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二次体の単数

ドキュメント内 代数体における 0 でない平方数の和 (ページ 42-48)

注意 2.6.13. (α,M) =Dならば,β ∈Dが合同式αx ≡β (modM)が解をもつための条件に なる.まず解γをもつとすると,αγ ≡β (mod M)である.このときあるMの元µに対して,

β =αγ+µであり,αγ, µはともにDの元であるからβ ∈Dである.またβ ∈Dであるとき β ∈(α,M)でもあるから,ある整数ξとMの元µに対してβ =αξ+µとなる.よってαξ≡β (mod M)であり,合同式αx≡β (mod M)が解をもつ.

証明.

まず (

p q r s

)

が恒等変形であるとき,t2−du2=±4をみたすt, uを考える.

( t−bu 2 −cu au t+bu2

)

=

± (

1 0 0 1

)

だからau= 0であり,a̸= 0だからu= 0である.よって2t =±1となり,t=±2 だから,t2−du2=±4をみたすt, uは(t, u) = (±2,0)である.

ここで二次の虚の無理数で恒等変形以外に自己変形をもつものは√

−1またはω= −1+2√−3と同 値なものだけである.二次の無理数と同値な数は同一の判別式に属する二次の無理数だから,それ は同じ二次体の数である.よって√

−1はQ(√

−1)の数であり,ω= −1+2√−3はQ(√

−3)の数だか ら,それ以外の二次体は単数としてε=t+u2√d = ±22 =±1のみをもち,二次体Q(√

−1), Q(√

−3) は±1以外にも単数をもつ.

まずQ(√

−1)において,単数ε=x+y√

−1とするとN(ε) =x2+y2>0よりx2+y2= 1とな る.x, yは有理整数だからx=±1, y= 0またはx= 0, y=±1である.よってε=±1, ±√

−1 となる.

次にQ(√

−3)において,単数ε = x+yσ, σ = −1+2√−3 とする.するとN(ε) =±1だから,

(x+yσ)(x+yσ) =±1となる.x2+ (σ+σ)xy+σσy2=x2−xy+y2より,x2−xy+y2=±1 であり,(2x−y)2+ 3y2=±4となる.左辺が正だから(2x−y)2+ 3y2= 4となり,(2x−y)2≧0 であり,3y2≦4だからy2= 0または1である.y2 = 0,すなわちy= 0のときはx=±1とな る.そのときε=±1である.またy =±1のとき(2x−y)2+ 3y2= 4よりx2∓x= 0となり,

x(x∓1) = 0である.よってx= 0のときにy=±1,またはx= 1のときにy= 1,x=−1のと きy=−1である.よって単数は±1の他に±σ, ±1±σ=±(1 +σ) =∓σ2である.

次に実の二次体Q(√

m)の場合を考える.

補助定理 2.7.3. nを任意の自然数とするとき実二次体Q(√

m)に関して

|x+yω|< 1

n, 0<|y|≦n をみたす有理整数x, yが存在する.

証明.

nを任意の自然数として実数軸上の区間[0,1)を[0,n1),[1n,n2), . . . ,[n−n1,1) のようなn個の区間 に等分する.ここでyに0,1,2, . . . , nの(n+ 1)個の値を与えて,その各々の値に対してωyを越 えない最大の有理整数をxとすると,0 ≦ ωy−x < 1である.これらの(n+ 1)個の数は上記 のn個の区間に属するから,ある二つの数ωy1−x1, ωy2−x2 (x1̸=x2)が同一の区間に属する ことになる.よって|(ωy1−x1)−(ωy2−x2)|= |(y1−y2)ω+ (x2−x1)|< n1 となる.ここで y1−y2=y, x2−x1=xとおくと,0≦y≦nだから−n≦y1−y2≦nより0<|y|≦nとなる.

よって|yω+x|< 1n, 0<|y|≦nである.

定理2.7.4. 実二次体Q(√

m)には無数に単数がある.それらは一つの単数ε0によって次のような 形に表される.

±ε0n (n= 0,±1,±2, . . .).

このような単数ε0をQ(√

m)の基本単数という.ε0と同時に±ε0, ±ε0−1が基本単数になるから,

ε0>1であるものを通常基本単数という.

証明.

まず始めにε ̸= ±1となる単数εが存在することを示す.m ≡ 2,3 (mod 4)のときω −ω =

√m+√

m = 2√ m = √

4m =√

dであり,m ≡ 1 (mod 4)のときω−ω = 1+√2m− 1−√2m =

√m = √

dだからω −ω = √

dである.さらに補助定理2.7.3より任意の自然数nに対して,

|x+yω|< n1, 0<|y|≦nをみたす有理整数x, yが存在するから,

|x+ωy|=|x+ (ω−√

d)y|=|x+ωy−√ dy|

≦|x+ωy|+√ d|y|

< 1 n+n√

d

≦n(1 +√ d) となる.よって

|N(x+ωy)|=|(x+ωy)(x+ωy)|

=|x+ωy||x+ωy|

< 1

n·n(1 +√

d) = 1 +√ d だからA= 1 +√

dとおくと,|N(x+ωy)|< Aである.ここでα=x+ωyとおいて1n <|α|をみた す自然数nをとる.1

n <|α|だから|α1|< n1(<|α|)なる整数α1をとると,上記の論法と同様にして

|N(α1)|< Aが成り立つ.このようにして,|α|>|α1|>|α2|> . . . , |N(α)|,|N(α1)|,|N(α2)|< A をみたす無数の整数α, α1, α2, . . .がQ(√

m)において求められる.

これらの整数から生じる単項イデアル(α1),(α2), . . .について考える.ノルムは有理整数だから その絶対値がAよりも小さいものは有限個であり,そのようなノルムをもつイデアルの数は有限で ある.よってイデアルとして(αm) = (αn) (m̸=n)をみたすものが存在する.この場合αn∈(αm) より,ある整数βに対してαn =βαmであり,αm∈(αn)より,ある整数γに対してαm=γαn

である.よってαm=γ(βαm)より1 =βγだから,β, γは単数である.よってαm

αn =β1 =γは単 数となる.ε= ααm

n は単数であるが,|αm| ̸=|αn|なので,|ε| ̸= 1である.よってQ(√

m)は|ε| ̸= 1 をみたす単数εをもつ.

次に上記の単数εに対して,ε >1と仮定する.これが成り立たない場合は−εまたは±1εを代 わりにとる.x+ωyを単数として,

1< x+ωy≦ε (2.16)

とする.すると 1ε ≦x+ωy1 <1であり,−1<−x+ωy1 ≦−1εである.よってN(x+ωy) =±1より (x+ωy)(x+ωy) =±1となり,(x+ωy) =±x+ωy1 だから

|x+ωy|<1 となる.ω−ω=√

dだから,この二つの不等式が成り立つとき,

|x|= 1

√d| −ω(x+ωy) +ω(x+ωy)|< 1

√d(|ω(x+ωy)|+|ω(x+ωy)|)

= 1

√d(|ω| · |x+ωy|+|ω| · |x+ωy|)

< 1

√d(ε|ω|+|ω|),

|y|= 1

√d|(x+ωy)−(x+ωy)|< 1

√d|ε+ 1|

となる.よって上の二つの不等式をみたすような有理整数x, yの組み合わせは有限個になるから,

(2.16)のような単数があっても,その個数は有限となる.

そのような単数のなかで最も小さいものが存在し,それをε0とする.するとε0 > 1だから,

1, ε0, ε02, . . .の値は指数とともに限りなく大きくなっていく.よってε >1である任意の単数εに 対して,ε0n≦ε < ε0n+1となるような自然数nが存在する.すると,

1≦ ε ε0n < ε0 となる.N(εε

0n) = N(ε)N(ε1

0n) = 1·N(ε1

0)n = 1だから εε

0nも単数である.ε0が1よりも大きい 最小の単数であったので,εε

0n = 1でなければならない.よって任意の単数εに対してε=ε0nで ある.

任意の単数ε̸= 1に関して,±ε,±1εの四つの単数のうちのただ一つが1よりも大きいから,それが 上記よりε0nに等しくなる.例えばε >1のときには,−ε=−ε0n, 1ε= ε1

0n =ε0−n, −1ε =−ε0−n となる.よって−ε,±1εのいずれが1より大きくなっても同様にして他の三つの単数を表すことが できる.よってすべての単数は

±ε0n (n= 0,±1,±2, . . .) と表せ,ε0が基本単数である.

N(ε0) = 1のとき,N(ε0n) = N(ε0)n= 1としかならないから,ノルムが−1に等しい単数があ る場合にはN(ε0) =−1でなければならない.よってこの場合,指数nが偶数であるか奇数である かに従って,N(±ε0n) = (−1)n=±1となる.

補題 2.7.5. 実二次体Q(√

m)における基本単数のノルムが−1に等しいためには,mがq≡ −1

(mod 4)である素因数qをもたないことが必要である.

証明.

単数ε= t+u

√d

2 としたときに,t2−du2 =−4ならば,εのノルムは−1と等しくなる.よって この等式t2−du2=−4をみたす(t, u)について考える.するとdの素因数qに関して,t2≡ −4 (mod q)となる.q≡ −1 (mod 4)とすると,(−4

q ) = (−q1) = (−1)q−12 =−1となるから,t2≡ −4 (mod q)をみたす有理整数tは存在しない.またm≡2,3 (mod 4)のときd= 4mだから,mが q≡ −1 (mod 4)なる素因数qをもつなら,dも同様である.m≡1 (mod 4)のときはd=mだか らmがq≡ −1 (mod 4)なる素因数qをもつなら,dも同様である.よってmがq≡ −1 (mod 4) である素因数qをもつとき,t2−du2=−4をみたす(t, u)が存在しない.

補題 2.7.6. 実二次体Q(√

m)における基本単数のノルムが+1に等しいならば,J= (√

m)以外 にJ=Jをみたす単項原始イデアルが存在する.

証明.

εを基本単数とする.N(ε) = εε = 1だから,ε(1 +ε) = ε+ 1より,ε = 1+ε1+ε である.ここで 1 +ε=ηが単数ならば,ε= 1+ε1+ε =ηη =ηηηη =η2となり,これはεが基本単数であることに矛盾す る.よって1 +εは単数でない.よってJ= (1 +ε)とおくと,J= (1 +ε) = (ε+εε) = (1 +ε) =J となる.

さらにJ = (a√

m) (a ∈ Z)と仮定したときに,単数η に対して,1 +ε = ηa√

mとなる.

1 +ε=−ηa√

mだから,ε= 1+ε1+ε = −ηaηa√√m

m =−ηη =−η2となり,これもεが基本単数であるこ とに矛盾する.よってJ̸= (a√

m)である.よってJ=aJ0とおき,J0を原始イデアルとすると,

J0̸= (√

m)であり,J0=J0となる.

注意 2.7.7. d=mまたはd= 4mに含まれる有理素数をl1, l2, . . . , ltとすると,これらはdの約 数だから(li) =LiLi (Li =Li)のような素イデアルに分解される.(p) =PP(P̸=P)のような 素因数PをもつJはJ=J をみたさなく,(p) = Pのような素因数PをもつJは原始イデアル でない.よってJ=Jとなる原始イデアルはL1,L2, . . . ,Ltまたはそれらの積La1La2· · ·Lanとな る.ここでai=ajである素因数が含まれた場合,LaiLaj =LaiLai= (lai)であり,Jが原始イデ アルであることに反するからai̸=ajである.

例 2.7.8. p≡3 (mod 4)であるQ(√p)において考える.このときm=p≡3≡ −1 (mod 4)だ から,基本単数のノルムは+1と等しくなる.よってJ= (√

m)以外にJ=Jをみたす単項原始イ デアルが存在する.d= 4pより(q) =Q2となる素数はp,2に限るから,(2) =L2, (p) =P2とお くと,J=Jをみたす原始イデアルはL,P,LPに限る.P= (p,√p) = (√p)だからLまたはLP が単項原始イデアルでなければならない.ここでLが単項イデアルでないとすると,Pは主類だ からLPがLと同じ類になる.よってLは単項イデアルでなければならない.L= (x+y√

p)と おくと,(2) =LL= (x+y√p)(x−y√p) = (x2−py2)であり,x2−py2=±2をみたす(x, y)が 存在する.

yを偶数とすると,x2=±2 +py2≡ ±2 (mod 4)となりこれをみたすxは存在しない.よってy は奇数であり,x2=±2 +py2よりxも奇数である.p≡3 (mod 8)のとき,x2−py2≡x2−3y2≡ 1−3·1 ≡ −2 (mod 8)であり,p≡7 (mod 8)のとき,x2−py2 ≡x2−7y2 ≡1−7·1 ≡ −6 (mod 8)である.よってp≡3 (mod 8)のときx2−py2=−2,p≡7 (mod 8)のときx2−py2= 2 をみたす(x, y)について,L= (x+y√p)となる.

補題 2.7.9. q1≡q2≡3 (mod 4)とすると,二次体Q(√q1q2)において(q1) =Q12

, (q2) =Q22

とするとき,Q1もQ2も単項イデアルである.

証明.

q1 ≡q2 ≡3 (mod 4)よりq1q2は明らかにq≡ −1 (mod 4)である素因数qをもっている.よっ てQ(√q1q2)における基本単数をεとするとN(ε) = +1である.(p) = P2となる素数は判別式 d=m=q1q2≡1 (mod 4)の約数のみだから,(q1) =Q12

, (q2) =Q22のみである.よってJ=Jを みたす原始イデアルはQ1,Q2,Q1Q2のみとなる.ここでQ1= (q1,√q1q2), Q2= (q2,√q1q2)であ る.(q1, q2) = 1よりxq1+yq2= 1をみたす有理整数(x, y)が存在するからx·q1√q1q2+y·q2√q1q2= (xq1+yq2)√q1q2=√q1q2であり,Q1Q2= (q1q2, q1√q1q2, q2√q1q2) = (q1q2,√q1q2) = (√q1q2) となる.よってQ1Q2が単項イデアルであるから,Q1,Q2のどちらも主類,またはQ1,Q2のど ちらも主類でない,のどちらかになる.N(ε) = +1だから(√q1q2)以外にJ=Jをみたす単項原 始イデアルが存在しなければならないので,Q1,Q2のどちらも主類,すなわち単項イデアルとな る.

注意 2.7.10. この場合,基本単数εがN(ε) = +1だからすべての単数ηに対してN(η) = +1で ある.Q1 = (κ1), Q2 = (κ2)とすると,N(κ1κ2) = −q1q2である.なぜならQ1Q2 = (κ1κ2) であり Q1Q2 = (√q1q2)だから,κ1κ2 = η√q1q2 となる.よってN(κ1κ2) = N(η√q1q2) = N(η)N(√q1q2) = N(√q1q2) = (√q1q2)(−√q1q2) =−q1q2となる.

N(Q1) = q1, (q1) = Q12

, Q1 = (κ1), N(κ1) = ±q1である.κ1 = x+y√q1q2 とおくと,

N(κ1) = (x+y√q1q2)(x−y√q1q2)より±q1 =x2−q1q2y2となる.これよりx2が素数q1の倍 数となるので,xもq1の倍数となり,x=x′q1とおく.すると±1 =q1x′2−q2y2となる.よって (q1x′2q−q2y2

2 ) = (q1qx′2

2 ) = (qq1

2)である.q1x′2−q2y2= +1のとき,(qq1

2) = (q1x′2q−q2y2

2 ) = (+1q

2) = 1 であり,q1x′2−q2y2=−1のとき,(qq1

2) = (q1x′2q−q2y2

2 ) = (−q1

2) = (−1)q22−1 =−1である.この両 方が同時に成り立つことはないから,q1x′2−q2y2=±1 の右辺の正負の一方に対してのみ解(x, y) をもつ.

例 2.7.11. Q(√

33)において,33≡1 (mod 4)だからd=m= 33より3と11はdの約数である.

(3) =Q12

, (11) =Q22とおく.単数ε= 23 + 4√

33であり,1 +ε= 24 + 4√

33 = 4(6 +√ 33)で ある.N(6 +√

33) = 36−33 = 3だからQ1= (6 +√

33)である.また, √33

6+√ 33 =

√33(6−√ 33)

3 =

6√ 33−33

3 = 2√

33−11よりN(−11 + 2√

33) = 121−132 =−11である.よってQ2= (−11 + 2√ 33) だから,Q1, Q2はともに単項イデアルである.

補題 2.7.12. q≡3 (mod 4)とするとQ(√

2q)においても,(2) =L2, (q) =Q2とするとき,L もQも単項イデアルである.

証明.

2qはq≡3 (mod 4)である素因子qを含んでいるから,Q(√

2q)における基本単数をεとすると N(ε) = 1である.ここで(p) =P2(P=P)である素数は(2) =L2, (q) =Q2のみである.よっ てJ=Jをみたす原始イデアルはL,Q,LQのみとなる.ここでL= (2,√

2q), Q = (q,√ 2q)だ から,LQ= (2q,2√

2q, q√

2q) = (2q,√

2q) = (√

2q)となる.よってLQが単項イデアルだから,

L,Qのどちらも主類,またはL,Qのどちらも主類でない,のどちらかになる.いま基本単数εが N(ε) = 1だから,J=JをみたしJ= (√

2q)でない原始単項イデアルが存在しなければならない.

よってL,Qのどちらも主類,すなわち単項イデアルである.

例2.7.13.Q(√

14)において2,7はdの約数である.(2) =L2, (7) =Q2とおく.単数ε= 15+4√ 14 であり,1 +ε= 16 + 4√

14 = 4(4 +√

14)である.N(4 +√

14) = 16−14 = 2だからL= (4 +√ 14) となる.また √14

4+√

14 =12√

14(4−√

14) = 2√

14−7 =−(7−2√

14)より,N(7 + 2√

14) =−7だ からQ= (7 + 2√

14)となる.よってL,Qのどちらも単項イデアルである.

補題 2.7.14. p≡1 (mod 4)とすると,Q(√p)における基本単数のノルムは−1である.

証明.

N(ε) = +1とすると,J̸= (√p)であり,J=Jをみたす単項原始イデアルが存在しなければならな い.いまm=p≡1 (mod 4)よりd=mだから,J=Jをみたす原始イデアルは(p) =P2(P=P) をみたすPのみである.P= (√

p)だから,上にあげた条件をみたす原始イデアルが存在しない.

よってN(ε) =−1となる.

例 2.7.15.

・Q(√

5)においてε=1+2√5, N(ε) =−1.

・Q(√

13)においてε= 3+√213, N(ε) =−1.

・Q(√

17)においてε= 4 +√

17, N(ε) =−1.

補題 2.7.16. p≡5 (mod 8)とすると,Q(√

2q)における基本単数のノルムは−1である.

証明.

N(ε) = +1とすると,J̸= (√

2p)であり,J=Jをみたす単項原始イデアルが存在しなければな らない.いまm = 2p ≡ 2 (mod 4)だからd = 4m = 8pである.よってJ = Jをみたす原始 イデアルはL,P,LP ( (2) = L2, (p) = P2) のみであり,L = (2,√

2p), P = (p,√

2p)である.

LP= (2p, p√ 2p,2√

2p) = (2p,√

2p) = (√

2p)より,LPが単項イデアルだから,L,Pのどちらも主 類,またはL,Pのどちらも主類でない,のどちらかになる.ここでL,P,LPのいずれかが(√

2p)以 外の単項イデアルでなければならないので,L,Pのどちらも主類である.よって2は単項イデアルの 平方となるから,L= (x+y√

2p)とおける.すると(2) =LL= (x+y√

2q)(x−y√

2q) = (x2−spy2) だから,x2−2py2=±2が有理整数解(x, y)をもたなければならない.よってx2= 2py2±2≡ ±2 (mod p)より,(±p2) = +1である.これはp≡5 (mod 8)のときに,(−p1) = (−1)p−12 = 1, (2p) =−1 だから(±p2) = (±p1)(2p) =−1となることに矛盾する.よってN(ε) =−1である.

例 2.7.17.

・Q(√

10)において,ε= 3 +√

10, N(ε) =−1.

・Q(√

26)において,ε= 5 +√

26, N(ε) =−1.

補題 2.7.18. p, p′は素数であり,p≡p′ ≡1 (mod 4), (pp′) = (pp′) =−1ならば,Q(√

pp′)の基 本単数のノルムは−1である.

証明.

N(ε) = +1とすると,J ̸= (√

pp′)であり,J = Jをみたす単項原始イデアルが存在しなければ ならない.m = pp′ ≡ 1 (mod 4)であり,d =m = pp′だからJ = Jをみたす原始イデアルは P,Q,PQ((p) =P2, (p′) =Q2)のみである.(p, p′) = 1だからxp+yp′= 1をみたすような(x, y) が存在するので,xp√

pp′+yp′√

pp′ =√

pp′となり,PQ= (pp′, p√ pp′, p′√

pp′) = (pp′,√ pp′) = (√

pp′)である.PQが単項イデアルだから,P,Qのどちらも主類,またはP,Qのどちらも主類で ない,のどちらかになる.ここでP,Q,PQのいずれかが(√

pp′)以外の単項イデアルでなければ ならないので,P,Qのどちらも主類であり,p, p′のどちらも単項イデアルの平方で表される.よっ て(p′) =Q2, Q= (x+y√

pp′)とおけ,(p′) =QQ= (x+y√

pp′)(x−y√

pp′) = (x2−y2pp′)で ある.よってx2−y2pp′=±p′が解(x, y)をもつから,x2=±p′+y2pp′≡ ±p′ (modp)となり,

(±pp′) = 1でなければならない.しかし(pp′) =−1だから(±pp′) = (±p1)(pp′) =−1であり,矛盾が 生じる.よってN(ε) =−1である.

例 2.7.19.

・Q(√

65)において,(135) = (35) = (53)(−1)5−12 ·3−12 = (53) = (23) =−1, ε= 8 +√

65, N(ε) =−1.

・Q(√

85)において,(17

5) = (25) =−1, ε= 9+√285, N(ε) =−1.

ドキュメント内 代数体における 0 でない平方数の和 (ページ 42-48)

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