オキシ塩化燐による職業性アレルギー性皮膚障害に関する実験的研究
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(2) 4422. 佐. 藤. 和. 人. 蒼 鉛 剤34),ブ ロー ム剤35),ホ ル マ リン剤36),チ モ ー. 告 したが, POCl3の 感 作原 性 に関 す る実 験 的 研究 は. ル 剤37)等 数 多 の 化学 的物 質が 過 敏 性反 応 を 発現 せ. 未 だ 行 わ れて い な い様 で あ る. POCl3は 各 種 産 業 に. しめ る事 を実 験 的 に証 示 した.更 に最 近 の報 告 で は. 広 く用 い られ て い るが,著 者 は 職業 性 ア レル ギ ー性. 酒石 酸 ソー ダ38),ハ イ ドロ キ ノ ン39),ズ ル チ ン40),. 皮 膚障 害 に関 す る 実 験 的 研 究 の 一 環 と してPOCl3. グ リコゲ ン41),塩 素化 合物42),硫 酸 亜鉛 及 び硫 酸 ア. の感 作 原 性 の 研究 を 行 い, POCl3が 海 〓及 び家 兎 に. トロ ピ ン43)等の感 作原 性 の 観 察 が見 られ る. これ らの業 績 よ り海 〓 そ の他 の実 験 動 物 を感 作 し て 過 敏 性 反応 を発 現 せ しめ る化 学 的 物 質 はそ の 性状. 対 し過 敏 性 皮 膚反 応 を呈 す る事 を確 認 し, POCl3が 職 業 性 ア レル ギー 性 皮 膚 障 害 を 起 し得 る物 質 で あ る 事 を実 験 的 に証 明 し得 た の で,こ. こに報 告 す る.. に於 い て も化 学 的 組 成 に於 いて も多種 多 様 で あ る事 第2章. が 覗 わ れ る. 又 単純 な る化 学 的物 質を 以 つ て感 作 せ られた 動 物. 第1節. は,必 ず しも シ ヨ ック乃 至 副 出 臓 器反 応 等 の全 身 的 反 応 と皮 膚反 応 を共 に発 現 せ しめ ず して,皮 膚 反応 のみ を生 起 せ しめ る場 合が 多 い事 を示 して い る. 蛋 白性 物 質 と結 合せ しあ られ ざ る化 学 的 物 質 で過 敏 性 皮 膚反 応 と同 時 に 全 身 的反 応 を 明 確 に 発現 せ し め るの はArsphenamin及. び ヨー ドで あ る.. 又 多 くの 場 合 に 於 いて 感 作 原 性 を有 す る化 合 物 に. 第1項. 同 じで あ れ ば過 敏 性 反応 を誘 発 し得 る.こ の事 は前 述 の ピ ク リン酸 剤,ク 剤,ブ. ロー ム剤,ニ. 実 験材 料 感 作原 の調 製. 新 しく蒸溜 したPOCl3を. 局 方 オ リー ブ油 に 稀釈. して 使 用 した. 第2項. 感作動物. 健 康な る体 重400g前 3,000g前. 後 の 白 色 海 〓 並 び に体 重. 後 の 白色 家 兎 を使 用 した.試 獣 は何 れ も. 豆 腐 津 と野 草 に て飼 育 した.. よ り感 作 せ られ た動 物 に対 して は感 作 原 と して 使 用 せ られ た 物 質 と同一 でな くて もそれ と金 属 又 は 基 が. 実験 材料 並 び に 実 験 方 法. 第3節 第1項. 実験 方 法 能 働性 感 作 方 法. 単純 な る化 学 的物 質 を 以 つ て能 働 性 に感 作 す る方. ロー ム剤,砒 素 化 合物,蒼 鉛. 法 と して,感 作 原 を 連 続 的 に 皮 内注 射す る事 が最 も. ツケ ル化 合 物 等 に関 す る実 験 で. よ く行 わ れ て来 た が,皮 膚塗 擦,静 脈 内注 射,腹 腔. 明 らか で あ る.. 内 注 射,経. しか し特 異 性 が頗 る鋭 敏 に 示 され る事 も あ る.即 ち, Nitti他14)はParaphenylendiaminを. 数回連続. 口的投 与 等 種 々な る径 路 に よ る感 作 も可. 能 で あ る と認 め られて い る,著 者 は海 〓 に対 して は 背 部 皮 内 にPOCl3. 1:10,000液0.1ccを10日. 間. 的 に皮 内注 射 して 感 作 せ る海 〓 は感 作 原 に 対 して の. 連 続注 射 して 感 作 した.又 家 兎 に対 して は腹 部 の毛. み 過敏 性 を 示 しOrtho又. を剪 刀 を 以 つて 皮 膚 に損 傷 を 与 え な い様 に注 意 し乍. diaminに. はMetaのPhenylen. 対 して は 反 応 を示 さな い 事 を 観 察 した.. ら可 及 的 短 截 して,そ の半 側 全面 即 ち約200cm2の. か か る特 異 性 はパ ラ ク レゾー ル を 以 つ て感 作 せ られ. 広 さにPOCl3. た 海 〓 が反 応 原 と して パ ラ ク レゾ ール を用 いた 場 合. した.. の み過 敏性 反 応 を呈 しオル トク レゾ ール 及 び メ タ ク レゾ ール に対 す る反応 を示 さな かつ た 赤 座,根 本31) の実 験 に も覗 わ れ る,. 第2項. 1:100液. を10日 間 連 続 塗擦 して感 作. 潜 伏 期. 化 学 的物 質 に対 す る過 敏 性 の 潜 伏 期 間 は 蛋 白性物 質 に対 す るそれ と略 同 様 で あ る が,能 働 性感 作 の. 単 純 な る化 学 的物 質 に対 す る過 敏 性反 応 が抗 原で. 場 合 に はや や 長 く感 作処 置を 終 つ て か ら2週 間 乃至. あ る物 質 とそ れ に対 す る抗 体 との 作 用 に基 因 す る も. 3週 間 後 に至 つ て 過 敏 性 が 強 く発 現 す ると云 われて. の で あ る事 は,感 作 せ られ た海 〓 の血 清 を他 の 海 〓. い る.著 者 は海 〓に 対 して は 経 皮感 作終 了後3週 間. に注 射 して 被 働 性感 作 を成 立 せ しめ 得 る事 か ら も推. 前 後 の 潜 伏 期 の 後 に 再注 射 を 行 い,家 兎 に対 して は. 察 し得 るの で あ るが,沈 降 反 応 の 如 き試 験 管 内反 応. 2週 間 の 潜伏 期 の 後 に 再注 射 を行 つ た.. に よつ て 血清 中 に化 学 的 物 質 そ の もの に対 す る抗 体 の存 在 を証 明 す る事 は未 だ な しとげ られ て い ない 様 で あ る. オ キ シ塩 化 燐(以 下POCl3と. 第3項. 再注 射方 法. 感 作動 物 の腹 部 の毛 を剪 刀 を以 つ て 皮 膚 に 損傷 を 与 え な い様 に注 意 し乍 ら可 及 的 短 截 して, 50%酒 精. 記 す)に よ る 燐 酸. 化 蛋 白質 の 免 疫 化 学 的 性状 に就 いて は種 々の 研 究 が 行 われ て お り,著 者 も第1編 及 び第2編. に於 い て 報. にて 消毒 し,ツ ベ ル ク リ ン反 応 用 注 射器 に1/8m m注 射 針 を附 した もの に て海 〓で は腹 部 皮 内 に 家兎 で は感 作原 塗 際反 対 側 の 腹 部皮 内 にPOGl3稀. 釈液を.
(3) オ キ シ塩 化 燐 に よ る職 業性 ア レル ギー性 皮 膚障 害 に関 す る実 験 的研 究 再 注 射 した.注 射浪 が 皮 内 に 入 れ ば半 球 状 の膨 隆 を 生 じ る.再 注 射 量 はPOCl3を. 表1. POCl3の. 4423. 直 接 的 皮 膚 反 応(対 照 試 験) 海 〓24時 間 後. オ リー ブ袖 にて逓 降. 的 に稀 釈 し,限 界 量前 後 の も の及 び更 に高 度 稀 釈 の ものを 海 〓 に対 して な0.1cc宛. 注 射 し,家 兎 に対 し. て は0.2cc宛 注 射 した.尚 対 照 と して オ リー ブ油 の み を注 射 してPOCl3の 第4項. 反 応 と比 較 した.. 過 敏性 皮 膚 反 応 の 判定. 再注 射 後24時 間 を経 た時 の 皮 膚症 状 即 ち発 赤,種 脹,硬 結,壊 死 乃 至潰 瘍 等 を 観 察 し,オ リー ブ油 の み を注 射 した対 照 と比 較 して 判 定 した.発 赤 及 び壊 死 乃 至潰 瘍 等 の 大 き さは そ の長 径 及 び 短径 を計 測 し て 得 た長 さをmmを. 以 つて 表 わ し,強 さを 示 す 帯. :250で は2mm×1mmの. は発 赤。 腫 脹著 し く一部 壌死 を生 じた もの,++は 発. た が,. 赤,腫 脹 明 か な る も壊 死 な き もの,+は. :10液 を 注 射 せ る海 〓 は24時 間 後 に死 亡 して いた.. さ4mm×4mm以 2mm以. 発赤の大 き. 次 に1:100,. 下 の もの,±は発 赤 の 大 き さ2mm×. 下 の もの,一 は 何 等 変 化 を呈 せ ざ る もの を. 意味 す る.そ. してPOCl3の. 1:500で. 小 壊 死 を 認 め る場 合 が あつ. 限 界 量 前 後 の稀 釈 度 に 於. け る感 作 動 物 の 過 敏 性皮 膚 反 応 の 強 さを正 常 動 物 の. は壊 死 は認 め られ な か つ た.尚1. 1:250及. び1:500の. 皮膚反応 の. 経 過 を 症状 が 消 失す る迄 観 察 した.そ の結 果 は 〔表 2〕 に 示 す 如 くで あ る. 即 ち1:100で. は24時 間 後 に見 られ た壊 死 は3日. 皮 膚反 応 の強 さ と比 較 し,更 に感 作動 物 に過 敏 性 皮. 後 に 潰 瘍 を 形成 し, 7日 後 に 痂皮 を生 じ, 22日 後 に. 膚反 応 を生 ぜ しめ るPOCl3の. 小 瘢 痕 とな り反 応 が 消 失 した.. 最 高 稀 釈 度 を 正 常動. 物 に 皮 膚反 応 を生 せ しめ な い最 低 稀 釈度 と比 較 した.. 1:500で 第3章 第1節 第1項. 実. 験. 成. 績. 小壊死 は. は9日 後 に発 赤 が 完 全 に 消 失 した.. 第2項. 家. 兎. 1匹 の 無処 置家 兎 の腹 部 皮 内 に再 注 射 の 方 法 と同. 直 接 的 皮 膚障 害(対 照 試 験) 海. 1:250の. 5日 後 に は 痂皮 に 変 じ11日 後 に反 応 が完 全 に 消 失 し,. 様 に して オ リー ブ油 に て 逓 降 的 に稀 釈 せ るPOCl3. 〓. 4匹 の 無 処 置海 〓 の腹 部 皮 内 に再 注 射 め 方法 と同. の1:10よ. り1:2,500迄. の 稀釈 液0.2cc宛. を注 射. 様 に して オ リー ブ油 に て 逓 降 的 に 稀 釈 せ るPOCl3. し, 24時 間後 の皮 膚 症状 を 観 察 し,更 に反 応 の経 過. の1:100よ. を症 状 が 消 失 す る迄 検 査 した.そ の 結 果 は 〔表3〕. り1:10,000迄. の 稀 釈液0.1cc宛. を注. 射 し, 24時 間 後 の 皮 膚症 状 を観 察 し,過 敏 性 皮 膚反 応 と同様 に計 測 し表示 した.そ の 結 果 は 〔表1〕 に. 即 ち24時 め,. 示 す 如 くで あ る. 即 ち4例 と も1:500迄. は発 赤 を 認 め た が,. :1,000以 上 で は 反 応 を 認 めな か つ た. 11mm×7mmの. 及 び 〔写 真1〕 に示 す 如 くで あ る.. 1:100で. 明 ら かな る壊 死 を形 成 した,. 表2. POCl3の. 註:()内. 又1:10で. 1 は 1. 4mmの は2日. 間 後 に は1:500迄. 1:1,000で. は ±,. は 明 らか に 発 赤 を認. 1:2,500で. は39mm×18mm,1:100で 壊 死 を 形 成 した.そ. 海 〓 番 号1. の数 値 は 壊 死,潰 瘍 又は 痂 皮 の大 き さを 示 す. は8mm×. の 後 の 経 過 は1:10で. 後 に 壊 死 の 中 に 潰 瘍 を 生 じ,. 直 接 的 皮 膚 反 応 経 過. は 一 で あ つ た.. 8日 後 に は 潰 瘍.
(4) 4424. 佐. 藤. 和. 人. 写 真1. POCl3の. 直 接 的 皮膚 反 応. 家兎. 14日 後. の み と な り, 18日 後 に は 肉 芽 を 形 成 し, 28日 後 に 痂 皮 と な り, 32日 後 に 瘢 痕 を 残 して 反 応 が 消 失 した.1 100で. は3日. 後 に 壊 死 は 潰 瘍 と な り,. 皮 を 形 成 し, 24日 後 に 反 応 が 消 失 した. は4日. 後 に 小 壊 死 を 生 じ,や. 後 に 完 全 に 反 応 が 消 失 した, 発 赤 が 消 失 し た.尚 及 び3日. 8日 後 に 痂 1:500で. が て 痂 皮 と な り,10日 1:1,000で. は6日 後 に. 一 般 に24時 間 後 に 比 して2日. 後. 後 に は 症 状 が 増 悪 す る 傾 向 が 見 られ た.. 第2節 第1項. 過敏性皮膚障害 海. 〓. 6匹 の 海 〓 背 部 皮 内 に オ リー ブ 油 に て 稀 釈 せ る POCl3. 1:10,000液0.1ccを10日. 皮 的 に 感 作 し,感 に,海. 間 連 続 注 射 して 経. 作 終 了 後3週. 間 前 後 の 潜伏 期 の 後. 〓 腹 部 皮 内 に オ リ ー ブ油 に て 逓 降 的 に 稀 釈 せ. るPOCl3の1:250よ. り1:10,000迄. の 稀 釈 液0.1cc. 宛 を 再 注 射 し, 24時 間 後 の 皮 膚 反 応 を 検 査 した.そ の 結 果 は 〔表4〕,〔 くで あ る.. 図1〕. 及 び 〔写 真2〕. に示 す 如.
(5) オ キ シ塩 化 燐 に よ る職 業 性 ア レル ギー 性 皮 膚 障害 に関 す る実験 的研 究 表4. 図1. POCI3の. POCI3の. 過 敏 性 皮 膚 反 応. 過 敏 性 皮 膚 反 応(24時. 感作海〓 (海 〓 番号5). 海 〓24時. 間 後). 4425. 間後. 即 ち対 照 試 験 に 於 い て 限. 対 照 (海 〓番 号1). 界 量 が1:1,000. (0.1cc). で あ るの に 対 し,感 作 海 〓 で は 少 くと も1:5,000乃 至1:10,000の. 稀釈度にて. も反応 が陽 性 で あ つ た.又 対 照試 験 に於 いて 反 応 陽 性 な る1:250及. び1:500の. 成 績 を感 作 海 〓 と対 照 に 就 い て比 較す る と,. 1:250. に於 いて感 作 海 〓 で は対 照 に比 して 発 赤 が 明 らか に 大 註.白. の 部 分 が 発 赤 で,其. の 中の 黒 の部 分は 壊 死 を 示 す.. で あ り壊 死 も明 らか に認 め られ,又1:500に. 写 真2. POCI3の. 過 敏 性皮 膚 反 応. (海 〓 番 号5. 24時 間 後). 於 いて も. 同 様 に対 照 に比 して 発 赤 が 明 らか に 大 で あ り壊 死 を認 め る場 合 が 多 い.こ の成 績 はPOCI3が 海 〓 に対 し皮 内 注 射 に よ る経 皮 的感 作 に よ り過 敏 性 皮 膚 反 応 を 呈 す る 感 作 原 にな り得 る事 を示 す もので あ る. 尚 この 場 合感 作 海 〓 血 清 と第1編 に て 調 製 した燐 酸 化 卵 白 アル ブ ミ ンとの 間 の 交 叉 沈 降 反 応 の 成績 は 陰 性 で あつ た. 第2項. 家兎. 2匹 の家 兎腹 部 皮 膚半 側 全 面 約200cm2の. 広 さに オ. リー ブ 油 に て 稀 釈 せ る POCI3 1:100液. を10日 間 連. 続 塗擦 して 経 皮 的 に感 作 し, 感 作 終 了後2週. 間 の潜 伏 期.
(6) 4426. 佐. の 後 に,感. 藤. 作 原 塗 擦 反 対 側 の 腹 部 皮 内 に オ リー ブ 油. 和. 人. び家 兎 を 用 い た 実 験 に 於 い て,先 づ 第1の 動 物 に. に て 逓 降 的 に 稀 釈 せ るPOCI3の1:500よ. り1. Phenolphthaleinを. 10,000迄. 間後の. はGelatinを. の 稀 釈 液0.2cc宛. 皮 膚 反 応 を 検 査 した.そ. を 再 注 射 し,24時 の 結 果 は 〔表5〕. に示 す 如. 表5. POCI3の. 以 つ て 膠 質 化 せ るPhenolphthalein. を 注 射 し,そ の 動 物(同. くで あ る. 過 敏性 皮 膚 反 応. 家 兎24時. 間後. 食 餌 と共 に 摂 取 せ しめ るか或 い. の 血 清 を 採 つ て 抗 原 と な し第2. 種 又 は 異 種)を. 感 作 す れ ば,そ の 皮. 膚 は 膠 質 化 したPhenolphthaleinの. 皮 内注 射 に. 対 し過 敏 に反 応 す る事 を 示 し, Phenolphthaleinが 動 物 体 内 に於 い て感 作能 力 を 帯 び るに至 つ た事 を証 示 し た. Landsteiner及. びJacobaはCl及. に て 置換 せ られ た 多 数 のBenzeneに. びNO2. 就 いて,そ れ. ぞ れ の アル カ リに 対 す る安定 性,ア ニ リ ンと化 合 す る能 力 及 び海 〓 を感 作 す る作 用 を 細 検 し, Cl及 び NH2の. 不 安定 度 と感 作 能 力 とが平 行 的 関 係 を 示 す. 事 を認 あ, Sulzberger及. びBaerは. こ れ らが人 体. に 湿 疹 を 起 さ しめ る 作用 を比 較 し, Landsteiner等 即 ち対 照 試 験 に於 い て 限界 量が1:2,500 で あ るの に対 し,感 作家 兎 で は1・5,000乃. (0.2cc) 至1. 10,000の 稀 釈 度 に て も反 応 が 陽 性 で あ つ た.又 対 照 試 験 に於 いて 反 応陽 性 な る1:500及. び1:1,000. の 成績 を感 作 家 兎 と対 照 に就 い て比 較 す る と,何 れ に 於 い て も感 作 家 兎 で は対 照 に比 して 発 赤 が 明 らか に 大 で あつ た.こ の成 績 はPOCI3が 家 兎 に対 し皮 膚 塗擦 に よ る経 皮 的感 作 に よ り過敏 性 皮 膚 反 応 を 呈 す る感 作 原 に な り得 る事 を示 す もの で あ る. 尚 この場 合に も感 作 家 兎 血 清 と燐 卵 白ア ル ブ ミン との 間 の交 叉 沈 降反 応 の成 績 は陰 性 で あつ た.. 第4章. 考. 見 た. POCI3の 感 作 原 性 に 関 して も, POCI3が 動 物体 内 の 蛋 白 質 と結 合 して 塩 化 燐 蛋 白を 生 成 し,こ れ が抗 原 とな つて 燐 蛋 白抗 体 を 生 じPOCI3の. 過 敏 性反 応. に 関与 す る ので あ ろ うと云 う事 は,抗 燐 卵 白ア ル ブ ミン血 清 と燐 人 血 清 アル ブ ミ ンとの交 叉沈 降 反応 が 認 め られ る事 及 び燐 卵 白 アル ブ ミ ン感 作海 〓 に対 し 燐 人 血 清 ア ル ブ ミン に て 能 働 性Arthus反. 応 が認. め られ る事 か ら も想 定 せ られ る.著 者 の場 合POCI3 に よ る能 働 性感 作 海 〓の 血 清 と燐 卵 白 ア ル ブ ミ ンと の 間 の交 叉 沈降 反 応 に於 いて 陽 性 の 成績 を得 な か つ. 按. た し,又 被 働性 感 作 の実 験 は行 つ て い な い が,海 〓. 職 業 性 ア レル ギ ー性 皮 膚 障 害 を生 ず る化 学 的 物 質 は数 多 く存 在 す るが, POCI3が. の 感 作能 力 に就 い て の所 見 に 於 け る と同 様 の関 連 を. 明 らか に感1/1三 原性を. の 皮 内注 射 に よ る能 働 性 感 作 試 験 に 於 いて 限 界 量 が 1:1,000. (0.1cc)で. あ るの に対 し1:5,000乃. 至. 有 す る と云 う実験 は未 だ 行 わ れ て い な い. POCI3は. 110,000の. 明 確 に蛋 白 質 の ア ミノ基 と結 合を生 じ且 化 学 的 特 異. 於 い て 反応 陽 性 な る濃 度 に於 け る感 作 海 〓 の皮 膚 反. 性 の高 い物 質 で あ る.著 者 は 先 にPOCI3に. よ り燐. 応 が 対 照 に比 して非 常 に 強度 で あ る点 及 び家 兎 の皮. 酸 化 され た 蛋 白 質 の免 疫 学 的 化学 的特 異 性 の 成 立 を. 膚 塗擦 感 作試 験 に於 いて も同 様 の 傾 向 が 明 らか に認. 認 めた が,次 にPOCI3の. め られ る点 よ り, POCI3が. 感 作 原 性 の 研 究 を 行 い,. 稀 釈 度 にて も反 応 を示 し且対 照 試 験 に. 海 〓 及 び家 兎 に 実験 的過. これ が職 業 性 ア レル ギー 性皮 膚障 害 を 起 し得 る物 質. 敏 性皮 膚反 応 を生 ぜ しめ る事 は明 らか で あ り,感 作. で あ る事 を実 験 的 に 証 明 し得 た.. 原 性 を有 す る化 学 的 物 質 と してPOCI3を. 蛋 白性 物 質 を 含有 しな い化 学 的 物 質 に よ つ て過 敏. 追加する. 次 第 で あ る.. 性 反 応 が 招 来 せ られ る機 序 に関 して は,か か る化 学 第5章. 的物 質 が 先 づ動 物体 内 の蛋 白質 と結 合 して 完 全 な る 抗 原を 作 り,そ の新 生 され た 抗 原 が 感 作 す ろ事 に基. 著者 はPOCI3の. 結. 論. 感 作 原 性 の研 究 の 為 に海 〓 及 び. 因 す るの で あ ろ う と の 推 定 は 古 く よ り 行 わ れ て. 家 兎 をPOCI3を. い る の で あ るが, Rosenthal20) Landsteiner及. 膚反 応 の 実験 を 行 い,次 の 如 き結 論 を得 た.. Jacobs15), Sulzberger及. びBaer16)等. び. の 実 験は こ. の 見解 を 裏 づ け る もの で あ る. Rosenthalは. 海 〓及. 1). 用 い て経 皮 的 に感 作 して 過 敏 性 皮. POCI3を 海 〓 に皮 内注 射 した場 合の 直 接 的皮. 膚 反応 は1.500液(0.1cc)迄. 陽 性 で あ つ た..
(7) オ キ シ塩 化 燐 に よ る職 業 性 ア レル ギ ー性 皮 膚障 害 に関 す る実 験 的 研 究 2). POCI3を. 家 兎 に 皮 内 注 射 した 場 合 の 直 接 的 皮. 膚 反 応 は1:1,000液(0.2cc)迄 3). POCI3の. 内注 射 した場 合,感 作 動 物 で は 正 常 動 物 に 比 して 明 らか に 強 い皮 膚 反 応 を 示 した.. 陽 性 で あ つ た.. 6). 皮 内 注 射 に よ り能 働 性 に 感 作 し た 海. 〓 に, POCI3の1:5,000液(0.1cc)乃 液(0.1cc)を. 稿 を 終 る に 当 り,終 始御 懇 篤 な る御 指 導 と御 校 閲. POCI3の. 皮 膚 塗 擦 に よ り能 働 性 に 感 作 し た 家. 兎 に, POCI3の1:5,000液(0.2cc)乃 液(0.2cc)を. 至1:10,000. を 賜 つ た恩 師 大 田原 教 授 に 深 甚 な る謝 意 を 表 す る と 共 に,種 々有 益 な る御 助 言を 戴 い た 緒 方 助 教 授 に 深. 再 注 射 し,過 敏 性 皮 膚 反 応 の 生 ず る. 謝 す る.. 事 実 を 認 め た. 5). (本 論文 の要 旨は 昭 和33年10月20日 第13回 日本 公. 正 常 動 物 及 び 感 作 動 物 に 同 量 のPOCI3を. 皮. 衆 衛生 学 会 に 於 い て発 表 した),. 文 1) Swift:. J.. Amer.. Med.. Assoc.,. 59,. 1236,. 献 19). (1912). 283,. Steiner: (1926);. 3) Samson,. Arch. 162,. Derm.. 349,. u.. Syph.,. 152,. (1930). Gotz . Z. ges.. exp.. Med.,. 52,. Rosenthal.. 21). 小 林 豊.. Selter:. 450,. (1928). 5) Frei:. Klin.. 6) Meyer:. Zeit.. Woch.,. Arch.. 7,. 1026,. Derm.. u.. (1928);. 163, 223,. 7) Jodassohn:. Klin.. 8) Sulzberger. Klin. Woch.,. Derm.. 1074,. 118,. (1928). Syph.,. 156,. 331,. (1931) Woch.,. and Syphil.,. 9) Kallos,. Immunitat.,. 20,. 9, 8,. 551,. 253, (1929);. 669,. Kallos-Deffner:. (1930) Arch.. (1929). Klin.. Woch.,. 14,. Jacobs:. J.. Immunol.,. 34,. 251,. 日 本 皮 膚 泌 尿 科 学 雑 誌,. (1938). 37,. 479,. (昭. 森 下 亮 善:. 岡 山 医 学 会 雑 誌,. 49,. 2464,. (昭 和12. 山 崎 浩 重: 山 崎 謙. 歯 科 学 報,. 47,. 18,. (昭 和17年). 成 医 会 雑 誌,. 57,. 58,. (昭 和13年). 25). 鈴 木 正 孝:. 成 医 会 雑 誌,. 26). 橋 本 幸 三:. 東 京 医 事 新 誌, 3140,. 27). 山 崎 譲. 歯 科 学 報,. 28). 生 田 穣:. 血 清 学 免 疫 学 雑 誌,. 1, 103,. (昭 和15年). 29). 巻 幡 栄. 血 清 学 免 疫 学 雑 誌,. 1, 377,. (昭 和15年). 30). 桜 山芳 美. 58,. 44,. 214,. 767,. (昭 和14年) 10, (昭 和14年). (昭 和14年). 血 清 学 免 疫 学 雑 誌,. 2,. 351,. (昭 和16. J. Exp.. Med.,. 64,. 717,. 31). 赤 座 春 一,根. 本 博:. ア レ ル ギ ー 時 報,. 7,. 229,. (昭 和16年). Proc.. Soc. Exp.. Biol.. Med.,. 29,. 781,. 32). 大 島 貫 一:. 血 清 学 免 疫 学 雑 誌,. 3,. 359,. (昭 和17. 歯 科 学 報,. 47,. 26 ,. (昭 和17年). 犯 罪 学 雑 誌,. 16,. 238,. 年). Zeit.. 13) Dienes:. J.. Immunitat.,. 16,. 15) Landsteiner,. 86,. Immunol,. Bovet,. 24,. Depierr:. 49,. 253,. Compr.. (1935) (1933) rend.. Soc.,. (1937) Jacobs. J. Exp.. Med.,. 16) Sulzberger,. Baer.. J.. Invest.. Dermatol.,. 34). 吉 永 隼:. 35). 田代 康 三. ア レ ル ギ ー 時 報,. 36). 山 崎 謙,山. 崎 浩 重.. J.. Exp.. Med.,. 66,. 337,. J.. Exp.. Med.,. 69,. 血 清 学 免 疫 学 雑 誌,. 3,. 341 ,. 平 野 卯 八 郎:. 日 本 法 医 学 雑 誌,. 2,. 75,. (昭 和23. 桜 井 秀 雄:. 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 雑 誌 , 69,. 558,. (昭 和29年) 39). Jacobs:. (昭 和17年) 163 , (昭 和17年). 年) 38). Chase:. 8,. (昭 和17年). 1,. (1937) 18) Landsteiner,. 山 崎 浩 重:. 37). (1938). 17) Landsteiner,. 33). 61, 643,. (1935). (1937). 72,. 24). (1932). 45,. Med.,. 23). (1936). 124,. Exp.. 年). 10) Landsteiner,. 14) Nitti,. J.. 年). (1935). 12) Lauf:. Samma. 和10年) 22). 4) Klopstock,. Di. (1940). 20). 121,. (1926). 11) Mu:. Landsteiner, 361,. 2) Bloch,. ア レ ル ギー 反 応 の. 敏 性 皮 膚反 応 の生 ず る. 事 実 を 認 め た. 4). 以 上 の 成績 よ りPOCI3が. 感 作原 にな り得 る もの と認 め られ る.. 至1:10,000. 再 注 射 し,過. 4427. 766,. 松 尾 貞 三,山 69,. 40). 632,. 林 優 三,迫. 本 耕 弘. 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 雑 誌. ,. (昭 和29年) 村 若 一 郎:. 東 京 慈 恵 会医 科 大 学 雑 誌. ,.
(8) 4428. 佐 69, 637,. 41). 藤. 和. 人. (昭 和29年). 井 上 啓 一:. (昭 和30年). 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 雑 誌, 68,. 787,. 43). (昭 和28年) 42). 橋 田 学.. 東 京 慈 恵 会 医 科 大 学 雑 誌,. Experimental. 70,. Studies. 3.. Studies. 木 健 一,三. 津 間 正:. 東 京慈 恵 会 医. 科 大 学 雑 誌,. 70, 837,. (昭 和30年). 512,. on the. Professional. induced Part. 田 辺 義 秀,鈴. by. Allergic. Skin. Reactions. with. POCI3.. POCI3.. on the Sensitization. of Animals. By Kazuto. Sato. Department of Public Health, Okayama University, Medical School. (Director: Prof. K. Ohtahara, M. D.) The rabbits POCI3.. And 1). tion. studied. the. results POCI3. was. positive. up. When. POCI3. positive When. 4). 5). normal. to. When. into. guinea. the. same ,. the. of skin. the. skin. POCI3.. Namely. allergic. in it. POCI3. of. POCI3. reaction. of. it. became. normal. 0.1cc. skin in. POCI3. of. in. skin. in. guinea. reaction. was. normal. pigs. by. olive. 0.2cc. olive. oil. and. reinjecting. the. skin. reac. direct. skin. hours. reaction. . into. the. skin. of. reinjected. into. the. skin. of. skin. reaction.. reaction.. was. was. direct. hours.. reinjected. allergic. into. animals. the 24. skin. the. injected. sensitized. was. allergic. showed. 24. after. oil. the. after. rabbits, oil,. the. pigs,. oil,. olive. 0.1cc. it. guinea. olive. of. 0.2cc. showed. inunction,. quantity skin. with. showed. the. POCI3. pigs,. 1/5,000•`1/10,000. animals. animals. POCI3. into of of. by. the. of. injected. sensitized. POCI3. follows.. 1/500. 1/1,000. sensitized. When. as. 1/5,000•`1/10,000. actively. sensitized. to. of. to. injected. was. up. intracutaneously. rabbits. sensitization. were. kept. kept 3). skin far. of. more. normal strong. animals. and. than. that. possible. to. of. animals. 6). sitize. the. sensitized. When. was 2). was. author percutaneously. From animals.. the. above. results. clear. that. POCI3. was. a. substance. sen.
(9)
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