• 検索結果がありません。

~早慶図書館システム共同運用にあたって~

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "~早慶図書館システム共同運用にあたって~"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ふみくら No.98

3

 2019年9月2日、早慶図書館システム共同運用が開始された。

その後、新型コロナウイルスの流行という未曽有の状況の中で も、大きな問題点なく稼働している。この共同運用の実現にさ まざまなご尽力をいただいた慶應義塾大学メディアセンター、

早稲田大学図書館両館のスタッフをはじめ、関連されたすべて の皆様に厚く謝意を表したい。

 この共同運用が実現できた理由には、歴史的には、1986年 に図書館相互利用に関する協定書を交わすなど従来から協力関 係にあったこと、技術的には、両館ともMARC21準拠の書誌 情報を利用していたこと、タイミング的には、システムの更新 の時期が近かったことなど、さまざまな要因がある。これらに ついては他の方も言及されるであろうから、ここでは視点を変 えて、早稲田大学のこれまでの図書館システムについて振り 返ってみたい。

 早稲田大学は、1982年10月21日創立百周年を迎えた。こ れを記念して創立百周年記念事業計画が立案され、その柱の 一つが総合学術情報センターの建設であった。これを受けて、

1985年4月、図書館システム専用の汎用機としてIBM 4381 を設置し、図書館システムを日本アイ・ビー・エム株式会社(以 下、日本IBM)とともに独自開発し、情報科学研究教育センター

(当時)のIBM3033からデータを移行し、初代WINEシステ ムが稼働した。

 この初代WINEシステムは、目録以外の図書館業務および利 用者向け機能に対応することが難しく、日本IBMから統合型 図書館システムとして実績のあるDOBIS/LIBISをベースとす る提案があり、これを早稲田大学図書館と日本IBMと共同で 日本語化した。これが2代目のWINEであり、1987年5月18日、

所沢キャンパスの竣工にあわせて、稼働した。当時は、大学全 体の計算機能を提供していた汎用大型計算機と同じ型番の機種 を図書館システムだけでもつことに驚愕したものであった。

 この2代目WINEは、10年以上も使われることになるが、

WWWや2000年問題へは非対応であり、システムを更新する 必要性が生じた。私が、前任のシステム担当副館長の村岡洋一 教授(当時)からバトンタッチを受けたのは、ちょうどこんな

時であった。

 当時から、早稲田大学図書館はMARC21 準拠の書誌情報を 用いていたが、これを扱う国産図書館システムはなく、自力開 発するか、海外の図書館システムを購入するかの選択肢しか なかった。図書館システムは、初代WINEの頃に比べると遥 かに複雑になっており、自力開発は難しいと判断した。そこ で、眼を付けたのが、米Innovative Interface社のInnopacシ ステムであった。しかし、このシステムの国内での導入例は なく、最寄りの導入事例は、香港の8大学からなる図書館連合

(JULAC)であった。早速視察に行くこととし、私の着任日の 1997年4月1日には、すでに香港で視察をしていたことを鮮 明に覚えている。4代目のWINEの導入を志向したときにも、

JULACが最も身近な先行導入事例であり、この時にも香港に

出張したことに因縁を感じる。当時はすでにサーバとインター ネットの時代になっており、サーバは学内に設置するものの、

インターネット経由でInnovative社が保守等を行うという建 付けであった。これが3代目WINEである。

 その後、後継であるMillenniumに移行しながら、20年近 く使い続けてきたが、システムが、紙媒体資料の処理を前提に しており、現在資料費の6割を占める電子資料に十分な対応が 不可能なこと、また、国内では唯一のユーザであり、日本語処 理の不具合、日本語によるサポートが受けられないこと等、厳 しい状況にあった。しかも、サポートが2019年9月末で終了 となる予定ということで、4代目の登場となった。この4代目 が、Ex Libris社のAlmaであることは言うまでもないが、この Almaがクラウドベースであることは、時代性を反映している。

 こうして見てくると、歴代の図書館システムは、その時代の コンピュータアーキテクチャを反映したものとなっている。この Almaがいつまで利用されるかは予測できないが、次の5代目の 図書館システムも同様にその時点の最新のアーキテクチャを反映 したものとなっているに違いない。それを楽しみに待ちたい。

 なお、本稿においては、荘司雅之氏(前図書館事務部長)お よび細野光治氏(株式会社ウィザード)から情報提供をいただ いた、厚く謝意を表する。

早稲田大学図書館システムの歩み 早稲田大学図書館システムの歩み

~早慶図書館システム共同運用にあたって~

~早慶図書館システム共同運用にあたって~

深澤 良彰 (前図書館長、 理工学術院教授)

参照

関連したドキュメント

小 倉:富里市立図書館は、開館してから今年 で 13 年目の図書館です。

*1 国立国会図書館オンライン(iss-ndl-opac) 国立国会図書館作成書誌を対象としたもの。以下の情報は含まない  国立国会図書館オンライン(雑誌記事索引)( zassaku)

合っており,彼自身の性格も相手に受け入れら れていた。彼が協会の機関誌『図書館』の定期 執筆者となったのは 1890 年からであった。イ ギリスの図書館協会は,アメリカに

 月刊誌。全国の図書館(主に公立図書館を中心として)の新しい活動状況や問題点などが主な記

9 神奈川大学図書館 10 金沢星稜大学図書館 つながる図書館プロジェクト 11 九州大学附属図書館

検索プログラム  検索プログラム部分は、以下の4つの機能により構成されている。プログラミング言語は

慶應義塾大学 日吉メディアセンター 慶應になかったときは…① 早稲田の図書をあわせて探す 所蔵資料と電子資料 (早慶)に変更

 大英博物館から大英図書館への発展をここで振り