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平成24年度の学会賞の授与について

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Academic year: 2021

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受賞理由

 今回,受賞した菅原助教らの論文は,津波 堆積物という沿岸低地の地層に残されている 砂層の分布を調査し,数値シミュレーション で869年に発生した貞観地震津波の規模の復元 に迫り,およそ1000年前に大規模な津波が東 北地方に発生していたことを示すものです。

本論文が掲載された直後に東日本大震災が発 生したこともあり,東北地方の過去の地震津 波を研究する上で,広く引用されています。

受賞コメント

 この度,平成24年度日本自然災害学会学術 賞を授与頂きました事を,大変光栄に感じて おります。本論文をご評価して頂いた学会員 の皆さま,審査委員の皆さまに,著者一同を 代表して深く御礼申し上げます。本論文の研 究成果は,東北大学グローバルCOEプログラ ム「変動地球惑星学の統合教育研究拠点」の支

援の下,仙台平野での津波堆積物調査を通じ て得られた知見を,東北大学の津波工学研究 分野が有する高度な数値解析技術と融合した ものです。

 津波堆積物は,その海岸に過去の津波が到 達したことを示す証拠となりますが,それを 用いて津波・地震の規模を具体的・定量的に評 価ための手法は未だに確立されておりません。

堆積物からの情報を有効に活用した津波数値 解析により,より確かな地震・津波の像を復元 できるのではないかと考えたのが研究のきっ かけです。箕浦・今村両先生のご協力のもと,

仙台平野における貞観津波の堆積物の面的な 分布を綿密に調査し,約300点の掘削データか ら,堆積物の分布範囲と旧地形復元のための 堆 積 物 深 度 デ ー タ を 得 ま し た。一 方,調 査 データから数値解析のためにどのような情報 を引き出せるか,今村先生・後藤先生と議論を 重ねました。その結果,津波により堆積した

173 自然災害科学 J. JSNDS 31 -3 173-174(2012

平成2 4年度の学会賞の授与について

 第31回日本自然災害学会学術講演会が,平成24年9月18~19日に,青森に於いて開催された。9 月18日(火)に開かれた総会の中で,学会賞の授賞式が行われた。日本自然災害学会の学会賞とし て,功績賞,学術賞,国際賞が設けられている。

 学術賞は,菅原大助 氏(東北大学災害科学国際研究所),今村文彦 氏(東北大学災害科学国際研 究所),松本秀明 氏(東北学院大学教養学部地域構想学科),後藤和久 氏(東北大学災害科学国際 研究所),箕浦幸治 氏(東北大学大学院理学研究科地学専攻)に授与された。功績賞・国際賞に該 当はなかった。

学術賞

受賞者:東北大学災害科学国際研究所 菅原大助 氏     東北大学災害科学国際研究所 今村文彦 氏     東北学院大学教養学部地域構想学科 松本秀明 氏     東北大学災害科学国際研究所 後藤和久 氏     東北大学大学院理学研究科地学専攻 箕浦幸治 氏 学術名:地質学的データを用いた西暦869年貞観地震津波の復元に

ついて

掲載誌:「自然災害科学」,Vol.29,No.4,2011,pp.501-516.

(2)

砂層だけでなく,砂層下に存在する津波以前 の地層の堆積構造から,その地点に生じた流 れの水理条件(掃流力)を推定でき,これを数 値解析の境界条件として用いることができる 可能性に気が付きました。一方,貞観津波は 1,100年以上も前の出来事であり,当時と現在 では海岸線の位置や植生など,環境が大きく 異なり,解析に影響を与えると考えられまし た。松本先生のご協力の下,当時の海岸線位 置,標高,土地条件を考慮した古地形を復元 し,数値解析に用いました。最終的には,津 波発生時の潮位,波源域の位置(断層面の深 さ)と滑り量を様々に想定した数値解析を行 い,調査データを総合的に説明できるものと して,Mw=8.3の貞観地震の断層モデルを推 定しました。

 論文の公表は2011年3月の東北地方太平洋 沖地震の前後にかけての時期となり,本研究 の成果が地域の防災計画等に役立つに至らな かったことが心残りであります。一方,類似 の歴史地震・津波として貞観地震・津波が広く 知られるようになり,その最新の学術論文と して引用される機会が増えております。堆積 物を用いた過去の津波規模の定量的な評価は,

多くの研究者が関心を寄せる重要なテーマで あり,今回の受賞を励みとして,より一層,

研究に取り組む所存です。

 最後となりますが,今回の学術賞受賞は,

本研究の実施に際してご協力・ご助言を頂いた 諸先生方,並びに現地調査に際してご協力を 頂いた研究室の皆様,調査地域の関係者皆様 のおかげであります。この場を借りて,心よ り感謝申し上げます。今後とも,皆様からの ご指導・ご鞭撻を賜りますよう,何卒よろしく お願いいたします。

東北大学災害科学国際研究所 菅原大助 174

参照

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