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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 趙    芫

     学位論文題名

ComparlSOnof99mTC ― anneXinA5With18F ― FDGfor   thedeteCtionofatherOSClerOSlSlnApOE ― / ― miCe      (ApoE −/ ―マウスを用いた動脈硬化症の診断における     99mTC −annexinA5 及ぴ18F ―FDG の有用性の比較検討)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

【背景と目的】:動脈硬化プラーク、特に破綻しやすい不安定プラークは、その破綻により血栓の形 成 、血管内腔の狭窄・閉塞など 一連の病態を引き起こし、梗塞性疾患の原因となる。したがって、

不 安定なプラークを選択的に検 出できれば、梗塞性疾患の 予測及び適切な予防を行うこ とが可能 で ある。アポトーシス及び炎症 は、動脈硬化プラークの不安定性に関与する重要な因子である。核 医 学 画像 診断 法で は、PETやSPECTを用 い て、 プラ ーク 局所 の 炎症 細胞 の活 動性 や アポ トーシ ス の頻度などの動脈硬化病変に おける機能変化や分子の挙 動を、放射性薬剤(トレーサ ー)の特 異的な集積に基づぃて、体外から画像として病態情報を得ることが可能である。これらの観点から、

不 安定プラーク検出における99nTc―annexin A5(アポトーシスマーカー)や18F―FDG(炎症細胞活 動 性マーカー)の有用性が検討されている。本実験では、99mTc―annexln A5と18F―FDGを用いて、

動 脈硬化症自然発症マウス(ApoE―/―マウス)の動脈硬化病変におけるアポトーシスおよび炎症 反 応 のニ つの 病理プ ロセスを定量的に評価し、動 脈硬化プラークの検出、診 断におけるこれら2 種のトレーサーの有用性を比較検証した。

【材料と方法】:雄性ApoE−/―マウス(n=12−14/群)及びコントロールマウス(C57BL/6j) (n:ニ11ー15/

群 )に 、5週齢 から 高脂肪食を与えて飼育し 、25週齢で以下の実験に用 いた。これらの動物に実 験 前日 から12時間 の絶食処置を実施した後 、尾静脈より99mTc−annexin A5あるいは18FーFDGを 投 与し た。 ト レー サー を投 与し た2時間 後(99mTcーannexin A5)また は1時間 くl8FーFDG)後、

pentobarbital麻酔下に動物を屠殺し、 動脈組織を採取した。採取 した動脈組織標本を用いてオー トラジオグ ラフイー(ARG)を実施した。その後、標本をOil RedO染色して、病理学的評価を行った。

ARG画 像上 に関 心領 域(ROI; 0.36rrirr12)を設定し、関心領域内の放射 能集積(%IDxkg/m2)を測 定すると同 時に、Oil RedO染色した標 本の対応する部位の染色スコ ア(病変進行度の半定量的パ ラメータ;0〜3)を判定し、両パラメータを比較検討した。

【結果】:25週齢の時点では、ApoE―/―マウスはコントロールマウスと比べて高い体重を示し、重度 な高脂血症を認めた。絶食処置後、ApoE―/―マウスはコントロールマウスに比べて低い血糖値を示     ー398−

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した。病理 染色の結果として、ApoE−ノーマウスの動脈組織には早期病変から進行病変まで、種々 な 病変 が観 察 され たが 、コント ロールマウスの動脈組織に は動脈硬化病変は見られなか った。

99mTc−annexin A5と18F−FDGは両者ともApoE−/−マウスの動脈組織に高い集積を示し、コントロー ルマウスのおよそ2倍であった。動脈硬化病変への集積量は、99mTc―annexln A5(平均,10.38 %ID x kg/m2)よ りも18F―FDG(平均,56.07 %IDxkg/m2)の方が高かった。病変組織における各トレーサ ーの局所分布は、Oil RedO染色スコアと正の相関を示した(99 Tc―annexin  A5: R=0.65,P<0.05。 18F−FDG:R=0.56,P<0.05)。染色スコ ア0.5以上の病変への99mTc―annexin A5の局所集積は染色 スコアO〜 0.5の病変への集積に比べて 有意に高かったが、18F−FDGでは有意差を認めなかった。

【考察】:本実験では、18FーFDGと99 Tc―annexin A5を用いて、動脈硬化症自然発症マウスモデル ApoE―/一マウス における動脈硬化症の進行を 画像化し、定量的に評価することを試みた。高脂肪 食で 飼育したApoE―/―マ ウスは高脂血症の発生と共 に、動脈組織に広範囲にわた って動脈硬化 病変を発生した。18F―FDGと99mTc―annexin A5二種類のトレーサーとも、動脈組織への集積と動 脈硬化症進行度と の良い相関を示したことより、これらニつのトレーサーは、それぞれ動脈硬化病 変における炎症反 応やアポトーシスなど、病変の進行に伴う病理プロセスを定量的に反映し、動脈 硬化症の診断に有 用な情報を提供できると考 えられる。18F―FDGは99mTc―annexin A5と比べて、

動脈 組織への集積量が高 く、動脈硬化病変の探察にお いて有利である。また、18F−FDGはPET製 剤で あるため、プラーク のような小さな病変の画像診 断においてはPETの高い空間 分解能を利用 した望ましいトレーサーであると考えられる。一方、 99mTcーannexin A5は18FーFDGと比べて、動脈の 局所 集 積と 対応 する 部 位の 病変 進行 度と の より 良い 相関 関係 を 示し た。 また、 進行病変への 99mTc―annexin A5集積は 早期病変への集積に比べて 有意に高く、進行した病変す なわち不安定 性の高い病変の同定における99mTc―annexin A5の有用性が示唆された。

【 結論】:動脈硬化症モデルマウスにおいて、18FーFDGと99mTcーannexin A5の両トレーサーは動脈 硬 化症の進行とともに、動脈組 織への集積が増加し、動脈 局所のトレーサー集積と対応する部位 の 病 理所 見に も良 い相 関 を示した。18F―FDGは動脈 組織への高い集積量は、動 脈硬化病変の探 察 において有利である。一方、99mTc―annexln A5は進行した病変への高い親和性を示し、不安定 性 の高い病変の同定における有 用性が示唆された。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Comparison of 99niTc ーannexin A5 with 18F ―FDG for   the detection of atherosclerosisinApoE‑/ ―mice

(ApoE − / −マウスを用いた動脈硬化症の診断における 99mTc ― annexmA5 及び 18F −FDG の有用性の 比較検討)

  動脈硬化プラー クの破綻により血栓が形成し 、血管内腔の狭窄・閉塞な ど一連の病態を引き起 こして、梗塞性疾 患の原因となる。不安定なプ ラークを選択的に検出でき れぱ、梗塞性疾患の予 測及び適切な予防を行う ことが可能となる。アポトーシス及び炎症は、プラークの不安定性に関与 する重要な因子で ある。核医学画像診断法では 、放射性薬剤(トレーサー )の特異的な集積に基 づぃて、病変にお ける炎症細胞の活動性やアポ トーシスの頻度などの病態 情報を得ることが可能 である。これらの観点から、不安定プラーク検出における99°Tc―annexin A5(アポ卜ーシスマーカー)

や18F―FDG( 炎 症細 胞活 動性 マー カ ー) の有 用性 が検討されている。本 研究では動脈硬化症自 然発症マウス(ApoE―/―マウス)を用いて、動脈硬化プラークの検出、診断における99mTc―annexln A5と18F―FDGの 有用 性を 比較 検証 し た。 実験 に5週齢の雄性ApoE−/―マ ウスとC57BL/6マウス を使用した。25週齢まで 高脂肪食飼育することより、動脈硬化モデルと対照動物を作成した。12時 間の絶食処置を実施した 後、動物に尾静脈より99°Tc―annexin A5あるいは18F―FDGを投与した。

動物を屠殺した後、動脈 組織を採取し、オー卜ラジオ グラフイーを実施した。その後、標本をOil RedO染色 し、 病 理学 的評 価を 行っ た 。ARG画 像上 に関 心領 域(ROI; 0.36mm2)を設定し、関心領 域 内 の 放 射 能 集 積(%IDxkg/m2)を 測 定す ると 同時 に、Oil RedO染 包し た 標本 の対 応す る部 位 の染色スコア(病変進行度の半定量的パラメータ;0〜3)を判定し、両パラメータを比較検討した。25 週齢の時点では、ApoE―/−マウスは対照動物と比べて高い体重を示し、重度な高脂血症を認めた。

ApoE−/−マ ウス の動 脈 組織に広範囲にわたっ て種々な病変が観察された が、対照動物の動脈組 織には動脈硬化病変は観 察されなかった。99mTc―annexin A5と18F―FDGは両者ともApoE‑/ーマウ スの 動脈 組織 に 高い 集積 を示し、対照動物の およそ2倍であった。動脈硬 化病変への集積量は、

99tnTc−annexin A5(平均,10.38 %IDxkg/m2)よりも18FーFDG(平均,56.07 %IDxkg/mz)の方が高カゝ った 。病 変組 織 にお ける 各卜 レー サ ーの 局所 分布 は、Oil RedO染包スコ アと正の相関を示した (99nTc―annexin A5:R=0.65,P<0.05。18F−FDG:R=0.56,P<0.05)。染色スコア0.5以上の病変への 99mTcーannexin A5の 局 所集積は染色スコア0〜0.5の病変への集積に比べ て有意に高かったが、

18F―FDGでは有意差を認 めなかった。本研究の結果は 、99mTc―annexin A5と18FーFDGの不安定プ ラークイメージングにお ける有用性を示すとともに、動脈硬化症の核医学診断法を確立するための 基礎的データを提供するものである。

  口 頭発 表の 後 に白 土教 授から99mTcーannexin A5の集積がアポトーシス 以外の病理学的所見を

400

樹 之

司 良

博 裕

裕 長

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反 映す る可 能性 に つい て、 種々 の病理学 的所見の反映が本研究の結果 に及ぼす影響について、

筒 井教 授か ら動 脈 硬化 プラ ーク の不安定 性を判断するため実行した具 体的な組織学検討につい て、99mTc−annexin A5と18F−FDGの集 積が病変の進行にともなって増加する程度の違いとその理 由について 、動脈硬化病変においてアポ トーシスを起こす細胞の種類と99mTc―annexin A5集積の 主な原因と なる細胞の種類について、久 下教授から18F一FDGを用い たプラークイメージングの臨 床 報告 例と本 研究結果の一致性について、99mTcーannexin A5の動脈組 織への集積量が比較的低 いことから 臨床に用いられた場合のプラークイメージングに対する実用性について、玉木教授から 動 脈 硬 化 病 変 の 発 生 部 位 に よ る 病 変 進 行程 度の 違 いに つい て、 上 記違 いに よる 部位 ご との 99 Tc−annexin A5と18F一FDGの集積程度の相違について、動脈硬化病変の更なる進行によって病 変 が安 定化 する 段 階で 炎症 細胞 の減少に よってトレーサー集積が減少 する可能性についての質 問があった 。いずれの質問に対しても、 申請者は実験例、臨床例や 文献を引用し、概ね妥当な回 答を行った 。

  この 論文 は、 動 脈硬 化症 の診 断 にお ける99mTc―annexin A5及び18F―FDGの有用性について 実 験動 物モ デル に おい て検 討し た もの で、 今後 動脈 硬 化病 変の 病態 評価 や 治療 効果判定ーの 応用が期待 される。

  審査員一 同は、これらの成果を高く評 価し、大学院課程における 研鑽や取得単位なども併せ申 請 者 が 博 士 ( 医 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 判 定 し た 。

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