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建築物周辺の風環境評価法検討 -その 3 CFD と風洞実験の比較-

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Academic year: 2021

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1.はじめに

ビル風のシミュレーション方法としては、主 に風洞実験と数値流体解析(以下CFD)が挙げ られる。CFDは風洞実験と比べてコストが小さ いことや近年のコンピュータ処理能力の劇的な 向上などに伴って急速に利用頻度が上がってき ている。ただし、風洞実験と比べると信頼性で は劣る面が有るとされている。

これまでは単体建物、複合建物から市街地モ デルまでCFDと風洞実験の比較について報告1) され、多くの知見が得られているものの、シミ ュレーション精度の向上に対する検討は未だ不 十分であるのが現状である。

本研究では、大きく分けて「上空風の観測」

「地上レベルの実測」「風洞実験」「CFD」の 4項目から検証を進め、ビル風のシミュレーシ ョン精度の向上を目的としている。

ここではまず風洞実験とCFDから得られた平 均風速の比較について報告する。

2.市街地のビル風シミュレーション 2.1 対象とした市街地

日本大学生産工学部大久保キャンパス周辺の 市街地を比較検証の対象とした。

2.2 風洞実験

日本大学生産工学研究所所有のエッフェル型 境界層風洞を用い、風洞気流は地表面粗度区分

Ⅳ(べき指数α=0.27)2)に見合った乱流境界層を

縮尺1/300で再現した。実験模型は22号館を中

心とし半径 300m 範囲内の建築物、キャンパス 内の樹木及び街路樹を再現した。実験風向は16 方位、実験風速は風洞床面から1m高さで約5m/s とした。歩行者レベル(地上2m高さ相当)のスカ ラー風速の測定に多点型サーミスタ風速計を使 用し、計測時間および間隔を130sec、1000Hz した。Photo.1 に実験状況、Fig.1 に実験気流特 性、Fig.2に評価点位置(55点)を示す。なお、評 価点12のみX 型熱線風速計による測定も行っ た(測定条件はサーミスタ風速計と同様)。

2.3 CFD

数値流体解析ソフトはSTREAM for Windows

Ver.7.0 を使用した。樹木のモデル化パラメータ

の設定は参考文献3)に従った。解析モデルを Fig.3、解析方法の概要をTable.1に示す。

Table.1 解析方法の概要

アルゴリズム 有限体積法 SIMPLEC法 乱流モデル LKモデル

空間差分 風速(u,v,w)の移流項:3次精度(QUICK) その他 :1次精度(風上差分) 計算領域 X × Y × Z = 660m × 700m × 500m 計算格子数 Nx × Ny × Nz = 270 × 270 × 66 最小格子幅 dx = 1.5m dy = 1.5m dz = 1.0m

流入境界 風速の鉛直プロファイル:風洞実験に従う 乱流エネルギー:風洞実験の乱れ強さより変換

その他境界 流出境界=流入境界、上空面境界=FreeSlip 地表面境界および壁面境界=Log-Law

Consideration for the Methodology of Wind nvironment Assessment in the Vicinity of Buildings -Part3 The comparison of CFD and wind tunnel testing-

Yukihiko YOSHIDA, MARUTA Eizo, Rei OKADA, Tetsuo MATSUYAMA

建築物周辺の風環境評価法検討

-その 3 CFD と風洞実験の比較-

()WindStyle 〇吉田幸彦 日大生産工 丸田榮蔵 日大生産工 岡田玲 (株)WindStyle 松山哲雄

Fig.2 評価点位置図

N Fig.1 実験気流分布

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1000

0 1 2 3 4 5 6 7

Wind speed U(m/s)

Height aboove ground(mm)

0 30 60 90 120 150 180 210 240 270 300 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7

Turbulence Intensity

Height aboove ground(m)

Velocity U α=0.27 Iu=u/U AIJ u-comp

Photo.1 風洞実験状況

Fig.3解析モデル

(2)

3.結果

風洞実験と CFD からそれぞれ得られた各評 価点の平均風速比RR’ついて比較する。基準 風速は10m高さの流入風速とした。なお、RANS の定常解析から直接得られる風速値は平均ベク トル風速であるため、風速比R’には既報の補正 方法4)に従い補正を行った値を用いる。

3.1 平均風速比の相関性

Fig.4に平均風速比RR’の相関性を示す。

結果としては、ある程度相関性が見られたが、

ばらつきの大きさも目立った。既報1)4)において 報告されているように高風速領域は低風速領域 に比べて相関がとれるといわれているが、今回 の結果はその傾向に当てはまらず高風速領域に おいてもばらつきが目立った。Fig.4から相関性 のばらつき具合に関する傾向を判別するのは困 難である。

3.2 代表点の比較

平均風速比の相関性のばらつき具合について 要因を検証するために、地上レベルでの実測を 行う予定の評価点5箇所(Fig.2の黄丸)につい て分析を行った。Fig.5に各点の比較結果を示す。

評価点9では、風向7~12においてCFDの風 速比の方が小さいが、風向別の傾向は似ている ことから、樹木モデルの防風効果に相違があっ たことが考えられる。評価点12 では、風向 13

~16CFDの風速比の方が大きくなっている。

これは風洞実験においてコンピュータ棟の樹木 モデルが壁のような役割を果たしている事が考 えられる。評価点32では、風向8~12CFD の風速比の方が小さくなっている。周辺に樹木 などがないため、モデル化に相違があった可能 性が考えられる。評価点 39 では、CFDの風速 比の方が全体的に小さいが、風向別の傾向とし ては似ていることから、樹木モデルの防風効果 に違いがあったことが考えられる。評価点51

は、風向11~15CFDの風速比の方が大きく

なっている。要因として丘状のモデル化に相違 があった可能性が考えられる。

4.まとめ

・ 比較的相関がとれるとされる高風速領域に おいてもばらつきが目立った。

・ ばらつきの主な要因としては、建築物のモ デル化(配置場所)に相違があった可能性が 高いことと、樹木のモデル化(葉の部分の充 実率や、樹木帯の取り扱い)が挙げられる。

CFD、風洞実験共に樹木のモデル化につい

て検証が必要である。

0 0.2 0.4 0.6 0.8 11

2 3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

14 15

16

0 0.2 0.4 0.6 0.81

2 3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

14 15

16

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.21

2 3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

14 15

16

0 0.2 0.4 0.6 0.81

2 3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

14 15

16

:風洞実験 R

:CFD R’

図中の116は方位を表す。

1,2,・・・,15,16 N,NNE,・・・NW,NNW

0 0.2 0.4 0.6 0.81

2 3

4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

14 15

16

評価点9 評価点12

評価点32 評価点39

評価点51

Fig.5 代表点の比較 参考文献

1) 風環境数値計算WGCFDを利用した高層建築物周辺の風環境予 測手法の開発、日本建築学会技術報告集(2004)

2) 日本建築学会:建築物荷重指針・同解説

3) 持田ら:植生Canopy モデルの風工学への応用のための諸パラメ ーターの実用的設定法、第 17 回数値流体力学シンポジウム(2003) 4) 松山ら:ビル風シミュレーションに関する研究 その2 数値流体 解析の誤差特性と補正方法について、日本大学生産工学部第 39 会学術講演会(2006)

Fig.4 風速比の相関性

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

R(WindTunnel)

R'(CFD)

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