香 川 大 学 経 済 論 叢 第73巻 第 1号 2000年 6月 149-196
ネットワーク活用による
スピード経営の戦略展開
1 . は じ め に
原 田
保
佐 堀 大 輔
インターネットの世界的な広がりを背景に,グローパル競争が一段と進展し 激しさを増すなか,市場の変化を先取りし,顧客ニーズに対応した行動を迅速 に行える企業のみが勝者になれる権利を得ることができる時代になってきた。 迅速に対応するにはIT
,すなわち情報技術の活用が欠かせない。また,これま でのような一企業単位での行動,あるいは従来からある系列内での行動ではな く,広く一般企業の参加も踏まえたオープン型のネットワーク型経営へのシフ トが望まれている。 ネットワークという言葉は,自律的な主体聞におけるゆるやかな連帯のこと を意味する。社会が進化すればするほど個々の組織,あるいは個人の専門化が 進展することになり,その差異化が連帯を生み,さらに社会の成熟化が進むと 連帯のあり方も変わってくる。 ネットワーク型の経営に転換していくということは,自律的な主体間におけ る連帯をマネジメントしていくことであり,これまでのような経営の概念を変 えていくことが望まれる。すなわち,ネットワーク型の経営では,複数の企業 がお互いに自分の持ち味を活かし,全体を構成するパートをしっかりと演じる ことが大事であると同時に個々の組織が連帯した全体構造の最適化を意識した 取り組みが欠かせなくなる。また,そのためには企業聞にまたがって情報を共 有する仕組みとそのための技術も必要である。 本稿では,上述の観点、から企業において情報システムがどのように推移して150- 香川大学経済論叢 150 きたかを述べるとともに,経営のスピードを向上させるために企業が取り組ま なければならないことに言及し,さらにこれからのネットワーク型経営におけ る企業聞のあり方についてスピード経営の観点から考察していく。
2
.
企業内におけるスピード経営への戦略的対応
今後企業聞におけるネットワーク化は避けられないが,経営のスピード向上 をもたらす経営イノベーションは企業内における経営イノベーションと企業聞 にまたがって行われる経営イノベーションとに分かれる。そこで,この章では まず情報システムの発展経営について述べ,次に企業内イノベーションの4つ のイノベーションを取り上げ,その中でもビジネスプロセスと情報活用を中心 に論述を行ってみる。なお,企業聞における経営イノベーションについては次 章において論述を行う。 2..1 企業内情報システムの発展経緯 スピード経営について語るときに情報システムを抜きに話を進めることはで きない。そこで,企業の経営のスピード向上という観点からどのように情報シ ステムが貰献してきたかをそのコンセプトの発生』買にあげてみる。 ①ADP (
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Data P
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:自動データ処理)1
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年代前半に登場したコンセプトであり,コンピュータがビジネスに 使用されるようになって最初に現れたコンセプトでもある。それまで手作 業で行っていた業務をコンピュータで置き換えることの総称である。もと もとの目的は事務費用の削減であったが,入手をかけて行っていた作業を 機械化することにより,その処理由体はスピードアップされた。しかし, 実際のシステムは拠点に設置されたコンピュータによって構造的なトラン ザ、クションをパッチ処理することにとどまっていたため,経営のスピード 向上という概念は乏しかった。 ②IDP (
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Data P
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::統合デ」タ処理) 次に1
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年代後半から登場してきたコンセプトである。これはデジタル151 キットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -151-データ伝送技術の発達により,別々に行われていたトランザクションデー タをオンラインシステムで集中して処理することで統合化しようとしたも のである。これは
ADP
に比較するとオンライン化により距離の概念を一 部払拭させた点で経営のスピード化には貢献しているものの,やはりこれ もADP
同様に構造的なデータ処理の機械化による省力化および経費削減 の意味合いが強しこれもやはりADP
同様にスピードという概念は乏し かった。 ③MIS (
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::経営情報システム)MIS
は1
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年代の半ばに登場してきたコンセプトである。機能別に構 築されたサブシステムを統合することで管理者が必要とする情報を,必要 なときに,必要とする形で提供することをめざしたものである。具体的に はデータベース,コミュニケーション,情報検索といった技術を用いて実 現しようとした。このコンセプトになると管理者の意思決定の迅速化とい う概念が入ってくることになるが,残念なことに情報技術の能力不足と意 思決定に必要な情報を管理者に提供できなかったために期待される機能は 実現されなかったために経営のスピード向上には寄与しなかった。 ④DSS (
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:意思決定支援システム)1
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年代の初めから唱えられたコンセプトである。管理者が非構造的ま たは半構造的な問題を柔軟かつ迅速に対応することを支援する意思決定指 向型システムである。人間の意思決定に替えて機械に意思決定させるので はなしあくまで意思決定は人間であり,それを迅速に行えるように支援 しようとするものである。具体的には意思決定者がインターフェースを介 してデータベース,モデルベースと対話しながら問題解決に使うものであ る。現在も多くのシステムがこの流れを汲んでいる。これより経営上の意 思決定のスピード向上に少なからず貢献するようになった。 ⑤S
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:戦略的情報システム)S
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は1
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年代半ばから使用されるようになったコンセプトである。そ れまでのコンセプトであるADP
,IDP
,MIS
のように人が行っていた情報152 香川大学経済論叢 152 処理作業を機械で置き換える置換型利用法や
DSS
のように管理者の意思 決定を支援する支援型利用法とは異なり,CSF(
重要成功要因),価値連鎖, さらにSWOT分析等を用いて競争優位の戦略を実現する情報システムの ことである。これは情報システム自体が企業戦略そのものであり,情報技 術を経営に活かすために情報システム部門とその管理者が経営的観点から 取り組むことが重要であるという考え方を広く普及させることにつながっ た。もちろん,競争優位の戦略というなかにはスピードという概念もその 一部として入ってくる。 ⑥BPR (
B
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:ビジネスプロセスの抜本的改 革)1
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年代初めに登場したコンセプトである。BPR
とはコスト,サービ ス,品質,業務スピードを劇的に改善するために取引の発生から完了する までの一連のビジネスプロセスを根本的にデザインし直すことをいう。業 務プロセスの改革,情報システムの改革,組織改革が一体となったアプロー チが革新的な改革につながるのであり,情報システムはビジネスプロセス を支援するというよりもビジネスプロセスそのものであるという認識が広 がった。その定義の中に具体的に業務のスピードという言葉が入ってくる。 経営スピードの向上が顧客満足ひいては競争優位性につながり,情報技術 とビジネスプロセスとが切っても切れない密接的な関係にあることが認識 されるようになる。 2.,2 スピード志向の経営イノベーション さて,このように推移してきた企業情報システムであるが,グローパノレ化, 規制緩和,金融ビッグパン,顧客満足志向の定着といった昨今の環境の変化に 対して迅速に行動してその事業戦略を実現していくことが求められている。す なわち,現在の経営環境からは情報システムを有効に活用して経営のスピード 向上を大幅に達成させる経営イノベーションが求められているといえる。 経営イノベーションのためにはビジネスプロセスイノベーション,情報活用153 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -153 イノベーション,組織イノベーション,意識イノベーションの4つのイノベー ションが行われる必要がある。ビジネスプロセスイノベーションでは,職能別 仕事単位からプロセス単位への転換,業務遂行のコンカレント化などが,また 情報活用イノベーションでは情報の共有化,情報リテラシーの向上に加えてナ レツジマネジメントの実施などが,組織イノベーションではフラットな動態的
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回哉への転換,権限の下位委譲,職務の多次元化などが,そして意識イノベー ションでは結果重視の成果測定と報酬の決定,生産的な価値観の導入などが求 められることになる。これら 4つのイノベーション項目は別々に機能するもの ではなし相互に関連したものになっている(図表2-1)。そして,これらが うまくシナジー効果を発揮したときに経営スピードの格段の向上が期待され る。 図表2ー 1 経営イノベーションの視点 組織イノベーション-154- 香川大学経済論叢 2“3 ビジネスプロセスイノベーションの進展 2..3..1 日本的経営からの脱却 154 戦後
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0
年に亘って日本経済を支えてきた系列による囲い込みという日本独 特の経営は,グローパルな競争の進展,規制緩和等の影響を受けてあらゆる業 界で崩壊しようとしている。これまで系列という囲い込みのなかで守られてき た企業にとって大変厳しい状況にさらされ,また自ら経営イノベーションを 行っていかなければ生き残りが難しい時代になった。このようななかで生き残 るためには世界に通じる競争力を身につけていかなければならない。そのため のポイントは,まず第一にどこにも負けないだけの競争力をもち,他社からも 魅力的に見える自社の強み,すなわちコアコンピタンスを確立することである。 次に世界に適用するために会計,取り引きルールなどで世界的に標準となって いるグローパルスタンダードに対応できる事業運営体制を構築することであ る。さらには事業の価値を生み出す企業活動の連鎖の流れを見直し,事業の特 性,経営環境に合わせて無駄を排除し市場ニーズに即応できるようにビジネス プロセスを再構築することである。 さて,一番目のコアコンビタンスの確立も二番目のグローパルスタンダード への対応もともに結局はビジネスプロセスの再構築がカギとなる。しかし,ビ ジネスプロセスの再構築を手掛げようとしている日本の企業は以下の場合が多 し=。 ①戦略的な視野が欠けているため,部分的な改善に終わっている。 ② 実施企業独自の活動となっており,関連企業あるいは業界全体の取り組 みになっていなし、 ③情報化の遅れにより情報を戦略的に活用する面で劣っている。 ④ もともとがボトムアップ型の体質のためにトップダウン型のアプローチ によるリーダーシップの発揮が不十分である。 したがって,ビジネスプロセスの再構築はこれらの問題を解決しなければな らない。 日本の企業の多くにとって特徴的なことは間接コストの比率が高いというこ155 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -155-とである。一般管理費の差は価格競争力,ひいては利益に大きく影響をもたら す。これまでは
I
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やVE
といった手法によって仕事を分解し,改善を図るアプ ローチが主体であり,現在はすでに多くの企業で実践されているが,これらは 部分的なプロセスの無駄を排除するには効果的であるが,それだけでは適用し ない状況になっている。 ビジネスプロセスは事業の価値や利益を生み出すメカニズムであると同時 に,顧客満足の視点からはビジネスプロセスそのものがサービスを向上する商 品でもあり得る。したがって,単にビジネスプロセスをカットしたり,圧縮す るだけではなく,抜本的にビジネスプロセスにメスを入れて無駄を排除した形 で価値創造のためのビジネスプロセスをリデザ、インし,情報技術を活用して最 適化するように再構築することが結局はスピード経営につながることになる。2
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3
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2
ERP
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)
の導入 事業構造は業態によって大きく異なる。ここでは代表的な製造業を例にとる と,顧客のニーズに合わせて素早く対応できる製品構造,受注から生産,そし て顧客の手元に届くまでの業務処理構造,顧客にタイムリーに製品を供給する ための生産拠点・物流拠点、構造,スピード経営に対応できる業務基盤・生産基 盤という4
つの領域に区分できる(図表2-2
)
。これら4
つは互いに関連し あっているので,それらを統合して扱うことは当然の如く望ましい。 さて,このような観点からビジネスプロセスを再構築するためにはERP
(
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は重要な武器になる。ERP
とは,アメリカの 生産管理関係の研究団体A
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(
アメリカ生産管理協会)の定義によれば r最 新の情報技術を活用した受注から出荷までの一連のサプライチェーンと管理会 計,財務会計,人事管理を含めた企業の基幹業務を支援する統合情報システム である」ということになる。ERP
はそもそもは生産管理の主要な概念であるMRP (
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::資材所要量計画)をアメリカで発展 させたものである。MRP
は部晶表と基準生産計画という2
つのマスターに基 づいて資材の総所要量を求めるもので,この計算結果をもとに資材の発注,納156ー 香川大学経済論叢 図表2-2 製造業における事業構造デザイン
/
/
/ 経営戦略 / / //
製品構造 ビジネスプロセス 業務基盤}生産基盤 生 産 物 流 拠出、構造 156 入,出庫をコントロールする資材管理システムである。1
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6
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年代後半に登場し, さらに1
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年から1
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年代にかけてはそれまでの資材管理に加えて製造設備 計画,人員計画,物流計画までカバーするMRPI
I
へと発展していった経緯が ある。これが1
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年代に入るとオンラインリアルタイム型の統合生産管理シス テムに変化していった。1
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9
0
年代に入り,MRPI
I
はERP
へとその機能を発展 させて企業内の全経営資源をその管理対象とするようになり,さらにはサプラ イチェーンの管理やグローパルな連結経営もその対象となり,その管理範囲が 広がっていった。 このようにMRP
からの流れを汲むERP
はこのような発展形態をたどって きたのであるが,その一方で会計管理や人事管理を中心にその機能を拡大してMRP I
I
の機能を持ち,さらにERP
へと発展してきたものもある。どちらの発 展経緯をもつかでその特徴には違いがあるものの,ERP
は幅広い業務範囲の機 能をカバーするようになったのである。また,もともとは製造業の購買,生産, 物流,販売,人事,会計といった諸機能を統合するシステムとして発展してき たものであるが,各モジューノレ単位でも使用できることから今では流通業や サービス業にもその適用が拡大している。 さて,事業環境が急激に変化する今日にあってはビジネスプロセスの再構築157 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -157-のスピード自体も求められているので,上述のような機能をもっ
ERP
を活用 するメリットは大きい。その一番のメリットとしては,ひな形が提供されてい るので新しいビジネスプロセスを構築する上で参考にすることができること, 次にすでに実装されているペストプラクティスによりビジネスプロセスの研 究・活用に役立たせることができることである。 一方で,ERP
を採用する場合の問題は,欧米育ちであるため文化,情報シス テム開発環境などの違いがあり,日本独特の仕組みの対応が難しいこと,汎用 性を重視している分,個別の最適化されたシステムに比べると機能不足の面が あること,パッケージにあわせることが必要でトあることから,自社にすでに構 築しているデータベースの見直しが必要になる場合が多く,その場合は新たな 作業が必要になってくるといった点があげられる。 さて,現在ERP
の活用が急増しているが,その背景には大きく2
つの理由が ある。1
つは企業内の事情である。現状のシステムはその企業向けに独自に開 発されたものが主流であったが,いざシステムを見直そうとすると,当時の開 発のドキュメントが不完全であったり,当時の開発者が退社しているなどで, 手直しをするにも支障がある場合が多くなっている。そのため新たにシステム 構築するのであれば,これまでのような独自開発ではなく,標準的なものにし て初めての担当者でも学習しやすいシステムにする必要がある。これは企業の 基幹業務システムに限らず全般的な考え方である。さらに,生産,物流,販売, 会計という幅広い分野のシステムを整合性をとって統合的に開発することが求 められるが,すべての業務にたけていて統合的にデザインできる人材が社内に 少ないこと,進歩の早いITを自ら学習しシステム設計していたのでは時間が かかりすぎて,変化の早い世の中の動きに付いていけないことがあげられる。ERP
には前述したように統合システムのひな形が用意されている。したがっ て,それを参考にして新しい基幹業務システムを構築すれば,ゼロペースから 構築するよりも効率的で迅速に構築できる。 もう一つは,次章で詳しく述べるが,今後の企業活動においてオープン経営 を志向する場合は企業関連携が欠かせなくなり,さまざまな分野で情報共有を158- 香川大学経済論叢 158 していかなければならないが,これまでと同じように独自システムで運用して いたのでは,オープンな環境で広範囲からパートナーを選出することができな いという点があげられる。すなわち,この激しい競争Lの中からより適切なパー トナーを求めるには情報交換が容易になるように情報システムは標準を採用し ておかなければならないということになる。 これらがビジネスプロセスイノベーションを進めようとしている企業が
ERP
採用している理由になっている。 2“4 情報活用イノベーションの進展 2ι..1 知的資本が競争力の源泉 経営ノベーションにおいて欠かせないものの一つは知的資本である。定型的 な作業だけで済むのであれば知的資本が経営のスピードに与える影響は少な い。しかし,企業間競争が激化し,顧客ニーズも多様化している現在にあって は,顧客オリエンテッドな取り組みをしなければ市場での生き残りは厳しい。 極言すれば供給が需要を上回り,顧客一人ひとりのニーズが毎日のように変化 することが当たり前の現代のような時代においては,ワン・ツー・ワン・マー ケティングが中心になる。したがって,もはや定型的な作業だけでは済まなし さまざまな人のノウハウを活用して対応すること,すなわち知的資産を活用で きる環境を構築することが経営課題になりつつある。 2..4刷 2 ナレッジマネジメントの波及 知的資産の活用という観点からはナレッジの量よりもナレッジを多様に組み 合わせることができることがKFS(
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であり,ナレツ ジの組み合わせによって新たなナレツジが創造されるというナレッジのスパイ ラノレ現象が起きるようになる仕組みが大きな効果を生み,企業の競争力の基盤 になる(図表2- 3)。 さて,ナレッジと似たような言葉に,データ,情報,知識,ノウハウ(知恵) というものがある。データは感情や意志といった人間的な部分を排除したもの159 A ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 ¥ ¥ ¥ - . 図表2- 3 知のスパイラル 新しいナレyジの創出 E二二二二二二二コ E -159ー D B であり,日々の事実であるということができる。情報は,そのデータを人聞が 理解できるように編集して意味ある形でまとめたものである。知識は,ある目 的のもとで情報を関連づけて体系化したものである。ノウハウ(知恵)とは, 知識を活用して現実の問題解決を行い,それを通じて調察された固有のルール や法則である。そしてナレツジとはこれらを統合したものであるということが できる。したがって,ナレツジマネジメントとは,情報,知識,ノウハウ(知 恵)を獲得あるいは創出し,それを編集・蓄積,管理・活用という仕組みを作 り上げて組織的に知的資本を強化しようとする活動である。 ナレッジがあることが前提であるが,ナレッジマネジメントにおける情報技 術の役割は非常に大きい。しかし,ナレッジマネジメントは情報システムがあ ればそれで達成されるものではなく,人間系を重視したものでなければならな い。またナレッジマネジメント遂行にあたっては環境を一気に作り上げること
-160ー 香川大学経済論叢 160 はなかなか難しい。そこで段階を経て徐々に行っていく必要がある。 第一に早い段階から共通の理想、とする目標を掲げ,関係者の間でそれを共有 化することである。この目標とするものを早くから対象者に浸透させることが 情報を共有化する第一歩になる。 第こには顧客情報や自社商品情報等の業務情報や担当者の業務内容等のメン ノfー情報を共有することである。これをサーバーで一元管理することで業務情 報を誰でもすぐに利用できる環境にし,メンバ一間でお互いの業務内容を把握 できるようにする。 第三には,外部から流入する他社情報や業界情報,経済情報等を円滑かつ取 捨選択して整理し,関連部門が必要な情報を簡単に検索して得られるような体 制を整えることである。経営活動に外部情報は欠かせないのでこの外部情報を 共有し,すでに共有しである内部情報と含めて活用することで総合的な活動が 可能になる。 第四は,これまでの段階の情報に基づいて活動した結果としての成功事例や 失敗事例をまとめることである。これらをデータベース化して誰でもが参考に することができるようにするとともにルール化し,事前に失敗を防ぐようにす る。成功事例・失敗事例はあくまで結果であるが,そこから得られるエッセン スがノウハウとなって蓄積されていくことが重要である。すなわち,これを共 有し,必要な人が,必要な時に,必要な情報の入手を可能な状態を作りあげる ことである。 さて,ナレッジマネジメントを成果に結び付けていくためには経営トップ主 導によって従来の企業文化/企業風土を改革していくことが必須である。した がって,ナレッジマネジメントは情報システム開発の側面もあるが,業務改革, 組織改革,意識改革の側面も強いといえる。 2“5 意識イノベーションの進展 これまでのキャッチアップ劃経済の工業社会では目的が明確であったため, r~国」としての人間性は無視されてマスとして扱われ r個」は単に単純作業や
161 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 161 定型的な作業を機械的にこなせば良い時代であった。しかし,急速な技術革新, 特に情報通信機器の低価格化とインターネットに代表される情報インフラの進 展により,情報通信環境が整備されてきたことにより仕事のあり方も大きく変 化し,いわゆる単純作業,定型作業の類は大幅に減少しつつある。しかもグロー パノレ化が進む現在にあっては,ビジネスのあらゆる局面において変化のスピー ドが早くなっており,スピード対応が求められている。しかし,従来型の組織 対応では対応に限界があるため,個人の高い仕事能力に依布せざるを得なく なっており,この能力の差が企業の勝敗を分けることも少なくなくなってきて いる。換言すれば,これまで日本企業では否定されてきた「個」の発揮が重視 され,独創的・創造的能力や感性などの人間特有の能力の発揮がますます重要 な時代になってきたのである。その,"{園」の能力を有効に引き出すためには, 個々人の職務の明確化と成果主義による適切な評価に加え,独創性・創造性を 発揮しやすい環境を構築すること,これまでの画一的な存在から「個」を発揮 できるような意識改革を実施することである。このような個人に焦点を当てた マネジメントが先進企業で実施されつつあり,企業の生産性の向上をもたらす 上でますます「個」の存在が重要になってきている。
3
.
企業聞における経営スピードの向上
経営のスピード向上は一企業だけで実践しでも限界がある。グローパノレ的な 競争の激化は企業聞の連携を行わなければ生き残れない状況を現出している。 この章では,企業間連携に関わる事項について経営スピードの向上の観点から 述べる。 3..1 EDI (Electronic Data Interchange:電子データ交換)の重視 EDIとはElectronicData Interchangeを略したもので電子データ交換と訳 される。企業聞においてオンラインで情報を交換するシステムである。EDIには 狭義と広義の定義があり,狭義の定義では r商取引のデータ交換に関する標準 規約に基づく企業間オンラインデータ交換システム」であり,企業聞の取引の-162 香川大学経済論叢 162 総合的な合理化をめざすことを目的とするものである。広義には,さらに商取 引を中心とした経済活動に伴う各種書類の電子データ化による企業間あるいは 企業と行政機関との聞でデータ交換及びデータ保管を行う電子経済社会システ ムを意味する。 もともと
EDI
導入の先駆けは流通業界で使い始めたEOS (
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システムで,1
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年代後半から取り 組みが始まった。当時は標準化されていなかったEDI
も今日ではC
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:産業情報化推進センター)標準が日本国内の製造 業の標準になっている。また,国際的な標準としては国連の欧州経済機構 (ENjECE)
が中心になって進めたUNjEDIFACT
が1SO9
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3
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としても採用されて おり,急速に世界各国で普及し始めている。3
.
.
2
企業間取引に不可欠なE
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EDI
の登場により企業間で行われてきた受発注や物流,請求や支払いなどの 商取引に欠かせない情報は,これまでの対面や電話による口頭伝達や帳票・書 類の交換で行われてきたことがネットワークを介して,正確かつ迅速に相手側 に送り届けられるようになった。その結果,流通の各段階における取引情報の 再入力や入力データのチェックに要する人件費の削減とともに商品在庫の大幅 な削減も可能になり,その結果,①タイムリーな情報更新により正確な業務の 遂行,②業務処理の迅速化,③総合的な戦略的取り組み,といったことが可能 になったのである。2
1
世紀に大きく発展するといわれているEC(
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Commerce)
には, 代表的なものに企業対企業の取引であるBtoB
,企業対行政機関の取引であるB t
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,企業対消費者の取引であるBt
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,そして個人対個人の取引であるC t
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C
がある。そのなかでもBtoB
の市場規模は日本でも2
0
0
3
年に6
8
兆円 という巨大な市場規模になることが予想されてい2
が,そのBt
o
B
とBtoG
(1) 通産省,アンダーセンコンサルティングによる調査結果, 1999/3163 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -163-の電子商取引のプロトコルがこの
E
D
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である。 さて,このように企業間で取引を行うためにはあらかじめE
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I
規約を決めて おく必要がある。E
D
I
規約はその内容によって4
つのレベルで構成されている (図表3
-1)。 図表 3-1 EDI規約の構成 レベル 契 約 名 内 廿~ 第4レベル 取引基本規約 EDI取引に関する基本取り決め 第3レベル 業務運用規約 業務運用,システム運用の取り決め 第2レベル 情報表現規約 ビジネス・プロトコルの取り決め 第1レベ/レ 情報伝達規約 通信プロトコルの取り決め 制流通システム開発センタ一 流 通 コ ー ド セ ン タ ー 「 概 説 流 通 情報システムイ七」より抜粋 また,E
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は交換されるデータによって商品企画提案,見積り依頼,見積り などのメッセージからなるE
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I
商談,発注,在庫情報,POS
売上情報などの メッセージからなる受発注E
D
I
,入庫予定,受領などのメッセージからなる物 流E
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I
,請求,支払,入金報告などのメッセージからなる決済E
D
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からなる(図 表3- 2)。
身近なところで使われているE
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としては,コンビニエンスストア(
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)
やスーパーがある。CVS
やスーパーはその薄利多売のためにセルフサービス, 図表 3- 2 EDIと交換されるデータ EDIの穏類 交換されるデータ -商謀品企画提頼案メッセージ EDI商談 り依 メッセージ りメッセージ f也 受発注EDI 在PO発注庫S↑メ育売報ッ上セメ情ーッ報セジメーッジセージ 他 物 流EDI -入庫領予メ定メッセージ-受 ッ セ ー ジ 他 -請支求払金メッセージ 決済EDI - メッセージ - 入 報 告 メ ッ セ ー ジ 他 流通システム開発センター rEDI知識」より-164 香川大学経済論叢 164 単品管理による商品陳列と庖舗レイアウト,同一規格の多庖舗出庖とその運営 などが特徴としてあげられる。このような小売業では商品の仕入れがその売上 を左右する。顧客が望むものを提供できなければ他屈に顧客を奪われてしまう。 薄利多売システムであるだけに過剰な在庫を抱えずに機会損失を防ぐ必要があ る。そのためにグローサリーと呼ばれる加工食品,菓子,日用雑貨品などは単 品ごとに置かれている陳列棚の商品の在庫をチェックし,在庫数量の不足分を 発注する補充発注を行う必要がある。また売上に占める割合の大きなおにぎり やお弁当などは全国から一斉に
1
日に数回発注が行われるので迅速な対応が欠 かせない。また各庖舗から決められた時間ごとに本部に発住し,それを本部が 取りまとめて数100以上の取引先に発注する必要がある。したがって,迅速に 対応するには各居舗からのデータをパソコンと通信ネットワークを介して本部 のコンピュータに伝送するEDIが欠かせない。このような背景からチェーンス トア本部とその各庖舗聞の受発注システムとしてEDIが普及していき,今では 流通業界に広く普及している。 物流EDIとは卸業者・メーカーが受注した商品を納品するまでの物流の仕組 みを合理化するものである。これは次のような手順で行われる(図表3- 3)。 ① 卸売業者・メーカーが受注データに基づき商品をピツキングしてチェー ンストアの各庖舗別に品揃えをして出荷カートンやオリコンに入れ,集合 包装用商品コード ITF(lnter-leaved Two of~ive) または出荷カートン表示SCM(型巾pingcarton
盟
arking)ラベルを貼って出荷する。 ② 同時に納品を予定しているデータである事前出荷情報ASA)(
全
dvanced (2 ) 集合包装用商品コードITF:ITFはInter-leavedTwo of Fiveの略であり.5本の パーのうち 2本のバーが太いという窓味で,バーコードシンボルの仕組みの一種。メー カーにとっては集合包装単位のマーキングにより出荷検品時の読み取りが可能であり, 受注から出荷までのリードタイムを短縮できる。また,出荷作業の自動化も可能。一方, 小売業ではITF読み込みによる集合商品の検品,ノー検品を実施することによる省力 化,業務のスピードアップを図れるというメリットがある。(3 ) 事前出荷情報ASN:ASNはAdvancedShip Not悶の略である。納品前に相手に送 られるEDI納品データの事であり.SCM (Shipping Carton Marking)ラベルという納 品用ダンボールに貼られるバーコードラベルと照合することでノー検品を実施できるよ うになる。
165 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 図表 3- 3 受 発 注 EDIと物流EDI ASNとSCMラベル によるt9l品 SCMラベル 付カ一トン (オリコン) 品揃とSCM ラベル貼付 … 一 一 … 》 SCMラベル 付カ一トン (オリコン) ASN ASN 受発注データ ...~ 発注データ 商 品 配 送 物流EDI 受 発 注EDI
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を発注元であるチェーンストア本部に伝送する。 165 ③ASN
を受信したチェーンストア本部は,それを自社の物流センターへ 伝送し,受信した物流センターはASN
に基づき,卸売業者・メーカーから 入荷した商品をカートンやオリコンごとにSCM
ラベルのバーコードを読 み込んで検品し,カートン,オリコン単位で各庖舗に配送する。 ④ 各庖舗では納品されたカートンやオリコンの数量を確認する。 以上のように,本来ならば単品ごとに行っていた納品時の検品作業を物流 EDIにより省略することで物流コストの削減と同時に納品の迅速化を達成し ている。 さらに納品が終了してお互いの債権及び債務が確定すると今度は請求データ と支払データの交換が行われる。これが決済EDIである。さらに一歩進めて買 掛・売掛の確定および請求・支払通知,金融機関との聞の振込依頼,入金報告 を組み合わせた金融EDIもある。これらが企業聞の電子商取引Bt
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B ECの ペースとなっていく。166ー 香川大学経済論叢 166
3
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がもたらしたスピード経営QR
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引3
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クイックレスポンスが生まれた背景 次にEDI
導入の先行成功事例としてQR
について述べる。QR
とは,Q
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の略で衣料品分野においてメーカー・卸売業者・ 小売業者の三者間の取引データをE
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で交換して業務の迅速化による全体効 率化を図るシステムのことである。これは,日本でもアパレル業界で本格的に 取り組まれるようになったシステムであるが,そもそもは1980年代の半ば頃 に,アメリカの繊維産業から提唱されたものである。 1980年代のアメリカの繊維産業においては,アメリカの経済成長率が鈍化し たことにより賃金カットやリストラが盛んに行われた結果,労働者の所得賃金 が低下したため低価格への要求が厳しくなったのに伴い,ディスカウント届の 台頭と低価格のアジア製衣料品が氾濫してきた。アメリカの繊維産業の各メー カーも生産拠点を次々とアジア諸国に移動させたことにより国内空洞化と失業 問題が発生し,繊維産業の衰退が著しくなった。これにより,危機意識が浸透 したことによってQR
が生まれてきたのである。 もともと,衣料品は原材料である原糸から最終製品に仕上げるまでの製造工 程に多くの企業が関わっているため平均で1年3ヶ月という長い期聞がかかる ため,その期間中の在庫は約l年分もあり,きわめて在庫回転率が低い状況に あった。またアメリカにおける繊維小売業は買取りによる商品仕入れが原則な ので,在庫を抱えることは売れ残りの山を築くことになる。このようにアメリ カの繊維産業はメーカーも小売業も売れない場合は大きなリスクを背負う体質 になっており,この状況から脱却することが強く望まれていた。 このような状況下で, ミリケン・テキスタイノレ社のロジャー・ミリケン会長 の提唱により,アパレノレメーカー,百貨庖,量販底,デ、イスカウントストアが 一体となって,これまでの大量生産されたものを単に売れば良いという単純量 産劃経営から消費者の欲しがる商品を迅速に把握して短いサイクルで市場に提 供できるようにするという市場対応型の産業構造に転換させていかなげればな らないという経営思想が生まれた。これがQR(
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である。167 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -167-ー アメリカのコンサノレテイング会社のデトロイト&トシュ社の定義によれば, fThe Right Goods (適切な品を), At the Right Place(適切な場所に), At the Right Time (適切な時に), At the Right Price(適正な価格で)供給する ためのビジネス戦略とテクノロジーの結合」とされていることからもわかるよ うに,まさにその本質はトヨタのジャストインタイムの思想に学んだともいわ れている。なお,その目的は市場に即応して商品回転率を高めて製造から販売 までの全段階の各種商品ロスの削減と在庫削減を徹底することで迅速な対応と それに伴う売上と利益の増加をもたらすことにあった。 QRがアメリカの繊維産業および小売業界に全面的に採用されればその導入 効果は絶大であり,糸の製作から始まって製品が庖頭に並ぶまでの時間が
3
分 の lに短縮される結果,これまで在庫処分のために行わざるを得なかった値下 げと商品がないための販売機会損失とによる逸失利益が半減するという調査会 社の試算予測も出ているほどで,じつにその効果は大きいものである。 さて, QRシステムの開発自体はアメリカのVICS委員会(Voluntary Inter -industry CommunIcation Standards Committee)という任意の民間標準化グ JレープがQRを具体的に実現するために1986年から 1988年にかけて行い, 4 つの標準化が行われた。1つは,日本の JANコードに相当する UPC(Universal Product Code)コードで業界全体で単品管理を行うためのものである。 2つめ は,サイズや色のバラエティに対応しなければならないという衣料品の性質に 対応して, 4レベルPLUという価格検索機能のプライスルックアップ(PLU) の仕組みを利用して価格を表示するようにするもの。 3つめは,バーコードの SCMラベノレを開発し, ASNと組み合わせての検品を簡単かっ効率的に行える ( 4) UPC (Universal Product Code) : 1973年に米国で制定された共通商品コードシンボ ルのことであり,米国,カナダで使用されている。コード体系は12桁と8桁があり,EAN シンボルの原形でもある。 ( 5 ) PLU: Price Look UPの略であり,価格検索を意味する。 POSターミナJレにより売り 上げを登録する際に商品に付いているバーコードシンボ1レ等から商品コードを読み込 み,そのコードによってあらかじめシステムに登録しである価格を検索して金額登録を 行う方法をいう。i
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-168- 香川大学経済論叢 168 ようにするもの。4
つめは,発注,ASN
,請求,支払,さらにはPOS
売上情報 などの必要な情報の伝送する仕組みを作り上げるためにEDI標準メッセージ を開発することである。 このような標準化が進んだ結果,アパレルメーカーと小売業との聞でUPC ソースマーキングと商品情報,それからPOS
データが交換されることで,市場 動向の変化に迅速に対応する生産・供給体制が定着し,大きなコスト削減が達 成されている。3
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3
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2
日本におけるQR
の発展 さて,日本におけるQR
であるが,1
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9
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年度の予備的研究を経て通産省の全 面的な支援のもとにQR
の推進に欠かせない情報ネットワーク化の基盤整備事 業が進められてきた。その結果,アメリカのQR
を推進したVICS委員会をモ デノレに日本のQR
を推進する民間組織である繊維産業流通構造改革推進協議会(QR
推進協議会,現在は中小企業総合事業団)のもと約3
5
0
社の企業・団体が 参加するまでになっている(図表3- 4)。 日本におけるQR
の導入事例としては,北海道の丸井今井があげられる。標ーー+
‘-
EDI取引 発注"納品"支払 カ カ カ メ メ メ 布 糸 色 織 原 染 QRコードセンタ169 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -169ー
準化の動きに目をつけた結果,
JAN
コードを導入してEDIFACT
によるEDI
標準メッセージを採用して運営している。売場ではベンダーが主導的に在庫を 管理する
VMI(
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Managed I
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を導入して小売業側の発注作業 をなくしたことによってその効果は省力化と返品の激減という形で表れてい る。 また,オンワード樫山はQRに取り組んだことで,実際の庖頭の動きを見な がら生産量を増減するという対応ができるようになり,シーズン直前と期中生 産の割合を7割まで上げることが可能になった。その結果,スピード経営のみ ならず,在庫も 4割減と大幅に圧縮することに成功したのである。 このように,QRの実施による経営スピードの向上は,経営改善に与えるイン パクトが甚だ大きい。これはまた,スピードを意識したQRの効果そのもので ある。3
.
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4
消費者利益を最優先するECR
3
..4.
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1
ECR
誕生の背景 衣料品を対象にしたシステムQRに対して加工食品や日用雑貨などのグロー サリーを対象にしたシステムがECR(
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である。ECR
が生まれた背景には全米一の小売業であれかつ優等生lであったウォル マートの存在が大きく影響している。アメリカの小売業は経済の成熟化と消費 者の収入の停滞に伴う低価格指向が強くなったことにより,商品の販売価格が 低下し,それに伴って売上げと組利が年々低下する傾向にあった。その結果, 商品在庫は増大する。商品在庫は長く置けばおくほど保管費用がかかり,利益 を圧迫するようになる。とりわけ規模の大きなウォノレマートにとっては経営に 与える影響は大きかった。利益を増やすには長期在庫をなくし商品回転率を高 めることが要求されたわけである。 ( 6)EDIFACT: E
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の 略 で , ア メ リ カ や ヨ ー ロ ツ パ が 国 際 的 な 標 準 化 を 検 討 し て き たE
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がEDIFACT
という名称で国際標準のビジネスプロトコルの体系として規定されたもの。170ー 香川大学経済論叢 170 そこでウォルマートは,機会損失となる品切れを発生させずに手持在庫を徹 底的に削減しようとした。しかし,小売業一社では自ずと限界があるため,製 造から物流,小売に至る全プロセスで連携して在庫削減を図り,商品回転率を 高めることで売上げの増加と利益の増加をもたらそうとしたのである。そこで ウォルマートはP&G(プロクターアンドギ、ャンブノレ)社からウォルマート専 用にあてがわれた一工場にEDIで自社のPOSデータや在庫情報を送り, P
&
Gはその情報によって生産から納品までコンビュータシステムで一貫して管理 できる体制を構築した。これにより生産効率を高め,大幅なコストダ、ウンを実 現したのである。この結果,ウォlレマートは商品回転力の早さと販売価格の弾 力性で競争力を強めていった。ウォノレマートと P & G社がEDIを活用してそ の提携が成功したことがグローサリー業界を刺激してECRが誕生するきっか けになったのである。 グローサリー業界がPOSやEDIを活用しはじめたのは実際には衣料業界よ りも早かったが,小売業の合理化の範囲から抜け出れていなかった。しかし, QRがさらに上をいく製造から小売までのトータルな効率化とそれに伴うス ピードアップをもたらし,結果としてコストダウンを達成したことに大きく影 響を受けて誕生したのである。まさにグローサリー業界版のQRである。 3..4..2 ECR推進の基本指針FMI (Food Marketing Institute)が出版している WEfficient Consumer
Response~ によれば, 'ECRの指針となる原則」は図表3-5のようになる。 基本的にこのECRの原則はQRの思想と共通のものであり,その真髄は,適 切な商品を,適切な場所に,適切な時に,適切な量だけ,可能な限り効率的な 方法で提供する」ことである。また,その具体的な実現は, POSデータの分析 と単品別カテゴリーマネジメントによる棚管理に代表される「庖舗での効率的 な品揃えJ,過去のPOSデータの分析から単品ごとに精度の高い需要予測を行 い効率的に補充量を決定して納品する補充予測システムと効率的な物流システ ムからなる「効率的な商品補充;J,POSデータ分析とカテゴリーマネジメントを
171 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -171-図表3 - E C Rの指針となる原則 消費者の望む商品を品揃えし,品切れを生じさせずに消費者の望む価格で提供し, 同時に経営コストの削減を図る。 2 :ともすれば利害の対立する取引関係を改めて,小売業と商品供給企業の双方が事 業提携を行って,双方が上げるしくみ作りに,双方の経営者が取り組むべきもの である。 3 :第 l項,第 2項を具体化するテクノロジーとして EDIを導入する。 4 :製造,物流,販売に至るまでの全体的な効率化を図る必要がある。 5 :小売業と商品供給企業が共同でシステム全体の効率化を図ることにより生じた利 益は,双方が公平に分配しなければならない。 出 典 概 説 流通情報システム化』の 'EfficientConsum巴rResponseJの記述より抜 粋して引用 軸に商品サプライヤーと小売業とが一体で行う「効果的な販売戦略J,商談から 新商品の発注までのリードタイムの短縮,数多く出回る新製品の中から売れる 新商品の早期発見,新製品の販売動向の分析と効率的な生産,商品供給からな る「効果的な新製品の導入J,をうまく組み合わせて活用することである。 3.5 SCMがもたらすスピード経営 3..5..1
SCM
(サプライチェーンマネジメント)の戦略的意義 サプライチェーンとは,原材料調達,供給から最終顧客への商品の納入まで の一連のビジネスプロセスのことをいう。顧客の価値の創造にむけて,流通企 業,物流企業,製品製造メーカー,部品製造メーカ一等が鎖のようにつながっ ていることをいう(図表 3- 6)。そのチェーンの中の各企業が連携して無駄の ない効率的なビジネスプロセスを作り上げることが最終的に顧客の価値を生む ことにつながる。そこで,サプライチェーンの活動を全体的に統合し,経営戦 略と連動させて,かつシステム的に構築し,そして管理することをサプライ チェーンマネジメントと呼ぶ。すなわち,これまでの部門間・組織聞における 最適化,企業聞における問題を個々のレベルで解決するのではなく,チェーン 全体のインテグレーションと対等な関係からなるパ、ートナーシップによって, 全体最適の視点、から解決,改革するという考え方である。172- 香川大学経済論叢 172 図表3- 6 サ プ ラ イ チ ェ ー ン に よ る 供 給 連 鎖 の 変 化 SCM以前
→日→日
※情報の一方通行状態で各活動が切れている状態 SCM以後一 一 円
﹀
f宵判長二二三〉
〈ご二二
情報 ※※各活動が情報を共有して鎖のようにつながっている状態 3..5..2 QRゃ ECRからの発展 前述したQRやECRは主に小売業,卸売業,製品メtーカーの三者における製 販一体化戦略の展開であるのに対して,SCM (
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Management :
サプライチェーンマネジメント)は,製品メーカーに部品を供給する部品サプ ライヤー,材料メーカーを,さらには小売業の先の消費者までをも対象として いる。また, QRやECRでは, EDIを使った商品の流れや在庫,取引データの 流れの共有化が中心であったのに対して,SCM
では商品,情報,資金の流れを 共有化し,最高の効率化を追求する。情報面では消費者と直結することで消費 者の購買履歴,趣味傾向などの消費者情報を分析し,それに迅速に対応するこ とを可能にする。 アメリカの繊維業界ではQRの次の段階として産学官の力を結集し,実需対 応生産システムDAMAの推進を図り,また食品業界ではミシガン州立大学が 中心に取りまとめたサプライチェーン2005という構想、があり,これにより販売 のリードタイムで約90%,事務コストで約50%,在庫で約90%も削減できるよ うになるという。173 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 178ー このように流通からスタートしたQR/ECRは生産側のアプローチと連携し サプライチェーンマネジメントによる経営イノベーションが業界あげての大き な潮流になろうとしている。 3..5れ3 競争戦略を捉えた SCMの必要性 サプライチェーンマネジメント SCMはデlレ・コンビュータに代表されるよ うにアメリカ企業において成功事例が多く見られ,現在の最も有効な白ビジネス プラクティスとして取り上げられている。いま,これが注目されている背景に は,企業活動のグローパノレ化が進展し,企業間競争が一一段と激化していること, 顧客ニーズが多様化して顧客の満足を得られなければビジネスにならないとい う状況になってきたことがあげられる。これは前述したQRやECRが登場し た背景と同様である。たとえ競争力のあると思われる製品であってもその投資 してきた開発資金を回収する間もなく,ライバル企業から同様に製品が市場に 投入されることが多いためその陳腐化が早くなってきている。かつてのように 技術的優位性だけでビジネスを構築できる時代ではなくなってきた。ハイテク 製品といえどもその寿命が益々短縮化の傾向にあり,多くの商品分野で生鮮食 品化現象が起こっている。すなわち,需要が好調な,いわゆる匂のときに売れ 残りが発生しないようにさっと売り切ってしまう迅速さと,またそれが行える ビジネス感覚が求められるようになってきている。 上述のことが市場の動向に合わせてタイミングよく実施できないと在庫の山 を築き,さらには死蔵品を大量に発生させることになり収益に与える影響が大 きい。したがって,市場の動向を的確に判断し,それに対して最大のスピード をもってビジネスプロセスを成し遂げる必要がある。 しかし,企業聞の取引においては手続きの違いや作業の重複などインタ フェースの違いからくる無駄が数多く存在している。部分的な効率を追求して もどこかにボトルネックとなる箇所,部門,組織があれば当然のごとく全体の 効率は下がることになる。したがって,サプライチェーンに参加する企業が全 体の効率化をめざして企業聞の連携を行わないかぎり全体効率の改善は望めな
-174ー 香川大学経済論議A 174 い。これが
SCM
が注目を浴びている由縁である。これを理論的に解説している のがTOC (
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:制約の理論)であり,これがSCM
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の基礎理論としてのTOC
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::制約の理論)はイスラエノレ人のゴールドラッ ト博士が考案した理論である。特にサプライチェーンの中でもチェーン管理の 生産計画やスケジューリングとその改善に関する理論である。サプライチェー ンの生産計画の立案には生産ライン数,工程数,生産機械の能力と台数,作業 人員数等のさまざまな条件が介在する。実際には生産ラインの混流や生産品目 数などによって最適な解を求めるのはなかなか難しい。そこで,一連の工程の 中で全体の生産量を決定づけるボトルネックとなっている工程を見つけ,この 工程をフノレ稼動できるように生産計画を立案するようにすることである。すな わち,制約条件を発見してその問題を集中的に改善・強化することでスループッ トの増大,在庫の削減,固定費の低減を達成して結果として利益を増大させよ うとするものである。 たとえば,ボトルネックとなっている工程の前工程に仕掛り在庫をある一定 数量確保すると,前工程がトラブノレで生産量が落ちてもボトルネック工程がス トップしないで済むことになり,結果として全体の生産量は落ちることはない。 ボトルネック以外の工程ではボトルネックの工程スピードに合わせて生産すれ ば良いので過剰の仕掛り在庫を持つリスクをなくすことができる。また,ボト ルネックの後工程でトラブノレが発生した場合のリスク対処法としては出荷用の 在庫を最低限所有しておくことで顧客への納期遅れを回避できることになるわ けである。3
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サプライチェーン効率向上の基本方向 サプライチェーン全体の効率を高めるためには,いくつかの重要な課題があ る。1
つには連続するサプライチェーン活動の同期化を図れそれによるスルー175 ネットワーク活用によるスピード経営の戦略展開 -175ー プットを向上させること 2つめはサプライチェーンのボトルネックとなって いる箇所の発見とその対策を行うこと 3つめは市場の需要を正確に予測する 手法を取り入れ,それに基づ、いて迅速かつ柔軟に対応できるようにすること, そして最後にサプライチェーン全体の能力を平準化することである。これらを 実践することにより全体効率は高まることになるが,実際にはサプライチェー ンをどのように構築するかは自社の戦略に依存し,それに伴い重点の置き方が 変わってくる。戦略的には具体的に以下のような分類がされる。 ① 競争力のある業態をめざす戦略 ② 顧客満足の向上をめざす戦略 ③ 全体の最適化による生産性向上をめざす戦略 これらのうちのどの戦略でいくかによってサプライチェーンのデザインは自 ずと異なってくる。いずれにしても第
1
に競争力のあるサプライチェーンを企 画し,そのサプライチェーンのうち,自社のコアコンビタンスなどの自社で担 当すべきものと自社では担当しないでアウトソーシングしでもよいものとを分 け,アウトソーシングする場合の任せるべき企業の最適な選択を行う。その上 で調達拠点,生産拠点,物流拠点,配送経路などの物理的なサプライチェーン の最適なデザ、インを行う。さらに各製品ごとにいくつかのタイプに分類し,そ れぞれ最適なサプライチェーンの組み合わせを決定する。そしてこれらを効率 的に運用するための情報システムのデザインを行う。以上がサプライチェーン のデザインに先立って行うべき留意点である。 3..5..6 SCMの実践事例 松下電器産業は,-市場と呼吸できる関係を築く」狙いでクツレープを挙げて SCMに取り組んでいる。目標は受注から納品までのリードタイムの半減であ る。松下電器の主力商品はAV
ゃ家電製品である。これらは需要の変化が激し くなってきており,タイムリーに商品を市場に投入することが課題になってい る。しかし,製造や納品のリードタイムが長いと需要を捉え切れずに欠品が発 生したり,逆に大量の在庫を抱える危険性が増加することになる。この状況を-176ー 香川大学経済論叢 176 回避し,
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世紀においても日本をリードし続けるメーカーであり続けることを めざしているのである。具体的には,開発段階から量産ラインでの作業を容易 にするために複数の部品をlつにまとめてモジコール化,部品の共有率を大幅 に改善して管理費の削減と同時にリードタイムの短縮,需要予測データの共有 による長期需要の把握,受注データから生産計画と部品の発注書を半自動作成 するシステムの開発による作業効率の改善などがあげられる。これらの実施に より,受注から納品までのリードタイムを半減させようとしているのである。 以上のように,SCM
は生産工程の制約条件に着目し,その改善の重点を絞り 込むと同時に前後工程のトラブノレというリスクに対処しておくことで経営成果 に結び付けようとする取り組みであり,またサプライチェーンという縦のネッ トワークを効率化ずることで経営のスピード向上を図ろうとする取り組みでも ある。3
6 CALS
による情報交換と情報共有3
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EDI
とCALS
の関係EDI
がビジネス情報の伝達においてペーパーレス化とデータの再活用にあ るが,CALS
もビジネスプロセスとデータの統一を狙うところから両者の基本 概念はきわめて類似している。EDI
はCALS
による新しいビジネスプロセス形 成のための主要な技術の一つでもある。CALS
はもともとアメリカ国防省の兵枯における組織内標準として定めら れたことにその起源がある。当初はComputerAided L
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として 活動を開始したものであった。その後,単なる兵姑としての後方支援だけでな く資材調達の領域にまで拡大して適用されるようになったことから,その呼び 名CALS
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,すなわち継続的な調達と製品の全ライフサイクルの支援 を行うものへとその意味するところを広げた。現在では電子商取引時代を反映 して,Commerce a
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L
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Speed
,光のスピードで商取引を可能とするもの,177 ネットワ!ーク活用によるスピード経営の戦略展開 -177-ー すなわち