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Academic year: 2022

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(1)

倉敷 LPG 貯槽建設工事における溶液型グラウトによる止水対策(その1)

-溶液型グラウトのマイクロフラクチャへの注入計画と実績-

清水建設株式会社 正会員 ○小林伸司・征矢雅宏・竹内伸光・大西勝 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 非会員 金戸辰彦

1.はじめに

水封式

LPG

岩盤貯槽空洞の掘削に際しては,施工途上からの安定した地下水圧(ピエゾ水頭)の確保と湧 水量の抑制が求められるため,過大湧水箇所に対する止水対策工(プレ/ポストグラウト)が重要なファクタ ーとなる.そのため貯槽掘削にあたっては,アーチ部・ベンチ部の全域においてプレグラウトを実施するとと もに,必要に応じてポストグラウトを行っている1).グラウト材料としては超微粒子セメントを基本としたが,

セメントグラウトによる透水性改良効率が極めて低いマイクロフラクチャ発達部(以下,mf 発達部と称す)

に対しては,倉敷基地における長期止水材料としての適用性を確認したうえで補助的に溶液型グラウト(耐久 性に優れたコロイダルシリカグラウト)を採用し改良目標を達成した.本稿では,アーチ部で実施した溶液型 グラウトの注入計画と実績について報告する.

2.注入仕様

グラウト材料としては超微粒子セメントのみを当初は 考えていたが,連絡トンネルにおいて

mf

発達部が出現し,

注入圧や配合比等の注入仕様を変化させても透水性の改

良効率が極めて低かったため,溶液型グラウトを補助的に採用す ることとした.貯槽掘削に備え,同箇所で試験施工を行い溶液型 グラウトの改良効果を確認するとともに,長期安定性確認試験を 行い,注入仕様を表-1,表-2のように設定した.

3.品質管理手法

溶液型グラウトは,現場の工事用水・地下水の水質・水温,施 工場所の気温等によって,ゲルタイムの変化や白濁(図-1)等,

品質が変化する可能性があるため,それらの条件を変化させた室 内試験および現場試験を行い,現場での品質管理試験方法を表-3 のように定めた.現場では,試験の目標値を満足するように調整配合 を設定するとともに安定した品質の確保に努めた.

4.注入実績

溶液型グラウトによるプレグラウトは,連絡トンネルで前述の

1

箇 所

1

リング,貯槽アーチ部で

2

箇所

13

リングにおいて実施した.貯 槽アーチにおけるプレグラウト注入

結果を図-2に示す.これより,セメ ントグラウトによる透水性改良効率 の悪い

mf

発達部が,溶液型グラウト により改良されていることが分かる.

一方,溶液型グラウトによるポスト グラウトは貯槽

3

箇所で実施した.

キーワード LPG 岩盤貯槽,溶液型グラウト,コロイダルシリカ,マイクロフラクチャ,注入実績 連絡先 〒104-8370 東京都中央区京橋二丁目 16-1 清水建設株式会社 TEL03-3561-3919

表-2 溶液型グラウトの注入仕様*

項目 仕様

最大注入圧力 4.7 MPa 最大注入速度 10 L/min

注入終了基準 1 L/min以下に低下後10 分間ダメ押し

グラウト孔 配置

プレグラウト:

切羽から放射状 ポストグラウト:

mf発達部に平行

*注入仕様は適宜見直しており,表には基本仕 様を示す.

表-3 溶液型グラウトの品質管理試験

試験名 管理項目 目標値

基本配合試験 ゲルタイム 設定時間±30 pH(練混ぜ直後60分経過後) 6.0±1.0 白濁確認試験* 現地湧水と接触させた状態 白濁しないこと

50%希釈試験** ゲルタイム(pHも測定) ゲル化すること

*現地湧水にグラウト材をゆっくりと注ぎ込む.

**グラウト材体積百分率50%に相当する現地湧水を添加する.

表-1 溶液型グラウトの基本配合 ゲルタ

イム(分) pH* シリカ (kg)

硬化材 (kg)

工事用水 (kg)

1 120 5.8 968 9.875 16.25

2 120 6.5 968 5.93 9.4

*途中で地下水水質の影響が少ない配合2に変更した.

図-1 現地湧水による白濁試験 土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

‑387‑

Ⅵ‑194

(2)

当初は

mf

発達部に対し直交する孔配置としたが,ルジオン値に対し注入量が小さく改良が進まないため,mf 発達部に対し平行する孔配置(面内グラウト)とすることで,

mf

発達部とグラウト孔の接触面積を大きくし,

改良効果を高めた.同一の

mf

発達部に対して 直交・平行の孔配置を実施した(図-3)場合の 孔配置別の注入結果を比較して図-4に示す.同 図より,

mf

発達部に対してグラウト孔を平行に 配置したほうがルジオン値あたりの溶液注入 量が多く,改良効果も高いことが分かる.

5.原位置止水効果確認試験

溶液型グラウトの倉敷基地における長期止 水材料としての適用性を確認するため,連絡ト ンネルにいて溶液型グラウトにより改良され た岩盤(mf 発達部)にモニタリン

グ孔を削孔し,mf に溶液型グラウ トが浸透していることを偏光顕微 鏡写真で確認(表-4)のうえ,透水 性の変化を経時的に測定した.湧水 量・湧水圧,ルジオン値,水質は,

貯槽先行ベンチグラウト実施前ま での約

7

ヶ月間大きな変化はなく,

溶液型グラウトの継続的な止水効 果が確認された.

6.まとめ

貯槽空洞のグラウト結果から,溶液型グラウトはセメントグラウ トよりもはるかに浸透性が高く,mf 発達部に対しても改良効果が 高いことが分かった.また,溶液型グラウトの使用にあたっては現 場での品質管理が重要なことが判明した.更に,原位置止水効果確 認試験からは,岩盤注入後の溶液型グラウトの長期的な止水効果が 確認できた(長期安定性に関する室内試験については,シリーズそ の

2,その 3

参照).

参考文献

1)

竹内他:水封式

LPG

岩盤貯槽のアーチ部止水対策工実績-倉敷国家石油ガス備蓄基地-,土木学会第 68 回年次学術講演会講演概要集(投稿中),2013

図-3 同一の

mf

発達部への孔配置

平面図 横断面図

貯槽

連絡 トンネル

貯槽 mf発達部

mf発達部

直交→

平行

直交

平行→

土平残し 0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0.01 0.1 1 10

過確率

ルジオン値(Lu)

①セメント1次孔

②セメント最終次数孔

③溶液型1次孔

④溶液最終次数孔 平均値

0.47

0.42

0.49

0.21

図-2 貯槽の

mf

発達部へのプレグラウト結果

表-4

mf

の偏光顕微鏡写真(400倍)

オープンニコル クロスニコル

*溶液型グラウトは,オープンニコル(偏光 あり)では粒子状に見えて,クロスニコル

(偏光なし)では黒く見える.

充填箇所*

図-4 同一の

mf

発達部への孔配置別のポストグラウト結果

0 50 100 150 200

0 1 2 3 4

単位溶液注入(L/m)

ルジオン値(Lu)

mf発達部に平行 mf発達部に直交

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0.01 0.1 1 10

過確率

ルジオン値(Lu)

①1次孔

②最終次数孔

1次孔

④最終次数孔 平均値 mf発達部に直交

mf発達部に平行

1.28

1.22

0.67

0.26

土木学会第68回年次学術講演会(平成25年9月)

‑388‑

Ⅵ‑194

参照

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