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2,3-ジフェニル-4-(4-ヒドロキシフェニル)

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(1)

チ ア ゾ リ ウ ム 塩 の 誘 導 体 の 合 成 と メ ソ イ オ ン 化 反 応 松本忠雄 早津光義

1. 緒

シ ドノンで代表 され るメソイオン化合物の合成は, 今 までに多 くの報告(1)がなされてい る.

しか し,核外負電荷が共役系原子団に非局在す るメソイオン化合物 の合成に関する研究例は 少な く,橋本 ら(2)N‑ニ トロソアニ リノ‑4‑ヒ ドロキシアセ トフェノンで シ ドノン環の形 成を試みたが閉環反応が起 らなかった.

著者 らは,先に2,3‑二置換‑4‑(p‑ヒ ドロキシフェニル)チア ゾリウム塩を合成 しそれ らを塩基で処理 してメソイオン化合物の合成を試みた(3). しか し, 目的のメソイオン化合物 は得 られなかった.そ こで,合成 したチアゾリウム塩の うち一番安定性の高い と思われ る臭 2,3‑ジフェニル‑4‑(4‑ヒ ドロキシフェニル)チアゾリウム(la)を選び,核外負電荷 を起 こす4‑ヒ ドロキシフェニル基の3,5の位置に電子供与性 または電子吸引性の置換基を 導入 した塩を合成 して,メソイオン化反応を試みた.

その結果, 3,5の位置に置換基の入 らない塩 と塩基 との反応では 油状生成物 しか得 られ なかったけれ ど, 3,5の位置に置換基を導入 した塩では, 塩基 との反応により, 安定 した メソイオン化合物の結晶を得ることができた. 本報では,(la)の誘導体塩の生成反応 とそ れ らの塩 と塩基に よる反応で生成 した メソイオン化合物に関 して,置換基の種類に よる生成 物の構造お よび赤外吸収スペ ク トル,紫外吸収スペ ク トルに よる検討も試みた.

2. 結 果 と 考 察

211臭化2,3‑ジ7ェ=ル14‑(3,5‑ジプロムー41ヒ ドElキシフ ェニル)チ7t/リウ (2a)の合成 と反応

原料に用いた (1a)は臭化‑4‑ヒドロキシフェナシル とチオベンズアニ リドを反応 させて 得た. この (la)を水酸化ナ トリウム水溶液中で処理 して, メタノール ・エーテルで再結晶 を試みたが,油状の不安定 な物質を生成 した.

(la)に クロロホルムまたは酢酸中で臭素を反応 させると高収率で(2a)が得 られた.(2a) をナ トリウムメチ ラー トで処理 し,低温減圧下でメタノールを濃縮 し,エーテルを加えて再 結晶す ると黄色針状結晶(2a′)が得 られた.(2a′)はアル コールで再結晶す ると結晶溶媒 を 含んだ赤色の結晶 (2′)に変化 した. また,吸湿性が大 き く金属イオンを含んでいること,

* 昭和5510 11回中部化学関係学協会支部連合秋季大会 (名古見)にて発表

** 一般科 化学 助教授

***一般科 化学 技官

原稿受付 昭和569月30

(2)

42 長野工業高等専門学校紀要 ・第12

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空 室

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(2b)

Scheme1

(2.)

お よび希塩酸,希酢酸で処理す るともとの (2a)に戻 ることな どか ら, (2a')は (2a)がナ トリウムメチ ラー トに よりメソイオン化合物に変化 し,溶媒中の臭化ナ トリウムを包接 した 結 晶を生 じ, アル コールで再結晶の時,臭化ナ トリウムを失なって (2′)を生 じた と考えら れ る (Scheme1).

(2a′)をメタノールで 再結晶 す る と, メタノール2分子を持 った2,3‑ジフェニル‑4 (3,5‑ジプロム‑4‑オキ ソフェニル)チア ゾール(2′)が得 られた.(2′)はアル コール中希 塩酸で処理をすると塩化物の塩 (2b)を与えた.

2‑2 硝酸2,3‑ジ7 ェニルー4‑(3‑ニ トロ‑4‑ヒ ドロキシフ ェニル)チ71/リウム(3C) の合成 と反応

(1a)を水酸化ナ トリウム水溶液中で撹拝す ると, 無色か ら栓赤色に変化 した. 得 られた 赤色粉末(1a′)は メタノールに溶かしェ‑テルで再沈澱を試みたが油状物にな り精製するこ とができなか った.また,(la′)を希塩酸で処理 した ところ,塩化物 (1b)が得 られた. 同 様 に,(1a′)を希硝酸で処理 した ところ,硝酸塩(1C)を得た.以上の反応か ら(1a′)はチア

ゾール環を保持 した不安定なメソイオン化合物か水酸化物であろ うと思われる(Scheme2).

(1b),(lc)は,いずれ も濃硝酸を用いてニ トロ化す ると黄色結晶(3C)を生 じた.(3C)は ナ トリウムエチラー ト,または メタノール中 トリエチルア ミンと処理す ると, 2,3‑ジフェ ニル‑4‑(3‑ニ トロ‑4‑オキ ソフェニル)チア ゾール (3′)を生成 した.(3′)の結晶は再結 晶溶媒 のエタノール含んでいなか った.また,(3′)に希硝酸を反応 させると,もとの塩(3C) に戻 った.

2‑3 硝酸2,3‑ジ7 ェ=Jtr4‑(3‑ニ トロ‑4‑ヒ ドロキシ‑5‑プ ロム7ェニル)チア ゾ リウム (4e)の合成 と反応

(1a)を濃硝酸中で撹拝す ると,一度油状に変化 してか ら, 黄色針状結晶を析出した. こ の結晶は元素分析,赤外線吸収スペ ク トルなどか ら,塩の臭素イオンが濃硝酸によって酸化

(3)

(1cL)

( " o W

hhoH)苧 H0

‑ 0 5

%IpPhhNO3

) 1cIQ

' '

H(lb) cq H.

(3

C ) 意 触 く 3 ' )

HOB駈吏,phhNO3 ( H,A NO

(4C) (4)

Scheme2

されて,反応 した と思われ る(4C)の構造が考 えられ る (Scheme2).これ と同様な反応は ヨウ化物で も見 られた. しか し,塩化物 (1b)では塩素置換体を得 ることができなか った.

(4C)をメタノ‑ル中 ト7)ェチルア ミンで処理 し, ベンジルアル コールで 再結晶す ると, ベ ンジルアル コール2分子を持 ったオ レンジ色の結晶2,3‑ジフェニル‑4‑(3‑ニ トロ‑4‑

オキソー5‑プロムフェニル)チアゾール (4′)を生成 した.

(4′)は希塩酸,希硝酸,希臭化水素酸でそれぞれ もとの塩に戻る.

2‑4 壇 とメソイオン生成物の性質

合成 した 塩 と そ の 塩を塩基で処理 して得た メソイオン化合物の 性状, 収率, 分析値を Table1,2に示 した.(2′)の結晶は,再結晶溶媒が メタノールとェクノールに より, それ ぞれの溶媒を持つ異なった結晶を生成 した.しか し,いずれ も減圧高温で乾燥す ると赤色粉 末に変化 し,結晶溶媒を失 って同一の メソイオ ン化合物になることが判った.

塩 とその メソイオン化合物の赤外吸収スペク トルを Fig.1,2,3に示 した.

(2a)(2′)では, フェノール性水酸基による3200cm1の吸収が弱ま り,アンモニウム 四級塩による2900cm‑1の吸収がな くなっている. 新たに結晶溶媒 メタノ‑ルの もの と思わ れ る水酸基の吸収が3340cm‑1に表われている. 7ェノ‑ル性水酸基か らメソイオン塾に変 化 してみ られ るオキソの吸収が明 らかではない.1630cm 1の弱い吸収が それに相当す るで あろ うか.

(3C)(3′)では,硝酸イオンに よる1300‑1400cm1の吸収がな くな り, フェノール性 水酸基の3250cm1, アンモこ.ウム四級塩の2900cm1な ども無 くなっている. しか し, 新 たなオキソの吸収が認め られなかった.

(4C)(4′)では, 硝酸イオンの1380cm1, アンモニウム四級塩の2300cm1, フェノ ール性水酸基の3180cm1の吸収が消滅 しているか弱 まっている. 結晶溶媒のベ ンジルアル コールの水酸基による吸収が3250cm1に表われている. オキ ソに よる新たな吸収は見 られ なかった.

(4)

44 長野工業高等専門学校紀要 ・第12

Table1. Propertiesof2,3Diphenyl一ト (4‑hydroxyphenyl)tiazolium SaltDerivatives

H O 紬

I

x

co‑pd・ RI RB X Appearance Y笈1d ycp cAm l H3gSg‑N 1a H H Br Colorlessprisms 66 2631264

1b H CI Colorlessprisms 62 281 lc H H NOB Colorlessprisms 82 225 2a Br Br Br Colorlessprisms 62 314 2b Br Br CI Colorlessprisms 56 310311 2c Br Br NO8 Colorlessprisms 69 289290 3c NO2 H NOB Paleyellow prisms 67 183 4a NO2 Br Br Yellow prisms 76 297300 4b NO2 Br CI Yellow prisms 79 272 4c NO2 Br NO3 Yellow needles 76 209

819324373719815402043478014466007612670133337722225599555588

803141984966960418533944314486652466988743444422222233222222

76531730577486310065244982440158463255581188344488557777118866666644444455445544

Table2. Propertiesof2,3DiphenylA14oXophenyl)tiazoleDerivatives

co‑pounds Appearance Y穿 d ycp Acnal

o h j

Lpphh

(2')

o S 2 BN ( 3 1 ) ̲ ‑ ; h h

o

'P T E)N=pPhh

(41)

Recryst.CHaOH

(CH80H)2 Redprisms Dry70oC/lolTorr,Redpowder

4br.

Re(C2crH5ys0H)t・C2H50H Redprisms DryllOoC/lollTorr,Redpowder

4br.

14735556222294595989788685863322332221676017015738570011011155555555

534622

65

Recryst・C2H50H Yellow prisms 59 2481249喜言霊 …:7日 :

Recryst. C6HSCH30H

(C8H5CH20H)2 orangeneedles73 296 3:g 呈:34: 呈:

(5)

塩 とその メソイオン化合物の紫外吸収スペ ク トルを Fig.4,5,6に示 した.

(2a) と (2′)では,最大吸収の波長が300nmか ら308nmにシフ トしていること,お よ びモル吸収率の増大がみ られ ることかち塩か らメソイオン化合物への分子内の共役系が増 し ているように思われる. また一番長波長側 の吸収が ピT)ジン溶媒の480nmか らアル コール 溶媒 の376nm‑ ブルーシフ トしてお りn一打遷移を起 こしてい るもの と思われ る.

NOISSrNSNV1Nu3缶d

Fig・1 Infraredspectraof2・31DiphenylA135Jibrom041X.Ophenyl)thiazole'(2') andHBrSalt(2a)

NOISSH∑SNV∝11NuU∝山d

3500 3∝0 2500 2000 18CO 1600 1400 12CO 1000 eICX) 650

FREQUENCY(crnl

Fig.2 Infraredspectraof2,3Dipheny14131nitr04oXophenyl)thiazole(3') andHNOsSalt(3C)

(6)

長野工業高等専門学校紀要 ・第12

NOSSZYGN

方‑ト

トNH)臣

Fig.3 Infraredspectraof2,31Diphenyll4‑(3nitro4やⅩ015‑bromophenyl)thiazole (4')andHNOaSalt(4C)

2.5

250 3)

^(nJ,n) 350 L.(X)

Fig.4 Ultravioletabsorptionof2,3‑Diph・

enylA‑(3,5‑dibromoA‑oxophenyl) thiazole(2′)andHBrSalt(2a)

Fig.5 Ultr?violetabsorptionof2,3Diph

eny14‑13nitroィl寸ⅩOphenyl)thiazole (3')andHNOaSalt(3C)

(7)

(3C)と(3′)では,最大吸収波291‑292nm ほとん ど変化 していないが, 新たに396nmの 長 波長側に吸収が表われている. これ も共役系が増

した ことを裏づけている.

(4C)(4′)で は, 吸収の波長が いずれ も長 波長側へシフ トしてお り,モル吸収率 も増大 して 共役系が増 している.

3.

3‑1 臭化2,3‑ジフ

ニル‑4‑(4‑ヒ ドP

キシフェニル)チ7ゾリウム(1a)

チオベンツアニ リド5.0g(23m mol)と臭化4 ヒ ドロキシフェナシル5.0g (23m mol)を乾燥ベ ンゼン 100mgに溶か し,水浴上で2時間還流 した.

反応後ベンゼンを留去 し,生 じた黒色沈澱物をア セ トンで洗 うと白色粉末が得 られた. これを活性 炭で処理 してエ タノールで再結晶 した と こ ろ, mp263‑264oCの無色の結晶(la)6.2gを得た.

(1b), (lc)は (1a)を水酸化ナ トリウム水溶液 で処理 して生成 した (1a′)をメタノールに溶か し,

Fig.6 Ultraviolet absorptionof 2,3Diphenyll4(3nitroA一つⅩ05 bromophenyl)thiazole(41)and HNO3 Salt(4C)

それぞれ希塩酸,希硝酸を加えて生成 し た塩をエタノールで再結晶して得た.

3‑2 臭化2,3‑ジフェニル‑4‑(3,5‑ジ7ロム‑4‑ヒ ドロキシフェニル)チアゾリウ (2a)

(la)1.0g(2m mol)を 50mgの クロロホルムに入れ懸濁す る.これに臭素0.8g(5m mol) を 10mgの クロロホルムに溶か した溶液を徐々に滴下す ると, 反応溶液は透明な赤色になる.

室温で撹拝を続けると,黄色沈澱を生 じ, これをメタノールで再結晶す ると, mp314oCの 無色の結晶(2a)0.85gを得た.(2b), (2C)は (2a)を塩基で処理 して生成 した (2′)をエ タノールに溶か し,それぞれ希塩酸,希硝酸を加えて生 じた沈澱をメタノール より再結晶し て得た.

3‑3 硝酸2,3‑ジフ

ニル‑4‑(31ニ トロ‑4‑ヒ ドロキシ7ェニル)チ71/リウム(3C) (1a)1g (2.4m mol)を 50mgの水に懸濁 させ,10%水酸化ナ トリウム水溶液lmJを加 えて撹拝す ると,無色の結晶が鐙黄色に変化 し, これをろ別 してアセ トンで洗 うと燈赤色の 粉末 (1a')0.7gを得た.(1a′)はメタノールで溶か し,エーテルまたは石油エーテルで再 沈澱を試みたが, 不安定な油状物質を生 じ精製することができなか った・.しか し粗生製の (1a′)を空気中に放置 しても変化が見 られず,‑ロゲン反応のない mp180‑182oC の結晶 で安定 している.(1a′)1gをェクノール10mgに溶か し, 6N‑硝酸 1mgを加えて撹拝す る と沈澱を生 じ, エタノールで 再結晶す ると, mp225oCの無色の結晶 (1C)0.9gを得た.

(1C)llg (2.5m mol)を過剰の濃硝酸5mlK加えると, 油状になって溶解 した後,沈澱物 を生成す る.エ タノールで再結晶す ると,mp183oCの淡黄色の結晶 (3C)0.7gを得た,

(8)

48 長野工業高等専門学校紀要 ・第12

3‑4 硝酸2,3‑ジフ ェニル‑4‑(31ニ トロ‑4‑ヒ ドE)キシ15‑7E)ム7ェニル)チアt/ リウム (4C)

(1a)1g (2.4m mol)を過剰の濃硝酸5mgに加え常温で 撹拝す ると,結晶は油状に変化 しやがて黄色沈澱を生ず る. メタノールで再結晶す ると, mp209oCの黄色針状結晶 (4C) 1.2gを得た.(4a),,(4b)は (4C)をアルカ リ処理 して生成す る(4′)を メタノールに溶か ,し,それぞれに臭化水素酸,塩酸を反応 させ,生成物を メタノールで再結晶 して得た.

3‑5 、2,3‑ジフ ェニルー4⊥(3,5‑ジ7ロム‑4‑オキソフ ェニル)チアゾール (2′) 無水 メタノ 「ル30m 0・04g(18mmol)の金属ナ トリウムを加えた溶液へ 40mgの 寒水 メタノールに1g(18m mol)の (2a)を溶か した溶液を加えて,30分撹拝 した後, メ タノ‑ルを減圧留去で20mlに濃縮 し, 乾燥エーテルを加えて放置す ると,mp211‑213oC の黄色針状結晶 (2a′)0.6gを得た.(2a')を メタノールで再結晶す ると, メタノール2 子を持 ったmp245oCの赤色結晶 (2′)0.56gを得た. また,(2a′)をエタノールで再結晶 す ると,mp263oCの赤色結晶が得 られた.エタノール分子を結晶に持 っていることはNMR スペ ク トノウの7883のメチ′レ基 プp トンのシグTルか ら明 らかであるが,何分子を持つか元 素分析で明 らかにできなかった.

3‑6 2,3‑ジフ ェニル‑4‑(3‑ニ トロ‑4‑オキソフェニル)チアゾール (3′)

無水エタノール20mgに0.03g(1.3m mol) の金属ナ トリウムを加えた溶液へ 20mJの 無水エタノールに0.5g(1.1m mol)の (3C)を溶か した溶液を加えて室温で30分撹拝 した 秩,エタノールを減圧濃縮 してこれにエーテルを加えて放置す ると黄色沈澱を生 じた.エタ ノールで再結晶す ると,mp248‑249oCの黄色結晶 (31)0.24gを得た. また, (3C)を メ タノールに溶か し,等モルの トリュチルア ミンを加えて しば らく静置す ると黄色沈澱を生 じ, これをェタノールで再結晶しても (3′)を得 ることができた.

3‑7 2,3‑ジ フ ェ=ル14‑(31ニ トロ‑4‑オ キ ソー5‑7 J=ム フェル)チ7./‑ル

(4)

1.2g(2.3m mol)の (4C)を25mlのメタノールに溶解 し, これにlmlの トリェチルア ミンを加えて室温で しば らく撹拝すると,黄色沈澱0.95gを生 じた. この沈澱をベンジルア ル コールで再結晶す ると,ベ ンジルアル コール2分子を結晶に持 ったmp296oCのオ レンジ 色の針状結晶 (4′)を得た.

4.

2,3‑ジフェニル‑4‑(4‑ヒ ドロキシフェニル)チアゾリウム塩の4‑ヒ ドロキシフェニル 基に電子吸引性のニ トロ基が入 った (3C)は4‑オキ ソの電子を吸引 した 共鳴の関与に よ り 結晶溶媒を持たずに安定 した メソイオン化合物 (3′)を単離 した. しか し,ニ トロ基 と共に 電子供与性の臭素が入 った (4C)は電子供与性の臭素が二個入 った (2a) と同 じく再結晶溶 媒を結晶に持 って安定 した メソイオン化合物 (4′),(2′)を与えた. また,(2′)は臭化j,I

リウムの塩を持 った結晶 (2a′)を与えた. これ らのことは4‑オキ ソの電子濃度がニ トロ基 のみ入 った (3′)より大 き く,溶媒の極性, 無機塩 との クーロン力に よる結合が生 じて安定 しているものと考え られ る.以上の結果4‑ヒドロキシフェニル基に電子吸引性の置換基が 入 った場合一番安定 してお り,置換基が入 らない場合は再結晶できない不安定な油状物質を

(9)

生 じ,逆に電子供与性の置換基が入 った場合は極性が増すため溶媒や塩 と引き合 って安定度 が増 し結晶を生 じた と思われ る.

終 りに,本研究に多大の御指導 とNMRの測定を していただ い た 信州大学理学部加藤博助 教授,な らびに元素分析を行なっていただいた信州大学工学部伊東祐隆研究室の諸氏に心 よ

り感謝いた します.

(1) M.Ohta and H.Kato."NonbenzenoidAromatics",ed.byJ.P.Snyder,Academic Press,New York (1969),p.117.T.Shiba,H.nato,Bull.Chcm.Soc.Japan,441864 (1971),ibid.46,964(1973).

(2)橋本,大田,日本化学雑誌,80.212(1959).

(3)松本,大田,日本化学雑誌,91,1006(1970).

参照

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