2019
年度修士論文昼光併用型色温度制御照明が 在室者の快適性に及ぼす影響
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 建築学域 博士前期課程
学修番号
18852543
山口友裕樹 指導教員 一ノ瀬雅之-0-
目次
1
序論 ... 51.1
はじめに ... 51.2
本研究の背景 ... 61.3
既往研究の評論 ... 101.3.1
照明研究のトレンド ... 101.3.2
昼光利用効果に関する既往研究 ... 111.3.3
色温度・照度の組み合わせとその光環境評価に関する既往研究 ... 121.3.4
照明の色温度が熱的快適性に与える影響に関する既往研究 ... 161.3.5
サーカディアン照明に関する既往研究 ... 181.3.6 WELL
認証に関して ... 241.4
本研究の課題及び目的 ... 251.5
本論文の構成と各章の概要 ... 261.6
参考文献 ... 272
実測手法 ... 312.1
本章の概要 ... 312.2
実測概要 ... 312.2.1
実測建物概要 ... 312.2.2
調査項目 ... 322.2.3
計測機器設置レイアウト ... 332.2.4
温熱環境計測_Sビル ... 352.2.5
光環境計測 ... 382.2.6
アンケート調査 ... 422.2.7
照明制御パターン ... 513
分析手法 ... 533.1
本章の概要 ... 533.2
温熱環境に対する分析 ... 53-1-
3.2.1
平均放射温度(MRT) ... 533.2.2
作用温度 ... 543.2.4
絶対湿度 ... 553.2.6
予測平均温冷感申告PMV
と予測不満足者率PPD ... 56
3.2.7
標準新有効温度SET* ... 57
3.2.8 Griffith
法による熱的中立温度 ... 573.3
光環境に対する分析 ... 583.3.1
輝度画像によるグレア評価 ... 583.3.2
在室者の視界要素抽出 ... 603.3.3
メラノピック等価照度(EML)とCircadian Stimulus (CS) ... 61
4
実測結果 ... 634.1
本章の概要 ... 634.2 S
ビル実測結果 ... 634.2.1
温熱環境計測 ... 634.2.2
光環境計測 ... 684.2.3
アンケート結果 ... 734.3 T
ビル実測結果 ... 744.3.1
温熱環境計測 ... 744.3.2
光環境計測 ... 774.3.3
アンケート結果 ... 794.3.4
自覚症状しらべ ... 855
快適性に関する考察 ... 915.1
本章の概要 ... 915.2
光環境に対する快適性 ... 925.2.1
光環境の満足度 ... 925.2.3
照明制御に対する要望 ... 945.2.5
光源の分光スペクトルによる評価 ... 965.2.7
グレア評価 ... 995.3
温熱感に対する快適性 ... 1015.3.1
温熱環境満足度に対する評価 ... 101-2-
5.3.3
従来の温冷感指標と照明制御との関係 ... 1025.4
生産性に対する評価と照明制御の関係 ... 1045.5
自覚症状に対する評価と照明制御の関係 ... 1066
総括 ... 109■謝辞
■付録
-3-
-4-
第 1 章
序論
-5-
1 序論
1.1
はじめに本研究は昼光併用時の調光調色照明制御がオフィスビル在室者の快適性に与える影響を 明らかにしようとする研究である。特に本研究では、今後のオフィス環境で実際に活用さ れる可能性が高い、自動制御ブラインドによる昼光利用や
PC
作業環境下でのLED
照明 の色温度制御が在室者に及ぼす影響を光環境・温熱環境・生産性・疲労感の観点から考察 する。色温度制御による在室者の視覚的・熱的快適性に対する評価をアンケート評価から 明らかにすることで、快適性の高い照明制御の在り方を考察していく。-6-
1.2
本研究の背景近年の日本は、少子高齢化による労働人口の減少で、今後の経済的優位性を保つのが困 難である。そのため、官民挙げて「働き方改革」に取り組むことで、一人ひとりが健康 で、効率よく、快適に働くことが重要であり、身体的・精神的・社会的面で働く環境、つ まりはオフィス環境を改善していく事が重要である。
その中で、建築物の評価機関である
GBCI(Green Building Certification Inc.)は、建物
の環境的な持続性を目指した評価にLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)という評価指標を持っているが、さらに同機関は環境的な持続性だけでなく、生
物的な持続性も今後大きな課題となると考え、2014年にアメリカのデロス・リビング社に より考案されたWELL
認証(WELL Building StandardTM)を加えた。WELL
認証は、空間 のデザイン・構築・運用に「人間の健康」という視点を加え、より良い居住環境の創造を 目指した評価システムである [1]。これは7カテゴリー(空気・水・食物・光・フィット ネス・快適性・こころ)に100
の評価項目に分けられており、評価項目はLEED
と同様 に必ず満足させる必要がある必須項目と,高い評価点を得るために取得する加点項目から 構成されている。塚田ら [2]は、既存の環境建築系認証システムとの評価項目や、評価ウ ェイトの違いをまとめた(Fig. 1.3.1-1)。LEEDの「健康・快適」の評価項目は24.1%に対
して、WELL認証は98%を占めていて、省エネルギー性より人の健康・快適感に重点を置
いていることがわかる。Fig. 1.3.1-1 Comparison of evaluation item weight between WELL certification and existing environmental building certification system
98%
45%
24%
28%
30%
2%
20%
4%
0%
9%
15%
39%
49%
32%
20%
33%
21%
23%
0%
0%
3%
6%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
WELL Certification Living Building Challenge LEED(BD+C) BREEAM(NC) CASBEE(NC)
Health/Comfortable
Duplicate items of Health / Comfortable and Energy / Resources Energy / Resources
Other Resilience
-7-
WELL
認証の光カテゴリーの中の必須評価項目の1
つに「サーカディアン照明デザイ ン」がある。これは、周波数および強度の高い光を人に照射することで人のメラトニン分 泌を抑制し覚醒状態をもたらし、逆に周波数および強度の低い光を照射することで、人の 生理的リズム(サーカディアンリズム)を調整する照明制御である。メラトニン分泌を促 進し、自然に休息の準備を得る事が出来、サーカディアンリズムを整える仕組みである。光に対する身体の反応は内因性光感受性網膜神経節細胞(ipRGC)である目の非像形成光受容体 によって促進されるため、従来の錐体・桿体細胞による照度ベースの指標だけではなく、
ipRGC
の分光比視感度を含めた、光源の分光スペクトル評価が必要である。また、公益財団法人日本生産性本部が発表する報告書 [3]には時間当たりの労働生産性
(= GDP/就業者数(または就業者数×労働時間))の国際比較(2018年版)では、日本は
OECD
加盟35
カ国中20
位、主要7
カ国でみると最下位であり、諸外国に比べて、日本 は労働生産性が低いと示した(Fig. 1.3.1-2)。Fig. 1.3.1-2 Per hour of OECD member countriesn Labor productivity (2017/36 countries compared)
労働生産性や健康が企業の利益にどの程度繋がるかは、NTT DATA経営研究所による 調査 [4]で次のように述べられている。健康に関連する企業のコストのうち、医療費など の直接費用は
15%程度であるのに対し、健康問題による出勤時の生産性低下(プレゼンテ
ィーズム)による損失が、先行する米国の研究では60%を占め、一方で日本においても 80%を占める。この調査から、労働生産性と健康が組織の経営コストに大きく関わること
を示した。したがって、これからの建築設計には、人の健康・快適面にフォーカスした設 計基準を意識することが、労働生産性・企業の利益の向上に繋がると考えられる。98 95 82
74 72 72 70 6968 68 65 62 62
60 58 5654 54 54
4844 43 42 42 42 40
37 37 36 36 35 35 34 32 28
21 54
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
Ireland 1 Luxembourg 2 Norway 3 Belgium 4 Denmark 5 US 6 Germany 7 Netherlands 8 Switzerland 9 France 10 Austria 11 Sweden 12 Iceland 13 Finland 14 Australia 15 Italy 16 Spain 17 Canada 18 British 19 Japan 20 Slovenia 21 New Zealand 22 Israel 23 Slovakia 24 Turkey 25 Czech 26 Lithuania 27 South Korea 28 Portugal 29 Estonia 30 Greece 31 Hungary 32 Poland 33 Latvia 34 Chile 35 Mexico 36 OECD average
Purchasing power parity equivalent US dollar
-8-
建物の省エネギーに関しては、2016年
4
月に施工された建築物省エネ法 [5]により、2000
㎡以上の建物では省エネ対策が義務化され、近年の省エネルギーに対する意識が高ま っている。ここでレンタブル比60%以上(熱源有)のテナントビルを対象にしたエネルギ
ー消費の用途別割合を示す(Fig. 1.3.1-3) [6]。照明エネルギーは21.3%を占め、これは熱源
機器(26%)に次いで2
番目に大きい割合であり、照明エネルギーの削減はオフィスビルの 省エネルギー効果に大きな影響を与えることができる。Fig. 1.3.1-3Energy Consumption Rate
金らの研究 [7]では、東京における建物のガラス面積率、ガラス建築の物件数を示して おり、ガラス建築の需要の増加を示した(Fig. 1.3.1-4)。調査方法は、概ねガラスで構成 された外壁面を
1
面以上持つ建物を、建築系雑誌や各社ホームページ(組織設計事務所10
社、総合建設会社7
社、不動産8
社、アトリエ系設計事務所その他4
社)の外観写真、図 面などを確認することで抽出し、対象物件の設計業務を行った会社の協力の基、竣工図面 による詳細調査を行ったうえで抽出した。「ガラス建築」はガラス面積率が43%以上の外
壁面を1
面以上有する建物と定義している。また矢野経済研究所の調査報告 [8]では海外 の板ガラス需要の推移を2030
年まで推定している(Fig. 1.3.1-5)。北米、欧州等の先進国 では市場が成熟化しており需要の伸びは鈍化すると推定されたが、東南アジア圏の新興国 の経済発展に伴って需要が大きく増加している。ガラスが建物ファサードに占める面積は 大きく、東南アジアのガラス需要に伴い、ガラス建築の増加も予想できる。Heat Source 31%
Heat Transfer Hot Water 12%
Supply 1%
Lighting 21%
Outlet 21%
Power 9%
Other
5%
-9-
Fig. 1.3.1-4 Cumulative transition in the number of glass building properties and glass area
Fig. 1.3.1-5 Forecast of flat glass demand in the global market
ガラス建築の増加に伴い、積極的な昼光利用による照明負荷の削減・眺望性の確保など の利点に注目が集まったが、一方でグレア発生や、日射の流出入による熱負荷の増加など のリスクが大きくなる。したがって、昼光利用を考慮する際は、執務者の視環境の確保と 照明・熱負荷エネルギーのバランスを意識することが重要である。したがって、昼光利用 を考慮した、照明制御および省エネルギー効果の追求が重要であると考えられる。
以上のことから、今後のガラス建築の増加に伴い、オフィス環境では屋外からの自然光 を利用することが必須となり、屋外自然光と人工照明の相互作用効果を考慮した照明制御 が重要である。したがって、昼光利用併用下で照明制御が視覚的応答や熱的快適性にどの ように影響するか調べることは、有益であると考えられる。
Glass Area[ten thousand㎡]
N=106
Numof Properties
Completion
Glass Area Num of Properties
0 500 1000 1500 2000 2500
2003 2008 2013 2018 2023 2030
Glass Area [million ㎡]
North American market Western European market Asia Pacific market (excluding Japan) Latin America Market Eastern European market Africa / Middle East Market
-10-
1.3
既往研究の評論1.3.1 照明研究のトレンド
1990
年代までのオフィス照明は、高い机上面照度や室内の均斉度を求めたもの、あるい は高効率器具・グレア制御など合理性を重視した照明が一般的であったが、1990年代以降 は、地球温暖化防止のために環境配慮を重視した省エネ設計が注目された。特にLED
照 明の普及や昼光利用を想定した調光制御は、オフィスビルの照明負荷を大きく削減する。また近年は
LED
照明の調色制御が普及しはじめ、個人の嗜好に対応した、あるいは執務 者の健康に配慮した照明設計が可能となりつつある。したがって今後の照明制御は、省エ ネルギー効果と人の快適感・知的生産性を両立した照明制御が求められる。過去数十年にわたって、屋内照明の設計を支配する最も重要な技術的パラメーターは、
作業面の照度であったが、ほぼすべての室内照明規格が水平面の照度レベルを推奨してい るため、エネルギー効率の高い建物への圧力が高まっている。典型的な照明制御は、照明 器具のほとんどの光束を直接作業面に向けることであり、これは実際には多くの事例があ る [9]。しかし、近年のオフィスは
PC
を使った作業が大きな割合を占めるため、ディス プレイからの光とガラス窓からの自然光の影響を含めた、人の視界に注目した評価が必要 である。机上面照度から、より人の視覚的な情報へとシフトするためには、執務者一人一 人の視線から見える輝度を評価することが重要である。従来の輝度測定は、デジタルカメラが無い時代には、現像した写真を微小濃度計を用い て濃度を測定するため大変な労力を要した。これが
1990
年代後半から、CCDを用いたカ メラを利用することにより、パソコンとデジタルカメラがあれば、安価で測定できるよう になったため、視覚情報を容易に輝度へ変換することが可能となった。また
2002
年に固有の感光性網膜神経節細胞(ipRGC-intrinsically photosensitiveretinal ganglion cell)の発見 [10]により、人の比視感度応答曲線による人の感じる明る
さを定量化した従来の指標は、光の分光スペクトルの違いによる人のメラトニン分泌が及 ぼす生物学・行動的影響を評価できない事がわかり、従来の桿体細胞および錐体細胞に加 えて、ipRGCを含むメラノプシンの光受容体の影響を照明設計へ適応していく必要があ る。-11-
1.3.2 昼光利用効果に関する既往研究
昼光利用を想定した環境では、ブラインド制御や照明の調光制御を組み合わせること で、照明エネルギー負荷の削減効果や執務者の眺望性確保による視覚面での効果が多くの 既往研究で示されている。しかし、過度な昼光利用は日射の流入による室内熱負荷の増加 及び窓面グレアによる執務者の快適性の欠如が懸念される。したがって、執務者の快適性 と省エネルギー性のバランスを検討することが昼光利用効果を最大限引き出すことに繋が ると考えられる。また昼光利用による効果として、高照度光を人体に照射することによっ て生体リズムを改善させるサーカディアン照明手法が近年は注目されている。久米らの研 究 [11]では、ブラインド制御によって昼光の総量をコントロ一ルし、生体リズムに対して 最適な照度変化を演出することによって、オフィス照明の省エネ化と知的生産性の向上の 両面を同時に実現することを調べた。単純作業成績は机上面照度
2500lx
及び1500lx
条件下で
750lx
よりも高い成績を示すことがわかった(Fig. 1.3.2-1)。しかしアミラーゼ分泌量の増加率から机上面照度
2500lx
ではストレス負荷が増すことかとから、単純作業状況 下では過剰照明になると示唆した(Fig. 1.3.2-2)。Fig. 1.3.2-1 Increase number of correct answers for addition test
Fig. 1.3.2-2 Increase rate of amylase secretion
-12-
1.3.3 色温度・照度の組み合わせとその光環境評価に関する既往研究
Kruithof [12]は照明の照度と相関色温度の組み合わせにより人が感じる快適感の指標を
グラフ(Fig. 1.3.1-1)に示し、照度と色温度パラメーターの快適な組み合わせと不快な組み 合わせの両方が説明されている。しかし、設定条件が不明確で、著者自身も正当性は20~30%と述べている。
Fig. 1.3.3-1 Kruithof Curve
No. 1
タイトルBright illumination reduces parietal EEG alpha activity during a sustained attention task
著者 Byoung-KyongMin Young-ChulJungbc1EosuKimcdJin YoungParkce 掲載
Brain Research Volume 1538, 13 November 2013, Pages 83-92
【内容】 VDT 作業において、背景の明るさ条件(150lx・700lx×3000K・7000K)が執務者に与 える影響を脳内のアルファ―波を計測し調査した。
●高照度(700lx)では持続的な注意作業中の反応時間が遅くなり、頭頂部のアルファ活動を 低下させた。
●700lx背景照明条件は、通常の注意処理と持続的注意作業中の参加者の注意をそらすに は明るすぎる可能性があると示す。
●150lx背景照明に対する刺激の輝度コントラスト(輝度:38.26 cd / m 2)は
1 / 1.25
で、700lx背景照明の輝度(輝度:169.9 cd / m 2)は1 / 5.56
-13- No. 2
タイトル Non-image forming effects of illuminance and correlated color temperature of office light on alertness, mood, and performance across cognitive domains 著者 Taotao Ru, Yvonne A.W.de Kort Karin C.H.J.Smolders Qingwei Chen,Guofu
Zhou
掲載
Building and Environment Volume 149, February 2019, Pages 253-263
【内容】
昼間の勤務時間中の主観的な覚醒、気分、異なる認知領域に対する多色光の 照度レベルとスペクトル構成の個々の組み合わせた効果を体系的に調査した
●高い照度レベルにさらされている間、持続的注意障害、聴覚反応抑制、および作業記憶 の観点からパフォーマンスが悪化した。
●17000 Kの光は
4000 K
または2900 K
よりも主観的な注意力とパフォーマンスを大幅 に改善した。(Fig. 1.3.3-2)●1000lxの光は明るい知覚され、100lxの光と比べて、ソフト・快適ではないと示された が、タスクパフォーマンスにおいて有効だと分かった。(Fig. 1.3.3-2)
●6500Kの光は
3000K
の光と比べて、ソフトで明るいと評価されたが、3000Kの光は主 観的気分の利益になると示された。(Fig. 1.3.3-2)Fig. 1.3.3-2 Subjective beliefs and preference of lighting in different experimental conditions.
-14- No. 3
タイトル
Bright light and mental fatigue: Effects on alertness, vitality, performance and physiological arousal
著者 Karin C.H.J.Smolders Yvonne A.W.de Kort
掲載
Journal of Environmental PsychologyVolume 39, September 2014, Pages 77- 91
【内容】 明るい光への暴露が精神的疲労・覚醒・活力・パフォーマンス・生理的覚醒に与 える影響を被験者実験から調査した。
●2つの前条件(疲労
vs
コントロール)での2
つの照度レベル(目の高さで200lx
対1000 lx、4000 K)の効果をテストした(昼光の寄与は無い)。
●200lxと比べて、1000lxで眠気の間隔が低くなり、活力が増加した。(Fig. 1.3.3-3)
●精神的疲労を感じている被験者のみ、自己申告による眠気に対する照明条件の有意な効 果が示された。(Fig. 1.3.3-3)
●日中に明るい光にさらされると、活力が長引くのか、それとも過剰暴露により精神的な 消耗につながるのかは不明と述べた。
Fig. 1.3.3-3 Development sleepiness (upper row) and vitality (lower row) over time in session in 200 lx (left) and 1000 lx (right) condition for fatigued vs. rested participants.
-15-
色温度と照度の組み合わせによる評価に関する研究は、Kruithof らの研究に始まり、多くの検 討が行われている。しかし、Kruithof らの研究は居住空間を対象にしているため、オフィス空間の 評価を追加で行う必要がある。
No. 1
の研究では VDT 作業時の光環境に関して評価を行っていて、700lx の照度で持続的に注意作業を行った場合、作業中の反応が鈍くなり、背景輝度コントラストが高いとパフォーマンス の悪化に繋がることを示した。No. 2の研究では 17000K の高色温度で主観的な注意力とタスク パフォーマンスの向上が見られ、反対に 3000K の低色温度の光環境では主観的気分の利益に 繋がると示された。また、No. 3の研究では 1000lx の高照度で活力が増加し、精神的に疲労を感 じている被験者には 200lx で眠気に対する有効な効果を示した。
複数の研究により、持続的注意、反応抑制、作業記憶など、異なる照度と色温度の組み 合わせが認知に及ぼす効果が明らかになった。それに加えて、いくつかの調査 [13]によ り、参加者は持続的注意障害、聴覚反応抑制、および作業記憶の観点から高い照度レベル にさらされている間、パフォーマンスがさらに悪化することが明らかになった。しかし、
実験室の条件下による評価のため、実際のオフィス環境を想定した評価が、今後の色温度 制御照明の導入に有益だと考える。また照明の影響を受ける人間の快適性要素の中には、
空間的な色の均一性、明るさレベル、色、まぶしさ、ちらつきなどがあるが、人間がどの ように光から影響を受けるか評価するには輝度による測定も考慮していく必要がある。
-16-
1.3.4 照明の色温度が熱的快適性に与える影響に関する既往研究
No. 4
タイトルInfluence of lighting colour temperature on indoor thermal perception: A strategy to save energy from the HVAC installations
著者 Iacopo Golasi, Ferdinando Salata, Emanuele de LietoVollaro, AntonioPeña-Garcí ローマサピエンツァ大学
掲載 Energy and Buildings
Volume 185, 15 February 2019, Pages 112-122
【内容】 照明色温度が 11,530 K、4000 K、1772 K(照度 500lx)の時に与える熱的快適性につい てアンケートによる主観評価から比較を行った。
●室温は
22℃前後で、30
分間読書をさせた。●(左図)11,530Kの場合、タスク前後で温熱感の
7
段階評価を(0)⇒(-1)に切り替えた割 合は26%
で、(+1)⇒(-1)及び(0)に切り替えた割合はそれぞれ7.5%と 11%となった。
4000K
の場合、(0)⇒(-1)と(+1)⇒(0)の割合は合計33.1%だが、(-1)⇒(0)への増加も 22.2%
となり、結果が緩和された。1772Kの場合
38.5%が評価を変えなかった。
●(右図)PMVと温熱感評価において両方とも(0)と回答した割合は、4000K(図
B)の
条件で
56%に対して、11,350K
の条件では40%となった。
Fig. 1.3.4-1
左図 冷(A)、中性(B)、温(C)光への暴露前後の熱知覚に関するインタビュー対象者の票の比較 右図 予測平均投票(PMV)モデルに由来する値と、冷(A)、中性(B)、温(C)光での試験
-17- No. 5
タイトル Occupant response to different correlated colour temperatures of white LED lighting 著者 Jørn Toftum, Anders Thorseth, Jakob Markvart, Ásta Logadóttir
Technical University of Denmark 掲載 Building and Environment
Volume 143, 1 October 2018, Pages 258-268
【内容】 照明の相関色温度が熱環境や知覚に与える影響を定量化し、それによって得られる 冷暖房の省エネルギー効果を示した。
●照度は約
1000lx、相関色温度(CCT)、アンケートのタイミングは Fig. 1.3.4-2
のよう に行われた。室温は19℃・22℃・27℃の 3
パターン行われた。●室温が
22℃の快適域にあった場合で被験者は CCT
により温冷感が有意に働いた。●効果の大きさは、実験で適用された最小
2750K
と最大6200K
間の0.35
スケール単位の 平均温冷感の差に相当する。温冷感のこの違いは、代謝率(1.2met)、服の断熱(1clo)、風速(0.1 m / s)、28%の相対湿度の PMV
モデルを使用して、作用温度と同等の差に変換された。バークレーの熱的快適性ツールを使用して計算を行い、21.2°Cで
2750 K
の
CCT
が22.9°C
で6200 K
のCCT
と同じ温冷感を引き起こすと示した。●CCTは熱中性に近い状態で温冷感に関連し、1.7°℃の等価温度差から、建物の総エネ ルギー使用量の約
8%が削減できると示した。
Fig. 1.3.4-2 CCT schemes used during the experiments.
No. 4・No. 5
の研究から室温が快適域にある場合、被験者の温冷感の申告に対して、照明の色温度は有意に働くことが示された。しかし、実験的な室内での評価だったため、昼光 利用の影響や
VDT
を含めた検討が不足していることが考えられる。-18-
1.3.5 サーカディアン照明に関する既往研究
No. 6
タイトル
Effect of Light on Human Circadian Physiology
著者
Jeanne F. Duffy, M.B.A., Ph.D.a,* and Charles A. Czeisler, Ph.D., M.D.b,c
掲載Sleep Med Clin. 2009 June ; 4(2)
【内容】
サーカディアンリズムに関する、光が人間の概日系に与える影響の研究結果を示 した。
●光に対する人間の概日系の強度依存的応答において、リセット応答とメラトニン抑制は 照度に非線形に関連しており、最小応答は
100
ルクス未満、飽和応答は約1,000
ルクス以 上である。((左)Fig. 1.3.5-1)●等しい光子密度の
460nm
と555nm
の単色光に対する応答を比較したところ、位相シフ トとメラトニン抑制が、555nmの光を受けた人よりも460nm
の光にさらされた人の方が 有意に大きいことがわかった。●光の位相応答曲線
露光のタイミングと位相シフトの量との関係は、位相応答曲線(PRC)を使用して提示さ れ((右)Fig. 1.3.5-2)、曲線は、縦軸の位相シフト量と横軸の光刺激のタイミング(一定の 刺激強度)をプロットすることで作成された。これは
6.5
時間明るい単一光に暴露した時 の位相応答曲線である。(左)Fig. 1.3.5-1 Phase shifts (panel A) and melatonin suppression (Panel B) in response to a 3-cycle 5- hour light stimulus in young adults.
(右)Fig. 1.3.5-2 Phase response curve to a single 6.5-hour episode of bright light in young adults.
-19- No. 7
タイトル
Measuring and using light in the melanopsin age
著者
Robert J. Lucas,1,Stuart Peirson,2, David M. Berson,3 Timothy M. Brown,1 Howard M. Cooper,4 Charles A. Czeisler,5 Mariana G Figueiro,6 Paul D.
Gamlin,7 Steven W. Lockley,5 John B. O’Hagan,8
掲載Published online 2013 Nov 25. doi: 10.1016/j.tins.2013.10.004
【内容】
サーカディアン及び神経行動調節のための光測定の手法に関する研究で、光に対 する ipRGC の応答の仕組みとそのスペクトル感度について示した。
●光の生物学的・行動的影響は、従来の桿体細胞および錐体細胞に加えて、固有の感光性 網膜神経節細胞(ipRGC)を含むメラノプシン光受容体の影響を受ける。
● ipRGCは網膜の外側から入力を受け取るため、錐体細胞で起こる信号と複合的な反応 をする。((左)Fig. 1.3.5-3)
●生物学的と行動的光応答は光色素のスペクトル効率と眼のスペクトル透過特性によって 明確なスペクトル感度が定義される。((右)Fig. 1.3.5-4)
(左)Fig. 1.3.5-3 A. Schematic of the relevant retinal circuitry in humans.
(右)Fig. 1.3.5-4 B.the melanopsin-driven phototransduction mechanism within the ipRGC itself, and remote photoreception in rods and cones
-20- No. 8
タイトル Circadian-Effective Light 著者 Lighting Research Center
掲載 https://www.lrc.rpi.edu/cscalculator/CircadianEffectiveLight.pdf , March 28,2019
【内容】 建築現場にサーカディアン光の効果を利用するために、人間の概日系スペクトル感度 を数学的に定義した。
●CLAは光受容体の概日系スペクトル感度を考慮した、単位面積当たりのスペクトル加重 フラックスの観点から測定されたスケールで、長い波長での
CL
A効率(式1・下)は ipRGC-
メラノプシンスペクトル感度のみでモデル化されるが、短い波長でのCL
A効率(式1・上)
は
ipRGC-メラノプシンと S
コーンの両方のスペクトル感度を反映する。Equation 1
●概日系に対する概日効果
CL
Aは夜間メラトニン抑制データのスペクトル感度を特徴付け る(Fig. 1.3.5-5)。夜間のメラトニン抑制率(%)は概日刺激(CS)の関係と同等であり、CLA=100
で約14%、CLA=1000
で約53%となる。
-21-
Fig. 1.3.5-5 plotted as a function of log10 (CLA)
●朝の時間(午前
8
時から正午まで)にCS = 0.15
以下の光を浴びる人と比較して、朝の時間中に
CS = 0.30
以上を受け取った労働者(図15a)は、より良い主観的な活力の感覚
(主観的活力スケール[SVS]、図
15b)を報告し、仕事中の眠気が少なくなった。
Fig. 1.3.5-6 Average illuminance at the occupants’ corneas in four different spaces, before and after intervention (CS; a) together with associated subjective measures of vitality (SVS; b) and sleepiness
(KSS; c).
-22- No. 9
タイトル Designing with Circadian Stimulus
著者 Mariana G. Figueiro
掲載 https://www.lrc.rpi.edu/resources/newsroom/LDA_CircadianStimulus_Oct2 016.pdf
【内容】
Lighitng Research Center は建築環境にサーカディアン照明を取り入れるための設 計手法を Circadian Stimulus(CS)という指標をベースに提案した。
●1日の早い時間に
0.3
以上のCS
に曝露し、サーカディアンシステムを刺激し、より良 い睡眠と改善された行動と気分を起こす。●夕方にも執務を行う場合は、照明システムを暗くするまたは、SPDを調整して
CS
の放 出を0.15
に抑えている。Fig. 1.3.5-7 Tunable luminaires can be programmed to deliver customized CS dosage schedules. As with the schedule shown in Figure 2, this schedule should be regarded as a specific example and not a
general prescription.
-23-
サーカディアンに関する
Lucas
ら研究(No. 7)は、錐体細胞・桿体細胞に続く3
つ目の細胞
ipRGC
の発見により、メラノプシンの存在が明らかになり、この細胞の感度スペクトルを示した。またそれぞれの分光感度に対して等価になる、等価メラノピックルクス
(EML)を提案し、非視覚的な光受容体が受ける要素を考慮した明るさ指標を示した。こ のメラノピックの分光感度を参考に、Lighting Research Center(No. 8)は人の概日刺激に どの程度作用するかという指標に
CA(Circadian Stimulas),CLA(Circadian Light)を提
案した。CLA,CSは概日系に対する光の影響を定量化し、覚醒、脳機能および注意レベル の増加など生理学的機能の活性化に対応する指標である。No. 6
の研究からは、サーカディアン照明は高照度光を人体に照射することで生体リズムの改善につながるが、長時間の照射や適切でないタイミングの照射は、執務者の疲労や サーカディアンリズムの望ましくない位相にシフトする可能性があることがわかる。した がって、No. 9より、オフィスでは覚醒状態から安静状態へのシフトが重要であることが 示されている。
しかし、実際に
EML
やCS
の値を安静状態の値まで低下させると、照明の暗さや色味 関して、より執務者の光環境の不満足率が上がり、即時のパフォーマンス低下につながる と考えられため、本研究では、実際のオフィスビルの執務者を対象にして、サーカディア ン照明制御を行い、視覚情報、熱的快適性、アンケート評価の相関関係を分析することに より、在室者の快適性の基準を明確にすることを目的とする。さらにサーカディアンの影 響が実際のオフィス運用の中で重要である場合、既存の照明設計と省エネ戦略を再考しエ ネルギー効率の高いサーカディアン照明を目指す必要がある。-24-
1.3.6 WELL認証に関して
WELL-Building-Standard
は2012
年に、健康と快適性に優れた建物を評価することを目的として、米国で開発された認証制度である。評価項目には
7
カテゴリー(空気・水・食 物・光・フィットネス・快適性・こころ)と、必須項目と加点項目に分けた100
の評価項 目が存在する。光に関する評価項目は下の表の11
項目である。照明のレベルや窓はサー カディアンリズムと呼応した設計がされており、生産性の向上と質の高い睡眠を提供する ことを目的としている。「サーカディアン照明」の項目では、午前中
4
時間以上でEML
が250
以上などの基準 を設けているが、安静状態の適切な基準、シフトのタイミングなどが不明確である。オフ ィスでは、執務者の覚醒状態が長時間続くと疲労やストレスの蓄積、睡眠障害などの悪影 響を及ぼしてしまうため、覚醒状態から安静状態へシフトできるような光の提供が重要で ある。実際にEML
が低い光を提供した場合、暗いといった光環境に対する不満率が上が るため、適切な下限値の設定が求める。光に関する評価項目(11)
必須 机上面の明るさ,サーカディアン照明,照明のグレア制御,
昼光のグレア制御
加点 机上面のグレア防止,照明の色,表面反射率,自動調光
照明,昼光利用,昼光モデリング,採光窓
-25-
1.4
本研究の課題及び目的健康評価・昼光利用・省エネへの重要性が注目されているため、昼光利用と色温度可変 照明制御を併用した際の視覚的評価や熱的快適性などの快適性を明らかにすることを目的 とする。したがって、以下に詳細な目的を示す。
(1) 昼光併用型の色温度制御照明が在室者の快適性に与える影響を把握
従来制御と色温度制御を比較することで得られたアンケート評価から、在室者の快適性 に与える影響を把握する。特に光環境の満足度や知的生産性、疲労感に及ぼす影響を把握 する。
(2) 色温度照明制御による熱的快適性の把握
アンケート評価による熱的快適性の評価から、異なる照明の色温度が実際の在室者に及 ぼす温冷感申告を生理的に中立な温度に変換し、色温度が温冷感に与える影響を把握す る。
(3) 昼光併用型の色温度制御照明の設計・制御基準を明らかにすること。
昼光併用時の色温度制御の明るさ感や色味に関するアンケート評価から、照明の照度・
色温度の適切な範囲を示し、設計・制御の基準を明らかにする。
(4) 異なる窓性能による昼光利用効果を明らかにすること。
執務者の視界の輝度画像を撮影しグレア評価を行い、適切な窓面性能を把握する。また 分光スペクトルを測定し、EMLや
CS
の概日効果への指標に変換することで、窓性能の違 いによるサーカディアン効果を明らかにする。-26-
1.5
本論文の構成と各章の概要本研究は、本文
6
章と附録によって構成されている。第
1
章では、研究の背景と既往研究、目的、本論文の構成を記す。第
2
章では、実測対象ビルの概要、計測機器の詳細・計測項目、アンケート調査手法・アンケート項目などの実測手法に関する概要を記す。
第
3
章では、本研究で用いる温熱環境・光環境の分析手法に関して記す。第
4
章では、実測で得られた温熱環境計測結果・光環境計測結果・アンケート結果など の調査結果を記す。第
5
章では、得られた結果をもとに、光環境に対する快適性、温熱環境に対する快適 性、知的生産性と照明制御の関係、自覚症状と照明制御の関係などの在室者の快適性に及 ぼす影響を考察した。第
6
章では、本研究の総括を記す。-27-
1.6
参考文献[1] Green Building Japan, https://www.gbj.or.jp/well/about_well/, 2019/09.
[2]
塚田 敏彦, “知的生産性向上に向けたWELLNESS
の動向~OUTPUTの分解による知的生産性恒等式の提案~,” 年報
NTT
ファシリティーズ総研レポートNo.
28, 2017/06.
[3]
公益財団法人日本生産性本部, “労働生産性の国際比較,” https://www.jpc-net.jp/intl_comparison/, 2018.
[4]
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所, “平成 27 年度健康寿命延伸産業創出推進事業,” https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2016fy/000251.pdf, H28/03.
[5]
国土交通省, “住宅・建築物に関する省エネ・省CO2
施策の動向2-5,” 2016/02.
[6]
一般財団法人省エネルギーセンター, “オフィスビルのエネルギー消費の特徴,”2019.
[7]
金 政秀, “ガラス建築群の将来予測モデルによるファサード熱性能に関する研究,” 日本建築学会環境系論文集 第
74
巻 第646
号,1283-1289, 2009/12.[8]
株式会社矢野経済研究所, “国内外のガラス市場の今後の需給動向等に関する調査報告書,” 経済産業省委託調査報告書, 2015.
[9] Qi Daia, Yingying Huang, Luoxi Hao, Yi Lina,b, Kaixuan Chenc,
“Spatial andspectral illumination design for energy-effcient circadian lighting,” Building and Environment, 146, Pages 216-225, 2018.
[10] M. T. David M. Beron,
“Phototransduction by Retinal Ganglion Cells That Setthe Circadian Clock,” Science, vol 295, 2002 .
[11]
川. 久米功人, “昼光利用サーカディアン照明が人体に及ぼす影響,” 空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集
H54,p2221-2224, 2006.
[12] A.A.Kruithof,
“Tubular Luminescenece Lamps for General illumination,”Philips Technical Review vol.6 No.3 p.65-73, 1941.
[13] Karin C.H.J.Smoldersab, Yvonne A.W.de Kortab,
“Bright light and metalfatigue: Effects on alertness, vitality, perfomance and physiological arousal,”
Journal of Environmetal Psycology Volume 39, Pages 77-91, 2014/09.
-28-
[14] Seo Yoon Kang, Nara Youn, Heakyung Cecilia Yoon,
“The self-regulatory powerof environmental lighting: The effect of illuminance and correlated color
temperature,” Building Environment Volume 62, Pages 30-41,
韓国国立研究財 団, 2019.[15] Jeanne F. Duffy, M.B.A., Ph.D.a, Charles A. Czeisler, Ph.D., M.D.,
“Effect ofLight on Human Circadian Physiology,” Sleep Med Clin: 4(2) Pages 165-177, 2009/01.
[16] Robert J. Lucas,Stuart Peirson, David M. Berson, Timothy M. Brown, Howard M.
Cooper, Charles A. Czeisler, Mariana G Figueiro, Paul D. Gamlin, Steven W.
Lockley, John B. O’Hagan,
“Measuromg and using light in the melanopsinage,” Published online , 2013/11/25.
[17] KyleKonisPh.D.,
“Field evaluation of the circadian stimulaus potential ofdaylight and non-daylit spaces in dementia care facilities,” Building and Environment Volume 135, Pages 112-123, 2018/03/01.
[18] Chiara Burattinia, Laura Piccardibc, Giuseppe Curciod, Fabio FerlazzoeAnna, Maria Gianninie, Fabio Bisegnaa,
“Cold LED lighting affects visial but notacoustic vigilance,” Building and Environment Volume 151, Pages 148-155, 2019/03/15.
[19] Taotao Ruabc Yvonne, A.W.de Kortb Karin, C.H.J.Smoldersb Qingwei Chena, Guofu Zhouac,
“Non-image forming effects of illumnance and correlated colortemperature of office light on alertness, mood, and perfomance across cognitive domains,” Building and Enviroment Volume 149, Pages 253-263, 2019/02.
[20] Thijs Kruisselbrinkab, Rajendra Dangolab, Alexander Rosemannab,
“Photometric mesurements of lighting quality: An overview,” Building and
Environment Volume 138, Pages 42-52, 2018/06/15.
[21] M. G. Figueiro,
“Desingning with Circadian Stimulus,” Lighting ResearchCenter, 2016.
[22] Lighting Research Center,
“Circadinan-Effective Light,” 28 3 2019. [オンライ ン]. Available: https://www.lrc.rpi.edu/cscalculator/CircadianEffectiveLight.pdf.[アクセス日: 17 10 2019].
-29-
-30-
第 2 章
実測手法
-31-
2 実測手法
2.1
本章の概要本章では、被験者実験を行ったオフィスビルの概要や光環境計測・温熱環境計測の測定 項目や調査項目、アンケート調査の手法、質問項目の概要、照明制御パターンについて示 す。
2.2
実測概要2.2.1 実測建物概要
実測を行った
S
ビルとT
ビルの建物概要をTable 2.2.1-1
に示す。Sビルは窓性能が単板 ガラス+ロールカーテンに対して、TビルはAFW+自動制御ブラインドで昼光利用が容
易となっている。Table 2.2.1-1
実測建物概要Building name S building T building
Country Singapore Japan
City Dover Kanagawa
Total floors 4F,B2 11F,B1
Typical floor area [㎡] 1,100 1,700
Ceiling height[m] 2.8 2.7
Direction of perimeter zone South and West South
Window type Float glass
+ Roll curtain AFW
+ Auto Blind
AC time 8:00-20:00 8:00-18:00
Set temperature [℃] 22 22,24,26
Survey period 2020/01/06-2020/01/9 2019/09-2019/12
Target floor 2F 4F
Survey target space area
[㎡] 1,100 163.8
Subjects
(male:female)[people] 29
(23:6) 100
(60:40)
Appearance of building
-32-
2.2.2 調査項目
表に測定項目の概要を示す。代表点計測の測定項目は空気温度、グローブ温度、相対湿 度、照度とし、24時間計測で、測定間隔は
1
分とした。加えて、上下温度分布計測や手動 計測、CO2計測、吹き出し空気温度計測を行った。手動計測の測定項目は、気流速度と し、各測定点で5
分間計測し、平均値を用いる事にした。Table 2.2.2-1
測定項目概要Variables
Points Height
from the floor [mm]
S building T building Reference
point
Air temperature [℃]
Globe temperature [℃]
Relative humidity [%]
Illuminance [lx]
8 6 1100
Manual measuremen
t
Wind velocity [m/s]
Spectrum data [μW/㎠]
Luminance image [-]
5 or 6 - 1200
Window
environment Vertical illuminance [lx]
Vertical solar radiation [W/m2] 1 1 -
Outdoor environment
Vertical illuminance [lx]
Vertical solar radiation [W/㎡]
Outdoor temperature [℃]
1 1 -
-33-
2.2.3 計測機器設置レイアウト
Fig. 2.2.3-1 S
ビル計測機器設置レイアウトFig. 2.2.3-1
に計測点設置レイアウトを示 す。代表点計測の測定点はインテリアゾーンとペリメータゾーンの温熱環境を漏れなく把 握し、在室者近くの温熱環境・光環境を計測するため均等にA∼H
の8
つのゾーンに配置 した。Fig. 2.2.3-1 S
ビル計測機器設置レイアウトReference point (temperature, humidity, globe temperature, illuminance) Vertical temperature distribution
CO2 concentration measurement point Air outlet measurement point
Manual measurement point (wind velosity)
Manual measurement point (llumincance image, vertical spectrum)
Light environmet around window (solar radiation, illuminance, window temp)
-34-
Figure 2.2.3-1, Figure 2.2.3-2
にT
ビルの平面図と機器設置レイアウトを示す。Tビルの 実測では網掛け部分の実測対象箇所を2つの部屋にカーテンで仕切り、提案制御と従来制 御として比較を行えるようにした。温熱環境計測は窓面から2,5m, 5m, 8m
の3
ヶ所でグ ローブ温度と空気温度を計測した。また提案制御を行う実験室では、窓面に日射計・照度 計・積分球を設置し、窓面光環境を計測した。Figure 2.2.3-1. T
ビル平面図Figure 2.2.3-2. T
ビル機器設置レイアウト-35-
2.2.4 温熱環境計測_Sビル
2.2.4.1 代表点計測
Table 2.2.4-1
に代表点計測の測定機器の詳細を、Fig. 2.2.4-1測定機器は各事例のパーテーションにクランプを用いて設置した。測定には
T&D
社のおんどとりとセンサーを用 いた。石川式の黒球に顕熱タイプの温度センサーを挿し込み、グローブ温度を計測した。Table 2.2.4-1
測定機器の詳細変数 機器名称 型番
代表点計測
空気温度[℃] おんどとり+空気湿度 センサー+照度センサ
ー
TR-74Ui+THA- 3151+ISA-3151 相対湿度[%]
照度[lx]
グローブ温度[℃] おんどとり TR-52i
グローブ球 石川式グローブ球
Fig. 2.2.4-1
各測定機器とセンサーの設置状況-36-
2.2.4.2 上下温度分布計測
Table 2.2.4-2
に上下温度分布の測定機器の詳細を、Fig. 2.2.4-2に上下温度分布の計測状況を示す。測定には塩ビ管を用いて作成したポールに
T
型熱電対を這わせて、T&D社の データロガーを用いて記録を行った。Table 2.2.4-2
測定機器の詳細変数 機器名称 型番
上下温度分布計測 空気温度[℃] 熱電対 熱電対タイプ T
データロガー MCR-4TC
Fig. 2.2.4-2
上下温度分布の設置状況と機器の詳細-37-
2.2.4.3 気流速度計測Table 2.2.4-3
に気流速度測定機器の詳細を、Fig. 2.2.4-3の計測状況を示す。気流速度の測定方向は下向きとした。
Table 2.2.4-3
測定機器の詳細変数 機器名称 型番
手動計測
風速[m/s] 熱線式風速計 testo 425 空気温度[℃] おんどとり+空気湿度
センサー+照度センサ ー
TR-74Ui+THA- 3151+ISA-3151 相対湿度[%]
照度[lx]
グローブ温度[℃] おんどとり TR-52i
グローブ球 石川式グローブ球
Fig. 2.2.4-3
気流速度の計測状況と機器の詳細-38-
2.2.5 光環境計測2.2.5.1 窓周り光環境計測
Table 2.2.5-1
に窓周り光環境計測の機器の詳細を示す。照度計と日射計を三脚に固定し、窓面に対して鉛直向きに測定を行った。
Table 2.2.5-1
測定機器の詳細変数 機器名称
窓周り光環境計測
鉛直面照度[lx] 室内照度計
鉛直面日射量[W/㎡] 室内日射計
窓表面温度[℃]
熱電対タイプ T 窓近傍温度[℃]
窓面熱流量[W/㎡] 熱流センサー
データロガー Thermic
2.2.5.2 屋外気象計測
Table 2.2.5-2
に屋外気象計測の機器の詳細を示す。Sビルの屋上に照度計と日射計を三脚に固定し、南向きに設置した。
Table 2.2.5-2
測定機器の詳細変数 機器名称
屋外気象計測
鉛直面照度[lx] 屋外照度計
鉛直面日射量[W/㎡] 屋外日射計
屋外気温[℃] 熱電対タイプ T
データロガー Thermic
-39-
2.2.5.3 分光スペクトル計測
Table 2.2.5-3
に分光スペクトルの機器の詳細と、Fig. 2.2.5-1に設置状況を示す。計測は測定点で、窓面に対して
0°(Window), 90°(Parallel), 180°(Away), 270°(Parallel)の 4
方向の向きで計測を行った。高さは着座時の視線の高さである1200mm
で計測した。Table 2.2.5-3
測定機器の詳細変数 機器名称 型番
分光スペクトル計測 スペクトルデータ[μw/㎡] 分光光度計 Lighting Passport Pro Standard
Fig. 2.2.5-1
分光光度計の設置状況と機器の詳細-40-
2.2.5.4 輝度計測Table 2.2.5-4
に輝度計測の機器の詳細と、Fig. 2.2.5-2に設置状況を示す。計測は窓面向きに行った。1回の計測でシャッタースピード8段階を変更して撮影を行う。
Table 2.2.5-4
測定機器の詳細変数 機器名称 型番
輝度計測 輝度[cd/㎡] CCD カメラ
Fig. 2.2.5-2CCD
カメラ設置状況-41-
2.2.5.5 視界要素計測Table 2.2.5-5
に視界要素の計測機器の詳細と、Fig. 2.2.5-3に設置状況を示す。計測はスマートフォン用のアプリケーションで遠隔操作行い、在室者の席で撮影を行う。
Table 2.2.5-5
測定機器の詳細変数 機器名称 型番
視界要素計測 - 360°カメラ RICOH THETA
Fig. 2.2.5-3 360°カメラの設置状況
-42-
2.2.6 アンケート調査
Table 2.2.6-1
にアンケート調査を行った際のスケジュールを示す。Sビルは、対象被験者が実際にオフィスで働く在室者であるため、10:00にアンケートを配布し、11:00、
15:00、オフィスを離れる時の 3
回で回答してもらった。Tビルでは対象被験者は募集により集めたため、10:00, 11:50, 13:00, 15:10, 16:30, 17:20の