博 士 ( 農 学 ) ト リ ム ル ニ ン シ
学位論文題名
CHErvIICAL STUDIES
ON INDONESIAN X/IEDICINAL PLANTS (インドネシア産薬用植物の化学的研究)
学位論文 内容の要旨
イ ン ド ネ シ ア は 多 種 多 様 な 植 物 資 源 に 富 み 、 こ れ ら は イ ン ド ネ シ ア に 住 む 多 様 な 部 族 に よ り 利 用 さ れ て き た 。 特 に 薬 用 と し て 多 く の 植 物 が 用 い ら れ て お り 、 民 間 伝 承 さ れ て い る 。 本 研 究 で は 生 物 検 定 を も と に こ れ ら の 植 物 に 含 ま れ る 生 理 活 性 物 質 の 有 機 化 学 的 研 究 を 行 っ た 。 実 験 材 料 の 薬 用 植 物 は イン ド ネシ ア科 学院 に保 存 され てい る植 物標 本 を参 考に 同定 を 行っ た。
1. 抗菌 活性
1−1. パ プ ァ ニ ュ ― ギ ニ ア のDani部 族 に 伝 わ る 植 物 、Rho匸 わ ぬ ′1加n、 に 関 し て抗 菌活 性 を調 ぺた 。 こ の 植 物 は 古 く か ら 皮 膚 薬 と し て 用 い ら れ て き た も の で あ る 。4種 の 尉 ↑o由de′ , む .0n、 (R ma缶f・regD臓e Rんeだog厩R.cDno.Hand尺.Cl加 伽 虻D触 ´m)、 を採 取 した 。こ れらの 植物から得られ た エ キ ス の 抗 菌 活 性 を13種 の バ ク テ リ ア を 用 い て 評 価 し た。 その 結果 、 肋Ddb虚珊 嵒 .( 加spp. のメ タ ノ ー ル 抽 出 物 が グ ラ ム 陽 性 バ ク テ リ ア (S卸mわcDccusa| ′ ′ ,e ′s,S蝋pMDcDccusep触 鮒r黼s, SケepめCOCCuSpnaem0ガty cus,aJldBaC触 ´sSu.6tms)に 有 効で あっ た。
ま た 、 凡 ′ 旧cg.regD′ ぬeよ り 抗 菌 物 質 を 探 索 し た と こ ろ 、 い ず れ も 既 知 の 化 合 物 で あ っ た 。 Epicatechinーく 4[3 +8,2p‑'○‑+7)一epicatechin(1)と
epicatechin一く4p‑+8,2p‑○‑*7)―ent‑catechin (2)を 単離同定した。
1一2. Zingiberaceae属 は 抗 菌 活 性 を 有 す る こ と が 知 ら れ て お り 、 本 研 究 で はCurcuma soloensisの エ ッセ ンシ ャルオイルについて検討を 加えた。Cu.rcu′ a sDbe′ 艢 の 地 下 茎 は 全 重 量 に 対 し3.6% の エ ッ セ ン 1 2
シ ャ ル オ イ ル を 含 ん で い る こ と が 明 ら か と な っ た 。 ま た 、 こ の エ ッ セ ン シ ャ ル オ イ ル よ り17種 の 化 合 物がGC−MSによ り同定され、3種、nopol(3,32.3%),isocerCenIne(4,18.1%),a―Curcumene(5, ―300―
9.O%)、が主成分であることが明らかとなった。このエッセンシャルオイルの抗菌活性を検討したと ころ、グラム陽性バクテリアのみに活性が確認できた。
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2.抗 マラリ ア、抗バ ベシア 活性
致 死性の あるマラ リア症 はPlasnocfum falciparumによっ て引き起 こされ 、家畜類に見られるバベ シ ア 症 はBabesぬ 餌bs0襾 によっ て引き起 こされる 疾病で ある。両 疾病は 赤血球に 寄生す る原虫に よ っ て引き 起こされ 、宿主が 異なる ものの、 両原虫 は酷似したライフサイクルを呈し、マラリア症に有 効 な植物 成分はバ ベシア症 にも有 効であろ うと考 えられた。そこで、両原虫の増殖阻害活性を有する 植 物を明 らかとし 、その相 関を検 討する事 とした 。インドネシアで用いられている抗マラリア薬用植 物 、22種 に ついて 抗マラリ ア、抗 バベシア 活性を比 較した 。この結 果、抗 マラリア 活性を 有する植 物 は抗バ ベシア活 性を有す るが、 抗バベシ ア活性 を有する植物は必ずしも抗マラリア活性を有しない ´ ′ ,
こ とが明 らかとな った。
ま た、fa冖 飢fmdDmestぬJmより抗バ ベシア活 性を有 する化合 物の単 離を試み た。化 合物の単 離に は 至らな かったが 高い活性 を有す る画分を 得るこ とが出来 た。
3.他 の有用 植物に関 する検 討
3−1.Ervatamia sphaerocarpaか ら のtabernaemontanineの 単 離 Ervatamia sp. 触erDca′paは 抗ガ ン 作 用を 有 す る植 物 と し られ 興 味あ る 植 物で あ る 。E′vaね′7ぬspんaemca′閉 の 樹 皮よ り 既 知の イ ンドール アルカ ロイド、tabemaemontanine(6)、を単離同定した。 ll
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3−2‐ Pan加uscor樹deu丶Par da剛´sm施ne鹹に含まれる脂肪酸の分析
尸 a′地ぬ川´s属植物はインドネシア、パプァのDani部族によって食されている。P台n・出刪´scom蜘´
の果 皮とPar1幽nus風舶ne蜥果実 の核に含 まれる 脂肪酸の 組成を検討した。脂肪酸含量はPゑn・幽nus comfdeu丶Pa′筧bnusメL厩帥e蜥においてそれぞれ、35.9%、51.3%であることが明らかとなった。ま た 、 そ の 組 成 に つ い て も 検 討 を 加 え た 結 果 、Pandanuscom洫u果 皮 の脂 肪 酸 組 成は 主 に3種 の 脂 肪酸 から構 成され、01eicaCidが79%を占め ていた 。また、Pa′mbnusm´ねne噺果実 核の脂肪酸組成 は 主 に7種 の 脂肪 酸よ り構成さ れ、主な 脂肪酸 は上記と 同様oIeicacidであ り、52%を しめて いるこ
とが明らかになった。
―301−
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学位論文審査の要旨 主査
副査 副査 副査
教授 教授 教授 助教授
吉原照彦 生方 信 前出吉光
(北海道大学大学院獣医学研究科)
松浦英幸
学位論文題名
CHER/IICAL STUDIES
ON INDONESIAN rvIEDICINAL PLANTS
(インドネシア産薬用植物の化学的研究)
本 論文は 88 頁からなる英文論文であり、図 13 、表 15 、チャ―卜 18 を含む。別に参 考論文 9 編が添えら れている。
インドネシアは多種多様な植物資源に富み、これらはインドネシアに住む多様な部族 により利用されてきた。特に薬用として多くの植物が用いられており、艮間伝承されて いる。本研究では、生物検定をもとにこれらの植物に含まれる生理活性物質の有機化学 的研究を行なっている。
1.抗 菌活 性
Rhododendron属 は パ プ ァ ニ ュ ー ギ ニ ア の Dani部 族 で 皮 膚 薬 と し て 用 い ら れ て い る 。 4種のRhododendron、(R.′naG印1筥 ,0′ づae,R.カeん′,0.g厩R.〇〇・n0灯andR.Ct´カ竹加fcD旭u′ ) か ら 得 ら れ た 抽 出 物 の 抗 菌 活 性 を13種 の バ ク テ リ ア を 用 い て 評 価 し た 。 そ の 結 果 、 す べ て のRん c db眺 抑 加nspp. の メ タ ノ ー ル 抽 出 物 が 、 グ ラ ム 陽 性 バ ク テ リ ア に 有 効 で あ っ た 。 ま た 、 そ の う ち の ー つ で あ るR.macgre g, 。 ′ ぬeよ り 抗 菌 物 質epicatechin− ( 卸 , , →8, 2p→O→7) ―epiCateChinとepiCateChin− (4p8,2声 →O→7) ―ent―CateChinを 単 離 同 定 した。
み曙めerac飽e属は 抗菌活 性を有 するこ とが知 られ ている 。本研 究ではCurcI′ma
s0めensふ の エ ッ セ ン シ ャ ル オ イ ル に つ い て 検 討 を 加 え た 。 そ の 結 果 、CL即 ℃ ′ ′ 門 日s0わ 帥s悟 の 地 下 茎 は 全 重 量 に 対 し3.6% の エ ッ セ ン シ ャ ル オ イ ル を 含 ん で い る こ と が 明 ら か と な
っ た 。 ま た 、 こ の エ ッ セ ン シ ャ ル オ イ ル よ り17種 の 化 合 物 がGC−MSに よ り 同 定 さ れ 、 3種、nopol (32.3%冫,isocerICenlne(18.1%冫,a−CurCumene(9.O%)、が主成分であるこ と が 明 ら か に な っ た 。 こ の エ ッ セ ン シ ャ ル オ イ ル の 抗 菌 活 性 を 検 討 し た と こ ろ 、 グ ラ ム 陽性バクテリアのみに活性が確認できた。
2. 抗 マ ラ リ ア 、 抗 バ ベ シ ア 活 性
致 死 性 の あ る マ ラ リ ア 症 はPlasnodium falciparumに よ っ て 弓tき 起 こ さ れ 、 家 畜 類 に 見 ら れ る バ ベ シ ア 症 はBa6飴 ぬgぬsDmに よ っ て 弓1き 起 こ さ れ る 疾 病 で あ る 。 両 疾 病 は 赤 血 球 に 寄 生 す る 原 虫 に よ っ て 弓1き 起 こ さ れ 、 宿 主 が 異 な る も の の 、 両 原 虫 は 酷似 した ラ イ フ サ イ ク ル を 有 し て い る 。 こ の こ と か ら 、 マ ラ リ ア 症 に 有 効 な 植 物 成 分 は バ ベ シ ア 症 に も 有 効 で あ ろ う と 考 え ら れ た 。 そ こ で 、 両 原 虫 の 増 殖 阻 害 活 性 を 有 す る 植 物 を 明 ら か に し 、 そ の 相 関 を 検 討 す る 事 と し た 。 イ ン ド ネ シ ア で 用 い ら れ て い る 抗 マ ラ リ ア 薬 用 植 物22種 に つ い て 抗 マ ラ リ ア お よ び 抗 バ ベ シ ア 活 性 を 比 較 し た 。 そ の 結 果 、 抗 マ ラ リ ア 活 性 を 有 す る 植 物 は 抗 バ ベ シ ア 活 性 を 有 す る が 、 抗 バ ベ シ ア 活 性 を 有 す る 植 物 は 必 ず し も 抗 マ ラ リ ア 活 性 を 有 し な い こ と が 明 ら か に な っ た 。 ま た 、 £ ーan釘umdDmes能umよ り 抗 バ ベ シ ア 活 性 を 有 す る 化 合 物 の 単 離 に は 至 ら な か っ た が 、 高 い 活 性 を 有 す る 画 分 を 得 た 。
3‐ 他 の 有 用 植 物 に 関 す る 検 討
Ervatamia sphaerocarpaは 抗 ガ ン 作 用 を 有 す る 植 物 と し ら れ る 興 味 あ る 植 物 で あ る 。 こ の こ と か ら ア ル カ ロ イ ド の 分 析 を 行 っ た と こ ろ 、Ervatamia sphaerocarpaの 樹 皮 よ り 既 知 の イ ン ド ー ル ア ル カ ロ イ ド 、tabernaemontanine、 を 単 離 同 定 し た 。 Pand,anus属 植 物 は パ ブ ァ イ ン ド ネ シ ア のDani部 族 に よ っ て 食 糧 に 用 い ら れ て い る 。 Pandanus conoideuの 果 皮 とPanCたmus腕 舶ne師 果 実 の 核 に 含 ま れ る 脂 肪 酸 の 組 成 を 検 討 し た 。 脂 肪 酸 含 量 はP釦d帥uscDnD比 ´eu丶P釦d加usm舶ne噺 に お い て そ れ ぞ れ 、 35,9% 、51.3% で あ っ た 。 ま た 、Parld加uscon0た ,eu果 皮の 脂肪 酸 組成 は主 に3種の 脂 肪 酸 か ら 構 成 さ れ 、oleicaCidが79% を 占 め て い た 。 ま た 、P薊danusm´ ねne所 果 実 核 の 脂 肪 酸 組 成 は 主 に7種 の 脂 肪 酸 よ り 構 成 さ れ 、 主 な 脂 肪 酸 は 上 記 と 同 様oIeicacidで あ り 、52% を し め て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。
本 研 究 は イ ン ド ネ シ ア 産 薬 用 植 物 を 生 物 検 定 を 用 い て 化 学 的 に 分 析 し 、 そ の 植 物 を 科 学 的 に 評 価 し た も の で あ る 。 こ れ ら の 成 果 は イ ン ド ネ シ ア 産 薬 用 植 物 の 有 効 利 用 に 応 用 さ れ る と 思 わ れ る 。 よ っ て 、 審 査 員 一 同 はTrMumingsihが 博 士 ( 農 学 ) の 学 位 を 受 け る の に 十 分 な 資 格 を 有 す る も の と 認 め た 。