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1.日本の主力製造業の競争力変化 2.世界の製造業の変遷

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(1)

ITの進展からDX時代に向けて 日本の産業の課題についての考察

2019年5月23日

江越博昭(BCC(株))

(2)

目 次

1.日本の主力製造業の競争力変化 2.世界の製造業の変遷

3.ものづくりの仕組みの変化 4.産業技術の潮流の変化

5.企業におけるIT活用の現状(日米比較)

6.DX時代の競争力

(3)

日本の主力製造業の国際競争力(=貿易収支)は2010年 前後が変化の分かれ目。

電気機械は、携帯電話、テレビ等は輸出が激減~輸入超 過。一方、電子部品、計測機器は競争力を維持。

輸送用機械は強い競争力を維持。但し、海外生産の拡大 によって輸出は漸増傾向。

一般機械は、工作機械、建設機械、原動機など強い競争 力を維持。

1.日本の主力製造業の競争力変化

(4)

1.日本の主力製造業の競争力変化

1)主力3分野の貿易収支(稼ぐ力)の減少

輸送用機械

一般機械

電気機械

(5)

1.日本の主力製造業の競争力変化

2)電気機器の貿易収支(稼ぐ力)の推移

(6)

1.日本の主力製造業の競争力変化

3)輸送用機器の貿易収支(稼ぐ力)の推移

海外生産の拡大

自動車等

自動車部品

(7)

1.日本の主力製造業の競争力変化

4)一般機械の貿易収支(稼ぐ力)の推移

パソコン等 半導体製造装置

工作機械

(8)

輸送用機械及び一般機械は、リーマンショック後も強い競争力を維持し、安定 している。一方、電気機械は低位で推移している。半導体等の電子部品は強 い競争力を持っているが、通信機(スマホ)を中心に大きなマイナス。

1.日本の主力製造業の競争力変化

5)2010年以降の3分野の貿易収支の推移

貿易収支 単位:兆円

(9)

1.欧米先導期

日本企業は欧米企業からの技術導入等によって技術力 を高め、ついには輸出攻勢や現地生産によって圧迫。

欧米企業は事業再構築、選択と集中を迫られた。

2.日本黄金期

コスト削減と高品質化を達成。親企業・下請け体制、自前 主義・現場主義が特徴。行き過ぎてガラパゴス化へ。

3.アジアの時代

アジアの工業化が進展し、世界の工場へ。日本企業もア ジア進出を強化したが、事業再構築は遅れた。

2.世界の製造業の変遷

(10)

2.世界の製造業の変遷

1)ものづくり大国ニッポン:70~80年代

日本企業 高品質 技術の高度化 低コスト生産技術

輸出攻勢 現地生産

欧米企業

事業モデルの先駆者 技術開発の先駆者

アジア 安い人件費 大規模集中投資

「世界の工場」へ

欧米国内 戦略分野に特化 技術開発・知財強化

競争力強化 アジア

工業化の進展

産業再構築

産業育成

70~’80年代

(11)

2.世界の製造業の変遷

2)アジア新興国の台頭:90年代~

日本企業

親企業・下請け体制 自前・現場主義

コスト削減 高品質化

日本企業 日本で製造し、

世界に輸出 世界シェア

喪失

日本企業 事業再編 技術開発 海外展開

世界標準化 モジュール化

アジア企業

「世界の工場」

技術移転 自前技術の開発

欧米企業

戦略分野への集中投資・世界展開の加速

アジア企業

「第2の日本」

を目指す

世界企業へ 技術力

開発力

ガラパゴス化

ものづくり

再編

90年代~

10

(12)

液晶もDVDも特許の9割近くを日本企業が持つが、世界 シャアを急速に失った。「技術力では勝ったのに、事業では 負ける」ケースが続いている。

IT技術の進歩によって製造分野にデジタル化・IT化が進 展し、また、世界的に標準化が進んだ。これに対し、下請 け体制、自前主義、現場主義で大きな成功体験がある大 手日本企業は、この大きな潮流に乗ることができずに取り 残された。

3.ものづくりの仕組みの変化

11

(13)

1.

3.ものづくりの仕組みの変化

1)技術力が競争力に直結しない

12

(14)

3.ものづくりの仕組みの変化 2)メーカー像が激変した

製造の仕組みが激変し、技術力が不十分でも一定品質の 製造が可能になった。

デジタル化・IT化 ⇒①高機能加工機械があれば製品化 ②高度な技能・訓練は不要

標準化 ⇒世界中から部品・部材調達が可能 モジュール化 ⇒他社の最新技術を部品の形で買える 生産の外注化 ⇒「現場の創意工夫」が不要になる

高度な技術とノウハウ 広範な部品等の協力会社 熟練の職人

高度な生産設備・生産技術

最先端の工作機械購入 最先端の部品購入

生産工程の自動化 設計・生産等の外注化

かつてのメーカー像 新しいメーカー像

13

(15)

3.ものづくりの仕組みの変化

3)日本と中国の設計思想の違い

[日本]

○自社特有の要素技術にこだわり、基幹部品から自社開発・設計し、

最適設計の製品を市場に投入。

○主要部品は各社固有であり、製品差別化の基本であって、共有さ れない(外販されない)。

○製造現場は、品質向上とコスト削減の源泉との考え(現場力を重 視したものづくり)。現場の力が強い。

[中国]

○主要部品は内部に納められた技術を含め外部調達し、部品選定・

業者選定・組み合わせ技術を重視する。

○市場が急成長しているため、連続的な新製品の大量投入が優先 され、要素技術から開発する余裕がない。

14

(16)

半導体の性能向上とソフトウェアの進歩、これに生産方 式自体のデジタル化によってものづくりの仕組みは激変し た。

更に、ハードたる工業製品自体にソフトウェアが導入され

(ハードとソフトの融合)、次に情報通信技術と結びつくこと で機能が急速に拡大し、従来の枠を超えた製品に変貌し ている。典型例は、スマホ、自動車。

スマホを「電話の進化系」と見るか「パソコンの進化系」と 見るかでメーカーの競争力に差がついた。今、生き残って いるのはパソコン系メーカー。

4.産業技術の潮流の変化

15

(17)

4.産業技術の潮流の変化

1)デジタル化、モジュール化

1.技術的背景

1)半導体の性能向上とソフトウェアの進歩

①MCUの性能向上、②組み込みソフトによる部品間のイン ターフェースの標準化 ⇒ 高機能製品の完成

2)生産方式のデジタル化

①CAD/CAMによる三次元設計、②高機能工作機械 ⇒新興国の急速な工業化、生産の外注化

2.製造業に生じた変化

①要素技術の優位が競争上の優位とならない

②ソフトウェア、デザイン等が製品差別化の因子となる ③部品のモジュール化⇒製品本体のモジュール化へ発展

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(18)

[参考]生産自体のモジュール化の事例

1)フォルクス・ワーゲン「共通プラットフォームMQB」

車種間でプラットフォームを共通化(ホイールベース、ホイールサイズ 等は車種に合わせて柔軟に変更)

⇒開発コスト20%減、開発組立時間30%減、品質確保 2)ASML(半導体露光装置)

①モジュール化・標準化したモデルの開発 ⇒アジアの半導体産業の急拡大に対応

②レンズ系、光源等の各モジュールは専門の外部メーカーに委託 ⇒日系光学メーカーに対抗

⇒世界シェア拡大(30%(’00)⇒60%(’07))

17

(19)

4.産業技術の潮流の変化

2)ハードウェアとソフトウェア、ITの融合

1.ハードとソフトの融合による付加価値の向上(例:自動車)

2.ハードとソフトの融合による付加価値の拡大

ソフトウェアの高度化+情報通信ネットワークの発達 ⇒①遠隔監視・保守サービス

例)建設機械、産業機械、航空機 など ②新サービスの提供

例)iPhone(ハード)+iTune(ソフト)+iTunesMusicStore

[前世代車]

機械制御

走る、曲がる、止まる

[現世代車]

機械制御+電子制 御・組み込みソフト エンジン制御・燃費向 上

[次世代車]

走行性能の進化 衝突回避

自動運転

ソフトウェアの高度化

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(20)

1.海外展開

国内に代わって海外で生産⇒世界最適生産 2.競争力の再構築

事業の再構築、選択と集中 世界レベルの分業・協業 3.IT技術の活用

データの蓄積・解析が開発・生産にフィードバック ソフトウェア、製品開発とマーケティングの連携 4.知財戦略

オープン戦略(標準化、デジタル化分野)とクローズド戦略(ブラック ボックス領域)のバランス戦略(例:複合機、デジカメ)

4.産業技術の潮流の変化 3)今後の方向

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(21)

日本が目下取り組んでいる組織、プロセス改革は、米国は3年以上 前に完了している。日米の差は、マーケティング、プロダクトの分野で のITを活用した改革度合いにあり、日本が立ち遅れている分野。

5.企業におけるIT利用の現状(日米比較)

1)ITの活用分野

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(22)

IT活用による営業利益拡大のプロセスは、

日)IT⇒組織⇒プロセス、マーケティング、プロダクト 米)IT⇒組織⇒マーケティング。 IT⇒プロダクト

日本はITでまず社内(本社)を改革し、社内が全プロセスを立案関与。

米の利益拡大の源泉はプロダクト改革(新事業、新商品など)

米はビジネスモデルのコアにIT 技術を活用することを重視し、IT 人材は競争力の源泉と考え社内 に抱える。

日:ITは効率化のツール。

米:ITは競争力の源泉。

5.企業におけるIT利用の現状(日米比較)

2)IT活用による利益拡大、IT人材

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(23)

DXの進展によって、特定の分野、組織内に閉じて部分的に最適化さ れていたシステム、制度等が社会全体にとって最適なものへと変貌。

6.DX時代の競争力 1)DX時代のイメージ

22

(24)

フィジカル空間からサイバー空間に、あらゆる情報が集積され、解析さ れ、高付加価値データをフィジカル空間にフィードバックする。

6.DX時代の競争力

2)Society5.0のイメージ

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(25)

①実社会のあらゆる事業・情報が、データ化・ネットワーク を通じて自由にやりとり可能に(IoT)

②集まった大量のデータを分析し、新たな価値を生む形で 利用可能に(ビッグデータ)

③機械が自ら学習し、人間を超える高度な判断が可能に

(人工知能(AI))

④多様かつ複雑な作業についても自動化が可能に (ロボッ ト)

6.DX時代の競争力

3)今、技術分野で起きていること

24

(26)

大きな2つの取り組みの流れ:ネットとリアルの両世界の制覇 ネット企業 ⇒ リアル世界へ リアル企業 ⇒ ネット世界へ

6.DX時代の競争力

4)海外有力企業の取り組み方向

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(27)

6.DX時代の競争力

5)新たな商品、サービスのイメージ

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(28)

新たなフロンティアを誰が開拓し獲得するのか、その際のルールをどう 決めるかが国家と企業の行動のポイントとなる。

6.DX時代の競争力

6)社会課題の解決と個人の暮らしのイメージ

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(29)

○ものづくり白書 2011~14年版

(経済産業省・厚生労働省・文部科学省)

○情報通信白書 平成29・30年版(総務省)

○Society5.0資料(内閣府)

○新産業構造ビジョン(経済産業省 産業構造審議会)

○産業構造審議会産業競争力部会資料(東京大学 小川紘一教授)

参考資料

ご清聴ありがとう

ございました

参照

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