水平平板上の自然・強制複合対流熱伝達
石 田 正 弘 * ・ 山 田 昭*
Combined N a t u r a l a n d F o r c e d C o n v e c t i v e H e a t T r a n s f e r o n a H o r i z o n t a l S u r f a c e
by
M a s a h i r o ISHIDA a n d T a k a s h i YAMADA
(Department o f Mechanical Engineering)
In a f o r c e d laminar c o n v e c t i o n f l o w o v e r a ho r I z o n t a l p l a t e , t h e r e a r e h e a t t r a n s f e r problems o f combined n a t u r a l and f o r c e d c o n v e c t i o n f l o w .
In t h i s r e p o r t , t h e e f f e c t s o f f o r c e d laminar c o n v e c t i o n f l o w i n a n a t u r a l t u r b u l e n t c o n v e c t i o n f l o w on a h o r i z o n t a l s u r f a c e o f a c o n s t a n t w a l l temperature i s e x p e r i m e n t a l y examined , and t h e average h e a t t r a n s f e r c o e f f i c i e n t o f combined c o n v e c t i o n f l o w i s a l s o compared with t h a t o f p u r e l y n a t u r a l t u r b u l e n t c o n v e c t i o n .
As a r e s u l t o f experiment , i t i s shown t h a t even i n t h e case o f p u r e l y n a t u r a l c o n v e c t i o n , t h e v a l u e o f average N u s s e l t number obtained i s about 6 5 p e r c e n t l a r g e r than t h e e m p i r i c a l v a l u e because o f a f l o w s e p a r a t i o n near t h e edge o f a h o r i z o n t a l s u r f a c e , and t h e r e l a t i o n between N u s s e l t number and Rayleigh number f o r combined c o n v e c t i o n f l o w c o n s t i t u t e s a c h a r a c t e r i s t i c f e a t u r e o f n a t u r a l laminar c o n v e c t i o n . Therefore i t becomes c l e a r t h a t t h e h e a t t r a n s f e r c o e f f i c i e n t o f combined c o n v e c t i o n f l o w with a f o r c e d laminar one i s n o t a l w a y s l a r g e r than t h a t o f p u r e l y n a t u r a l c o n v e c t i o n f l o w .
1.緒
官室E司F
加熱された水平平板上の自然対流熱伝達あるいは強 制対流熱伝達は対流熱伝達における最も基本的な問題 であり,これまでの多くは自然対流と強制対流をはっ きり区別して研究がなされてきた. しかし流速が遅い 低レイノルズ数の流れにおいては自然対流と強制対流 が混在するため,流動状態は複雑であり,そのような 複合対流熱伝達についての研究は少ない.森
1)次いで Sparrow と Minkowycz
2)は強制対流熱伝達について 自然対流流れの影響を考慮して流れを理論的に解析 し加熱された水平平板上面においては境界層内の流 れは浮力の影響により加速され,純強制対流として考 えるよりも熱伝達が大きくなることを示した.これら の研究はし、ずれも流れが層流状態にある複合熱伝達を 取扱ったものであって,強制対流に及ぼす自然対流の
*機械工学科
影響を付加的に考慮したにすぎ.ず,実際の問題として は乱流状態における複合熱伝達が重要となる.
本研究は自然対流乱流熱伝達に及ぼす強制対流の影 響を低レイノルズ数の場合について研究したもので,
水平流路底面の途中に設けられた等温伝熱平板上面に おける複合対流熱伝達について,平均熱伝達係数およ び流動状態を実験的に明らかにしている.
2 . 実験装置および実験方法
2 . 1 実験装置
実験装置の概要を Fig.l に示す.実験装置は三相
誘導電動機①により駆動される渦巻ポンプ②,整流タ
ンク③,閲水路④,測定部⑤および貯水タンク⑥より
なる回流型の装置である.測定部を構成する開水路は
巾 400mm ,高さ450mm の矩形断面を有する長さ 1 8 7 5
m m の水平流路である.また開水路の後端部には実験
時の水位を保つため高さ200mm の全幅セキがある.測
1100 800一 300
1950
1875
V5
@ ④
姻OO91
iii …
@ ii i
@ ii i
@ ii
禔wii③ ii
o 一
⑤
P250 200
辱&↓81
i
一、、hea七ed pla七e @ φ t
・隣一・一一・一
。一一・一・一・一・一・一・一・一一一一一一・一5亀
U
築
$P P 一 ,
§
⑥
Fig.1 Experimental apparatus
定部には伝熱平板があって,実験に際しては温度分布 測定用および主流温度測定用熱電対とこれらの微動調 整移動装置,流動状態観察用の染料注入装置を設置す る.開水路は厚さ10mmの透明アクリル板で製作して おり,側面より流動状態を観察できる.
断熱平板の構造をFig.2に示す.解熱平板前縁は流 路入口より1250mmのところにあり,伝熱平板表面は 流路底面と同一平面をなしている.伝熱平板は長さ 200mm,幅200mm,厚さ6mmの正方形銅板で,平 滑な平面板となっている.伝熱平板には平板表面温度
を測定するために素線径0.3mmの銅一コンスタンタ ソ(C−C)熱電対を伝熱平板表面より0.2mm程内側 に11対外端部より挿入しハンダで固定している.暑熱 平板下部に線径1mmの電熱線が同一ピッチで取付け てあり最大1.5kwの加熱器になりうる,なお,伝熱 平板周りからの漏洩防止のため伝熱平板と流路底板に 2mm程度のすきまを取り,そこへ耐熱性接着剤を圧
入した.
silicon adhesives 200
〇一 一
ring
heated plate一司一
Z
㌔
一I
凸員昌
一 一 一七hermocouple
L 270
①
●
③
467
①h・a七・dpla七・
⑦heater・。v・・
③h・a七e・b。X
④hea七ing w廿e
⑤po七七ery insula七in9七ub・
⑥七ub・。f七herm・c。uP1・
⑦0.5φc−cth・・瓢。。。。pエ。
Fig.2 Heated plate and its construction
2.2 実験方法
自然対流の実験では,整流タンクに導びかれている 水道管(50mmφ)の給水弁を開け突験水路の後端部に 設置している全幅セキの高さまで水を満たした後に給 水弁を閉じる.次に100Vの交流電源から電圧調整器 で実験電圧まで降圧して伝唱平板を加熱する.平熱平 板の表面温度と流体温度の平衡状態を確認するために それぞれの熱電対の起電力を高感度2ペン記録計に出 力させる.そして平衡状態を確認した後実験を開始す
る.この実験においては伝熱平板表面温度と伝熱平板 から十分遠方の流体の温度を測定する.
次に強制対流の実験では,貯水タンクに作動流体で ある水を充満した後に循環ポンプを駆動させて実験水 路に水を送り再び貯水タンクへ戻す.流速は全幅セキ を越えるセキの水頭から算定した.実験は自然対流の 実験と同様に高感度2ペソ記録計にて平衡確認を行な った後に開始する.この実験においては伝熱平板表面 温度,温度境界層内の温度分布および主流温度の測定 を行なう.また境界層内の流れを染料注入法によって 観察する.なお平衡状態になるまでに要する時間は実 験条件によって異なるが3〜4時間位である.
2.3 供給熱量の測定
耐熱平板を加熱する加熱器への供給用電力は100V の交流電源から電圧可変器で適当に降圧したものを用 いた.供給電力量が力率考慮の有無によって2%程度 の差違を生じたので,本実験においては力率を考慮:し た単相電力計(精度0.5級)にて測定した.電力量P から熱量Qsへの換算は次式による.
Q・=0.86P (kcal/h) (1)
2 4 伝熱面温度および流体温度の測定
伝三面温度は伝日面より0.2mm程内側に埋め込ん
でいる11対の。−c熱電対で測定した.Fig.3は200 mm伝三面の熱電対挿入位置を示したもので,11箇所 の測定値の算術平均温度を午熱面温度とした.伝出面 の温度分布の温度むらは±1.5%以内でほぼ均一であ
り,伝冷評温度一一・定の条件を満たしている.Fig.4は 流速5mm/secの場合の熱負荷に対する伝熱面の温度 分布を示したもので,熱負荷の増加によっても温度分 布の傾向は変わらない.従って温度むらの発生は熱電 対の挿入深度が僅か異なることによるものと考えられ
る.
伝熱平板上に発達する温度境界層の温度分布を測定 するために素線径50μのC−C熱電対プローブを試作 した.この熱電対の測温部を支持するとともに測温部 の乱れ発生を防止するために直径0.5mmの注射針を L字形に曲げてその先端部を厚さ約0.15mmにプレス している.また注射針の一端は直径4mmの支持管に ハンダ付けし,この支持管は微動調整ノギス(最小目 盛0.02mm)に固定されている. Fig.5(a)はこの熱電 対プローブを示している.境界層内の温度分布の測定 は流速が5,20,30mm/secに対して伝熱平板の前縁 より5,15,25,30,100および180mmのところの各点
200
9
押20
8 警一80一輸一80
¥ す 8
呂Q
Fig.3 Positions of thermocouples in the heated plate
1卜∠ワそ睾…課卿
.ト47一一一∠\謙卿と
2 3 4 5 6 7 5 9 t。 11(th・客眺8夢P1・)
Fig.4Wall temperature distribution of heated plate
にて垂直方向に伝熱面表面より2mmまでは0.2mm 間隔で,それ以上は適当な間隔で流体の主流温度と同 一になるまで移動しながら行なった.
流体の主流温度は素線径0.3mmのC−C熱電対を 七里面と水面とのほぼ中間に1対設置して測定した.
熱電対の起電力はすべてディジタル電圧計より読み とり,境界層内の温度分布測定に際しては自動平衡記 録計に記録させて温度変動を調べた.
(a) (b)
(a) Thermocouple(0.05φC−C)
(b) Colored water injection tube
Fig.5Measuring probes 2.5 伝熱平板上の流動状態の観察
境界層内の流動状態を染料注入法によって観察し た.染料注入法は一般に低速水流域での流れの可視化 に最も利用されているものである.染料注入用プロ ーブは直径4mmのニッケル管の一端に直径0.5mm の注射針を5本ハンダ付けしそれをL形に折曲げて10 mm程度の平行部をもうけたものであり,注入管挿入 による流れの場の乱れを防いだ.注入液は作動流体と 同一の比重でなけれぽならないので墨汁にアルコール を混合調整したものを使用した.注入液は直流電源に て作動される電磁ポンプおよび染料注入圧力制御弁を 介して流れに直角方向に噴出される.Fig.5(b)は染料 注入用プローブである.
Fig.6はこの染料注入法によって観察した伝熱平板
上の流動状態で,流速20mm/secの時の伝熱平板より
5,100および190mmのところのものである.(a)は伝
熱平板加熱前の流れの状態であり,(b)は伝熱平板加熱
後(t・=30。C)の流れの状態である. Fig.6(a)の観察結
果からも判るように,この流れのレイノルズ数は臨界
レイノルズ数よりも小さいので層流状態であり,平板
(5mm)
(5mm)
(100mm)
(a) Before heating
(100mm)
(b) After heating
撫・鰯
灘
(190mm)
(190mm)
Fig.6 Flow patterns
上のトレーサは平行流れを示している.一方,Fig.6
(b)で示すように伝熱平板加熱後は伝熱熱が大きくなる につれてトレーサの浮揚の度合が大きく,特に伝熱平 板後縁付近では完全に境界層内は乱れている.これは 平板加熱によって生じた浮力の影響によるものと考え
られる.
2.6 損失熱量の検定
損失熱量としては伝熱面の周辺から熱伝導によって アクリル底板へ失なわれる熱量,伝熱平板下側から自 然対流によって大気へ失なわれる熱量が主なものとし てあげられる.これら各々の損失熱量を推定すること はできるが誤差を伴うので下記の方法で検定を行ない 損失熱量を求めた.すなわち幽幽平板上面に伝熱平板 と同一の面積を持つ厚さ50mmの断熱材(200×200×
50)を密着させて断熱材周りが水あるいは大気で覆わ れている2種の場合について加熱器への供給熱量を測 定する.しかしこの供給熱量の全部が損失熱量ではな く,伝熱平板から熱伝導によって断熱材へ伝えられる 僅かな熱量を差引く必要がある.このため伝馬平板の 表面温度を伝熱平板に埋め込まれている11対の熱電対
の算術平均として求め,断熱材の表面温度を素線径 0.3mmのC−C熱電対を表面に設置し測定する.伝 熱平板から断熱材へ熱伝導によって伝達される熱量:
Qdは次式より計算される.
Q・一1(θ・一θ・・)・S(kca1/h)
(2)
ここでδは断熱材厚さ,kは断熱材の熱伝導率,θoは 伝熱平板表面温度,θ。oは断熱材表面温度およびSは 断熱材表面積である.従って損失熟量Q1は加熱器へ の供給熱量Qsから,熱伝導によって伝達される熱量 Qdを減じたものと定義される.すなわち
Ql=Qs−Qd (kcal/h) (3)
である.
Fig.7は損失熱量の検定曲線で,横軸に伝熱平板 表面温度と大気温度の差△θを取っている.白丸印は 断熱材周りが水で覆われている場合,黒丸印は大気で 覆われている場合をそれぞれ示している.いずれの場 合も実験点はほぼ同一の直線上にのっている.
Fig.8は実験状態における損失熱量を加熱器に供
給した供給熱量で除した値をパーセントで表わしたも
のであり,横軸には△θを取っている.この図から判 るように流速が零の状態から30mm/secにいたる実験 範囲内では損失熱量は供給熱量の7%から12%あり,
この量は熱伝達係数を算出するうえでかなりの影響を 与える.従って本実験においては損失熱量を考慮して
30
2
壱
と
σ 20
10
。Wσter
・Qir
■
o
●
熱伝達係数を求めた.
3.実験結果および考察
実験に用いた作動流体は一般に用いられている水道 水で,脱気されていない.実験は測定精度,伝前面に 空気泡が付着しないことおよび加熱部周辺の耐熱度等 を考慮して伝三面温度と主流温度の差を5,7,10,
12および15℃の5種変化させ,また流速は開水路の排 水能力および流動状態の安定性を考慮し5,12,20お よび30mm/secの4種を選び,また比較のため流速が 零の自然対流の場合についても実験を行なった。従っ てレイリー数の値では3.3×108から3.1×109となり 水平平板自然対流の遷移レイリーi数(2.0×10?)より 充分大きく乱流状態と考えられる.一方レイノルズ数
の値では7.2×103から4.3x104であって強制対流の 遷移レイノルズ数(3.2×105)以下の層流範囲にあ
る.
令
し
○
、
○ 0
Fig.7
15
10
5
5 10 15 2り
△θ( C)
Calibration curve of heat loss
▲
▽■ O
ΦΦ▽
▽番》
▽
U(㎜1s)
0 ▲
5 O
12 Φ
20▽
30■
、o
o
▲
3.1 平均熱伝達係数
平均熱伝達係数α,平均ヌセルト数Nuおよび平均 グラスホフ数Grをそれぞれ次式の如く定義する.
α=Q/」t・S (kcal/m2h℃) (4)
Nu=α・1/k (5)
Gr=ま9・β・∠t・13/レ2 (6)
ここでQは品詞平板からの正味伝熱量(・=Qs−Q1),
△tは伝熱表面温度と主流温度の差,Sは伝熱心面 積,kは熱伝導率, gは重力加速度,βは流体の膨脹 係数,1は伝熱平板の長さ,μは動粘性係数である.
実験結果のデータ処理にあたっての物性値は伝熱工学 資料編を引用して,膨脹係数は流体の主流温度での値 を採用し,他の物性値は伝熱平板表面温度と主流温度 の算術平均温度による値を用いた.
Fig.9は流速が零の上向き水平面に関する自然対 流の場合について得られた平均熱伝達係数の実測値を 平均ヌセルト数として縦軸に,レイリー数Ra=Gr・
Prを横軸にそれぞれ対数目盛で取り黒丸印で示し
た.
一般に自然対流の場合NuとRaの関係は次式で
表わされる.
0 10 20
30 △θ(oC)
Fig.8 Ratio of heat Ioss QI to heat supPly Q、
N。=C.R。1/・ (7)
本実験のRa数の範囲は前述した如く3.3×108か ら3.1×109でこれは乱流域に相当し,その場合同相 下部の実線で示すようにC=0.14,n=3なる値が普 通用いられている.一方黒丸印で示す実験点はC=
0.23,n=3なる直線上に存在し,普通に用いられて
いる値より約65%程大きくなっている.石黒ら3)に
よれば,伝手平板端近傍からすでに流れがはく離して
定常な境界層が存在しない場合には,.C凄0.20, n=
3なる値が得られることが報告されている.すなわち 普通に用いられているC=0.14の値は,伝熱平板端近 傍において定常な境界層が存在する場合に得られた値 であって,本実験および石黒らの実験のように等温壁 の場合には,平板端近傍の流れがはく離し乱れている
ために前者に比べかなり大きな値になると考えられ る.なお本実験において得られた値が石黒らの実験値 よ.りさらに15%程大きいのは作動流体を脱気してい ないため,微小気泡の掩乱効果が加わったことによる ものと考えられる.
Fig.10は流速が5,12および20mm/secの低レイ
2.6
長
8
2.4
2。2
2.0
8.5 9.0
9.5 bgRσ
Fig.9 Relation between Nu and Ra for the horizontal plate.(natural・conv6ction)
2.6
呈
9
2.4
2.2
2,0
U(mrn1S)
5 12 20
口
△
o
/
/
ア
/ 0 O ∠
/ ク
∠
グ
/
ヨ
謬』
膨£5
.…
i
8.5 90
95 10gRα Fig.10 Relation between Nu and Ra for the horizontal plate.(forced・convection)
2.0.
誉
1.5
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R。。273×104 @ (mm)
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8 Fセユ=7.87×108
卜◆rFb司94xld9
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・.・・: 1.∫∵ ∵弓≡な, .. to−to
F呈g.11 Dimensionless telnperature distribution in a thermal boun4ary layer
ノルズ数の場合について感熱面温度を種々変化させて 得られた平均熱伝達係数を示すもので, 縦軸にlog Nu,横軸にlog Raを取ってそれぞれ四角印,三角 印および丸印で示した.同図において破線はFig.9 の純自然対流の実験結果であり,右下の実線は(7)式に おいてC=0.54,n=4とおいた層流自然対流の一般 経験式から求まる値である.この流速範囲ではレイノ ルズ数Reが104程度で層流状態のはずであるにもか かわらず実験値のNu数はすべて破線で示す自然対 流の実験値の近くにあって純強制対流として理論的に 計算される値より著るしく大きい.これはすなわち本 実験のような低Re数の流れにおいては乱流自然対流 熱伝達が支配的であって強制対流熱伝達は付加的なも のと言える.しかし同門から判るように実験点のRa 数は乱流域にあるにもかかわらず(7)式のnの値が層流
自然対流の値と同じn=4であることは興味深いこと である.また低Re数の強制対流熱伝達では純自然対 流よりもNu数が低下することがあり,低Re数で は強制対流が必ずしも熱伝達を促進させないことが判 る.これは伝熱平板端近傍からすでに流れがはく離し ていた自然対流に強制対流を加えたことによって伝熱 平板前縁のはく離が抑えられ,三熱平板前縁のみなら ず伝熱面上全体において安定した温度境界層が形成さ れるためと考えられる.
3.2 温度境界層および流動状態
Fig.11は流速20mm/sec(Re=2.74×104)の場合 について伝熱平板前縁から5,100および180mmの二 丁において測定した境界層内の温度分布を示したもの で,横軸は無次元温度(t・一t)/(t・一t。。),縦軸は無次 元高さy/δtである.パラメータはRa数であって,
特にRa=1.94×109の場合についてはト←→なる符 号で時問的温度変動の範囲を示している.ここに用い た温度境界層厚さδむの値は次式に示す純強制対流層 流の理論式によるものである.
蓬一453〔1一(Xo/XI P,}6)%〕%/》U鴇凶(8)
ここでX1は非伝熱平板前縁からの距離, Prはプラ ントル数,U。。は主流速度である.また同図の実線は 純強制対流における境界層内の温度分布で,次の近似 式で表わされるものである.
論一÷(エδt)一÷(饒)3(9)
ここでt。は伝熱平板表面温度,t。◎は主流温度, yは 乱暴平板表面からの垂直高さである.同室から判るよ うに伝熱平板前縁近傍での実測値は純強制対流層流の 理論値にほぼ近く温度変動も小さい.しかしRa数が
大きくなると両者はややはずれる傾向にある.伝熱平 板の中央や後縁近傍においては純強制対流層流の理論 分布から大きくはずれ,時間的温度変動が増加して,
温度分布も純強制対流乱流の温度分布に似ている.
Fig.12は伝熱表面から0.2mmのところの温度変動 の大きさを示したものである.横軸は流速,縦軸は温 度振幅を取っている.パラメータはRa数で伝熱平板 前縁から5,100および200mmについて示している.
同図から判るように温度振幅は流速の増加に従って減 少する傾向にある.これは流速の増加によって境界層 内の温度乱れが抑制されるためと考えられる.従って Fig.10において示したように流速の増加による熱伝 達係数の増加は純強制対流として計算される熱伝達係 数の増加割合より小さい.またRa数一・定のもとでは Fig.11で述べた如く伝熱面が大きくなる程温度振幅 は大きい.さらにRa数の変化による温度振幅を比較 してみるとRaの大小に一致しており,伝熱平板表面 温度が高くなる程境界層内の温度変動は大きくなり,
不安定な温度境界層を形成することになる.
Fig.13は実測した温度境界層厚さδtのx方向変 化を示し,パラメータは流速および温度差である.こ こでは温度境界層厚さを熱電対プローブの示す温度が 主流温度と一致しかつ温度変動が感知されない伝熱平 板表面からの垂直高さと定義した.実線は(8)式で示し た純強制対流層流の温度境界層厚さの計算値である.
同図から判るように実験値は伝熱開始近傍では理論値 にほぼ近い局所Ra数が臨界値を越えるX≒20mmよ り下流では境界層厚さが急速に厚くなっており,理論 値よりかなり大きな値である.これは浮力および含有 微小気泡の掩乱効果によるものであろう.また実験値 は流速が大きくなる程理論値に近ずいている.これは
◎
1}
8
6
4
2
x R◎mm)
9
P]OX10
9R.14×105
●o
100
嗣 口200
▲ △『===三三圭ヨ
O
Fig.12
10 20 30 U(mm/S)
Magnitude of measured temprature
fluctuation
自然対流の影響が流速の増加によって減少することを 意味するものである.また流速一定でのRa数の変化 によるδtの値を比較してみると, Ra数の増加と共 にδtの値も大きくなっている.
宕
亀
UD40
20
ムヒ)
5
20 30
5
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▽
10
●
▽ 15
▼
8 一kユminαr Theory
●
▼ゴ
● 8 口
●
o o
▼
▽
= m S
U=20(mm s 0 o
▼
▽
U=30(mmls)