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ベースメタル国際需給動向(2017年11~12 月) 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構[JOGMEC]

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(1)

ベースメタル国際需給動向

JOGMEC調査部金属資源調査課

1.ベースメタルの国際市況(2017年11~12月)

(1) 市況概観

【11月】

当該期間、銅は6,918.0US$/tで開始。中国の銅輸入 量が6か月ぶり低水準となったことや同国経済の先行 き懸念拡大により、15日には6,715.5US$/tまで下落し た。その後はペルーやチリの銅鉱山でのストライキ報 道やLME在庫の減少等が支援材料となり24日には 6,967.5US$/tの高値をつけ、月末は中国経済先行き懸 念で下落し6,761.0US$/tで越月した。

亜鉛は3,332.0US$/tでスタート、11月上旬はドル高 傾向で弱含みに推移したところ、中国経済先行き不透 明感から一段安となり、15日には3,200US$を下回っ た。その後もLME在庫減少に下支えされつつも27日 には再び下落傾向に転じ、29日には1か月半ぶり安値 をつけ3,197.0US$/tで越月。

ニッケルは12,695.0US$/tでスタート、11月上旬は EV向け硫酸ニッケル需要拡大期待から堅調推移した が、インドネシアPT Antamの鉱石輸出枠増加報道 や中国需要先行き不透明感が弱材料となり17日には 11,500US$/tを下回った。その後はドル安傾向に下支 えされたものの、下旬は再び中国鉄鋼需要鈍化懸念で 下落し、11,295.0US$/tで越月した。

【12月】

銅は6,734.0US$/tで開始。上旬はLME在庫の増加 とドル高の進行が嫌気され下落したものの、中国の 11月銅輸入量が前月比40%増加したとの報道や、同 国11月鉱工業生産が市場予想を上回ったことを受け て中旬以降は上昇傾向を辿った。29日には利益確定 の売りの動きが入り小幅に下落し、7,157.0US$/tで越 年した。

亜鉛も上旬はドル高の進行が下方圧力となり軟調 に推移。中旬は、Glencoreの生産再開計画の規模が 予想を下回ったことを受けた供給不足懸念の高まり や、中国需要への期待感から上昇した。LME在庫の 減少が続き約9年ぶりの低水準となっていることも好 材料となったものとみられ、下旬も引き続き上昇し 3,309.0US$/tで越年。

ニッケルは、中国ステンレス鋼の需要減退が意識 され、1日に11,050.0US$/tと値を落としてスタート。 その後は中国製造業向け需要の好調さが意識された 他、ドル安の進行やゴールドマン・サックスによる 2018年世界全体GDPの強気見通しも好材料となり上 昇傾向を辿り、12,260.0US$/tで越年した。

2013年1月時点の価格を1とすると、2017年12月29 日の価格水準はニッケルが最も価格回復が鈍く0.70、 次いで銅(0.89)となっている。他方、鉛は1.05、亜 鉛は1.59に上昇した(図1-1参照)。

おことわり:本報告書の内容は、必ずしも独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません。正確な情報をお届けするよう最大限の努 力を行っておりますが、本報告書の内容に誤りのある可能性もあります。本報告書に基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構およ び執筆者は何ら責任を負いかねます。

図1-1.金属価格推移(2013年1月2日~2017年12月29日)*2013年1月2日を1とする。

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

ダウ平均 亜鉛 鉛 銅 ニッケル

原油(WTI) 亜鉛 1.59

鉛 1.05 銅 0.89

ニッケル 0.70 【参考】原油

(WTI) 0.65 【参考】ダウ

(2)

図1-2.LME銅現物価格とドル相場(2017年1月3日~2017年12月29日)

(2) 鉱種別市況レビュー

各鉱種の価格推移とドル相場の関係を図1-2~図 1-5に示す。11月上旬はドル高傾向でベースメタル全 般に価格が落ち込んだ。中旬以降はドル安傾向により 価格が上昇することもあったが、中国需要の先行き懸

念から価格は下落傾向を辿った。12月中旬以降は、 中国需要の堅調さとドル安傾向から価格は上昇基調と なっている。

2017年は1年間を通じて、ドル安・ユーロ高が進 み、ベースメタル全般に価格は上昇傾向を見せた。

図1-3.LME鉛現物価格とドル相場(2017年1月3日~2017年12月29日)

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

1.25 1,500

1,600 1,700 1,800 1,900 2,000 2,100 2,200 2,300 2,400 2,500 2,600

LME鉛現物価格(左軸)

ドル安等による上昇

中国需要 減退懸念

供給不足 懸念拡大 中国需要拡大期待

↑ドル高・ユーロ安

↓ドル安・ユーロ高 ユーロ/US$レート(右軸)

供給不足 懸念拡大

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

1.25 5,000

5,500 6,000 6,500 7,000 7,500

LME銅現物価格(左軸)

ドル安を受けた上昇

↓ドル安・ユーロ高 ↑ドル高・ユーロ安

ユーロ/US$レート(右軸) 中国のスクラップ

輸入禁止方針発表

ダウ平均株価下落 によるドル安

トランプ大統領 ドル高牽制発言

中国需要拡大期待

世界経済成長・ 中国経済好調見 通し

(3)

図1-4.LME亜鉛現物価格とドル相場(2017年1月3日~2017年12月29日)

図1-5.LMEニッケル現物価格とドル相場(2017年1月3日~2017年12月29日)

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

1.25 2,000

2,200 2,400 2,600 2,800 3,000 3,200 3,400

ユーロ/US$レート(右軸) ↓ドル安・ユーロ高

↑ドル高・ユーロ安 LME亜鉛現物価格(左軸)

LME在庫 減少傾向

中国需要 減退懸念

LME在庫増加

中国需要拡大期待

中国環境規制強化策 による供給懸念拡大

中国需要拡大期待、 LME在庫減少

1.00

1.05

1.10

1.15

1.20

1.25 2,000

4,000 6,000 8,000 10,000 12,000

インドネシアニッケル 鉱石禁輸緩和発表

ユーロ/US$レート(右軸) ↓ドル安・ユーロ高

↑ドル高・ユーロ安

LMEニッケル現物価格(左軸) フィリピン23鉱山閉鎖・ 5鉱山生産一時停止命令

フィリピン鉱石生産 増加見通し

中国需要拡大期待

中国需要減退懸念

(4)

図1-6.金属価格と中国景気(2003年5月~2017年10月。2003年5月=1)

図1-7.中国の産業別四半期別GDP成長率(前年同期比)の推移

(3)中国経済動向

金属価格の動き(2003年5月=1)と中国の四半期毎 の実質GDP成長率(前年同期比)の推移を図1-6に示

す。実質GDP成長率は2016年10~12月より改善傾向 に あ り、2017年1~3月、4~6月 は 前 年 同 期 比6.9%

増、7~9月、10~12月は同6.8%増となった。

第2次産業と第3次産業の四半期別実質GDP成長率 (前年同期比)を図1-7に示す。第2次産業の2017年 10~12月期実質 GDP 成長率は前年同期比で5.7%増、

第3次産業の2017年10~12月期の実質GDP成長率は 同8.3%増となった。引き続き、第3次産業の成長率が 第2次産業を上回って推移している。

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0 12.0 14.0 16.0

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0

10.0 銅価格 ニッケル価格 鉛価格 亜鉛価格 中国GDP成長率 [右軸]

4兆元の

景気刺激策

5.7% 8.3%​

5.0 5.5 6.0 6.5 7.0 7.5 8.0 8.5 9.0 9.5 10.0

(%)

(5)

図1-8.中国の固定資産投資額伸び率(1月からの累計額前年同期比)

ベースメタル等素材の需要に大きな影響を与える 固定資産投資額の伸び率の推移を図1-8に示す。2017 年1~11月の固定資産投資額(全体)は対前年同期比 7.2%の上昇となり、2017年1~10月と比較すると0.1 ポイント低下した。固定資産投資額は、中国政府によ る景気刺激策の一環で2017年1月より増加が見られた が、景気過熱と財政負担拡大を避けるため7月以降は やや引き締めに入ったことが窺える。2017年1~11月 のインフラ関連固定資産投資額は対前年同期比20.1% の伸びとなり、2017年1~10月と比較するとやや伸び

率の増加が見られる。

製造業の固定資産投資額について見ると、2017年2 月までの積極的なインフラ投資により、2017年1~3 月では前年同期比5.8%増まで回復した。しかし、 2017年1~10月、1~11月共に4.1%であり、製造業の 力強い回復には至っていない。

不動産関連の固定資産投資額は2017年3月以降、減 速傾向にあり、2017年1~11月は対前年同期比4.2% の増加となった。

4.2

4.1 19.6

27.3

20.1

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

固定資産投資額(全体) 不動産関連投資額 製造業関連投資額 インフラ関連投資額

(6)

図1-10.中国の新エネルギー車月間販売台数推移 図1-9.中国の乗用車月間生産台数推移

中国の乗用車の月間生産台数推移を図1-9に示す。 2017年1月と2月は、減税措置縮小による反動減で落

ち込んだが、3月は一旦、218.8万台まで増加した。そ

の後8月までは180万台前後で推移し、9~10月は230

台弱、11月266.9万台、12月は261.0万台と昨年の同時

期とほぼ同じレベルで推移している。

新エネルギー車の月間販売台数推移を図1-10に掲 げる。2017年の新エネルギー車全体(乗用車及び商用 車)の販売台数は前年比54%増の770千台となった。 内訳は乗用車が574千台、商用車が196千台であった。

2017年12月の販売台数について見ると、新エネル

ギー車全体では前年同月比109%増の162千台となっ た。うち乗用車は、Pure Electric車が同105%増の82 千台、Plug-In Hybrid車は同129%増の16千台。商用 車 はPure Electric車 が 同20% 増 の62千 台、Plug-InHybrid車は40%減の3千台となった。

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000 180,000

乗用車(うちPure Electric) 乗用車(うちPlug-In Hybrid) 商用車(うちPure Electric) 商用車(うちPlug-In Hybrid) (台)

2,610

-1.3

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000

-30% -20% -10% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

(千台)

対前年同期比伸び率【右軸】

(7)

(4) 為替相場とPMI推移

図1-11.為替相場(2017年11~12月)

(各種報道を基に作成)

注:CFLP(中国物流購買連合会)PMIの調査対象は、国営企業等大企業が多いとされるのに対し、財新発表PMIの 調査対象は、中小企業が多いとされる。  

40

42

44

46

48

50

52

54

56

58

60

62

201

7/1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

11

12

欧州

米国

中国(財新)

中国(国家統計局)

図1-12.欧米中の製造業購買担当者景況指数(PMI)推移(2017年1月~2017年12月)

(各種報道を基に作成)

1.12

1.14

1.16

1.18

1.2

1.22

€/US$

€/US$

(8)

2.銅の価格と需給動向

(1) LME価格と在庫

 

図2-1に2017年11~12月のLME銅現物価格と同在 庫の推移を示す。

【11月】

1日、6,918.0US$/tで開始。3日に発表された米国10 月ISM非製造業景況指数が12年ぶり高水準に達した ことから12月追加利上げ観測が広がりドル高地合い になったこと、中国の10月銅輸入量が6か月ぶりの低 水準であったことによる需要縮小懸念、同国10月鉱 工業生産が市場予想を下回ったことによる同国経済の 先行きの懸念を受けて、6,715.5US$/t(15日)まで緩 やかに下落した。

しかし、18日発表の中国10月新築住宅価格が堅調な 内容を維持したことから同国経済の好調さが意識され、 価格は上昇に転じた。さらに、21日ペルー・Cuajone銅 鉱山やToquepala銅鉱山でのストライキによる一時操 業停止、チリ・Escondida鉱山でのストライキ実施計画 の報道、LME在庫の減少を受けて価格はさらに上昇、 24日6,967.5US$/tの高値をつけた。

その後、中国による高リスクな金融の取締まり強 化の中で、投資家がリスク資産への資金投入割合を減 らしたことで売りの動きが強まった。また、中国の電 力網投資減速懸念も加わり価格は下落。月末、中国 11月製造業PMIの上昇やドル安による上方要因が あったものの6,761.0US$/tで越月した。

【12月】

1日、6,734.0US$/tで開始。中国での製造業向け需 要が好調であることが好感された様子から、翌営業日 (4日)には、6,807.0US$/tに上昇したものの、その後 は急落し、7日には6,530.5US$/tとなった。LME在庫 量の増加とドル高の進行が嫌気されたものと見られ る。

翌 日(8日)、11月 の 中 国 の 銅 輸 入 量 が 前 月 比 で 40%増加した報道されたことを受け、需要の堅調さ が 意 識 さ れ た こ と に よ り 再 び 上 昇 に 転 じ た (6,538.5US$)。その後、中国の11月鉱工業生産が市 場 予 想 を 上 回った こ と、 ゴール ド マ ン サック ス が 「2018年の世界全体のGDPは2017年の3.7%から2018 年には4.0%に加速する」との強気の見通しをたてた こと、ペルーMichiquillay銅プロジェクト入札の延長 により供給がタイトになるとの意識が強まったことな どが材料とみられる影響で価格は上昇を続け、28日 に3年11か月ぶりの高値(7,216US$/t)となった。29 日には、利食い売りや持ち高調整により、下落したも のの7,157US$/tと7,000US$/t超で越年した。

●当該期間中最高値:7,216.0US$/t(12月28日) ●当該期間中最安値:6,530.5US$/t(12月7日) ●12月末LME在庫量:201,725t

(2)需給

<供給・鉱山生産>  

国際銅研究会(ICSG)が発表した2017年1~9月の 鉱山生産量は、対前年同期比2.7%減の1,466.3万tと なった。内訳を見ると精鉱が同2.4%減の1,186.5万t、 SxEwはチリやペルーでの生産減により同3.9%減の 279.8万tであった。上位生産国12か国の鉱山生産量 を表2-1に示す。

<月間平均値(US$/t)> 2015年 2016年 2017年 1月 5,816 4,462 5,737 2月 5,703 4,595 5,942 3月 5,926 4,948 5,825 4月 6,028 4,581 5,698 5月 6,301 4,708 5,591 6月 5,834 4,631 5,700 7月 5,457 4,856 5,979 8月 5,089 4,758 6,478 9月 5,208 4,707 6,583 10月 5,223 4,732 6,797 11月 4,808 5,443 6,826 12月 4,629 5,666 6,801 1~12月 5,502 4,862 6,166

図2-1.銅:LME現物価格と在庫の推移 (2017年11~12月)

(出典:LMEデータを基に作成) 150 200 250 300 350 400 6,200 6,400 6,600 6,800 7,000 7,200

7,400 LME在庫

LME価格

(9)

(出典:ICSGデータを基に作成) 表2-1. 主要生産国別鉱山生産量

(単位:千t)

(10)

(出典:ICSGデータを基に作成) <供給・地金生産>

2017年1~9月の世界の地金生産量(SxEw、一次地 金、二次地金の計)は、前年比0.5%増の1,749.5万tと

なった。 生 産 首 位 の 中 国 は 同6.0% 増 の659.0万tと なったが、日本、米国、チリなど多くの国で減少し た。主要生産国別の地金生産量を表2-2に示す。 表2-2. 主要生産国別地金生産量

(単位:千t)

(11)

(出典:ICSGデータを基に作成) <需要・地金消費>

2017年1~9月の世界の地金消費量(見掛け)は、 1,767.6万tと対前年同期比で0.6%増加した。米国、ド イツ、韓国での消費量は減少したものの、中国の対前

年同期比0.3%増に加え、日本、トルコ、ロシアで増 となった。主要消費国の銅地金消費量を表2-3に示 す。

(3) 需給バランスと今後の需給見通し

ICSG Copper Bulletin(2017年12月号)に基づく各 月毎の需給バランスと在庫の推移を図2-2に示す。

図2-2. 銅需給バランス(2014年1月~ 2017年11月)

(出典:LME、ICSGデータを基に作成) -400 -200

0 200 400 600 800

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000

LME在庫 COMEX在庫 SHFE在庫 需給バランス LME価格(Cash settlement)

価格(US$/t) 需給バランス /

LME在庫(千t)

表2-3. 主要消費国別地金消費量

(単位:千t)

(12)

(出典:ICSGデータを基に作成) ICSGが2017年秋季大会(10月)で発表した2018年

までの銅需給予測を表2-4に示す。また、ICSG発表 データに基づく中国の保税在庫増減を図2-3に示す。

図2-3.中国の保税在庫増減

155

477

+176

-61

+568

-247

-24

-103

+13

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

千t

表2-4. 銅需給の実績と予測

(単位:千t)

2016年 (2017年秋季)2017年予測 (2017年秋季)2018年予測

鉱山生産量 20,358 19,807 20,311

地金生産量(a) 23,339 23,583 24,179

地金消費量(b) 23,491 23,733 24,283

(13)

3.鉛の価格と需給動向

(1)LME価格と在庫

<価格>

図3-1に2017年11~12月のLME鉛現物価格と同在 庫の推移を示す。当該期間の鉛価格は概ね2,400~ 2,500US$/tのレンジで推移した。

11月の鉛価格は2,452.0US$/tでスタート。上旬は、 中国国内における鉛地金の需給がタイトになりつつあ るとの見方が広がり緩やかに上昇。しかし14日に発 表された中国鉱工業生産の内容が弱かったことを受け て、同国経済への先行き不透明感から中旬には下落 し、下旬にかけてほぼ横ばい推移した。30日には買 戻しの動きで値を戻し、2,474.0US$/tで越月した。

12月上旬は、ドル高の進行が嫌気される中で軟調 に推移したものの、中旬は、亜鉛価格上昇や中国経済 への期待感から上昇した。しかし下旬には緩やかに下 落し、2,495.0US$/tで越月した。

 

●当該期間最高値:2,586.5US$/t(2017年12月18日) ●当該期間最安値:2,409.0US$/t(2017年11月17日)

<月間平均値(US$/t)>

2014年 2015年 2016年 2017年 1月 2,149 1,829 1,647 2,237 2月 2,110 1,892 1,772 2,328 3月 2,056 1,790 1,808 2,277 4月 2,088 1,994 1,729 2,231 5月 2,097 2,004 1,714 2,132 6月 2,103 1,836 1,714 2,131 7月 2,189 1,762 1,835 2,266 8月 2,237 1,693 1,839 2,357 9月 2,146 1,682 1,942 2,377 10月 2,038 1,725 2,040 2,506 11月 2,024 1,616 2,179 2,464 12月 1,936 1,701 2,231 2,509 1~12月 2,098 1,794 1,871 2,318

図3-1.鉛:LME価格と在庫の推移 (2017年11~12月)

(出典:LMEデータを基に作成)

<在庫>

表3-1に主なLME倉庫における鉛在庫量の変化を 示す。

鉛在庫は、2016年12月22日に19.6万tまで増加して 以降漸減が続いており2015年12月以来の低水準まで 減少していたところ、9月初旬に16.4万tまで増加し た。その後は再び減少傾向を辿り、10月下旬には15 万tを割り込んだ。

12月にはベルギーAntwerp倉庫で積み増しがあっ たものの、オランダ・Rotterdamや韓国・Busan倉庫 での搬出が続く中で減少傾向となり、12月末に14.2万 tで越月した。

 

●11月初LME在庫:149,250t(キャンセルワラント 比率31.6%)

●12月末LME在庫:142,225t(キャンセルワラント 比率33.0%)

100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 200

1,800 1,900 2,000 2,100 2,200 2,300 2,400 2,500 2,600 2,700 2,800

LME在庫 LME価格

(14)

図3-3.中国鉛需給推移(2015年11月~2017年10月)

(出典:ILZSGデータを基に作成) 図3-2.世界鉛需給推移(2015年11月~2017年10月)

(出典:ILZSGデータを基に作成) (出典:LME)

(2)需給

2015年11月~2017年10月までの世界鉛需給推移を 図3-2に、中国の需給推移を図3-3に示す。

0 200 400 600 800 1,000 1,200

鉛消費量(中国) 鉛消費量(除中国) 鉛鉱山生産量 鉛地金生産量 千t

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

鉛地金消費量(中国) 鉛鉱山生産量(中国) 鉛地金生産量(中国) 千t

表3-1.鉛:主なLME倉庫におけるクローズ量(t)とキャンセルワラント比率(%)

倉庫 2017/10/2 2017/11/1 2017/12/1

(15)

(出典:ILZSG “WORLD LEAD AND ZINC STATISTICS Monthly Bulletin”, December 2017) <鉱山生産動向>

ILZSGの2017年12月の月次発表によると、世界の 鉱山生産量は2017年9月単月では437.3千t、10月単月 では413.7千tとなった。

表3-2に2017年1~10月の地域別鉱山生産量を示 す。Mt Isa鉱山・McArthur River鉱山での減産が影

響し豪州で減産傾向にあるものの、中国やインドにお ける生産が大きく伸びている。米国やペルーにおいて は鉛鉱石生産は減少となっているが、鉱山各社が亜鉛 品位の高い鉱床を優先して開発を進めているためだと 考えられる。

 

<地金生産・消費動向>

表3-3に2017年1~10月 の 地 域 別 地 金 生 産 量、 表 3-4に地域別地金消費量を示す。

ILZSGの2017年12月の月次発表によると、地金生 産については、豪州・米国を除き世界的な増産傾向が 続いている。米国における鉛地金生産は全て二次鉛由 来であるが、メキシコや韓国からの鉛地金輸入の増加 を背景に米・Quemetco社等の二次鉛精錬所で減産と なっている。当該期間における世界全体の地金生産は

前年同期比3.8%増となった。

地金消費については、中南米、豪州、アフリカで 減少したものの、中国や米国、韓国、ドイツ、英国等 で需要が伸びた。自動車バッテリー需要が8割を占め る鉛にとっては、自動車所有台数が伸びている中国や 自動車販売が好調な米国において需要拡大が期待され ている。世界全体の需要では対前年同期比6.1%の伸 びとなった。

表3-2.鉛鉱山生産量推移(千t)

  2016年 1~10月2016年 1~10月2017年 増減率(%)

アジア 2,772 2,307 2,565 11.2

 中国 2,340 1,950 2,127 9.1

北米 349 307 283 ▲ 7.8

中南米 711 582 576 ▲ 1.0

欧州 409 349 349 0.0

アフリカ 90 71 77 8.5

豪州 473 368 283 ▲ 23.1

世界計 4,803 3,983 4,133 3.8

(出典:ILZSG “WORLD LEAD AND ZINC STATISTICS Monthly Bulletin”, December 2017) 表3-3.鉛地金生産量推移(千t)

  2016年 1~10月2016年 1~10月2017年 増減率(%)

アジア 6,877 5,710 6,102 6.9

 中国 4,665 3,862 4,177 8.2

北米 1,397 1,145 1,069 ▲ 6.6

中南米 674 565 569 0.7

欧州 1,915 1,599 1,644 2.8

アフリカ 99 101 108 6.9

豪州 224 186 172 ▲ 7.5

(16)

図3-4.鉛需給バランス(2009年1月~2017年10月)

(出典:LME、ILZSG) <需給バランス>

図3-4に、2009年1月から2017年10月までの世界の 鉛需給バランスとLME現物価格及びLME在庫の推 移を示す。

ILZSGの2017年12月の月次発表によると、2017年9 月単月の需給バランスは41.3千tの供給不足、10月単月 では10.0千tの供給不足となり、1~10月の累計需給バ ランスは173千tの不足で不足幅が拡大した。

-100 0 100 200 300 400 500

0 500 1000 1500 2000 2500 3000

SHFE在庫 LME在庫 需給バランス LME価格(cash settlement)

価格(US$/t) 需給バランス /

LME在庫(千t) (出典:ILZSG “WORLD LEAD AND ZINC STATISTICS Monthly Bulletin”, December 2017)

表3-4.鉛地金消費量推移(千t)

 

2016年 1~10月2016年 1~10月2017年 増減率(%)

アジア 6,925 5,737 6,222 8.5

 中国 4,639 3,831 4,262 11.3

北米 1,602 1,297 1,362 5.0

中南米 628 553 514 ▲ 7.1

欧州 1,876 1,569 1,626 3.6

アフリカ 96 101 100 ▲ 1.0

豪州 17 15 14 ▲ 6.7

(17)

(3)今後の需給見通し

LZSGが2017年10月の国際鉛亜鉛研究会秋季大会で 発表した2017年及び2018年の需給予測を表3-5に示 す。同大会の発表によると、2017年は125千tの供給 過剰、2018年は45千tの供給不足でほぼバランスする と予測した。

これまで鉛消費拡大を牽引してきた中国では、 e-Bike(鉛バッテリーを利用した電動バイク)の需要 が低迷している一方、e-Trike(主に農村部等で使用 される電動三輪車)の普及が進んでいると指摘され

た。また世界的には自動車バッテリー向けを主として 緩やかな需要拡大方向にあるとされたものの、2017 年においてはインドやカザフスタン等、世界的に鉛地 金が増産されていることから供給過剰予測となった。 足元11~12月にかけては、中国各地の鉛精錬所が 環境規制と天然ガス供給不足の影響を受けて生産縮減 傾向にあると報じられており、また10月時点での累 計需給バランスも供給不足となっていることから、 2017年の最終的な需給バランスは足元状況を踏まえ 把握する必要がある。

 

(出典:2017年10月ILZSG秋季大会データを基に作成) ※需給バランスは地金生産量・消費量差分の概数で記載につき、ILZSG公式発表値と異なる。

表3-5.鉛需給の実績と予測(ILZSG秋季・春季大会発表)

(単位:千t) 2017年予測

(2016年春季) (2017年秋季)2017年予測 (2017年秋季)2018年予測

鉱山生産量 4,921 5,060 5,110

地金生産量(a) 11,391 11,580 11,770

地金消費量(b) 11,393 11,700 11,820

(18)

4.亜鉛の価格と需給動向

(1)LME価格と在庫

 

<価格>

図4-1に2017年11~12月のLME亜鉛現物価格と同 在庫の推移を示す。

11月は3,332.0US$/tでスタート、上旬は米国の経済 指標が好調だったことから利上げ観測が高まりドル高 傾向となり、亜鉛相場を圧迫し、3,200US$台で弱含 みに推移した。中旬は、14日の中国の鉱工業生産の 発表内容が弱かったことで同国経済の先行き不透明感 から軟調に推移し、15日には3,200US$/tを下回った。 その後も3,200US$/t前後で横ばい推移したが、22日 にはLME在庫減少等を支援材料に3,271.5US$/tへ上 昇。しかし、中国政府の金融取り締まり強化から投資 家の活動が鈍り始めたことや同国経済の先行き懸念か ら、27日には再び下落傾向に転じ、29日には1か月半 ぶり安値となる3,146.0US$/tへ値を下げた。30日には 買い戻しの動きで値を戻し、3,197.0US$/tで越月し た。

12月は、3,215.0US$/tで開始し、中国での環境規制 に伴う生産減少懸念で一時押し上げられたが、ドル高 の 進 行 が 嫌 気 さ れ 上 旬 は 軟 調 に 推 移。 中 旬 は、 Glencoreの生産再開計画の規模が予想を下回ったこ とを受けた供給不足懸念の高まりや、14日に発表さ れた中国11月鉱工業生産が市場予想を上回る底堅さ だったことを受けた同国需要への期待感の高まりから 緩やかに上昇した。下旬は、ゴールドマン・サックス が2018年の世界全体のGDPは4.0%成長となるとの強 気の見通しを示したことや、ドル安の進行が好感され 続伸。LME在庫の減少が続き、約9年ぶりの低水準 となっていることも好材料となり、2,495.0US$/tで越 月した。

 

●当該期間最高値:3,332.0US$/t(11月1日) ●当該期間最安値:3,094.0US$/t(12月8日)

図4-1.亜鉛:LME価格と在庫の推移 (2017年11~12月)

(出典:LMEデータを基に作成)

<在庫>

表4-1に主なLME倉庫における在庫量の変化を示 す。LME亜鉛在庫は供給不足から在庫搬出が相次い でいると見られ、2016年10月下旬より減少傾向が続 いている。当該期間11~12月にかけては、7.3万tの 減少となった。

LME亜 鉛 在 庫 の お よ そ9割 を 抱 え る 米・New Orleans倉庫では、1.8万tが搬出された。また、ベル ギー・Antwerp 倉庫では10月頭時点で2.9万tあった が12月末時点で325tにまで減少、同日の当倉庫の キャンセルワラント比率は100%であった。2017年12 月末時点での亜鉛在庫を抱えるLME倉庫は引き続き New Orleans倉 庫、Antwerp倉 庫、 マ レーシ ア・ Johor倉庫、スペイン・Bilbao倉庫の4か所。

●11月初LME在庫:254,025t(うち、キャンセルワ ラント比率35.2%)

●12月末LME在庫:180,975t(うち、キャンセルワ ラント比率9.2%)

<月間平均値(US$/t)>

2014年 2015年 2016年 2017年 1月 2,036 2,111 1,512 2,713 2月 2,035 2,119 1,711 2,848 3月 2,017 2,029 1,805 2,782 4月 2,031 2,202 1,852 2,633 5月 2,059 2,290 1,871 2,590 6月 2,127 2,087 2,023 2,572 7月 2,311 2,002 2,185 2,785 8月 2,273 1,810 2,192 2,982 9月 2,294 1,719 2,293 3,120 10月 2,273 1,728 2,314 3,274 11月 2,264 1,582 2,569 3,236 12月 2,172 1,522 2,672 3,192 1~12月 2,162 1,933 2,083 2,895

100 150 200 250 300 350 400 2,500 2,600 2,700 2,800 2,900 3,000 3,100 3,200 3,300 3,400 3,500

LME在庫 LME価格

(19)

(2)需給

 

2015年11月~2017年10月までの世界亜鉛需給推移 を図4-2に、中国の需給推移を図4-3に示す。

図4-2.世界亜鉛需給推移(2015年11月~ 2017年10月)

(出典:LMEデータを基に作成)

図4-3.中国亜鉛需給推移(2015年11月~ 2017年10月)

(出典:LMEデータを基に作成)

0 100 200 300 400 500 600 700

亜鉛消費量(中国) 亜鉛鉱山生産量(中国) 亜鉛地金生産量(中国) 千t

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400

亜鉛消費量(中国) 亜鉛消費量(除中国) 亜鉛鉱山生産量 亜鉛地金生産量 千t

(出典:LME) 表4-1.亜鉛:主なLME倉庫におけるクローズ量(t)とキャンセルワラント比率(%)

倉庫 2017/10/2 2017/11/1 2017/12/1

New Orleans 214,625 53.26% 221,850 27.47% 204,150 19.84% Antwerp 28,525 57.32% 26,125 100.00% 3,800 100.00% Johor 2,300 95.65% 2,300 95.65% 1,125 91.11%

Bilbao 600 0.00% 600 0.00% 600 0.00%

Rotterdam 6,075 100.00% 0 — 0 —

(20)

<鉱山生産動向>

ILZSGの2017年12月の月次発表によると、世界の 鉱山生産量は2017年9月単月では1,137.5千t、10月単 月では1,207.0千tとなった。

地域別鉱山生産量を表4-2に示す。Mt.Isa鉱山や McArthur River鉱山で減産している豪州や、低品位 鉱体の開発が進められているRed Dog鉱山のある米

国で2017年1~10月の累計生産量が前年割れしてい る。

一方、世界最大の亜鉛鉱山であるRampura-Agucha 鉱山を有するインドやペルー、カザフスタン、トルコ 等では増産が進んだことから、世界全体では対前年同 期比3.8%増となった。

<地金生産・消費動向>

世界亜鉛地金生産及び消費について、ILZSGの 2017年12月の月次発表によると、亜鉛地金の生産は 2017年9月単月が1,166.6千t、10月単月が1,211.5千tで あり、消費については9月単月が1,202.5千t、10月単 月が1,248.4千tで8か月連続の供給不足となった。

亜鉛地金生産については、インドでの増産が世界

全体の亜鉛供給量を下支えしているものの、中国をは じめ、鉱石不足等から地金生産は世界的に低迷または 横ばいに推移しており、世界全体の亜鉛地金生産は前 年同期比で0.6%減と横ばいだった。

消費については、米国や日本、台湾等で増加した 一方、ドイツでは減少した。中国は前年同期比ほぼ横 ばいで推移。

(出典:ILZSG “WORLD LEAD AND ZINC STATISTICS Monthly Bulletin”, December 2017) 表4-2.亜鉛鉱山生産量推移(千t)

  2016年 1~10月2016年 1~10月2017年 増減率(%)

アジア 6,687 5,533 5,836 5.5

 中国 5,145 4,304 4,273 ▲ 0.7

北米 1,120 948 894 ▲ 5.7

中南米 2,752 2,259 2,388 5.7

欧州 1022 831 851 2.4

アフリカ 367 271 350 29.2

豪州 859 697 621 ▲ 10.9

世界計 12,807 10,539 10,941 3.8

(出典:ILZSG “WORLD LEAD AND ZINC STATISTICS Monthly Bulletin”, December 2017) 表4-3.亜鉛地金生産量推移(千t)

  2016年 1~10月2016年 1~10月2017年 増減率(%)

アジア 9,043 7,460 7,455 ▲ 0.1

 中国 6,274 5,177 5,054 ▲ 2.4

北米 813 677 628 ▲ 7.2

中南米 900 750 751 0.1

欧州 2,393 1,992 1,992 0.0

アフリカ 91 76 70 ▲ 7.9

豪州 470 392 380 ▲ 3.1

(21)

図4-4.亜鉛需給バランス(2009年1月~ 2017年10月)

(出典:LME、ILZSG) <需給バランス>

図4-4に、2009年1月から2017年10月までの世界の 亜鉛需給バランスとLME現物価格及びLME在庫の 推移を示す。国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)の2017年12 月の月次発表によると、2017年9月は35.9千t、10月 は36.9千tの供給不足、2017年1~10月累計は401千t

の供給不足となった。亜鉛価格が高値で推移してお り、鉱石生産も伸びているものの、地金生産は低迷し ており、またLME在庫の減少傾向の様子からも亜鉛 需給は逼迫状況にあり、十分に需要を賄えていない可 能性がある。

(500)

0 500 1,000 1,500 2,000

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500

LME在庫 SHFE在庫 SRB在庫 需給バランス LME価格

需給バランス/ LME在庫(千t)

価格(US$/t)

(出典:ILZSG “WORLD LEAD AND ZINC STATISTICS Monthly Bulletin”, December 2017) 表4-4.亜鉛地金消費量推移(千t)

  2016年 1~10月2016年 1~10月2017年 増減率(%)

アジア 9,613 7,986 8,065 1.0

 中国 6,724 5,572 5,575 0.1

北米 981 812 852 4.9

中南米 579 488 490 0.4

欧州 2,378 2,008 1,997 ▲ 0.5

アフリカ 165 137 141 2.9

豪州 137 113 134 18.6

(22)

(3)今後の需給見通し

 

ILZSGが2017年10月の国際鉛亜鉛研究会秋季大会 で発表した2017年及び2018年の需給予測を表4-5に示 す。

2017年秋季大会の発表では、2017年は398千tの供 給不足、2018年は223千tの供給不足が見通された。 2017年については、2016年に操業開始したエリトリ ア・Bisha鉱山が立ち上がっていることやインド・ Rampra-Agucha鉱山やペルー・Antamina鉱山の増産 で鉱石供給は増加が期待されると述べられた。一方、 加・Noranda社のValleyfield製錬所のストライキが続 いていること、ペルーや韓国での減産計画、中国での 生産低迷等から需給逼迫懸念が指摘された。さらに 2018年は、MMG社のDugald River鉱山やVedanta社 のGamsberg鉱山の操業開始、欧州や中国、米国での 鉱石生産増加見通しと豪州やベルギー、カナダ、韓国 等での亜鉛地金増産見通しから需給バランスはやや緩 和に向かう見通しとなった。

亜鉛需給は、LME在庫が減少傾向にあり、供給不 足の状況が続いていることから、依然として逼迫感は 解消されない模様である。足元の亜鉛価格は3,400US$ 台を超え10年半ぶりの高値水準で推移している。

価格の回復に伴い、操業再開に関する報道が相次 い で い る。2017年11月8日、MMG社 は 豪・Dugald River鉱山の操業開始を発表した。亜鉛鉱石の供給不 足や価格の上昇を背景に2018年操業開始予定を前倒 したものであり、鉱石輸出は2017年12月開始予定と されている。また2015年末に閉山した豪・Century鉱 山が2018年第2四半期に尾鉱からの亜鉛生産を開始す ると発表。生産量は50万t/年、マインライフは6.3年 の見込み。また2017年2月以降ストライキが続いてい た加・Vallyfield亜鉛精錬所で労使交渉が締結された。 操業率が50~60%低下していたところ、通常生産に 戻る見込み。

12月上旬にはペルーのLa Oroya製錬所の操業再開 計画が示されたことが報じられた。また12月12日、 Glencoreは豪・Lady Loretta鉛亜鉛鉱山の2018年上 半期再開や、カザフスタンのZhairem鉛亜鉛新規鉱 山の2020年生産開始を目指すことを発表した。同社 は、2020年の亜鉛生産は約130万tに増加するとの予 測を発表したものの、アフリカにおけるいくつかの亜 鉛鉱山操業撤退を受けて、2018年の同社亜鉛生産量 は2017年とほぼ同水準になる見込み。

 

(出典:2017年10月ILZSG秋季大会データを基に作成) 表4-5.亜鉛需給の実績と予測(ILZSG春季・秋季大会発表)

(単位:千t) 2017年実績

(2016年春季) (2017年秋季)2017年予測 (2017年秋季)2018年予測

鉱山生産量 13,697 13,002 13,784

地金生産量(a) 14,076 13,528 14,055

地金消費量(b) 14,302 13,926 14,278

(23)

5.ニッケルの価格と需給動向

(1)LME価格と在庫

<価格>

図5-1に2017年11~12月のLMEニッケル現物価格 と同在庫の推移を示す。

11月は、Trafigura社が「EV向け硫酸ニッケルの需 要は2030年までに300万tになる」と強気の見通しを 示したことを受けて、1日に12,695.0US$/tの値をつけ てスタート(前日10/31は11,850.0US$/t)。その後も、 冬季の中国における電力・エネルギー不足によるニッ ケル銑鉄生産減少に起因するステンレス原料供給ひっ 迫懸念から上昇し、6日には2015年6月以来の高値と なる12,830.0US$/tをつけた。その後は、インドネシ アPT Antamの鉱石輸出枠増加等の報道を受けて、 同国からの鉱石供給増加見通しが下方圧力となり、加 えてEV需要拡大への期待感が一服したことから下 落。中旬は、ほぼ横ばい推移が続いた後、15日には 前日発表された中国10月鉱工業生産が市場予想を下 回ったことを受けて、同国ステンレス鋼需要の見通し が悪化し11,580.0US$/tまで急落。その後はドル安基 調が価格を下支えし横ばい推移。下旬に入り、ドル安 の進行が好感され一時上昇したものの、中国鉄鋼需要 鈍化懸念が広がる中、ステンレス鋼の需要減退が意識 されて続落し11,295.0US$/tで越月。

12月は11,050.0US$/tと値を落としてスタート。そ の後、中国製造業向け需要の好調さが好感され4日に 11,330.0US$/tまで値を戻したが、5日以降、米国税制 改革法案の上院通過を背景としたドル高傾向などから 下落、7日には当該期間最安値となる10,795.0US$/tま で値を落とした。8日、中国の11月銅輸入量増加との 報道から、同国ベースメタル需要の堅調さが好感され たものと見られ、ニッケルも上昇傾向に転じた。中旬 以降も、14日発表の中国11月鉱工業生産が市場予想 を上回ったことのほか、ドル安の進行も好感され続 伸、ゴールドマン・サックスによる2018年世界全体 GDPの強気見通しも好材料となったものと見られ、 22日には12,050.0US$/tまで上昇した。LME休場明け の27日には11,840.0US$/tと一時値を落としたものの 翌日には回復、LME在庫の減少も材料となり、29日 には12,260.0US$/tと11月中旬以来の高値をつけて越 年した。

●当該期間最高値:12,830.0US$/t(2017年11月6日) ●当該期間最安値:10,795.0US$/t(2017年12月7日)

<月間平均値(US$/t)>

2015年 2016年 2017年   1月 14,771 8,483 9,984   2月 14,535 8,310 10,619   3月 13,746 8,704 10,230   4月 12,783 8,853 9,669   5月 13,509 8,689 9,154   6月 12,780 8,944 8,931   7月 11,386 10,252 9,482   8月 10,342 10,354 10,853   9月 9,898 10,188 11,234 10月 10,344 10,266 11,325 11月 9,232 11,143 11,993 12月 8,692 11,013 11,409 1~12月 11,835 9,609 10,407

図5-1.ニッケル:LME価格と在庫の推移 (2017年11~12月)

(出典:LMEデータを基に作成) 350 360 370 380 390 400 410 420 430 440 450 10,000 10,500 11,000 11,500 12,000 12,500 13,000 13,500 14,000

LME在庫 LME価格

(US$/t) 在庫(千t)

<在庫>

LMEニッケル在庫は、2012年7月以来増加傾向が 続き、2015年6月4日に史上最高量の47.4万tを更新 し、その後は減少傾向に転じた。2016年以降も減少 傾向を辿っていたが2017年に入りほぼ横ばいで推移、 12月中旬より再び減少傾向となり、2017年12月末時 点で36.7万t(約70.0日分、前年同月末比0.9%減)。う ち49.7%はマレーシアJohorの倉庫にある。

なお、上海先物取引所の在庫との合計量は、2016 年1月に50.7万tを記録した後は減少傾向を辿ってお り、足元12月末時点で44.2万t。

 

●2017年11月初LME在庫:381,570t(キャンセルワ ラント比率37.0%)

(24)

図5-3.ニッケル需給バランス(2014年1月~ 2017年10月)

(出典:INSGデータを基に作成)

(2)需給

 

国際ニッケル研究会(INSG)による2015年1月~ 2017年10月までの世界ニッケル需給推移を図5-2に、 2014年1月~2017年10月までのニッケル需給バラン スを図5-3に示す。

ニッケル鉱山生産量は、2016年半ばにフィリピン が乾季に入ったことを受けてやや回復したものの、10 月以降はフィリピンが再び雨季に入ったことを受けて 緩やかに減少した。2017年は、1月にインドネシアが 低品位鉱石の輸出再開を表明したことを受けて、同国 生産量が2017年以降毎月、前年同月比でおよそ倍増

している。また、4月以降はフィリピンが乾季に入っ たことから生産量が増加していたが、足元10月は雨 季に入ったことから減少した。

一次ニッケル生産量は、2016年9月以降、中国や ニューカレドニアなどでの生産量増加を受けて増え、 その後はほぼ横ばいで推移していたところ、2017年6 月以降、中国やカナダなどを中心に緩やかに増加して いる。

一次ニッケル消費量は、2015年2月に中国春節休暇 に伴うものと考えられる需要の落ち込みに伴い減少。 2016年以降も2月頃に同傾向が見られるものの、全体 としては緩やかな増加傾向にある。

図5-2. 世界ニッケル需給推移(2015年1月~2017年10月)

(出典:INSGデータを基に作成) 0

50 100 150 200 250

一次ニッケル消費量(中国) 一次ニッケル消費量(除中国) ニッケル鉱山生産量 一次ニッケル生産量 千t

-50 50 150 250 350 450 550

0 5,000 10,000 15,000 20,000 25,000

需給バランス/在庫(千t) LME価格(US$/t) 一次ニッケルの需給バランスと価格動向

(25)

図5-5.中国のフェロニッケル輸入元推移(2013年1月~2017年11月)

(出典:Global Trade Atlasデータを基に作成) 図5-4.中国のニッケル鉱石輸入元推移(2013年1月~2017年11月)

(出典:Global Trade Atlasデータを基に作成) <中国原料調達動向>

図5-4及び図5-5に中国のニッケル鉱石及びフェロ ニッケル輸入元推移を示す。

中国の鉱石輸入量は、2016年も例年同様フィリピン の雨季の時期に合わせて増減した。2017年5月以降、 インドネシアからの輸入が増加していたところ、10 月・11月はほぼ横ばいで推移している。また、足元11 月はニューカレドニアからの輸入が増加した。

フェロニッケル輸入量は2015年以降増加。2016年 10月以降は概ね11~12万tの水準で推移していたとこ ろ、2017年5月は前月比191%と大幅に増加、インド ネシアからの輸入が急増し同国からの輸入が全輸入量 の86%を占めた。その後6・7月は14万t程度、8月以 降は約10万tで推移している。

0 50 100 150 200

(グロス千t)

その他 ミャンマー コロンビア 日本 ブラジル ニューカレドニア インドネシア

0 2000 4000 6000 8000

その他 ニューカレドニア

インドネシア フィリピン

(26)

(3)今後の需給見通し

〈国際非鉄研究会見通し〉

INSGが2017年10月の国際非鉄研究会秋季会合で発 表した2016年実績及び2017年・2018年需給予測を表 5-1に示す。

一次ニッケル生産量は、2017年は前年比3.1%増の 2,052.3千t、2018年は前年比7.5%増の2,205.9千tと予 測。インドネシアの鉱石輸出の緩和により中国のNPI

生産量が回復していることや、インドネシアでの NPI・フェロニッケルの新規プロジェクトが稼働する 見込みであることから、生産量は増加するとの見方が 示された。

一次ニッケル消費量は、2017年は前年比6.1%増の 2,149.5千t、2018年は前年比5.1%増の2,258.9千tと予 測。ステンレスの生産が引き続き好調であることや、 電池材料向けの需要に期待感があることなどが増加要 因になると見込まれた。

(2018.1.10) (出典:INSGデータを基に作成) 表5-1.ニッケル需給の実績と予測

(単位:千t)

2016年実績 (2017春季)2017年予測  (2017年秋季)2017年予測  (2017年秋季)2018年予測 

鉱山生産量 2,004 2,172 2,114 2,286

一次ニッケル生産量(a) 1,991 2,067 2,052 2,206

一次ニッケル消費量(b) 2,037 2,113 2,150 2,259

参照

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