• 検索結果がありません。

あられ検知器を活用した情報提供システムの開発と運用効果

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "あられ検知器を活用した情報提供システムの開発と運用効果"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

あられ検知器を活用した情報提供システムの開発と運用効果

㈱ネクスコ・メンテナンス新潟 正会員 竹内 利夫

㈱ネクスコ・メンテナンス新潟 正会員 服部 浩彦

○㈱ネクスコ・メンテナンス新潟 正会員 曽根 直人 東日本高速道路㈱新潟支社 交通課 成嶋 晋一

1.はじめに

北陸自動車道朝日

IC

~上越

JCT

間(延長約

69km

)は,連続トンネルを有する山岳道路であり,海岸線が近く,

気象の急変を起こしやすい路線である。新潟県内では,冬期の事故が通常期の

3~4

倍に達する。大気が不安定な 初冬期は,日本海側に多頻度で発生する

あられにより,トンネル出口付近では路面 が瞬時に白くなり、事故が多発する。その ため巡回・気象観測機器から収集した降雪 情報から,IC区間単位で「トンネル出口・

ユキ」という情報提供をしているが,降雪 がない場合があるなど実際とは異なるため

,注意喚起の効果が薄れていることが考え

られた。管内の事故は,北陸自動車道朝日

IC~上越 JCT

間のうち,下り線の山王さんのうトンネルと筒つついしトンネル出口が 突出して多くなっている(図 1)。そこで、トンネル内を走行するお客さまに対してリアルタイムかつ的確に注意喚 起を行うことを目的として,あられに特化した気象観測機器の開発を行うと共に,リアルタイムな情報提供システ ムを確立した。以下に,その運用状況および効果について報告する。

2.あられ検知器を活用した情報提供システムの運用概要

あられは,瞬時に路面を変化させる(図 2)こと,その事象の発生 範囲が雪や雨に比べて非常に小さいことが要因で,トンネル間では,

その特性が大きく影響し,トンネル通過前は湿潤路面であったのに,

出口ではあられによりシャーベット路面となる場合が多々生じ,路 面状況の急変が,スリップを誘発する一因となっている。そのため,

あられに特化した「あられ検知器」を開発し,情報提供システム(図 3)を確立した。トンネル出口にあられ検知器と路面監視カメラを設置 し,あられ検知情報を管理事務所の

雪氷対策室へメールにより自動送信 するとともに,トンネル内に設置し た簡易情報板へリアルタイムに無線 送信で「出口あられ⇔走行注意」と 表示するシステムの運用を行った。

あられを検知してから情報提供・終 了するまでのフローを図

4に示す。

キーワード 気象急変,あられ,情報提供システム,リアルタイム,速度低下,冬期事故,連続トンネル 連絡先 〒943-0173 新潟県上越市大字富岡字引田 1717-1 ㈱ネクスコ・メンテナンス新潟 025-522-0982

北陸自動車道

降雪 無降雪・雨

あられ

路面変化の状況

路面の温度は5分程度で急低下

瞬時に白くし、シャーベット路面になる

降り終えて約5分で湿潤状態

その後、約15分で路面の温度は回復

5分 15分

30分

降り始め 降り終り

シャーベット路面 湿潤路面 路面回復

図 2 路面温度の変化グラフ

図 3 あられ検知器を用いた情報提供システム

①あられの検知

②無線送信

②メール送信

③アラーム

③情報板点灯

状況によりPCにて表示内容変更

雪氷対策室 検知器

出口

雨・あられ等の 発生 判定 ×

数回判定

判定 数分待機

再判定

×

雨・あられ等の 発生 判定 ×

数回判定

判定 数分待機

再判定

×

図 4 あられ検知のフロー 図 1 事故分布図

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑165‑

Ⅳ‑083

(2)

3. あられ注意喚起情報の提供による効果評価

あられに関する注意喚起情報の効果を評価するため、情報を発報し た時間帯におけるトンネル坑口付近の速度変化と通常時の速度変化を 比較し、情報発報による速度低下の傾向を分析した。速度変化の計測 は、情報板付近に設置した簡易トラカンのデータを用いた。設置個所 の位置関係を図

5

に示す。

なお,あられ注意喚起情報をリアルタイムに提供することによって,

「① 気象変化の状況把握が雪氷作業に直結し,雪氷作業の迅速化に繋がる」,「②事故直後の事故拡大防止と滞留車 両の最小化で,雪氷作業の効率化に繋がる」,「③気象状況に合った情報をリアルタイムに提供して,情報の信頼性 が増し,注意喚起の効果が向上する」という効果を期待している。簡易トラカンによる速度分布状況を,80km/h 未満,80~90km/h,90km/h以上の

3

領域に分けて,

その割合を提供前後で比較した(表1)。80km/h未満の 割合は,簡易トラカン①および②ではほぼ同様である が,出口付近に位置する簡易トラカン③では,提供前 に比べて提供後は,10%以上増加している。このこと から,高速域で走行していたドライバーが,注意喚起 情報により出口付近で速度を低下させて,より安全な 速度で走行したことが推察される。次に冬期における トンネル出口 200mにおける対策前の平成 16~20 年度 の 5 年間平均値と平成 22 年度の事故発生状況を図 6に 示す。平成 22 年度は厳冬で降雪量が多く,事故は全体 的に増加傾向にあったものの、情報提供をリアルタイ ムに行った下り線の山王トンネルと筒石トンネル出口 での事故の発生状況は,過去の5年間平均と比較して 減少傾向を示した。

4.あられと事故発生の相関分析調査

事故の発生要因は何か、あられが起因した事故だった のか、情報提供の効果やあられと事故発生の相関はどう なのかを分析するため、過去において事故が多い糸魚川 IC~上越 JCT 間(図 1)でトンネル出口にあられ検知器

を設置し調査を行った。9 件の事故が多発した平成 23 年 11 月 21 日の記録は、天候は雨・みぞれ・曇り、路面はシ ャーベット、タイヤ種別はラジアル、走行速度は時速 80 ㎞以上であった。調査の結果、この日はあられが多く発生 しており、事故の発生場所・時間がほぼ一致し、相関が強いことを確認した。引き続き、分析を実施している。

5.まとめ

私たちが目指すのは、より安全な走行環境の提供であり、提供する情報の信憑性が重要な要素の一つとなる。そ のため、①精度の高い情報の取得、②安定した検知機能の確保、③リアルタイムで信頼性の高い情報提供が必要不 可欠である。今後は、分析・調査結果を踏まえ、あられが降りやすい場所や、事故に繋がりやすい場所を選定し、

情報提供・事故対策・広報計画等を組み合わせた対応を検討していく。そして、あられの予測精度を上げ、除雪体 制など雪氷作業をより効率的にできるよう検討をし、気象急変時においても、適切な情報提供と迅速な除雪を行う ことで、お客さまがより安全に走行できる環境を提供していきたいと考えている。

以上

簡易トラカン① 簡易トラカン② 簡易トラカン③ 331.686KP

331.89KP

332.113KP 332.620KP 簡易情報板

200m 200m 500m 10m

図 5 速度測定器等設置配置図

表1 情報提供前後の速度分布割合

5 10 28

23

5

4 1 3 13 14

4

0

10 0

0

16 10

22

4 3

4

20 28 13

5 15 25

5 15 25

ue H16-20 ueH22 H16-20 H22

下り線

上り線

(件/台・km)

(件/台・km) NEXCO調べ

名立Tn 名立大町Tn 徳合Tn 筒石Tn 能生Tn

山王Tn NEXCO調べ (件/年・km)

(件/年・km)

図 6 過去 5 年平均と平成 22 年度の事故発生状況

90km/h以上 20% 80㎞/h未満

33%

80~90km/h 47%

90km/h以上 11% 80㎞/h未満

36%

80~90km/h 53%

90km/h以上 45%

80㎞/h未満 19%

80~90km/h 36%

90km/h以上 34%

80㎞/h未満 20%

80~90km/h 46%

80~90km/h 29% 80㎞/h未満

67%

90km/h以上 4%

90km/h以上 1%

80㎞/h未満 79%

80~90km/h 20%

N=862

N=1300 N=848

N=1173 N=805

①簡易トラカン ②簡易トラカン ③簡易トラカン

提供前

提供後

N=1322

80km/h

未満の 割合が大きく増加

:あられ検知器

土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑166‑

Ⅳ‑083

参照

関連したドキュメント

さらに、「場の設定」を活用した課題例に、巻四第3「先生に送る手紙」がある。この単元 に挙げられた例文「 ト

 独立行政法人情報処理推進機構(2013)に よれば,情報系大学生は社会から専門知識以 外に多くのスキルを求められている.(IPA

Synnott)3で、彼は 「CIO とは CEO

の2つの要素を重視し、ニューズレター、ポスター、プロ モーションビデオなど、多様な情報媒体を活用した取り組

(例えばTomasello,1995),他者の意図や情動といった心的

貯蔵し、検索し、決定する作業が含まれるマルチタスク 状況であり、自動車の運転場面の中でも、必要情報処理

それ以前,1970 年代初頭から活発化した,「青い芝の会 (2)

序章では本書のテーマである経済発展と社会変動