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北陸地方における局地的豪雪の総観場の統計解析

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かにした。中規模渦状雲に関しAsai and Miura (1981) は若狭湾域で観測された中規模渦状雲の構造について明 らかにしている。児玉ほか (1995) は,地上天気図と 500hPa温度場から,冬季季節風時の北陸地方から北海 道の日本海側ではJPCZと中規模渦状雲が局地的降水に 高い頻度で関与していることを明らかにした。メソス ケールの擾乱における事例解析の研究において,大久 保・黒川 (2000) は富山県内にできる南西風と南風のシ アラインによって局地的に悪視程を伴う雪になることを 明らかにした。また,八木・内山 (1983) では上越地方 の地形効果と能登半島と佐渡島を迂回した雪雲が収束に より豪雪になることを示した。そのほかにも大東ほか Ⅰ.はじめに 北陸地方ではたびたび局地的な豪雪に見舞われ交通機 関および住民生活に影響をもたらしてきた。そのため局 地的豪雪に関する研究は過去にも多くなされてきた。 北陸地方における局地的豪雪をもたらす要因は,日本 海寒気団収束帯 (以下,JPCZ),中規模渦状雲,メソス ケールの擾乱によるものがある。JPCZに関し,Hozumi and Magono (1984) は収束雲の南西端に発生する高い雲 堤の列によって山陰地方に局地的な豪雪をもたらすこと を明らかにした。また,Eito.et,al. (2010) はJPCZからT モードの雲バンドの構造と形成メカニズムについて明ら

木村 浩彰

・加藤 央之

**

This study conducted a statistical analysis based on a principal component analysis (PCA) of sea level pressure (SLP) for synoptic scale environments and changes in SLP during local heavy snow in Hokuriku district. It was verified that heavy snow in Kanazawa originates from the Japan-Sea Polar-Airmass Convergence Zone (JPCZ). After investigating the transition of pressure gradients, two patterns were observed. The first pattern involved development of cyclone far from Honshu during the growth and migration of a moving anticyclone, so that the direction of the pressure gradient changed from W-E to SW-NE. The second pattern involved development of cyclone far from Honshu during the growth on the Eastern Sea in Kanto and extended to the Siberian Anticyclone, so that the direction of the pressure gradient changed from NW-SE to W-E. Due to these pressure gradient changes, the former altered the snow-fall band from a straight line band in the direction of along NW-SE to a bow shaped band. The latter altered the snow-fall band from a WNW-ESE direc-tion to a WSW-ENE direcdirec-tion. As a result, direcdirec-tion of the snow-fall band of the JPCZ declined, and the band originating from the southern tip of the JPCZ is considered to be the cause of the local heavy snow. However, local heavy snow in Nigata is mainly considered to be caused from advancing cyclone in the Japan Sea. In this case, the predominant pattern follows cyclone originating from a upper trough passing through the vicinity of Nigata, and a moving anticyclone extend-ing or the Siberian Anticyclone extendextend-ing .

Keywords: Sea Level Pressure, Statistical Analysis, Local Heavy Snow, Japan-Sea Polar-Airmass Convergence Zone

北陸地方における局地的豪雪の総観場の統計解析

Statistical Analysis of the Meteorological Field causing Local Heavy Snow in the Hokuriku District

Hiroaki KIMURA

and Hisashi KATO

** (Accepted November 11, 2016)

Graduate School of Integrated Basic Sciences, Nihon University: 3-25-40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550, Japan

** Department of Earth & Environmental Sciences, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3-25-40, Sakurajosui, Setagaya-ku, Tokyo, 156-8550, Japan

日本大学大学院総合基礎科学研究科:

〒156-8550 東京都世田谷区桜上水3-25-40

** 日本大学文理学部地球科学科:

(2)

(2012) は,衰退する帯状雲の南端部で局地的に下層収 束がおこり,北陸地方で大雪をもたらすことがあること を明らかにした。 前述のような事例解析のほか,大雪の経年変化および 統計解析の研究も行われている。大雪の経年変化につい て鈴木 (2012) は北陸地方の大雪の出現頻度の減少側へ のジャンプの要因としてMOIやAOIといった大気循環 のジャンプが冬季平均気温のジャンプに影響を与えてい るためであることを明らかにしている。統計解析の研究 についてAkiyama (1981) は日降水量を用いてEOF解析 を行い,新潟県における山地型, 平均型, 里雪型を定量 的に示し,3 分布型の総観気象状況について明らかにし た。また加藤ほか (2013) では寒候期における海面気圧 の客観的分類を行い,降水量との関連を調べている。こ のように北陸地方の豪雪に関する事例解析および研究は 多くなされている。しかし,局地的豪雪時の気象場を統 計的手法を用いて明らかにした研究はなされていない。 本研究では北陸地方での局地的豪雪発生時の気象場のパ ターンに重点を置き,降雪量の分布パターンを統計的に 明らかにすることを目的とする。 Ⅱ.使用データと解析方法 Ⅱ−1.使用データおよび期間 本研究では,図1 に示す北陸地方 4 県 (新潟・富山・ 石川・福井) の気象庁気象官署 8 地点 (新潟・高田・富 山・伏木・輪島・金沢・福井・敦賀) 及び,AMeDASの 24地点における 1 時間降雪量・積雪深を用いた。解析対 象期間は1992年∼2011年の冬季 3ヶ月である。海面補 正気圧場 (以下,SLP場) の解析にはNCEP/NCAR再解 析データを用いた。対象領域は図2 に示すように,北陸 地方を中心とした領域 (122.5°∼152.5°E,27.5°∼47.5°N) で,水平解像度は2.5×2.5度である。解析対象期間は 1992年 ∼2011年 の 冬 季 3ヶ 月 (12月・1月・2月 ) で, 00UTC・06UTC・12UTC・18UTCのデータを使用した。 また,局地的豪雪の対象事例における気象場の考察のた め,気象庁の地上天気図および500hPaと850hPaの高層 天気図を用いた。さらに,JPCZ事例について雲バンド の経過をみるために高知大学気象頁の静止気象衛星赤外 画像を用いた。 Ⅱ−2.局地的豪雪の定義 本研究における局地的豪雪の基準は以下の方法により 定義した。まず,冬季 (12月・1月・2月) 3ヶ月におけ る各地点の1 時間降雪量の最大値を抽出した。次に気象 の解析で多く利用されるGumbel分布 (極値Ⅰ型分布) を用いて極値統計の計算を行った。局地的豪雪の基準は 鈴木(2010)で再現期間2年以上の日降雪深を大雪と定 義していることにならい,再現期間2年以上の 1時間降 雪量とした。 Ⅱ−3.解析方法 はじめに,上記の定義に基づいて各地点の局地的豪雪 値を抽出した。次にSLP場のパターンの基本的な特徴を 明らかにするために00UTCにおけるNCEP/NCAR再解 析データに対して主成分分析を行った。主成分分析とは 複雑な変動パターンから主要な変動パターンを抽出する 方法である。また,主要な変動パターンがある時刻にお いてどの程度卓越したのかを表す指標を主成分スコアに よって示される。JPCZのような擾乱は風向の変化に よって影響する地域が変化すると考えられ,気圧傾度の 図1  解析に用いた地上気象官署の地点

新潟

金沢

図2  SLP場の解析対象範囲

(3)

Z06 ite00i1( x061tx1)+e00i2( x062tx2)+…+e00ip( x06ptxp) (2) と求めることができる。さらに,局地的豪雪時の主成分 スコアを用いてクラスター分析を行い,局地的豪雪が発 生した気象場の類型化の解析を行った。これらの結果を もとに気象学的な要因について考察した。本報告では新 潟と金沢の2地点についての結果を示す。 Ⅲ.結果と考察 Ⅲ−1 .SLP 場の主成分分析 Ⅲ−1−1.冬季 SLP 場の特徴 北陸地方を中心とした領域におけるSLP場の主成分分 析を行い,基本的な特徴を明らかにした。第1 主成分∼ 第6 主成分までの累積寄与率は 94%であり,変動の大 部分について説明できると判断できるため,第6 主成分 までを解析に使用した。図3 に解析期間の冬季 3ヶ月に おけるSLPの平均場と第 1 主成分∼第 3 主成分までの因 変化をより詳しく調べる必要がある。そこで00UTCに おける主成分分析によって求められた固有ベクトル係数 を用いて06UTC,12UTC,18UTCの主成分スコアを求 め た。 す な わ ち,00UTCで張られた主成分空間内へ 06UTCなどの各データを投影し,局地的豪雪の発生前 後6時間ごとの気象場の変化についてこの主成分空間内 で地点ごとに明らかにした。各時刻における主成分スコ アは以下のように求めた。 00UTCにおける t日目の第i主成分の主成分スコアZ00 it は, Z00 ite00it( x001tx1)+e00i2( x002tx2)+…+e00ip( x00ptxp) (1) と求めることができる。x00 1t, x002tx00pt は00UTCにおける SLPのデータ,x1, x2…xpは地点の長期平均,eは固有ベ クトル係数,pは主成分分析に用いた全メッシュ数を示 す。 ここで,06UTCにおける t日目の第 i 主成分の主成分ス コアZ06 it は, 図3  海面気圧の主成分分析の結果 a):解析対象期間におけるSLPの平均的な分布図 (単位:hPa)。実線およびカラーは海面気圧の絶対値を表す。実線は4hPa間隔。 b)∼d): 海面気圧の第 1 主成分∼第 3 主成分の因子負荷量分布図。実線は因子負荷量の値,カラーは因子負荷量の正負を示す。 a) b) c) d)

(4)

るときには南岸低気圧,負に卓越するときは大陸上で低 気圧がみられた。第4主成分以降は寄与率が小さいため 変動パターンの特定には至らなかったが,日本海を通過 する低気圧などの変動パターンを示しているものとみら れる。 Ⅲ−1−2.局地的豪雪時の SLP 場の特徴 Ⅱ−2の定義によって局地的豪雪値以上を観測した事 例数は新潟・金沢ともに20事例であった。図 4 に金沢と 新潟の局地的豪雪時の第1 主成分と第 2 主成分および第 2 主成分と第 3 主成分空間の散布図を示す。赤色は局地 子負荷量分布図を示す。第1 主成分 (寄与率50%) は北 海道を中心とした全域的な同時変動,第2 主成分 (寄与 率21%) は領域の東西の変動,第 3 主成分 (寄与率10%) は南北の変動を示す。第4 主成分以降は局地的な変動パ ターンを示していた。気象庁の地上天気図と対応したと ころ,第1 主成分が正に卓越するときは北海道付近に発 達した低気圧,負に卓越するときは北海道付近に移動性 高気圧がみられた。同様に第2 主成分が正に卓越すると きはシベリア高気圧の張り出しが強く日本の東海上に低 気圧,負に卓越するときは逆に日本の東海上に高気圧, 大陸上で低気圧がみられた。第3 主成分では正に卓越す 図4  主成分スコア散布図 a)・b): 金沢における局地的豪雪時の主成分スコア経路図。a)はZ1-Z2主成分スコア経路図,b)はZ2-Z3主成分スコア経路図。赤色は局地的豪雪発生時 の主成分スコア,青色は局地的豪雪発生前後12時間の主成分スコアを示し,矢印はその変化を示す。 c)・d): a)・b) に同じ。ただし新潟における主成分スコア散布図。

a)

b)

c)

d)

(5)

局地的豪雪時における海面気圧のパターンと気圧傾度の 変化について総合的に考察する。 Ⅲ−2.局地的豪雪時の SLP 場のパターン分類 SLP場に主成分スコアを用いたクラスター分析を行 い,局地的豪雪時の気象場の類似性について明らかにす る。本解析では第1 主成分∼第 6 主成分の結果を用いて 6 次元空間内で行った。 Ⅲ−2−1.金沢の局地的豪雪時の SLP 場 解析の結果,4 つのグループに分類することができた。 金沢の局地的豪雪時のSLP場に関する樹状図を (図5a) 的豪雪発生時の主成分スコアを示す。また,青色は局地 的豪雪発生前後12時間の主成分スコアを示し,矢印は その変化を示す。この結果から金沢では第1 主成分・第 2 主成分スコアともに正であるときに豪雪の出現頻度が 高かった。同様に第2 主成分・第 3 主成分スコアが正で あるときに出現頻度が高かった。また,主成分スコアの 変化の特徴として主に第2 主成分スコアは増加,第 3 主 成分スコアは減少する傾向が見られた。一方新潟では, 第1 主成分と第 3 主成分がおおむね正の時に出現頻度が 高い。主成分スコアの変化の特徴として主に第2 主成分 スコアが増加する事例が占めていた。以上より金沢と新 潟における主成分スコアと変化の特徴が得られたため, 図5  金沢のクラスター分析の結果 a):金沢におけるクラスター分析の樹状図。 b)∼e):金沢におけるクラスター分析によって分類された各グループの主成分スコアの特徴。 縦軸は 主成分スコア, 横軸は 各主成分。GP. :グループ名, N: グループの事例数。

a)

b)

)

e

)

d

c)

(6)

あった。 GP. C(3 事 例 ): 図5dよ りZ1・Z3が 正,Z2が 負 で あ り,図6cを参照すれば北海道の日本海側に発達した低 気圧があり,気圧傾度は大きく領域全体が負偏差のパ ターンである。主成分空間内での特徴を調べたところ Z1が増加傾向にあり北海道付近の低気圧が発達する傾 向にあった。 GP. D(3 事例):図5eよりZ1が正に卓越しており図6d を参照すればGP. Cに比べ北海道付近に発達した低気圧 があり,気圧傾度は大きく領域全体が冬季SLP平均場に 対する負偏差のパターンである。主成分空間内での特徴 を調べたところ各事例ともZ1∼Z3までの主成分スコア の変化が異なっていた。 以上の結果をふまえ,静止気象衛星赤外画像を参照し 金沢での局地的豪雪の要因を調べたところ,20事例中 18事例はJPCZの降雪バンドによるものであった。つま り,主成分空間内での主成分スコア変化に伴いJPCZの 降雪バンドが変化していくものと考えられる。そこで本 に示す。また図5b∼dは各グループの第 1∼第 6 主成分 スコア,図6 は各グループの平均的なSLP場を示す。こ れらの結果から各グループの特徴は以下のようにまとめ られる。 GP. A (出現事例数10事例):図5bよりZ1, Z2, Z3が正で あり,図6aを参照すればやや東西の気圧傾度が強いパ ターンである。主成分空間内での変化の特徴を調べたと ころおおむねZ1が減少傾向であり,気圧傾度が緩んで いくパターンであった。加えて,Z3が減少していく傾 向にあり,移動性高気圧が西から進んでくるパターンで あった。 GP. B(4 事例):図5cよりZ1, Z2, Z3が正であるがGP. A に比べZ1が卓越している。図 6bを参照すれば関東の東 海上と北海道付近にやや発達した低気圧が存在し東西の 気圧傾度が強いパターンである。主成分空間内での特徴 を調べたところおおむねZ1・Z2が増加,Z3が減少傾向 であり本州の東海上や北海道付近で低気圧が発達し,北 西からシベリア高気圧が張り出してきているパターンで 図6  金沢における局地的豪雪時の各パターンの平均的なSLP分布図 実線は海面気圧の絶対値 (4hPa間隔),カラーバーはSLP平均場に対する気圧偏差の正負を示す。 GP. :グループ名,N:グループの事例数。 ) d ) c ) b ) a

(7)

れる。そのため以下ではGP.E,GP. F,GP. Gの特徴に ついて示す。 GP. E(出現事例数 9 事例):図7bよりZ1が正,Z5が負 であり,図7eを参照すれば西高東低の気圧配置である が,東西の気圧傾度は緩く平均場に近いパターンであ る。主成分空間内での特徴を調べたところ,おおむね Z2が増加する傾向であるため,西から移動性高気圧が 進んでくるまたはシベリア高気圧が張り出してくるパ ターンであった。 GP. F(5 事例):図7cよりZ1, Z3が正であり,図7fを参 照すればGP. Fに比べ東西の気圧傾度が大きく領域全体 で負偏差のパターンである。主成分空間内での変化では 報告では出現事例数の多いGP. Aと図5b,cからGP. Aと 特徴が似ているGP. Bに着目し,気圧傾度方向の変化に 伴いJPCZの降雪バンドがどのように変化し局地的豪雪 をもたらすのかについて次章で述べる。 Ⅲ−2−2.新潟の局地的豪雪時の SLP 場 解析の結果,5 つのグループに分類することができた。 新潟の局地的豪雪時のSLP場に関する樹状図を (図7a) に示す。また図7b∼dは各グループの第 1 主成分スコア ∼第6 主成分スコア,図7e∼gは各グループの平均的な SLP場を示す。これらの結果からまずGP. HとGP. Iは大 きく距離が離れているため特異的な事例であると考えら 図7  新潟におけるクラスター分析の結果 a):新潟におけるクラスター分析の樹状図。b)∼d):図6に同じ。ただし新潟の各グループの主成分スコアの特徴。 e)∼f): 図 7 に同じ。ただし新潟の各グループのSLP分布図の特徴。

b)

a)

c)

e)

f)

d)

g)

(8)

10事例中 9 事例,GP. Bでは 4 事例すべてでみられた。 GP. Aの事例の中で 2010年 1月13日のJPCZ事例におけ る気象庁の地上天気図 (図8a,b) と09JST∼21JSTまで 6 時間ごとの静止気象衛星赤外画像 (図8c∼e) を示す。 図8a, bの気象庁の地上天気図を参照すれば,気圧傾度 が緩み,気圧傾度の方向が西―東方向から南西―北東方 向に変化している。この気圧傾度の変化に伴い図8c∼e からJPCZの降雪バンドは北西―南東方向に直線的に伸 びた状態から下に凸に湾曲になる。JPCZの降雪バンド の構造は特にJPCZの南端部で発達することが知られて いることからJPCZの南端部が通過することで局地的豪 雪になったと示唆される。また,他のGP. A事例につい ても調べたところこのパターンは9 事例中 6 事例であ り,半数以上を占めた。つまり,GP. Aの局地的豪雪は 主にZ1, Z3が減少するとともに気圧傾度の方向が西―東 方向から南西−北東方向に変化し,JPCZの南端部に形 成された活発な降雪バンドがかかるパターンである。同 様にGP. Bの事例の中で1998年 1月24日の事例における 地上天気図 (図9a, b) と09JST∼21JSTまで 6 時間ごと の静止気象衛星赤外画像気象衛星画像 (図9c∼e) を示 す。図9a, bの気象庁の地上天気図を参照すれば,気圧 主にZ1, Z2が増加する傾向であり,北海道付近で低気圧 がやや発達するとともにシベリア高気圧も張り出してく るパターンであった。 GP. G(4 事例):図7dよりおおむねZ1が負,Z2 が正で あり,図7gを参照すれば東西の気圧傾度は緩く,領域 がほぼ正偏差のパターンである。主成分空間内での変化 では主にZ1が減少する事例であった。地上天気図を参 照したところおおむね西から移動性高気圧が進んでくる またはシベリア高気圧が張り出してくるパターンであっ た。 以上の結果をふまえ,気象庁の地上天気図を参照した ところ上記の3 つのグループでは日本海上の低気圧が新 潟付近を通過する事例が18事例中10事例を占めた。次 章では日本海上に見られた低気圧事例における上空の気 象場とSLP場との対応について示す。 Ⅲ−3.金沢・新潟における局地的豪雪の総観場 Ⅲ−3−1. 金沢における局地的豪雪 ここでは前章におけるGP. AとGP. Bにおける局地的 豪雪時の事例を用いて金沢における局地的豪雪時の総観 場を事例解析を通じて考察する。GP. AではJPCZ事例が 図8   2010年1月13日の事例 a),b):2010年1月13日00UTCと1月13日12UTCの地上天気図。 c)∼e):2010年1月13日09JST∼21JSTまで6時間ごとの静止気象衛星赤外画像 (高知大学・東京大学・気象庁提供)。黒い枠線はJPCZの位置。 ) b ) a c) d) e)

(9)

は10事例のうち 7 事例でみられなかったことから主に 低気圧周辺の擾乱によって局地的豪雪がもたらされてい ると示唆される。主成分空間内での特徴を調べたところ Z2が正に増加する傾向は降雪バンドが見られなかった 7 事例すべてに当てはまる。以上の結果から,日本海上 にみられた低気圧事例では主に850hPa高度場ではトラ フが見られ,Z2が正に増加していることから移動性高 気圧が東進,またはシベリア高気圧が張り出してくるパ 傾度の大きさはほとんど変化しないが,気圧傾度の方向 は北西−南東方向から西―東方向に変化している。この 気圧傾度の変化に伴い図9c∼eからJPCZの雲バンドは 西北西―東南東方向から西南西―東北東方向に変化し た。GP. Bの 4 事例はすべてこのパターンであった。こ の結果からJPCZの南端部に形成された活発な降雪バン ドがかかり,局地的豪雪をもたらした。つまり,GP. B の局地的豪雪時は主にZ1・Z2が増加,Z3が減少し,気 圧傾度の方向が北西−南東方向から西―東方向に変化し た。この気圧傾度の変化に伴いJPCZの降雪バンドが西 北西―東南東方向から西南西―東北東方向へと変化し JPCZの南端部に形成され活発な降雪バンドがかかった と見られる。 Ⅲ−3−2.新潟における局地的豪雪 新潟における局地的豪雪はおもに前章でGP. E, GP. F, GP. GのSLP場で起きていることがわかった。これらの グループの中で地上天気図上で見られる日本海上の低気 圧事例の総観場について考察する。図10a, bには2005年 12月16日の気象庁の地上天気図を示す。図 10から地上 天気図で日本海上に低気圧がみられる。850hPa高度場 を調べたところ地上天気図上の低気圧の位置にトラフが 見られた。また,この事例におけるJPCZの降雪バンド b) d) e) a) c) 図9  1998年1月24日の事例 a),b ):金沢での1998年1月24日00UTCと1月24日12UTCの地上天気図。 c )∼e ):1998年1月24日06JST∼18JSTまで6時間ごとの静止気象衛星赤外画像(高知大学・東京大学・気象庁提供)。黒い枠線はJPCZの位置。 図10 2005年12月16日00UTCの地上天気図

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潟では日本海上にみられた低気圧事例のうち主に上空の トラフ上で発生する低気圧が新潟付近を通過し,低気圧 周辺の擾乱がかかるパターンで多い。このパターンにお ける主成分空間内の変化ではZ2が増加していることか ら,日本海上の低気圧が新潟付近を通過した後,次第に 移動性高気圧が東進またはシベリア高気圧が張り出すこ とに対応する。 今回の解析では金沢と新潟における局地的豪雪の主な 要因とSLP場についての解析の結果のみであった。その ため他の地点についても同様な解析を進め,その相異に ついて比較検討する必要がある。また,SLP場だけでは 要因を明らかにできない事例もあったため地上の風向・ 風速・気温などを用いて解析していく必要がある。さら に降雪量は上空の温度,比湿場によっても変化すると考 えられ今後解析していく必要がある。 謝辞 本研究をすすめるにあたり,日本大学文理学部非常勤講師 の永野良紀氏をはじめ,多くの方から助言をいただきまし た。また,雲バンドを解析するのにあたり高知大学気象頁の 気象衛星赤外画像を使用させていただきました。感謝致しま す。本論文は著者の一人である木村浩彰の平成26年度本大 学文理学部地球システム科学科の卒業論文に加筆修正を行っ たものである。 ターンであると考えられる。 Ⅳ.まとめと今後の課題 北陸地方における局地的豪雪において金沢と新潟を対 象に統計的手法を用いた気象場の解析を行った。まず, 基本的なSLP場を明らかにするために主成分分析を行 い,得られた主成分スコアから局地的豪雪が発生する SLP場について調べた。また主成分スコアの変化から気 圧傾度の変化の特徴を調べた。その結果,金沢では JPCZの降雪バンド,新潟では日本海上の低気圧の通過 が主な局地的豪雪の要因であった。金沢での局地的豪雪 は主に主成分空間内においてZ1,Z3が減少し気圧傾度の 方向が西―東方向から南西−北東方向へ変化していくパ ターンとZ1,Z2が増加,Z3が減少し気圧傾度の方向が北 西―南東方向から西―東方向へ変化していくパターンの 2 つがあった。この気圧傾度の変化に伴いJPCZの降雪 バンドは前者では「北西―南東方向に直線に伸びる降雪 バンドが弓状に変化するパターン」,後者では「西北西 ―東南東方向から西南西―東北東方向に変化するパター ン」となっていた。この結果,JPCZの降雪バンドは次 第に衰退するものの,その南端部の活発な降雪バンドが かかったことが局地的豪雪の原因と考えられる。一方新 浅井富雄(1988):日本海豪雪の中規模的様相, 天気,35, 156-161. 内田英治(1979):V字型の雲パタンと日本海沿岸の大雪, 天気,26,25-36. 大久保篤・黒川美光(2000):冬型気圧配置時に富山県内に 形成される強い降雪や悪視程を伴うシア・ラインの立体 構造,天気,47,23-34. 大東忠保・坪木和久・石塚暁(2012):衰退する帯状雲の南 端部に形成された降雪バンドの構造, 天気,59,33-45. 加藤央之・永野良紀・田中誠二(2013): 東アジア地域にお ける海面気圧分布パターンの客観分類―寒候期のパター ン―, 地理学評論, 86-2, 95-114. 児玉安正・中山高徳・尾崎尚則(1995):冬季季節風時に見 られる東北日本の100kmから数100kmスケールの降水 変動,天気,42,19-30. 鈴木博人(2010):新潟県とその周辺における大雪の出現頻 度の経年変化とその気温との関係―鉄道駅構内の露場で 観測された日降雪深データを用いた解析―. 天気, 57, 289-303. 鈴木博人(2012):日本における大雪の経年変化とその環境 場との関係―気象庁と鉄道の日降雪新データを用いた解 析―, 天気, 59, 3-20. 中田裕一(1981):冬季季節風時の吹き出し時に日本近傍に 現れる雲列群の出現分布,天気,34,45-53. 引用文献 舟田久之(1993):富山県の降雪分布,天気,40,9-19. Asai, T. and Y. Miura (1981) : An Analytical of Meso-Scale

Vor-tex-Like Disturbances Observed around Wakasa Bay Area. Journal of the Meteorological Society of Japan, 832-843

Eito, H., M. Murakami, C. Muroi, T. Kato, S. Hayashi, H. Ku-roiwa, M.Yoshizaki (2010) : The Structure and Formation Mechanism of Transversal Cloud Bands Associated with the Japan-Sea Polar Airmass Convergence Zone . Journal of the Meteorological Society of Japan ,625-648.

Hozumi, K. and C. Magono (1984) : The Cloud Structure of Convergent Cloud Bands over Japan Sea in Winter Mon-soon Period. Journal of the Meteorological Society of Ja-pan ,522-533.

Takako, A (1981) : Time and Spatial Variations of Heavy Snow-falls in the Japan Sea Coastal Region part I. principal Time and Space Variations of Precipitation Described by EOF. Journal of the Meteorological Society of Japan , 578-590. Takako, A (1981) : Time and Spatial Variations of Heavy

Snow-falls in the Japan Sea Coastal Region part Ⅱ. Large-Scale Situations for Typical Spatial Distribution of Heavy Snow-falls Classified by EOF. Journal of the Meteorological So-ciety of Japan , 591-601.

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