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群馬大学理工学府環境創生理工学領域

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廃棄物系バイオマスとゼオライトを利用した 農作物への重金属取込抑制に関する研究

Study on Heavy Metal Uptake Restraint to Farm Products using the Biomass Waste and Zeolite

群馬大学理工学府環境創生理工学領域

博士後期課程 和田信彦

(2)

1

目次

1 序論 ... 1

1-1 土壌汚染 ... 1

1-2 日本の土壌汚染 ... 4

1-2-1 歴史 ... 4

1-2-2 土壌環境基準 ... 9

1-2-3 修復施工の現状 ... 13

1-3 中国の土壌汚染 ... 14

1-3-1 基準超過状況 ... 14

1-3-2 重金属環境基準 ... 20

1-3-3 農作物食品群の基準 ... 22

1-4 本研究の目的 ... 24

【1章参考文献】 ... 27

2 ゼオライト修復材(ZRM)を利用した農作物への重金属取込抑制 ... 28

2-1 緒言 ... 28

2-2 実験 ... 30

2-2-1 試薬と装置 ... 30

2-2-2 使用した天然ゼオライトとその結晶構造 ... 32

2-2-3 水溶液中のカドミウム吸着実験操作 ... 39

2-2-4 ゼオライト修復材(ZRM) ... 39

2-3 日本の試験農地 ... 41

2-3-1 はじめに ... 41

2-3-2 農地修復と栽培 ... 43

2-3-3 結果と考察 ... 48

2-3-4 結論 ... 55

2-4 中国の試験農地 ... 56

2-4-1 はじめに ... 56

2-4-2 農地土壌と灌漑水 ... 59

(3)

2

2-4-3 農地修復と栽培 ... 64

2-4-4 結果と考察 ... 69

2-4-5 結論 ... 75

【2章参考文献】 ... 76

3 発酵廃棄物系バイオマス(FBA,FBWA)を利用した農作物への重金属取込抑制 78 3-1 緒言 ... 78

3-2 実験 ... 80

3-2-1 試薬と装置 ... 80

3-2-2 発酵廃棄物系バイオマス(FBWA) ... 83

3-2-3 修復材の環境に対する安全性 ... 87

3-2-4 ポット試験 ... 89

3-2-5 農地修復と栽培方法 ... 90

3-3 2015試験農地 ... 95

3-3-1 栽培 ... 95

3-3-2 FBWAによる土壌ORPとpH変化. ... 95

3-3-3 米と小麦のカドミウム含有量. ... 97

3-4 2016試験農地 ... 99

3-4-1 栽培 ... 99

3-4-2 FBWAによる土壌ORPとpH変化. ... 99

3-4-3 米と小麦のカドミウム含有量 ... 101

3-4-4 収穫量 ... 102

3-5 結果と考察 ... 104

3-5-1 修復材の安全性 ... 104

3-5-2 ポット試験 ... 105

3-5-3 FBWAによるカドミウム移行抑制 ... 107

3-5-4 FBWAによる農作物への影響 ... 108

3-5-5 カドミウム取込総量 ... 109

3-5-6 取込抑制原理 ... 111

3-6 結論 ... 113

【3章参考文献】 ... 115

(4)

3

4 結言 ... 118

【謝辞】 ... 119

【Abstract】 ... 120

(5)

1

1序論

1-1土壌汚染

環境基本法(1993年)第2条1項では,「この法律において「環境への負荷」とは,人 の活動により環境に加えられる影響であって,環境の保全上の支障の原因となるおそれの あるものをいう.」,3項では「この法律において「公害」とは,環境の保全上の支障のう ち,事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染,・・・(中 略),土壌の汚染,・・・(中略)によって,人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるこ とをいう.」と定義されている1)

地球上に住む人間にとって身近な自然環境を足元からみると,岩石や地層・土壌などの 固体からなる大地=地圏,海洋や湖沼・河川など液体からなる水圏,大気いわゆる気体か らなる気圏の環境3圏に大きく分けられる.大気圏(気圏)のみが日常の言葉として広く 使われているが,環境3圏として基本的な地圏と水圏も毎日接している存在であることを 忘れてはならない.

各環境圏は独自の系を形成しつつも相互に影響しあっているため,環境を考慮する場合 には隣圏も含め総合的に捉えていかなければならない.例えば地下水は物質としてみれば 水圏に属するが,存在位置からすれば地圏の構成要素であり地圏環境の形成に極めて重要 な役割を担っている.土壌汚染は特定有害物質による土壌や地層など地圏内の固体を対象 とした汚染現象で,特定有害物質の中には自然界に存在する金属並びに重金属もある.自 然界に存在したままでは自然現象であるが,汚染現象とは作為か無作為かにかかわらず人 間の行為が係わっているものについて言う.土壌汚染は大気汚染や水質汚染に比べて五感 ですぐには判別し難いため,汚染が発生してから被害が発生するまでの潜在期間は長い.

したがって,土壌汚染の深刻性に対する危機意識は低いため,土壌汚染対策の施策は何れ の国でも遅れ気味となる.

環境3圏の汚染に対するわが国の法整備をみると,産業活動による環境悪化問題の発生 と公害対策に取り組んできた歴史が現れている.1950年代後半の高度成長期には各地で 産業公害が多発し,公害がはじめて国民共通の関心を呼ぶ社会問題になった.1960年代 の産業公害の典型例が,水俣病,新潟水俣病,イタイイタイ病,四日市ぜんそくの,訴訟

(6)

2

をともなう4大公害病である.4大公害のうち四日市ぜんそくは環境3圏の気圏における 汚染現象であり,水俣病と新潟水俣病は水圏にかかわる汚染現象である.

鉱山開発に起因する汚染は下流域の河川堆積物に対する重金属の付加となって最初に現 れる.これが一次的な重金属汚染であり,鉱山から河川水系に沿って下流域広範囲に農用 地の土壌汚染地帯を形成する.足尾鉱山による渡良瀬川下流の農業被害も,神岡鉱山によ る神通川下流域のイタイイタイ病もこのケースに相当し,大勢の人間が住む水系内に出現 した深刻な汚染被害例である.

1960年代以降の高度成長期に鉱山から大量に原料資源として工業地帯に運ばれた鉱石の 影響は,やがて都市部で二次的な重金属汚染となって出現する.さらに1970年代後半か らの大量消費時代には工業製品の廃棄にともなって,廃棄物処分場周辺において三次的な 重金属汚染の要因をつくった.このように汚染の場所や要因に違いはあるが,重金属汚染 は資源循環サイクルの中における一断面とみることができる(図1-1)2)

これら4大公害訴訟を契機として公害問題に対する国民世論が急速に高まり,1967年7 月に「公害対策基本法」(1993年環境基本法成立にともなって廃止)が成立し,1968年6 月には気圏を対象とした大気汚染防止法が成立した.1970年11月に招集された第64回 臨時国会は「公害対策基本法」の理念と目的にもとづいた14の公害関係法規が可決成立 したため,いわるゆ「公害国会」と呼ばれている.この公害国会で,水圏を対象とした水 質汚濁防止法や海洋汚染防止法が成立している.

図1-1 重金属汚染の循環

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3

このように,汚染現象が一般の目に見える大気(気圏)や水(水圏)に対する法整備は 早期にすすみ,環境の修復改善と保全とが図られてきた.しかしながら,目に見えない現 象である地圏の汚染に対する法律としては,同じく公害国会で成立した「農用地の土壌の 汚染防止等に関する法律(以下,農用地土壌汚染防止法)」(1970年)であるが,対象は 農用地だけでありその有害物質はカドミウム,銅,ヒ素の3成分に限定されていた.

農用地外の土壌汚染を対象とした法整備は,カドミウム,銅,ヒ素以外に鉛や水銀等を 特定有害物質に加えた,1991年の「土壌の汚染に係わる環境基準(以下,土壌環境基 準)」まで待つことになる.1994年にはヒ素と鉛の基準値を下げ,トリクロロエチレンな ど揮発性有機塩素化合物(Volatile Organic Chlorines,以下VOCs)のほか15特定有害物 質が追加され,さらに2001年にはふっ素とほう素の2特定有害物質が追加された.1996 年には水質汚濁防止法の一部を改正して地下水浄化修復命令規定の追加により,地下水ま で公共水域に準じて水質汚濁防止法の対象とした.1997年には「地下水の水質汚濁に係 わる環境基準(以下,地下水環境基準)」が制定された.

近年,深刻な都市部の地圏汚染が顕在化してきたことにより,2002年4月に農用地以外 を対象とした「土壌汚染対策法」が成立し,翌2003年2月15日に施行された.その後,

2011年の改正土壌汚染対策法で数値(濃度)だけで汚染土壌としたため,自然由来重金 属(資源・環境)と社会の生産活動にともない拡散廃棄された人為由来重金属(汚染・公 害)が,識別されず修復責任が混乱する事態を招いている.

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4

1-2日本の土壌汚染

1-2-1歴史

【20世紀中期までの鉱山に起因した汚染】

近世以前のわが国における土壌汚染のうち,記録から立証できるのはほとんどが江戸時 代の鉱山開発にかかわるものである.古文書記録にあるもっとも古い土壌汚染は,1640 年代に常陸国(現,茨城県)の赤沢銅山(後の日立鉱山)で発生した「悪水事件」で,鉱 山下流域の田畑に被害を与えた.そのため水戸徳川藩は赤沢銅山を廃山としている.要因 は悪水(重金属汚濁水)であるが,被害は田畑に及んでおり土壌汚染であったことは疑い がない2)

日本における鉱山開発による土壌汚染の歴史と言えば,教科書にも取り上げられている 田中正造と「足尾鉱毒事件」を思い起こす人が多い.日本の近代化は19世紀後半の明治 維新後に始まり,足尾・別子・小坂・日立の四大銅山を中心に繁栄し,当時は「銅は国家 なり」とまで言われた.四大銅山の開発により,足尾鉱毒事件と別子・小坂・日立の煙害 事件が引き起こされた.とくに,足尾鉱毒事件はその汚染規模や公害闘争の歴史から,わ が国の公害の原点とされている.鉱毒とは鉱山開発にともなって排出された汚染公害の総 称である.鉱毒とは被害者側の深刻さを表す適当な用語と思われるが,毒々しい表現を嫌 った行政府はやがて鉱害と称するようになった.

旧足尾銅山は,広大な関東盆地西北の足尾山地に源を発する渡瀬川水系の最上流に位置 する.鉱床の発見は1500年代半ばまで遡り,江戸幕府を開くのとほぼ同時期の1610年 に直轄鉱山として本格的な開発が始まった.その後盛衰の繰り返しはあったが,明治年間 に入ると国家の急速な近代化を図る鉱業振興政策と相まって,この銅山開発はわが国初の 土壌汚染事件となった.1890年代,被害の深刻さを重く見た代議士の田中正造は被害者 農民と共に数回に及ぶデモンストレーションを行い,明治政府や鉱業権者の古河鉱業(株) にその対策と被害救済を訴えた.

しかしながら政府は,富国強兵政策をすすめるため汚染源である鉱山対策はほとんど行 わず,代わりに鉱毒が下流域に及ばないよう,利根川合流点付近の広大な水田地帯を,洪 水調整池の名目で鉱毒貯留の遊水池(渡瀬遊水池)に変えた.そのため,この遊水池にあ たる谷中村は住民を強制的に移住させられ,1907(明治40)年に谷中村は廃村となっ た.

(9)

5

戦後に至っても渡良瀬川流域の汚染被害は続き,1958年には足尾町の鉱泥堆積場にあた る源五郎沢の土堤(長さ40 m)が決壊し,多量の汚染土砂が旧毛里田村周辺(現,群馬 県太田市毛里田)の広範囲な水田に流入した.毛里田地区は,河川勾配が大きい足尾山地 から流下した渡瀬川が大間々・桐生を経て関東平野に入り,勾配が急に緩くなった地形的 位置にある.このような位置では河川の流速が急速に遅くなるため上流から運ばれた土砂 が堆積沈殿し,結果として重金属等に汚染された広大な扇状地を形成する.

その被害は毛里田地区周辺で産する米のCd濃度が高くなるCd汚染米として現れ,

1973年の足尾銅山の閉山後もその影響は残った.汚染された田畑への被害に対する補償 等については,渡良瀬川鉱毒根絶期成同盟会を母体とする太田市毛里田地区住民が古河鉱 業(株)に対し,公害紛争処理法(昭和45年6月1日法律第108号)に基づき公害等調整 委員会に損害賠償等を求める調停を申請し1974年に和解が成立した.「土」の字を象った 碑は農家の土への思い入れが込められており,碑文は鉱毒による土壌汚染の被害と和解ま での長年の経過を切々と語っている(図1-2).

一方,イタイイタイ病の現場となった富山平野では,農用地土壌汚染防止法成立後の 1979年から,33年もの長期間と総事業費407億円を費やした汚染農地修復事業が2011 年3月に完了した(図1-2)3). それでも,対策汚染農地1,686 ha(産米流通対策地域 の特定面積185.6 ha含む)のうち,農地に復元できたのは約半分の863 haである.その 土地も,豊穣だった耕作土を排土あるいは置換するため,改良前と同じ収穫量と品質を得 るには相当な長期間を要することになる.このように,わが国における土壌汚染の始まり は鉱山開発にともなう重金属の農用地汚染であり,被害は農業生産物の育成障害や減少の みならず,地域住民の重金属中毒症状などの健康被害にまで至っている.

図1-2 「祈念鉱毒根絶」碑(群馬県)と「カドミ汚染田復元記念」碑(富山県)

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6

【1970年代の都市部の汚染】

鉱山開発に起因する汚染以外に,都市部における産業活動によるものが報告されてい る.1970年代に発生した東京都江戸川区,北海道栗山町における六価クロム鉱滓による 土壌汚染及び地下水汚染は,資源循環サイクルにおける重金属等による都市部の土壌汚染 問題の初めての例である.いずれも化学工場におけるクロム鉄鉱石の精錬過程における鉱 滓の杜撰な処分によるものであった2)

東京都の例では,1940~73年の鉱滓発生量はおよそ57万トンであり,汚染箇所は都内 江戸川区・江東区ばかりでなく江戸川対岸の千葉県市川市など300ヶ所余りの広範囲に及

んだ(図1-3).鉱滓の大半は汚染原因者の企業(日本化学工業(株))が費用負担して無害

な三価クロムに還元処理されたが,未処理のままの鉱滓が未だに散在している4). 江東区では,1973年3月に東京都が日本化学工業(株)から買収した江東区大島九丁目の 都営地下鉄用地及び市街地再開発用地で,大量のクロム鉱滓埋め立てが判明した.東京都 は原因者負担の原則に基づいて1979年3月に日本化学工業(株)と「鉱さい(鉱滓)土壌 の処理に関する協定」を締結し,学識経験者による専門委員会の報告助言に基づいて三価 クロム還元工法による処理を行った.

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図1-3 江戸川区の六価クロム汚染地分布(田辺,1980)4)

北海道栗山町の例では,原因となった企業による還元層と保護層による,封じ込め埋め 立て処理による汚染防止工事が行われた.

【1980年代以降のハイテク産業に関連した汚染】

1970年代の都市部の土壌汚染は,工業原料として移動した自然起源の鉱石から排出され た二次的重金属汚染であったが,1980年代に入るとハイテク産業に関連した汚染が問題 となった.

1984年に兵庫県太子町の東芝(株)太子工場で,発ガン性のあるトリクロロエチレンによ る地下水汚染がわが国で初めて発覚した.

(12)

8

その後,千葉県君津市,熊本市,山形県東根市,福井県武生市,滋賀県八日市市,神奈 川県秦野市,栃木県鹿沼市,長野県諏訪市,福島市など,全国各地のハイテク産業を誘致 した工業団地内周辺でVOCsによる地下水汚染が次々と発生した.これらの地域では地下 水汚染が発覚したことにより詳細な調査が行われた結果,汚染源を含む平面的・垂直的な 汚染の広がりが把握され,深部の自然地層まで及ぶ広域的な地層汚染(土壌汚染)が明ら かとなった.解明された地下水汚染機構にもとづいて現在もなお,汚染源対策と共に原因 者負担による浄化対策が長期間にわたり継続されている例もある.

さらに,1990年代後半に入ると,土壌環境基準が制定されたことや,土地の再開発が活 発になったことなどに伴い,VOCs汚染に加えて再び都市部の重金属汚染が顕在化してき た.これに加え,ダイオキシン類や油類による汚染が加わり土壌汚染が複合化するととも に,大都市圏のみならず地方都市でも発生が確認され,土壌汚染は広域化と深刻化が進ん だ.

このような問題の発生を受け,2003年に都市部の土壌汚染を対象とした土壌汚染対策法 が施行され,2011年の改正を経て現在に至っている.

以上19世紀以降の汚染を中心に記述したが,わが国のおもな土壌汚染の歴史現象を整理 すると,現象や地域にもとづいて次のように纏めることができる.すなわち,1970年ま での鉱山開発にかかわって広域な農用地の土壌汚染が発生した「農用地重金属汚染期」,

1970年代から1980年代の半ばまでの工業原料として工業地帯に移動された鉱石の鉱滓や 廃棄物による重金属汚染が発生した「都市部重金属汚染期」,1980年代半ばから1990年 代半ばまでのハイテク産業の隆盛にともなう「都市部VOCs汚染期」,1990年代半ば以降 現在までの「広域複合汚染期」である.図 1−4 の土壌汚染期間と法整備導入時期に示すよ うに,わが国の土壌汚染の歴史は産業変遷と深く関係していることが分かる2)

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図1-4 日本における主な土壌汚染期間と法整備導入時期

※図の汚染期間は汚染の発覚から発生源の操業停止や裁判での和解までの期間を示しているが,汚染対策 や補償が今も継続されている例も多い.

1-2-2土壌環境基準

1−2−1で述べたように,1980年代の土壌汚染の頻発を受けて,1991年に土壌環境基 準が制定された.

土壌環境基準は,水に溶け出す特定有害物質量で規定されている.ここでは,政省令で 定められた方法(公定法)により土壌試料中の有害物質を溶出させた検液1 L中に含まれ る量(溶出量,mg L-1)で規定される.このことは,土壌環境基準は土壌中の汚染物質が 地下水に溶け出し,長期間飲用することにより汚染物質を経口摂取することを防止すると の意義づけである.

土壌環境基準ではさらに,農用地を対象としてカドミウムは米1 kg,ヒ素と銅は土壌1 kgに含まれる量で規定されている.これを含有量と言い単位はmg kg-1で表される.農用 地では地下水に溶け出す量ではなく,食料である農作物中に蓄積された汚染物質が体内に 摂取されることを防止するため,米あるいは農用地土壌中の含有量で土壌環境基準が定め られた.

2003年2月に施行された土壌汚染対策法では環境基準に代えて,下記のリスク観点から 土壌溶出量(mg L-1)と土壌含有量(mg kg-1)が規定された(表1-1).

 特定有害物質が含まれる汚染土壌を直接摂取するか曝露することによるリスク

(直接摂取によるリスク)

18601870188018901900191019201930194019501960197019801990200020102020 足尾鉱毒事件

イタイイタイ病 公害対策基本法 4大公害病訴訟 大気汚染防止法 水質汚濁防止法公害国会 農用地土壌汚染対策法 農用地の土壌汚染対策 栗山町六価クロム汚染 江戸川区六価クロム汚染 太子町VOC地下水汚染 君津市VOC地下水汚染 水質汚濁防止法改正 都市部のVOC汚染多発 土壌環境基準 環境対策基本法 都市部の重金属汚染顕在化 地下水環境基準 ダイオキシン対策法 土壌汚染対策法 土壌汚染対策法改正 米Cd含有量改正 東京都築地市場移転対策

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 汚染土壌からの特定有害物質の溶出に起因する汚染地下水等の摂取によるリス ク(地下水等の摂取によるリスク)

規定された物質のうち,無機化合物は農用地に指定されていたカドミウムとヒ素に加 え,六価クロム,シアン,水銀,セレン,鉛,ふっ素,ほう素の9特定有害物質が指定さ れたが,銅は市街地を対象とした基準から除外された.

ここで注意が必要なのは,溶出量と含有量は必ずしも相関しないということである.一 般に,含有量が多ければ当然溶出量が高く,含有量が少なければ溶出量が低いと思われが ちであるが,図1-5の東京圏内調査事例におけるヒ素の含有量と溶出量の相関をグラフ2) が示すように,両者が相関しているとは言い難い.含有量が基準の150 mg kg-1を超えて いても溶出量が土壌環境基準(0.01 mg L-1以下)以下のものも多いが,逆に含有量が150

mg kg-1未満であっても溶出量が土壌環境基準を超えているものも多い.

このように,重金属等の含有量と溶出量の相関は土壌中の化学条件や存在形態等によっ て異なり,相関しない場合が一般的である.土壌中の重金属の農作物等への影響を評価す る場合には,含有量が低く非汚染土壌と判断されるような場合でも,溶出量の評価も含め て詳細に調査する必要がある.

図1-5 溶出量と含有量の相関

(15)

11 表1-1 日本の土壌と地下水の汚染基準

区分 特定有害物質 農用地土壌基準 土壌含有量基準 土壌汚染対策法 土壌溶出量基準 地下水環境基準

一種特定有害物質 (揮発性有機化合物)

四塩化炭素 ― ― 0.002 mg L-1以下 0.002 mg L-1以下

1,2-ジクロロエタン ― ― 0.004 mg L-1以下 0.004 mg L-1以下

1,1-ジクロロエチレン ― ― 0.02 mg L-1以下 0.02 mg L-1以下

シス-1,2-ジクロロレチレン ― ― 0.04 mg L-1以下 0.04 mg L-1以下

1,3‐ジクロロプロペン ― ― 0.002 mg L-1以下 0.002 mg L-1以下

ジクロロメタン ― ― 0.02 mg L-1以下 0.02 mg L-1以下 テトラクロロエチレン ― ― 0.01 mg L-1以下 0.01 mg L-1以下

1,1,1‐トリクロロエタン ― ― 1 mg L-1以下 1 mg L-1以下

1,1,2‐トリクロロエタン ― ― 0.006 mg L-1以下 0.006 mg L-1以下

トリクロロエチレン ― ― 0.03 mg L-1以下 0.03 mg L-1以下 ベンゼン ― ― 0.01 mg L-1以下 0.01 mg L-1以下

第二種特定有害物質 (重金属等)

カドミウム 0.4 mg/米kg-1以下 150 mg kg-1以下 0.01 mg L-1以下 0.01 mg L-1以下 六価クロム 250 mg kg-1以下 0.05 mg L-1以下 0.05 mg L-1以下 全シアン 遊離シアンとして 50 mg kg-1以下 検出されないこと 検出されないこと

総水銀 15 mg kg-1以下 0.0005 mg L-1以下 0.0005 mg L-1以下

アルキル水銀 検出されないこと 検出されないこと

セレン 150 mg kg-1以下 0.01 mg L-1以下 0.01 mg L-1以下

150 mg kg-1以下 0.01 mg L-1以下 0.01 mg L-1以下

ヒ素 15 mg kg-1未満

(田に限る) 150 mg kg-1以下 0.01 mg L-1以下 0.01 mg L-1以下

ふっ素 4,000 mg kg-1以下 0.8 mg L-1以下 0.8 mg L-1以下

ほう素 4,000 mg kg-1以下 1 mg L-1以下 1 mg L-1以下

125 mg kg-1未満

(田に限る) ― ― ―

第三種特定有害物 (農薬等) シマジン ― ― 0.003 mg L-1以下 0.03 mg L-1以下

チウラム ― ― 0.006 mg L-1以下 0.006 mg L-1以下 チオベンカルブ ― ― 0.02 mg L-1以下 0.02 mg L-1以下

PCB ― ― 検出されないこと 検出されないこと

有機燐 ― ― 検出されないこと

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 ― ― 10 mg L-1以下

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12

汚染土壌汚染対策法施行規則(20021226日環境省令第29号)

土壌の汚染にかかわる環境基準について(1991823日環境庁告示第46号,改正平成5環告 19・平成6環告5・平成6環告25・平成7環告19・平成10環告21・平成13環告16)

地下水の水質汚濁にかかわる環境基準について(平成9313日環境庁告示第10号,改正平 11環告16)

農用地土壌汚染防止法のカドミウム基準は成立時(1970年)は玄米1kgにつき1.0mg未満であっ たが,2011年に米・玄米1kgにつき0.4 mg以下に改正された.

(17)

13

1-2-3修復施工の現状

土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果(環境省,

2016年)によれば5),第二種特定有害物質(重金属等)の5年間(2010-2014年)におけ る汚染土壌修復・対策施工数1,724件のうち,掘削除去が1,216件と全体の70.5%を占め ている.これに対して原位置修復対策は原位置浄化(洗浄工,化学処理,バイオ処理等)

0.8%(14件),水質監視を含む遮水遮断・不溶化措置13.9%(239件),舗装・盛土等

11.3%(194件),その他3.5%で(61件)である(図1-6).

図1-6 日本の重金属等汚染修復施工数(2010-2014年)

日本の土地は公共組織・企業体・個人の所有のため,所有者は土地価格と利用計画に応 じて適正な費用対効果のある修復工法を自由に選択することができる.そのため地価の高 い大都市圏(東京,横浜,大阪,名古屋等)や地方中核都市圏では,土地売買や利用変更 を速やかに進めるため土壌置換工法が主流となっている.不溶化工法は工事費が低価格で も,重金属等無機汚染土壌では含有量の低減が困難であり,VOCs等有機汚染土壌では修 復施工が長期間を要するため,これを避ける傾向にある.したがって,地価の安い地方都 市では未処理土地(Brown fields)が多く残されることになる.

現在,東京都市場の移転に伴う豊洲市場の土壌汚染修復に係わり,費用対効果の高い土 壌汚染対策は今持って研究開発の課題となっている.

(18)

14

1-3中国の土壌汚染

1-3-1基準超過状況

中国は全国土壌汚染状況調査を2005年4月~2013年12月に実施し,その調査結果を 2014年4月に「全国土壌汚染状況調査公報」として公開した6).調査範囲は,香港特別行 政区,マカオ特別行政区と台湾地区を除く中国内陸国土であり,調査地点はすべての耕 地,一部の林地,草地と未利用の建設用地などを網羅し,実質調査面積は約630万km で中国内陸国土のおよそ67%である.

調査は統一された方法と基準で行われたため,本結果は中国全国の土壌環境の全体状況 を示したものと言える.結果を図1-7に示す.これより,全国土壌調査地点の基準超過

率は16.1%であり,そのうち,「軽微汚染」,「軽度汚染」,「中度汚染」,「重度汚

染」の調査地点の割合はそれぞれ11.2%,2.3%,1.5%と1.1%となっている.

なお,本調査の土壌汚染程度は次のように規定されている.

・無汚染 汚染物質の含有量が基準を超えていない.

・軽微汚染 汚染物質の含有量が基準の1~2倍(2倍を含む)

・軽度汚染 汚染物質の含有量が基準の2~3倍(3倍を含む)

・中度汚染 汚染物質の含有量が基準の3~5倍(5倍を含む)

・重度汚染 汚染物質の含有量が基準の5倍以上

図1-7 土壌汚染程度の%比率(実質調査面積約630万km2

(19)

15

基準超過地点における汚染原物質の割合は,重金属などの無機物質に起因する「無機型 汚染」が全体の82.8%と多く,これに次いで「有機型汚染」であり,無機と有機の両法を 含む「複合型汚染」の割合は比較的少ない.

また,汚染地点の分布状況は,全体として北方よりも南方で高い傾向が示されたが,長 江三角州(上海市と江蘇省南部・浙江省北部を含む長江河口の三角洲),珠江三角洲(中 国珠江河口の広州市,深圳市,東莞市,マカオを結ぶ三角地帯),東北地方(東北外縁に 存在する地域で,遼寧省・吉林省・黒竜江省の東北三省),南西地区(雲南省,貴州省,

四川省,重慶市),中南地区(河南省,湖北省,湖南省)において,広範囲にわたる汚染 が明らかとなった.人に健康被害をもたらす高い毒性を示すカドミウム,水銀,ヒ素,鉛 の無機性汚染物質の含有量分布は西北から東南に向けて,また,東北から南西に向けて次 第に高くなる傾向が示された.

無機性汚染物質

汚染基準の超過率16.1%のうち重金属類の割合は,カドミウム,ニッケル,ヒ素,銅,

水銀,鉛,クロム,亜鉛がそれぞれ7.0%,4.8%,2.7%,2.1%,1.6%,1.5%,1.1%,

0.9%である(表1-2).基準超過調査点における汚染原因物質の割合で見た場合,カドミ

ウム,ニッケル,ヒ素,銅,水銀,鉛,クロム,亜鉛はそれぞれ,27.5%,18.8%,

10.6%,8.2%,6.3%,5.9%,4.3%,3.5%であり,これらの重金属類で汚染原因物質の8

割以上を占めている(図1-8).

(20)

16 表1-2 無機性汚染物質基準超過状況

汚染物質 基準超過調査地点(%) 異なる汚染程度の調査治天の比率(%) 軽微 軽度 中度 重度 カドミウム 7.0 5.2 0.8 0.5 0.5 ニッケル 4.8 3.9 0.5 0.3 0.1 ヒ素 2.7 2.0 0.4 0.2 0.1

銅 2.1 1.6 0.3 0.15 0.05

水銀 1.6 1.2 0.2 0.1 0.1 鉛 1.5 1.1 0.2 0.1 0.1

クロム 1.1 0.9 0.15 0.04 0.01

亜鉛 0.9 0.75 0.08 0.05 0.02

図1-8 基準超過調査点における汚染原因物質の割合(%)

有機性汚染物質

BHC,DDT,多環式芳香族炭化水素の3種類の有機性汚染物質基準を超える調査地点

の割合はそれぞれ,0.5%,1.9%,1.4%である(表1-3).これらは基準超過調査点にお ける汚染原因物質の割合で見た場合,何れも10%未満であり,中国における汚染は有機型 よりも無機型の方が深刻であることを示している.

(21)

17 表1-3 有機性汚染物質基準超過状況

汚染物質 基準超過調査地点の比率(%) 汚染程度の調査地点比率(%) 軽微 軽度 中度 重度

BHC 0.5 0.3 0.1 0.06 0.04

DDT 1.9 1.1 0.3 0.25 0.25

多環芳香族炭化水素 1.4 0.8 0.2 0.2 0.2

農林地等の土壌環境(図1-9)

以下に農林地等における調査結果を列記する.

耕地(農耕地):全国の基準超過調査地点の割合は16.1%であったが,耕地に限ると基 準超過点は19.4%と高い.その中で「軽微汚染」,「軽度汚染」,「中度汚染」と「重度 汚染」の調査地点の割合はそれぞれ13.7%,2.8%,1.8%及び1.1%であり,主要な汚染物 質はカドミウム,ニッケル,銅,ヒ素,水銀,鉛,DDT及び多環芳香族炭化水素である.

林地:基準超過地点の割合は10.0%であり,その内,「軽微汚染」,「軽度汚染」,

「中度汚染」と「重度汚染」の調査地点の割合はそれぞれ5.9%,1.6%,1.2%及び1.3%

であり,主要な汚染物質はヒ素,カドミウム,BHC及びDDTである.

草地:基準超過地点の割合は10.4%であり,その内,「軽微汚染」,「軽度汚染」,

「中度汚染」と「重度汚染」の調査地点の割合はそれぞれ7.6%,1.2%,0.9%と0.7%で あり,主要な汚染物質はニッケル,カドミウム及びヒ素である.

未利用地:基準超過地点の割合は11.4%であり,その内,「軽微汚染」,「軽度汚 染」,「中度汚染」と「重度汚染」の割合はそれぞれ8.4%,1.1%,0.9%及び1.0%であ り,主要な汚染物質はニッケル及びカドミウムである.

(22)

18

図1-9 農林地の土壌汚染度(%)

鉱工業地区域の土壌環境(図1-10)

以下に鉱工業地区域における調査結果を列記する.

重汚染企業用地:重工業690社の重汚染企業の用地及びその周辺の5846調査地点で は,基準超過地点は36.3%を占め,主に鉄鋼,非鉄金属,革製品,製紙,石油石炭,医 薬,化学繊維・ゴム・プラスチック,鉱物製品,金属製品,電力などの事業に関わる例が 多い.

工業跡地:工業跡地81箇所の工業跡地に775調査地点では,基準超過地点は34.9%を 占め,主要な汚染物質は亜鉛,水銀,鉛,クロム,ヒ素と多環芳香族炭化水素であり,主 に,鉱業,冶金などの業界関係である.

工業団地:工業団地146箇所の2523の調査地点を調査したところ,基準を超えた地点

は29.4%を占めた.その中,金属製錬類型の工業団地及びその周辺土壌の主な汚染物質は

カドミウム,鉛,銅,ヒ素,亜鉛であり,化工類型の工業団地及びその周辺土壌の主要汚 染物質は多環芳香族炭化水素である.

(23)

19

固形廃棄物の集中処理・処分地:188箇所の固形廃棄物の集中処理・処分地にある1351 調査地点のうち基準超過地点は21.3%を占め無機性汚染を主とし,ゴミ焼却場と埋め立て 場は有機性の汚染が深刻である.

石油採掘区:13箇所の494調査地点を調査したところ,基準を超えた地点は23.6%を占 め,主要な汚染物質は石油炭化水素と多環芳香族炭化水素であった.

鉱産採掘区:70箇所の1672調査地点を調査したところ,基準を超えたのは33.4%を占 め,主要な汚染物質はカドミウム,鉛,ヒ素,多環芳香族炭化水素であった.非鉄金属鉱 産採掘区の周辺土壌はカドミウム,ヒ素,鉛などの汚染が比較的に深刻である.

汚染灌漑区:調査した汚染灌漑区55箇所のうち39箇所で土壌汚染が確認された.1378 の調査地点のうち,基準超過地点は26.4%を占め,主要な汚染物質はカドミウム,ヒ 素,多環芳香族炭化水素である.

幹線道路両側:幹線道路267本の両側1587の土壌調査地点を調査したところ,基準を 超えた地点は20.3%を占め,主要汚染物質の鉛,亜鉛,セレンと多環芳香族炭化水素は,

一般に道路両側の150 mの範囲に集中している.

図1-10 鉱工業地区域における土壌汚染地状況(%)

※本図は全鉱工業地域における基準超過地点の割合(%)を示し,各地区域内における基準超過割合

(%)とは一致しない.

(24)

20

1-3-2重金属環境基準

中国の土壌環境質量基準(GB 15618-1995)は次の点で,日本の土壌環境基準と主な相 違がある.全て含有量基準(mg kg-1)であること,農用地は土壌pHで基準が異なるこ と,農地以外は居住用地・商業用地・工業用地によって基準が異なることである.また,

溶出量基準がないため土壌汚染修復事業では固体廃棄物汚染防止基準(GB18599-2001)

に基づき,TCLP(Toxicity Characteristic Leaching Procedure)による弱酸性水浸出量基 準(mg L-1)が準用されている(表1-4).

(25)

21 表1-4 重金属の基準

汚染物質

農用地pH区分 居住 用地

商業 用地

工業 用地

固体廃 棄物

≤5.5 >5.5-6.5 >6.5-7.5 >7.5

mg kg-1 mg L-1

総カドミウム(Cd) 水田

草地 野菜畑

0.25 0.25 0.25

0.30 0.30 0.30

0.50 0.45 0.40

1.0 0.80 0.60

10 20 20 1

総水銀(Hg) 水田 草地 野菜畑

0.20 0.25 0.20

0.30 0.35 0.3

0.50 0.70 0.4

1.0 1.5 0.8

4.0 20 20 0.1

総ヒ素(As) 水田 草地 野菜畑

35 45 35

30 40 30

25 30 25

20 25 20

50 70 70 5

総鉛(Pb) 水田

草地・野菜畑

80 50

80 50

80 50

80 50

300 600 600 5

総クロム(Cr) 水田

草地・野菜畑

220 120

250 150

300 200

350 250

400 800 1000 15

六価クロム(Cr(VI)) 5.0 30 30 5 総銅(Cu)

水田

草地・野菜畑・果樹

50 150

50 150

100 200

100 200

300 500 500 100

総ニッケル(Ni) 水田

草地・野菜畑

60 60

80 70

90 80

100 90

150 200 200 5

総锌(Zn) 150 200 250 300 500 700 700 100 総セレン(Se) 3.0 40 100 100 1 総コバルト(Co) 40 50 300 300 総パラジウム(Pd) 130 200 250 250 総アンチモン(Sb) 10 30 40 40

※固体廃棄物汚染防止基準(GB18599-2001):TCLP(Toxicity Characteristic Leaching Procedure)に よる弱酸性水浸出量基準(mg L-1

(26)

22

しかし,中国では日本の農用地土壌汚染防法や土壌汚染対策法に相当する防止対策法が 未制定のため,汚染土壌の対策や修復に際しては,2010年上海で開催された万国博覧会 用地を確保するための「展覧会用地土壌環境質量評価基準(暫定)」が広く準用されてい

る(表1-5).したがって,実際の調査・対策においては,行政区(省や市)ごとに設置

される大学・研究所や行政関係者で構成された委員会で指定された基準に従わなければな らない.

表1-5 展覧会用地土壌環境質量評価基準(暫定,無機物質)

※A級:汚染を受けていない土壌としての目標値

B級:超過した場合に修復が必須とされる「行動値」で,A級までの浄化が求められる.

A級超過B級以下:土地利用に制限が生じ,商業用地等には使用できる.

1-3-3農作物食品群の基準

国連食料農業機関(FAO) と世界保健機構 (WHO) の下部機関である「国際食品規 格委員会(コーデックス委員会,Codex Alimentarius Commission)」は.世界の消費者の 健康を保護し公正な食品貿易の実施を促進するため食品規格(以下,国際基準と表記)を

No. 物質名 A級(mg kg-1-) B級(mg kg-1-) 1 アンチモン(Sb) 12 82

2 ヒ素(As) 20 80

3 ベリリウム(Be) 16 410 4 カドミウム(Cd) 1 22 5 クロム(Cr) 190 610

6 銅(Cu) 63 600

7 鉛(Pb) 140 600 8 ニッケル(Ni) 50 2400 9 セレン(Se) 39 1000 10 銀(Ag) 39 1000 11 タリウム(Tl) 2 14 12 亜鉛(Zn) 200 1500 13 水銀(Hg) 1.5 50 14 全シアン化物(SN) 0.9 8

(27)

23

決めて各国に勧告している.中国の食品基準は日本よりも厳しく米のCd基準値は0.2 mg

kg-1(日本は0.4mg kg-1)で,日本では指定されていないヒ素や鉛の含有量基準も設定さ

れている(表1-6).しかし,汚染農地の修復義務や汚染農作物の栽培や流通規制に関する 法律は未整備の状況である.

中国国務院は2014年に公開した「全国土壌汚染状況調査公報」に基づいて,2016年に

「土壌汚染対策防治行動計画」を各省・特別市等に通知した7).2020年の土壌汚染対策法 施行に向け汚染農地が集中している,江西省,湖北省,湖南省など(広東,広西,四川,

貴州,雲南)を地域指定し,汚染農作物対策を進めている.

表1-6 国際・中国・日本の農作物の主な重金属含有量基準(mg kg-1

食品群 国際 中国 日本 国際 中国 国際 中国 カドミウム(Cd) ヒ素(As) 鉛(Pb) 米 0.4

0.2 0.4 0.2

0.2 0.2 0.2

玄米 0.35

小麦 0.2 0.2 - - 0.5 雑穀(米,小麦,そば

等を除く) 0.1 0.1 - - 0.5 0.2 0.2 豆類(乾燥した大豆を

除く) 0.1 0.2 - - 0.5 0.2 0.2 根菜(セロリアックを

除く),茎菜 0.1 0.1 - - 0.5 0.1 0.2 葉菜 0.2 0.2 - - 0.5 0.3 0.3 その他の野菜(食用キ

ノコ,トマトを除く) 0.05 0.05 - - 0.5 0.1 0.1 国際:コーデックス委員会が策定した国際基準(CODEX STAN 193-1995)

中国:中国食品安全国家基準(GB2762-2012)

日本:農用地土壌汚染防止等に関する法律(昭和45年法律第139号,カドミウム以外のヒ素と銅は土壌 基準)

(28)

24

1-4本研究の目的

上述したように,日本においては土壌汚染対策法が施行されており,規定された汚染状 況調査に基づいて,農用地や工業用地などで汚染が確認された場合には浄化も義務づけら れている.しかし,中国では全国土壌汚染状況調査によって広範囲の汚染が明らかになっ たのものの,その修復浄化には莫大な費用を要するため全国的対策には至っていないのが 現状である.また,日本においても地価の安い地方においては,土地の対価と浄化費用が 見合わないため,未処理土地が多く残されている.特に,重金属類による汚染の場合は,

有機物質のように分解することができないため,除去か固定化が必要となりこの処理には 多くの工程を要するため修復費用は高額になる. 中国における土壌汚染の80%以上が重 金属によるものであることと併せて考えると,重金属汚染土壌の対策はますます重要な研 究課題である.

一方,重金属汚染土壌の人への影響を考えた場合,通常,人間が汚染土壌を直接摂取す ることは無いため,重金属汚染に伴う人の健康被害は土壌から溶出した重金属イオンを含 む水を飲用するか食用である農作物や水生生物を経て,閾値し き い ち以上に摂取することによって 発生する(図1-11).

図1-11 重金属汚染と健康被害の連鎖

したがって,重金属汚染土壌の人への影響を低減させるためには,重金属の水への溶出 と農作物等への移行を抑えることが重要となる.それには土壌の重金属を不溶化するか溶 出した重金属を吸着固定化する必要がある.これまで,不溶化剤や吸着剤にはセメント固 化剤を始め多くの種類の材料が用いられているが,効果や費用の面で実用されているもの

健康被害 農薬肥料 大気汚染

汚染廃水 廃棄物

重金属汚染土壌 飲用水

農作物

水 水棲生物

食品

(29)

25

は少ない.また,実際の農地において農作物への重金属の移行抑制について検討した例は 極めて少ない.

そこで本研究では,農作物への重金属の移行を抑制することができる実用的な方法を開 発するため,以下の二つの材料を取りあげ検討することとした.

① 天然ゼオライトを主原料とした修復材(Zeolite-Restoration Material,以下ZRMと 表記)

② スギの樹皮(バーク)を主原料とした修復材(Fermented Burke Amendment,以下 FBAと表記)

天然ゼオライトはその構造から陽イオン吸着性に優れ,一般的に重金属の吸着剤として 利用されているイオン交換樹脂等よりも安価であり,且つ天然鉱物であることから散布に よる環境への影響も極めて小さい.また,バークは未利用バイオマスであり他の材料と比 べ費用の面で極めて有利であるばかりでなく,堆肥としての効果も期待され農作物の収穫 量の増加に寄与できる可能性がある.

ゼオライト等鉱物利用に関しては,これまで重金属の農作物への移行抑制効果について いくつか実験されているが,広く普及する工法に至っていない.また,FBA利用に関して はポット試験により米のCd濃度の低減効果は確認されているが,実際の農地を使った検 討は行われていない.

本研究では,天然ゼオライトとバークを主原料とした材料を用いて,日本で規定されて いる米のCd含有量を中心に日本と中国の農地を使い以下の項目について検討する.

 ZRMを用いた米と麦への重金属取込抑制効果

 米と麦の収穫高に及ぼすZRMの影響

 FBAを用いた米と麦への重金属取込抑制効果

 米と麦の収穫高に及ぼすFBAの影響

ここで,中国では日本と異なりバークは高価であるためFBAを農地に大量に散布する ことはできない.そこで,中国の農地を用いた実験ではFBAに加えて 大鋸屑お が く ずを同様の

(30)

26

操作で醗酵させ製造した,FBWA(Fermented Biomass Waste Amendment,以下 FBWAと表記)も用いて検討を行った.

以下,2章ではZRMの検討結果を,3章ではFBAとFBWAの検討結果を記述する.

(31)

27

【1章参考文献】

1) 日本国環境省:環境基本法,1993

2) 川口有一郎・和田信彦・廣田裕二・大岡健三・本間 勝:「土壌汚染リスクと不動産評 価の実務」,プログレス(東京),2004

3) 大塚義人: 「豊かな水土里を次世代に」,土地改良,土地改良建設協会(東京), 2014 4) 田尻宗昭:「公害摘発最前線」,岩波書店(東京),1980

5) 環境省:「平成27年度土壌汚染対策法の施行状況および土壌汚染調査・対策事例等に 関する調査結果」,2017

6) 中国環境保護部・国土資源部:「全国土壌汚染状況調査公報」,2014 7) 中国国務院:「土壌汚染防治行動計画」,2016

(32)

28

2ゼオライト修復材(ZRM)を利用した農作物への重金属取込抑制

2-1緒言

農用地におけるカドミウム(Cd)の汚染問題は1955年頃から日本国内の亜鉛鉱山や精 錬所下流域で見出されて社会問題化し,1970年に成立した「農用地土壌汚染防止法」で は玄米中のCd含有量基準1 mg kg-1未満が定められた.その後,食品の国際規格を決める

「コーデックス委員会」の勧告もあり,厚生労働省は食品安全委員会の食品健康影響評価 結果を踏まえて,2011年2月28日に基準 (玄米と米) を0.4 mg kg-1以下に改正し た.

土壌中のCd含有量 (mg kg-1) と生産された玄米中のCd含有量 (mg kg-1) は,こ れまで農林水産省が行ってきた長年の実態調査結果でも,水田土壌中のCd濃度が高いほ ど米のCd濃度も高い傾向が示されている1).しかし,両者には明瞭な正規分布相関が認 められないことから,農用地土壌汚染防止法では玄米及び米中のCd含有量で土壌基準が 指定されている.

植物体の重金属含有量と土壌水の重金属イオン量(溶出量)については,水稲の栽培実 験に基づいて水耕液中のCd濃度(0.1 M塩酸抽出法)に応じて玄米中の含有量が上昇す る現象が早期に報告されている2).これより,土壌改良材としてケイ酸カルシウムを原料 とした多孔質ケイカル(Autoclaved-Lightweight-Concrete,以下ALCと表記)や熔成リン 肥等を重金属汚染土壌に散布し,土壌から米への吸収を抑制する実験が行われている3). 未修復の対照区画や対照土壌(以下,図表ではBlankと表記)で栽培した玄米Cd濃度

(0.1 M塩酸抽出法)が0.21ppmに対してALC散布した修復区画の玄米Cdは0.02 ppm,対照区画の0.74 ppmからALC修復区画0.14 ppmと低下した報告がある4).ま た,ALCの大量施用(5~20 ton / ha)でCd汚染水田における水稲のCd吸収量が減少す ることが報告されている5).しかしながら,いずれの報告例でも吸着抑制効果はpH上昇 による可溶性Cd量の減少に伴う玄米Cd濃度の低下であると結論されている.

土壌改良材としてゼオライトを施用(2 kg / m2)し玄米Cd含有量が,対照区画0.20 mg kg-1と比べ0.10 mg kg-1と半減した農地実験の報告がある6).この実験例でもCd取込 抑制効果は土壌の平均pHが 6.0から7.5に上昇したことが原因とされ,ゼオライトによ

(33)

29

る不溶化(吸着効果)でないとされている5).また,ゼオライトを含む多数の無機材料の 効果については,湛水管理による抑制効果よりも劣るとの報告もある7)

一方,ゼオライトは珪素原子(Si)を中心に4つの酸素原子(O)を配列したSiO4正四 面と,一部をアルミニウム原子(Al)で置換したAlSi四面体による立体網目構造を有して おり,その構造から分子 篩分し ぶ ん能,イオン交換能,吸着能などの優れた特性があり,使用 する条件を設定すれば環境修復材として利用することが可能と考えられる.実際に人工ゼ オライトとバーミキュライトを混合添加した水田で稲を栽培した実験から,これらの吸着 効果により玄米中のCd含有量が低減すると報告されている8)

そこで,本研究では,ゼオライトの土壌修復材としての可能性を明らかにするため,ゼ オライトを主成分とする修復材を調製し,実際の農地を用いて米と麦のカドミウム取込に 関する検討を行った9).本章2−2では日本の農地を用いた検討結果を,2−3では中国の 農地を用いた検討結果を記述する.

(34)

30

2-2実験

2-2-1試薬と装置

本章で用いた試薬は全て和光純薬工業製の特級を,試料の調製及び希釈に用いた水はヤ マト科学製WEX 3 Autopureにより精製したものを使用した.また,分析装置は表2-1に 示すものを使用した.

(35)

31 表2-1 試薬及び分析.計測装置

機器・試薬 分析・計測対象 分析機器・計測器 規格・製造元 試験方法・分析方法

試薬類 和光純薬工業 Cd等重金属吸着試験

純水装置 WEX3 Autopure ヤマト科学 各種実験

大学 分析会社

土壌

蛍光X線分析装置 Mesa50(堀場製作所,京都) 乾燥,陶器乳鉢→瑪瑙め の う乳鉢,0.01mm鉢 粒度調整

ICP発光分光分析計 iCAP 6200 Duo(サーモフィッシャ

ーサイエンティフィック) 環告18号1 ,環告19号2 原子吸光光度計 Z-2000(日立製作所製,東京)

ゼオライト XRD RINT2000(リガク,東京) 構成鉱物同定

水・検液

原子吸光光度計 Z-530(日立ハイテクサイエンス社 製偏光ゼーマン原子吸光光度計)

吸着試験 原子蛍光光度計 AFS-9760(HaiGuang Instrument,

北京, 中国)

pH 卓上pHメーター D-51(堀場製作所製,京都)

試験農地 pH 野外PHメーター 堀場製作所

校正:毎日計測直前に校正液にて三点校 正

乾田:乾土5gに純水25mL(固液比1:

5)→10 分 振盪し ん と う,静置2分,計測1分 水田:飽和土壌(原状)→2 分静置,1分計 測

1土壌溶出量調査に係わる測定方法を定める件(環境省,2003年)

2土壌含有量調査に係わる測定方法を定める件(環境省,2003年)

(36)

32

2-2-2使用した天然ゼオライトとその結晶構造

【日本産ゼオライト】

図2-1には日本におけるゼオライトの産地を示す.天然ゼオライトが産出する地質的環 境は新第三紀から第四紀の火山帯周辺の比較的低温低圧な熱水環境で,日本では北海道,

東北,北関東,中国,九州の各地で産出する.日本の天然ゼオライトは結晶構造により,

モルデナイト(斜方晶系)とクリノプチロライト(単斜晶系)の二種に大別される10)

図2-1 ゼオライトの産地9)

図2-2に天然鉱物による重金属のイオン吸着及びイオン交換の模式図を示す11).ゼオライ トは結晶構造中に無数の微細孔を有しており結晶構造の表面が負電荷に帯電しているた め,溶液中で陽イオンとして存在する重金属の大半は結晶構造内に取り込まれる.その構 造により分子篩分し ぶ ん能,イオン交換能,触媒能,吸着能などの特性を有する.

(37)

33

天然鉱物の吸着機構 陽イオン交換反応概念 鉄系補助剤表面吸着 図2-2 天然鉱物による重金属イオン吸着・イオン交換10)

本研究において検討した天然ゼオライトの化学成分特性を表 2−2に示す.ここでIWは 島根県産をNTは福島県産を表す.これより,両者の化学成分は概ね類似しており,陽イ オン交換容量 (Cation Exchange Capacity,以下CECと表記)もIWが130~180 meq / 100 g,NTが160~190 meq / 100 gとほぼ一致していることから,化学的性質に大きな 差は無いものと考えられる.

表2-2 比較したゼオライトの化学成分特性

分析項目 IW NT

産地 西日本 東日本

CEC 130 - 180 meq /100 g 160 - 190 meq /100 g

化学成分 % %

SiO2 66.0 69.7

Al2O3 12.9 12.5

Fe2O3 1.8 1.5

MgO 0.6 0.3

CaO 2.3 2.2

Na2O 2.6 2.0

K2O 1.6 2.1

P2O5 0.1 0.1

※生産会社HP公表による

(38)

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天然ゼオライトの主たる構成鉱物を同定するため図2-3に示す手順で,X線粉末回折装 置(XRD:X‐ray Diffraction,リガク(東京)製RINT2000)により分析を行った.測定条 件は,X-Ray40 kV / 20 mA,発散スリット1°,発散縦制限スリット10 mm,散乱スリッ

ト1°,受光スリット0.15 mm,モノクロ受光スリット0.8 mm,スキャンニング2θ

(degree)0-70である.

得られた回折チャートを図2-4と図2-5に示す.これよりIWは単斜晶系のクリノプチ ロライト群のCpt(灰斜プチロル沸石)を主成分としHeu(灰輝沸石)を付随共存してお り.NTは斜方晶系のモルデナイトであることが分かった.

図2-3 XRD分析試料調整

(39)

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図2-4 ゼオライトIWのX線回折パターン Cpt:クリノプチロライト(灰斜プチロル沸石),Heu:灰輝沸石

図2-5 ゼオライトNTのX線回折パターン Mor:モルデナイト(モルデン沸石)

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【中国産ゼオライト】

中国の農用地土壌と農作物を対象に検証するため,中国内で広く流通する中国産天然ゼ オライトのZJ(浙江省産)とLN(遼寧省産)を入手した.日本の天然ゼオライトには温 泉等の影響により重金属が負荷されている可能性もあり,日中ゼオライトの重金属等含有 量を可搬型蛍光X線分析装置にて比較分析した.

図2-6に小型のエネルギー分散型蛍光X線分析装置(ED-XRF,Energy Dispersive X-ray Fluorescence Spectrometry)によるゼオライト分析操作を示す.丸茂らは乾燥した極細試 料の粒子径を均質にし,かつX線照射面を平坦に保つことでED-XRFにより実用可能な高 精度分析値を得る方法を示した12).そのため,採取土壌は砕石や植物遺体などを除去した

後に60 ℃にて乾燥させ,ナイロンメッシュで篩分けし0.125 mm以下の細粒を陶器乳鉢

で粗磨りした.さらに 瑪瑙め の う乳鉢で10 µm以下の極細粒に均質調製し,可搬型ED-XRF

(Mesa50,堀場製作所(京都))により重金属含有量を分析した.

表2-3にゼオライト中の有害物質含有量を示す.修復材として利用する中国産ゼオライ

トの重金属含有量は,中国の土壌環境質量基準(GB 15618-1995)における水田Cd基準

(0.25-1.0 mg kg-1)の2~11倍程度含まれる.しかしながら,添加量は重量比5%以下で あり農用地のCd含有量基準を超過することは無いため,天然ゼオライトの吸着効果によ る米Cd含有量の低減効果の検討に使用できると判断した.

(41)

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図2-6 可搬型蛍光X線分析装置によるゼオライト分析

表2-3 ゼオライト中の有害物質含有量(mg kg-1

特定有害物質 中国産ゼオライト 日本産ゼオライト

ZJ LN IW NT

Pb 42.4 21.6 ND ND

Cr 50.0 29.1 47.6 45.2

Zn 102 62.1 63.5 83.3

As 9.93 14.5 18.6 13.4

Cu 4.54 5.60 4.11 6.54

Ni 1.87 2.46 1.40 1.55

Cd 2.84 2.10 0.90 3.05

図2-7,図2-8に,ゼオライトZJ及びLNのXRD結果を示す.得られた回折チャート

(2θ:回折角0~45度)より,ZJとLNは共にクリノプチロライト群(単斜晶系)であ った.ゼオライトZJはCpt(灰斜プチロル沸石)主体であるのに対し,ゼオライトLNは Heu(灰輝沸石)が主体であった.

(42)

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図2-7 ゼオライトZJのX線回折パターン

図2-8 ゼオライトLNの X線回折パターン

図 2-4  ゼオライト IW の X 線回折パターン  Cpt:クリノプチロライト(灰斜プチロル沸石),Heu:灰輝沸石
図 2-7  ゼオライト ZJ の X 線回折パターン
図 2-9  ゼオライト粒度の Cd 吸着試験  2-2-4ゼオライト修復材(ZRM)  ここでは天然ゼオライトに,苦土石灰と火山性風化粘土を混合したものをゼオライト修 復材(ZRM)とした.  苦土石灰(商品名:炭酸苦土石灰,製造元:吉澤石灰工業)は陽イオン吸着を促進する ことが知られているため 13) ,ゼオライトの Cd 吸着効果を高める目的で添加した.使用し た苦土石灰(CaMg(CO 3 ) 2 )の成分構成は,製造元の公表分析値によると,SiO 2 が
図 2-32  二年間の米収穫量(2016 試験農地)
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