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34 調節呼吸による肺の機能的並びに形態学的

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(1)

調節呼吸による肺の機能的並びに形態学的 変化に関する実験:的研究

金沢大学医学部第一外科学教室(主任 ト部美代志教授)

      山   田    修

       (昭和34年12.月10日受付)

(本論文の要旨は第2回および第3回日本麻酔学会総会に.おいて発表した)

 近年における外科手術の目覚しい進歩は抗生物質の 発見や高性能のSulfa剤の登場による強力な化学療 法と共に麻酔学の発達に負うところが大きい.就中開 胸手術に対して気管内挿管麻酔が果す役割は極めて大 きく,これと関連して麻酔中行われる調節呼吸の意義 もまた大きい.         ・  手術中の呼吸を入為的に調節しようとする試みは,

古くはSauerbruchの陰圧手術室に始まり,陽圧麻酔 器に発展し,さらにCrafoord 1)等のSpiropulsator,

Mautz 2)のRespiratofと次第に改良発達して現在使 用されている陽陰圧呼吸型式によるRespiratorとな

った.

 気管内挿管麻酔により関胸術を施行する場合には炭 酸ガス蓄積が起り易いことは既に多くの報告によって 明らかなことであるが,炭酸ガス蓄積は酸塩基平衡の 失調をきたして循環系や神経系に悪影響を及ぼし,諸 種の合併症に関係が深い.この原因は換気不全による ものであり,これを排除するためには何らかの人為換 気を行って有効な換気量を増加させねばならない.こ の目的を満足させるものとして間激的陽圧呼吸及び陽 陰圧呼吸の両呼吸型式に.よる調節呼吸法がある.

 著者は犬について,この両呼吸型式による調節呼吸 がどのような肺の機能的並びに形態学的変化を起す か,また閉胸時と開胸時により相違があるか否か,加 圧の安全な限界はどの程度かを決定しようと試みた.

実 験 方 法  1♂実験対照及び実験群の分類

 健康な雑種成犬89頭を使用し,これを次の各群に分 けて実験を行った.

  対照群(閉胸下自然呼吸群)    4例

閉胸下間歓的陽圧呼吸群    形態学的検索    機能的検索

開胸下間激的陽圧呼吸群    形態学的検索    機能的検索  遠忌下面陰圧呼吸群    形態学的検索    機能的検索  開胸下面陰圧呼吸群    形態学的検索   ・機能的検索 2.麻  酔

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 Thiopellta1 Sodium(R母voPa1)あるいはAmobar・

bital sodium(Isomital)30〜4伽g/kgの筋注によっ て深麻酔に至らしめ,犬を背位に固定して気管内挿管 を行った,対照群においてはこのまま放置して自然呼 吸を行わせ,他の実験群においてはζこでd−Tubo・

curarine Chloride(Amelizol)0、41ng〆kgの静注によ って筋弛緩を得て自発的呼吸運動を消失せしめ,気管 Tubeに.人工呼吸装置を連結して調節呼吸を開始し た,調節呼吸中Hyperventilationの状態にあるとき は筋弛緩剤の効果が消退した後にも自然呼吸運動を再 開して調節呼吸に逆らうことはなかったが,換気圧が 小さく従って換気量の比較的少ない場合筋の緊張回復 によって調節呼吸に対する抵抗が大になると思われた ときには適宜筋弛緩剤を追加投与し,終始充分な筋弛 緩の下で全く機械的に調節呼吸を行われるように留意

した.

 3.呼吸装置

 本研究に使用した電動式人工呼吸装置は東京泉工舎 Exprimental Studies on the Functional and Morphblogical Changes of Lung Caused by Con−

trolled Respiration. Osamu Yamada, Department of Surgery(Director:Pro£M. Urabe),

SchoQl of Medicine, University of Kaロazawa,

(2)

230

の初期の製品で,その主要成分は電動機による歯桿の 往復運動によって伸縮する蛇腹型の呼吸嚢,加圧時に 開く吸気弁,除圧時に.開く呼気弁よりなり,蛇腹の伸 縮の振幅の毎分伸縮回数を変化させることによって調        ヒ  節呼吸の圧及び回数をある程度任意に調節することが 出来る.呼吸圧の調節は単に蛇腹の振幅の大小によっ て行われるのみなので,陽圧及び陰圧の大小を変える ことは可能であるが,その帰山期の圧,いいかえれば 全体的な気管内圧のLevelを上下することは不可能 である.またこの装置による加圧相と陰圧相の時間的 比率は概そ1:1で,呼吸数を変えることは出来て もこの比率を変化させることは出来ず,且つ,これに よって作られる気管内圧曲線の波形も第1図の如き曲 線で,これも一定不変である.

第1図 閉胸下間歓的陽圧呼吸時及び 陽陰圧呼吸時における気管内圧曲線

(犬:No.51十20cmH20,鍵盤的陽 圧呼吸,No.30十20〜一15crnH20    1 陽陰圧呼吸)

旧歓的陽 圧呼吸

陽陰圧呼 吸

 調節呼吸が生体に及ぼす機能的影響就中循環動態に 及ぼす影響が調節呼吸の加圧相と陰圧相の時間的比率 並びに気管内庄曲線の波形によっても異なることは厩 にMotley 3・4)等, Price 5)等によって研究されてい るが,著者の使用した装置ではこれらの点に点ずる吟 味は不可能である.従って本論文における論述はすべ て加圧相と陰圧相の時聞的比率1:1で,気管内圧曲 線は第1図に示した如き曲線であるという限られた条 件を前提としたものである.

 4.調節呼吸の圧,回数及び持続時間

 間歓的陽圧呼吸では吸気相に十10〜40cmH20の圧 を加え,呼気相は血圧に開放,陽陰圧呼吸では吸気相 に十10〜40c胆H:20の陽圧,呼気相に一5〜30c血H20 の陰圧を加えた.呼吸回数は毎分20回前後,調節呼吸

の持続時間は原則として連続2時間とし,特に長時間 続けた場合の形態学的変化を見る目的で数例のものに

は6時間持続した.

 5.開胸例は両側第5肋間で開胸し,開胸器を装着 して肋間を開卸し,胸廓運動を妨げたままの状態で調 節呼吸を行った.

 6.機能的検索

 各部血圧の測定:外頸静脈及び股静脈より心臓 Catheterを挿入, X線透視下にその尖端を右心房,

肺動脈(左右枝の分岐部),肺毛細管(wedge),下大 静脈(第3腰椎の椎体上面の高さ)に達せしめ,各部 位の圧の測定を行った.これらの圧は前腋窩線の高さ を原点として水柱Manometerにより測定し,水銀柱 に換算した.末梢動脈圧は股動脈にCanulaを挿入し て水銀Manometerで測定した.これらの各部位の圧 には多少とも呼吸性の動揺が認められるので,すべて 陽圧相の圧すなわち自然呼吸では呼気時の圧,間歓陽 圧呼吸及び陽陰圧呼吸では吸気時の圧を読むことに統 一した.

 血液の分析=股動脈ふら末梢動脈血を,肺動脈に おいた心臓Catheterから混合静脈血を同時に採取し 夫々血液Gas及びpHの測定に供した.血液Gasの 測定にはVan Slyke氏検圧装置を用い, Van Slyke

&Nei11氏法6)により血中02含量(Vo1%)及び CO2含量(mM/のを測定した.血液のpHは硝子電 極pH計を用いて室温における全血pHを測定し

Rosentha17)あるいは斎藤等8)の係数によって温度補 正を加え38。Cの全血pH:を求めた.

 呼吸気の測定:呼気及び吸気の採取は常に血液の 採取と同時に,通常3分間行った.自然呼吸の際には 吸気は大気であり,呼気は一方弁を用いてその全量を Douglas Bagに採取した.間心的陽圧呼吸あ際には 吸気は入信呼吸器の吸気回路の途中の二二から直接 Sampling Tubeに採取し,呼気は全量をDouglas Bagに採取した.陽陰圧呼吸の場合に.も吸気は同様に.

吸気回路の途中から採取したが,呼気はこれをDoug・

1as Bagに集めることは出来ないので,呼気回路の途 中でCO2吸収装置のロ側にGas−meterを挿入して 呼気回路の流量を測定して呼気量となし,且つ呼気 SampleをSampling Tubeに採取した.これらGas SampleはVan Slyke&Sendfoy氏9)法或いは Scholander氏10)法によって分析して02含量(Vo1 回目及びCO2含量(Vo1%)を求めた.一方Douglas Bagに集めた呼気はGas・meterでその量を測定し,

同時に測定した気温と気圧によってSTPD(Standafd

Temperature, Pressure and Dry)及びBTPS(Body

(3)

Tempefatufe, Pressure, Satufated with Water Vapor)

に換算した.

 肺循環諸値:の算出:以上の各測定値から次の諸式 を用いて肺循環諸値を算出した.

 02消費量Vo2cc/min(STPD)=換気量1/min     (STPD)×みio(吸気02含量Vol%一呼気     02含量Vo1%)

 1回換気量VT cc/Vent(BTPS)=1000       換気量1/min(BTPS)

       換気数/min

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 7.形態学的検索:所定の実験終了後動物を殺し て肺を易咄,肉眼的及び組織学的に検索した.動物の 屠殺から肺の易咄まではこの操作による肺の欝血及び 損傷を極力避けるように留意した.すなわちThio・

penal Sodium(Ravona1)ある、いは Amobarbital Sodium(Isomita1)急速静注によって心停止を起さ せ,直ちに調節呼吸を停止し,前胸壁を一塊として切 除し,気管内圧を+10cmH20に加圧して肺を膨らま せ気管をclampしてから心肺を一塊として別出し,

肺門部で気管,脈管を結紮して肺を分離し,肺の所見 を肉眼的に観察した.次いで肺を10%Formalin液で 固定,両側肺の平等から組織片をどり,Para価n包埋 後切片としてHematoxilin−Eosin染色を行って検鏡

した.

肺煽動比抵抗dyne/sec. cm−5

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動脈血02飽和度%

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      ×飽和血Ht×100        動脈血Ht  動脈血CO2分圧Paco2,緩衝塩基(BB+)b:

Singe㌃Hastings氏:Nomogram 12)による.

 心搏出量Qt〃min需》io

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 肺毛細管血02飽和度%一混合静脈血02飽和度%

   肺胞毛細管血02飽和度は直接測定出来ない    ので,肺胞毛細管血02分圧=肺胞気02分    圧と仮定して求める

有効肺血流量Q多〃min=心搏出量〃min       ×有効月麺堕率%、、3)

      100 全肺血管抵抗dyne/sec. cm−5

       」極堰圧・mmHg。1332 ・3)

        心搏出量cc/sec

実 験 成 績

 調節呼吸中に死亡した例はなく,全例よく間歓的陽 圧呼吸あるいは陽陰圧呼吸に耐えることが出来た.

 A.機能的検索成績

 1.閉三下における二刀的陽圧呼吸(第1表)

 開胸することなく間欺的陽圧呼吸を行った例につき その機能的変化を自然呼吸時のそれと比較して述べ る,間歓的陽圧呼吸時に用いた圧は+10cmH20程度 のもの6例,+20cmH20程度のもの5例,十30cmH20 以上の大きな圧を用いたもの4例である.   一  換気量は陽圧の平なる程大となり,十10cmH20で

は11.37μ/minである.自然呼吸時の全換気量と比 較すると,十10cmH20では自然呼吸時と大差はなく,

十20cmH20,十30cmH20では自然呼吸時に比して夫 々2.3倍,4.5倍と増大している(第2図).i回換気量 の変化は略ζ同様の傾向を示している.

 02消費量は換気量の増加にもかかわらず間敏的陽 圧呼吸によって殆んど増加しない.従って02摂取は 甚だしく低下し,その程度は加える圧が大なる程著し くなる.いいかえれば肺において吸気中から,02を摂 取する能率が低下している.

 Alveolar Equationによって算出した肺胞気02分

圧は十10cmH20の加圧によって自然呼吸時と殆んど

変りなく,+20cn1H20によって自然呼吸時の101mm

Hgに比して約30%上昇して134mmHgとなる.しか

し一層陽圧を大にしても肺胞気02分圧は上昇を示さ

(4)

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第2、図 閉胸下における調節呼吸    時の全換気量:の変動

十30cmH20

+20cmH20

+10cmH〜O

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    陽圧呼吸 自然呼吸  陽陰圧呼吸

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 有効肺胞換気率は主として肺胞毛細管への血流分布 の良否を現わすものである.間欺的陽圧呼吸ではその・

圧の程度如何にかかわらず有効肺胞換気率は自然呼吸 時に比して低下する.すなわち自然呼吸時44.1%が 十10clnH20間激的陽圧呼吸時には41.6%に;・自然呼 吸時44.1%が+20clnH20間射的陽圧呼吸時には 43・7%に,更に自然呼吸時55.7%が十30cmH:20以 上の間菅野陽圧呼吸では46.9%に低下している.

 有効肺血流率は主として肺胞の換気の良否を表現 するもので,自然呼吸時には70%程度:であるが十10、

cmH20間判的陽圧呼吸の時58・8%で自然呼吸時に及

ばず,一ト20cmH20間漱的陽圧呼吸の時97.2%と著し

く上昇し,十30cmH20以上の間歓的陽圧呼吸の時

95.9%と再び低下の傾向が現われてくる.すなわち有

効肺血流率は+20cmH20間海上陽圧呼吸時に最高値

を示している,       、

(6)

234

 末梢動脈血02含:量は十10cmH20間野薄陽圧呼吸 群において自然呼吸時(13.4Vo1%)より減少して12・3 Vo1%となり,十20clnH20間漱的陽型呼吸群において は自然呼吸時12.5Vol%が14.1 Vo1%と:増加し,

十30crnH20間歓的陽圧呼吸群においては自然呼吸時

12.3Vo1%が14.4 Vol%と:『増加した.

 末梢動脈血02飽和度は十10cmH20間激的陽圧呼 吸群に,おいて79.8%で,自然呼吸時の87.4%よりか なり低下し,十20cmH20,・十30cmH20闇歓的陽圧呼 吸例に.おいて夫々97.5%,96,7%と充分な02飽和 度を示している(第3図),

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第3図 閉門下における調節呼吸時の   末梢動脈血02飽和度の変動

十20cmH20

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,   +20

  _20cmH20

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十20cmH20以上の大きな圧を用いた問漱的陽圧呼吸 例においては平均22mmHgを示しこれらの自然呼吸 時の平均36mmHgに比して低下が著しい(第4図).

 動静脈血02較差は大きな圧;を用いた間歓的陽圧呼 吸時増大する.十10cm:H20聞漱的陽圧呼吸群におい ては動静脈血02較差4.2Vo1%で自然呼吸時と殆ん ど同じく,十20cmH20 i群において7.6 Vol%,十30 cmH:20群において7.9 Vo1%となり,これらの群の 自然呼吸時動静脈血02較差3.4Vo1%,3.6 Vo1%に 比して甚だしく増大している.

 心搏出量は大きな圧を用いた間量的陽圧呼吸に際し て減少する.十10cmH20間激的陽圧呼吸群において

1.70β/min,十20cm:H20群に:おいて1.07μ/min,十30 cmH20群において1.09μ/minで夫々の自然呼吸時の

第4図 劇薬下における調節呼吸時の   混合静脈血02分圧の変動

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第5図 閉胸下における調節呼吸時     の心搏出量の変動

十30cmH20 十20c皿H20

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    +20     _20・mH・O

    自然呼吸 間敏的    自然呼吸 陽陰圧         陽圧呼吸      呼  吸 心搏出量2.34〃min,2.3助/min,2.26β/min:に比して 減少し,殊に+20cmH:20以上の圧を加えた例では減 少が甚だしく,自然呼吸時の施以下になっている(第

5図).

 心搏数の増減は種々で一定の傾向を示さない.

 1回搏出量は心搏出量の増減と同様に間欺的陽圧呼 吸によって減少し,加える圧が大なる程1回搏出量は 少なくなる.すなわち+10cmH20間歓的陽圧呼吸群 において自然呼吸時16.6cc/beatが調節呼吸時11,5 cc/beatに,+20cmH20聞欺的陽圧呼吸群において は15.2cc/beatが8.2cc/beatに,十30cmH20以上 の群においては15.5cc/beatが7.Occ/beatに減少し

た.

 末梢動脈血圧(股動脈圧)は間歓的陽圧呼吸の際に

は加圧の大なる程低下し7+10cmH20間欧的陽圧呼

(7)

吸出において平均10mmHgの低下,+20cmH20例 において平均16mmHgの低下,十30cmH20例にお いては平均25mmHgの低下を示した.

 肺動脈圧は間激的陽圧呼吸によって上昇する.自然 呼吸時の肺動脈圧は平均8.1〜8.6mmHgで,+10 cmH20の間歓的陽圧呼吸群においては肺動脈圧10・7 mmHg, 十20cmH20 i群においては11.1mmHg,十30 cmH20群においては10.7mmHgと上昇した.肺毛 細管圧(wedge pressure)も大きな圧を用いた間激的 陽圧呼吸によって上昇し,+10cmH20間歓的陽圧呼 吸群においては自然呼吸時に比して殆んど変らず,

十20cmH:20群において4.2mmHgが6.OmmHgに,

十30cmH20群において5.1mmHgが8.4mmH:gに夫 々上昇した.

 従って肺動脈圧並びに肺毛細管圧と心搏出量から算 出された全面血管抵抗並びに肺小動脈抵抗は間歓心陽 圧呼吸によって著しく増大している.すなわち全肺血 管抵抗は十iOcmH20間歓的陽圧呼吸群において自然 呼吸時338dyne/sec・cm−5のものが間歓心陽圧呼吸 時には766dyne/sec・cm−5に=,十20cmH20の群に.

おいては281dyne/sec・cm−5が935 dyne/sec・cm−5 に.,十30cmH:20のi群においては333 dyne/sec・cmr5 が777dyne/sec・cr5に夫々増大した.肺小動脈抵 抗は+10cmH20聞歓的陽圧呼吸群に.おいて自然呼吸 時125dyne/sec・cm−5が間漱的陽圧呼吸時には532 dylle/sec.cm−5月目,十20cmH20の群においては233 dylle/sec・cm−5が474 dyne/sec・cm−5に,,十30cm H20の群においては167 dyne/sec・cm−5が275 dyne

/sec・cm−5に夫々増大している.而して肺小動脈抵抗 の増大ど気管内に加える陽圧の大きさの関連をみる

と,大きな陽圧を加えた例では肺魚動脈抵抗の増大は 却って軽度である.これは間隔的陽圧呼吸を行った場 合,肺動脈圧,肺毛細管圧共に上昇するが,後者の上 昇の方が一層著明なため1こ大きな陽圧を加える程肺動 脈一品毛細管の圧勾配は縮小し,肺小動脈抵抗は減少 するものである.

 圧に.対する右室の仕事は間隔的陽圧呼吸によって却 って減少する.すなわち十10cmH20漫雨的陽庄呼吸 例においては自然呼吸時に比して増減種々であり,

十20cmH2d溶血的陽圧呼吸群においては自然呼吸時 4・1joule/minが間歓的陽圧呼吸時には2.8 joule/min に,十30cmH20群においては2.6 joule/minが1.5 joule/minに夫々減少している.閲読的陽圧吸呼によ って肺血管の圧が上昇するにもかかわらず右室の仕事 が減少するのは心搏出量の甚だしい減少に基くもので

ある.

 洋藍的陽圧呼吸による右心への静脈還流の変化を窺 うために数例について下大静脈圧及び右房圧を測定し た.下大静脈圧及び心房圧は共に間歓的陽圧呼吸によ って上昇し,その上昇の程度は後者の方が大である.

従って面心的陽圧呼吸によって下大静脈一急激の圧勾 配は縮小し,且つ大きな陽圧を用いた間漱的陽圧呼吸 程その縮小が著しい(第6図).

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第6図 閉山下における調節呼吸時  の下大静脈一右陽圧勾配の変動

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    陽圧呼吸

自然呼吸  陽陰圧     呼  吸  末梢動脈血の酸塩基平衡を動脈血のpH, CO2分圧,

緩衝塩基についてみると,十10cmH:20間歓的陽圧呼 吸群において自然呼吸時pH 7.38 Paco234mmHg

(BB+)b 45 mEq/μが間漱的陽圧呼吸時にはpH 7.33 Paco241mmHg¢B+)b 45 mEq/βとなって呼吸性 Acidosisを示し,十20cmH20及び十30cmH20間歓 的陽圧呼吸群においてpHは上昇して7.50及び7.45,

Paco2は甚だしく低下して13mmHg,(BB+)bも減少 して36及び35mEq/βとなり呼吸性Alkalosisと代謝 性Acidosisの状態を示している.

 2.閉胸下における陽陰圧呼吸(第2表)

 動物を開胸することなく陽陰圧呼吸を行った例に。つ いてその機能的変化を自然呼吸時と比較すると第2表 の如くである.陽陰圧呼吸に用いた圧は十10,一5〜

10cmH206例,十20,一15〜20cmH204例,十30〜

40,一20〜30cmH204例であり,陽陰圧呼吸の際の 換気数は20回/分である.

 全換気:量は陽陰圧の大なる程大となり+10,一10 cmH20 陽陰圧呼吸群においては平均 4.70〃mim

(BTPS),十20,一20cmH露0群においては6.17β/min,

(8)

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参照

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