印刷産業ビジョン研究部会
報告書
(平成 18 年4月∼平成 20 年 3 月)
平成 20 年 3 月 31 日
全日本印刷工業組合連合会
東京都印刷工業組合
経営革新委員会
印刷産業ビジョン研究部会
部会長 橋本 唱市
「 目 次 」
<平成 18 年度> 第 1 回 1.Printing Frontier 2006 1 2.英国視察レポート 8 第 2 回 3.マイクロソフトが描く近未来のドキュメントやメディアの姿 13 第 3 回 4.全印工連業態変革推進プラン−第 3 ステージ「新創業」について 21 第 4 回 5.ドイツ視察レポート 24 第 5 回 6.新聞メディアの構造変化と取り組み状況 27 <平成 19 年度> 第 1 回 7.バイオ燃料と非木材パルプ 37 8.アメリカ視察報告−アグレッシブな米国の印刷会社− 44 第 2 回 9.学習・教育と脳科学 46 第 3 回 10.楽しく明るい印刷工場 51 第 4 回 11.本当に 3 年後 POD 市場は印刷市場の中でどうなっているのか? 531.Printing Frontier 2006
(18 年度第 1 回部会より) 東京都印刷工業組合副理事長 水上印刷㈱代表取締役 水上光啓氏 1.OUTLOOK 2006 社会全体が国際化されていく中で、欧米は中国・東南アジアからの印刷物の輸入増加に対して 脅威を感じているようであるが、今のところ日本の輸入額は微増に留まっている。 日本の紙・板紙の生産量は年3,000 万 t でアメリカ、中国に次いで世界 3 位、消費量は全体で みると同様に3 位であるが、1 人当りの消費量は 1 位ベルギー、2 位ルクセンブルグで、日本は 8 位である。古紙の回収率は1 位の韓国が 78%、2 位のドイツが 73%、日本は 3 位で 66%、環境 問題への関心も高い。出版の総販売部数は36 億 1269 万冊、総広告費 5 兆 9,625 億円である。 1 日に取り扱われる郵便は 1 日 7,000 万通であるが、インターネット利用者は 7,000 万人でメ ールを1人10通とする、郵便の10倍となる7億通のデジタル情報が飛び交っていることになり、 この情報をどのように捕まえていくかが大きな課題である。 隣接印刷業の売上はゲームソフト業界が4,000 億、映画・映像・レコードが 4,000 億円である が、ジェットコースターのように上下する。印刷業界は少し右肩下がりではあるが安定した業界 と言えると思う。出荷額では新聞業界は2 兆 4,000 万円、出版業界は 2 兆円となっている。 (1)コンテンツとしての印刷産業 現在、印刷はコンテンツ産業と言われている。2001 年の春までは通産省の生活産業局紙業印刷 業課の管轄で、製造業・サービス業としての位置づけであったが、省庁再編で経済産業省商務情 報政策局文化情報関連産業課、通称メディアコンテンツ課に変わった。従来の製造業に新たにメ ディアコンテンツ情報業が加わり、産業として軸足が増えことは良いことである。 (2)メディアコンテンツ産業内に置ける印刷のポジション 印刷の出荷額は6.2 兆円、出版・TV・映画・ゲームは合わせて 11 兆円、広告業が 5.9 兆円で あり、印刷は大きなポジションを占めている。メディアコンテンツ課の管轄の他産業と比べると 圧倒的に中小企業が多く、3 月にイギリス、5 月にアメリカに行った際に様々な印刷会社を訪問 したが、やはり同様に中小企業が多数を占めていた。 印刷業は既製品を作ることはなく、注文を頂いてオーダーメイドで製造するPOD(Print On Demand)であり、お客様の需要に応じた極め細かいサービスが求められることから、中小印刷 会社に適正規模があり将来も充分に存続することができる。また、印刷業は極めて都市に集中し た産業であり、紙の出荷量をみると東京圏、関西圏、中京圏で日本の88%の紙が消費されている。 市場も東京に集中していることから、東京に支社を構えている印刷会社が1,200 社あり、今後も地方からの進出が進むと考えられる。 (3)国が目指す「業務のオン・デマンド化」 政府もオン・デマンド化を目指しており、e−Japan 戦略では 2005 年までに世界最先端デジタ ルネットワークインフラ確立計画をほぼ達成し、7 分野での IT 利活用、官公庁の電子受発注化 (EDI)、公共サービスのノンストップ・ワンストップサービス(365 日 24 時間無休)が実現さ れている。我々はオン・デマンドを標榜した業界であるが、政府もオン・デマンド化してきており、 印刷業が生き残っていく上でオン・デマンドは大きなキーワードである。 (4)コンテンツ産業 世界で放映されるTV アニメの 6 割は日本製である。コンテンツ産業は世界全体で 100 兆円で あるが、アメリカが全世界の半分のシェアを占め、日本のシェアは1割に留まっている。コンテ ンツ産業はワンソースマルチユースであり、最も大化けしているのは「ポケモン」で、世界 65 カ 国・28 カ国語で放映されている。「ポケモン」を模倣することはできないが、デジタルコンテンツ 業界として、ワンソースマルチユースに夢を託していきたい。政府のIT 戦略により、特にデジ タルコンテンツ市場が拡大し、印刷産業にとっては最大のチャンスであると考えられる。 (5)印刷産業は・・・・ 印刷産業は斜陽産業なのかと問われると、最近は YES と答えるようにしているが、その一方 で魅力あるベンチャーになりうると思われる。 550 年前の第 1 次情報革命はグーテンベルグの活版印刷技術の発明である。当時、聖書は手書 きしかなく、ごく限られた人しか読むことが出来なかった。活版印刷技術の発明により大量に複 製され、何時でも誰でも読むことができるようになり、第1 次情報革命によるユビキタス社会が 存在したと思われる。 2000 年にアメリカのタイム社が 1001 年から 2000 年に、ヨーロッパ社会に一番大きな影響を 与えたものは何かとのアンケートを行なったところ、グーテンベルグの活版印刷技術の発明との 回答であった。 第2 次情報革命はパソコンのコモディティ化であるが、パソコンが TV のようにスイッチを入 れるだけで自由自在に使えるようにはまだなっていないので、完全なコモディティとは言えない。 グーテンベルグは自分が活版印刷技術を発明したことにより、万人が聖書の読者になったと言っ たが、現代に置き換えてみると、DTP の普及により万人が印刷屋になり、更にネットワークへの 接続により出版社になることができる。 (6)印刷産業生き残りの条件 社会全体がオン・デマンド化し、個性化しているが、一方では大量生産するものと二極化して
いる。顧客の最終コンテンツを持っていることが、印刷業界の最大の強みであり、各社が自社の 軸を活かすことが重要である。 (7)印刷産業の領域は? 営業マンが受注したDM の印刷物を納品した時にビジネスが完結したと思われているが、お客 様のビジネスはそこから始まり、宛名書き、データベース化、発送作業などの付帯業務が発生す る。松下電器が石油ストーブの不完全燃焼による事故について、TV 広告で周知したがストーブ の回収が進まなかったことから、同社は全家庭(4,900 万世帯)に宛名のない DM を配布した。 納品した印刷物がどのように利用されるかによって、トータルサービスは大きく変化してくる。 宛名のない郵便物・年賀状など社会は大きく変化しているので、印刷だけを行なうのではなく社 会の変化を先取りして、お客様の要求に答えられるトータルサービスを念頭において頂きたい。 (8)Needs でなく″Wants″をつかむ 社会の大きな構造変化の中では、従来のような受注産業だけで生き残ることは難しく、自社を 売り込む必要がある。イギリスに行った際に印刷会社を8 社訪問したが、規模の大小に関わらず、 自社に合ったセールスプロモーションを徹底して行なっていた。単にNeeds だけではなく、顧客 のぼんやりとした要求やまだ気づいていない利便性に“Wants”をつかみ満足度をあげていきたい。 (9)印刷と出版のこれまでのビジネスモデルとこれから 東京電機大学の植村先生によると、今までの出版業と印刷業は二人三脚であったが電子出版の 登場により変化してきている。電子出版の良い点は利便性であるが、ディスプレイは必ずしも読 みやすくなく、紙の上でできたコンテンツは紙で良いと思われる。再生装置が不要な紙の書籍と、 再生装置が必要な電子書籍を使い分ける必要がある。
(10)デジタル化に向く本の種類 本には3 つの機能があるが、読むことは紙で充分である。電子辞書は 30 の機能が入って 25,000 円でとても便利であるが、百科事典、英和辞典、国語辞典などのそれぞれのコンテンツを出版社 が売っている。ある百科事典の出版社によるとコンテンツ単体では25 円であり商売が成り立た ない。今、英和辞典では大修館のジーニアスが圧倒的なシェアを占めているが、大修館が電子辞 書に安売りしたことから電子辞書の標準になり、相乗効果で紙の辞書も売れている。読む、学ぶ、 調べるという機能に応じて選択すべきである。 (11)デジタルコンテンツではビジネスにならない 2 チャンネルの電車男はネットで有名になったが、有名になっただけでは儲からず、本を作っ てペーパーモデルにすることでビジネスが成り立つ。 新聞のコンテンツはニュースであるが、お金を払って見ている人はいない。新聞社の収益構造 は新聞単体ではなく、宅配を含めたトータルパッケージで収益を上げている。 (12)ペーパーメディはなくなるか・・ アメリカの科学者のアラン・ケイによると、ペーパーメディがなくなるかとの質問に対して、 文字は残ると言っている。ただ、文字が残ると言っているのであり、紙が残るとはいっていない。 以上のような大変革に対して、印刷業界としてどのような対応を行っているか、以下ご説明さ せて頂きたい。
2.業態変革推進プラン 2008 (1)技術の専門性が薄れた 大きな流れが2 つある。一つ目は DTP が導入されデジタル印刷機が入ってきたが、初期の段 階ではフロントがフルデジタル化にならず、ほとんど成功した事例はなかった。また、社会全体 もオン・デマンドを必要としなかった。 ところがその後のCTP 化が大きな変化を業界にもたらした。日本国内では CTP の保有率は約 2,500 社・3,500 台で、版の平米からみると約 50%を超えたといわれている。フロントを CTP に するには、フルデジタル化しなければ印刷は出来ないことから、フロントをフルデジタルにした ことにより、次の出力デバイスはフルデジタルになり、ここで印刷革命が起こる下地ができた。 (2)時代と政策の移り変わり 中小企業近代化促進法(護送船団方式)に替わり、活力ある中小企業を支援する経営革新支援 法が施行されことから、業界を挙げて新しいビジネススタイルに対応していくことが必要となっ た。2005 計画では仲間と共に創る「共創ネットワーク」が策定され、ロードマップは組合が提供す るが、ルートは自己責任において各社で描くことが経営革新であると考えられる。 (3)3 つの大きな変化 ①主役が変わった:発注者(産業)から消費者へ ②競争相手が変わった:域内業者同質競争から海外業者へ紙から電子メディアへ ③速度が変わった:3 日後で良いから明日でなければダメ (4)価格競争は愚かな行為 お客さんが求めている価格は無料であるので、少々の値下げもお客さんには不満である。満足 頂ける物を作るべきである。 (5)変化と変革へ このような大変革の時代に対応するには、変化から変革へ自らの力で変えていくことが重要で ある。業態変革をキーワードにお客様の為に、自らを変え真っ当な印刷会社になるよう2 年前に 情報発信を行なった。そして昨年その業態変革2 期目に、原点回帰として印刷を見直し足元の印 刷を強化して、収益性・生産性の向上を目指した。経営者が思いを大きく持ち続けることが最も 重要であり、そのために原点を確認する必要がある。 (6)業態変革 7keys ①経営戦略、②営業戦略、③生産戦略、④IT 基盤整備、⑤環境対応・安全・安心、⑥ソフト化・
サービス化の戦略、⑦コラボレーション(ビジネス交流)の計 65 項目により、自社の現在のポ ジションを確認する。各社の事情に応じて強みを伸ばすのか、弱みを補うのかは各社で判断願い たい。 昨年の全国大会(新潟)でのアンケート結果では、弱みとしてはコラボレーションやソフト化・ サービス化の戦略であり、これが印刷業界の平均的な姿であると思う。思いを実現するには、社 員と本気でコミュニケーヨンを図ることである。 (7)ニューフロンティアを突き進む米国印刷産業 アメリカの2003 年の対前年出荷額は 0.8%増であったが、2004 年は 2.8%増を示し、特にトナ ーベースのデジタル印刷が4.8%増、付帯サービスが 3.6%増と急増している。2005 年上半期は 3.7%増で GDP を抜いているように活況を呈しており、日本も是非このようになって欲しい。 アメリカの回復要因は以下のように4 点ある。 ①印刷市場を押し上げた非常に好調な景気(4%以上の成長率) ②大統領選とそれに伴うダイレクトメール印刷の増加 ③広告市場の全般的な好調 ④印刷と密接に関係ある郵便料金の安定 3.日本の印刷産業将来市場規模予測 2010 年、2015 年の市場予測は数字の正確さより、未来へ向かってのメッセージとして見て頂 きたい。メッセージとしては自社の強みと生存領域の策定、斬新なマネジメントの導入、新しい
視野を持った人材の育成、ビジネス・アライアンスの推進等がある。印刷はありとあらゆるサイ ズに表現できる素晴らしい武器を持っているという前提のもとに、未来へ向けメッセージを発信 した。 (1)2005 年市場規模推計 アメリカ市場とは異なり日本市場は大変に厳しく、GDP と印刷産業出荷高の格差が 1997 年を 峠に拡大した。印刷産業の市場規模は2000 年から 2005 年までの 5 年間では、残念ながら 1.8% (年平均伸び率0.4%)しか伸びていない。フリーペーパーは世帯あたり 4.7 部まで普及し広告 メディアとして商業印刷に組み込む。 2000 年と 2005 年を比較すると、出版印刷は減少、商業印刷は微増、証券印刷は微増、事務用 印刷は減少、包装印刷は減少、特殊印刷は精密電子部品が情報家電の復調に伴い伸長した。2005 年の8 兆 8500 億円をベースに 2010 年、2015 年を予測した。 (2)2010 年、2015 年の予測の視点 郵政事業の民営化による新たな競争市場の誕生やパーソナルマーケティングなど、大きな変化 のもとに2010 年市場規模の予測は 9 兆 4800 億円で、年平均 1.4%の伸び(2005 年対比 7.1%増) と予測した。お客様はさらに印刷に関連した付帯サービスを含めたワンストップサービスを求め ていくことが見えている。 2015 年は 10 兆 1600 億円、年平均 1.4%の伸び、(2010 年対比 7.1%増)と予測した。このこ ろになると、入口(大きなデータ処理)から最後のフルフィルメントまでビジネスとなり、我々 中小印刷業者が活躍する場や存続する場はおおいに存在する。
2.英国視察レポート
−印刷「付加価値」サービスで収益を生む循環を創れ イギリスに見る印刷会社の業態変革− (18 年度第 1 回部会より) 社団法人日本印刷技術協会 研究調査部参事 相馬謙一氏 今年の2 月 27 日∼3 月 2 日に、イギリスの7都市 8 社の印刷会社を訪問した。ツアーのミッ ションとしては、デジタルプリプレスの稼働状況の確認等で、中規模以下の商業印刷会社を中心 に視察した。訪問先はインディゴ(イギリスで 32 台保有されている)を所有している主にロン ドンやマンチェスターにある印刷会社で、オフセット印刷機との併用やデジタルプレスを利用し たビジネスの成功事例など、日本国内で実現する為のビジネスモデルになりそうな事例を見て回 った。キーワードとしては、(1)デジタルプレスの稼働状況、(2)単純な印刷ではなく「印刷物」づく り、(3)自社のプロモーション、(4)徹底したデジタル化、(5)プリント・マネジメント・カンパニ ーの存在、(6)その他(特急料金やホワイトカラーの組織構造)である。 1.デジタルプレスの稼働状況 オフセットとデジタルプレスの分岐点は各社ごとには存在しているが、各社の事情は様々で平 均値は解らない。分岐点はバリアブルや短納期を除けば、500∼1000 部以下でデジタルとオフ セットが共存している。2.経営者に聞いた、デジタルプレスQ&A ⇒デジタル印刷機を入れたきっかけは? ・顧客要求があった。 ・枚葉オフ利益率低下に危機感を覚えたから。 ・内製化の為。 ⇒デジタル印刷(枚葉)の良い点は? ・オフセット併用で使用できるクオリティ。 ・色管理が安定している。 ⇒デジタル印刷(巻き取り)のグッドポイントは? ・B3 フォーマットと厚紙が非常に気に入っている。 ⇒デジタル印刷の利益率は? ・儲かっている。30∼40%利益率が望める。 ⇒バリアブル印刷機能を使っているか? ・バースデーカードなど全社の20%。 ・DM 自動受注の Web システムを構築している ・OnetoOne には慎重だ。そんなに大きくなるパイだと思わない。 3.NeedではなくWantsをつかむ 高付加価値を生む コンプリート・パッケージ (受注からキッティング・配送までを行な う抱えで受注)が利益を生み特に後工程が儲かる。顧客のぼんやりとした要求、まだ気づいて いない利便性、そこにWants がある。 4.「顧客店舗のガラス枚数」をキミはしっているか? 社員 600 名の印刷会社Bezier 社のメイン顧客は、英国最大のドラッグストア Boots である。 同社はBoots 社の全英 1500 店舗の窓ガラスの枚数を DB 登録することにより、店舗ごとの必要 数を把握することができ、常に必要となるポスター、ディスプレイ、POP をパッキングしてお客 さんに送り満足度をあげている。 5.印刷会社の自社のプロモーション 30 人でデジタル印刷だけを行なっている1stByte 社は、セールスプロモーションをしつこく行 ない、実践的DM を送付後にすぐに追いかけの電話を掛ける。受注は 1 件当たり 5∼6 万円の仕
事であるので、営業マンは置かずに内勤営業のみで対応している。しかし印刷の後加工は充実し、 きめ細かな印刷物を提供している。同社の成功するための 3 つの必須条件は、①自社プロモ−シ ョン、②一貫した加工設備、③短納期対応の立地とのことである。 6.忘れられない存在感を 1 週間連続DM Blackburns 社では新規開拓の際に 1 週間連続して DM を送付し、その中に毎日異なったキー ワードを折り込んだグッズを同封する。その後、タイミングを計って訪問し、会ってくれた顧客 は 21%であった。 7.徹底したデジタル・IT化 (1)受注→刷る→24h出荷「デジタル在庫」の考え方 実際の印刷物としての在庫はなくても、デジタル在庫により48 時間内に納品が可能である。 また煩わしい管理業務、在庫コストから開放され、在庫スペース・コスト、デッドストック/ 欠品、管理業務・配送業務、タイムラグ、全体像の不明、品質の劣化も解消される。 (2)トータルの人手・コストで有利「デジタル加工」の考え方 5000 部までのデジタル印刷(ColourQuest 社の考え方) デジタル印刷では折りや丁合、さらに CTP まで吸収される。ページバリアブル出力ならコス トメリットがある。 (3)デジタル印刷(巻き取り)の活用(1stByte 社の考え方) テンプレートをDM 配布し、いわば設計の完全デジタルフローである。小ロットのパッケー ジやフォルダーをオンラインPDF 受注&即納し、表面光沢も機上で行なう。 8.営業レスの受注 再版以降は Web 受注で、営業とは別のカスタマーサービスでダイレクトに受け合理化してい る。
9.プリント・マネジメント・カンパニー(P.M.C)の存在 年間 2 億円以上の発注額を持つ企業をターゲットに、印刷物の発注コストの 3 割削減を提案す る。PMCは下請けに割り振りながらコストダウンを図り、3 割削減できたら成功報酬 1 割を受 け取る。利益は薄いが、デジタル化した煩わしい注文を受けることがなく、セールス活動も不要 なことから、小規模な印刷会社は歓迎している。しかし仕事の内 70%をPMCから受注する会社 もあるが、1%に留まっている会社もあり、その評価は 2 つに分かれている。 10.特急料金・バリアブルのExtraFee イギリスでは特急料金は当たり前に要求できる。500 部∼1000 部の利益率はオフセット印刷(5 ∼10%)に比べ、デジタル印刷(30∼40%)は高い。 11.ホワイトカラーの組織体制の特徴 各社の営業は 0∼6 名(社員数は 20∼130 名)で、営業は新規顧客との「契約」が仕事である。 アカントマネジャー、ディレクターがジョブを流す。見積もりは完全に独立した業務・工程にな っている。 12.印刷会社の新しい変革モデル お客さんのNeeds&Wants を適確に把握し、プリントマネジメントで最適なメディアを提案し、 受注はコンプリート・パッケージ(丸抱え)でお客の満足を得て、次のプロモーションを展開し
ていく必要がある。イギリスの場合、デジタル印刷はオフセット印刷と区別せず、お客様のWants を掴む中で一つのデバイスとして使っている。
3.マイクロソフトが描く近未来のドキュメントやメディアの姿
Pr(18 年度第 2 回より)nting tie Printing Frontier 2006r006nting Frontier 2006 Printing Frontier 20マイクロソフトディベロップメント㈱ リードプログラムマネージャ 范慧儀氏 1.概要 マイクロソフトが現在手がけていることや 5 年後の次のOS に向かってどのような方向を目 指し、どのようなテクノロジーをユーザーやカスタマー向けに提唱できるかを紹介したい。マ イクロソフトはコンシュマー向けにWindows3.1 を開発し、平行してサーバー向けに Windows NT を開発しているが WindowsVista は NT の流れの製品になる。本日は Vista と NT2000 お よびXP との比較を中心に説明したい。 95 年以降、急激にパソコンやインターネットが普及してきた中で、マイクロソフトは API(Application Program Interface)を作り、STK(Scheme Tool Kit)をパートナーに提供して いたので、分散したテクノロジーとなっていた。このテクノロジーを基に作られた物は様々で、 新しいOS に乗り換えた際にアプリケーションが動かなかったり、使用する環境によってはデ ータが破壊されたり、またセキュリティ上の問題を起こすことが多く大きな課題となっている。 WindowsVista の開発に当たりこれらの不具合を書き直し、透明度の高く安全性の高いシステ ムを提供することに最も配慮した。 現在、一般的に使用されているマイクロソフト Office 等のアプリケーションのほとんどは Win32を使用しているが、Vistaでは刷新され今後Win32アプリケーションはなくなっていく。 その代わりにVista で導入されるのは .NetFramework 3.0 で、Vista 仕様のパソコンに同梱 され全く異なったプラットフォームとなる。このプラットフォームをベースに、新たに作った ド キ ュ メ ン ト の 仕 様 が OPC(Open Packaging Conventions) で あ る 。 Office2007 や WPF(Windows Presentation Foundation)をベースにつくったアプリケーションはすべて OPC 仕様に則っている。
2.マイクロソフトが提唱する新しいドキュメントテクノロジ (1)オープンなドキュメント仕様
任意のプラッホーム上のデバイスおよび任意のアプリケーションで使用するOPC および XPS(XML Paper Specification)である。Office2007 のフォーマットはすべて OPC 仕様に則 る。Zip ファイル形式で展開することによりデータの中身が見え、フォントの情報や属性を 観覧できる。文書のレイアウトを記述したXML(Extensible Markup Language)ファイルや
文書中に含まれる画像データなどが入っている。
(2) WPF ドキュメント API(Application Program Interface)
パッケージとコンテンツを管理するアプリケーションで、現在の GDI(Graphic Device Interface)でサポートしている機能の替わりとなる。3Dや半透明表示などアプリケーション やドキュメントの表現能力を高める為のAPI である。 (3)XPS 印刷パス Vista に同梱され、現在の GDI プリンティングパスの替わりとなり、印刷ジョブ速度を上 げるとともに正確さを向上させるXPS である(スプール形式とプリンタページ記述言語を使 用した印刷パイプラインドライバモデル)。新しいコンセプトでは一つのフォーマットが何 役も果たすことができる。 (4)XPS Document として保存するための印刷ドライバ Windows ベースの任意のアプリケーションから XPS Document を作成するための、印刷 からファイルへのコンバータである。 (5)XPS Viewer XPS 文書を表示するためのソフトで、ユーザーによる XPS Document の表示、保護、お よび印刷を可能にするWPF のユーティリティである。 3.オープンなドキュメント仕様 (1)OPC ①コンテンツとリソースを格納するための URI、XML および Unicode を使用してのフォー マットになる。 ②マイクロソフトのアプリケーション間で共通のサービスを定義している。 ③パッケージとZIP アーカイブのマッピングを定義している。 (2)XPS PDF ファイルのように PC を使用する際に、編集はできないが読んだり印刷したりできる ドキュメントのマイクロソフト版で、PDF ファイルを Adobe Reader で開くのと同じイメー ジである。リードオンリーでオンラインサービスの中で使うドキュメントであり、安全性と 透明度が高く次世代のドキュメントワークフローの中ではよく使用される。 ①OPC を使用する。 ②固定レイアウトのアーカイブ可能な "電子ペーパー"。 ③XAML と互換性のあるマークアップを指定する。 ④WPF のネイティブ印刷出力。WPF ベースで作ったアプリケーションは変換する必要がな く、GDI を通さず印刷が可能となる。 ⑤Windows Vista 印刷アーキテクチャへの新しいスプールファイルに追加される。 4.Windows Presentation Foundation ドキュメント API
5.共有パッケージ
OPC の一つのコンセプトで、例えばワードでも様々な拡張子があるが、複数のドキュメントの 種類を管理するための必要な労力を削減することができる。
(1) Office2007 および XPS Document で共有でき、電子署名、パッケージプロパティで情報交 換が可能となる。
(2)ISV(Independent Software Vendor)、IT プロフェッショナルおよび Web アプリケーショ ンン開発者は、同じパッケージを使用することが可能となる。ZIP および XML ツールを使 用してパッケージを直接作成できる。
6.Windows Workflow Foundation
.NET Framework 3.0 と言われる開発のプラットフォーム中に、いくつかの Foundation があ る。パートナーの使用目的に合ったFoundation のワークフローを組み込むことにより、拡張可 能なフレームワークおよびツールの開発が可能になる。今までは個々にAPI 単位で開発してきた ので、様々な問題が発生し必ずしもマイクロソフトが期待するようなものでなかった。マイクロ ソフトのFoundation に則っていれば問題なく効率的に開発することができる。 (1)Microsoft 製品、ISV、およびカスタマソリューション用の共通ワークフローテクノロジが 正確に展開できる。 (2)基盤となるフレームワークは XP 対応のサーバーやアプリケーションを除く。 (3)主な機能 ①ヒューマンワークフローとシステムワークフローの機能を統一する。 ②拡張可能なアクティビティ(ブロック)をどのように組み合わせるか、フレームワークを最 初から考案できる。 ③任意のアプリケーションまたはサーバーでワークフローを実行可能。 ④グラフィカルオーサリングおよびコードベースオーサリング用のビジュアルデザイナが可 能。 (4)入手方法
7.Office アクティビティの例 グループ化することにより、顧客の要請に応じてアクティビティの順番の変更や削除、カスタ ムデータの追加等を行うことができ、また作業を行なう際にその都度定義づけすることなく自動 化が可能となる。 (1)ワークフロー ①ワークフローの履歴エントリ ②エントリの監査 (2)タスク管理 ①作成タスク ②完了タスク ③オンタスクの変更 (3)すぐに実行可能なタスク ①レビュータスク ②承認タスク ③クライアント側の取り消しタスク (4)アイテム ①更新アイテム ②コピー/削除アイテム ③オンアイテムの変更 (5)ドキュメント ①公式ファイルに送信 ②範囲の取得(XL Server) ③ドキュメントの翻訳 ④ユーザー権利の検証 ⑤アクセス許可の要求 (6)Web ①電子メール送信(警告の作成) (7)Front Page のみ ①電卓機能 ②乱数生成 ③ASPX ページを HTML 表示 ④アンケートタスクの割当
8.ワークフローアクティビティの自動化
9.パーツとリレーションシップの使用
10.パッケージ API(Application Program Interface) WPF の中で以下の機能をサポートする。 (1)パッケージのオープンとクローズ (2)パーツとリレーションシップの作成と削除 (3)パーツの名前、コンテンツの種類およびストリームの取得 (4)パーツのストリームの読み取りと書き込み (5)リレーションシップの ID、種類、および対象 URI の取得 11.パッケージプロパティでの作業 メタデータは必ずドキュメントに付随し、XPS や OPC ベースのドキュメントにも付随してく る。例えばワードで右クリックするとプロパティが開き、作者の名前、バージョン、日付等の情 報が見られる。 (1)パッケージプロパティは特定のパーツに格納 (2)パッケージプロパティは下記で使用可能
①XPS Viewer (XPS ドキュメント表示のみ) ②Windows UI(表示/変更) (3) Office アプリケーションン(Office2007 ドキュメントの表示/変更)
12.デジタル署名
WPF のアプリケーションはデジタル署名もコンポーネント化しているので、Package Digital Signature API を使用すれば簡単に署名を付けることができる。業界標準の XMLDigSig 定義に則っている。
(1)デジタル署名によって、アクティビティで下記のドキュメント情報を確認可能
①トレース可能なソースから表示されている ②署名付きコンテンツが変更されていない (2)Package Digital Signature API はパーツ、リレーションショップ、および署名に埋め込ま
れているカスタムオブジェクトのコレクションと連携 ①署名の取得、設定、またはクリア ②署名の検証 ③パーツ、リレーションシップおよび署名付きオブジェクトの一覧の取得 ④署名証明書の確認 (3)標準の XMLDigSig 定義および x509 証明書を使用 13.デジタル署名のポリシー 以下の3点のルールにより使用する。 (1)アプリケーション(Word、XPS、Viewer)は、特定のポリシーに従って署名を検証 (2)ポリシーによっては、新しいリレーションシップまたはパーツを追加すると署名が破損する 可能性あり (3)アクティビティは、ワークフロー内で使用する簡単なポリシーの定義も可能 (4)アーカイブを実行する前にすべてのパーツリレーションシップに署名 14.アクセスとアクセス許可の制御 15.パッケージアクティビティの例 (1)アクセス アクティビティ ①コンテンツの抽出 ②カスタム データの追加 ③カスタムデータの結合("mailmerge") ④キーワード/コア プロパティ値によるドキュメント検索 ⑤コア プロパティ値の取得/設定 (2)デジタル署名 ①署名 ②ポリシーに従った署名 ③署名の確認 ④証明書の検証
(3)権限の管理 ①オープンなライツマネージドドキュメント ②ユーザーによるアクセスの許可 ③コアプロパティ値の取得/設定、ライツマネージド 16.XPS ドキュメントのワークフローアクティビティ 17.XPS ドキュメントのコンテンツへのアクセス XPS はドキュメントではあるが、WPF の中で標準仕様の API としてサポートする。WPF の ア プ リ ケ ー シ ョ ン を 開 発 す る 際 に 、 Systems.Windows.Xps.Packaging や Systems.Windows.Documents.DocumentStructure を使用すればドキュメントへのアクセスが 可能となる。 (1) XPS ドキュメント API は XPS ドキュメント(.Xps) と連携するアクティビティへの追加サ ポートを提供 ①固定ドキュメント/固定ページ ②フォント、イメージ、サムネイル (2)任意の XPS ドキュメント構造によって、関連するストーリーの断片をリンク 18.XPS ドキュメントの出力 MXDW を Vista に同梱し XPS ドキュメントとして形成され保存される。
(1)ナレッジ ワーカーは、Microsoft XPS Document Writer (MXDW) 印刷ドライバに印刷す ることによって、XPS ドキュメントを任意の Windows アプリケーションから作成
(2)ドライバは、XPS Viewer を起動してアクセス許可、署名を定義
(3)Win32 アプリケーションは、MXDW を Dev Mode で使用することによって XP ドキュメ ントを作成可能 19.XPS ドキュメント署名ポリシー XPS Viewer から簡単に署名できるが、次のようなポリシー運用される。 (1)XPS ドキュメントの署名では、特定のパーツを排除するポリシーを定義し、下記の事項をユ ーザーに許可 ①パッケージプロパティの変更 ②新しい署名の追加 ③コメントの追加 (導入予定) (2)XPS Viewer は、署名を破損する可能性がある変更をユーザーに警告
20.複数の署名者のアクティビティ 例えばWord で作成したドキュメントを XPS に保存し署名の要求を設定し回覧した場合、XPS を開く際に署名を求められ、拒否すると開けない。回覧して戻ってきた際には、誰に回覧したか 確認することができる。 (1)XPS ドキュメントでは、下記を定義する署名定義パーツを含めることが可能 ①推奨される署名の目的 ②要求される署名者 ③要求される "sign-by" の日付 ④推奨されるロケール ⑤署名場所 (2)XPS Viewer は、署名要求を表示 21.XPS ドキュメントアクティビティの例 (1)ページに透かしを挿入 (2)ページ、イメージ、サムネイルを取得 (3)ストーリーを取得 (4)編集 (文字列の検索および置換) (5)XPS ドキュメント形式で指定されていないコンテンツの削除 (6)XPS ドキュメントの印刷 (7)複数の.Xps からの組み立て (8)XPS ドキュメントポリシーに従った署名 (9)署名の追加 22.XPS のコンテンツ表示
XPS Viewer は WPF をベースにしているので .Net Framework 3.0 が必要である。 (1)IE 6、7 でホスト (2)制限付きのアクセス許可を持つ XPS ドキュメントを発行および消費 (3)デジタル署名により、証明書を検証および確認し、署名を要求 (4)XPS で指定された XAML のサブセットの読み込み (5)XPS コンテンツタイプで未知のコンテンツを含むドキュメントの読み込みを拒否 (6)XAML とのマークアップの互換性のルールに準拠 (7)XPS 以外のパーツを無視 23.カスタムビューアの構築(XPS ドキュメントの表示エクスペリエンスの向上) Document Viewer を使用して構築したカスタムビューアは、あらゆる XPS ドキュメントを表 示することが可能となる。 24.ドキュメントがもたらす新しい機会 (1)共有パッケージが、XPS/Office/サードパーティ形式のドキュメントの管理に伴う複雑さを 緩和する。 (2)新しい WPF API が、コンテンツと管理タスクを自動化し、人的タスクの負荷を軽減する。 (3)XPS ドキュメントの使用により、ドキュメントのコンテンツの組み立て、共有およびアーカ イブを簡略化する。 (4)WPF ドキュメント API が、ドキュメントワークフローのビルディングブロックとしての WWF アクティビティを作成する新しい機会をお客様とパートナー様に提供する。
4.全印工連業態変革推進プラン―第3ステージ「新創業」について
(18 年度第 3 回部会より) 1.コンセプト 東京都印刷工業組合副理事長 水上印刷㈱代表取締役 水上光啓氏 業態変革は3 年目を迎え、過日、山口で開催された全日本印刷フォーラム 2006 やまぐち大会 で、キーワードを「新創業はワンストップサービス」とした業態変革第3 ステージが発表され、 印刷産業の将来ビジョンを情報発信することができた。 第1 ステージでは、「変化」ではなく、お客様のために自らを変えていく「変革」が必要であると の考えで、様々な状況にある組合員企業に対し5S や e メールから始めた。昨年の第 2 ステージ では「原点回帰」をキーワードに、製造業・サービス産業から情報産業の仲間入りをした印刷業 の収益の根源となる原点を改めて見直した。見直しは65 のチェックポイントにより自社を評価 し、強みを活かしたり弱みを補完したり、また社長と社員との意識の違い解消に取り組むなどワ ンレベルアップを図った。 過日、日印産連で行なわれた、アメリカのPIA 会長マイケル・マーキン氏の講演によると、ア メリカの印刷業はGDP を上回る成長を続けており、特にトナーベースのデジタル印刷と印刷付 帯サービスが大きく伸びている。この付帯サービスの大幅な伸びが、ワンストップサービスの原 点となっている。日本の印刷会社は発注者のことを考え注文をいただいてきたが、今後はその先 にあるエンドユーザーのNeeds だけでなく Wants も考えていく必要がある。日本の外国人雇用 は総労働人口の1%と言われているが、フランスは 5%、ドイツは 9%で面倒なことを他人にすべ て任せる傾向にあり、これは社会のワンストップサービス化と言える。 日本のホワイトカラーの生産性はとても低く、パソコンで作成した文書等をプリントアウトす ると仕事をしているように感じるが生産性向上には繋がらず、本来、それは印刷会社が行うべき 仕事である。顧客に流れている仕事を取り戻すためには、印刷会社として1 段高いレベルで対応 する必要があり、自社のセグメントを拡げたワンストップサービスが求められる。 2.全日本印刷フォーラム2006やまぐち大会の回答結果 社団法人日本印刷技術協会 研究調査部参事 相馬謙一氏 (1)概要 第3 ステージでは第 2 ステージで弱みとして確認された、経営戦略の「自社の強み弱み、コア コンピュタンス」と長年の課題である「営業戦略」に焦点を当て、コンセプトは「新創業」はワンス トップサービスとした。より一層顧客の役に立つためには、自社の業態を再定義し、事業領域(ド メイン)を見直すことによって、新しく「創業」するということが重要である。過去を全否定して でも創業するという経営者の熱き思いがなければ、顧客の役には立つことはできない。「顧客が基 準」、「コラボレーション」、「創業者精神」の 3 つの要素を有機的に結合し、ワンストップサービ スを確実に、スピーディに実現していくことを目指している。そのためのチェック項目やヒント を、5 Doors33 項目にまとめた。 Door1 は「顧客のことを真剣に考える企業体質」、Door2 は「社会の大変化(潮流)の認識と対 応」、Door3 は「より競争力を高める発想」、Door4 は「独自性を発揮できる武器」、Door5 は「新創への戦略」である。顧客のNeeds だけでなく Wants を掴み、自社のプロモーションをワンストッ プサービスとして提供していく。これを繰り返すことでビジネスの好循環に繋げ、最適なメディ アを提供することが将来の印刷会社の姿であると考えられる。顧客を中心として新たなビジネス の好循環を創ること、新たな業態の創造により収益を生み出すビジネスができるように業態変革 を目指している。 ワンストップサービスの到達点はメディアの総合受注であるが、形態を3層に分類すると、従 来型は印刷を中心とした強力な生産機能の維持、Needs 対応型は印刷の前工程や後工程ワンスト ップサービスを出発点とした印刷物の一貫受注、Wants 対応型は顧客が望む商品やサービスの幅 広い機能の提供である。ワンストップサービスを提供していくと新しい技術が要求され、強力な 生産機能が活かされてくる。 (2)回答 ①総数:291 社 ②地区別 北海道7 社、東北 42 社、関東甲信越静 41 社、東京 22 社、中部 32 社、近畿 43 社、 中国39 社、四国 18 社、九州 43 社 ③業態区分 出版4 社、事務用 26 社、商業 95 社、包装 4 社、総合 132 社 ④就業人員 4 人以下 4 社、5∼9 人 22 社、10∼19 人 46 社、20∼29 人 38 社、30∼49 人 46 社、 50∼99 人 63 社、100∼299 人 51 社、300 人以上 9 社
⑤全体の回答 YES が半数以上到達した回答はドアの 1、3、4 で、合計では YES が 53%である。 ⑥YES の回答が多い上位5問 Door2−⑧ 経営者として、新しく創業するような覚悟を社内に浸透させる意志がある。 Yes:247 No:42 Door1−⑥ 顧客の要望には必ず応える努力をして、競合よりも強い関係性を作っている。 Yes:244 No:47 Door1−⑦ 社内には、最終目標は顧客満足であるという共通認識がある。 Yes:236 No:55 Door2−⑤ IT(情報技術)の進歩が自社に及ぼす影響に対する取組みを検討している。 Yes:228 No:62 Door4−① 自信を持って顧客に提供できる強い品目がある。 Yes:225 No:65 (7)NO の回答が多い上位5問 Door2−③ 経済産業省「新産業創造戦略」のビジネス支援分野への取組みを検討している。 Yes:55 No:235 Door2−① 日本経済の景気変動や国内総生産(GDP)の変化への取組みを検討している。 Yes:79 No:212 Door5−④ 納めた印刷物などの効果を分析して次への提案を行っている。 Yes:84 No:206 Door5−⑤ ワンストップサービスが印刷ビジネスの好循環になり収益が上がっている。 Yes:87 No:201 Door2−⑦ 7Keys を実施し、自社の弱み・社内ギャップを埋めている。 Yes:90 No:202
5.ドイツ視察レポート
(18 年度第 4 回部会より) 東京都印刷工業組合副理事長 水上印刷㈱代表取締役 水上光啓氏 ドイツの印刷会社7 社とハイデルベルグ本社を訪問した。昨年の秋に日印産連のセミナーで話 しを聞いたアメリカのPIA 会長であるマイケル・マーキン氏によると、アメリカの印刷業は GDP を上回る成長を続け、特にトナーベースのデジタル印刷と印刷付帯サービスが大きく伸びている とのことであり、それを受けて今回のドイツ視察ではこの2 点についての現況把握とまとめを目 的とした。 1.視察のミッション (1)オフセット印刷会社の生き残り戦略とは。 (2)印刷発祥の地であるドイツの現状は。 (3)印刷人として誇りが高く、地位も高い。マイスター制度の社会で、ものづくりに専念してい れば安泰なのか。 (4)IT 技術はどのように活用されているのか。 (5)フルフィルメントへの対応状況はどのようになっているか。 2.ドイツの印刷業界事情 (1)2001 年のドイツバブル崩壊や、16%の付加価値税が来年から 19%に上がるなど厳しい経営 環境の中で、印刷市場は大きくならず小さなパイの取り合いになっている。印刷会社は 3 年 前に約13,000 社あったが、現在は約 10,500 社で、近い将来には 7,000 社に減少するとの見 方もある。中小企業が多く95%が 10 人未満で、300 人超は 2%に留まる。 (2)ミュンヘンの平均賃金は時給 20∼30 ユーロであるが、自動車で 2 時間 30 分走ると移動でき るチェコでは時給 3 ユーロであり、大きな賃金格差が生じている。この対策としてドイツの 印刷会社はチェコで1 週間要する仕事をミュンヘンでは 2 日間で行なっており、短期間で対 応できるKeyはITである。日本の経営者は海の向こうの中国に対して危機感を持っているが、 近隣国と陸続きであるドイツの経営者は我々よりはるかに強い危機感を持っているようであ る。 3.広告代理店について 訪問した7 社のほとんどでワンストップサービスが実施され、フロント部分は広告代理店と 競合していた。広告代理店のアイデアやクリエイティブは素晴らしいが実行力がない。代理店 からの仕事は利益率が非常に悪い等の理由から、代理店を飛び越えた包括契約でサービスを向 上させていく印刷会社もあった。また、一方で広告代理店と共存を図る会社もあるが、今後、 印刷をコアとしたワンストップサービスが広まることにより、広告代理店とぶつかる場合が増 えてくる。 4.経営者に聞いた「成功のポイント」と「コア・コンピタンス」は何か。 (1)サービスの一貫性 ①「フル・サービス・(メディア)・プロバイダー」 (ドイツではワンストップサービスではなく、フル・サービス・(メディア)・プロバイダーと言われている。) ・バラ売りでは上手くいかない。(msp 社) ・オフ+IT+デジタルの三位一体のサービスを提供する。(sommer 社) ②「ソリューション・プロバイダー」(ABT 社) ・プロセス全体をコントロールする。 ③「クロスメディア・パブリッシング」(biering 社) (2)人材・組織の効果 ①独立性の高い3 つの組織(営業/工務/製造)を作っていく。特に工務のノウハウがコアと なって全体を動かす。(biering 社) ②「プロジェクトマネージャー」 イギリスではプリント・マネジメント・カンパニー(PMC)が進出してきているが、ドイツ ではそのような気配はなかった。個々のビジネスに対してプロジェクトマネジメントを行な うことのできる、優秀な人材と部隊を教育する。(sommer 社) (3)情熱 ①自己/自社プロモーションを徹底する。(sommer 社) ②忍耐強くないので情熱を持って仕事をする。(ABT 社) 5.利益の根源は何か (1)クロスメディアといいながらも、実際の利益は印刷から。(ABT 社) (2)収益源は印刷。しかし、I T+オフセット+デジタルプレスが三位一体でなければ、印刷も回 らない。(sommer 社) (3)倉庫管理より印刷の方が儲かる。倉庫管理は経費高である。その一方で RMD(倉庫分社)か ら入る仕事が、80%を占めるのも事実である。(Kuthal 社) (4)強力なデジタル印刷 。Indigo×5 台が、すべて稼動する仕組み作り。(sommer 社) (5)デジタル印刷機と小型印刷(加工)ライン。 オフセット印刷会社の典型で、小サイズの機械 を効率よく動かすと生産性が最高になる。(Color Offset 社) (6)印刷だったりシステムだったり、サービスにより収益源は異なる。(msp 社) (7)平版印刷は仕事量減で価格競争が激化しているが、収益源は製版とオフ輪。(AWS 社) 利益の根源は印刷であると言うのが集約した意見である。 6.訪問 7 社の概略 (1) msp 社 コアはフル・サービス・プロバイダー。 Web to Print の自動化システム構築が得意。 (2) Kuthal 社 コアは強力なフルフィルメント。 25,000 パレット超の巨大倉庫・配送の別会社が、大きなコンピタンス。 仕事の80%は、倉庫配送会社の RMD 経由の受注。 (3) ABT 社 コアはソリューション・プロバイダー。 広告代理店とは競合関係。ソリューションを実現できるのは、広告代理店 ではなく印刷会社である。 (4) AWS 社 コアは今も昔も「製版」。 平台校正機を擁して、高品質の製版と印刷で真っ向勝負。
(5) sommer 社 コアはフル・サービス・(メディア)・プロバイダー。 社長の抜群のパフォーマンスで、自社を顧客に印象付ける。 (6) biering 社 コアは独立性の高い組織と工務のノウハウ。 MIS による徹底した数値化により、社長室ではリアルタイムで利益率を確 認できる。 (7) Color-Offset 社 コア=デジタル印刷+小ロットの印刷加工ライン。 ハイデルベルグの初期からのJDF ユーザー。 7.3 月:英国視察後に描いたモデル 繰り返し自社のプロモーションを行なうことによりNeeds&Wants を掘り起こし、最適な印刷 物を顧客に提供する。印刷をコアとした、コンプリート・パッケージに目が向いていた。 8.11 月:今回のイメージ変化 基本的なプロモーションは同じであるが、Needs&Wants は手間とコストを節約するいいサー ビスを提供することである。全社的にWeb 機能を拡充させ、IT を使ったワンストップサービス に取り組まなければ差別化できない。キーワードはIT であり、人間の情熱は IT を超えると感じ ている。 9.プリント・マネジメント・カンパニー(PMC)はドイツに上陸するか イギリスの印刷市場で、年間2億円以上の印刷物を発注する会社がPMCのターゲットになる。 従来、顧客は2 億円の印刷物を別々の印刷会社に発注していたが、PMC は顧客と印刷会社の間 に介在し、受発注・請求・コンテンツ・在庫管理を行なう。顧客に印刷料金の30%ダウンを約束 し、印刷会社に対しては40%のコストダウンを要求するので差額の 10%が利益となる。 IT を 活用することで設備や仕事の効率化を図ることができるので、40%のコストダウンが可能である と言われている。イギリスの印刷市場では約25%が PMC を経由しており、3 年後には約 40%に 伸びる見通しである。PMC で最も重要なことは、すべての価格をオープンにして透明性を高め ることである。
6.新聞メディアの構造変化と取り組み状況
(18年度第5回部会より) (有)メディアテクノス代表取締役 井上秋男氏 1.新聞メディアの構造変化と欧米新聞社の取り組み 1−1メディアの構造変化 (1)全体イメージ 世界的にメディアの大革命期が到来しており、従来、価格は販売店やメーカーが握っていたが 現在、消費者は事前にインターネットで価格を調べてから買い物をするようになり、主権が消費 者へ移動している。その背景の一つにIT(情報技術)の進化・発展によるメディアの構造変化が あり、消費者・生活者参加型メディアの進展、メディアの多様化・双方向化・パーソナル化、情 報のフリー化、若者層の新聞離れなど大きく影響している。この大変革期に対応して新聞社・メーカーが、「News メディア」を中核に「Print メディア、Web メディア」と融合し「マルチプル(多角)化」を推進していくことで、欧米では足元が固まってきた。 アメリカでは、自動車が世帯の80%普及するまで 120 年要したが、インターネットは 30 年、 ブロードバンドは20 年で 60%まで普及した。 日本のインターネットの普及率は2000 年に 19.1%であったが、2006 年には 87.6%、ブロー ドバンドは2010 年には 2,600 万世帯に普及すると言われており、1995 年には数十億円であった インターネット広告費は、4,000 億円に近づいている。1995 年頃からのインターネット普及によ り、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等一律に同じ情報を流す「マス・パッケージメディア」が減少 傾向となり、個人がアクセスすると個人向けに最適な広告や情報を提供する、「マス・カスタマイ ズメディア」の時代が近づいてきている。 (2)若年層の新聞離れ 新聞の閲読率は大きく低下し、1994 年に朝刊は 77.0%であったが 2005 年には 64.9%に、夕 刊も同様に60.0%から 36.9%になり、インターネットや i-mode が開始される度に大きく低下し、 今後も IT の発展により新聞離れが進んでくると考えられる。また、メディアとの接触率も下が り、絶対と言われていたテレビ広告費が2 年連続減少する一方で、インターネット広告費は大き く伸びている。 (3)情報のフリー化 1995 年にスウェーデンでフリーペーパーが創刊され、ニュースを掲載しほぼ毎日発行される世 界のフリーペーパーは、2006 年 4 月現在、41 カ国、165 タイトル、1 日あたり約 3,130 万部に 上っている。発行はヨーロッパの占める割合が最も大きいが、アジアでも増加傾向にある。日本 のフリーペーパーは、ニュースは掲載せず生活情報誌として発行され、発行も毎日とは限らず内 容・発行頻度が異なる。2006 年、1 年間の日本のフリーペーパーの発行は約 3 億部で、年々増加 している。日本ではニュースを掲載した日刊フリーペーパーの発行が、今、非常に注目されてい る。 フリーペーパーを見てから買い物に出かける等、ペーパーメディアのポータルサイトとしての 役割を果たしている。フリーペーパーの発行増により、世界の新聞総発行部数は僅かな低下に留 まっている。また、新聞用紙の需要は日本では頭打ちであるが、中国、インドでは大きく拡大し ている。
(4)広告環境の大変化 各国とも新聞広告は伸び悩み、インターネット等オンライン広告が急成長している。2006 年、 日本の新聞広告費は19 年ぶりに 1 兆円を下回り 9,986 億円となったが、インターネット広告費 は2004 年に 1,814 億円となりラジオ広告費を上回った。さらに 2006 年には 3,630 億円に急拡大 し、雑誌広告の3,887 億円に近づいており、今年中に上回るのではないかと言われている。 日本で1996 年と 2006 年の媒体広告を比較すると、総広告費は 6 兆円弱で概ね横ばいである が、新聞、雑誌、ラジオ、テレビのマスコミ4 媒体は約 2,000 億円減少し、一方、インターネッ ト広告は約3,600 億円増、衛星メディア関連広告が 370 億円増と新しい広告メディアが大きく伸 びている。 1−2欧米韓の新聞事情と取り組み (1)新聞事情 ①欧州 ・発行部数は急激に減少。 ・フリーペーパーは拡大が続き、新聞社が自ら発行。 ・広告収入は伸び悩み、販売は減少。 ②米国 ・夕刊の発行部数は長期低落傾向。 ・新聞社数は減少、下げ止まり。 ・案内広告の減少。 ・新聞広告は横ばいで、オンライン広告は増加。
③韓国 ・発行部数は1,390万部。 ・新聞社数は日刊紙、138紙。 ・購読率は10年で半減。 ・中央3紙(朝鮮日報、東亜日報、中央日報)は黒字で、その他は赤字。 ・フリーペーパーはソウル近郊で6紙、総部数は約300万部。 ・情報の信頼性は:新聞41%(61%)、ネット41%(23%)、TV16%(15%)、ラジオ2%(1%)。 ( )内は日本。 (2)取り組み状況・背景 国や地域、宅配率、販売と広告の収入割合などにより、新聞社の取り組みは各地域で異なって いる。欧州の考え方は新聞社がWeb、雑誌発行、出版等、何でも行なうとするビジネスモデルで ある。米国は新聞とネットとの融合を図り、放送局やネット企業の吸収・買収により連携を図っ ている。日本は本紙、別刷り、サブ媒体、出版までを扱い、ネット配信、携帯配信等は別会社に 任せている。 (3)欧州新聞社の取り組み事例 ①コンパクト判の進展 従来は、居間でゆっくり新聞を見るのでブロードシート(大判)でよかったが、時間節約から 通勤途中に電車内で読むための小さいコンパクトサイズが好まれ、輪転機を換える必要のないタ ブロイド判(大判の半分サイズ)が伸びている。他にも、タブロイド判より大きくブロードシー トより小さいベルリーナ判が出てきている。このサイズは畳むとA4 判サイズになり鞄に入れや すく、折込広告も入ることから流行っており、べルリーナ判に移行している新聞社も多い。但し、 輪転機を換える必要があり、輪転機メーカーは売り上げを伸ばしている。 また、家族に1紙の時代から、年代別に内容を変えた各人に1紙への時代に進展し、「リビン グメディア」から「パーソナルメディア」に移行している。
②フリーペーパーの発行・拡大 インターネットや無料紙に押される形でフランスの新聞業界は苦境に陥り、既存の有料紙ルモ ンドも対抗上フリーペーパーを発行した。ロンドンでは朝は忙しいので午後に読む人が増え、無 料夕刊紙の発行が伸びている。 ③設備投資の活発化 イギリス最大の新聞社であるトリニティ・ミラー社は小型判化や多媒体印刷発行するため、既 存機器の更新・新工場建設など、設備投資を活発化させている。新聞の10 年先は不透明である が5 年先はある程度予測できるので、輪転機の償却年数を前倒しにして、新たに設備投資をした ほうが生き残れる確率が高いと言われている。 ④e-Paper,m-Paper の取り組み拡大 今までは情報をためておいて朝刊・夕刊に刷っていたが、現在では入ってきたニュースは即座 に携帯電話やパソコンに配信され、「Paper First」→「Web First」に転換されてきている。情報 を共有化するために、本紙とネットの編集局の統合が進み、PDF 版提供で速報が強化されている。 (4)米国の新聞社の取り組み事例 発行部数減少、広告減少により、新聞社の身売り、吸収合併が進んでいる。新聞社のサイトは 若者の利用が増え、オンライン事業に傾斜している。ロサンゼルスタイムスも、活字版と電子メ ディアを統合する構想を示した。 ①ニューヨークタイムスの取り組み コスト削減、人員カット、インターネット会社の買収、有料課金サイトの開始、新聞とネット 編集局の統合化、株式欄の廃止、ネット版全面刷新、新聞向け設備投資活発化などを進めている。 また、マイクロソフト社と新しい電子ビュアー「Times Reader」を共同開発し、紙面版に近い形 で表示・閲覧が可能となり、検索機能を充実させている。 2.IFRA展(国際新聞技術研究会協会)にみる新聞技術の最新動向 2−1開催概要 ・出展者は過去最多、来場者は1 万人を超えた。
2−2上流部門のトレンドと出展状況 (1)全体トレンド ・マルチプル編集制作の構築進展。 ・e-Paper/m-Paper の本格化。 ・オープン型広告統合システムの普及加速化。 ・マルチメディアコンテンツ・マネージメントの活用拡大。 ・デジタル新聞配達の新たな展開。 ・汎用/パッケージソフトのレベルアップ。 2−3下流部門のトレンドと出展状況 (1)全体トレンド ・準商業印刷向けのCTP の高速、高精細度化。 ・準商業印刷の普及加速。 ・新聞輪転機のコンパクト化進展。 ・新聞デジタル印刷の実用化。 ・全工程の統合化、自動化。 ・品質制御の高度化.メーカー連携拡大。 ・発送部門の付加価値拡大。 (2)新聞CTP ・更新期を迎え、新製品の出展相次ぐ⇒98 年∼2000 年に導入した CTP が更新期到来。 ・顧客ニーズにより2極化⇒高速機VS 普及機、サーマル VS バイオレット。 ・次世代プレートの展示⇒富士フィルム、AGFA 社よりバイオレット・ケミストリーフリー展示。 ・ハイブリット型CTP への取り組み⇒新聞、準商業印刷向け CTP への取り組みが進展。 高速、高解像度CTP の実現。 (3)新聞オフセット輪転機 ・実機展示減少⇒06 年前半に IPEX,NEXPO などの大きな展示会が続き、実機展示は減少。 ・準商業刷の普及加速化⇒関連技術の進化により導入加速化。 ・コンパクト輪転機の出展相次ぐ⇒KBA,GOSS 社より新製品の発表展示があり話題。 ・版替え自動化、自動品質制御の進化⇒省人化、迅速化、品質向上に向けての取り組み進展。
(4)新聞デジタル印刷の実用化
・本格的な新聞デジタル印刷システムの展示、実演。
・Kodak 社は、高速インクジェット方式 「VersamarkVX5000」により、フルカラーで時間 1,000 部(40 ページ)の新聞印刷。
・Oce 社は、電子写真方式「 Vario Stream 9230」により、時間 1,000 部(24 ページ)新聞印刷。 (5)品質制御、印刷制御の進化 ・多ページ、モアカラー、準商業印刷など、高品位印刷に対応して品質制御し、印刷制御の取り 組みが進化。 (6)発送部門の付加価値拡大 ・最新の「インサート装置、中とじ装置、ビニール袋詰め装置 広告ラベル貼り付け装置」によ り多くの印刷物を発送し、収入拡大を図る。 ・インサートは、新聞以外に「CD、パンフレット、小雑誌、製品、サンプル」など何でも挿入。 (7)全工程の自動化、統合化の進展 ・プリプレスからCTP・印刷・発送までの全工程の自動化、統合化ソリューションの進化、メ ーカー各社の連携も進展。 3.わが国の新聞事情と取り組み状況 3−1.全体動向と新聞事情 (1)総発行部数 ・52,310,478 部で前年比 0.5%減。 ・一般紙は47,056,527 部で前年比 0.3%減。 ・スポーツ紙は5,253,951 部で前年比 2.3%減。 (2)セット部数 ・16,789,314 部、前年比 1.9%減で 16 年連続の前年割れ。 ・朝刊単独紙は34,047,660 部で前年比 0.4%増。 ・夕刊単独は1,473,504 部で前年比 3.6%の大幅な減少となり、夕刊離れが一層進展。 (3)新聞界の失われた 10 年 3−2.経営戦略とビジネスモデル (1)これからの経営戦略 ・販売、広告収入の現状維持。
・事業収入の向上(電子電波メディア、会員制サービス)。 ・経費削減(組織スリム化、省力省工程設備導入)。 (2)わが国の新聞ビジネスモデル予測 2011 年の地上波デジタル放送完全移行により、家庭からアナログテレビがなくなった際に、ネ ットとデジタルの融合化が起きる。すべての家庭にeプラットフォームが導入され、紙を前提と した経営に影響が出ると予測されている。 3−3.取り組み状況 (1)デジタルメディアへの展開 ①新聞社・総合ポータルサイトの利用者数 新聞社もWeb 環境の整備に力を注いでいるが、主要な新聞社のサイト利用件数を合算しても、 Yahoo や Google に遠く及ばない。そこで新聞社 51 社が連合して「デジタル事業(サイト)」を 立ち上げ、全国ニュースのほか、観光、グルメ、旅情報など、地域の新聞社が持つ、貴重な情報 を一覧できる我が国初めての「47NEWS」を構築。各新聞社のホームページともリンクして、提 供する情報量と質を飛躍的に向上させ、ニュース提供者としての役割再構築と広告収入を確保。 (2)新媒体発行 ①産経新聞若年層向け新聞発行 ・昨年11 月 1 日、新しい日刊紙「SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス) を創刊。 ・20 代、30 代をターゲットに無読者層の開拓が主な狙い。 ・コンセプトはコンパクト、ハイクオリティー、アートな香り。 ・携帯性重視、中面を抜き取ると「アート新聞」と「ニュース新聞」の二つの新聞。 ・コンパクト、読みやすさ、従来新聞の半分の大きさのコンパクトサイズ、英字紙と同じ横書き 32 ページ。電車の中で簡単に広げて読める。 ・中央のページ(16,17 面)は、見開きカラーのフォーカス面としビジュアル化を図る。 ・紙は発色効果のある上質紙を使用、首都圏は16 ページカラー、京都では 32 ページフルカラー 印刷。 (3)新編集制作システムの開発構築 ①情報発信力の強化拡充 情報共有化、部門間連携により編集制作の効率化と多メディア多媒体の編集制作を行い、情報 発信力を強化拡充。 ②紙面品質の向上 紙面、広告品質を一層向上して、読者、広告主の要求や同業他社との競合へ的確に対応。 ③広告局業務の完結処理 広告制作、管理を統合して広告局にて全業務を完結し、新聞制作との有機的な連携により広告 業務の効率化を実現。 ④コスト削減、省力化 汎用/標準技術を導入してシステムの初期コストを削減、更に編集制作の効率化により省人化 を図る。 (4)新聞のCTPの導入加速化 ①全体動向 ・全国紙、地方紙とも導入活発化。 ・既設プロッタ、製版機更新。