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2010;2016)。これら広域スケー

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16

植物防疫 第

72

巻第

7

号(2018年)

土地利用情報を用いた被害予測モデルによる斑点米被害ハザードマップ

は じ め に

害虫による作物の被害対策を効率化するためには被害 予測モデルによって被害の起こりやすい地域や圃場を事 前に特定し,空間的な被害リスクを可視化することが重 要である。害虫管理にかけられる防除労力は時間的・空 間的に限られており,どの地域に被害対策を優先して配 分すべきか,その根拠を提示することができれば生産現 場における害虫管理対策の意思決定に大きく貢献できる だろう。

近年,生物の季節的な移動範囲などを広域スケールで 扱う景観生態学が発展し,森林や農地といった土地利用

(=景観要素としての植生・作付等)が広域スケールの 環境要因として生物の分布や移動等に影響することが示 されてきた(田渕・滝,

2010;2016)。これら広域スケー

ル要因は結果的に局所的な生物個体群の動態を左右する ため,これまで圃場を単位とした防除対策が主であった 病害虫管理体系に,新たな視点を導入するものとして注 目されている。これまで農業生態系における農地周辺環 境と害虫数の関係(例えば

T

HIES

and T

SCHARNTKE

, 1999)

が数多く研究され,これらが作物の被害程度(ZALLER

et al., 2008)や収量(V

ENUGOPAL

et al., 2014)にも影響する

ことが知られている。植物病害分野においては,作物病 害での研究事例は比較的少ないものの,虫媒性ウイルス 病や樹木病害については病原体の分散や病害の空間的な 発生状況に関して景観生態学的な観点から検討した事例 が あ る(例 え ば

P

LANTEGENEST

et al., 2007;A

LEXANDER

et al., 2014;P

ANASSITI

et al., 2017)。

水稲に斑点米被害を起こすカスミカメムシ類は水田周 辺の牧草地やイネ科雑草地といった発生源で増殖し,出 穂した水田に侵入・加害する。これまでの研究から,半

300 m

程度の範囲内にある発生源面積の大きさが,

水田でのカスミカメムシ類の発生量を左右する(

Y

ASUDA

et al., 2011;T

AKADA

et al., 2012)こ と が 知 ら れ て い る。

本報告では,この関係を利用して土地利用と斑点米被害 の関係解析から被害の発生可能性を可視化した事例を紹 介する。具体的には,アカスジカスミカメが主体となる 地域における斑点米被害予測のためにアカスジカスミカ メ発生量と農地周辺の土地利用(=作付状況)を解析し てハザードマップを作成し,被害発生リスクの高い地域 の可視化を試みた。

本文に先立ち,草稿に対して有益な意見をいただいた 髙橋明彦氏に厚く御礼申し上げる。本稿は村上太郎,奥 寺 繁,降幡駿介,榊原充隆,髙橋明彦,安田哲也の六 氏とともに取り組んだ調査内容(

T

ABUCHI

et al., 2017

)を 含んでいる。また,本稿を作成するにあたり,

JSPS

科研

16H05061

の助成を受けた。

I 調 査 方 法

斑点米被害と水田周辺の土地利用やカメムシ発生数の 関係を解析するため,岩手県奥州市の

4.5

×

6 km

の範 囲にある一般の生産者圃場

16

筆で

3

年間の野外調査を 行った(圃場面積平均±

SE

22

±2 a,圃場間の平均距

離±

SE

809±49 m)

。調査地域は肉牛生産が盛んで水

田と牧草地が混在する環境であり(図―1)

,主に ʻひとめ

ぼれʼを栽培している。調査対象水田の品種は

ʻひとめぼ

れʼ,また斑点米カメムシ類に対する薬剤防除は現地慣 行である

1

回散布の圃場で統一した。いずれも斑点米被 害に影響する水田内雑草が見られないことを確認した。

カメムシ発生数はフェロモントラップで調査した。各 調査地点には白色粘着トラップ(SEトラップ粘着板,

サンケイ化学(株)製)2枚を背中合わせにしてダブルク リップで支柱に固定したものを草冠高に設置した(図―

2a

)。誘引源にはアカスジカスミカメの合成性フェロモ ンを封入したポリエチレン製チューブ(信越化学工業

(株)製)を用いた。誘引源は粘着板の上辺にダブルクリ ップで固定した(図―2b)。粘着板は

7

日間ごと,誘引 源は

4

週間ごとに交換した。粘着板の交換の際,一部の 水田では補虫網によるすくい取り調査を行った(2011:

3

筆,2012・2013:2筆)。トラップの両脇に約

10 m

土地利用情報を用いた被害予測モデルによる 斑点米被害ハザードマップ

田  渕     研

農研機構東北農業研究センター

研 究 報 告

Predicting Potential Rice Damage by Stenotus rubrovittatus Using Land Use Data.

  

By Ken T

ABUCHI

(キーワード:広域害虫管理,斑点米,水稲害虫,景観構造,作 物配置による害虫抑制)

432

植物防疫

参照

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