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1,85トン 12.4 億 円 シラウオ 78トン 1.2 億 円 ワカサギ 33トン 9.1 千 万 円 とな っている 平 成 16 年 においては シジミの 口 開 け 現 象 が 長 期 にわたって 発 生 したこと シ ラウオ ワカサギの 著 しい 成 長 不 良 により 漁 獲 が 減

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Academic year: 2021

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豊かな自然・小川原湖の恵みを活かす

−シジミ・シラウオを知るチャレンジ精神− 小川原湖漁業協同組合 青年部 支部長 沼辺ぬ ま べ 正孝まさ たか 1.地域の概況 小川原湖は青 森県の東側に 位置し、湖 岸は 三沢市、 東北町、六ヶ所村 に囲まれ、周囲 67.4km 面積 63.2km2 水深は最大 25m(平均水深 11m)で県 内最大、全国で も 11 番目の面積を誇る湖で ある。湖への 流入 河川は 七戸川、土場川 、砂土路川等 があり、北 東部 の高瀬 川で太平洋とつ ながり、海水 が入り込む 汽水 湖とな っている。古く からシジミ、 シラウオな どの 豊富な 水産資源の宝庫 となっている とともに、 貴重 な動植 物を育む豊かな 自然環境は地 域住民の憩 いの 場とも なっている(図 1)。 図 1 小 川原湖の位 置 2.漁業の概要 小川原湖漁業 協同組合は 正組合員 424 名、准組合員 168 名で ある。主 な漁業はシジミ 漁業及びシ ラウオ、 ワカサギを対象 とした船曳 網漁業、 その他刺網、建 網、延縄漁 業などが 行われている。 特に小川原湖 の主要な漁 獲物であ るヤマトシジミ(以下シジ ミとする) は、かつてジョ レン掘り 35 ケ統のみ で操業されてい たが、昭和 50 年代か ら操業者が増加 、現在では 264 ケ統が 操業している。 平成 5 年 9 月 1 日か らは入札制度を 導入し、小 川原湖産 シジミの品質向 上、価格の 安定を目 的に漁獲制限等 を実施しな がら資源 保護にも取り組 んでいる。 図 2 に小川原湖漁協の水揚 数量、 図 3 にシジミ漁獲量推移を示 した。 平成 16 年の水揚げ実績は 、シジミ 図2 小川原湖漁協の漁獲量の推移 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 (年) (トン) 0 1,000,000 2,000,000 3,000,000 4,000,000 5,000,000 6,000,000 (千円) 漁獲量 漁獲金額 図3 小川原湖におけるシジミ漁獲量の推移 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 (年) (トン) 0 500,000 1,000,000 1,500,000 2,000,000 2,500,000 (千円) 漁獲量 漁獲金額 −11−

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1,850 トン、12.4 億円、シラ ウオ 78 トン、1.2 億円、ワカサギ 330 トン、9.1 千万円 とな っている。平成 16 年においては、シ ジミの口 開け現象が長期 にわたって発 生したこと、シ ラウオ・ワカサ ギの著しい成 長不良によ り漁 獲が減少すると ともに、それ に伴う休漁 措置 により水揚げ数 量・金額とも に著しい低 下と なっている。 3.組織及び運営 私たちの青年 部(部長 沼 辺啓市)は 、調 査や研修等を通 じて漁業に関 する知識や 技能 を向上させると ともに、会員 相互の親睦 を図 ることを目的に 、平成 7 年に結成してい る。 現在 74 名で組織され、各地先に 9 支部を設 け 、支部長が部会の役 員を務めてい る。青年部 では、今回報告 する調査や各 種勉強会な どの 活動を活発に行 っている。会 の運営は会 員か らの会費の他、 漁協の助成金 により賄わ れて いる。 4.研究課題選定の動機 小川原湖では、 この数年の間 にシジミ・ シラ ウオの漁獲量減 少やシジミ口 開け現象が 発 生、これらの打 開策として漁 協では将来 的な 資源管理・増大 を目的に、大 学、県と共 同し 総合的な調査体 制をとってい る。 この中で、平成 14 年から 小川原湖の シジミの現況と 経年変化を 明らかにす るために現存量 調査を実施し ている。 その結果、小 川原湖にお ける現存量 は平成 14 年 3 万トン、15 年 2.2 万ト ン、16 年 1.6 万トン、17 年 1.4 万トン と著しく減少し ていること が判明、漁 獲量の減少に繋 がっている ことが明ら かとなった(図 4)。 図 4 シジ ミ現存量 の推移 私たち青年部は 結成以来、小 川原湖では 初め ての調査やシラ ウオの不漁に 伴う緊急的 調 査にチャレンジ している(表1)。こ うした中 、漁協からの依頼に より小川原湖 におけるシ ジミの発生機構 と現存量への 添加の関係 を明 らかにするため の調査として 、シジミラ ーバ 調査や天然採苗 の可能性を探 るための試 験を 行うこととなっ た。今回は、 青年部が実 施し た調査のうち、 特に成果の認 められたシ ジミ ラーバ調査と小 川原湖で初め て確認する こと ができたシラウ オの産卵場や 稚仔魚の発 生状 況に関する調査 について報告 する。 表1 青年部 の主な活 動内容 0 1 2 3 4 14 15 16 17(年) 現 存 量 ( ト ン ) 年 10 11 12 13 14 15 16 17 現存量調査 ラーバ調査 天然採苗試験 人工採苗・放流 成長量調査 産卵調査 稚仔魚発生調査 環境調査 ※ 太線は青年部活動 シラウオ シジミ −12−

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5.活動の状況及び成果 1) シジミラ ーバ調査 ○調査時期:6 月∼10 月まで の間(調査 間隔 はシジミの浮遊 期間である 3∼10 日を考慮し、週1回を 基本とした) ○調査地点:小川原湖内 9 地点(調 査地点は、 過去の結果から 出現が多い浅 い場 所(5m以浅)を 主に設定)(図 5) ○調査方法:陸 奥湾のホタテ ラーバ調査 方法 を応用、湖水 20 ㍑を採水、プラン クトンネ ットで濾した サンプルを 万能投影機で検 鏡、サイズ・ 計数 を行った。 図 5 調査地点 (16 年度) ○調査結果 ①ラーバ 出現状況 ラーバ出現状況 を図 6 に示した。 平成 16 年の調査は 6 月∼10 月の間計 19 回 行った。ラーバは 6 月 29 日か ら確認 され、ピークは 8 月下旬 から 9 月中旬であっ た。湖内の平均 出現数で最も 多かった のは、9 月 9 日の 7,217 個 /m3で、最も多く 出現した地点 は 9 月 2 日、中志 (st3) の 28,450 個/m3であった。 出現の多かった 9 月 9 日における地点 別の 出現数を図 6 に示した。 ラーバは湖中央 から北側で 多く出現 している が、当初、産卵 には適さず ラーバの 出現が少ないと 予想されてい た湖南部に おい ても多くのラー バが確認され た。 平成 17 年の調査は 既存の調査 点に 3 地点(沿岸 2 地点、沖合 1 地点、1 地点調整 により減)追加 した計 11 点で行った。 期間は 、平成 16 年同様 6 月下旬を予 定していたが 、予備調 査でラーバが 確認され なかったことと 、6 月下旬の 段階で未成 熟の 割合が比較的多 かったこと( 漁協では 成熟度調査を三 重大学(古丸 明)に依頼)か ら 1 ヶ月遅い 8 月から開始、10 月まで の間 10 回の調査を行った。 ラーバは 8 月 4 日から確認され、ピ ークは 9 月の中旬であっ た。最も出現 の多か ったのは 9 月 15 日の 1,235 個/m3であったが、16 年 ピ ー ク 時 の 1/6 程 度 で あ っ た 。 St1 St2 St3 St4 St5 St6 St7 St8 St9 −13−

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図 6 9/9 に おけるシ ジミラー バの地点別 出現状 況 倉内禁漁区 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m アカナデ 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m 2m 中志前 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m 2m 観測塔南 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m 5m 10m 岩の崎 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m 大崎 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m 三沢キャンプ場 前 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m 上北キャンプ場 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m 2m 黒志多 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 0m St1 St5 St3 St4 St2 St6 St7 St8 St9 −14−

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図 7 平成 16・17 年のシジ ミラーバ出 現数(全湖平 均)の推 移 ②シジミの 産卵に係わる 環境 図 8 に小川原湖における平成 16 年調査 時の 水温と塩分の推 移を示した。 シジミの産卵及 び卵発生に必 要な環境条 件と して、産卵は水温 19℃ から始まり 、20 ∼25℃で最も盛 んになる。また、卵の初期発 生には 2∼18PSU の塩分が必 要との報告 が ある。小川原湖 の塩分は通常 1PSU 以下 である が、16 年は春先から塩 分が高く 1PSU 以 上で推移してい る。しかし、8 月中旬まで は 卵の発生に必要 な塩分(2PSU 以上)には 達していない。さらに、水 温は 7 月下旬から の猛暑により表 面では 30℃に達す るよう な高水温であっ たことから、7 月∼8 月中旬 ま ではシジミの産 卵・発生には不 適な環境 条件であったこ とが考えられ る。8 月下旬 以 降は水温も 20℃程 度まで低下 、塩分も発 生に必要な 2PSU まで上昇し ていること から、環境条件が整い 大量のラーバ が出現した ものと考えられ た。 図 8 平成 16 年 調査時の水 温・塩分 の推移 6/29 7/2 7/13 7/16 7/20 7/23 7/27 7/30 8/2 8/5 8/9 8/12 8/19 8/27 9/2 9/9 9/16 9/24 10/1 8/4 8/11 8/18 8/24 9/1 9/9 9/15 9/22 9/29 10/6 平成16年のトン当たりの平均幼生数 96 64 200 553 103 121 280 10 7 3 1064 332 650 4385 7128 7217 5064 142 110 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 (個 体 数 / m 3) 平成17年のトン当たりの平均幼生数 35.0 60.0 5.0 67.5 787.5 237.5 1235.0 290.0 12.5 0.0 0 1000 2000 3000 4000 5000 6000 7000 8000 ( 個 体 数 / m 3) 成 熟 状 況 を 考 慮 し て 調 査延 期 定点別における表層水温 10 15 20 25 30 35 6 / 29 7/6 7 / 13 7 / 20 7 / 27 8/3 8 / 10 8 / 17 8 / 24 8 / 31 9/7 9 / 14 9 / 21 9 / 28 水 温 ( ℃ ) 倉内 アカナデ 中志 観測塔 岩の崎 大崎 三沢キャンプ 黒志多 上北キャンプ 定点別における表層の塩分 0 1 2 3 4 5 6 /2 9 7/ 6 7 /1 3 7 /2 0 7 /2 7 8/ 3 8 /1 0 8 /1 7 8 /2 4 8 /3 1 9/ 7 9 /1 4 9 /2 1 9 /2 8 塩 分 ( P S U ) 倉内 アカナデ 中志 観測塔 岩の崎 大崎 三沢キャンプ 黒志多 上北キャンプ 産卵不適:高水温・低塩分 産卵適:適水温・塩分 産 卵 適 水 温 帯 適塩分(下限値 ) −15−

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17 年において は期間を通 して湖内の 塩 分が 1PSU 以下であった ことが、産 卵及び卵 の発生には不適 な環境であり 、ラーバの 出現 が少なかった要 因と考えられ た。 小川原湖 の産卵は、こ れまでの報 告で 7∼8 月とされていたが 、2 ヶ年の結果から 9 月まで長期にわ たることが分 かった。ま た、 ラーバの出現も 塩分に大きく 左右されて いることも痛感 された。 ③ラーバの出現 と資源添加 図 9 に平 成 17 年 の現存量調 査に おける殻長別生 息数を示した 。 平成 16 年の大量発生がそ の後、 資源として定着 しているか 懸念さ れたが、調査の 結果、過去 の現存 量調査では見ら れなかった 小型貝 (0 才貝)の分 布が確認さ れたこ とにより、順調 に資源とし て定着 していることが 分かった。 図 9 平成 17 年のシジミ 殻長別生 息数 2) シラウオ産卵及び稚仔魚発生調査 平成 16 年の成長不 良と資源の 減少に伴 い、17 年の産卵に影 響がでるこ とが懸念さ れ たため、産卵の 有無を確認す るとともに 、産 卵場所を明確に し、将来的な 保護対策の 基 礎資料にするた めに行った。 調査は、親 魚の成熟状況 を確認しな がら 行った。産卵場 所の選定につ いては、宍 道湖 の調査結果を基 に水深 0.5∼1mの 砂場を 14 地点選定、エクマン採 泥器を用いて 砂を採 取し、その中から卵 を採取した(図 10)。稚 仔 魚発生調査につ いては、8 地点でノル パッ クネットの水平 曳を行い稚仔 魚を採取し た( 図 11)。 図 9 産 卵調査地 点 図 10 稚仔魚調 査地点 St1 St13 St14 St2 St5 St6 St12 St7 St8 St11 St10 St9 St3 St4 St1 St2 St1 St3 St5 St4 St6 St7 St8 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 <0 .5 0.5- 1.5- 2.5- 3.5- 4.5- 5.5- 6.5- 7.5- -8.5 9.5- 10.5- 11.5- -12.5 13.5- 14.5- -15.5 16.5- 17.5- -.518 19.5- 20.5- -.521 22.5- 23.5- 24.5- 25.5- 26.5< 殻長(mm) (個 / m 2 ) −16−

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表 2 に産卵調査結果を示した 。 4 月 26 日∼6 月 30 日までの間 7 回の調査を行った。最 も多かった のは 6 月 6 日の st7 で採取された 1,111 個/m2であった 。シラウ オ 卵はバラツキが 大きいものの 、ほぼ全 域で 確認されたこと から、小川原 湖において も宍 道湖と同様、水 深の浅い砂場 が産卵場所 と なっていること が分かった。 表 2 シ ラウオ産 卵調査結 果 図 12 にシラウオ(仔魚)の 地点別分布 密度 を示した。 稚仔魚の発生に ついては 、5 月 12 日∼7 月 21 日の間 9 回の調査を行った 。その内 シラ ウオの仔魚は 6 月 8 日に st1∼4 にいたる湖 中央から北側で 確認、その後 は全調査点 で確 認されるが、比 較的分布が多 いのは湖中 央か ら北側であった 。期間中、最 も多かった の は 6 月 23 日の 1.2 尾/m 3であった。魚体は 4∼10mm のものが主体で 順調にふ化、成長し ているものと考 えられた。 今年、初めて挑 戦したシラウ オ産卵調査 であ ったが、これま で確認されて いなかった 卵の発見や産卵 場の把握など 、我々にと って は大きな成果だ ったと自負し ている。 図 12 シラウオ( 仔魚)の 地点別分 布密度 0.00 0.20 0.40 0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1 2 3 4 5 6 7 8 (st) 尾 / m 3 6/8 6/14 6/23 7/1 7/7 7/21 4/26 5/12 5/24 6/6 6/16 6/23 6/30 個/㎡ 個/㎡ 個/㎡ 個/㎡ 個/㎡ 個/㎡ 個/㎡ 1 0.5 0 0 44 0 0 2 1 0 3 0.8 0 4 1 0 178 133 177 177 0.5 0 133 711 89 44 704 1 889 44 0.5 222 222 1 44 0.7 44 44 1 0 1,111 89 44 0 8 1 0 9 1 0 0 222 44 177 10 1 133 0 44 0 0 11 1 0 0 12 1 488 89 0 0 44 13 1 754 89 89 488 0 14 1 621 266 44 177 88 ※太枠はm2当たり200個以上 水深 (m) 6 7 5

st

−17−

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6.波及効果 シジミの現存 量調査やラー バ調査によ り小 川原湖における シジミ資源の 現状と問題 点を 把握することが できた。これ らの結果を 基に 資源維持・増大に 向けた新た な取組みと して 、 漁協では国の事 業である農林 水産研究高 度化 事業に応募する ことを決め、 産官学一体 とな った調査体制を 整える予定と なっている 。 また、シラウオ 調査について も小川原湖 では 初めてとなる卵 や産卵場の確 認は、漁協 並 びに漁業者(船 曳網漁業者) から高い評 価を 得ており、今後 も調査を継続 し保護対策 の参 考になればと考 えている。 7.今後の課題 漁協・各部会と 連携し、シジ ミ・シラウ オ調 査を継続しなが ら、小川原湖 における最 適 な資源管理方法 を模索すると ともに、次 の課 題に取り組んで 行きたいと考 えている。 ①資源増大 青年部では前述 した調査の他 に、天然採 苗試 験にも取り組ん でいるが、現 在のところ 付着が少なく大 量確保には至 っていない 。一 方、蜆生産部会 では増殖を目 的に人工種 苗 生産及び大量放 流技術の開発 を行ってい る。 種苗生産技術は ほぼ確立され ており、平 成 17 年度は浮遊幼生並 びに着底稚 貝、約 19 億 個を湖内に放流 している。今 後は、天然 採 苗、人工種苗生 産並びに放流 の効果を検 討し ていきたい。 シラウオについ ては、産卵場 がシジミ操 業区 域と重複するこ とから、将来 的に産卵保 護区の設定を考 慮した調査を 検討してい きた い。 ②環境改善 平成 16 年のシラウオ・ワカサギ の成長不良、資源減少は環境 の悪化(富栄養 化)に起 因するところが 大きいことか ら、環境改 善に 向けた取り組み にも関心を持 っていきた い。 私たちの調査が 小川原湖の将 来のために 役立 つことを信じて 常にチャレン ジ精神を抱 い ていきたい。 −18−

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図 1 東 通 村 と 白 糠 地 区 図3 平成16年漁獲金額の構成 いか釣 64% その他 3% 刺網 2% 敷網 3% 一本釣 5% 採介藻 6% 小型定置 17% 図2 白糠漁協の漁獲量及び漁獲金額 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 12 13 14 15 16 年 ト   ン 0 2 4 6 8 10 12 億 円 漁獲量 漁獲金額

地 産 資 源 に 付 加 価 値 を

− ( 活 魚 販 売 を 支 え て ) −

白 糠 漁 業 研 究 会

会 長 伊 勢 田

い せ だ

啓 二

け い じ 1 . 地 域 の 概 況 私 た ち の 住 む 東 通 村 は 、 北 に 津 軽 海 峡 を 、 東 に 太 平 洋 を 臨 む 下 北 半 島 の 北 東 部 に 位 置 し た 人 口 8 , 0 0 8 人 、世 帯 数 2 ,6 9 1 戸 の 村 で あ る 。 総 面 積 は 約 3 0 0 k ㎡ 、 海 岸 線 は 約 6 5 k m に 及 ぶ 大 き な 村 で 、 そ の 広 大 な 土 地 を 利 用 し た 農 林 業 や 豊 富 な 魚 介 類 に 恵 ま れ た 漁 業 が 産 業 の 主 体 と な っ て お り 、 特 に 漁 業 は 8 つ の 漁 業 協 同 組 合 が 存 立 し 、 県 内 で も 有 数 の 漁 獲 量 を 誇 っ て い る 。 白 糠 漁 協 が あ る 白 糠 地 区 は 、 東 通 村 の 最 も 南 に 位 置 し 、 人 口 が 2 , 4 1 1 人 、 8 5 9 世 帯 と 村 内 で 最 も 大 き い 地 区 で あ る 。( 図 1 ) 2 . 漁 業 の 概 要 白 糠 漁 業 研 究 会 の 所 属 す る 白 糠 漁 業 協 同 組 合 は 、 正 組 合 員 5 2 1 名 、 準 組 合 員 1 5 6 名 の 計 6 7 7 名 で 構 成 さ れ て お り 、近 年 で は お お よ そ 漁 獲 量 が 2 ,5 0 0 ト ン 、 漁 獲 金 額 が 8 億 円 前 後 で 推 移 し て い る 。 (図 2 ) 主 な 漁 業 は い か 釣 り 、 小 型 定 置 網 、 採 貝 藻 で 、 そ の 他 に 一 本 釣 り 、 敷 網 、 刺 網 な ど が あ る 。( 図 3 )

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平 成 1 6 年 の 漁 獲 量 は 2 , 9 1 0 ト ン 、 漁 獲 金 額 は 9 億 7 , 4 0 0 万 円 で 、 魚 種 別 に 見 る と 近 年 に な く 豊 漁 で あ っ た ス ル メ イ カ が 6 億 5 , 3 0 0 万 円 、 サ ケ が 9 , 7 0 0 万 円 、 コ ン ブ が 4 , 1 0 0 万 円 、 ヒ ラ メ が 2 , 9 0 0 万 円 、 コ ウ ナ ゴ が 2 , 3 0 0 万 円 と な り 、 こ れ ら で 全 漁 獲 金 額 の 9 割 近 く に 達 し て い る 。 3 . 組 織 と 運 営 白 糠 漁 業 研 究 会 は 、 昭 和 3 8 年 に 創 立 さ れ 、 水 産 知 識 の 向 上 と 科 学 的 な 技 能 の 修 得 を 図 り つ つ 水 産 業 の 改 良 発 展 に 寄 与 す る こ と を 目 的 と し 、 現 在 は 2 3 歳 か ら 7 4 歳 ま で の 幅 広 い 年 齢 層 に よ る 5 1 名 の 会 員 で 構 成 さ れ て い る 。 役 員 は 4 0 歳 前 後 の 中 堅 層 に 代 替 わ り し て お り 、 会 長 1 名 、 副 会 長 1 名 、 部 長 4 名 、 監 事 2 名 、 会 計 1 名 、 書 記 1 名 、 事 務 局 1 名 で 、 活 動 費 は 年 会 費 と 組 合 か ら の 助 成 金 で 賄 っ て い る 。 現 在 の 活 動 は 、 ア ワ ビ の 養 殖 試 験 や 小 ・ 中 学 生 を 対 象 と し た 水 産 教 室 の 開 催 、 磯 根 漁 場 の 調 査 、 先 進 地 視 察 な ど を 行 な っ て い る ほ か 、 東 通 村 内 の 他 の 7 漁 協 の 研 究 会 で 組 織 す る 東 通 村 漁 業 連 合 研 究 会 に も 加 盟 し 、 村 内 各 地 の 漁 業 者 と の 技 術 交 流 も 積 極 的 に 行 な っ て い る 。 4 . 活 動 課 題 選 定 の 動 機 白 糠 を 訪 れ る 人 々 に 目 の 当 た り に 活 魚 を み て も ら っ て 購 買 意 欲 を 高 め 、 そ し て 地 元 で 漁 獲 さ れ る 水 産 物 の 付 加 価 値 の 向 上 を 目 的 と し て 、 漁 協 の 蓄 養 施 設 で あ る 「 活 魚 館 」 が 平 成 1 3 年 7 月 に 完 成 し た 。 活 魚 館 は 1 基 6 ト ン の 水 槽 5 基 を 備 え 、 お 客 が 中 央 通 路 か ら 窓 ガ ラ ス 越 し に 蓄 養 状 況 も 見 る こ と の で き る よ う に な っ て い て 、 ス ル メ イ カ 、 ウ ニ 、 ア ワ ビ 、 ホ ヤ な ど の 活 魚 類 の ほ か 、 漁 協 女 性 部 が 作 る 「 塩 ウ ニ 」 や 「 い か ず し 」 な ど の 加 工 品 も 取 り 扱 っ て い る 。 研 究 会 で は 、 白 糠 漁 協 で 水 揚 げ さ れ る 水 産 物 の 販 路 拡 大 と 漁 協 経 営 の 安 定 化 に 寄 与 し 、 ひ い て は 漁 家 の 所 得 向 上 に 繋 げ る た め に 、 漁 協 が 運 営 す る 活 魚 館 の 販 売 事 業 に 協 力 す る こ と と し 、 以 来 、 ス ル メ イ カ 、 ウ ニ 、 ア ワ ビ 、 ホ ヤ の 活 魚 に つ い て 採 捕 提 供 を 積 極 的 に 行 な っ て い る 。 5 . 研 究 ・ 実 践 活 動 状 況 及 び 成 果 1 ) 採 捕 の 概 要 各 魚 種 は 、 ウ ニ が 4 月 ∼ 7 月 、 ア ワ ビ が 禁 漁 期 を 除 く 4 月 ∼ 1 2 月 、 ホ ヤ が 6 月 ∼ 1 0 月 、 ス ル メ イ カ が 6 月 ∼1 1月 と な っ て お り 、 ウ ニ や ア ワ ビ は 漁 協 の 口 開 け 日 以 降 と し て い る 。 潜 水 で 採 捕 す る 体 制 は 、 作 業 員 1 名 付 き の 船 1 隻 と 、 実 際 に 潜 水 す る 研 究 会 員 3 名 で 構 成 し て い る 。 注 文 の 数 量 、 潜 水 が 可 能 な 凪 の 状 況 、 水 槽 の 収 容 力 、 蓄 養 可 能 な 日 数 な ど に よ っ て 、 潜 水 の 間 隔 は 定 期 的 で は な い が 、 ウ ニ や ア ワ ビ の 餌 料 で あ る コ ン ブ 等 の 採 取 も 含 め れ ば 、 お お よ そ 1 週 間 に 1 回 ペ ー ス と な っ て い る 。 採 捕 す る 量 は 、 活 魚 館 担 当 者 か ら の 指 示 に よ る が 、 採 捕 場 所 は口 開 け で 組 合 員

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ウ ニ 採捕の工夫 ウ ニ 採捕の工夫

アワビ鉤の工夫

アワビ鉤の工夫

が 漁 を す る 区 域 の 沖 側 で あ れ ば特 に 指 定 が な い の で 、 こ れ ま で の 潜 水 で 観 察 し た 状 況 を 参 考 に 皆 で 協 議 し て 決 め て い る 。 2 ) 蓄 養 期 間 延 長 な ど の た め の 工 夫 ① ウ ニ ウ ニ は 、 で き る だ け 大 型 の 見 入 り の 良 い 個 体 を 採 捕 し た い た め 、 コ ン ブ 等 の 海 藻 が 多 く 繁 茂 す る 場 所 を 選 定 す る 。 当 初 、 ウ ニ は 水 槽 に 収 容 し て も 1 日 ∼ 2 日 、 長 く て も せ い ぜ い 3 日 で 死 ん で し ま い 、 蓄 養 は 旨 く い か な か っ た 。 水 槽 に 収 容 し た ウ ニ を よ く 観 察 し て み る と 、 早 く 死 ん で し ま う も の は 棘 が 欠 け る な ど の 損 傷 が あ る も の が 多 か っ た 。 潜 水 し な が ら 採 捕 し そ れ を タ モ 網 に 入 れ る と い う 方 法 で は 、 ど う し て も ウ ニ 同 士 が ぶ つ か り 合 っ た り 、 移 動 の 際 に 海 底 を 引 き 摺 っ て し ま う の が 原 因 と 考 え ら れ た の で 、 プ ラ ス チ ッ ク 製 の 蓋 付 き 篭 に 収 容 す る よ う 試 み た 。 そ の 結 果 、 最 低 で も 1 週 間 以 上 の 蓄 養 が 可 能 に な っ た 。 ② ア ワ ビ ア ワ ビ は 、 特 に 高 価 な の で 一 層 の 配 慮 が 求 め ら れ た 。 最 初 は 、 漁 業 者 が 従 来 か ら ア ワ ビ 採 り の 漁 具 と し て 使 用 す る 鉤 を 使 っ た が 、 数 日 で 1 割 以 上 が 死 ん で し ま っ た こ と か ら 、 隣 県 か ら 改 良 鉤 を 導 入 す る な ど し て み た が 思 う よ う な 効 果 は 得 ら れ な か っ た 。 そ の 後 試 行 錯 誤 を 重 ね 開 発 し た 、 現 在 の 専 用 ベ ラ は 、 ス テ ン レ ス 製 の 板 の 先 端 部 を 丸 く 削 り 、 更 に 幾 ら か の 角 度 を も た せ た も の で あ る 。 こ れ を 使 う よ う に な っ て か ら は 、 ほ ん の 数 % の 死 亡 率 に 抑 え ら れ る よ う に な っ た 。 図 4 ウ ニ 採 捕 の 工 夫 図 5 ア ワ ビ 鉤 の 工 夫

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図6  活魚館の扱い高

0

5,000

10,000

15,000

20,000

12

13

14

15

16

千円

活魚類 製品加工品

図7  活魚扱い高の構成

0% 20% 40% 60% 80% 100% 12 13 14 15 16 年

その他

ホヤ

ウニ

アワビ

イカ

③ ホ ヤ ホ ヤ は 、 夏 場 の 作 業 で あ る た め 、 沖 か ら 活 魚 館 に 搬 入 す る ま で の 間 は 、 ま め に 水 掛 け し 、 温 度 が 上 が ら な い よ う に 気 を 付 け て い る 。 ホ ヤ は 素 手 で 採 る が 、 岩 礁 に 付 い て い る も の は 引 き 剥 が す の が 大 変 で 、 採 捕 効 率 が 悪 く 、 ま た ホ ヤ 自 体 に も 負 担 が 大 き い と 考 え ら れ た 。 こ の た め 岩 の 隙 間 な ど に 張 り 付 く も の で は な く 、 魚 礁 な ど で き る だ け 平 ら な 場 所 に 付 い て い る も の を 、 根 元 か ら 一 気 に こ そ げ 落 と す よ う な 感 じ で 採 っ て い る 。 ④ ス ル メ イ カ 現 在 、正 式 に は 船 主 組 合 が 依 頼 さ れ て い る ス ル メ イ カ 活 魚 の 提 供 に お い て も 、 研 究 会 員 が メ ン バ ー を 兼 ね て い る こ と も あ り 、 漁 獲 時 の 扱 い 方 、 船 倉 の 収 容 密 度 、 荷 受 時 の 受 け 渡 し 方 、 水 槽 の 照 明 な ど 蓄 養 期 間 を 延 ば す た め 意 見 を 出 し 合 い 対 応 し て お り 、 今 の と こ ろ 4 日 間 の 蓄 養 が 可 能 と な っ て い る 。 6 . 波 及 効 果 我 々 研 究 会 等 が 協 力 し て き た 活 魚 館 の 取 扱 高 は 、 平 成 1 5 年 に は イ カ の 不 漁 に よ っ て 扱 い 高 が 減 少 し た も の の 、 開 館 し た 平 成 1 3 年 以 降 1 , 0 0 0 万 円 ∼ 1 , 5 0 0 万 円 で 推 移 し 、 平 成 1 6 年 で は 漁 協 事 業 収 益 の 4 % 、 利 益 の 2 % を 占 め る に 至 っ て い る 。 (図 6 , 7 ) 天 候 の 良 い 日 で な け れ ば 、 潜 水 は で き な い の で 、 注 文 が あ っ て も 品 物 が な い こ と も あ る が 、 や り 方 次 第 で は 今 後 の 扱 い 量 を 更 に 増 や せ る 可 能 性 が あ る も の と 考 え て い る 。 ま た 、 頻 繁 に 潜 水 す る こ と に よ っ て 、 自 分 た ち の 地 先 の 磯 根 資 源 の 状 況 を 把 握 で き る こ と か ら 、 次 回 の 潜 水 時 に は ス ム ー ズ な 採 捕 作 業 が 行 な え る よ う に な り 、 体 力 的 に も 幾 分 楽 に な っ た 。 更 に 、 潜 水 に よ っ て 得 た こ れ ら の 情 報 は 漁 協 に 提 供 し て い る の で 、 漁 協 の 磯 根 資 源 の 管 理 ・ 採 捕 計 画 に も 役 立 っ て い る 。

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地 産 資 源 の 付 加 価 値 向 上 を 図 る 取 組 み は 、 ま だ 始 ま っ た ば か り で あ る が 、 将 来 的 に は 漁 協 並 び に 漁 家 経 営 の 向 上 に 結 び つ く も の で あ る と の 考 え は 、 活 魚 館 の 開 設 を 契 機 と し て 、 漁 協 の 下 部 組 織 で あ る 我 々 研 究 会 は も ち ろ ん 、 船 主 組 合 、 女 性 部 な ど 漁 協 の 組 合 員 全 体 に 強 く 浸 透 し 始 め て い る 。 7 . 今 後 の 課 題 漁 業 研 究 会 員 の 多 く は 、 主 に い か 釣 り 漁 業 に 従 事 し て お り 、 漁 が 本 格 化 す る 6 月 か ら 1 2 月 の 期 間 は 、 定 め ら れ た 休 漁 日 (6∼ 8 月 は 毎 週 土、 9∼ 10 月 は 第 2、 4 土 ) と 時 化 の 日 以 外 は 、 ほ と ん ど 出 漁 ( AM3 時 ∼ PM4 時 頃 ) し て い る 。 潜 水 作 業 1 回 に 要 す る 時 間 は 、 出 航 か ら 帰 港 ま で 約 7 時 間 を 費 や す こ と か ら 、 月 数 回 と は 言 え 、 出 漁 の 合 間 に 行 な う 4 月 ∼ 1 2 月 の 長 期 間 の 潜 水 作 業 は 決 し て 楽 で は な い 。 こ の た め 、 潜 水 士 免 許 を 持 っ て い る 者 が 8 名 い る が 、 次 第 に 採 捕 す る 人 が 固 定 化 さ れ て き て い る 。 ま た 、長 期 的 に 漁 獲 量 が 漸 減 し 、魚 価 が 低 迷 し て い る 昨 今 の 厳 し い 状 況 を 見 れ ば 、 地 産 資 源 を ど の よ う に 活 用 し て い け ば よ い の か は 、 我 々 漁 業 者 に と っ て の 大 き な 課 題 で あ る 。 白 糠 漁 協 は 老 朽 化 し た 荷 捌 き 施 設 に 代 え て 、 新 た に 外 来 い か 釣 り 船 の 誘 致 を 図 る た め 、休 憩機 能 を 備 え た 新 た な 荷 捌 き 施 設 を 建 築 中 で あ り 、 来 春 の オ ー プ ン を 目 指 し て い る 。 人 の 出 入 り の 増 加 に 伴 い 、 活 魚 館 で 扱 う 品 々 の 需 要 の 増 大 が 見 込 ま れ る の で 、 訪 れ る 人 々 に 対 し 地 産 の 品 々 の 特 徴 や 美 味 し い 食 べ 方 の 情 報 提 供 な ど の 新 た な 活 動 も 展 開 し つ つ 、 同 時 に そ れ に 見 合 っ た 供 給 体 制 を し っ か り と 確 立 で き る よ う 、 今 後 も 積 極 的 に 活 動 し て い き た い と 考 え て い る 。

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図 2 尻 屋 漁 協 に お け る 漁 獲 金 額 の 推 移 図 3 尻 屋 漁 協 に お け る コ ン ブ 漁 獲 量 の 推 移 図 1 尻 屋 の 位 置 0 2 4 6 8 10 12 14 昭和45 50 55 60 2 7 12 漁 獲 金 額 ( 億 円 ) 磯根資源 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 昭和45 50 55 60 2 7 12 金 額 ( 億 円 ) 0 50 100 150 200 250 数 量 ( ト ン ) 金額 数量

空 ウ ニ を 活 用 し コ ン ブ を 増 や す

− 一 石 二 鳥 の 技 術 開 発 へ の 挑 戦 −

尻 屋 漁 業 研 究 会 養 殖 部 長 南 谷 み な み や 直 樹 な お き 1 . 地 域 の 概 況 東 通 村 尻 屋 は 青 森 県 下 北 半 島 北 東 端 に 位 置 し 、 尻 屋 崎 灯 台 か ら 津 軽 海 峡 及 び 太 平 洋 へ そ れ ぞ れ 3 ㎞ 、 全 長 6 ㎞ の 海 岸 線 が あ る 。 周 辺 海 域 は 津 軽 暖 流 と 親 潮 が 交 じ り 合 う た め 、 豊 か な 漁 場 が 形 成 さ れ て お り 、 ま た 沿 岸 域 の 大 部 分 は 起 伏 に 富 ん だ 岩 礁 域 と な っ て い る こ と か ら 、 特 に ア ワ ビ 、 ウ ニ 、 コ ン ブ 、 ワ カ メ 、 フ ノ リ 等 の 磯 根 資 源 に 恵 ま れ て い る 。 2 . 漁 業 の 概 要 尻 屋 漁 協 は 平 成 17 年 現 在 、漁 家 戸 数 39 戸 で 78 名 の 正 組 合 員 で 構 成 さ れ て い る 。 漁 業 の 形 態 は 、 イ カ 釣 り 、 マ ス 一 本 釣 り 、 タ コ 樽 流 し 等 の 漁 船 漁 業 、 サ ケ の 大 型 ・ 小 型 定 置 網 漁 業 の ほ か 、 ア ワ ビ 、 ウ ニ 、 コ ン ブ 、 フ ノ リ 採 り 等 の 採 貝・採 草 漁 業 を 組 み 合 わ せ て お り 、 周 年 従 事 し て い る 。 平 成 16 年 の 漁 獲 量 は 1,919 ト ン 、金 額 で は 7 億 9,200 万 円 と な っ て い る 。 3 . 組 織 と 運 営 私 た ち の 尻 屋 漁 業 研 究 会 は 昭 和 38 年 に 発 足 し 、 現 在 会 員 は 30 名 で 、 養 殖 ・ 漁 労 ・ 加 工 ・ 気 象 の 4 部 門 か ら 成 り 、 漁 場 管 理 の 実 践 ・ 漁 労 技 術 の 向 上 を 目 的 に 活 動 を 行 っ て い る 。 現 在 の 主 な 活 動 に は 、磯 根 資 源 調 査 、 海 浜 清 掃 、 タ コ の 資 源 管 理 、 コ ン ブ 養 殖 試 験 、 稚 貝 ア ワ ビ の 放 流 、 漁 場 環 境 調 査 、 ウ ニ 身 入 り 調 査 、 小 学 生 等 の 水 −24−

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移 殖 場 所 図 4 調 査 地 点 図 移 殖 元 産 教 室 支 援 、 潜 水 免 許 取 得 が あ り 、 こ の 他 、 組 合 か ら 委 託 を 受 け て ウ ニ 、 ア ワ ビ を 採 取 し 、 漁 協 経 営 の 向 上 に 貢 献 し て い る 。 4 . 活 動 課 題 選 定 の 動 機 尻 屋 漁 協 で は ウ ニ や コ ン ブ な ど の 磯 根 資 源 へ の 依 存 度 が 高 い 。 し か し 、 近 年 、 ウ ニ の 魚 価 は 下 落 し て い る 。 ま た 、 コ ン ブ の 漁 獲 量 は 年 変 動 が 大 き い こ と か ら 、 漁 業 収 入 が 安 定 せ ず 、 計 画 的 な 漁 業 経 営 の た め に も 生 育 量 を 増 加 さ せ る 必 要 性 が 出 て き た 。 そ こ で 、昭 和 57 年 か ら 増 養 殖 研 究 所 、む つ 水 産 事 務 所 と 一 緒 に 行 っ て き た 磯 根 資 源 調 査 の 結 果 を よ く 調 べ て み た と こ ろ 、尻 屋 地 先 に は コ ン ブ 場 の ほ か ア タ カ 島 付 近 の「 磯 焼 け 状 態 の 場 所 」 と 、「 雑 海 藻 」 に 覆 わ れ た 場 所 が あ る こ と が わ か っ た 。 こ の 磯 焼 け 場 に は 大 量 の ウ ニ ( キ タ ム ラ サ キ ウ ニ ) が 生 息 し て お り 、 こ れ ら の ウ ニ は 空 ウ ニ と 呼 ば れ 、 身 入 り や 色 合 い が 悪 く 、 商 品 価 値 が な い 。 こ れ ま で の 研 究 会 の 調 査 か ら も 、 ウ ニ を 駆 除 す れ ば 磯 焼 け が 回 復 す る こ と は わ か っ て い る が 、 こ れ ら の ウ ニ の 有 効 利 用 に つ い て は 検 討 し て こ な か っ た 。 そ こ で 研 究 会 で は 、 空 ウ ニ を 雑 海 藻 場 に 放 流 し て 再 捕 す れ ば 、 ウ ニ の 身 入 り を 向 上 さ せ 、 こ れ を 再 捕 し た あ と に コ ン ブ が 生 育 す る の で は な い か と 考 え 、 空 ウ ニ を 利 用 し コ ン ブ を 増 や す た め の 技 術 の 開 発 に 取 り 組 ん だ 。 5 . 研 究 ・ 実 践 活 動 状 況 及 び 成 果 こ の 試 験 で は 、 空 ウ ニ を 雑 海 藻 場 に 移 殖 し 、 再 捕 し た あ と に ど れ だ け コ ン ブ が 発 生 ・ 生 育 す る か を 調 べ る た め に 、 以 下 の 内 容 で 調 査 を 行 っ た 。 1) 調 査 内 容 ① 空 ウ ニ 移 殖 調 査 水 深 約 5∼ 7m の 雑 海 藻 場( タ ン バ ノ リ 群 落 ) に 、 平 成 16 年 11 月 6 日 に ア タ カ 島 付 近 の 磯 焼 け 場 よ り ウ ニ 3,000 個 を 採 捕 し 、移 殖 し た 。 そ の 後 、平 成 17 年 3 月 1 日 に 、移 殖 し た ウ ニ を 再 捕 し 、 底 質 の 状 況 を 観 察 し 、 写 真 撮 影 し た 。 ま た 、 ア タ カ 島 付 近 の 移 殖 元 に お い て も ウ ニ を 採 捕 し 、 移 殖 し た ウ ニ と の 生 殖 腺 指 数 の 比 較 を 行 っ た 。 ② コ ン ブ 生 育 状 況 調 査 平 成 17 年 7 月 16 日 に 、 移 殖 場 所 に 発 生 し た コ ン ブ の 生 育 量 を 把 握 す る た め に 、 潜 水 に よ る コ ン ブ 群 落 の 目 視 観 察 ・ ス ケ ッ チ を 行 っ た 。 ま た 、 移 殖 場 所 の 4 地 点 か ら 海 藻 類 の 枠 取 り 採 取 を 行 い 、 比 較 の た め に 付 近 の 水 深 6∼ 7m の 移 殖 し た ウ ニ の 影 響 の な い 場 所 か ら も 同 様 に 海 藻 類 の 枠 取 り 採 取 を 行 っ た 。 N 4 1 ° 2 4 . 6 42 ′ E 1 4 1 ° 2 8 . 27 6 ′ ウ ニ を 移 殖 −25−

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写 真 1 ウ ニ 再 捕 前 の 移 殖 場 所 図 6 移 殖 場 所 と 移 殖 し な か っ た 場 所 に お け る 海 藻 生 育 重 量 図 5 キ タ ム ラ サ キ ウ ニ 測 定 結 果 図 7 コ ン ブ 群 落 の 生 育 位 置 と 範 囲 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 シ オ グ サ 属 の 1種 エ ゾ ヤ ハ ズ ケ ウ ル シ グ サ ワ カ メ ス ジ メ マ コ ン ブ イ ソ キ リ マ ク サ カ ギ ケ ノ リ タ ン バ ノ リ タ オ ヤ ギ ソ ウ ハ イ ウ ス バ ノ リ イ カ ノ ア シ エ ゾ ナ メ シ イ ソ ム ラ サ キ 生 息 量 (g /㎡ ) 移殖しなかった場所 移殖場所 0 1 2 3 4 5 6 7 0- 1- 2- 3- 4- 5- 6- 7- 8- 9- 10- 11- 12- 13-生殖腺指数(%) 個 体 数 ( 個 ) 身入りが増加したウニ 空ウニ 2 ) 調 査 結 果 ① 空 ウ ニ 移 殖 調 査 移 殖 場 所 に は タ ン バ ノ リ 群 落 は な く な り 、 ウ ニ の 摂 餌 に よ る 裸 地 面 が 形 成 さ れ て い た 。 こ こ か ら 再 捕 し た ウ ニ の 総 個 体 数 は 、 2,416 個 で あ っ た 。 再 捕 し た ウ ニ の 生 殖 腺 指 数 は 3.5∼ 13.1% の 範 囲 に あ り 、移 殖 元 の 空 ウ ニ の 生 殖 腺 指 数 0.2∼ 4.1% に 比 較 す る と 、 明 ら か に 身 入 り が よ く な っ て い た ( 図 5)。ま た 、 色 合 い も 移 殖 場 所 の も の の 方 が 移 殖 元 よ り も 明 る い 橙 色 を 示 し た 。 こ の よ う に 、 移 殖 場 所 で 再 捕 し た ウ ニ は 移 殖 元 と 比 べ る と 生 殖 腺 の 増 重 が 認 め ら れ た が 、 商 品 価 値 の 目 安 と な る 15% ま で に は 至 ら な か っ た 。一 方 、平 成 15 年 11 月 ∼ 16 年 3 月 に 行 っ た 予 備 調 査 で は 、 タ ン バ ノ リ 群 落 か ら 再 捕 し た ウ ニ の 生 殖 腺 指 数 は 16.1% を 示 し 、殻 付 で 700 円 /㎏ で 販 売 で き た 。今 回 の 試 験 で 移 殖 し た ウ ニ の 身 入 り が 思 っ た よ り も 増 加 し な か っ た こ と か ら 、 今 後 は 移 殖 密 度 、 再 捕 時 期 等 の 検 討 が 必 要 と 考 え ら れ た 。 ② コ ン ブ 生 育 状 況 調 査 移 殖 場 所 に は コ ン ブ ( 全 て 1 年 目 藻 体 ) の 生 育 が 認 め ら れ 、 そ の 影 響 範 囲 は 南 北 65m、 東 西 30m で あ り 、 約 0.25∼ 17 ㎡ の 面 積 で 約 28 群 落 が 点 在 し て い た ( 図 6、 7)。 枠 取 り し た 4 ヶ 所 の 中 に は コ ン ブ の 生 育 が 認 め ら れ な か っ た 所 が あ っ た も の の 、 平 均 生 育 密 度 は 8.8 個 体 /㎡ 、 779g/㎡ で 、 多 か っ た と こ ろ で は 18.0 個 体 /㎡ 、 1776.4g/㎡ で あ っ た 。 こ の ほ か ワ カ メ 群 落 が 形 成 さ れ て い た 。 一 方 、 移 殖 し な か っ た 場 所 で は コ ン ブ の 生 育 密 度 は 0.5 個 体 /㎡ 、 74.5g/㎡ で あ っ た 。 N 図 1 マコンブ群落の生育位置と範囲 30m 65m −26−

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写 真 2 移 殖 場 所 に 形 成 さ れ た コ ン ブ 群 落 ( 左 ) と 移 殖 し な か っ た 場 所 ( 右 ) 表 1 単 位 面 積 当 た り の 海 藻 枠 取 り 調 査 結 果( 移 殖 場 所 ) 表 2 単 位 面 積 当 た り の 海 藻 枠 取 り 調 査 結 果( 移 殖 し な か っ た 場 所 ) 註 ) I .: 個 体 数 、 W .: 重 量 、 転 石 : 長 径 10 ㎝ 以 上 、 礫 : 長 径 10 ㎝ 未 満 区分 調査地点 水深(m)/底質 綱 目 科 属 種    測定項目 I. W. I. W. I. W. I. W. I. W. 緑藻 シオグサ シオグサ シオグサ 0.4 8.6 2.3 褐藻 アミジグサ アミジグサ ヤハズグサ ウルシグサ ウルシグサ ウルシグサ 9.2 2.3 コンブ チガイソ ワカメ 2.0 34.4 18.0 6228.0 0.8 291.6 5.2 1638.5 コンブ スジメ コンブ 18.0 1776.4 16.8 1336.2 0.4 3.8 8.8 779.1 紅藻 サンゴモ サンゴモ イソキリ 56.5 14.1 テングサ テングサ テングサ 53.0 32.0 21.3 カギケノリ カギケノリ カギケノリ スギノリ ムカデノリ ムカデノリ 3.0 1988.8 498.0 イボノリ イボノリ 3.5 0.9 ミリン エゾナメシ 14.5 3.6 マサゴシバリ マサゴシバリ タオヤギソウ イギス コノハノリ ハイウスバノリ フジマツモ コザネモ 3.4 0.9 18.0 1786.7 18.8 1446.8 18.0 6269.2 1.2 2340.8 14.0 2960.9 ハイウスバノリ イソムラサキ タンバノリ イカノアシ エゾナメシ タオヤギソウ マコンブ イソキリ マクサ カギケノリ エゾヤハズ ケウルシグサ ワカメ スジメ 平均 6.8m/転石,岩盤,礫 6.2m/転石,岩盤,礫 6.4m/転石,岩盤,礫 6.7m/転石,岩盤,礫 St.-1 St.-2 シオグサ属の1種 合 計 移殖場所 St.-3 St.-4 区分 調査地点 水深(m)/底質 綱 目 科 属 種    測定項目 I. W. I. W. I. W. I. W. I. W. 緑藻 シオグサ シオグサ シオグサ 2.7 0.7 褐藻 アミジグサ アミジグサ ヤハズグサ 2.9 0.7 ウルシグサ ウルシグサ ウルシグサ 53.8 13.5 コンブ チガイソ ワカメ 0.2 7.8 0.4 46.8 1.2 781.5 0.5 209.0 コンブ スジメ 0.4 15.8 0.2 11.2 0.2 6.7 コンブ 0.2 0.2 1.6 298.0 0.5 74.5 紅藻 サンゴモ サンゴモ イソキリ 8.1 2.0 テングサ テングサ テングサ 34.9 8.7 カギケノリ カギケノリ カギケノリ 6.2 1.6 スギノリ ムカデノリ ムカデノリ 60.4 15.1 イボノリ イボノリ ミリン エゾナメシ マサゴシバリ マサゴシバリ タオヤギソウ 28.5 0.9 7.3 イギス コノハノリ ハイウスバノリ 3.8 1.0 フジマツモ コザネモ 0.2 36.3 0.8 66.4 1.4 879.6 1.8 381.1 1.1 340.9 イソムラサキ イカノアシ エゾナメシ タオヤギソウ ハイウスバノリ イソキリ マクサ カギケノリ タンバノリ ケウルシグサ ワカメ スジメ マコンブ シオグサ属の1種 エゾヤハズ 合 計 St.-3 St.-4 平均 移殖しなかった場所 5.0m/転石,岩盤,礫9.7m/転石,岩盤5.2m/転石,礫 10.3m/岩盤 St.-1 St.-2 移 殖 場 所 内 の 4 地 点 か ら 採 取 さ れ た 植 物 は 、 緑 藻 綱 1 種 ( シ オ グ サ の 1 種 )、 褐 藻 綱 3 種 ( ケ ウ ル シ グ サ 、 ワ カ メ 、 マ コ ン ブ )、 紅 藻 綱 6 種 ( イ ソ キ リ 、 マ ク サ 、 タ ン バ ノ リ 、 イ カ ノ ア シ 、 エ ゾ ナ メ シ 、 イ ソ ム ラ サ キ ) の 計 10 種 で 、 平 均 2,960g/㎡ で あ っ た( 表 1)。 一 方 、 移 殖 し な か っ た 場 所 内 の 4 地 点 か ら 採 取 さ れ た 植 物 は 、緑 藻 綱 1 種 ( シ オ グ サ 属 の 1 種 )、褐 藻 綱 5 種( エ ゾ ヤ ハ ズ 、 ケ ウ ル シ グ サ 、ス ジ メ 、ワ カ メ 、 マ コ ン ブ )、紅 藻 鋼 6 種( イ ソ キ リ 、マ ク サ 、カ ギ ケ ノ リ 、タ ン バ ノ リ 、タ オ ヤ ギ ソ ウ 、ハ イ ウ ス バ ノ リ )計 12 種 で 、生 育 量 は 平 均 340g/㎡ で あ っ た ( 表 2)。 −27−

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写 真 3 研 究 会 に よ る 調 査 の 様 子 3) 空 ウ ニ 移 殖 放 流 の 成 果 身 入 り の 悪 い 空 ウ ニ を 雑 海 藻 場 に 移 殖 放 流 し 、こ れ を 摂 餌 さ せ た 結 果 、3 月 上 旬 に は 見 か け 上 の 裸 地 面 が 形 成 さ れ 、こ の 裸 地 面 に は ウ ニ の 食 害 を 免 れ た コ ン ブ の 発 生・生 育 が 認 め ら れ た 。 ま た 、空 ウ ニ を 雑 海 藻 場 へ 移 殖 し た こ と に よ り 生 殖 腺 指 数 が 上 が り 、 色 合 い も よ く な っ た 。 こ の よ う に 、 コ ン ブ 生 育 量 を 増 や し な が ら 空 ウ ニ の 質 を 向 上 さ せ る 、 と い う 一 石 二 鳥 の 管 理 技 術 が で き た 。 こ の 試 験 で は 磯 焼 け 回 復 と ま で い か な か っ た が 、 今 後 も 追 跡 調 査 を 続 け 、 さ ら に 改 善 を 重 ね る こ と に よ り 、 こ の 漁 場 管 理 技 術 が 有 効 な も の と な る 確 か な 感 触 を 掴 む こ と が で き た 。 6 . 波 及 効 果 今 回 の 試 験 で 、 ウ ニ の 移 殖 ・ 漁 獲 に よ る 管 理 に よ っ て 積 極 的 に コ ン ブ を 発 生 ・ 生 育 さ せ る こ と が 可 能 で あ る こ と が わ か っ た 。 こ の こ と は 、 漁 業 収 入 の 安 定 だ け で な く 、 コ ン ブ 漁 場 を 将 来 に わ た り 維 持 し て い く た め に も 重 要 な 意 味 を 持 つ 。 ま た 、 こ の 管 理 技 術 に よ り ウ ニ の 品 質 を 向 上 さ せ 、高 く 売 る こ と に よ り 漁 業 収 入 の 増 加 が 期 待 さ れ る 。 7 . 今 後 の 課 題 こ の 調 査 で 、 形 成 さ れ た コ ン ブ 群 落 の 沖 側 に は 多 く の キ タ ム ラ サ キ ウ ニ が 生 息 し て い る こ と が 目 視 観 察 さ れ 、 せ っ か く 形 成 さ れ た コ ン ブ 群 落 も 、 放 置 す る と ウ ニ に 食 害 さ れ る こ と が 考 え ら れ た 。 こ の た め 、 コ ン ブ 群 落 の 維 持 に は 移 殖 場 所 周 辺 の ウ ニ の 駆 除 や 漁 獲 管 理 を 徹 底 し て い く 必 要 が あ る 。 ま た 、 移 殖 し た ウ ニ を 販 売 で き る 品 質 ま で 身 入 り さ せ る た め に 、 移 殖 密 度 や 移 殖 時 期 に つ い て さ ら に 検 討 し て い く 。 私 た ち の 研 究 会 で は 、 豊 か な 磯 を 守 っ て い く た め 、 今 後 も ウ ニ を 計 画 的 に 漁 獲 し 、 移 殖 放 流 を 継 続 し て コ ン ブ を 増 や す よ う に 努 め て い き た い 。 そ し て 、 こ の よ う な 活 動 を 続 け な が ら 得 ら れ た 知 見 や 情 報 を 、 東 通 村 漁 業 連 合 研 究 会 等 を 通 じ て 周 辺 漁 協 に も 伝 え て い き た い と 考 え て い る 。 −28−

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十 三 湖 シ ジ ミ の 安 定 生 産 を 目 指 し て

− 生 産 部 会 活 動 は じ め の 一 歩 −

車 力 し じ み 生 産 部 会 会 長 尾 野お の 明 彦あ き ひ こ 1 . 地 域 の 概 況 車 力 し じ み 生 産 部 会 が 所 属 す る 車 力 漁 業 協 同 組 合 は 、 本 県 西 北 部 に 位 置 す る つ が る 市 に あ る 。 つ が る 市 は 、 平 成 1 7 年 2 月 1 1 日 に 木 造 町 、 森 田 村 、 柏 村 、 稲 垣 村 、 車 力 村 の 5 町 村 が 合 併 し て 誕 生 し た 新 し い 市 で ( 図 1)、人 口 は 約 4 万 人 で あ る 。 主 な 産 業 は 開 拓 新 田 で 営 ま れ る 農 業 で あ り 、 漁 業 は つ が る 市 の 北 側 に 接 す る 十 三 湖 で 内 水 面 漁 業 が 、 日 本 海 を 臨 む つ が る 市 西 側 の 七 里 長 浜 沖 で は 、 海 面 漁 業 が 営 ま れ て い る 。 2 . 漁 業 の 概 要 車 力 漁 業 協 同 組 合 は 、 内 水 面 と 海 面 の 両 方 に 漁 場 を 持 つ 漁 協 で あ り 、 内 水 面 で は シ ジ ミ 漁 業 、 海 面 で は 底 建 網 漁 業 が 営 ま れ て い る 。 現 在 の 組 合 員 数 は 、 正 組 合 員 1 2 8 人 、 準 組 合 員 1 8 2 人 の 計 3 1 0 人 で 、 こ の 内 6 1 人 の 組 合 員 が シ ジ ミ 漁 業 を 営 ん で い る 。 漁 協 全 体 の 水 揚 の ほ と ん ど が ヤ マ ト シ ジ ミ で 占 め ら れ( 図 2 )、 平 成 1 4 年 度 に は 1 , 0 1 2 ト ン 、 6 3 3 , 9 5 0 千 円 と 過 去 最 高 を 示 し た が 、 平 成 1 6 年 度 は 出 荷 サ イ ズ 貝 の 水 揚 が 思 わ し く な か っ た こ と か ら 自 主 規 制 を 行 っ た た め 、 4 7 8 ト ン 、 3 4 3 , 5 6 6 千 円 に と ど ま っ た ( 図 3 )。 ま た 、 十 三 湖 で は 車 力 漁 協 と 共 に 十 三 漁 協 も シ ジ ミ 漁 業 を 営 ん で い る 。 車力 十三湖 つがる市 図1 位置図 車力 十三湖 つがる市 図1 位置図 図2 平成16年度の水揚状況 478,332 343,566,250 21,217 20,867,509 0% 20% 40% 60% 80% 100% 水揚量(kg) 水揚金額(円) ヤマトシジミ ヤリイカ他 図3 車力漁協水揚推移 0 200 400 600 800 1,000 1,200 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 年度(4月∼3月) 水 揚 量 (k g) 0 100 200 300 400 500 600 700 水 揚 金 額 (百 万 円 ) 水揚量(kg) 水揚金額(円) −29−

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3 . 研 究 グ ル ー プ の 組 織 と 運 営 当 生 産 部 会 は 、 シ ジ ミ の 安 定 生 産 を 目 指 す 漁 業 者 1 3 名 で 組 織 さ れ 、 会 の 運 営 は 会 費 と 漁 協 の 助 成 金 で ま か な っ て い る 。 当 初 は 同 好 会 的 集 ま り で 、 漁 協 よ り 無 償 提 供 を 受 け た 水 槽 や 自 分 た ち で 持 ち 寄 っ た 機 材 な ど を 使 っ て 、 生 産 試 験 や 生 態 調 査 を 行 っ て い た が 、 こ の 活 動 が 漁 協 に 認 め ら れ 、 平 成 1 7 年 3 月 に 「 車 力 し じ み 生 産 部 会 」 と し て 漁 協 の 傘 下 団 体 と な っ た 。 ま た 、 今 年 度 は 全 国 豊 か な 海 づ く り 推 進 協 会 に よ る 平 成 1 7 年 度 漁 協 等 実 践 活 動 助 成 事 業 と し て 採 択 を 受 け 、 試 験 ・ 調 査 を 続 け て い る と こ ろ で あ る 。 現 在 、 当 部 会 は 2 2 歳 か ら 4 3 歳 ま で 漁 業 者 で 構 成 さ れ る 平 均 年 齢 3 6 歳 の 若 い 研 究 会 で あ り 、 こ の 若 さ と 活 気 で 試 験 ・ 調 査 に 取 り 組 ん で い る 。 4 . 研 究 ・ 実 践 活 動 課 題 選 定 の 動 機 十 三 湖 シ ジ ミ は 、 ブ ラ ン ド 化 に 向 け た 取 り 組 み 等 に よ る 全 国 的 知 名 度 の 高 ま り や 、 最 近 の 消 費 者 の 健 康 志 向 に よ り 、 こ こ 4 , 5 年 で 急 激 に 単 価 が 伸 び ( 図 4 )、 平 成 8 年 度 に は 3 5 2 円 / k g だ っ た も の が 、 平 成 1 6 年 度 で は 7 1 8 円 と 2 倍 強 に な っ て い る 。 こ の シ ジ ミ に つ い て は 、 車 力 ・ 十 三 両 漁 協 で 組 織 す る 十 三 湖 漁 場 管 理 委 員 会 に お い て 、1 日 1 人 当 た り の 水 揚 量 の 制 限 や 休 漁 区・禁 漁 区 設 置 な ど に よ り資 源 の 管 理 に 努 め て い る 。 ま た 、 十 三 漁 協 に 所 属 す る 十 三 漁 協 漁 業 研 究 会 に お い て 、 1 0 日 ご と に 十 三 湖 の 水 温 ・ 塩 分 を 測 定 し て い る 他 、 県 内 水 面 研 究 所 で は 資 源 状 態 の 把 握 に 努 め て い る 。 し か し な が ら 、十 三 湖 シ ジ ミ の 生 態 、特 に 成 長 に つ い て は こ れ ま で あ ま り 調 査 が な さ れ て こ な か っ た よ う に 思 う 。 一 部 の 報 告 で は 十 三 湖 シ ジ ミ が 出 荷 サ イ ズ ( 殻 長 2 0 m m 弱 ) に な る ま で 6 , 7 年 か か る と さ れ て い る 。 だ が 我 々 は 、 毎 年 6 月 に は 出 荷 サ イ ズ に 満 た な か っ た も の が 、 9 月 に な る と 出 荷 サ イ ズ と し て 水 揚 で き る よ う に な る 、 と 感 じ て い た た め 、 こ の 年 数 に は 疑 問 が あ っ た 。 こ れ に つ い て 、 自 分 た ち な り に 調 べ る こ と は で き な い だ ろ う か ? こ の 疑 問 を 解 決 す る た め 、 当 部 会 で は 「 十 三 湖 シ ジ ミ の 成 長 を 知 る 」 と い う こ と を 主 目 的 に 置 き 、 試 験 調 査 を 行 う こ と と し た 。 十 三 湖 シ ジ ミ が ど れ く ら い で 出 荷 サ イ ズ に な る か わ か れ ば 、 効 率 的 な 漁 業 に つ な げ る こ と も で き る だ ろ う 。 な お 、 成 長 に つ い て は 、 着 底 し て 間 も な い 頃 か ら 成 長 を 観 察 で き れ ば ベ ス ト と 考 え ら れ た た め 、 ま ず 、 着 底 稚 貝 を 得 る た め の 種 苗 生 産 試 験 に 取 り 組 む こ と と し た 。 5 . 研 究 ・ 実 践 活 動 状 況 及 び 成 果 ( 1 ) 人 工 産 卵 誘 発 に よ る 種 苗 生 産 ま ず 、 人 為 的 な 刺 激 を 与 え る こ と で 産 卵 を 誘 発 で き る か 試 み た 。 図4 単価の変動 300 400 500 600 700 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 年度 単 価 (円 /k g) 単価 −30−

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1 0 リ ッ ト ル の 小 型 水 槽 を 十 三 湖 の 湖 水 で 満 た し 、 こ れ に 殻 長 2 0 m m 以 上 の 親 貝 数 十 個 を 入 れ た 。 産 卵 刺 激 は 水 温 並 び に 塩 分 濃 度 の 上 昇 で 対 応 し た 。 ま た 、 水 槽 は 暗 幕 で 覆 っ た 。 水 温 2 5 ℃ 、 塩 分 1 % に な っ て か ら 1 時 間 後 、 写 真 1 の よ う に 一 部 の オ ス が 放 精 を 開 始 し た 。 初 め は ゴ ミ に 見 え た が 、 時 間 が た つ に つ れ 写 真 2 の よ う に 精 子 に よ る 水 の 白 濁 を 確 認 で き た 。 ま た 、 水 の 中 に は 受 精 卵 も 存 在 し て お り 、 こ れ を 顕 微 鏡 で 観 察 す る こ と が で き た ( 写 真 3 )。 水 揚 さ れ た シ ジ ミ は 見 慣 れ て い る 我 々 だ が 、 シ ジ ミ が 生 ま れ ( 放 精 ・ 放 卵 さ れ )、 受 精 卵 が で き た 様 子 を 見 る の は 初 め て の 経 験 で あ り 、 大 変 感 動 し た 。 ( 2 ) 屋 外 水 槽 に よ る 簡 便 な 採 苗 法 の 検 討 屋 外 2 ト ン 円 形 水 槽 に 、 籠 に 入 っ た 親 貝 数 十 個 を 垂 下 し 、 湖 水 を か け 流 す こ と に よ り 、 シ ジ ミ 種 苗 が よ り 簡 便 に 得 ら れ る か 試 み た 。 平 成 1 6 年 の 7 月 に 親 貝 の 垂 下 を 開 始 し 、 同 年 1 0 月 に 底 に た ま っ た 泥 を す べ て か き 出 し て 観 察 し た と こ ろ ( 写 真 4 )、 か な り の 数 の 稚 貝 が 確 認 さ れ た ( 写 真 5 )。 こ の 稚 貝 の 主 な 由 来 は 水 槽 内 で 生 ま れ た も の と 思 わ れ る が 、 湖 か ら 直 接 供 給 さ れ た 幼 生 も 写 真 1 : 放 精 写 真 2 : 放 精 に よ る 白 濁 写 真 3 : 顕 微 鏡 観 察 写 真 4 : 泥 を ふ る い に か け る 写 真 5 : 確 認 さ れ た 稚 貝 −31−

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あ る 程 度 あ っ た と 考 え ら れ る 。 十 三 湖 は 水 深 が 浅 い た め ( 最 深 部 で 2 m 弱 )、 ホ タ テ ガ イ の よ う な ノ レ ン 方 式 に よ る 天 然 採 苗 は で き な い 。 だ が 、 今 回 の よ う な 陸 上 水 槽 を 用 い た 採 苗 な ら ば 簡 便 に 種 苗 を 確 保 で き る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ( 4 ) 稚 貝 成 長 試 験 平 成 1 6 年 1 0 月 に 簡 便 採 苗 法 で 得 ら れ た 稚 貝 を 4 m m 目 合 い の ふ る い で 選 別 を か け た と こ ろ 、 4 ∼ 1 0 m m の 稚 貝 が 1 0 , 0 0 0 個 程 度 得 ら れ た ( 写 真 6 ) の で 、 1 0 0 個 入 り 一 籠 を 各 部 会 員 に 割 り 当 て ( 写 真 7 )、天 然 漁 場 で 成 長 試 験 を 行 っ た( 計 1 , 6 0 0 個 )。途 中 、時 化 に よ る 試 験 か ご の 流 失 に み ま わ れ た が 、 平 成 1 7 年 4 月 ま で に 4 7 0 個 の 稚 貝 を 残 す こ と が で き た 。 続 く 4 月 ∼ 1 0 月 ま で は 屋 外 円 形 水 槽 で 飼 育 を 継 続 し た 。 結 果 を 図 5 に 示 す ( 試 験 開 始 直 後 に 幼 生 が 産 出 し た も の と し て 、 1 回 目 の 測 定 の 1 2 月 1 5 日 ま で を 破 線 で 示 し て い る )。こ の 結 果 よ り 、 試 験 に 用 い た 稚 貝 は 、 平 成 1 7 年 1 0 月 に は 殻 長 1 9 m m に 達 す る こ と が わ か っ た 。 つ ま り 、 平 成 1 6 年 7 月 か ら 平 成 1 7 年 1 0 月 ま で の 約 1 6 ヶ 月 で 出 荷 サ イ ズ ( 殻 長 2 0 m m 弱 ) に な っ た こ と に な る 。 中 で も 4 月 ∼ 9 月 に か け て の 水 温 が 上 昇 す る 時 期 に 特 に 成 長 が 大 き く 、 平 成 1 7 年 7 月 に 個 別 の ナ ン バ ー を 掘 り 込 ん だ 4 0 個 に つ い て 個 々 の 成 長 の 観 察 を 行 っ た と こ ろ 、 7 月 か ら 8 月 の 1 ヶ 月 で 平 均 3 . 4 m m 、最 大 で 5 m m の 成 長 が 見 ら れ た( 表 1 )。 普 段 か ら 十 三 湖 の シ ジ ミ の 成 長 の 速 さ を 感 じ て い た が 、 こ れ ほ ど と は 思 い も よ ら な か っ た 。 6 . 波 及 効 果 「 十 三 湖 シ ジ ミ の 成 長 を 知 る 」 こ と を 目 的 に 行 わ れ た 今 回 の 試 験 よ り 、 1 6 ヶ 月 で 出 荷 サ イ ズ の も の が 得 ら れ る 、 と い う こ と が わ か っ た 。 こ れ は 今 ま で あ っ た 6 , 7 年 で 出 荷 サ イ ズ に な る 、 と い う 報 告 を 大 幅 に 短 縮 し た こ と と な り 、 大 き な 成 果 で あ る と 思 う 。 写 真 6 : 稚 貝 の 様 子 ( 上 : 稚 貝 , 下 : 親 貝 写 真 7:成 長 試 験 用 稚 貝 1 0 0 個 図5 平均殻長推移 0 5 10 15 20 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 月 殻 長 (m m ) −32−

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ま た 、 稚 貝 の 確 保 に お い て 、 水 深 が 浅 い と い う 十 三 湖 の 環 境 に あ っ た 簡 便 な 採 苗 法 と し て 、 陸 上 水 槽 で の 湖 水 か け 流 し に よ る 採 苗 法 の 可 能 性 が 生 ま れ た 。 更 に 、 シ ジ ミ の 放 精 ・ 放 卵 の 様 子 や 受 精 卵 を 観 察 で き た こ と は 、「 十 三 湖 シ ジ ミ を 守 っ て い こ う ! 」 と い う 部 会 員 の 意 識 を 高 め る こ と に つ な が っ た ( 写 真 8 )。 今 回 の 試 験 は 、 内 水 面 研 究 所 な ど か ら 助 言 を も ら い つ つ も 、 施 設 設 置 や 配 管 は 我 々 の 手 作 り で あ り 、 ま た 、 稚 貝 の 測 定 な ど も 自 分 た ち で 行 っ た 。 我 々 漁 業 者 の 手 作 り な が ら 成 果 が 得 ら れ た と い う こ と は 大 き な 自 信 に つ な が っ た 。 こ れ を 励 み に 更 な る 活 動 を 続 け て い き た い 。 7 . 今 後 の 課 題 今 回 の 試 験 に よ り 、 十 三 湖 シ ジ ミ の 成 長 が 速 い と い う こ と が わ か っ て き た 。 こ の 結 果 を 今 後 ど の よ う に 我 々 の シ ジ ミ 漁 業 に 反 映 し 、 生 産 を 安 定 さ せ て い く か を 考 え て い く 必 要 が あ る 。 ま た 、 地 元 で 対 応 可 能 な 簡 便 な 採 苗 法 の 可 能 性 も 示 唆 さ れ た 。 だ が 、 産 卵 盛 期 に あ わ せ た 親 貝 投 入 や 、 浮 遊 幼 生 出 現 時 の 止 水 飼 育 、 着 底 稚 貝 確 保 の 方 法 な ど に つ い て ま だ 改 良 の 余 地 が あ り 、 こ れ ら を 改 善 で き れ ば 種 苗 の 増 産 を 図 る こ と が で き る と 考 え ら れ る 。 加 え て 、 人 為 的 な 産 卵 誘 発 に よ る 種 苗 生 産 技 術 の 開 発 に も 更 に 努 め て い き た い 。 最 後 に 、 十 三 湖 シ ジ ミ の 安 定 生 産 を 図 る た め に こ れ か ら も 活 動 を 続 け る に あ た っ て 、 我 々 だ け で は 至 ら な い 面 も あ る 。 こ れ を 補 完 す る た め に は 、十 三 湖 の 環 境 調 査 や 、 シ ジ ミ 資 源 量 の 調 査 な ど 、 隣 接 す る 十 三 漁 協 漁 業 研 究 会 や 、 県 内 水 面 研 究 所 な ど と の 協 力 が ぜ ひ 必 要 に な る 。 今 ま で の 協 力 ・ 指 導 に 感 謝 し つ つ 、 今 後 も 連 携 を 図 り な が ら 十 三 湖 の シ ジ ミ を 守 っ て い き た い 。 写 真 8 : 稚 貝 を 探 す 開始時の殻長 7月14日 8月10日 10月19日 1 16.0 2.8 4.6 2 15.0 4.0 5.1 3 16.5 3.8 5.2 4 15.0 4.4 5.0 5 15.0 3.0 3.8 6 16.0 3.6 4.9 7 16.0 3.0 3.0 8 15.0 4.3 5.0 9 15.0 3.6 4.6 10 14.0 4.3 5.8 11 16.0 3.0 3.7 12 14.5 4.1 4.9 13 12.5 3.6 4.5 14 14.5 2.7 3.1 15 15.0 3.0 3.3 16 14.5 3.5 4.2 17 14.0 4.0 4.6 18 16.0 3.2 4.0 19 13.0 4.0 4.6 20 14.5 3.6 4.3 21 17.0 4.0 4.1 22 14.5 4.0 4.5 23 15.0 1.2 1.6 24 14.5 25 16.0 4.0 5.0 26 16.0 2.3 3.6 27 13.5 4.5 5.5 28 15.5 3.7 4.7 29 15.0 3.1 4.2 30 16.0 4.0 4.5 31 14.0 3.5 4.5 32 14.5 4.5 5.9 33 16.0 4.0 5.5 34 14.5 4.1 6.1 35 15.0 0.7 1.0 最小 36 14.0 2.2 3.3 37 14.0 5.0 6.8 最大 38 15.0 1.0 1.0 39 15.0 4.2 5.3 40 15.0 2.2 3.0 平均 3.4 4.3 最大 5.0 6.8 最小 0.7 1.0 ※24番はへい死 増殻長 備考 表1 増殻長の度合い −33−

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多彩なホッキガイ料理で魚食普及を促進

∼ 地元でもりもり食べるために ∼

三沢市漁業 協同組合 小型船 部会女性部 部 長 富とみ田た 玲子れ い こ 1 .地域 の概 況 三沢市は人口約 4万3千人で 青森県の東 側、 太平洋沿岸の南 北ほぼ中央に 位置し、北 は 六ヶ所村、西は 小川原湖に臨 む。 気候は、北国 でありながら 、冬は、降 雪量 が少ないことと 、北西から吹 く季節風の ため 晴天の日が多い ことが特徴で ある。また 、春 から夏にかけて 吹く偏東風( ヤマセ)の 影響 で、海岸地帯は 冷気と濃霧に おおわれる こと もある。 三沢市の土地 は、藩政時代 には盛岡南 部藩 最大の牧場があ ったところで 、ここは馬 産地 として知られて いる。今でも 郊外ではゆ っく りと草をはむ馬 や牛の情景を 見ることが でき る。一方で、太 平洋戦争後に 米軍三沢基 地が 建設され、飛行 場も開設され ると、異国 情緒 あふれる国際都 市として発展 している。 毎年、恒例にな った夏の「みさ わ港まつり 」、冬の「ほっきまつ り」には、市内 外からの 多くの来場者が ある。 2 .漁業 の概 要 三沢市漁協は、 組合員数65 8名(正5 68 名、准90名) で構成されて いる。 三沢市の漁業 は、三沢漁港 が供用開始 にな る昭和54年以 前は、単調な 砂浜で無動 力船 を利用した刺網 漁業やイワシ 地曵網漁業 がほ そぼそと行われ ている状況で あった。漁 港施 設が供用され、 順次整備され る中、春か ら秋 の前沖での昼イ カ釣漁業が主 力となり、 平成 7年の21億円 をピークに、 近年は年間 10 ∼15億円の水 揚げとなって いる。 特に、昼イカは その漁獲物の 仕立て管理 (鮮 度管理と厳重な サイズ規格) により三沢 市 のシンボルをス テッカーとし た通称「赤 とん ぼ」としてブラ ンドとなって いる。また 、前 沖は砂浜地帯と なっており、 一年を通じ て、 ヒラメ、カレイ類が 多く、12 月から翌年 3月 にかけてはホッ キガイの好漁 場になって いる 。 ホッキガイ漁業 は、昼イカ釣 漁業終了後 の 冬場の重要な漁 業となり、水 揚げもスル メイ カ、サケに次ぐ ものである。 3 .グル ープ の組織 と運営 三沢市漁協小型 船部会女性 部は、昭和 50年 に漁家経営の向 上と明るく 豊かな漁村 を築 くことを目的に 発足し、今年 で30年を 迎え る。昭和48年 に漁船漁業及 び増養殖に 関す る試験、漁場の 管理、漁業経 営の合理化 等を 目的として結成 された父ちゃ ん達の小型 船部 図1 三沢市漁獲状況 0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000 S59s60S61S62S63 H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9H10H11H12H13H14H15H16 数 量 (ト ン ) 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 金 額 (百 万 円 ) 数量(トン) 金額(百万円) −34−

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会を支える浜の 母ちゃん達の 組織である 。 女性部は 、部長 1 名、副部 長2名 、監事2名 であり、現 在は23名 の部員となっ ている。 その運営は会員 の会費及びイ ベント等の 事業 収入を当ててい る。また、も ともと大規 模 畑作地帯でもあ り、農業の兼 業も多く、 農協 女性部とも協力 した活動もし ている。 4 .実践 活動 課題選 定の動 機 ホッキガイ漁業 は、昭和5 0年代は漁 獲の低迷が続い ていたもの の、その後 隣 接する漁協と共 に資源管理 、操業の協 業 化などに取り組 んだ結果、 飛躍的に漁 獲 量、金額が増大 した。しか し、県外産 地 との競合、輸入 の増大によ り、価格安 に なったことから 、生産調整 も図りなが ら 漁業経営の安定 に取り組んで いる。 このような状況 で、15年程 前から、「 浜の 環境と暮らしを 守る女性部」 としては、「私 たちに何かでき ることがない か」と考え てい たところ、交流 で知り合った 消費者の方 等の 「貝をむくのが 大変」、「刺身 以外にどう やっ て食べるの」と いう声があっ た。 女性部では、ホ ッキガイの料 理方法をも っと 研究し、消費者 等へ伝える魚 食普及活動 で 消費拡大を進め ることが、漁 業経営の安 定に つながり、女性部 活動も活性 化すると考 えた 。 5 .研究 ・実 践活動 状況及 び成 果 魚食普及に当た っては、漁協 の全面的な バッ クアップを受け て、女性部は 主に「浜の か お」実働部隊と して積極的に 取り組んで いる 。以下には、ホ ッキガイの魚 食普及の取 組み について経緯等 を含めて、活 動状況を報 告す る。 [ホッキ ガイ魚 食普 及は部 員全員 で] 「ホッキガイを 地元の人に安 定的に食べ ても らいたい」との 思いから、漁 協と連携し て、 女性部みんなの 活動目標を「 ホッキガイ の加 工品開発」と「 消費者に向け たホッキ料 理の 普及」とした。 普及に当り、部 員の意識を 高め、消費 者への PRにも、一層 力が発揮で きるようホ ッキ 味噌、ホッキカ レー、ホッキ シチュー等 の試 作をした他、先 進地研修を通 じて、炊き 込み ご飯等を普及料 理として、技 術のレベル アッ プを図った。 「 ホッキ ガイ の料理 普及」 初めは、ふだ ん扱っていな い人には難 しい こ とから、むき方 のコツを消費 者の方に覚 えて も らい、三沢のホ ッキガイの購 入機会を増 やし て もらいたいと考 えて実施して いる。 当然、むいた後、「どう やって食べ るの?」と いうのが消費者 の方の意見で あり、ホッ キご 飯 のほか、それま で、浜では肉 の変わりに 入れ て いたシーフード 、ホッキカレ ーなど浜の 料理 を 図2 三沢市ホッキガイ漁獲状況 0 100 200 300 400 500 600 700 S 5 9 S 6 1 S 6 3 H 2 H 4 H 6 H 8 H 1 0 H 1 2 H 1 4 H 1 6 年 数 量 (ト ン ) 0 50 100 150 200 250 300 金 額 (百 万 円 ) 数 量 (ト ン) 金 額 (百 万 円 ) 図3 ホッキガイ料理教室 −35−

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アレンジして紹 介している。最近では、三 沢市 食生活改善推進 員を対象に講 習会を開催 し、 消費者の漁業理 解や地産地消 活動でも連 携し ている。 [ホッキ ガイを ゆう パック で全国 に普 及] 三沢市には航空 自衛隊があ ることから 、全国 から集まるその 家族の方に 地元の旬の ホッ キガイを知って 、味わっても らい、消費 拡大 を図ることと、 ゆうパックの 利用促進を 狙い として、15年 ほど前から、 郵便局とタ イア ップして旬の美 味しさを直接 消費者に届 ける 「チルドゆうパ ック利用の直 販事業」を 取り 組んでいる。 女性部では、こ の機会に漁 協と連携し 、ホッ キガイのむき方 や料理教室 を実施し、 ゆう パック利用によ る消費拡大に も協力して いる 。 この料理教室は 、非常に好評 で、平成 16 年 12 月 5 日に実施したときは、募集 80名に 対して倍以上の 応募者があり 、消費者の 関 心の高さを知っ た。料理教室 は、女性部 員 が指導者となり 、ムキと呼ぶ 専用のヘラ を 差し込んで貝柱 を切るコツや 、どの部分 を 取り除けばいい かを知っても らった。 料理は、ホッキ ご飯、ホッ キカレー、 ホ ッキフライ、ホッ キお吸い物、ホッキ焼き 、 ホッキおろし合 え、ホッキ味 噌など7品 目 を作った。特に 、ホッキガイ 料理のポイ ン トとしては、「熱を加え すぎないこ と」、「 ゆ でた汁を使うこ と」を強調し たところ、 ホ ッキガイの美味 しさを改めて 知ったとい う 声があった。 [市内町 内会で のホ ッキガ イ料理 教室] 地産地消の取 り組みが広が っているこ とか ら、ホッキガイ 教室を実施し ていること を知 った市内の消費 者の方から、自分たちの 町内 会で教えてほし いという要望 が近年出て きた 。 漁協の支援のも と、女性部で も年4∼5 回、 積極的に実施し ている。 地元の人でも ホッキガイの むき方を知 らな い人が多く、「自分でむ くことがで き、こ んど からはもっと多 く買って食べ たい」とい う声 を聞くと、料理 教室をやって 本当によか った 図4 ホッキガイ料理教室(男性の参加も) 図5 料理教室 での多彩なホ ッキガイ料 理 −36−

図 6  9/9 に おけるシ ジミラー バの地点別 出現状 況   倉内禁漁区02000400060008000100001200014000160000mアカナデ02000400060008000100001200014000160000m2m中志前02000400060008000100001200014000160000m2m 観測塔南0200040006000800010000120001400016000 0m 5m 10m岩の崎020004000600080001000012000140001
図 7 平成 16・17 年のシジ ミラーバ出 現数(全湖平 均)の推 移       ②シジミの 産卵に係わる 環境  図 8 に小川原湖における平成 16 年調査 時の 水温と塩分の推 移を示した。  シジミの産卵及 び卵発生に必 要な環境条 件と して、産卵は水温 19℃ から始まり 、20 ∼25℃で最も盛 んになる。また、卵の初期発 生には 2∼18PSU の塩分が必 要との報告 が ある。小川原湖 の塩分は通常 1PSU 以下 である が、16 年は春先から塩 分が高く 1PSU 以 上で推移し
表 2 に産卵調査結果を示した 。  4 月 26 日∼6 月 30 日までの間 7 回の調査を行った。最 も多かった のは 6 月 6 日の st7 で採取された 1,111 個/m 2 であった 。シラウ オ 卵はバラツキが 大きいものの 、ほぼ全 域で 確認されたこと から、小川原 湖において も宍 道湖と同様、水 深の浅い砂場 が産卵場所 と なっていること が分かった。  表 2  シ ラウオ産 卵調査結 果     図 12 にシラウオ(仔魚)の 地点別分布 密度 を示した。  稚仔魚の発生に
図 1   東 通 村 と 白 糠 地 区 図3 平成16年漁獲金額の構成 いか釣64%その他3%刺網2%敷網3%一本釣5%採介藻6%小型定置17% 図2 白糠漁協の漁獲量及び漁獲金額05001,0001,5002,0002,5003,0003,50012131415 16年ト ン 02468 1012 億円漁獲量漁獲金額 地 産 資 源 に 付 加 価 値 を   − ( 活 魚 販 売 を 支 え て ) −   白 糠 漁 業 研 究 会  会 長   伊 勢 田いせだ  啓 二け い じ1 . 地
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