• 検索結果がありません。

後深草院二条(前編) 〜日記文学『とはずがたり』の作者〜

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "後深草院二条(前編) 〜日記文学『とはずがたり』の作者〜"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

 後深草院二条(1258年~没年不詳)は鎌倉時 代の女性。日記文学『とはずがたり』の作者と される。

 二条は正嘉二(1258)年、中院大納言雅忠と 大納言典侍近子のもとに生まれる。四歳の頃に、

すでに天皇を退位して上皇となっていた後深草 院の御所へと出仕する。かつて後深草院は、今 は亡き二条の母近子に想いを寄せていたため、

その面影が残る二条を側に置き「吾か子」と呼 んで寵愛する。そして、二条はこの御所を我が 家として育っていく。時が経ち、二条が美しい 少女へと成長すると彼女のもとにも恋の話が訪 れる。相手は院の近臣の九条兼実で、彼は二条 の気を引くために様々な贈り物や文を届ける。

そんな兼実の気持ちに二条も次第に惹かれ始め ていくが、彼女を幼少より育て、かつ愛してい た後深草院は強引にも二条を自分のものにして しまう。二条は院の女房となるが、後深草院に は二条の他にも多くの女性がおり、彼女は嫉妬 や寂しさを募らせていく。その悲しい心を埋め るように、一時は疎遠となっていた兼実と再び 心を通わせるようになる。こうした中、文永十

(1273)年になると、彼女は後深草院との間に 待望の皇子を授かるが、幼くしてその子は亡く なってしまう。悲しみに暮れる二条であったが、

暫くしてから今度は兼実との間に女児が生まれ る。しかし、その子は兼実によって引き取られ ていき、再び我が子と引き離されてしまう。そ して、自らの過ちを悔やんだ二条の心は次第に 出家へと傾き始めていく。

 鎌倉時代後期に描かれた『とはずがたり』は、

時の上皇後深草院に愛された女性で、後深草院 二条が晩年に回想してその生涯を綴った日記文 学である。二条という名は後鳥羽院の時に定め

られた小こ う じ な路名で、「とはずがたり」とは「問わ

れなくても、どうしても語らずにはおられない」

という意味を表したものである。

 この物語の前半部では、彼女が幼少の頃より 御所へ出仕して、華やかな宮中で過ごした日々 の出来事が描かれている。麗しい彼女には、想 いを馳せてくる多くの男性との出会いが待ち受 ける。次々と現れてくる男性により、彼女の物 語には一途なものからは掛け離れた刺激的な恋 愛模様が描かれている。

 当初、心ならずも後深草院と結ばれてしまっ たことで、院の女房として添い遂げるはずで あった二条。しかし、多くの女性を愛でる後深 草院に寂しさを感じるようになり、二条の初恋 の相手であった兼実へと心を許し始める。まだ 若い二条にとっては自らの立場を押さえきれ ず、一人の男性だけを愛するということが出来 なかったのである。人目を忍んだ兼実との恋で はあったが、しかし彼女にとってそれは心安ら ぐ時と き間であったのだろう。だが、兼実との不義 により、子が出来たことで、院を裏切ってしまっ たという罪の意識に駆られてしまう。若い彼女 の心は大きな傷を負い、二人の男性の谷間で心 が揺れ動いていく。  

 この物語は恋に悩む一人の女性が、傷つきな がらも成長していく姿を描いたもので、このの ちさらなる男性たちが出現してくることによっ て、彼女の運命は新たな展開をみせていくこと となる。

(爾後につづく)

—————————————————————

■主な参考文献、そして、今回おすすめする本

○[中院雅忠女著];福田秀一校注 『とはずがたり』

 新潮社 新潮日本古典集成 第20回 1978年。

 請求記号 918‖Shin‖20 おかざき よしひこ(司書・係・情報サービス課)

中世文学を彩った人たち(2)

後深草院二条(前編)

〜日記文学『とはずがたり』の作者〜

岡崎 嘉彦

図書館員の文献紹介

37

参照

関連したドキュメント

自閉症の人達は、「~かもしれ ない 」という予測を立てて行動 することが難しく、これから起 こる事も予測出来ず 不安で混乱

・また、熱波や干ばつ、降雨量の増加といった地球規模の気候変動の影響が極めて深刻なものであること を明確にし、今後 20 年から

また自分で育てようとした母親達にとっても、女性が働く職場が限られていた当時の

親子で美容院にい くことが念願の夢 だった母。スタッフ とのふれあいや、心 遣いが嬉しくて、涙 が溢れて止まらな

基準の電力は,原則として次のいずれかを基準として決定するも

下山にはいり、ABさんの名案でロープでつ ながれた子供たちには笑ってしまいました。つ

では恥ずかしいよね ︒﹂と伝えました ︒そうする と彼も ﹁恥ずかしいです ︒﹂と言うのです

わずかでもお金を入れてくれる人を見て共感してくれる人がいることを知り嬉 しくなりました。皆様の善意の募金が少しずつ集まり 2017 年 11 月末までの 6