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平成 1 6 年度長崎大学英語基礎学力 テス トに関す る分析

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BulletinofFaLCultyofEducation.NagasakiUniversity:Curriculum andTeachingNo.45(2005)41‑50

平成 1 6 年度長崎大学英語基礎学力 テス トに関す る分析

一 習熟度別 クラス編成 の可能性 を求 めて 一

池 田 俊也*・稲毛 逸郎* *・小笠原 真司* * *・西原 敏明* * * *

(平成17年3月15日受理)

AnAna l ys i so ft heEngl i s hPr o f i c i e nc yTe s tf o r Na ga s a kiUni v e r s i t ySt ud e nt s( 2 0 0 4 )

‑ Towar dAr r angi ngCl as s e sBas e don Pr of i c i e nc yLe ve l s

To s hi yaI KEDA,I t s ur oI NAGE

,

Shi nj iOGASAWARA

,

To s hi akiNI SHI HARA

(ReceivedMarch 15,2005)

1. は じめに

本研究 は,長 崎大学全学教育 の外国語教育 (英語教育) を改善 す るために行 われ た基礎 研究 であ り,全学教育 にお け る学部 内の学生 の英語学カバ ラ.ンスを,文法力,読鰐力, リ

スニ ングカ の側面 か ら分析 し,習熟度別 クラス編成 の可能性 を追求す るための調査であ る 長 崎大学全学教育 にお ける既習外 国語 「総合英語」 お よび 「英語 コ ミュニケー シ ョン」

の授業 は従来 の講読 中心型 の英語指導 の問題点 を解消す るために, ス ピーキ ングと リスニ ング活動 を多 く取 り入 れ, リーデ ィ ングとライテ ィ ングとの4技能 のバ ラ ンスが とれ た, いわゆ る伝達能力 の育成 を 目標 に導入 された ものであ る 将来,職場 や学会等 にお いて, 自分 の考 えを英語 で表現 し,相手 の言 うことを理解 して, デ ィスカ ッシ ョンが行 え るよ う な伝達能力 の基本的 スキルの育成 を 目標 と して いる

しか しなが ら,現実 には クラスサイズや施設等 の問題 があ り,十分 な指導 が行 われて い るとは言 いがたい。 また, 中学校 ・高等学校 の学習指導要領等 で, コ ミュニケー シ ョン能 力 の育成 が強調 されて はい る ものの,本学 に入学 して くる学生 が, どの程度 まで コ ミュニ

池田 俊也* 長崎大学教育学部助教授 稲毛 逸郎** 長崎大学教育学部助教授

小笠原 真司*** 長崎大学教育学部助教授 ・大学教育機能開発 セ ンター兼務 西原 俊明**** 長崎大学教育学部助教授 ・大学教育機能開発 セ ンター兼務

(2)

ケー ション能力を身 につ けているか につ いての現状把握 も十分 なされていない。 また長崎 大学 1年生,2年生 の外国語学習 に対す る意識 および コ ミュニケー シ ョン能力 の技能が ど の程度身 につ いているか につ いての基礎的統計資料 もないのが現状であ る

すなわち,全学教育 における英語教育で は,英語学習 の動機付 けを高 めるための外部試 験 の導入方法,教育効果 をあげるための能力別 クラス編成 の可能性, コンピュータや ネ ッ

トワーク型英語教材 の導入 の可能性 などについて さ らに検討 を重 ねてい く必要があろ うが, その検討 のための基礎 データが必要 であ る

本研究 は,学生 の英語能力把握 のため,信頼性 の高 いデータを収集分析 し,今後 の英語 教育 の更 なる改善 に役立 て よ うとす るものであ る。 なお,本研究 では,長崎大学 の3学部 の1年生か らデー タを収集 したが, その 目的 は,各学部 にお ける学生 の文法,読解, リス ニ ングの能力 の学力バ ランスや学生 の成績分布 を検討 す ることにあ り,決 して学部間の成 績比較 を意図す る もので はない ことを断 ってお きたい。

2.調査方法 とデータ分析法

学生 の英語学力 に関 して, これ まで本学 の学生 を対象 と したデー タ収集 はほとん ど行 わ れていない。信頼性 のあ るデー タを得 るためには,TOEICやTOEFLのス コアーを利用す る方法 も考 え られ るが, はた して これ らのテス トが本学 の1年生 の学力分析 に適 している か は疑 わ しい。 これ らのテス トの レベルか ら,学生 の成績 に床効果が予想 され るか らであ る また, レベルを下 げて,Pre‑TOEFL(TOEFL ITPのひ とっ),CELTやG‑TELP等 の 利用 も考え られ るが,予算面 の問題 もあ り,全学的 に実施す ることはなかなか困難である。

その よ うなテス ト内容 の水準 や予算 の問題 を解 消 す るひ とっ の手 段 と して,JACET (大学英語教育学会)が開発 したテス トを利用す る方法があ る。JACETで は, これ までに 大学生 を対象 と して, まず リスニ ング用 テス トForm A,Form Bを, さ らに初級 レベル の大学生 を対象 と してBASICテス トを開発 して実施 して きた。 さ らに, その中間的難易 度 を設定 した もの と して,Intermediatelevel対象 の テス トを8年前 に開発 し, 現在 で は レベルに応 じて3種類 の リスニ ングテス トが利用で きるよ うにな っている。

さ らに,従来 は リスニ ング部 門のみのテス トであ った ものを,2004年 にBasicの リスニ ングテ ス トを改訂 し, さ らに文 法 ・リー デ ィ ングのパ ー トを加 え てJACET English CommunicationProficiencyTestとい う基礎学力 テス トを開発 した。 この テス トは,費 用 も一人 あた り600円 と安価 で あ り, このテス トの レベルか らみて本学 の学生 の基礎学力 を測 るもの と して利用 で きると考 え,本研究 のデー タ収集 に利用す ることにな った。 この テス トのマニュアルでは, この基礎学力 テス トの コンセプ トを以下 のよ うに説明 している

(1)大学生,特 に入学時の クラス分 けのためのプ レースメ ン ト・テス トと して使用で きるよ うに,grammar,reading,listeningの3部 門 に分 け,総合得点 と必要 な部門の素点取 り出す ことがで きる。

(2)学期 の最初 に このテス トを使用 し,一定期間の経過後 に再度 このテス トを課す こ とで,grammar,reading,listeningの3部門の伸張度 を測 る ことがで きる

(JACET ECPTマニュアルよ り) このよ うに,3部門 とい う視点 か らの分析 も可能 であるが,4節以下 で は,学部別 にグ

(3)

平成16年度長崎大学英語基礎学力 テス トに関す る分析

一習熟度別 クラス編成の可能性を求めて‑ 43

ラマ‑, リーデ ィングの筆記部門 と リスニ ング部門の得点結果 を分析 し,学生 の英語基礎 学 力 の分布状況 を検討 して い く。 JACET EnglishCommunicationProficiencyTest で は, リスニ ング部門 は3つのパ ー トか ら構成 され50点満点であ り, グラマー と リーデ ィ

ングは筆記部門 と して合 わせて50点満点 の配点であ る。筆記部門の解答時間 は30分, リス ニ ング部門の所要時間 は21分 であ り,講義時間の半分 の時間を利用 して実施可能 である

表1は,筆記部門, リスニ ング部門各 々の問題 内容 と問題数 を示 して いる。

表1.JACET EnglishCommunicationProficiencyTestの配点 筆記 Part1: Grammar(20問)

Part2:Reading(5問)

リスニ ング Part3:Listening Shortstatements(10間) Part4:Listening Shortconversation(10問) Part5:Listening Shorttalks(5問)

(JACET ECPTマニュアルよ り)

今 回 は長 崎大学 の全学部 か ら3学部 (1年生) を抽 出 して,JACET ECPTを実施 し た。対象 とな ったのは,薬学部 (81名),水産学部 (115名),環境科学部 (142名) の1年 生,計338名 であ る テス トの実施期間 は,2004年5月17日〜21日と し, これ ら3学部 の

「総合英語Ⅰ」 の講義 の後半 を利用 して テス トを行 った。

以下,

3

節 で このJACETの基礎学力 テス トの問題 内容分析 を行 い,学生 の正答率 の視 点か ら論 じる なお, テス トの著作権 の関係 か ら,問題傾向 につ いて は言及で きるが,個 別 の問題 を直接提示 した り内容 に触れた りす ることはで きない ことにな っている 4節で は,

3

学部別 に,総得点,パ ー ト別得点 ・人数分布,筆記 ・聴解得点分布図等 の視点 か ら, 学部 内の学生 の学力分布 を分析 し,各学部内での習熟度別 クラス編成必要性 の有無 につ い て論 じてい く 最後 に5節 で,3学部 のデータか ら共通 して指摘 で きる点 を論 じて, まと め とす る

3.問題 内容 と正答率の分析

この節 では,各部 門 における問題 内容 と正答率 を分析 して い く。 まず,文法問題 に関す る問題 内容 を以下 に示す。

表2

設 問番号 問 題 内 容 難 易 度 正 答 率

1 形哀詞相 当語句 の限定 .叙述用法 やや難 93%

2 分詞構文 と否定辞要素 の語順 基 礎 95%

3 埋 め込 み節 と形式 目的語 と してのitの用法 基 礎 87%

4 不定詞 の意味上 の主語 の形 基 礎 95%

5 関係副詞 基 礎 89%

6 甚較 基 礎 77%

7 形容詞相 当語句 (限定用法) の語順 やや難 79%

8 時制 (現在完了) 基 礎 84%

(4)

10 現在分詞 基 礎

7 8 %

ll 接続詞 基 礎

8 9 %

1 2

時制 (過去完了) 基 礎

7 6 %

1 3

否定 の副詞 基 礎

8 0 %

1 4

不定詞 やや難

7 5 %

1 5

時制 (時 .条件 の副詞節) 基 礎

7 5 %

1 6

仮定法 (過去完了) 基 礎

6 6 %

1 7

前置詞 の選択 基 礎

4 7 %

1 8

接続詞 (nomatter疑問詞) やや難

6 7 % 1 9

現在分詞 (知覚動詞補文) 基 礎

5 9 %

上 の表か らわか るよ うに,問題 内容 は全 て高校2年生 まで に学習す る文法項 目に関 して の基礎 的知識 を問 うものである問題 内容か ら考 えて,各問題 とも7割程度以上 の正答率 が期待 され るが,内容別 に見てみ ると,正答率が低 い文法項 目があ ることがわか る。設問

8

時制 に関わ る知識,設問

1 6

仮定法 に関わ る知識,設問

1 7

前置詞 にかかわ る知識,設問

1 9

補文形式 に関わ る知識が十分 でないと言 え る。 また,設問5関係詞 に関わ る知識 も十分 と は言 い難 い。仮定法 を含 めた時制 に関わ る部分 は,英語話者 の時間的概念 を理解す ること の難 しさを反映 した もの といえ る 同様 に,前置詞 の使用 に関わ る問題 の正答率が低 い と い う事実 は,英語話者 のイメー ジスキーマ (外部世界 の知覚,経験 を基盤 とす る概念構造) 理解 の難 しさを示 していると言え る。

難易度 か ら見 て,「やや難」 に類別 され る問題 は,英語文法 の基礎知識 の暗記 だ けで は 正解 が得 られない種類 の問題 である難易度 に反 して,設 問1の正答率が高 い。 これ は, 形容詞asleepが,原則的 には叙述用法 と して用 い られ ることを理解 して いた と考 え るよ

り,単純 に中学校か らな じみのあ る表現 を選択 した と見 るのが適 当であろ う。

今回の調査結果か ら,授業 の中で,時間概念 につ いての理解, イメー ジスキーマの理解, 補文形式や動詞 と補文構造 に関す る理解 を一層高 める努力をす る必要性があると言 えよ う。

読解能力をみ る問題 は,基本的なパ ラグラフ構成 を もつ文章 を読 み,設問 に答 え る問題 であ る各パ ラグラフの構成 は単純 なパ ター ンであ り, また,段落 の内容 ごとに設問が設 定 されお り,理解 しやすい内容 とな っている 各問題 の正答率 を次 に示す。

表3

設問番号 難 易 度 正 答 率

2 1

基 礎

9 6 % 2 2

基 礎

8 8 % 2 3

基 礎

7 5 % 2 4

基 礎

7 2 % 2 5

基 礎

6 4 %

与 え られている二つの文章 は, いずれ も説明文であるが,前半 の文章 が よ り単純 な文 を 多 く含む ものである 設問

2

1

,2 2

の正答率 が高 い理 由は,単純 な文が多 く含 まれているた めに理解 し易 い と見 るのが適 当であろ う 後半 の文章 に関わ る問題 の正答率が低 いのは, 文構造の複雑 さに求 め られ る。例えば,設問

2 5

では,複雑 な文構造 (複数 の埋 め込み構造) を もち,意味的修飾関係 もやや複雑である このために,正答率が低 い と思 われ る 読解

(5)

平成16年度長崎大学英語基礎学力テス トに関す る分析

一習熟度別 クラス編成の可能性を求めて‑ 45

力の訓練 を行 う授業では,時間制限のなかで, よ り複雑 な文構造 を理解す る訓練を一層充 実 させ る必要があると思われ る

リスニ ング問題 は,短 い陳述文,短 い対話文,や や長 めの説明文の内容 を聞 き取 って, 設問 に答え るものである占.リスニ ング問題 の出題内容 は,以下の通 りである

表4

設問番号 問 題 内 容 難 易 度 正 答 率

2 6

疑問詞の内容 を聞 き取 る

( Ho wmuc h〜? )

基 礎

8 8 % 2 7

疑問詞の内容を聞 き取 る

( Whe n〜? )

基 礎

8 1 % 2 8

依頼 の内容を聞 き取 る

( Wi 1 1yo u〜? )

基 礎

8 0 % 2 9

疑問詞 の内容を聞 き取 る

( Ho w l o ng〜? )

基 礎

8 3 % 3 0

依頼の内容を聞 き取 る

( Co ul dyo u〜? )

基 礎

8 3 % 3 1 Ye s/No

疑問文 を聞 き取 る 基 礎

5 8 %

3 2

提案を聞 き取 る 基 礎

6 7 %

3 3

否定疑問文 を聞 き取 る やや難

5 5 %

3 4 Ye s/No

疑問文を聞 き取 る 基 礎

4 4 %

・3 5

許可 を求 める内容 を聞一考取 る

( Doyo umi ndi f

〜 ?) 基 礎

1 8 %

3 6

内容か ら状況を理解す る 基 礎

6 6 %

3 7

内容か ら状況を理解す る 基 礎

7 2 %

3 8̲

内容か ら状況を理解す る 基 礎

6 7 %

3 9

内容か ら状況を理解す る 基 礎

6 8 %

4 0

内容か ら状況を理解す る 基 礎 L

7 6 % 4 1

内容か ら状況 を理解す る 基 礎

7 2 % 4 2

内容か ら状況を理解す る

( Ho w o f t e n

〜 ?) 基 ー礎 ー

6 6 %

4 3

内容か ら状況を理解す る 基 礎

5 7 %

4 4

内容か ら状況を理解す る

( Wha t

〜 ?) 基 礎

4 1 % 4 5

内容か ら状況を理解す る

( Ye s / No

疑問文) 基 礎

5 7 % 4 6

説明内容 を理解す る

( Why〜? )

基 礎

4 8 % 4 7

説明内容を理解す る

( Whe n〜? )

基 礎 .

5 4 % 4 8

説明内容 を理解す る

( Why〜? )

基 礎

6 2 % 4 9

説明内容 を理解す る

( Wha t

〜 ?) 基 礎

2 3 % 5 0

説明内容 を理解す る

( Wha t

〜?) 基 礎

4 6 %

前半 の リスニ ング (設問

2 6 ‑3 0 )

は,短 い陳述文を聞 き取 るものであるが,設問に疑問 詞が含 まれ,聞 き取 るポイ ン トが理解 しやすい もの とな っている したが って,上 の表か らわか るように,正答率が高 い。 しか しなが ら,対話文 を聞いて設問に答え る問題 (設問

4 2・4 4・4 6 ‑5 0 )

では,疑問詞が含 まれていて も,正答率がそれほど高 くない。設問

2 6

3 0

と設問

4 2 ‑4 5

の正答率を比較す ると.,前半 の設問の正答率が

8 0 %

を超 えているのに対 し て,後半 の設問では

,6 5 %

以下である。 この事実 は,被験者 の短期記憶の容量が小 さいこ とを示 している。同様 の ことが,設問

4 6 ‑5 0

の正答率か らも見て とれ る 設問

4 9

の正答率 が極端 に低 い理 由は,疑問の対象 となる部分が説明文の最初 にあ り,短期記憶 に残 ってい なか った と見 るのが適当であろ う リスニ ングカ に関 しては, よ り長 い部分の聞 き取 り訓 練 を行 い,短期記憶の容量 を増やす必要性があると言えよ う。 また,正答率が低 い設問が あるとい う事実 は,被験者 の分布状況が,理想的な分布図をな していない可能性 を示唆す るものである占次節では,学部 ごとによ り詳細 なデータ分析 を行 い,長崎大学での今後の 英語教育のあ り方 についての方向性 を検討す る

(6)

4.

学部別の分析 4.1 薬学部

この項 で は,薬学部 のテス ト結果 を分析 してい く。総合得点 の平均値 は80.35ポイ ン ト で (標準偏差 9.01,盃度 ‑0.81,尖度 0.ll),図1の グラフが示すよ うに全体的には 多少ば らつ きはみ られるものの,正規分布 に近 い傾向を示 している

図1

さらに筆記部門 (文法 と読解)の得点分布状況 (平均値 86.66ポイ ン ト,標準偏差 3.36, 歪度 ‑0.52,尖度 0.13)と聴解部門の得点分布状況 (平均値 74.02ポイ ン ト,標準偏差 6.99,歪度 ‑0.72,尖度 ‑0.07)をグラフで示す と次の図2,図3のよ うになる

図2,図3か ら,(1)筆記部門では得点 の分散度が他学部 と比べ ると極 めて低 いこと,(2) 筆記部門よ り聴解部門の方が得点 の分散傾向が強 いこと,が指摘 され る これ らの点 は, 今回の調査対象 にな った薬学部1年生 に関 しては,特 に聴解部門に関 して英語習熟度 にか な りば らつ きがあることを示 してお り,全学教育外国語 (英語)科 目の主 と して音声英語 の技能を訓練す る 「英語 コ ミュニケー ション系」の クラスにおいて,習熟度 によるクラス 分 けの可能性があることを示唆 していると考え られ る具体的には,「英語 コ ミュニケー ション系」で,上位層49名,下位層32名 の2クラスの習熟度別 クラス編成の可能性が うか がわれ る分析結果 とな った。

4.2 環境科学部

この項 で は,環境科学部 のテス ト結果 を分析 してい く 総合得点 の平均値 は66.82ポイ ン トで (標準偏差 13.99,歪度 ‑1.00,尖度 2.16),図4の グラフが示すよ うに全体

(7)

平成16年度長崎大学英語基礎学力テス トに関する分析

‑習熟度別 クラス編成の可能性を求めて一

的 にかな りば らつ きが見 られ る

47

図4

さらに筆記部門 (文法 と読解)の得点分布状況 (平均値 73.18ポイ ン ト,標準偏差 7.15, 歪度 ‑1.61,尖度 4.73)と聴解部門の得点分布状況 (平均値 60.46ポイ ン ト,標準偏差 8.91,歪度 ‑0.39,尖度 ‑0.42)をグラフで示す と次の図5,図6のよ うになる

環境科学部 (文法読解)

̲..,I.#..I.II...I..:.7=.7.=7,I.:{:I,ri.,..=..;.:i.ilt..;:.i=ii.:混 摂 .::,;ZJ:..=.}S;,i.....i,iIJLI.... I..=!=.,,.:ylfI;:;i. 7LllllPllJLl.::::

=.iI..J'l=:.:LL .......:i=7..L.t.,::,i,I:LL.:.釈..L..:I

3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25

5, 図6か ら, (1)筆記部門 も聴解部門 もともに得点 のば らつ きが強 い こと, (2)筆記 部門より聴解部門の方が さらに得点のば らっ さが強いこと,が指摘 される。 これ らの点 は, 今回の調査対象 にな った環境科学部1年生 に関 しては,総合的な英語習熟度 にかな りば ら つ きがあることを示 してお り,全学教育外国語 (英語)科 目の 「総合英語系」,「英語 コ ミュ ニケー ション系」 いずれのクラスにおいて も,習熟度 によるクラス分 けの可能性があるこ とを示唆 していると考え られ る。具体的には,「総合英語系」 では,、図5が示す よ うに, 上位層43名,中間層52名,下位層47名の3クラスのクラス分 け, また

,

英語 コ ミュニケー

ション系」 では,上位層32名, 中間層66名 (33名の2クラス),下位層44名 の4クラスの 習熟度別 クラス編成の可能性が うかがわれ る分析結果 とな った。

4.3 水産学部

この項 では,水産学部 のテス ト結果 を分析 してい く 総合得点 の平均値 は60.31ポイ ン ト (標準偏差13.02,歪度0.22,尖度‑0.67)で,図7の グラフが示すよ うに全体的なば ら っ さはあるが,50点満点中約60%の正答率 を前後 に してわずかに右 よ りで平坦 な分布傾向 を示 している

(8)

図7

さらに,筆記部門 (文法 と読解)の得点分布状況 (平均値66.92ポイ ン ト,標準偏差6.62, 歪度0.01,尖度‑0.25)と聴解部門の得点分布状況 (平均値53.70ポイ ン ト,標準偏差9.21, 歪度0.09,尖度‑0.70)をグラフで示す と,以下 の図8,図9のよ うになる。

水産学部筆記 (文法読解)

115050

I, 碓網糖 ≧丁.F.(ZJiiiL,批槻:.ir,.7,.i!,.,r.;.:;:,I

得点

水産学部 (聴解)

15 1005

rlllI

r跳,.mmlx鮮鵠煤..ifL:T.i.,3..,li{P,JJ;.=r 3 5 7 9 1113151719212325

8

, 図

9

か ら,総合得点 のデー タに比べ

( l )

筆記部門の全体的 な偏 りはわずか に小 さ くな り,6.3ポイ ン ト右方 向へ移動 した平均値 を中心 に左右対称 に近 い傾 向があ ること, (2)聴解部門では逆 に平均値 は6.6ポイ ン ト左方 向‑移動す るが,度数分布 曲線 はほぼ同 じ 平坦な傾向を示 していることが指摘で きる。 これは筆記部門よ り聴解部門の方が得点 の分 散傾向が強 く,それがそのまま総合得点の分布曲線 に現れているということを示 している

つ まり,両部門の平均値の13.2ポイ ン トの差異か らも分か るよ うに,聴解能力の習熟度数 が総合得点 に如実 に反映 されているとい うことである この点か ら調査対象 の水産学部1 年次生 に関 しては英語習熟度 についてかな り大 きなば らつ きがあることを示 してお り,全 学教育外国語(英語)科 目の 「総合英語系」英語 コ ミュニケー ション系」 いずれ において ち,習熟度別の クラス編成 の可能性があることを示唆 している 学部一斉の クラス開講が 可能であることを前提 に,具体的には現行 の3クラスを上位層,中間層,下位層 に分 け,

「総合英語系」では図8に従 って, それぞれ34名,39名,42名 に分 け,「英語 コ ミュニケー ション系」では図9に従 い, それぞれ41名,32名,42名 に分 けることが可能である その 際,各層のボーダー上 に位置す る数名 については,学習 の動機付 けを高 める上か らも本人 の意思 を尊重 して隣 り合 うクラスへの登録 を可能 にす るなどの柔軟性 を持 たせ る必要があ る

(9)

平成16年度長崎大学英語基礎学力テス トに関す る分析

一習熟度別 クラス編成の可能性を求めて‑ 49

5.

「習熟度判別 テス ト」データのまとめ

ここでは,理系 3学部 の英語習熟度 に関す る今回のテス トデータか ら指摘で きる部分 に ついて考察す る。

( 1 )

今回のテス トの学部別総合成績 は薬学部 の点数が最 も高 く, つ いで環境科学部, 水産学部 の順で続 く 筆記, リスニ ングの個別分野 について も,同様の傾向が見 られ る。上位学部 と下位学部 のポイ ン ト差 はすべてにおいて

,2 0

ポイ ン トの開 きがあ り, 中位学部 はその中間よ りわずかに下方 に位置 している。 その理 由 と して, まず挙 げ ら れ るのは2次試験の入学要件 に 「英語」が課せ られているか どうかである。上位 ・中 位 の2学部 については 「英語

が必須科 目であ り,下位学部では 「セ ンター試験」だ けである

2

次試験での必須科 目と しての 「英語」の有無 は高等学校での生徒 の取 り 組み方 に もある程度軽重 を生 じさせ るだろ うし, また一方で 「セ ンター試験」 の 「英 語」 の成績 いかんで志望学部 を変更す る学生 もいるだろ う こうした入学時の習熟度 (得意,不得意)がそのまま結果 として現れていることがわか る。次 に挙 げ られ るのは,

3学部固有 の特性である環境科学部 には一定の (主 として中華人民共和国か らの) 留学生が存在 し,「総合点分布」 グラフの下位 に位置 している その多 くの 「英語」

学習経験が入学前 の1年, あるいは母国での 2‑ 3年 にす ぎないことを考慮す ると, グラフの下方への広が りも理解で きる 水産学部 の場合,難易度の異 なるテキス トを 使用 し,学習時問 も異 なる実業系高校か らの推薦入学生が存在す る 普通科高校か ら の入学者 との習熟度の差異 はグラフか らははっきりみえない。む しろ,大学での授業 に対す る取 り組みが普通科 出身の学生 よ りも熱心で,定期 テス トの成績が良 い例 もあ り,断定 はで きないが,入学間 もない時点 で実施 した今回のテス ト結果の グラフの中 位 あるいは下位 に位置 していることは否めない。薬学部 の場合,普通科高校の成績上 位者が入学 して くる例が多 く,「総合点分布」 グラフの通 りである。

( 2 ) 3

学部 に共通 して顕著 に現れたのが,筆記部門 と聴解部門の平均値 の差異である

いずれの学部 とも12.64‑13.22ポイ ン トもの開 きがあ り,習熟度 を端的に表す 「尖度」 か らも聴解部門のば らつ きの大 きさがわか る 聴解能力 については日常的な訓練が必 要 であ り,中等教育 の現行 カ リキュラムだけで は十分ではない。所属す る中学 ・高校 の 「英語」教育の力点 の置 き具合,個人的な向 き不向 き,英語学習の動機付 けの度合 いが最 も反映 され ると考え られ る しか し,個人成績の結果か ら見て,筆記部門の上 位者が聴解部門の上位者であることに変わ りはな く,問題 はむ しろその平均値 の差を ど う縮 め るかである。 その意味か らも,「英語 コ ミュニケー ション」科 目の習熟度別 クラス編成 の実施 は一考 に価す ると思われ る とりわけ,留学生 については,留学生 セ ンター等 とも協議 しつつ特別 クラスを編成す ることが急務である そのためには, 習熟度別 クラスの編成 に欠かせない一斉授業が可能な施設の整備,時間割の調整,担 当教員の増員 などの問題 を克服 しなければな らないだろ う

以上,今回のテス ト結果 はわれわれが授業を通 して 日頃痛感 している現状を確実 に反映 していた。 こうしたデータの集積が授業の効率的な計画 ・運営 につなが ることを考えると, この調査,分析の試 みを一定期間続 けてい くことが重要であろう。

(10)

*本研究 は,2004年度の大学教育機能開発 セ ンター教育研究改善 プ ロジェク ト 「長崎大学 全学教育外国語教育 (英語教育)改善研究一教材開発及 びカ リキュラム改善 のための基 礎調査‑」 (代表:小笠原真司, メ ンバ ー :池 田俊也 ・稲毛逸郎 ・西原俊明) の研究報告 の一部である。 なお,執筆の分担 は,次の通 りである。 1節および2節 小笠原,3節 西原,4節 1.および4節2.稲毛,4節

3.

および

5

節 池田)

参 考 文 献

岩井勇児、鈴木真雄.1985.教師のための統計法入門』第2版.東京 :福村出版.

清川英雄.1990.英語教育研究の入門』‑ データに基づ く研究の進め方‑.東京 :大修館書店.

田中 敏、山際勇一郎.1989.『ユーザのための教育 ・心理統計 と実験計画法』東京 :教育出版

表 1.JACET Engl i s hCo mmuni c a t i o nPr o f i c i e nc yTe s t の配点 筆記 Par t1: Gr a mma r ( 2 0 問) Par t 2: Re a di ng (5 問) リスニ ング Pa r t 3: Li s t e ni ng Sho r ts t a t e me nt s ( 1 0 間) Pa r t 4: Li s t e ni ng Sho r tc o nv e r s at i o n ( 1 0 問)
図 7 さらに,筆記部門 ( 文法 と読解)の得点分布状況 ( 平均値 6 6. 9 2 ポイ ン ト,標準偏差 6 . 6 2 , 歪度 0. 0 1 ,尖度 ‑0 . 2 5 ) と聴解部門の得点分布状況 ( 平均値 5 3

参照

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