50 目標 2 安全・安心な港湾の実現 【戦略 2-1】命と暮らしを守る港湾の強靱化 (1)港湾機能継続のための災害対応力強化 ①港湾 BCP(※)策定・運用 ・港湾等の社会基盤施設は、地震や津波等の災害が発生した場合でも一定の機能を維持すると ともに、早急な復旧行動が取れるような体制を構築することが求められている。 ・「東北港湾の復旧・復興基本方針」(H23.11 東北港湾の復旧・復興基本方針検討委員会)や、 「港湾における地震津波対策のあり方」(H24.6 交通政策審議会港湾分科会防災部会)におい て、港湾BCPを策定し、港湾の災害対応力を強化することが位置付けられた。 ・国際拠点港湾、重要港湾において、大規模災害時にも関係者が連携して貨物輸送需要に対応 した港湾機能を継続できる体制の構築を目指し、港湾関係者で構成する「港湾機能継続協議会」 を設置し、港湾 BCP の策定と運用を進める。 ・港湾 BCP は、港湾ごとに関係者が協議して策定するとともに、定期的な見直しと訓練等を継続 的に実施し、対応力強化を図ることが必要である。 ・東日本大震災の経験として、大規模災害が発生した場合には近傍の港湾が代替輸送や緊急物 資輸送に利用されるため、それぞれの港湾 BCP に加え、広域的な連携体制づくりも必要である ことが認識された。このため、東北地方整備局が中心となって設置した「東北広域港湾防災対策 協議会」において、資機材の広域調達や他港湾を使った代替ルートの活用等広域的視点から 被災港湾の貨物輸送の補完等、連携体制の構築を進める。 ・建設会社の事業継続計画策定を促進し、港湾の災害対応力強化を図るため、東北地方整備局 港湾空港部では、「災害時建設業事業継続力認定制度」を創設した。建設業の事業継続力を評 価、認定、公表することで港湾関係の災害対応力の向上を図り、災害時における港湾物流機能 の確保に資することが期待される。
※BCP:Business Continuity Plan の略称であり、事業継続計画のこと
・代替輸送港湾として、貨物を 円滑に受け入れ、被災港湾の 需給ギャップ解消。 ※一方で、事前対策が不十分 な場合、早急な輸送ニーズに 対応できず被災港湾の貨物が 扱えないことが想定される。 ・被災港湾で輸送できない貨物は代替 輸送港湾で輸送。 図 2-28 災害時に確保すべき輸送能力 (港湾 BCP における目標) 図 2-29 東北における広域連携のイメージ (仙台塩釜港のコンテナを例とした広域連携) 確保すべき 輸送能力 輸送能力 (対策無し) 輸 送 需 要 ・輸 送 能 力 時間 災害発生 (企業活動の回復)貨物輸送需要 〈港湾BCP〉 需給ギャップ 事前に準備をして輸送 能力を早く回復すること が港湾BCPの取組み
51 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 相馬港 【計画:2バース】 整備中:1バース 未着工:1バース 大船渡港 【計画:なし】 青森港 【計画:2バース】 供用:2バース 船川港 【計画:なし】 秋田港 【計画:2バース】 供 用:1バース 整備中:1バース 酒田港 【計画:2バース】 供 用:1バース 未着工:1バース 仙台塩釜港 石巻港区 【計画:1バース】 未着工:1バース 仙台港区 【計画:3バース】 供用:3バース 塩釜港区 【計画:2バース】 未着工:2バース 八戸港 【計画:1バース】 供用:1バース 久慈港 【計画:1バース】 未着工:1バース 宮古港 【計画:1バース】 未着工:1バース 釜石港 【計画:1バース】 供用:1バース 能代港 【計画:1バース】 未着工:1バース ※平成27年1月末時点 小名浜港 【計画:2バース】 供 用:1バース 整備中:1バース むつ小川原港 【計画:なし】 ● 【具体的戦略】 ●各港湾 BCP、東北広域港湾 BCP の策定と当該 BCP に基づく訓練と改善等、PDCA によるス パイラルアップ ●太平洋側・日本海側等港湾相互間のリダンダンシー確保に向けた広域連携体制の構築 ●隣接する地域ブロック間も含めた広域連携の検討 ●迅速な初動・復旧を支える現場力の構築及び関係機関との連携体制の確立 ●災害時建設業事業継続力認定制度の継続と拡大 ②災害に強い港湾機能の充実 ②-1 施設の耐震化、液状化対策 ・港湾において、地震災害発生後に物流機能を速やかに回復させるためには、港湾施設の耐震 性の強化が不可欠である。 ・東北地方の港湾において計画されている耐震強化岸壁のうち、整備が完了または整備中の割 合は約 62%に留まっている。 ・背後立地企業の利用状況や背後圏人口等を考慮して、港湾施設の耐震強化を推進する必要 がある。 【具体的戦略】 ●港湾BCPや地域防災計画を踏まえた耐震強化岸壁の整備と災害対応力の強化 ②-2 防波堤の粘り強い構造化 ・東日本大震災による津波で防波堤が倒壊したのは、津波波力に対して十分な安定性を確保で きなかったことや、越流により防波堤背後の基礎や海底地盤が洗掘されることにより安定性を失 ったこと等が原因であることが明らかとなった。 図 2-30 耐震強化岸壁の計画と整備状況(東北地方の重要港湾以上)
52 ・これからの防波堤は、損傷を受けても倒壊はしない、粘り強く効果を発揮する構造であることが 求められる。そのため、越流の方向を変える効果がある上部工パラペット化、洗掘流に抵抗する ための被覆ブロックの設置による対策等が考えられる。 ・別の被災要因と考えられる、防波堤基礎マウンド中に発生する浸透流のメカニズムや浸透流、 間隙水圧に対する対策手法については未だ明確となっておらず、その解明と対策手法の検討 を進めていくことが、今後の減災に向けた取組みとして求められる。 ・また、偶発波浪に対する港湾構造物の耐久力照査も重要である。 【具体的戦略】 ●東日本大震災において得られた新たな知見を港湾構造物の設計へ反映 ●未解明な被災メカニズムの解明及び対策工法開発への取組み推進 ●偶発波浪に対する港湾構造物の耐久力照査及びその対策への取組み推進 ②-3 災害に強い防災拠点の形成 ・緊急物資輸送に対応できる耐震強化岸壁の背後には、救助活動や復旧活動の拠点となる緑地 等の公共用地が配置される必要がある。 ・自治体が進めている防災拠点整備の取組みに対し、情報収集と積極的な働きかけを行い、災 害発生時の港湾の果たす役割等、港湾物流の重要性について周知が必要である。 ・災害時の活動拠点及び緊急物資の中継基地等として、広域防災拠点の整備が求められている。 広域防災拠点の立地に関して、港湾、空港、高規格道路、鉄道等の交通インフラとのアクセス性 が重要であり、港湾においては広域防災拠点との連携が必要である。 【具体的戦略】 ●港湾物流の重要性を踏まえた平時・災害時の防災拠点の在り方の検討と地域防災計画への 反映 ●港湾における防災拠点の整備 ●広域防災拠点との連携体制の構築 図 2-31 粘り強い防波堤構造のイメージ
53 ②-4 非常時にも対応可能な港湾機能の確保 ・東日本大震災においては、太平洋側の港湾機能停止に伴い、灯油やガソリン等が不足し、緊急 車両や支援物資の輸送にも支障が出た。大規模な地震や津波が発生しても、ライフラインとなる 貨物の取扱いが維持もしくは早期に復旧できるよう、施設整備及び体制の構築を進める必要が ある。 ・また、東北地方に3箇所ある石油備蓄基地の緊急時の払出し等の要請にも対応できるよう、施設 と体制を整備しておく必要がある。 ・太陽光や風力等の再生可能エネルギーによる発電は、独立した電源であるため、蓄電設備と組 み合わせることにより、非常時においても電力供給を可能とするシステムとして災害に強い港づく りに貢献することから、導入に向けた検討を進める必要がある。 ・船舶の座礁事故や荷役中の事故による油流出への迅速な対応に向けた体制づくりが必要であ る。 【具体的戦略】 ●緊急時のエネルギー輸送のための港湾整備 ●再生可能エネルギーを活用した港湾施設への非常用電源の確保 合同会社JRE酒田風力 庄内風力発電(株) エコ・パワー(株) (株)庄内環境エネルギー 風力発電の概要 酒田共同火力発電 (株)ウインドパワーさかた 事 業 者 名 最大発電容量 備 考 合同会社JRE酒田風力 2,000kW × 8基 = 16,000kW ジャパン・リニューアブル・エナジー(株)[100%出資] エコ・パワー(株) 1,500kW × 1基 = 1,500kW コスモエンジニアリング(株)、コスモ石油(株)など 庄内風力発電(株) 600kW × 3基 = 1,800kW (株)日立エンジニアリング・アンド・サービス、加藤総業(㈱)など (株)庄内環境エネルギー 1,990kW × 1基 = 1,990kW 加藤総業(株)[80%出資)、 (株)日立エンジニアリング・アンド・サービス[20%出資] 1,990kW × 1基 = 1,990kW (株)ウインドパワーさかた 1,990kW × 1基 = 1,990kW 加藤総業(株)[100%出資] メガソーラー 山形県 が公募した風力発電 が設置可能な区域 図 2-32 風力発電施設の立地状況(酒田港)
54 (2) 生活や働く場の安全・安心の確保 ①津波・高潮対策施設の機能強化 ・港湾の背後は、人口、資産等の集積が高いことから、津波、高潮等の災害から守ることが非常に 重要である。 ・近年は、勢力を保った台風の襲来や集中豪雨等、異常気象とも言える現象が頻発しており、高 潮被害の危険性も高まっている。 ・沿岸の港湾海岸においては、数十年から百数十年に一度発生する可能性のある「発生頻度の 高い津波(L1津波)」を対象に、ハード対策による生命・財産の安全確保を前提とする防護ライ ンを整備する必要がある。 ・海岸保全施設の整備、ハザードマップ等の作成にあたっては、地域と連携しながら、津波・高潮 対策施設の機能強化を進めることが求められている。 【具体的戦略】 ●港湾機能と市街地を防護するためのL1津波・高潮に対する地域と連携した防護ラインの整備 ②GPS波浪計の観測データを活用した津波等への対策の推進 ・港湾整備に必要な沖合の波浪情報を取得する目的で設置されたGPS波浪計は、地震発生時 には沖合での津波観測も可能であることから、観測データを気象庁にリアルタイムで提供し、気 象庁が発表する津波観測情報や警報発令等に活用されている。 ・GPS波浪計は、東北地方の沿岸の沖合約 20km に計10基設置されており、観測された津波は、 「東北地方津波防災支援システム」により東北沿岸自治体に対し情報提供が可能である。また、 メール配信機能も備えており、避難勧告・避難指示への情報活用が可能となっている。 湾口防波堤 防潮堤 避難路 T.P 8m T.P 6.1m T.P 5.1m 湾口防波堤により湾内に進入する 津波の流量・流速がカットされる。 防潮堤を超えた津波は避難 路によりさらに減衰される。 最大クラスの津波 国道 L1津波 T.P 5.1m T.P 6 .1m L2津波 図 2-33 釜石港における多重防護による津波被害低減(防潮堤と避難路の位置関係)
55 ・津波による災害から東北沿岸住民の生命や財産を守るため、自治体への的確な情報配信や本 システムの利活用を促進することが求められている。 ・GPS 波浪計を活用した観測システムの高度化を目指すとともに、求められる重要性に鑑み、保 守管理を着実に実施していくことが求められる。 【具体的戦略】 ●沿岸自治体へ速やかに津波情報を配信する「東北地方津波防災支援システム」の利活用の 取組み推進 ●GPS波浪計の保守、維持、更新の着実な実施 ●更なる信頼性向上に向けた新たな観測システムの構築 ③港湾の就労者や利用者等における津波避難対策の推進 ・堤外地とならざるを得ない港頭地区や、数百年から千年に一度発生する可能性のある「最大クラ スの津波(L2津波)」に対しては、ソフト対策による人命の安全確保が重要である。 ・太平洋沿岸の港湾海岸においては、東日本大震災を踏まえて新たに示された設計津波の水位 を基に、L1津波・高潮を対象に海岸保全施設全般の見直しが行われている。 ・日本海側港湾においては、「日本海における大規模地震に関する調査検討会」の発表を基に 新たに設定される L1津波において防護ラインの検討及び必要に応じた対策が求められる。 【具体的戦略】 ●堤外地における避難困難区域や、L2津波に対する避難施設の整備 ●「港湾の津波避難対策に関するガイドライン」に基づく、あらゆる津波から安全かつ迅速に避難 できる対策の推進 津波発生 約60秒後 【沿岸市町村 災害対策本部】 【WEB配信画面】 【メール配信内容】 現地では 【気象庁】 津波注意報・警報発令 地震発生 +0.3m -0.3m GPS波浪計で潮位偏差 ±30cmを超過すると・・・ 【GPS波浪計】 沖合の津波の観測を直接伝え ることにより、迅速な避難を促す (住民の避難率向上) 【現場(沿岸)】 現地災害対応要員の避難の 判断に活用(2次被害防止) 東北地方津波防災支援システム ○○市災害対策本部 図 2-34 東北地方津波防災支援システムの概要
56 (3) 震災対応のノウハウの蓄積と共有、教訓の伝承 ・震災の経験や避難行動の重要性は、時間とともに風化してしまうことが危惧される一方で、今回 の震災は、情報端末の浸透による映像記録が数多く、発生メカニズムに関する研究から津々 浦々の被災状況に関するデータに至るまで、詳細な形で残されていることが特徴と言える。 ・東北地方整備局のホームページでは、ポータルサイト「震災伝承館」で東日本大震災の各種震 災記録の閲覧が可能となっている。 ・震災後の対応は、今後の防災に加え、発災時の対応のノウハウとして貴重な情報となる。マスコ ミや広報誌等へ掲載された情報を体系的に整理し、今後の対応に備えるとともに、震災を経験し ていない世代へ伝承していくことが必要である。 ・東日本大震災により、東北の港湾関係者は、航路や道路の啓開、施設の応急復旧や災害支援 の緊急物資輸送等、これまで経験したことのない対応を迫られることになった。 ・東北地方整備局では、東日本大震災の「経験知」を共有し、シナリオのない、最もシビアな決断 を迫られる最初の一週間を乗り切るための指針とすることを目的に、社会資本の整備・管理を担 当する組織の指揮官が心得ておくべき「災害初動期の指揮心得」(H25.3)をまとめた。 ・これらの情報やノウハウを体系的にとりまとめ、共有し、伝承していくことが必要である。 ・小中学生や地域住民による港見学会等、教育機関や地域との関わりの中で、港湾の関係者が 震災時にどう対応したか、市民はどう行動すべきかといった教訓の伝承も重要である。 【概念図】 車道 港 湾区域 防 潮堤 T.P + 10.4 m ( 新設) 避難施設 宮 古 市 指 定 避 難 所 海 岸堤防 ( 防潮堤) 道の駅 みなとオアシス みやこ 魚市場 避難施設 防潮堤 宮古市指定 避難所 閉伊川水門 魚市場 道の駅 みなとオアシス みやこ 出崎地区 図 2-35 宮古港における避難施設の整備例
57 【具体的戦略】 ●震災関係の記事(新聞、雑誌等)の蓄積 ●震災関係映像の蓄積 ●港湾視察や社会見学の対応における港湾関係者の震災時の取組みの紹介 (4)首都直下や南海トラフ等の巨大地震等に対する支援体制の構築 ①緊急物資輸送・復旧資材確保等、初動体制の強化 ・切迫性が指摘されている首都直下、南海トラフを震源とする地震等で災害が発生した場合、被 災地域のみならず、我が国全体の産業・物流活動に甚大な影響を及ぼすことが懸念される。 ・東北地方整備局は、東北ブロックの国土交通省地方支分部局や関係機関と連携し、南海トラフ 巨大地震が発生した際の緊急的な対応について、「南海トラフ巨大地震対策計画 東北ブロック 地域対策計画(第 1 版)」を策定した(H26.3)。 ・平時からの準備として、TEC-FORCE(※1)、リエゾン(※2)等の要員や資機材の確保、建設業者等 協定締結団体等の関係機関との連絡体制の構築、燃料の確保・調達・輸送等、支援活動可能 な体制づくりが求められている。 ・広域的な支援物資の輸送を支えるため、物資輸送上重要な施設の耐震化、海上輸送ルート、 太平洋と日本海の2面を活かした相互連携、代替港湾利用にかかる関係者間の体制構築等を 推進する必要がある。 ・東日本大震災時には、既存航路の柔軟な対応により緊急物資輸送等に有効活用された事例が ある。港湾 BCP においては、既存航路等の付加的な役割について想定し、災害時における有 効活用について検討していくことが必要である。 【具体的戦略】 ●TEC-FORCE、リエゾン等の要員と資機材の確保、建設業者等協定締結団体等の関係機関と の連絡体制の構築 ●燃料の確保・調達・輸送等、支援活動可能な体制の構築 ●広域的な支援物資の輸送を支えるため、物資輸送上重要な施設の耐震化、海上輸送ルート、 代替港湾利用に係る関係者間の体制構築等の推進
※1TEC-FORCE(Technical Emergency Control Force):緊急災害対策派遣隊として、大規模な自然災害に際 して被災状況の把握や被災地方自治体の支援を行い、被災地の早期復旧のための技術支援を実施する。 ※2 リエゾン:被災自治体支援班として、被災直後から先行的に派遣し、被災状況や被災自治体の支援ニーズ
を把握し伝達するほか、自治体業務の支援を実施する。
58 ②がれきの広域処理に関する取組み ・東日本大震災により、被災地では岩手・宮城・福島の3県だけでも約2,800万㌧の津波堆積物、 災害廃棄物等が発生した。これらの災害廃棄物等は仮置場に集積され、分別や焼却の処理が なされた。一部の災害廃棄物等は他地域の自治体での広域処理も行われた。 ・中央防災会議首都直下地震対策ワーキンググループ報告書(H25.12)によると、近年、発生の 切迫性が高まっている首都直下地震においては、最大で9,800万㌧の災害廃棄物が発生すると 予想されており、事前の備えとして関係機関による広域連携体制の構築が求められている。 【具体的戦略】 ●関係機関と連携した広域処理方法の検討 再生利用 焼却 埋立 16,062 2,384 1,232 (82%) (12%) (6%) 9,990 - 114 (99%) (1%) 11,016 36 6 災害廃棄物 津波堆積物 都道府県数 市町村数 災害廃棄物等 発生量(千トン) 処理の内訳 13 239 20,188 太平洋側 港湾 日本海側 港湾 東北広域港湾BCP等に よる連携 バックアップ機能・支援機能 ○TEC-FORCE等の要員の確保 ○資機材の確保 ○建設業者等協定締結団体との 連携体制の構築 ○支援活動が可能な体制の構築 ○輸送ルートの確保 等 図 2-37 太平洋・日本海2軸構造における防災面での活用イメージ 表 2-1 東日本大震災における災害廃棄物全体の処理状況 出典:環境省HP
59 【戦略 2-2】適切な港湾機能を確保するための施設の維持管理 (1)インフラ長寿命化に向けた取組み強化 ①物流環境変化等を踏まえた計画的な維持管理の推進 ・高度経済成長期を中心に集中整備を行ってきた各種港湾施設が、順次老朽化に伴う更新時期 を迎え、それに伴い更新・修繕費用の急激な増大が見込まれている。今後、維持管理計画に基 づいた点検診断・総合評価を行うことにより、施設の損壊等の万一の事故を未然に防ぎ、港湾利 用者の安全・安心の確保及び港湾機能の維持を図ることが重要である。 ・社会情勢や物流動向の変化等を踏まえ、港湾施設の機能集約や利用転換による効率的な港 湾への再編を図りつつ、抜本的な工事が必要となる前に、計画的に更新・修繕を行うことでライ フサイクルの延命化と港全体のライフサイクルコストの縮減を図る “予防保全型維持管理” の推 進が求められている。 ・老朽化施設の更新・改良にあたっては、厳しい財政事情を踏まえ、費用の縮減及び平準化を図 りながら着実に実施していくための予算確保や担い手の育成を含む実施体制の整備が必要とな っている。 【具体的戦略】 ●維持管理計画に基づく点検と予防保全計画に基づく計画的かつ効率的な港湾施設の改良 ●維持管理のための十分な予算の確保と体制の整備、ノウハウを有する担い手の育成 ②港湾機能を確保するための適正な管理の実施 ・深浅測量や定期的な港湾施設の維持点検を実施し、変状確認やその原因究明、対策検討等 につながる調査等を着実に実施するため、東北地方整備局所有の港湾業務艇の一部に搭載さ れているナローマルチ測量装置やROVを積極的に活用することが求められている。 ・船舶航行の安全を確保するため、既定の水深が維持されるよう、日常点検の徹底と必要に応じ た対策の実施が求められている。水深確保のために実施した浚渫によって発生した土砂は、土 地造成や海浜・干潟の造成等への有効活用が期待されている。 【具体的戦略】 ●定期的な港湾施設の維持点検等への官庁保有船の活用推進 ●適切な埋没対策と浚渫土砂の有効活用 効 用 ・ 性 能 標準的供用限界 供用期間 施設の長寿命化 予防保全型維持管理 更新工事 (コスト小) 当初のライフサイクル(設計供用期間) 抜本的な 更新工事 (コスト大) 従来の維持管理 図 2-38 予防保全型維持管理の概念図
60 (2)効率的な維持管理に向けた技術開発 ・維持管理計画に基づく適正な維持・補修や予防保全計画に基づく改良・更新を着実に進めて いくためには、個別事象を踏まえ、調査、評価から補修まで必要な技術開発を進めていく必要が ある。 ・効率的かつ低コストな維持管理を実現するためには、構造物の設計段階から、ライフサイクルコ ストを考慮した検討を行う必要がある。 ・港湾構造物は、自然災害を含む様々な外力にさらされ、変状や機能低下を招く恐れがあること から、これらの原因究明と補修工法、対策工法の検討・技術開発が必要である。 【具体的戦略】 ●老朽化を判断するための調査手法、港湾構造物の補修技術、劣化予測手法等の維持管理技 術の開発推進 ●ライフサイクルコスト縮減に向けた港湾構造物の検討、設計への反映 ●港湾構造物の被災・変状の原因究明やその対策工法の開発・実施 ●埋没メカニズムの解明及び埋没対策工法の技術開発 ●港湾の利用を妨げない補修改良技術の開発・実施 ナローマルチビーム測量における異常点の状況 新設タイ材 既設控え杭 新設控え杭 既設タイ材 矢板切断 腹起設置 コンテナヤード TVモニター 操作盤 上屋 掘削工 小口径推進機 (沖側) (陸側) 震災がれき 図 2-39 ナローマルチビームによる調査結果
図 2-40 ROV(Remotely Operated Vehicle)本体と探査事例
図 2-41 二段タイ材地下施工法の開発 (既設タイ材と新設タイ材の両方を活用) 図 2-42 航路埋没対策工の実施 (潜堤とポケット浚渫の組み合わせ) ROV本体 探査事例 (矢板岸壁の目視確認)