論文内容要旨
論文題名
Research on 3D printer materials used for orthodontic treatment
(矯正装置に用いる 3D
プリンター材料についての研究)掲載雑誌名
Orthodontic Waves ( 投稿中 )
歯科矯正学
加藤 梨友 内容要旨
【緒言及び目的】近年,3Dプリンターが広く利用され, 矯正歯科において も応用が検討されている.具体的には,床矯正装置への応用, 特に
Hotz
床 などの哺乳床などが考えられる. しかし, 3D プリンターで用いる樹脂材 料にはビスフェノールA
などの有害物質が含まれ,特に乳幼児への使用は 極めて困難である.材料の生体安全性や力学的問題が解決されれば,3D プ リンターで装置が直接作製可能となる.そこで本研究は,現在市販される 様々な3D
プリンター用材料と化学的安全性の高い水溶性モノマーのみの 原料を用いた試作国産アクリル・エポキシ系ハイブリッドバイオコンポジ ットレジン(以下:EBR)に対して,細胞毒性試験,力学的試験等を行い,床矯
正装置に適する材料か比較検討することを目的とした.【対象・方法】現在市販されている
3D
プリンター材料5
種類と,EBRを用い ,
走査電子顕微鏡
(SEM) によるエネルギー分散型分光方法による表面性状の把握 ,細胞毒性
試験
(コロニー形成試験), 力学的試験 , 統計学的処理を行い ,対象試料であるオ
ーソクリスタル
(以下 : OR)との比較検討を行なった。
【結果・考察】理工学的試験より, EBRは吸水試験において有意水準
0.0083
とし て評価した結果,対照試料 OR と EBR の間に有意な差が示唆された( P値=0.00794).EBR は OR と比較して吸水試験,溶出試験,寸法変化率において
やや高い数値を示したが,口腔内に耐えうる強度を有していた.細胞毒性 試験より, EBR は 70.0 % 未満となる相対コロニー形成率の低下が認められた. IC
50 値は、13 % 未満であり,細胞毒性ありと判断された.
今回行った溶出試 験においてEBRの数値は規定の範囲内であるが,やや高い傾向を示した.溶出物質の中には未反応の重合開始剤等の,細胞毒性試験結果を左右する 物質の存在が疑える. 原料における重合開始剤や増感剤の種類の変更を 検討する必要がある.また,露光時間や波長の長さの変更により,未反応物
質への対策を行い,生体安全性にも配慮した新材料を開発する必要がある.
吸水に対する物性や生体安全性において改良を要するが,将来的に矯正歯 科治療において臨床応用可能な材料であることが示唆された.