(1 +x′′√
−2)(1−x′′√
−2) =y′3をみたさない.よって1 +x′′√
−2, 1−x′′√
−2は互いに素である.
Q(√
−2)はh= 1より主類のみなので,1 +x′′√
−2 = (a+b√
−2)3= (a3−6ab2) + (3a2b−2b3) とおける.a3−6ab2 = 1となるから,a= ±1である.a= 1のとき,b = 0となり,このとき x= 0, y= 2である.a=−1のとき,6b2= 2となり,これをみたす有理整数bは存在しない.
(ii)xが奇数のとき.
x+ 2√
−2−(x−2√
−2) = 4√
−2より,x+ 2√
−2とx−2√
−2の公約数に成り得る数は√
−2で ある.√
−2がx+ 2√
−2の約数とすると,x+ 2√
−2 =√
−2(t+u√
−2) =−2u+t√
−2より,x が奇数であることに反する.よってx+ 2√
−2とx−2√
−2は互いに素であり,それぞれが立方と なる.x+ 2√
−2 = (a+b√
−2)3= (a3−6ab2) + (3a2b−8b3)√
−2とおける.2 = 3a2b−8b3より b=±1または±2である.b= 1のとき,2 = 3a2−8となり,これをみたす有理整数aは存在し ない.b=−1のとき,−2 = 3a2−8となり,これをみたす有理整数aは存在しない.b= 2のと き,1 = 3a2−32となり,これをみたす有理整数aは存在しない.b=−2のとき,−1 = 3a2−32 となり,これをみたす有理整数aは存在しない.
よってx2+ 8 =y3の整数解はx2= 0, y3= 8のみである.
例 2.5.8. x2+ 13 =y3の整数解はx=±70, y= 17に限る.
証明.
まずx2+ 13 = (x+√
−13)(x−√
−13) =y3とする.(2) =P2, P= (2,1 +√
−13) (P=P)で あり,(x+√
−13)−(x−√
−13) = 2√
−13である.よって(2√
−13) =P2√
−13であり,Pと (√
−13)は素イデアルだから,(x+√
−13), (x−√
−13)の公約数に成り得るものはPk(√
−13)l(k= 0,1,2, l= 0,1)である.ある整数αに対して(x+√
−13) =Pk(√
−13)l·αとすると,その共役な 数(x−√
−5) =Pk(−√
−13)l·α=Pk(√
−13)l·(−1)lαである.よって(x+√
−13), (x−√
−13) はPと√
−13を同じ個数だけ因数にもつ.よって(x+√
−13)(x−√
−13) =y3をみたすために は2kおよび2lが3の倍数でなければいけないからk= 0かつl= 0である.
よって(x+√
−13), (x−√
−13)は単数以外に共通な因数をもたないから,それぞれが立方とな る.(x+√
−13) =J3とすると,Q(√
−13)の類数はh= 2だからJ2は単項イデアルである.よっ て(x+√
−13) =J3だから,J3が単項イデアルであるためにはJも単項イデアルでなければな らない.よってa, b∈Zに対してJ= (a+b√
−13)とおくと,(x+√
−13) = ((a+b√
−13)3) = ((a3−39ab2) + (3a2b−13b3)√
−13)となる.よって1 = 3a2b−13b3= (3a2−13b2)bよりb=±1 である.b = 1のとき,1 = 3a2−13より3a2 = 14 だからこれをみたす有理整数aは存在し ない.次にb = −1 のとき,1 = −3a2+ 13 より3a2 = 12 となる.よってa = ±2であり,
a2 −39ab2 = ±8∓78 = ∓70である.よってy3 = (∓70)2+ 13 = 4913 = 173 となるから,
x2+ 13 =y3の整数解はx2= 4900, y3= 4913に限る.
Mを法として互いに合同な整数の集合をMを法としての数の一類という.このように決めると 同じ数が異なる類に属することはない.
定理 2.6.1. Mを法とすると二次体Qの全ての整数はN(M)個の類に分かれる.
証明.
定理2.2.6よりM= [a, b+cω] (a >0, c >0, a > b≧0)とする.さらに定理2.3.8よりN(M) =ac である.ここでξ=x+yω (x, y∈Z)を任意の整数とし,y=qc+y0(q, y0∈Z, 0≦y0< c)と すると,
ξ−q(b+cω) =x+yω−q(b+cω)
=x+ (qc+y0)ω−q(b+cω)
= (x−qb) +y0ω
である.またx−qb=pa+x0 (p, x0∈Z, 0≦x0< a)とすると,
ξ− {pa+q(b+cω)}=ξ−q(b+cω)−pa
= (x−qb) +y0ω−(x−qb) +x0
=x0+y0ω
である.よってpa+q(b+cω)∈Mだから,ξ≡x0+y0ω (mod M) (0≦x0< a, 0≦y0< c)で ある.よって任意の整数ξはこの合同式の右辺にあるようなac個の整数のうちのいずれかと合同 である.
このようなac個の整数はMを法として互いに合同でない.なぜなら,0 ≦x0, x0′ < a, 0≦ y0, y0′< cに対してx0+y0ω≡x0′+y0′ω (mod M)と仮定する.すると(x0+y0ω)−(x0′+y0′ω) = (x0−x0′) + (y0−y0′)ωはMに含まれる.よってωの係数y0−y0′はcの倍数であり,|y0−y0′|< c だからy0=y0′である.よってx0−x0′がMに含まれる.Mに含まれる有理整数はaの倍数で あり,|x0−x0′|< aだからx0=x0′である.よってx0+y0ω=x0′+y0′となる.よって類の個 数はac= N(M)である.
Mを法としてのn= N(M)個の各類から,その代表として一つずつ整数α1, α2, . . . , αnを選び 出したとき,このn個の整数をMを法しての代表の一組(剰余系)という.
α≡β (modM)のとき,α=β+γ (γ∈M)だからα∈(β,M)であり,(α,M)⊂(β,M)で ある.また,β =α+γ′ (γ′ ∈M)だからβ ∈(α,M)であり,(β,M)⊂(α,M)である.よって α≡β (modM)ならば(α,M) = (β,M)である.
特に(α,M) = (1)であるときαの属する類を既約類といい,そのような類の個数をΦ(M)と 表す.
定理 2.6.2. (A,B) = (1)のとき,Φ(AB) = Φ(A)Φ(B)となる.
証明.
(A,B) = (1)だからAとBはα+β = 1となる整数α, βをそれぞれ含む.1 = α+β ∈(α, β) より(1)⊂(α, β)だから(α, β) = (1)である.よってイデアル(α, β)は任意の整数κを含むから,
αη+βξ=κをみたす整数η, ξが求められる.ここでαη1+βξ1=κ1とすると,κ≡κ1 (mod AB)が 成り立つときはξ≡ξ1 (modA)かつη≡η1 (modB)の場合に限る.なぜならκ≡κ1 (modAB) のとき,αη+βξ≡αη1+βξ1 (mod AB)だからα(η−η1) +β(ξ−ξ1)がABに含まれる.よっ
てα(η−η1) +β(ξ−ξ1)はBに含まれ,β(ξ−ξ1)⊂Bだから,α(η−η1)⊂Bである.また,
(1) = (α, β)⊂(α,B)より(1) = (α,B)である.よってB|α(η−η1)かつ(α,B) = (1)だから,
B |(η−η1)である.同様にしてA| (ξ−ξ1)だから,ξ ≡ξ1 (mod A)かつη ≡η1 (mod B)と なる.
するとABを法とする代表の一組の個数はN(AB)個であり,ξ, ηのそれぞれにAまたはBを 法としての代表の一組の値を与えた場合の整数αη+βξはN(A)N(B)個であるから,N(AB) = N(A)N(B)である.よってN(A)N(B)個の整数αη+βξがABを法としての代表の一組となる.
次にABを法としての既約類を得るために,これらの整数の中から(αη+βξ,AB)̸= (1)であるも のを除く.そのような整数はAまたはBのある素因数Pで割り切れる.よってP|(αη+βξ,AB) とする.このときP|ABであり,(A,B) = (1)だから,P|AまたはP|Bである.P|Aのとき,
α∈Aだから(α)⊂Aであり,(α)はAで割り切れる.よって(α)はPで割り切れる.このとき,
(α)⊂Pだから(αη)⊂Pとなり,P|(αη)となる.そしてP|(αη+βξ,AB)よりP|(αη+βξ) だから,P|(βξ)である.ここで(A, β) = (1)より(P, β) = (1)だから,P|(ξ)となる.P|Bの ときも同様にしてP|(η)となる.よって(αη+βξ,AB)̸= (1)であるものを除くためには,P|(ξ) またはP|(η)であるものを除けばよい.よってξとηのそれぞれにAまたはBを法としての既 約代表の一組の値を与えて得られる整数αη+βξがABを法としての既約代表の一組となる.よっ てその個数Φ(AB)はΦ(AB) = Φ(A)Φ(B)となる.
よってA,B,Cが二つずつ互いに素であるときはΦ(ABC) = Φ(A)Φ(B)Φ(C)である.因子の個 数がいくつであっても同様だからイデアルMを素因子に分解して,M=PaP1a1
P2a2· · · とする と,Φ(M) = Φ(Pa)Φ(P1a1
)Φ(P2a2
)· · · である.
定理 2.6.3. Φ(Pa) = N(P)a−N(P)a−1= N(P)a{1−N(P)1 }. 証明.
(i) (p) =PP, P̸=Pのとき.
N(P) =p, N(Pa) = N(P)a =paである.またPa=bQ(b∈Z)とすると,N(Pa) =b2N(Q)よ り,pa=b2N(Q)である.よってpは素数だからbはph(0≦h≦ a2)となる.Pa=phQ=PhPhQ であり,P̸=Pだからh= 0でなければならない.よってb=p0= 1だからPaは原始イデアル である.Paを標準的底数で表すとPa= [pa, r+ω]とおける.すると任意の整数ξは有理整数x0
に対してξ≡x0 (modPa) (0≦x0< pa)をみたすので,0,1,2, . . . , pa−1がPaを法としての代 表の一組である.Φ(Pa)を求めるために,これらの中からPで割り切れる数を除く.よってPに 含まれる数を除くが,そのような有理整数はpの倍数だから0, p,2p, . . . ,(pa−1−1)pを除けばよ い.よってΦ(Pa) =pa−(pa−1) = N(P)a−N(P)a−1となる.
(ii) (p) =Pのとき.
N(P) =p2であり,Pa = (pa) =pa[1, ω] = [pa, paω]である.よって任意の整数ξはPaを法とし てx+yω(0≦x < pa,0≦y < pa)と合同になり,このpa·pa個の整数がPaを法としての代表 の一組となる.これらの数からPで割り切れる数,すなわちPに含まれる数を除くと,そのよう な数はx, yがともにpで割り切れる数であり,その個数はpa−1·pa−1=p2(a−1)個である.よって Φ(Pa) =p2a−p2(a−1)= (p2)a−(p2)a−1= N(P)a−N(P)a−1である.
(iii) (p) =P2のとき.
N(P) =pである.P= [p, r+ω]は原始イデアルだから,(i)で述べたようにしてΦ(P) =p−1と なる.また,P2= (p) = [p, pω]より,P2を法とした代表の一組はx+yω(0≦x < p, 0≦y < p) のp2個である.ここからP= [p, r+ω]で割り切れる数を除くから,x+yω≡0 (modP)となる
x+yωを除く.ここでr+ω≡0 (modP)よりω≡ −r (mod P)だから,x−yr≡0 (modP)を みたすx, yについて考える.Pに含まれる有理整数はすべてpの倍数であるからx≡yr (mod p) である.x(0≦x < p)はpを法とする代表の一組であるからx≡yr (modp)をみたすxは一つ のyに対して一つになる.0≦y < pだからx≡yr (mod p)をみたす(x, y)はp個であり,Pに 含まれるようなx+yωはp個である.よってΦ(P2) =p2−pとなる.
次にP2mについて考える.まずP2m= (P2)m= (p)m= (pm) = [pm, pmω]であり,P2mを法 とした代表の一組はx+yω (0≦x < pm, 0≦y < pm)をみたすp2m個である.P2の場合と同様 にして,これらの数からx≡yr (modp)をみたす(x, y)で与えられる数を除く.まずyを固定し て,x≡yr (modp)をみたすx(0≦x < pm)を考える.0≦x′< pに対してx′≡yr (modp)を みたすx′を考えると,一つのyに対して一つのx′が対応する.よってx≡yr (modp)をみたすx はx=x′+ps(s∈Z)である.0≦x < pmだから0≦s < pm−1となり,一つのyに対してpm−1 個のxが対応することになる.よってx≡yr (modp)をみたす(x, y)の個数はpm·pm−1=p2m−1 個となり,Φ(P2m) =p2m−p2m−1= N(P)2m−N(P)2m−1である.
最後にP2m+1はP2m+1=P·P2m= [p, r+ω]·pm= [pm+1, pm(r+ω)]である.よってP2m+1 を法としての代表の一組はx+yω(0≦x < pm+1, 0≦y < pm)である.先と同様にしてこれらの 数からx≡yr (mod p)をみたす(x, y)で与えられる数を除くと,一つのyに対してpm個のxが 対応する.よってPに含まれるようなx+yω (0≦x < pm+1, 0≦y < pm)の個数はpm·pm個 である.よってΦ(P2m+1) =pm+1·pm−pm·pm=p2m+1−p2m= N(P)2m+1−N(P)2mである.
以上によりすべての場合においてΦ(Pa) = N(P)a−N(P)a−1 = N(P)a{1− N(P)1 } が成り立 つ.
定理 2.6.4. イデアルMを法としての既約類の個数は
Φ(M) = N(M) ∏
P|M
(1− 1 N(P)) である.
証明.
素イデアルPiに対してM=P1a1P2a2· · ·Pnanとする.すると Φ(M) = Φ(P1a1
)Φ(P2a2
)· · ·Φ(Pnan
)
= (
N(P1)a1{1− 1 N(P1)}
) (
N(P2)a2{1− 1 N(P2)}
)
· · · (
N(Pn)an{1− 1 N(Pn)}
)
= N(P1)a1N(P2)a2· · ·N(Pn)an{1− 1
N(P1)}{1− 1
N(P2)} · · · {1− 1 N(Pn)}
= N(P1a1
P2a2· · ·Pnan
) ∏
P|M
(1− 1 N(P))
= N(M) ∏
P|M
(1− 1 N(P)).
注意2.6.5. M= (a)が有理整数からなる単項イデアルであるとき,Φ(a)は有理整数における既約類
の個数ϕ(a)とは異なる.例えば(p) =Pであるとき,Φ(P) = N(P)(1−N(P)1 ) =p2(1−p12) =p2−1 であり,ϕ(p) =p−1である.
定理2.6.6. Mを法としての既約類の代表の一組をα1, α2, . . . , αn, n= Φ(M)とし,αをMと互 いに素である任意の整数とすると,αα1, αα2, . . . , ααn も既約代表の一組である.
証明.
(αi,M) = (1), (α,M) = (1)よりある整数β, β′, γ, γ′(γ, γ′∈M)に対してβαi+γ= 1, β′α+γ′ = 1 となる.
β′α·βαi+β′α·γ=β′α β′α·βαi+β′α·γ= 1−γ′ ββ′(ααi) +β′αγ+γ′= 1
であり,β′αγ+γ′ はMの元であるから,1 ∈(ααi,M)である.よって(1) ⊂(ααi,M)だから (ααi,M) = (1)である.
αi ̸≡αj (mod M)のときααi ̸≡ααj (modM)であれば,αα1, αα2, . . . , ααnは既約代表の一 組である.ααi≡ααj (mod M)とすると,ααi−ααj=α(αi−αj)はMに含まれ,α(αi−αj) はMで割り切れる.いま(α,M) = (1)だから(αi−αj)はMで割り切れ,αi−αjはMに含ま れるからαi≡αj (mod M)である.よって対偶が示せた.
よって
αα1·αα2· · ·ααn≡α1α2· · ·αn (mod M) αn(α1α2· · ·αn)≡α1α2· · ·αn (mod M)
である.(α1α2· · ·αn,M) = 1だからαn≡1 (modM)となる.これを次のようにまとめる.
定理 2.6.7. αがMと互いに素であるとき,
αΦ(M)≡1 (modM)
である.M = Pが素イデアルであるとき,N(P) = pf (f = 1または2)とすると,Φ(P) = N(P)(1−N(P)1 ) = N(P)−1 =pf−1だから,αpf−1≡1 (modM)である.
これが二次体Q(√
m)におけるFermatの定理である.
注意 2.6.8. 上記の場合にeをαe ≡ 1 (modM)をみたすαの最小正指数とすると,eをαの 位数という.αn ≡ 1 (modM)であるとき,n= qe+r (0 ≦r < e, q, r ∈ Z)とする.すると αn = (αe)q·αrであり,αn ≡1, αe≡1 (modM)だから,αr≡1 (modM)となる.このとき eの定義よりr= 0でなければならない.よってn=qeとなり,nはeの倍数である.また常に αΦ(M)≡1 (modM)だから,Φ(M)はeの倍数である.
例2.6.9. Q(√
11)において,α= 10+3√
11, M= (6)とする.α2= 199+60√
11≡1 (mod (6))よ り,e= 2である.定理2.4.5より,11≡3 (mod 4)だから(2) =P2である.さらに,d= 4·11 = 44 より3はdの約数ではなく,(44
3) = (113) = (23) =−1だから定理2.4.4より(3) =Qである.よっ て(6) =P2Qとなるから,Φ(6) = N(6)(1−N(P)1 )(1−N(Q)1 ) = 36(1−12)(1−19) = 16である.
確かにe= 2の倍数になっている.
補題 2.6.10. Φ(n) =ϕ(n)·ψ(n)とおくと,ψ(n) =n∏
p(1−χ(p)p ), χ(p) = (dp)である.
証明.
nの素因数を以下のような素数p, q, lの三種に分ける.
χ(p) = (dp) = 1, (p) =PP,χ(q) = (dq) =−1, (q) =Q,χ(l) = 0, (l) =L2, L=L.
n=∏ p·∏
q·∏ l=∏
PP·∏ Q·∏
L2だから Φ(n) = N(n)· ∏
M|n
( 1− 1
N(M) )
=n2∏
p
( 1− 1
N(P) ) (
1− 1 N(P)
) ∏
q
( 1− 1
N(Q) ) ∏
l
( 1− 1
N(L) )
=n2∏
p
( 1−1
p )2∏
q
( 1− 1
q2 ) ∏
l
( 1−1
l )
である.またn = ∏ pa∏
qb∏
lcとしたとき,有理整数においてのnの既約類の個数ϕ(n)は ϕ(n) =n∏
p(1−1p)∏
q(1−1q)∏
l(1−1l)である.よってΦ(n) =ϕ(n)·ψ(n)としたとき,χ(l) = 0 より∏
(1−χ(l)l ) =∏
(1−0) = 1だから,ϕ(n) =n∏
p(1−1p)∏
q(1 +1q) =n∏
p(1−χ(p)p )∏
q(1−
χ(q) q )∏
l(1−χ(l)l )となる.これを表しなおすと,ϕ(n) =n∏
p(1−χ(p)p )となる.
補題 2.6.11. 素のイデアルPを法とするn次の合同式
α0xn+α1xn−1+· · ·+αn≡0 (modP) (2.13) (α0, α1, . . . , αnは二次体Q(√
m)の整数であり,α0̸≡0 (modP))はn個よりも多くの相異なる 解をもたない.
証明.
f(x) =α0xn+α1xn−1+· · ·+αnとおく.(2.13)が解をもつとしたときに,x≡β (modP)を一つ の解とする.すなわちf(β)≡0 (modP)となる.ここで代数的恒等式f(x) = (x−β)f1(x) +f(β) において,f1(x)はα0xn−1を最高次の項とし,Q(√
m)の整数を係数とする多項式になる.よって f(x) = (x−β)f1(x) +f(β)≡(x−β)f1(x) (modP)だから,合同式(2.13)は(x−β)f1(x)≡0 (mod P)と同一の解をもつ.Pは素イデアルだから,この合同式は(x−β)またはf1(x)がPで 割り切れるときに限って成り立つ.よってx≡β (mod P)以外の(2.13)の解は(n−1)次の合同 式f1(x)≡0 (modP)の解でなければならない.よってこの問題が(n−1)次の多項式に関して成 り立つとするならば,n次の多項式に関しても成り立つ.
n= 1のとき,一次合同式α0x+α1≡0 (modP) (α0̸≡0 (modP))はただ一つの解を有する.
これは次の補題で示す.
補題 2.6.12. 一次合同式αx≡β (modM)は(α,M) = (1)であるときに,Mを法としてただ一 つの解をもつ.
証明.
(α,M) = (1)より,任意の数βがイデアル(α,M)に含まれる.よってαξ+µ=βをみたすようなイデ アル(α)に属するある数αξ(ξは整数)と,Mに属するある数µが存在する.よってαξ−β =−µ∈M だからαξ ≡β (mod M)となり,解x≡ξ (mod M)を得る.またαξ1 ≡β, αξ2≡β (mod M) とする.するとαξ1≡αξ2 (mod M)であり,(α,M) = (1)だからξ1≡ξ2 (mod M)となる.よっ てαx≡β (mod M)はMを法としてただ一つの解をもつことがわかる.
注意 2.6.13. (α,M) =Dならば,β ∈Dが合同式αx ≡β (modM)が解をもつための条件に なる.まず解γをもつとすると,αγ ≡β (mod M)である.このときあるMの元µに対して,
β =αγ+µであり,αγ, µはともにDの元であるからβ ∈Dである.またβ ∈Dであるとき β ∈(α,M)でもあるから,ある整数ξとMの元µに対してβ =αξ+µとなる.よってαξ≡β (mod M)であり,合同式αx≡β (mod M)が解をもつ.