西松建設技溺 VoE.22
大島大橋 3P。4P 橋脚 コンク リー トの耐久性の検討
潮 田 和司* 江越 啓二* *
KatsushiUshioda KeijiEgoshi 西 田 孝書 ** 土橋 書輝 * TakayoshiNishida YoshiteruDobashi
1.はじめに
本文 は,長崎県発注の主要地方道大 島太 田和線橋梁整 備 工事 (工期 :平成 7年 3月 〜平成10年 3月) の 内, 3P・4P橋脚 コ ンク リー ト (頂版 ,柱 ) の耐久性設計 お
よび温度 ひび割れ対策 (使用 セメン トの検討) について 述べ る,3P橋脚構造図を図‑ 1に示す.
2. 躯体 コンクリー トの耐久性設計
3Pお よび4P橋 脚 コンク リー トは,海洋 コンク リー ト となることか らコンクリー トの耐久性 (塩害,中性化 に よる鉄筋の腐食)が懸念 された.そ こで,本構造物の社 会的お よび経済的条件 を踏 まえ設計耐用期 間 を100年 に 設定 し,耐久性設計 を行 った.3P・4Pの環境 は,海中, 飛沫帯お よび海上大気 中 となるが,本検討では耐久性 に 関 して最 も厳 しい と予想 される飛沫葦 にある部位 を対象 とした. ここで
,
『示万苦 (施工編)』里こおける海洋 コン クリー トの基準お よび 『塩害指針』叫こおけるか
ぶりの基 準 を満足す る もの とした.(1)初期施工条件
当初設計時 における施工条件 を表‑ 1に示す. これ ら は,いずれ も 『示方審 (施工編)射)お よび 『塩害指針距
の基準 を満足 している. この初期施工条件 で
,
『耐久性設計考 え方距 に基づ き以下の耐久性設計 を行 った
.
(2)劣化深 さの算定
『
耐久性設計考 え方』 3)では,劣化深 さは中性化 による もの と,塩害 による もの とに分 けて算 出す る.そ して, この両者 において劣化深 さが深い方が耐久性設計上の対 象 となる.設計耐用期 間を100年 とした場合,
『耐久性設計考 え方
』
3'に基づ き劣化深 さを計算す る と,以下の結果 となった.中性化 による劣化深 さ'.C (おI=2.34cm
*技術研 究所土木技術課
**九州 (支)大島大橋 (追)
抄録
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図‑ 1 3P橋脚構造図 表‑ 1 施工条件 の比較
当初設計時 耐久性設計後 設計基準強度 (N/mm2) 21 21 セメント種類 高炉B種 低発熱型高炉
単位セメント盈 (kg/m3) 364 330 単位水盈 (kg/m3) 164 148 水セメント比 (%) 45.0 44.8 設計かぶり厚さ(cm) 7.0 ll.5
塩害 による劣化深 さ :cd。ご=15.7cm
よって,劣化深 さは,塩害の劣化深 さか ら決定 した.
(3)等価 かぶ り厚 さの算定
等価 かぶ り厚 さ(C)は,次式で与 えられる.
C= C0‑cc+CL,
ここに,Co:設計 かぶ り厚 さ(cm),C :施工誤差 による 修正値(cm),C∴ 表面仕上 げ材 による加算値(cm)である.
本構造物の場合,設計 かぶ り厚 さはco=7.0cm,施工誤差 による修正値 は,スペーサ使用量 を1m2あた り2個使用 す るためCC=0.5cmとした. また,耐久性設計時では,塗 装等の表面仕上 げを考 えていないため,かぶ りの加算億 は考慮 しない もの と しC.=Ocmと した. したが って,等 価かぶ り厚 さはC=6.5cmとなる.
(4)判定
上記計算結果か ら,等価 かぶ り厚 さはCゝ6.5cm,劣化 深 さはC<Ic2=15,7cmであ り,C<cdC3となることか ら,耐久 性設計時で想定 した材料,配合,設計 お よび施工の レベ ルで,所 要の耐久性 を確保す ることが困難であ るため, 材料,配合,設計お よび施工 を見直 した.
(5)対策
耐久性 を向上 させ るためには,設計かぶ り厚 さの変更, 表面仕上材の採用,水 セメン ト比の低減,温度 ひび割れ
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抄録
発 生の抑制,特殊 な型 枠 の採用等が挙 げ られ る.設計 かぶ り厚 さに 関 しては,耐 久性 を確 保す るため に,当初か ぶ り厚 さCl,=7.0cmを C,Fll.5cmと した.衣 面 仕 上材 に関 して は,
コンクリー ト塗装 の メ ンテナ ンス等 の問題が あ ったため,不採用 と
した.水 セ メ ン ト比 に 図‑ 2 検討 フロー 関 しては,W/C=45%をW/C=40%に変更 した場合 の効 果 を検討 した.検討結果 ,耐 久性 能 は向上す る ものの,堤 度 ひび割 れの問題が生 じるため
,
温度 ひび割 jt解析 お よ び試験練 りを実施 して決定す ることと した.温度 ひび割 れ発生 の抑制 に関 しては,低発熱塑 セ メ ン トの使用 , プレまたはポス トクー リングの実施が有効 であ る. ひび割 れ制御効果 と対 策費用 の経済性 を考慮 し,低発熱型 セ メ ン トの使用のみ実施す るこ ととした.特殊 な型枠 の採用 に関 しては,普通型枠 を用 いる場合 よ り表面強度が大 き く密実性 が増 し,中性化深 さお よび塩分浸透深 さを低減 す るこ とがで きる透水性型枠 を使用す るこ とと した. こ こで , 当初 設計 時 と耐 久性 検討 後 の施 工 条件 の比 較 を 秦 ‑ 1に示す.
3
.使用セメン トの検討本構造物 はマ ッシブな構造物 となるため,施工前か ら セ メン トの水和熱 に起 因す る温度 ひび割 れの発生が懸念
されていた.そ こで
,
温度 ひび割 れ解析 お よび試験練 り を行 い,最 もひび割 れ制御効果が高 いセ メン トを選定 し た.セ メン ト決定 までの フロー を図‑2
に示す.まず,予備温度応力解析 を行 った.予備温度応力解析 は, 日本 国内のセ メン トメー カ 4社 (o社 ,A社 ,M社 , N社)の高炉 スラグ系セ メン ト7種類 (従来型,低発熱 盟) について,各社技術資料 に基づ き温度応力解析 を行 った. この結果,A社お よびM社 のセ メ ン トが温度 ひび 割れ
抵
抗性 に優 れている ときjt, この2社 のセ メン トで 室内試験練 りを行 った.室 内試験練 りは,A社 の高炉 ス ラグ系セ メン ト2種類 (ABB,AMB),M社 の高炉 スラ グ系 セ メン ト3種類 (MBB,MLB,MMB)の計5種類 で行 った. ここで,BBは従来乳 MBはr二摘 要熱ベースの 低発熱乳 LBは高 ビー ライ トベ ースの低発熱型 を意味 す る.室内試験 は, フ レッシュコンクリー ト試験 ,硬化コンクリー ト試験 お よび断熱温度上昇試験 を行 った.読 験繰 り結果の例 として,柱 コンクリー ト配合 (表‑2)
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西ヰ公廷設技報 Vol.22
表‑ 2 試験 練 りコ ンク リ‑ ト配 合
区分 メーカー Gm(RIaXM) W(/%)C S(/%)a 単位 盈 (W kg/mC3)
柱
コンクリート M社 20 44.5 41.9 149 335 義‑ 3 試験練 り結果お よび解析結果
セメン ト 断熱温度上昇特性 圧縮強度 最高温度 Ⅰcr
種 類
O o ,
γ (N/mm2) (℃)瓦tBB
‑
‑ 44.4 ‑ ‑≠tLB 46.2 0.475 38.8 43.4 1.08
!心tB 51.2 0.542 39.5 47.4 0.83 ABB 48.3 0.744 50.6 48.7 0.68 AhtB 42.2 0,604 45.8 43.1 0.89 注1)圧縮試験 :材齢28日
注2)Icr:温度ひび割れ指数
にお け る断熱 温度 上昇 試験 結 果 お よび強度 試験 結 果 を 秦‑ 3に示す.次 に,室 内試験結果 を用 いて,上記4種 類 のセ メン ト(MBB以外)について再度温度応力解析 を行 った.解析結果 の‑一例 と して,柱 コンクリー トにお ける 結果 を表‑ 3に示す.
以上,室内試験練 りお よび温
度
応力解析結果か ら,耐 久性 に優 jt,
温度 ひび割 ゴ1抵抗性が高 いセ メン トとして, A社 のAMI∋ (低発熱型高炉 セ メン ト) を使 用す るこ ととなった. ここで,低発熱塑高炉 セ メン トは,高炉 セ メン トB棟 の 中で も水和 熱 をよ り低減 させ ,初期材齢 での水 和熱が小 さ く,長期材齢 での強度発現性が大 きい とい う 特徴 を有す る.
4
.おわりに大 島大橋3P・4P橋 脚 の コ ンク リー ト施 工 に先 立 ち, コ ンクリー ト構造物 の品質 を高め る 目的で,耐久性 の検 札 セ メ ン トの水和熱 に起 因す る温度 ひび割 れの検討 お よび試験練 りを行 い使用 セ メン トお よび配合 を詳細 に決 定 した.検討 されたセ メン トお よび配合 を適用す るこ と
に よ り, ひび割 れの発生 を極力防止 し, コンクリー トの 品質低下 を防 ぐことがで きた と思 われ る.
参考文献
I)土木学会 : [平成8年制定] コ ンクリー ト標準示万苦 施工編,1996年3月.
2)日本道路 協会 :道路橋 の塩 害対 策指 針 (塞 ) ・同解 説, 1984年2月.
3)日本 コ ンクリー ト工 学 協会 :鉄筋 コ ンクリー ト構造 物 の耐 久性設計 に関す る考 え方, 1991年5月.