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Academic year: 2021

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論文内容要旨

論文題名 アスペルガー障害における共感指数(EQ)とシステム化 指数(SQ)

掲載雑誌名 精神医学 第56巻 第 2号 133~141 頁 2014年掲載 内科系精神医学専攻 池田あゆみ

内容要旨

近年、アスペルガー障害(Asperger’s disorder;AS)は成人の精神医 学においても注目を集めている。しかし、診断に必要な幼少期の発達歴は 養育者の記憶に頼るしかなく、また気分障害、不安障害、統合失調症型パ ーソナリティ障害等との鑑別が容易でないため、成人ASに対する診断補 助的な指標の確立が求められてきた。

Baron-Cohen は、人間の認知傾向を二つの側面から説明する共感化-

システム化(Empathizing-Systemizing;E-S)モデルを提唱し、二つの 自記式質問紙 共感指数(Empathy Quotient;EQ)およびシステム化指 数(Systemizing Quotient;SQ)を開発した。一般に、女性ではEQが 相対的に高くSQが相対的に低い、男性ではEQが相対的に低くSQが相 対 的 に 高 い と い う 傾 向 を 示 す 。 自 閉 症 ス ペ ク ト ラ ム 障 害 (Autism Spectrum Disorder;ASD)ではSQがさらに高い傾向を示し、EQ とSQ の乖離がASDの判別に有用であるとされている。しかし、これまでこれ らとパーソナリティ尺度との関連性についての検討は行われていない。

本研究は、成人の AS および健常者を対象に ASD 関連の質問紙(自閉 症スペクトラム指数(Autism-Spectrum Quotient;AQ)、EQ、SQ)お よびASDに関連の深いパーソナリティ尺度(アイゼンクパーソナリティ 尺度(Eysenck Personality Questionnaire;EPQ)、統合失調症型パーソナ リティ尺度(Schizotypal Personality Quotient;SPQ)、対人的反応性指標

(Interpersonal Reactivity Index;IRI))を施行して、これらの関係を 明らかにし、AS の臨床的特徴と質問紙の有用性を検討した。

本研究の AS 群は男性 17 名、女性 7 名、健常群は男性 20 名、女性 6 名であり、両群間で性別に有意差はなかった。健常群と比較した結果、

AS 群では AQ、SQ、EPQ-N スコア、EPQ-P スコアおよび SPQ が有意 に高く、一方で EQ、EPQ-E スコア、IRI 総得点および IRI・想像性は有 意に低かった。男女比較では、SQ が AS 群の男性で高い傾向にあった。

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これらは、本研究の AS の診断妥当性を裏づけ、AS 群の低い共感能と高 いシステム化能が適切に評価されたことを示す。またAS群は内向的、神 経症的および精神病的な傾向があり、奇妙な信念や社会不安等の統合失調 症型パーソナリティ障害類似の特徴を有することも示された。各検査結果 間の関係については、AS群において、AQとEQとの負の相関(r=-0.459)、

AQ と SQ との正の相関(r=0.540)、EQ と IRI 総得点との正の相関

(r=0.406)、EQ とIRI・視点取得との正の相関(r=0.452)が認められた。

EQと SQとの乖離は明らかであったが、相関は認められなかった。これ らは、AS の自閉傾向が強いほど共感傾向は低くなりシステム化傾向は高 くなることを示す。またASD関連の質問紙が、共感性を評価するIRI以 外のパーソナリティ尺度の影響を受けないことも示された。

以上より、EQ および SQ は、AS の低い共感能と高いシステム化能を 反映する指標であるとともに、パーソナリティの影響を受けないため、成 人のAS を診断する上で有用な指標となり得ることが明らかとなった。

参照

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