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知的財産担保法制の最近の動向一知的財産の証券化を中心にして一

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(1)

知的財産担保法制の最近 の動向

27

説 〉

知的財産担保法 制の最近 の動 向

一 知 的 財 産 の 証 券 化 を 中 心 に して 一

中 島 正 寿

目 次

1.は じ め に 一 我 妻 民 法 学 の 視 点 を 契 機 と し て 一

2.知 的 財 産 の 射 程 一 知 的 資 産 、知 的 財 産 あ る い は 知 的 財 産 権 一

3.知 的 財 産 権 担 保 融 資 の 現 状 と問 題 点 4.知 的 財 産 権 の 証 券 化 ・流 動 化

4‑1序 説 一 債 権 の 流 動 化 と知 的 財 産 権 一 4‑2知 的 財 産 の 証 券 化 ・流 動 化

4‑2‑1知 的 財 産 の 証 券 化 ・流 動 化 の 受 け 皿 一一 一 一 一SPVの 設 立 と機 能 一

4‑2‑2知 的財 産 の証 券化 ・流 動化 の有 効性 (D証 券化 ・流 動化 一般 にわた る有 効 性 (2)知 的財産 にみ られ る証券 化 ・流 動 化 の

有効 性

(3>知 的財 産 の証 券 化 ・流動化 の諸 問 題 (4)各 種 法律 に も とつ くSPVの 諸 形 態 とそ

の問題 点 4‑3小

5.結 び にか えて

1,は じめ に 一 我妻 民 法 学 の 視 点 を 契 機 と して 一

我妻 博士 は、論 文 『近 代 法 にお け る債 権 の優越 的地 位 』 で金銭債 権 の社 会 的 機 能 が増大 す るにつれ て、新 しい法 律理 論 が債権 法 に多数 導 入 され た こ とを指

1?

摘 し、か か る債 権 の絶 対的 支配 力 が確 立 され る行 程 を 「財 産 の債権 化 」 現 象 で あ る として これ を詳 細 に論証 され た。 この行 程 にお いて は、近 代 法 の指 導 原 理 で あ る"取 引の安全"の 援護 の も とに、 金銭 債権 の証券 化 、 有価 証 券流 通 の安

2)

全 、 担 保 権 の独 立 等 が 是 認 され て きた と指 摘 して い る。

顧 み れ ぼ 、 博 士 の 論 じた よ う に、 金 融 資 本 の 優 位 の 上 に 金 銭 債 権 の絶 対 的 な 支 配 現 象 が み られ た が 、90年 代 は じ め の バ ブル 経 済 の 崩 壊 に よ っ て 、 現 在 、 わ が 国 は 金 融 シ ス テ ム 改 革 を余 儀 な くされ て い る。

そ こで は 、新 た に 「財 産 権 の 証 券 化 」の 現 象 が み られ 、"現 代 に お け る債 権 の

(2)

ZS

知的財産担保法制の最近の動向

地 位"は 主 役 か ら脇 役 に1歩 後 退 した 感 が あ る。 そ して 、 多 様 な 財 産 が 証 券 化 を通 じて"等 質 化"し つ つ あ る現 象 も、 財 産 権 にか か る新 た な潮 流 と して見 逃

3)

せ な い 事 実 で あ る。

知 的 財 産 の証 券 化 は そ の よ うな潮 流 の 一 環 と見 る こ とが で き る。 そ れ は 、 平 成14年11月 に公 布 され た 「知 的 財 産 基 本 法(以 下 、基 本 法)」 の制 定 に よ り確 実

に加 速 さ れ て い る。

す で に、 小 泉 総 理大 臣 は 同年2月 の施 政 方 針 演 説 で 研 究 活 動 や 創 造 活 動 の 成 果 を 、 知 的 財 産 と して 、 戦 略 的 に保 護 ・活 用 し、 わ が 国 産 業 の 国 際競 争 力 を 強 化 す る こ とを 国 家 の 目標 とす る。 この た め、 知 的 財 産 戦 略 会 議 を立 ち 上 げ 、

4)

必 要 な施 策 を 強 力 に推 進 す る」 との 表 明 を して お り、 これ を う けた 知 的 財 産 戦 略 会 議 」 で は、 同年 の7月 に 「知 的財 産 立 国 」 の 実 現 に 向 け た 具 体 的 な 改 革 工 程 を 示 す 知 的 財 産 戦 略 大 綱(以 下 、 大 綱)」 を ま とめ て い る。

大 綱 で は、2005年 度 まで を 目途 に、 政 府 が 知 的 財 産 にか か る制 度 改 革 を集 中 的 か っ 計 画 的 に実 施 す る こ とを提 言 す る一 方 、 大 綱 に盛 り込 まれ た 「知 的 財 産

ら ユ

戦 略 本 部 」 の設 置 と上 記 基 本 法 の制 定 につ い て提 言 して い る。 こ の よ う な経 緯 を へ て 制 定 され た基 本 法 の 立 法 趣 旨 は 、"知 的 創 造 ス パ イ ラル"と 呼 ぼ れ る産 業 活 陸 の ダ イ ナ ミズ ム を創 出 す る こ と、 す な わ ち 、 知 的 財 産 の 創 造 、 保 護 及 び 活 用 に か か る施 策 を 積 極 的 に推 進 す る こ とに よ っ て 、 わ が 国 の産 業 競 争 力 をつ け

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て い く こ とに あ る。

本 稿 で は、 これ らの施 策 の うち、 知 的 財 産 の"活 用"の 一 端 と 目 され る知 的 財 産 担 保 一 般 の 問題 につ い て と りあ げ た 。 質 権 等 を設 定 す る従 来 型 の 知 的 財 産 権 担 保 融 資 の概 況 につ い て ふ れ た後 、 知 的財 産 の 証 券 化 な い し流 動 化(以 下 、 知 的 財 産 の 証 券 化 ・流 動 化)に 関 す る問 題 を 中 心 に 、 そ の仕 組 み と有効 性 に つ い て考 察 す る。 す で に 、 欧 米 で は知 的財 産 を担 保 資 産 とす る証 券 化 ・流 動 化 取 引 が 音 楽 ・娯 楽 産 業 を 中心 に進 展 を みせ て お り、 近 年 わ が 国 で も、 新 しい 取 引 形 態 と して 注 目 され て い る と こ ろで あ る。 ま た 、 本 稿 は 知 的 財 産 の証 券 化 ・流 動 化 取 引 の み な らず 、 か か る動 向 の 背 景 に あ る債 権 の 流 動 化 に つ い て も術 鰍 し

これ との 関 連 性 も あ わせ て 若 干 の検 討 を加 え て み よ う とお も う。

(3)

知的財産担保法制 の最近の動 向

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2.知 的 財 産 の 射 程 一 知 的 資 産 、 知 的 財 産 あ る い は 知 的 財 産 権 一一

わ が 国 で は高 度 情 報 社 会 の 進 展 を反 映 し て 、 知 的 財 産 とい う と、 ま ず コ ン ピ ュ ー タ ・ソ フ トの こ とを想 起 す る人 が 多 い よ うで あ る。 また 、 それ は特 許 あ るい は著 作 権 の こ とで あ る と捉 え る向 き もあ る。 そ こで 、 知 的 財 産 の 定 義 及 び そ の 射 程 を こ こ に確 認 して お きた い。

知 的財 産 とい う とき、 第 一 義 的 に は 「知 的財 産 権 」 の こ とを指 す(狭 義 の 知 的 財 産)。 か か る場 合 、知 的 財 産 とは 「人 間 の 知 的 活 動 の 成 果 と営 業 上 の 標 識 を

包 摂 す る」財 産 の こ とを い う。つ ま り、"知 的 創 作 物"と"標 識"の こ と を指 し て い る。 この 双 方 に"無 形 的価 値"を 認 め て"権 利"を 付 与 した 法 体 系 の 総 称

を 、"知 的 財 産 権 法"な い し"知 的 財 産 法"と 呼 称 して い る。 した が っ て 、知 的 財 産 法 は"創 作 法"と"標 識 法"に 大 別 して説 明 され る の が 通 常 で あ り、 前 者

S)

の例 と して特 許 法 や 著 作 権 法 が 、後 者 の例 と して 商 標 法 が そ れ ぞ れ あ げ られ る。

な お 、この 用 語 を 使 用 す る以 前 は 、長 い 間 、知 的 財 産 の 法 的 性 格 に 着 目 した 「 体 財 産 」 な い し 「無 体 財 産 権 」 とい う用 語 が 支 配 的 で あ っ た が 、 現 在 で は あ ま

9)

り使 用 され て い な い 。

一 方 、1967年(昭 和42年)に ス ト ッ ク ホ ル ム で 採 択 され た 世 界 知 的 所 有 権 機 関 を 設 立 す る条 約 」2条8号 が 定 義 す る 「知 的 財 産 」 は広 範 囲 に わ た る規 定 とな っ て い る。 そ こで は 、 上 述 の よ うな"狭 義 の 知 的 財 産"に 加 え て 科 学 的 発 見 」 「不 正 競 争 に 対 す る保 護 に 関 す る権 利 」並 び に 「産 業 、学 術 、文 芸 ま た は

10}

美 術 の分 野 に お け る知 的 活 動 か ら生 ず る他 の す べ て の 権 利 」 を 列 挙 して い る。

した が っ て 、 こ こ に列 挙 され る知 的 財 産 は、 お よ そ人 の 知 的 活 動 の成 果 全 般 に わ た る こ とに な り、 ま た 、 そ の範 囲 は精 神 文 化 を尊 重 す る度 合 い に応 じ て 拡 大

]1)

し て い く も の と な ろ う(広 義 の 知 的 財 産)。 同 条 約 の 名 称 中 に あ る 「知 的 所 有 権 」 と い う用 語 はWorldIntellectualPropertyOrganization(=WIPO)の 上 記 公 定 訳 に か か る も の で あ り、 近 年 まで 一 般 的 に使 用 さ れ て い た が 、 当 該 条 約 の 定 義 に 照 ら す と、 知 的 所 有 権 」 よ り知 的 財 産 権 」 の 方 が 適 当 で あ る と い う

1Z)

見 解 が 主 張 され て お り、実 務 に お い て も定 着 を して きた と こ ろで あ る。因 み に 、 前 述 の大 綱 で は 「知 的 財 産 」、 「知 的 財 産 権 」 とい う用 語 に統 一 す る こ とを 謳 っ て い る。 ま た 、 異 論 の あ っ た 「工 業 所 有 権 」 とい う用 語 につ い て も権 利 の 性 質

(4)

30知 的財産担保法制の最近 の動向

13)

を 的 確 に表 す た め に 「産 業 財 産 権 」 とい う用 語 に変 更 す る こ とを提 言 して い る。

この"広 義 の 知 的 財 産"の 観 点 に 立 て ば、 不 正 競 争 防 止 法 が 保 護 す る 「営 業 秘 密(tradesecret)」 につ い て も その 射 程 内 に 入 っ て くる。 営 業 秘 密 とは 、秘 密 と して 管 理 され て い る製 品 の仕 様 や 顧 客 名 簿 、 販 売 マ ニ ュ アル 等 の"有 用 な

I4)

情 報'の こ とで あ り、 しか も公 然 と知 られ て い な い もの で あ る。 そ れ は また 知 的 財 産 権 と同 様 、無 形 的 価 値 を もつ"財 産"と 認 識 され て は い るが 、 これ に"権

15)

利"を 付与 して はいな いの で"広 義 の知 的財産"の 中 に位 置 づ け られ る。近年 、 営業秘 密 の法 的保 護 は現代 企業 経 営 にお いて重視 され て お りその意義 も一 般 に 認 識 されつ っ あ る こ とか ら、既 存 の知 的財産 権体 系(狭 義 の知 的財産)に 拘 泥

Z6)

す る こ とな く、 これ に い っ そ う配 慮 した 法 体 系 の構 築 が 望 まれ て い る。

ま た 、知 的 財 産 は 企 業 会 計 の 観 点 か ら も捉 え られ る 。財 務 諸 表 規 則 に拠 れ ば 、 企 業 の 資 産 は 、 「流 動 資 産(currentassets)」 、 「固 定 資 産(fixedasses)」

よ び 繰 延 資 産(deferredassets)」 に 分 類 さ れ る(第14条)。 同 規 則 は 上 記 固 定 資 産 に つ い て 、 さ ら に 有 形 固 定 資 産(intangiblefixedasses)」 と 「無 形 固 定 資 産(intangiblefixedassets)」 に 分 け 、 知 的 財 産 を 後 者 の 方 に 配 置 して い る(第27条)。 す な わ ち 、 同 規 則27条 は 営 業 権 や 借 地 権 等 と と も に 、 特 許 権 等 の 知 的 財 産 権 と ソ フ ト ウ ェ ア 、 お よ び"こ れ ら に 準 ず る 資 産"を 列 挙 して 無 形

IS}

固定 資 産 の範 囲 を上 記資産 に限定 した。 同条 は物権 、債 権 お よび知 的財産 権 が 渾然 と した規 定 とな って い るが、 著作権 につ いて は明記 してい ない。 著作権 に

ユの

つ い て は 同条 の"こ れ ら に準 ず る資 産"に 該 当 す る もの と解 され て お り、 そ の 結 果 、 知 的 財 産 権 の 大 半 が 射 程 に入 っ て くる。 この よ う に、 企 業 会 計 に お け る 知 的 財 産 関 連 の豹 程 に つ い て は"狭 義 の 知 的財 産"と ほ ぼ 同様 の範 囲 で 捉 え ら れ て い る。

な お 、 無 形 固 定 資 産 の うち 、 人 間 の 知 的 活 動 の成 果 に よ る もの を"知 的 資 産 (intelleCtUalaSSet)"と 呼 称 して 区別 す る場 合 が あ る。 そ れ は広 義 の 知 的 財 産 を 含 む の は もち ろ ん の こ と、 企 業 文 化 や 経 営 管 理 シ ス テ ム の よ うな 、 お よ そ 法

20)

律 に よる保護 が な い資産 まで範 疇 に入 る。

そ こで、 以上 の よ うな知 的財産 に関 す る概念 の広狭 につ い て整 理 す る と、 包 摂 す る関係 か ら順 に、 無形 固定 資産(端 的 に、無形 資産)〉 知 的資産 〉広 義 の 知 的財産 〉知 的財産 権(狭 義 の知 的財産)と い うこ とにな る。 それ ぞれ の境 界

(5)

知的財産担保法制の最近の動向

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は必 ず し も画 定 した も の で は な い が 、 次 章 以 降 の 問 題 を論 じ る上 で 、 上 述 の 知 的 資 産 とい う概 念 は 有 用 で あ る。 知 的 財 産 権 は担 保 に供 す る に して も、 あ る い は証 券 化 の ス キ ー ム に 仕 込 む に して も、 後 述 す る よ う に そ れ 自体 で は ほ とん ど の 場 合 活 用 す る こ とが で き な い 。 知 的 財 産 権 とそ の周 辺 の ドキ ュ メ ン ト、 あ る い は人 材(開 発 者)は 密 接 不 可 分 の 関 係 に あ り、 実 務 で は これ と一 体 で 活 用 す る の が 通 常 で あ る。か か る意 味 で は、知 的 財 産 権 と周 辺 の 無 形 資 産 を含 め る"知 的 資 産"と い う用 語 は 便 利 で あ る。 も っ と も、 こ う した場 合 も広 い 意 味 で"知 的 財 産"と 呼 称 す る用 法 もみ られ るか ら載 然 と使 用 す る必 要 は な い 。 ま た 、 一 般 に企 業 等 で 知 的 財 産 とい う場 合 は、 この 意 味 で 使 用 して い る こ とも 多 い 。

本 稿 は 、 以 上 の 検 討 を ふ ま え て 、 知 的 資 産 、 知 的 財 産 あ る い は 知 的 財 産 権 と い う用 語 を使 い、 次 章 以 下 で 当 該 財 産 の 担 保 に お け る動 向 を 辿 っ て い く。

3.知 的財 産権 担 保 融資 の現 状 と問 題 点

知 的財産 権 を担保 に とる制度 として は、特 許 法等 の知 的財 産権 諸 法 が 「質権 」 につ いて規 定 す るほか、判例 上認 め られ た 「譲 渡担 保 」 が一般 的 な担保 方 法 と して利用 され る。 ところが 、 知 的財 産権 の担保 融資 は その種類 、形 態 が 多岐 に わ た る こ とに加 え、対 象範 囲 の特定 、 当該財 産 の価 値評 価 ・担 保 手続 等 が 困難

2I}

で あ るため利用 しに くい との指 摘 が以前 か らな され てい た。

こ うした現状 を打開 す るた め、通 産省(当 時)は1995年 に財 団法 人 知 的財産 研 究所 に委 託 して 「知 的財産 権 担保 価値 評価 手 法研 究会 」 を設 置 し、 同 年10月

に報 告書 を発表 した。報 告 書 は、① 権利 としての確 実性 、② 製 品競 争 力 に対 す る知 的財 産 の貢 献性 、③ 製 品 の市場 性、 の3つ の観 点 か ら対象 知 的財産 権 の担 保 性 につ いて判定 を した後 、価値 評価 を推計 し、 当該財産 の価値 評価 を確 定 す

22)

る とい う提 案 を して い る。

報 告 書 は そ の後 の議 論 の 有 力 な素 材 とな っ た が 、 上 記 の 諸 問 題 は 現 在 も課 題 と して残 っ た ま ま で あ る。

そ こで 、 こ こ に あ らた め て 知 的 財 産 権 の もつ 法 的 性 格 につ い て確 認 す る と、

23)

以下 の問題 点が浮 か び上が っ て くる。まず 第1に 、知 的財 産 権 の無体 性 で あ る。

知 的財 産権 は動産 や不 動産 、 あ るい は有価 証 券 の よ うに客 観 的 に把握 され る財

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32

知的財産担保法制の最近の動向

産 で は な い 。 した が っ て 、 そ れ は 関 係 機 関 の書 類 上 で 認 識 す る ほ か は な く、 蝦

疵 事 由 も権 利者 自身 が定期 的 に調 査 す る必 要 が あ る。 第2に 、 法 的安定 性 に欠 け る こ とで あ る。知 的財産 権 は、 各根 拠法 に も とづ き一定 の要 件 を満 た した上 で 一定 の期 間 だ け存在 す る権 利 で あ る。 そ こで、 対象 知 的財産 権 の有効 期 間、

当該権 利 の発 生 ・存 続 に関 す る状 況 、第 三者 に よ る権 利侵 害行 為 の有無 等 を主

25)

要 な留 意 点 と して調 査 しな けれ ぼ な らな い。第3に 、処分 が 困難 な こ とで あ る。

知 的財 産権 の担保 は上 記 の よ うな煩項 な調査 をふ まえて担 保 手続 を とるに もか かわ らず 、担 保 処分 に至 った場合 に は当該流 通市 場 が存在 しな いた め換 価 が ス

2G}

ムー ス に い か な い 、 とい う事 情 が あ る。

これ らの 問 題 点 は、 次 章 で 取 り上 げ る知 的 財 産 の証 券 化 ・流 動 化 の 議 論 に つ い て も関 連 す る の で 重 要 で あ るが 、 そ れ は ま た物 権 一 般 と比 較 した 場 合 に相 対 的 に 指 摘 され る 内 容 で もあ る こ とに 注 意 す るべ きで あ る。 た しか に 、 特 許 法 や 著 作 権 法 は物 権 類 似 の 規 定 建 て とな っ て い るの で 、 そ の よ うな観 点 か ら知 的 財 産 権 担 保 の 有 効 性 を論 じ る こ とは一 定 の 根 拠 を もつ 。 しか し、 こ の ア プ ロ ー チ だ け に と らわ れ る と、 知 的 財 産 権 担 保 に関 す る問 題 の 本 質 を 見 失 い か ね な い と

お も わ れ る。

こ う した 点 に つ い て 、 中舎 寛 樹 教 授 は知 的 財 産 権 担 保 の 問 題 を以 下 の よ う に 考 察 され て い る。 知 的 財 産 を担 保 に と る場 合 、 ① 知 的 財 産 権 の 占有 不 可 能 性 と 利 用 の 非 排 他 性 、 ② 知 的 財 産 の 非 特 定 性 と非 固 定 性 、 ③ 知 的 財 産 の もつ 属 人 的 性 質 、 の三 点 に つ い て 留 意 す る必 要 が あ るが 、 知 的 財 産 に物 権 的 保 護 を与 え る

27)

か ど うか は そ の性 質 上 の 問題 で は な く、"政 策 上 の 問 題"で あ る と指 摘 され る。

そ して 、 上 記 の項 目 さ え克 服 で きれ ば 知 的 財 産 担 保 は 可 能 で あ り、 当該 担 保 の 問題 と知 的 財 産 の 保 護 の 問 題 とは別 個 に考 え るべ きで あ る と主 張 され る。 さ ら に、 教 授 は そ う した 点 か ら知 的 財 産 権 自体 に っ い て も物 権 的 ア プ ロ ー チ か らだ け で は な く、 財 産 の 特 性 に対 応 した権 利 形 態 が 追 究 す るべ き で あ る、 と洞 察 さ

28)

れ て い る。

中舎教 授 が主 張 され る ように、 知 的財産 権担 保 の問題 を知 的財産 権 の権 利性 か ら帰納 的 に結 論づ け るので はな くその難 点 の克服 に視 点 を置 くこ と、 さ らに は知 的財 産 の特 性 に応 じた権 利形 態 を演 繹 的 に構 想 す る とい う発想 はた しか に 興 味深 い。 ここに教 授 は物権 ・債 権 の峻別 を相対化 した視 点 か ら考 え る必 要性

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知的財産担保法制の最近 の動向

33

を主 張 して お り、従 来 の物権 ・債 権 二分 論 の意 義 と射 程 につ いて活発 に議 論 が

29)

な され て い る民 法 学 の 現 状 と併 せ て考 えれ ば、 こ う した 方 向性 も模 索 さ れ て よ い とお もわ れ る。

一 方、 知 的財 産 権 担 保 融 資 の 実 務 に 目 を移 す と、 知 的財 産 権 担 保 に対 す る需 要 は高 い反 面 、 実 際 の と ころ は あ ま り利 用 され て い な い よ うで あ る。 仮 に これ を利 用 した と して も、"主 担 保"で は な く、"添 え担 保"と して 設 定 され る こ と が 多 い とい う。 あ るア ン ケ ー ト報 告 に よれ ば、 知 的 財 産 権 につ い て も、 不 動 産

と とも に担 保 取 得 が で き る よ うに工 場 抵 当 権 も し くは 財 団 抵 当権 に 準 じた 制 度 を新 た に創 設 す べ き か とい う質 問 に対 し、 金 融 機 関 は これ に あ ま り肯 定 的 で は な い との 回 答 結 果 を み て い る。 そ の 理 由 と して 、 知 的 財 産 権 の 流 動 化 手 法 が 整 備 され て な い こ と、 知 的 財 産 権 との̲̲̲.体化 は望 ま し くな い こ と、 等 を主 た る理

30)

由 と して い る。 こ の点 を み て も、 実 務 に お け る担 保 対 象 と して の 知 的 財 産 権 の 地 位 が 、他 の 不 動 産 等 の財 産 と比 較 す る と依 然 と して低 い こ とは 明 らか で あ る。

な お 、 近 年 、 政 府 が 資 本 金 全 額 を出 資 した 「日本 政 策 投 資 銀 行 」 の 設 立 を み て お り、 積 極 的 に 知 的 財 産 権 担 保 融 資 に取 り組 ん で い る。 今 後 、 そ の 動 向 は注

3l)

目 さ れ る と こ ろ で あ る 。

4.知 的 財 産 権 の 証 券 化 ・流 動 化

4‑1序 説 一 債 権 の 流 動 化 と知 的 財 産 権 一

1996年ll月 、 橋 本 総 理 大 臣(当 時)の 指 示 に よ っ て わ が 国 の 金 融 シ ス テ ム改 革 が 開 始 され た 。い わ ゆ る"日 本 版 金 融 ビ ッ グバ ン"と い わ れ る一 連 の 改 革 は、

わ が 国 の 金 融 ・資 本 市 場 の仕 組 み を法 制 の 整 備 を含 め て 抜 本 的 に 変 え よ う とす

32)

る試 み で あ っ た 。 そ の 背 景 に はITの 発 展 に と も な う金 融 実 務 の 急 激 な 変 化 が あ り、 これ に呼 応 した 立 法 な い し各 種 法 律 の 改 正 も頻 繁 に行 わ れ て い る。 と りわ け"債 権 の 流 動 化"は わ が 国 の 経 済 再 生 の..と 目 さ れ る重 要 な施 策 の1つ

33)

あ り、 金銭債 権 、不 動産 に続 く流 動 化 の対象 資産 として知 的財 産 が近 年 急速 に

34}

注 目 を集 め て い る と こ ろで もあ る。

そ こで 、 本 節 で は、 か か る債 権 流 動 化 の 潮 流 の 一 端 で あ る知 的財 産 の 証 券 化 お よ び流 動 化 につ い て これ を支 援 す る とみ られ る い くつ か の法 制 に 限 り概 観 を

(8)

34

知的財産担保法制 の最近の動向

して お き た い 。 な お、 金 融 ・資 本 市 場 分 野 に お い て は ビ ッ グバ ン に よ っ て 新 し い 私 法 上 の ル ー一ル が 導 入 され て い るが 、 これ を 神 田 秀 樹 教 授 の分 類 に従 っ て3

35}

っ に 大 別 し、 主 要 な 関 連 法 制 につ い て 説 明 して い く。

第1に 、"金 融 ・資 本 市 場 分 野 を 含 む 一 般 的 な ル ー ル"で あ る。1998年 に施 行 さ れ た 債 権 譲 渡 の 対 抗 要 件 に 関 す る民 法 の特 例 等 に 関 す る法 律(以 下 、 債 権 譲 渡 特 例 法)」 は そ の 代 表 的 な ル..̲.ルで あ る。同 法 は法 人 が 有 す る金 銭 債 権 を譲 渡 す る場 合 、 法 務 局 に備 え られ て い る債 権 譲 渡 登 記 フ ァイ ル 上 に 当該 債 権 譲 渡

3fi)

の登記 を行 うこ とに よって第 三者 対抗 要件 を具備 で き る旨、規 定 して い る。 近 年 、企 業 や 金融機 関 は多数 の債権(売 掛債 権 や立替 金債 権 等)を 包 括 的 に譲 渡 す る こ とに よって資 金調 達 を図 って お り、従来 の対抗要 件具 備 の手続(民 法467 条)で は個 々 の債権 につ き債 務者 に対 して確 定 日付 あ る通 知 をす るか 、 あ るい は債 務 者 の 承 諾 を得 な くて はな らな い ので 実 務 上 煩 雑 で あ る と指 摘 され て い

37)

た 。 同 法 は こ う した"対 抗 要 件 制 度 の 簡 素 化"の 要 請 に こた え る もの で あ り、

現 時 点 で は譲 渡 人 を"法 人"に 限 定 して い る もの の 、 当 該 登 記 の 方 法 は債 権 の

38)

流 動 化 を促 進 す る うえ で 有 効 で あ る。 これ を知 的 財 産 権 につ い て み れ ば、 映 画 や 音 楽 の ロ イ ヤ ル テ ィ債 権 の 譲 渡 の ケ ー ス が 考 え られ る。 一 般 に 、 著 作 権 に 関 して い え ば 、 著 作 者 人 格 権 の 問 題 は残 る に して も著 作 財 産 権 は"支 分 権 の 束"

で あ り個 々 に 利 用 許 諾 契 約 を設 定 す る こ とが で き るか ら、 これ ら に も とつ く債 権 を包 括 的 に譲 渡 す る方 途 を 当 該 債 権 譲 渡 の 登 記 の 方 法 に よ り可 能 に した 、 と み る こ と もで き る。 も っ と も、 次 節 で の べ る よ う に企 業 等 に お い て は 直 接 金 融

に よ る資 金 調 達 を積 極 的 に 模 索 す る動 きが み られ 、 そ の 調 達 方 法 の 方 が 知 的 財 産 及 び 知 的 財 産 権 を 包 括 的 に把 握 した 資 金 調 達 を 実 現 で き る、 とい う意 味 で 有 効 か も しれ な い。

第2に 、"金 融 ・資 本 市 場 分 野 に お け る横 断 的 な ル ー ル"が あ げ られ る。2001 年 に施 行 さ れ た 「金 融 商 品 の 販 売 等 に 関 す る法 律(以 下 、金 融 商 品販 売 法)」 は 、 正Tの急 速 な 発 展 を 背 景 とす る多 様 な金 融 商 品 に備 え て 横 断 的 な販 売 ・勧 誘 に関 す るル ー ル につ い て 規 定 して い る。 同 法 の2条 は 「金 融 商 品 の販 売 」 に該 当 す

39)

る行 為 につ い て列挙 して お り、株 式や 預金 、保 険 商 品等 を 同 じ レベル で位置 づ

40)

けて い る。

従 来 か ら、 預 金 や 保 険 商 品 等 は専 ら"消 費 者"に か か る事 項 と して 、 い わ ゆ

(9)

知的財産担保法制の最近 の動 向

35

る投 資 商 品 とは別 個 に考 え られ て き た 。 しか し、 近 年ITを 介 した 複 雑 多 様 な 商 品 が現 れ る と人 々 の 関 心 を集 め る一 方 で 、 そ の金 融 取 引 を め ぐ り紛 争 が 顕 在 化

した 。 そ こで 、 金 融 販 売 法 は こ う した 商 品 も投 資 商 品 と同 様 の リス ク を 内在 す る"金 融 商 品"の 性 格 を もつ と して 、 これ らを め ぐ る販 売 等 の 規 制 につ き包 括

92)

的 な規 定 を お い て い る。 ま た 、 同法 は これ らの金 融 商 品 に関 わ る人 々 に お い て も"消 費 者"と"投 資 者"と い う分 け方 を 排 し、 両 者 を と も に"顧 客"と して

横 断 的 に保 護 を図 る こ と に した 。 この こ とは、 金 融 商 品 の概 念 の拡 大 と と もに 同法 の 顕 著 な特 徴 とな っ て い る。 それ は また 、 将 来 間 接 的 に して も知 的 財 産 の 流 動 化 を促 す基 盤 に な る とお も わ れ る。

第3に 、4t金融 ・市 場 分 野 の 中 の特 定 領 域 に お け る特 別 ル ー ル"で あ る。 これ につ い て は、 「資 産 の 流 動 化 に関 す る法 律(以 下 、 資 産 流 動 化 法)」 と 「投 資 信 託 及 び 投 資 法 人 に 関 す る法 律(以 下 、i投資 信 託 法)」 が あ げ られ る。 こ の2つ 法 律 は、 知 的財 産 の 証 券 化 ・流 動 化 に 直 接 関 連 す る とこ ろか ら と りわ け 注 意 を 要 す る。 と も に2000年 に施 行 した 上 記 法 律 は、 知 的 財 産 の証 券 化 とそ の 投 資 運 用 を 可 能 に して お り、 い わ ば 車 の両 輪 とな っ て知 的 財 産 に お け る担 保 証 券 化 の

44)

環 境 を整備 して い る。

資産 流動 化 法 は、1998年9月 に施 行 され た 「特 定 目的会社 の証 券 発行 に よる 特 定資 産流 動化 に関 す る法 律」 を改正 して、流動 化 対象資 産 に対 す る制 限 を撤

45)

廃 し、 そ の 対 象 を"財 産 権 一 般"に 拡 大 した 。 これ に よ り、 知 的 財 産 も 同 法 の 対 象 とな るに至 っ た 。 す な わ ち 、 資 産 流 動 化 法2条 は 流 動 化 対 象 資 産 に つ い て

特 定 資 産 」 との 名 称 を付 して定 義 す る一 方 、当該 資 産 の 内 容 に つ い て は 同 法 施 行 規 則 別 表 の 「特 定 資 産 の 内容 の記 載 事 項 表 」 に お い て詳 細 に列 挙 し、 知 的 財 産 権 が これ に該 当 す る こ とを 明 定 した。 ま た 、 資 産 流 動 化 法 は特 定 資 産 の 投 資 運 用 の た め2つ の ビ ー ク ル(Vehicle)を 準 備 し、投 資 家 か ら資 金 を集 め て(市 場 で)専 門 家 が これ を管 理 ・運 用 す る 「集 団 投 資 の ス キ ー ム 」 を用 意 して い る。

そ れ は 、 「特 定 目的 会 社(SpecialPurposeCompany;SPC)」 とい う投 資 法 人

4G)

の形 態 を とる もの と 「特 定 目的 信 託 」 とい う信 託 会 社 の形 態 を と る もの で あ る。

これ らの ビー クル に 特 定 資 産 を 譲 渡 な い し信 託 を して 多 様 な資 産 の 流 動 化 を 図 る と ころが 同 法 の 最 大 の 特 徴 とな っ て い るが 、 問題 点 もあ る。 す な わ ち 、 ど ち らの ス キ ー ム を採 用 す る と して も、 同法5条 所 定 の 資 産 流 動 化 計 画 」 に つ い

(10)

36

知的財産担保法制 の最近の動向

て金融 庁 に事 前 に届 出 を行 う義務 が あ るな どの事務 負 担 を要 す る。 また、後 者 につ いて は信 託 自体 を課 税 対象 と して い るが、小 額 の資金 調達 の場 合 は二 重課

  ラ

税 の 可 能 性 も予 想 され る な ど、 決 して 使 い勝 手 の よい 制 度 とは言 い切 れ な い側 面 も有 して い る。

一 方、 投 資 信 託 法 は 累 次 の 改 正 をへ た の ち、2000年 に は そ の 名 称 を 上 述 の通 り改 め て 、 会 社 型 投信 、 私 募 投 信 を解 禁 した。 また 、 投 資 対 象 資 産 を"財 産 権 一 般"に 拡 大 して 幅 広 い資 産(「 特 定 資 産 」 との 名 称 付 して い る)に つ い て 投 資

48)

運 用 が で き る よ うに規 定 した の で 、 この 点 につ い て は資 産 流 動 化 法 と共 通 して い る。 しか し、投 資 信 託 法 で は、 同 法 上 の 投 資 信 託 に よ っ て 、"直 接 的 に"知 財 産 権 を投 資 対 象 と した ス キ ー ム を構 築 す る こ とが で き な い 。 す な わ ち 、 同 法 施 行 令3条 は 、 同 法 の2条1項 に規 定 す る 「特 定 資 産 」 につ い て 限 定 的 に列 挙 し、知 的 財 産 権iにつ い て は規 定 しな か っ た。た だ し、同 法 施 行 令3条16号 が 「 名 組 合 出資 持 分 」 に つ い て 規 定 し これ を投 資 運 用 の 対 象 と して い る こ とか ら、

匿 名 組 合 契 約 に基 づ くス キ ー ム とい う形 態 で"間 接 的 に"知 的 財 産 を利 用 した

49)

投 資運 用 を図 る こ とは可能 で あ る。投 資信 託法 につ いて は、知 的財産 を運 用 す る側 と投 資家 の双方 に対 して知 的財産 の流 動化 ス キーム の一 形 態 を提 供 した、

so>

とい う意 義 に止 ま るか も しれ な い 。

そ の ほ か 、 知 的 財 産 と流 動 化 ス キ ー ム に 関連 す る事 項 と して 「商 品 投 資 に係 る事 業 の 規 制 に 関 す る法 律 」(商 品 フ ァ ン ド法)が 、 平 成12年 の 改 正 で 映 画 」 を 同 法 上 の 「指 定 物 品 」 に定 め て い る。 した が っ て 、 これ を運 用 す る企 業 は商 品 投 資 販 売 業 者 と して の 許 可 を 関 係 省 庁 か ら取 得 す る な どの 規 制 を加 え られ る

こ とに な る。 流 動 化 ス キ ー ム の 実 効 性 を あ げ る た め に は行 政 の運 用 基 準 の緩 和

51)

が 望 まれ よ う。

この よ うな金 融 シ ス テ ム 改 革 に よ っ て 導 入 され た 私 法 上 の ル ー ル を 知 的財 産 の証 券 化 ・流 動 化 に 関 す る限 りで み て い く と、 これ を支 援 す る一 定 の 手 段 な い しス キ ー ム を提 供 して お り、 な か で も資 産 流 動 化 法 が 知 的 財 産 の証 券 化 と流 動 化 の 双 方 に つ い て 具 体 的 に実 現 す る規 定 を置 い て い る。

一 方、 上 記 の 法 律 に よ っ て 用 意 され た 証 券 化 あ るい は流 動 化 一 般 の ス キ ー ム は 、 ひ と り知 的 財 産 だ け を 対 象 と した 規 定 建 て に は な っ て い な い こ とか ら、 そ れ ぞ れ 少 な か らず 不 充 分 な側 面 が あ る こ とも事 実 で あ る。

(11)

知的財産担保法制 の最近の動向

37

4‑2知 的 財 産 の 証 券 化 ・流 動 化

前 節 で み て きた よ う に、 わ が 国 は金 融 シ ス テ ム改 革 に よ って 知 的 財 産 に お い て も これ を担 保 証 券 化 す る法 的 イ ン フ ラ を 急 速 に整 備 しつ っ あ る。 しか し、 そ れ は新 産 業 の創 出 、 あ る い は債 権 の流 動 化 に よ る経 済 の 活 性 化 とい う政 府 の 経 済 施 策 の 主 旨 か らみ れ ぼ 目論 見 どお りに 実 効 性 を あ げ て い る と は い え な い よ う

で あ る。 そ こで 、 本 節 で は まず 知 的財 産 の証 券 化 ・流 動 化 を 図 る受 け皿 につ い て説 明 した 後 、 そ の 有 効1生 と諸 問 題 につ い て と りあ げ て い く。

4‑2‑1知 的 財 産 の 証 券 化 ・流 動 化 の 受 け皿 一SPVの 設 立 と機i能 一

証 券 化 ・流 動 化 の 代 表 的 な ス キ ー ム は 、 単 純 化 す る と次 の よ うに な る。 一 般 に、資 金 調 達 を 図 る企 業(一 般 に オ リジ ネ ー タ[originator]と 呼 称 さ れ る)は 、 まず ①SPV(SpecialPurposeVehicle:単 に ビ ー ク ル[Vehicle]と も 呼 称 さ れ る)を 設 立 す る。 つ ぎ に 、 ② 一 旦 自 己 の保 有 す る資 産 を これ に譲 渡 す る。 な お 、 この 際 対 抗 要 件 を具 備 して お く。 ③ 当 該SPVは か か る資 産 を 引 当 て に して 証 券 を発 行 す る。 あ るい は ロ ー ン を組 む 。 こ の い ず れ か の 手 法 に よ っ て 対 象 資 産 の 購 入 資 金 を調 達 す る。 ④SPVが 発 行 す る証 券 な い し借 り入 れ た ロ ー ン は通 常 複 数 の トラ ン シ ェ(tranche)に 分 け られ る。そ の うえ で 、証 券 間 ま た は ロ ー一

ン間 に お け る支 払 い優 先 順 位 を定 め る規 定 を設 け て これ に従 い キ ャ ッ シ ュ の分

52)

配 を行 う。

ス キー ム の概 要 は以 上 の よ う に な るが 、 こ う した プ ロセ ス をへ て 発 行 され る 証 券 は資 産 担 保 証 券(AssetBackedSecurities:ABS)と い わ れ る。 上 記 プ ロ セ ス にお い て 、 オ リジ ネ ー タ は投 資 の 便 を考 慮 し、 ① の段 階 に お い て 信 託 、 組 合 な い し特 別 目的 会 社(SpecialPurposeCompany:SPC)の い ず れ か の形 態 を選 択 す る。 また 、 オ リジ ネ ー タ は、 この 間 資 産 管 理 者 等 と して 当該 財 産 か ら生 じ る キ ャ ッシ ュ フ ロ ー をSPVに 支 払 う と と も に、 これ を管 理 す る こ と で 関 与 して い く。 この 他 、 信 用 補 完 や流 動 性 補 完 の 措 置 が 当該 ス キ ー ム に講 じ られ

53)

る。

そ こで 、 なぜ 、 か か る証 券 化 ・流 動 化 に あ た りSPVを 必 要 とす る の か 、 こ こ に 明 示 して お く必 要 が あ る。 それ は、 オ リジ ネ ー タの 自 己保 有 資 産 をSPVに 転 す る こ とに よ っ て(オ リジ ネ ー タ の)倒 産 リス クか ら投 資 を 隔 離 す る ス キ ー

(12)

38

知的財産担保法制の最近の動向

ム(い わ ゆ る 「倒 産 隔 離 」:bankruptcyremote)を 組 成 す る こ とが で き る点 に あ る。 そ の 主 要 な効 果 と して 、①SPVに か か るABSは オ リジ ネ ー タ の信 用 リ ス クの 制 約 を受 け な い 、 また 、 ② 倒 産 リス ク は投 資 家 に転 嫁 され る結 果 、 オ リ ジ ネ ー タ は債 務 不 履 行 責 任 を 問 わ れ な い 。それ は講 学 上 ノ ン リ コー ス とい わ れ 、

54)

か か る資 産 の 証 券 化 一 般 に 認 め られ る効 果 で あ る。

この よ うなSPVに お け る効 用 は 、 従 来 か ら知 的 財 産 権 担 保 融 資 に お い て 指 摘 され て きた 融 資 の 限 界 を あ る程 度 払 拭 して い る。 と りわ け、 担 保 処 分 の 困 難 さ は 、SPVの ス キ ー ム を活 用 す る こ とに よ っ て 一 定 の 制 限 を加 え る こ とが 可 能 で

うの

あ る。 た だ し、 真 正 売 買 の 問 題 に は注 意 を要 す る。

そ こで 、 どの よ う な証 券 化 の ス キ ー ム を構 築 す るの か 、 とい う点 が 重 要 で あ る。 そ の 骨 子 と して は、 ① 知 的 財 産 の 受 け皿 と して 上 記SPVの うち い ず れ の 形

56)

態(信 託 、 会 社 等)を 採 用 す る の か 、 ま た 、 これ を選 択 した後 ② 知 的 財 産 権 を SPVに 移 転 す る と き に生 じ る法 律 上 の 問 題 へ の 対 応 、 を あ げ る こ とが で き る。

加 え て 、 知 的 財 産 権 の証 券 化 ・流 動 化 に お い て は、 そ の ス トラ ク チ ャ ー を 知 的 財 産 権 の 法 的 性 格 に あ わせ て 注 意 深 く組 み 立 て な けれ ば な らな い。

4‑2‑2知 的 財 産 の証 券 化 ・流 動 化 の有 効 性 (1)証 券 化 ・流 動 化 一 般 に わ た る有 効 性

不 動 産 や 金 銭 債 権 等 に お け る証 券 化 ・流 動 化 の有 効 性 は 知 的財 産 につ い て も 認 め る こ とが で き るが 、 それ を大 別 す る と以 下 の4点 に な る。 まず 、 ①SPVの 機能 で あ る。 これ に よ る倒 産 隔 離 の効 用 は前 述 した 通 りで あ るが 、 そ の反 射 的 効 果 と して(格 付 け機 関 か ら)高 い 格 付 け を取 得 す る こ とが で き る。 そ の結 果 、

5?)

よ り有利 な資金 調達 も可 能 にな る。 また、②対 象資 産 が いか な るもので あって も証 券 を介 して の投 資 とな るため多様 な資産 に対 して投資 可能性 を生 む こ とが

58)

で き る。 つ ま り、 知 的 財 産 に つ い て も対 応 可 能 とな る。 ③ 証 券 化 ・流 動化 の 手 法 を利 用 す る こ とに よ っ て 、 マ ー ケ ッ ト不 在 の 問題 を幾 分 緩 和 す る こ と も期 待

59)

で き る。 ④ 発 行 証 券 を リス ク性 に対 応 した投 資 ポ ー トフ ォ リオ に構 築 す る こ と に よ って 合 理 的 な 事 業 展 開 を 図 る こ とが で き る。 実 際 に 、企 業 で は特 許 ポ ー ト

so)

フ ォ リ オ(patentportfolio)の 活 用 が 見 られ る 。

こ の よ う な 特 徴 は 、 資 金 調 達 に 苦 慮 す る オ リジ ネ ー タ の み な ら ず 投 資 家 に 資

(13)

知的財産担保法制の最近の動向

39

す る と こ ろ も大 き い 。 と こ ろが 、 知 的財 産 に つ い て は そ の 価 値 評 価 の 問題 が 大

si)

きな 障 害 とな っ て い る。 また 、 これ に関 連 す るが 、 資 産 の 証 券 化 一 般 に お い て は将 来 の キ ャ ッ シ ュ フ ロー の予 測 が 重 要 な フ ァ ク タ ー に な る とこ ろ 、 知 的 財 産 に つ い て は(他 の 権 利 と比 較 して)権 利 の 脆 弱 性 に加 え て 、 そ の 期 待 収 益 の 算

62)

定 が きわ め て 困 難 で あ る と指 摘 され る。 す な わ ち 、 他 の資 産 と違 っ て 過 去 の 収 益 率 が 必 ず し も将 来 の 収 益 を約 束 す る もの で は な い とい う、問 題 を も っ て い る。

これ は 、 ③ に も関 わ る こ とで あ り、 証 券 化 され た 知 的 財 産 が 投 資 商 品 と して 流 動1生な い し市 場 性 を もて るか ど うか 、 とい う本 質 的 な 問 題 に影 響 を与 え か ね な

い憾 み を残 して い る。

(2)知 的 財 産 に み られ る 証 券 化 ・流 動 化 の 有 効 性

上 記 の 証 券 化 ・流 動 化 一 般 に み られ る効 用 に加 え て 、 若 干 重 複 す る点 も あ る が 、 知 的 財 産 に お け る顕 著 な効 用 を あ げ て お きた い。

SPVの 機 能 の と こ ろで す で に ふ れ た よ うに 、 倒 産 隔 離 に よ っ て 対 象 知 的 財 産 は オ リ ジ ネ ー タの 信 用 リス クか ら切 断 され る の で 、 オ リジ ネ ー タ 自身 の信 用 低 下 に影 響 を受 け る こ とは な い 。 この こ とは 、(客 体 で あ る)知 的 財 産 の価 値 の 減 少 に伴 う リス ク につ い て もい え る。 た とえ ぼ、 オ リジ ネ ー タ が 知 的 財 産 の 購 入 代 金 を ノ ン リ コー ス の デ ッ ト性 の証 券 で 調 達 す る場 合 、 か りに 対 象 知 的 財 産 の 価 値 が 減 少 す る こ とが あ っ て も当該 リス クの 一 部 は証 券 に よ っ て 調 達 さ れ た 金

G3)

額 の 範 囲 で 投 資 家 に転 嫁 され る だ けで あ る。

また 、 知 的 財 産 を源 泉 とす る将 来 の キ ャ ッシ ュ フ ロ ー を 引 当 て に して 、 ま と ま った 資 金 の 調 達 を先 行 して 得 る こ とが で き る。 その 際 、 当 該 調 達 資 金 の 使 途 も一 般 の ロ ー ン契 約 で 課 され る よ うな事 業 上 あ るい は財 務 上 の制 約 を う け な い し、 オ リ ジ ネ ー タ のバ ラ ンス シ ー トに"負 債"と して 計 上 され る こ と も な い 。 した が っ て 、 保 有 資 金 を圧 縮 す る こ とも可 能 とな り、 財 務 体 質 の 改 善 を 行 う こ

643

と も で き る 。

(3)知 的 財 産 の証 券 化 ・流 動 化 に お け る 諸 問 題

上 述 した よ うに 、 知 的 財 産 の証 券 化 ・流 動 化 は 一 定 の有 効 性 が あ る こ と を 示 した が 、 これ に付 随 して"知 的 財 産 の 価 値 評 価"とcc将 来 キ ャ ッシ ュ フ ロ ー の

(14)

40

知的財産担保法制の最近の動向

期 待 収 益 の 算 定"が 問 題 に な る こ とを 若 干 ふ れ た 。 この2点 は、 知 的 財 産 権 の 無 体 性 に 由 来 して い るが 、 これ に加 え て 、 知 的 財 産 の証 券 化 ・流 動 化 取 引 を 困 難 に して い る の は 当該"対 象 資 産"の 範 囲 の 問 題 で あ る。

第2章 で 説 明 した よ う に、 知 的 財 産 の 射 程 は広 範 囲 で あ る。 そ の うえ 当 該 知 的 財 産 権 の譲 渡 にお い て は、 物 理 的 な支 配 を とも な う所 有 権 の 譲 渡 とは基 本 的 に 相 違 して い る。 す な わ ち、 所 有 権 は そ の 客 体 が 有 体 物 で あ るた め、 そ の 譲 渡 と

不 可 分 一 体 で あ る と こ ろ、 知 的財 産 権 の 客 体 は無 体 物 で あ るか ら有 体 物 の譲 渡

65)

と直接 牽 連性 が な い。著 作権 を例 に あげれ ば、全部 な い し一部譲 渡 も可能 で あ

66}

り、後 者 の場 合 は 時 間 的 、場 所 的 あ るい は 内 容 的 に 限 定 す る こ と も可 能 で あ る。

67y

た だ し、一 身専 属権 で あ る著作 者人 格権 に対 す る配慮 は必 要 で あ る。

また、知 的財産 権 が共 有 にか か って い る場合 、民法 の一 般法 理(民 法264条 等) に よ る と共 有者 は持 分 に応 じた権 限 を有す るだ けで あ るが、SPVへ これ らを移 転 す る際 の実務 上 の負 担 を別 にす れ ば、 共有特 許権 と共 有著作 権 に はか か る制

gg}

限 が 存 在 しな い。 契 約 に よ り制 限 を付 す るの み で あ る。

この よ う に、 知 的 財 産 権 自体 だ けで は な くこれ に か か る複 雑 多様 な 利 用 権 を 対 象 とす る こ とが で き る一 方 、 利 用 権 に も とつ くライ セ ン ス 料 債 権 につ い て も 対 象 にす る こ とが で き る。 また 、 プ ロ グ ラ ム著 作 権 に お い て 顕 著 に み られ る よ うに 、 バ ー ジ ョン ・ア ッ プ等 の 改 良 が な され た場 合 の対 応 も想 定 し な くて は な

69)

らな い だ ろ う。

した が っ て 、 知 的財 産 の 証 券 化 ・流 動 化 で まず 重 要 に な る の は①ii対 象 資 産 の 特 定"で あ る。 つ ぎ に 当 該 内 容 につ い て は、 ② まず 、 対 象 とな る知 的 財 産 権 が オ リジ ネ ー タ に法 律 上 有 効 に帰 属 して い るか 、③ 第 三 者 に移 転 して い な い か 、

あ る い は④ これ に担 保 権 等 が 付 着 して い な い か 、 等 が 主 要 な検 討 事 項 で あ る。

ま た 、 知 的財 産 権 の 証 券 化 ・流 動 化 取 引 の場 合 は 、 そ の 利 用 の た め に必 要 不 可 欠 な 動 産 、 ノ ウハ ウ等 の無 形 資 産 も対 象 資 産 と してSPVに 移 転 す る必 要 性 もで て くる。 なぜ な ら、 オ リジ ネ ー タか ら知 的 財 産 権 だ け を譲 渡 され て も有 効 に活

フの

用 で き な い場 合 が 多 い か らで あ る。

以 上 の こ とか ら分 か る の は、 対 象 資 産 の 特 定 に か か る検 討 内 容 と、 従 来 の 知 的 財 産 権 担 保 に お け る それ とは本 質 的 に 変 わ る と こ ろが な い 。 前 記 知 的 財 産 の 価 値 評 価 につ い て も同様 に 重 要 な メ ル クマ ー ル とな って い る。

(15)

知的財産担保法制 の最近の動向

41

これ に対 して 、 上 記 将 来 キ ャ ッ シ ュ フ ロ ー 算 定 の 問 題 は 、 か か る証 券 化 ・流 動 化 取 引 の重 要 事 項 で あ る。(Dで ふ れ た よ うに 、そ れ は 知 的 財 産 の 証 券 化 に か

7I)

か るSPV発 行 のABSが 投 資 商 品 と して ふ さ わ しい の か とい う問 題 に も及 ぶ が 、 そ の 前 提 に お い て 、ABSを 生 み 出 すSPV形 態 の選 択 が まず 課 題 に な る とい っ て

よい で あ ろ う。

現 在 、 知 的 財 産 を 源 泉 と した キ ャ ッシ ュ フ ロ ー の予 測 の 方 に つ い て は、 金 融

72)

工 学 の手 法 を活 用 した 算 定 が 模 索 さ れ るな ど活 発 に議 論 が 行 わ れ て い る。 本 稿 で は、この 点 に は立 ち入 らず 、キ ャ ッシ ュ フ ロ ー を 生 む ス キ ー ム、す な わ ちABS の 発 行 体 で あ るSPVの 諸 形 態 と これ に か か る法 律 上 の 問 題 に つ い て と りあ げ

よ う とお も う。

1(4)各 種 法 律 に も とつ くSPVの 諸 形 態 と そ の 問 題 点

4‑2‑1で 、SPVス キ ー ム の概 要 は説 明 した 。 そ こで 、 知 的 財 産 の 証 券 化 ・ 流 動 化 取 引 に お い て利 用 され るSPVの 形 態 に つ い て 列 挙 す る と、 商 法 上 の株 式

会 社 ・有 限 会 社 、 信 託 法 に も とつ く信 託 、 資 産 流 動 化 法 に も とつ くSPC及 び 特

73)

定 目的 信 託 、 投 資 信 託 法 に も とつ く投 資 法 人 、 を 一一般 に あ げ る こ とが で き る。

これ らのSPV形 態 を通 じて 知 的 財 産 を 引 当 て に金 融 商 品 を仕 組 む 場 合 は、 そ れ ぞれ に特 有 の 課 題 は も っ て い るが 、 一 定 の 汎 用 性 を確 保 され る た め機 動 的 な 資 金 調 達 を見 込 む こ とが 期 待 で き る。

また 、SPVと して"利 用 可 能 性 を もっ"と 考 え られ る形 態 と して 、 民 法 上 の 任 意 組 合 、商 法 上 の 匿 名 組 合 、「中小 事 業 等 投 資 事 業 有 限 責 任 組 合 契 約 に 関 す る 法 律(以 下 、 中 小 事 業 等 投 資 事 業 有 限 責 任 組 合 契 約 法)に も とつ く中小 事 業 有

74)

限 責 任 組 合 が あ る。 と りわ け、 中小 事 業 等 投 資 事 業 有 限 責 任 組 合 契 約 法 はベ ン チ ャー ・キ ャ ピ タル ・フ ァ ン ドに適 した 事 業 投 資 組 合 を整 備 す る た め の 政 策 的

75)

な 立 法 で あ り、 知 的 財 産 担 保 融 資 を視 野 に入 れ た 規 定 建 て とな っ て い る。

さ て 、上 記SPVの 構 造 に 着 目す る と、"会 社 型"と"契 約 型"の2つ に 大 別 す る こ とが で き る。 ま た、 契 約 型 の 方 は さ らに信 託 形 式 と組 合 形 式 に分 か れ る。

紙 幅 の 関 係 上 、 個 々 に法 律 の 検 討 を す る余 裕 は な い の で 、 上 記 の 型 に お け る主 要 な 問 題 につ い て 簡 潔 にふ れ て お きた い。

まず 、 商 法 上 の 株 式 会 社 等 に代 表 され る会 社 型 は"事 後 設 立"に 関 す る規 制

(16)

42

知的財産担保法制の最近の動向

の問題 が あ る。会社 が その成 立 前 か ら存 在 す る営業財産 を取得 す る際 、商法246 条(有 限会 社 法40条3項)所 定 の要 件 に該 当す る内容 を もっ場合 は裁 判所 の選

as}

任 す る検 査役 に よって調査 等 の手 続 が必要 にな る。 当該 規定 は、2003年 施 行 の 改正 商法 の も とで代 替手段(弁 護 士等 の専 門家)の 利用 が認 め られ て上記 手続 を緩 和 して い るが、 知 的財 産 が対 象 とされ る場 合 はその価値 評価 自体 が 困難 で

あ るた め 事 後 設 立 規 制 の 問 題 は実 務 上 負 担 とな っ て い る よ うで あ る。 そ の 点 、 資 産 流 動 化 法 に も とつ くSPCを 利 用 す る場 合 は、取 得 財 産 が"資 産 流 動 化 計 画"

に定 め られ た"特 定 資 産"で あ る とき に 限 り、 事 後 設 立 規 制 の適 用 を排 除 す る こ とで 法 律 上 の 手 当 て を して い る(資 産 流 動 化 法61条)。 も っ と も、4‑1で 摘 した よ う に、 資 産 流 動 化 計 画 の 作 成 自体 、 煩 環 な事 務 手 続 を 要 す るの で 、 い

ず れ を採 用 す る に して も負 担 は あ る とお もわ れ る。

っ ぎ に、 契 約 型 ・信 託 方 式 に っ い て 説 明 す る。 信 託 は、 信 託 法16条 、 破 産 法 6条3項 の規 定 に よ っ て 、 上 述 したSPVの 主 た る効 用 で あ る倒 産 隔 離 を"制

フ ラ

上"確 保 して お り、 しか も、 受 託 者 で あ る信 託 銀 行 に お い て は一 般 に資 産 管 理

79)

の ノ ウ ハ ウ を も っ て い る の で 、他 のSPV形 態 に較 べ る と優 れ て い る。と こ ろが 、 信 託 業 法4条 が 規 定 す る受 託 可 能 な財 産 の 中 に知 的 財 産 権 を含 め て い な い こ と

gp}

か ら、 これ 自体 を信 託 の 対 象 とす る こ とは で き な い。 した が っ て 、信 託 制 度 は 上 記 の メ リ ッ トが あ る に もか か わ らず 、 知 的 財 産 の 証 券 化 ・流 動 化 取 引 に お け る ビ ー ク ル と して の 活 用 は難 しい もの とな って い る。 資 産 流 動 化 法 に も とつ く 特 定 目的 信 託 を ビー クル と して 活 用 す る方 法 もで き るが 、4‑1で 説 明 した よ う に 二 重 課 税 の 問 題 を回 避 で き な い可 能 性 や 、 同法 のSPCと 同様 、 資 産 流 動 化 計 画 の 作 成 、 金 融 庁 に対 す る一 定 の届 け 出 を要 す る な ど負 担 が 大 きい と指 摘 され て い た 。

そ こで 、 この よ うな批 判 に こ た え る形 で 、 産 業 構 造 審 議 会 知 的 財 産 政 策 部 会 経 営 ・市 場 環 境 小 委 員 会 は 知 的 財 産 戦 略 大 綱 を ふ ま え て2003年3月 に 「知 的 財

S1)

産 の信 託 に関 す る緊急提 言 」 を取 りま とめた。

また、最 近 の報 道 に よ る と、 金融庁 は今秋 予定 の臨 時 国会 に信託 業法 の改正 案 を提 出す る模 様 で あ る。 同法 の改 正 に よ り、特 許権 等 の知 的財産 権 を信託 対 象 に新 た に加 え るほか 、従来 か ら実 質 的 に不 可能 で あ った 「信 託 会社」 の設 立

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に つ い て も認 め て い く方 針 で あ る。 な お 、 著 作 権 等 管 理 事 業 法 に つ い て 付 言 し

(17)

知的財産担保法制の最近の動向

43

て お く と、信 託 業法 第1条 及 び第2条 の規 定 は著 作権 等 管理 事業 法所 定 の契約 に基づ き著 作権 等 のみ の信託 の 引 き受 けを業 と して行 う者 につ い て はす で に適

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用 除 外 を して い る(著 作 権 等 管 理 事 業 法 第26条)。

以 上 の よ う な動 向 を見 る と、 知 的財 産 の証 券 化 ・流 動 化 に お け るSPVの 利 用 形 態 と して は 、 現 状"信 託"の 方 向性 を も っ て動 い て い く とみ て よ い だ ろ う。

最 後 に 、 契 約 ・組 合 方 式 につ い て は、 民 法 上 の任 意 組 合 をSPVと して 利 用 し

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た実例 を アニ メー シ ョンの製 作 にお いて み る こ とがで きるが、投 資 家 の責 任範 囲、組 合 員(投 資 家)の 持分 譲 渡等 の 問題 点 も有 して い る こ とか ら、 知 的財産 の証券 化 ス キー ム にはハ ー ドル の高 い制 度 とな ってい る。 因み に、 中小 事 業 等 投資 事 業 有 限責 任 組 合 契約 法 は投資 家 の責 任 範 囲 につ いて 手 当て を して い る が、 民法 上 の組合 契約 を基礎 として い るので上記 持 分譲 渡等 の 問題 点 を払拭 し

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て い な い 。

4‑3小

知 的 財 産 の 証 券 化 ・流 動 化 取 引 を め ぐ る問題 の 中核 とな るの は 、 以 下 の2点 で あ る。 第1に 、 知 的 財 産 の特 殊 な性 質 に 由 来 す る諸 問 題 に 対 して 、 どの よ う に法 的 な 手 当 て を行 うか 。 これ は、 従 来 の知 的財 産 権 担 保 に お け る問 題 と本 質 的 に 同 じで あ る。 それ は、 伝 統 的 な 担 保 手 法 か 、 あ る い は証 券 化 ・流 動 化 手 法 か 、 とい うア プ ロー チ の 差 だ けで あ る。 第2に 、 か か る証 券 化 ・流 動 化 取 引 の、

"器"で あ るSPVの 対 内 的整 備 と対 外 的整 備 で あ る

。前 者 につ い て は、SPV形 の 選 択 に は じ ま り、 これ に 付 随 した機 能 の整 備 等 を オ リジ ネ ー タ 、 投 資 家 双 方 の 保 護 を 図 りな が ら注 意 深 く当 該 ス キ ー ム を組 み 立 て な くて は な らな い 。 後 者 につ い て は、SPVに 譲 渡 され た 知 的 財 産 を め ぐる 問題 で あ り、 真 正 売 買 、 第 三 者 対 抗 要 件 の 具 備 お よ び第 三 者 の 権 利 との抵 触 関 係 の 問 題 が これ に あ た る。 こ

れ に対 す る法 的 な 対 処 が 十 分 で な い と、 知 的財 産 の"流 動 化"に お い て 破 綻 を きた す こ とに な ろ う。

知 的 財 産 の証 券 化 ・流 動 化 取 引 に 対 す る期 待 は、 政 府 の施 策 を は じめ と して 企 業 等 に お い て も急 速 に高 ま っ て い る反 面 、 よ うや く上 記 の よ うな 問 題 点 が 析

出 され 、 これ を克 服 す る方 途 が 模 索 され て い る とい う のが 現 状 で あ る。

参照

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