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1  植物ホルモン「オーキシン」の受容体がついに発見された

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Science & Technology Trends July 2005 5

 オーキシン (auxin) は植物の発芽、 分枝、 根の伸長、 開花などの多様な局面において重要な調節の役 割を果たしている植物ホルモンである。 オーキシンは植物ホルモンの中でも最も早く発見され、 すでに 発見されてから 70 年以上も経つにもかかわらず、オーキシンに対する受容体 (レセプター) は発見され ず、 オーキシンのシグナルの伝達経路解明のために、 レセプターの探索が続けられていた。 今回、 米国 インディアナ大学の Mark Estelle 氏らと英国ヨーク大学の Ottoline Leyser 氏らの 2 つの研究グルー プが、TIR1 と呼ばれるタンパク質がオーキシンの受容体であると結論して、それぞれ 5 月 26 日発刊の Nature 誌に発表した。 これらの研究で、 オーキシンは TIR1 に結合して、 多様な生理学的な応答を指 示するという示唆が得られた。 今回の研究成果により、 オーキシンの制御機構の解明が大きく前進する ものと期待される。

  ライフサイエンス分野  TOPICS Life Science

トピックス1

 植物ホルモン「オーキシン」の受容体がついに発見された

 オーキシン(auxin)は植物の発芽、分枝、根の 伸長、開花など多様な局面において重要な調節の 役割を果たしている植物ホルモンである。オーキ シンは植物ホルモンの中でも最も早く発見され、

すでに発見されてから 70 年以上も経つにもかかわ らず、オーキシンに対する受容体(レセプター)

は発見されず、オーキシンのシグナルの伝達経路解 明のために、レセプターの探索が続けられていた。

 今回、米国インディアナ大学の Mark Estelle 氏 らと英国ヨーク大学の Ottoline Leyser 氏らのそれ ぞれをリーダーとする2つの研究グループは、オ ーキシンが TIR1 と呼ばれるタンパク質と結合する ことを見出し、これがオーキシンの受容体である と結論して、5月 26 日発刊の Nature 誌

1)

に発表 した。

 オーキシンが、遺伝子の転写を抑制する因子で ある Aux/IAA タンパク質の分解を誘導すること で、オーキシンの作用に関連する遺伝子の発現の 調節をしていることは既に知られていた。また、

TIR1 は、細胞内で不要となったタンパク質を分解 する際のラベルとしてユビキチンを付加する役割 をもつ SCF と呼ばれるタンパク質複合体の構成要 素であり、近年の研究により、オーキシンが TIR1 と Aux/IAA の相互作用を促進することが示され ていた。

 今回の研究により、オーキシンは TIR1 に結合し

て TIR1 に構造変化を生じ、その結果、Aux/IAA と TIR1 とが複合体を形成することを促進し、これ により、オーキシンの作用発現に必要な一連の遺 伝子群を抑制していたタンパク質が分解され、こ れらの遺伝子が発現することが示唆された。

  さ ら に Estelle 氏 ら は、TIR1 と 同 様 に F-box  protein(植物、動物に存在し、分解する蛋白にユ ビキチンの目印をつける蛋白ファミリー)に属す る 3 つのタンパク質(AFB1、2、3)と TIR1 を全て 欠失した場合、植物の成長は厳しくダメージをう けることを明らかにし、Developmental Cell 誌に発 表するとのことである

2)

 これらの結果は TIR1 様の蛋白ファミリーは Aux/IAA 蛋白と共にオーキシンに対して多様な生 理学的な応答を指示することを示唆するものであ ろう。

 今回の研究成果により、オーキシンの制御機構 の解明が大きく前進するものと期待される。

参考:

1)Nature, vol.435, p441-445, p446-451(2005)

2)Science, vol. 308, p1240(2005)

味の素譁 都河 龍一郎 氏のご投稿より

参照

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