= 22(c1)+ 02のみがn2個の平方数で表す方法であ ると仮定する.cのときにn= 22c =x12+x22 (x1x2 ̸= 0)とすると,n0 (mod 4)よりx1 x2は共に偶数でなければいけない.このときに両辺を4で割ると n

4 = 22(c1)= (x21)2+ (x22)2 なり仮定に矛盾するからn1= 1のきn= 2a2個のnv. sq.の和で表せない.

よってn= 2an1n222個のnv. sq.の和で表せない唯一の場合はa= 2c, n1= 1のときである.

1.5 3個の0でない平方数の和で表される整数

Mn= 4a(8m+ 7)の形の整数の集合とするとn /Mの場合に限りnは最大で3個のnv. sq. 和で表せる.このときxi ̸= 0に対してn=x12またはn=x12+x22であり,n̸=x12+x22+x32

であることが起こりうる.

r3(n)>0n=x12+x22の表し方はr3(n)に数えられるから一般的にx12+x22+ 02, x12+ 02+x22, 02+x12+x22と少なくとも三重に数えられる.そしてn=m22個のnv. sq.の和で表 せないときr2(n)によって数えられる, (±m)2+ 02, 02+ (±m)24通りの表し方はr3(n)によっ 6通りの表し方として数えられる.すなわち(±m)2+ 02+ 02, 02+ (±m)2+ 02, 02+ 02+ (±m)2

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