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近代京都における電気事業と街路空間形成に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)IV-014. 近代京都における電気事業と街路空間形成に関する研究 京都大学大学院 学生員 ○亀山泰典 京都大学大学院 正会員 田中尚人 京都大学大学院 正会員 川崎雅史 1. 研究の背景と目的 都市の過去を読み解くことは現代の複雑化した都市問 題の論点を明らかにし、あるべき姿を模索するために有 意義であると考える。 本研究は、現代と同様に都市の在り方が問われていた 近代京都を研究対象とした。近代京都の街路空間におい ては琵琶湖疏水による電気事業が、「電灯」、 「電気軌 道」といった目に見える形として現れ、直接・間接に影 響を及ぼした。本研究では、これらの現象を「近代化」 という一つの流れとして街路景観の中に見出し、歴史的 文献や資料、写真を用い、インフラストラクチャーと街 路景観の結びつきを明らかにすることである。 2. 近代京都における電気事業 明治維新後の京都の近代化を担った琵琶湖疏水事業は、 我が国初の近代的な総合開発事業と位置づけられる。こ の琵琶湖疏水事業の計画段階から完成時までの経緯、建 設目的等を整理し、事業における電気事業(水力発電) の位置づけを明らかにした。 (1)琵琶湖疏水と電気事業 明治 23 年(1890)に完成した琵琶湖疏水は、当初、 舟運の占める割合は大きかった。明治21 年(1888) 、 田辺朔郎らが米国アスペンで世界最初の水力発電を視察 後、水力発電方式が市参事会で決定され、明治 24 年 (1891) 、我が国初の蹴上水力発電所が完成した。しか し、蹴上発電所建設直後の電力供給先はわずか3社であ り送電範囲も限られていた。 また人々の認識不足のため、 電力事業は予想されたほど伸びなかった。. 図-1 大正末期電力配電図. 灯4基が設置された(図-2参照) 。 一般家屋に対しての電灯普及率は、京都電灯開業時の 明治22 年(1889)から16 年間1割にも満たない低普及 率で、需要は予想に反して伸び悩んだ。しかし、第二琵 琶湖疏水建設と同時に、電灯普及率が急激に伸び、一般 家庭に普及し始めた。. (2)拡大する電気事業 「水電協会」等の活動により、明治 30 年代に入る と電力需要が増加した。火力、水力発電を併用し、第二 琵琶湖疏水建設により急激に電気需要が伸びた。大正末 期には図-1のように京都市内に電力供給ネットワーク が構築され、現代の配電網の原型が形成された。. (2)電灯整備と街路空間の変容 電灯整備のデータを整理し、街路景観の変容と併せて 考察すると以下の事象が明らかになった。 a)街路の格付け 電灯は市内要所から順次設置されて おり、電灯に対する意識の向上を意図し、街路や通りの 格付けがなされた。 b)街路の個性化 大正後期になると図-3の寺町通の鈴 蘭灯のように、独特のデザインが施され、このような電 灯により独自の街路空間を創りだし、街路の個性化を促 した。. 3. 電灯」に関する事業 電気事業が人々の目に見える形として表れた「電灯」 事業の変遷を整理し、電灯が実際に建設された街路空間 の変容、さらには人々に与えた影響について考察した。 (1)京都における電灯事業 京都における電灯は、明治 25 年(1892)3月、京 都電灯株式会社により、市街要所に孤光燈9基が設置し たことをもって嚆矢とする。同年7月、御所御苑内に同 Key Word 景観. 電気事業. 都市史. 連絡先:〒606-8501 京都市左京区吉田本町 (Tel&Fax) 075-753-5123. -28-. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

(2) IV-014. (1)我が国初の電気軌道 京都は、明治28 年(1895)我が国初の電気軌道か開 通した場所であり、京都−伏見間(約 6.4km)を約 40 分足らずで運行した。また同年、第四回内国博覧会会場 であった岡崎と京都駅を結んだ木屋町線も開通しており、 開業当初は見せ物的な要素が強かった。 明治後期になると電気軌道が人々の日常の足として利 用されるようになり、需要が急激に伸びた。京都市は明 治三大事業の一つとして、 道路拡築と市電の開通を行い、 市内交通を京電・市電で網羅した。. c)人々の意識向上 電灯が普及し始めると、町内の共. 同出資で当時国内最先端の街路照明を設置し、街路に対 する人々の意識向上の現れが伺える。 d)祝祭と電灯 電灯は殖産興業や近代化の象徴であり、 イベント等で用いられたイルミネーションは大きなイン パクトを与えた。. (2)電気軌道整備と街路空間の変容 電気軌道のデータを整理し、街路景観の変容と併せて 考察すると以下の事象が明らかになった。 a)街路景観の新基準 電気軌道が街路の新たな空間的 基準となり道路幅が拡築された(図-4、図-5参照) 。 b)交通の機能分化 街路を軌道、車道、歩道と交通別 にし、機能分化を計った(図-5参照) 。 c)公共概念の提示 電気軌道は、交通ルールを通じて 街路空間に公共の概念を提示した。 d)生活圏の拡大と都市域の規定 電気軌道により日常 的に都市内外の移動が容易になり、生活圏が拡大した。 また、 電気軌道路線の最外郭が都市域を規定していた (図 -6参照) 。 図-2 明治25年電灯設置個所. 図-3 寺町通鈴蘭灯. 図-4 烏丸通拡築前断面図. 図-6 京都市の拡大と電気軌道路線. 5. 結論 「電灯」 「電気軌道」が挿入された街路空間は、街路 に個性化を促し、街路空間を拡大、機能を分化させ、公 共の概念を提示した。さらに、生活空間の拡大や都市の 大きさの規定を行い、都市構造をも変化させた。 つまり、近代の街路景観は「近代化」が形として表れ たモデル空間であったといえる。. 図-5 烏丸通拡築後断面図. 4. 「電気軌道」に関する事業 「電気軌道」事業の変遷を整理し、電気軌道が実際に 開通した街路空間の変容、さらには人々に与えた影響に ついて考察した。 主要参考文献. 京都市電気局:琵琶湖疏水及水力使用事業、1940.3 京都市交通局:さよなら京都市電、京都市交通局、1978.9. -29-. 京都府立総合資料館:京都府統計史料集-3、1971.3 京都電灯編:京都電灯株式会社五十年史、ゆまに書店、1998.7. 土木学会第56回年次学術講演会(平成13年10月).

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