NE WS LE TTER 2009 .1 . N。 .34 2 2 1 ‑ 8 6 8 6 横 浜 市 神 奈 川 区 六 角 橋 3 ‑ 2 7 ‑ 1電 話( 0 4 5 ) 4 8 1 ‑ 5 6 6 1 ( 代 ) 神 奈 川 大 学 言 語 研 究 セン タ ー
此肌4 G 4 W A
「 対 照 言 語 学 研 究 会」の歩 み
神奈川大学 における言語科学研究
本大学 には、英語、 中国語、 スペイン語 をはじ め、母語である日本語は もとよ り、朝鮮語、 ロシ ア語、 フランス語、 ドイツ語、イタ リア語 と、多 彩な言語を研究対象 としている人が集まっている。
ひ とつの言語現象 について、 さまざまな言語での 現われを話す場があった らいいとい う発想か ら、
言語研究センターに研究会 を立 ち上げた。名づけ て 「対照言語学研究会」、
1
1年 目の活動 に入 って いる。それ以前、 コーヒーカップ片手 に、三 々五 々こ とば談義 に花 を咲かせていた時期がある。研究へ のアイデ ィアや ヒン トはこうい うキ ヤジュアルな 場 か ら生 まれ るもので、 あのときの話 まとめてお けばよかったとい うことも多か った。やがて、 こ うい う論文 を読 んでみよう、 このことについて少 し調べてみ よう、ではひ とつまとめて話 してもら お う、 といった談話会的なものへとなっていった。
お りしも
、1 999
年度 に、 「神奈川大学共同研究 奨励」制度が始 まった。 この助成金 を得て、産声 を上 げたばか りの研究会が、談話会か ら共 同研究 会へと脱皮す るチャンスとなった。その後、2002 年度 に再度、副詞的表現の研究を トピックに、大 きな助成金 をいただき、集大成 として、 『副詞 的 表現 をめ ぐって‑対照研究』 (ひつじ書房) を上 刷 したのである。昨2007年度 に、 「神奈川大学国 際交流 (学術研究)事業計画」 の一環 として、本 研究会が 「国際文化交流 と言語科学」 プロジェク トを推進、 国際シンポジュームを開催 した (みな武 内 道 子
とみ らいホール にて)。 これ を骨子 に、 センター の紀要30周年記念特別号 と銘打 って、 『言語 の個 別性 と普遍性』 を出版 したOセンターの共 同研究 会は年 々ひ とつ二 つと増 えていき、一方で予算は 不変 という状況であるか ら、研究会 として機能す るには、 こういった助成金制度 は貴重で、 あ りが たいものである
。2005
年度か ら上記研究奨励制度 が 「神奈川大学共 同研究助成」制度 と リニ ューア ル し、センターや研究所所属 を離れ、学部 を母体 とす ることにな った。 われわれの研究会は 「モ ダ リテ ィ」 現象 をテーマに今年度 か ら3カ年、助成 金を交付 されることにな り、初年度の活動が始まっ ている。 そ して相変わ らずセンターにその拠点を 置かせてもらうことにした。言語の普遍性 は、言語獲得能力が遺伝的に決定 されているとい う主張の論拠である。 その生得性 の証拠は、個人 の属性 としての言語 に関す る知識 (言語知識) に求 め られ る。 われわれ言語科学者 は、言語知識 を、 ち ょうど呼吸をつかさどる肺や 気管、 あるいは消化 をつかさどる胃や腸 といった 器官 とパラレル に、心的器官 として とらえる。 し か し、 この器官は肺や胃と違 って、脳 を断ち割 っ て も、 レン トゲンを撮 って もその存在 を確 かめる ことができないか ら、仮説 として提示す るしかな い。 しか しなが ら、客体 としての言語がある。言 語事実 を観察 し、記述す るとい う帰納 的側面が、
物理学な どの純粋 に演樺的な学問 とは違 うところ である。 そのあ りようを、 なぜ今 あるようにある
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のかを説明す る姿勢によって、その存在 を確かめ 言語 の華麗な豊かさが理解できるとい う信念 を持 てい く。説明を行 うためには、何 らかの理論 の存 ち、言語科学 を人 間の 「こころ」 の研究 の中核 を 在が不可欠であるO なす ものと位置づけている。 メンバーの枠 は流動 われわれは、多彩 な言語か らの検証 と、それぞ 的であ りなが ら、常 にひたむきに取 り組む姿勢 を れの理論的基盤 による多彩な切 り口とか ら、人 間 続けていきたいと願 っている。
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発 見 の 喜 び
歴史言語学の新地平
最近、新 しい歴史言語学 を開拓 しようと意気込 んで いる。 「大発見 だ」 と興奮す ることもしば し ばある。大袈裟な独 り善が りにちがいない。 しか し、その独 り善が りが仕事 をしている実感 を与 え て くれている。
日本語の敬語研究は、体系的な取 り組 みとして 明治時代か ら始まったとされている。 その前 にロ ドリゲス
( 1561‑1634)の敬語記述はあったが、
日本 の国語学 には受け継がれなかった。私 は以前 か ら、敬語研究が明治時代 に突如 に現れた とい う ような捉 え方 に疑問を感 じていた。松下大三郎、
山田孝雄など明治 の先駆者 たちが 「敬称、尊称、
謙称、美称」 な どのような術語 を使 っていたこと に、何 か前史的なものがあったのではないか と感 じていたのである。
その疑問を抱きなが ら、数年前か ら江戸時代 の 文献 に当たってみた。荻生狙裸 (
1666‑1728)
の 『訓讃啓蒙』 に 「泰、辱」 を 「彼 ヲアガメ尊デ、己ヲ謙 ズル軒ナ リ」、 岡白駒
( 1692‑1767)
の『助辞讃通』 に 「請、幸」 を 「敬 ノ静、謙 ノ節」、樺 大典
( 1719‑1801 )の 『
詩歌推顧』 に 「窺」 を「謙節」 と解釈 しているなどの事実が見つかった。
日本語敬語研究史ではす っぽ り抜けていた江戸漢 学における敬語問題への取 り組みが垣間見 えた。
狙殊の朱子学批評からもしやと思い、来貢 (
1130
‑1200)
の著書 の調査 を行 った。案 の定、 『論語 集注』 と 『朱子語類』 に 「尊構、謙稀、謙辞、美彰 国 躍
栴」などが使われたことを発見 した。宋代
( 960‑
1278)にあるな ら、唐代 ( 618‑907)
にもある だろうと、孔穎達( 574‑648 )
、李善 (?‑689)
などの注疏文献 を調べてみた ら、 ことばの含意解 釈 として 「謙軒、謙構、美禰、通栴」 などが使 わ れたことを発見 した。研究 には欲 がつき物 である。 中国語 に 「順藤摸 瓜」 (蔓 をた どって瓜 を探す) とい う諺 があ るよ うに、古い時代 に遡 ろうと、漢代 (紀元前202‑220) の訓語学者 の注釈本 を片 っ端 か ら読み漁 った。高
請 ( 205
年在世)、何体 (1 29‑1 82 )
、鄭玄( 1 27‑
200)
、起岐( 110‑201 )
、許慎( 58‑147)
、孔 安国 (紀元前104
年在世) な どと。彼 らの訓釈 に「尊構、謙構、美稀、頗構、尊敬欝、謙辞、鷹敬 之節、非敬節、相親之辞、親愛之言」 な ど敬語 関 連 の術語が どしどし現れた。二千年前 の訓話文献 にBr
o w n& Le vi ns o n( 1983)
のpo s i t i vepo l i t e ne s s
とnega t i vepo l i t e ne s s
を含 めた対人機能 の解釈 が なされたことに驚きを禁 じえなかった。ここまで来 た ら行 ける所 まで行 こうと思 い、春 秋戦 国時代 (紀元前770‑前221
)
の文献 『十三 経』 を通読 した。 もっとも古 いものとして 『春秋 穀梁侍』 に 「尊構、卑構、美栴」、 『春秋公羊博』に 「卑鮮」 とい う術語 が使われたことを発見 し興 奮 した。
日本 の敬語研究史への興味がきっかけでこの調 査 を始 めたが、気がついた ら、十年 の歳月が流れ
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た。歴史社会言語学、歴史語用論の新 しい地平が 見えたような気がしてひとりで喜んだ。膨大なデー タの収集 と整理に明け暮れている自分 を支 えてい るのは、まさにその時々の発見の喜びである。
参考文献 :
Br o w n & Le vi ns o n 1987 Po l i t e T l e S S :Some uT l f ve T ・ S
alsi l lt aT l guage u s age Ca mbr i dge Uni ve r s i t yPr e s s .
彰国運
2007
「漢代鄭玄が訓釈 した古代中国語 の対人関係機能について‑ 歴史語用論のアプロー チ」 『語用論研究』 (9)日本語用論学会*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*
洗練 された第二言語 コミュニケーションの探求
‑ 「 中間言語語用論 」 研究への誘い
水 野 晴 光
はじめに :
人間のコミュニケーシ ョン場面における言語使 用の際の意味現象を研究の対象 とする学問が、語 用論
( pr agma t i c s )である。語用論 といっても、
その研究アプローチは以下のように多岐にわたっ ている。
(1)発話の遂行機能、適切性条件、間接的発話行 為、会話の含意、等の解明に力点を置 く研究。
( 2 )
談話 ・テクス トの展開 メカニズムに特徴的な 情報の流れ、結束性 ・一貫性、などを解明する研究。
( 3 )
対人関係 (または社会関係) の機能か らみた ポライ トネスの解明を主眼とする研究。( 4 )
一次資料 としての言語データの記述 と分析 に 基づ く対話構造、会話構造の解明などを主眼とする研究。
( 5 )
民族学的な観点か ら見た対話分析 ・会話分析 の研究。( 6 )
談話 ・テクス トの背後に存在す る言語主体 の 語 りの構造 とナラ トロジー (物語論)の研究。( 7 )
二言語 または複数言語の伝達手段 による話 し 手 ・聞き手のコー ド変換のメカニズムに関する研究。
( 8 )
異なる分化 ・社会的な背景 をもつ伝達者 によ る異文化間コミュニケーシ ョンの諸相 に関する研究。
( 9 )
形式 と意味の関係か らなる記号系の使用 と解 釈の効果の解明を主眼とする修司的研究。a o
) 談話理解、対話理解 を可能にす る話 し手、聞 き手の知識構造、情報構造のモデル化 に関す る研究。他方、言語研究の暗黙の了解事項 として、 「単 一コー ド・モデル」 と 「閉鎖体系モデル」がある。
前者 は、言語が本質的にコミュニケーシ ョンを目 的とす るかぎ り、そのコー ドは当然、言語集団ご とに単一でなければならないという公準であるが、
現実の私達の言語生活は、同じ個人であっても、
職場で話す ことば使 い、友人 との会話のことば使 い、家庭でのことば使いなど、実際には多数のコー ドの複合の上に成 り立 ってお り、 日常のこととし てたえずコー ドの探知 と変換を行なっている。後 者は、言語 コー ドの体系そのものが、 さまざまな 場面での言語使用を前提にして合理的にでき上がっ ているというものである。近代言語学は、 どの学 派 も、言語のもつこのような体系性 を前提 に、言 語行動の全体性 を等閑視 してきた。 しかし、音声 や文法や意味上の統一的説明を与 え得 るものは、
言語行動の心的パターンの共通性以外にはない。
とりわけ、言語研究における 「単一コー ドモデル」
と 「閉鏡体系モデル」 は、言語 コ ミュニケーシ ョ
Hl]lHllHlHJIJIIHHIIHHllHHIHHllIHnlHHlHHHllHHHL)llHlllHIHHlHllHlHHHHHHIIJIHHHHllHHHHl)lHHlHHIHlHHnJlHHHIJI]HHHlHHHIHHHJllllHIJIHH
ンにおける意味研究の発展 を阻害 してきたことは 否 めない。
さらに、 ソシュールはラング (音声、文字な ど のコー ド) とパロール (言語活動) の区別 を確立 し、 ラングの研究 を優先すべきことを主張 した。
その結果、今 日、 ラングの研究は発展 したが、 パ ロルの研究は立 ち遅れてお り、 と りわけ、言語運 用 の過程全体 を把握す る一般理論 の構築が急務 と な っている。
●中間言語研究の沿革
第二言語習得 の分野 におけるこれまでの研究 の 多 くは、第一言語 との比較や、形態素の習得順位、
及 び習得 の道筋や第二言語 の普遍性 に関す る抽象 的なレベルの研究 によ り多 くの比重が置かれ、教 育実践面の研究は極めて少なかった。
四半世紀以前か らこの分野では、言語習得 にお けるエ ラーの重要性が認識 され、多 くの研究が行 なわれてきた。 まず、言語対照分析 は、学習者 の 困難点を説明す ることに貢献 したが、エ ラ‑を言 語学習の負の要素 とみな し、外 国語学習 における 母語 の干渉 を強調 し過 ぎた。やがて、 その理論的 基盤であった行動心理学 に対 して、1960年代後半 にノーム ・チ ョムスキーが異議 を唱え、エ ラーの 原 因が
L
lの干渉以外 にも存在す ることが明 らか にな ると、研究 の主流は次第 に誤答分析 に移 って 行 った。 しか し、言語対照分析 に取 って替 った誤 答分析 にも、 その後多 くの問題 を学 んでいること が指摘 され るに至 った。すなわち、言語対照分析 が、学習者 のエ ラーを 排除すべきものとしてネガテ ィブに捉 えたのに対
し、誤答分析 は、エラーを言語習得 に必然的なも のとして高 く評価 したが、(丑両者 は、エ ラーの一 断面 に過 ぎない静的なプロダク トのみを分析 の対 象 としていた.その結果、(9学習者 の心理過程で 連続 的に発達 し、状況 によってさまざまに変化す る可能性 をもつエラ‑の実態 を正 し く把握できな かった。 また、③ その研究 も研究者 の二万的な視 点で行なわれ、④学習者 がその場の状況 を考慮 し て、 あらか じめエ ラーとな る表現 を避ける回避現 象な ども分析 の対象か ら外 されてしまった。 しか
も、⑤ データ収集 の点で科学的な厳密性 に欠 ける ものが多か った。 さらに、⑥ 目標言語 の困難点の 原因も明 らかにされなかった。
●中間言語分析の方法
第二言語習得 の分野では、 これ まで定期観察 に よる縦断的研究の成果がかな り集積 されてきてはい たが、それ らのデ‑タの多 くは主観的要素があまり にも濃厚なため、その結果を一般化できなかった.
また、そのデータの採集 には時間がかか り過ぎる上 に、被験者達のプライバシーを考慮すると、教室の ような場面で、成人集 団を対象 にしたデータ採集 は極 めて困難 であ った。 そ こで、水野
( Mi z uno
,1985)は、言語対照分析 と誤答分析 の長所 を取 り
入れ、かつ両者 の短所 を補完す るとともに、デー タ収集 の点で よ りメ リッ トの多 い横 断的研究が も つ短所 を統計学的に補強 し、 その多 くの長所 を活 用 して、第二言語習得研究の病理学的アプローチとして中間言語分析法を提唱 したのである。
この分析法では、(∋学習者 のエラーは、学習者 の背景 に拘 らず、基本的には類似 してお り、学習 者 の言語 は同じ中間言語 のプロセスを辿 るとい う
S. P.
コーダー( 1967)の主張を前提 に、② 目標
言語 の初期 か ら末期 に至 る全習熟度 レベルの被験 者 を含むサンプル を少な くとも上、 中、下 の3
レ ベル (各 レベルのN ≧500)
に等分 し、判断テス トと産出テス トのデータを統計処理する。 したがっ て、横断的に入手 したこのような大サンプルのデー タは、一個人 の言語発達上 のプロセスを表す もの と見な し得 る。 その結果、③ このデータか ら中間 言語 の発達 プロセス上 の潜在 的なエ ラ‑ の動態 (出没) を客観 的 に把握 して、病理学 的にそのエ ラーの成立 と経過 の実態 を比較的短期 間に把握す ることが可能 にな る。 また、 とりわけ化石化 のよ うに、④ 中間言語 の発達 プロセス内に執劫 に残 る エ ラーの原 因の解明 も可能 になる。 しか も、 この アプローチは研究者 と学習者 の双方 向の視点 を重 視す るため、客観的なエラ‑の診断が可能 になる。さらに、⑤ 隣接諸科学 の知見 を援用 してマルチレ ベルの仮説検証 を行なえば、 これ まで化石化 と見 なされていた項 目に光 を当て るとともに、⑥指導
‖ H日 日lHH=l‖】日日=HIHHHl‖ HllLl日日llH llH日日lH= lH日 日llHlIH llHIH日日 ‖ lll‖HHlH111llHIHH]HHlllll‖l日日llHLHllll日日lH日lHH]LllHHHl=日日lHHIHl
上の具体的な指針を引き出し、⑦普遍妥当な第二 言語習得理論を打 ち立てる事を可能にする。
●中間言語分析の意義と将来の展望
筆者はこのアプローチのモデルケースとして、
英語冠詞に関す る中間言語分析 を行なった
( Mi z u no,1986‑1999)
。その結果、 日本人英語学習者 は、上級 レベルになっても英語冠詞の使用に自信 がもてないでいるという実態が判明した。 しかも、その原因が意味 ・語用論的知識の欠如 に起因する ことも明 らかになった。 この知見は英語冠詞の指 導のみな らず、英語教育の指導一般 に対す る貴重 な示唆である。それゆえ、中間言語分析の成果は、
第二言語教育の指導上の歪みを是正する。一方で、
今後隣接す る諸科学の知見を援用 して、中間言語
分析 を推進すれば、第二言語 に関す る指導上の有 益な知見が豊富 にな り、その結果、 それ らの知見 が外国語教育の向上 に著 しい貢献 をす ることは間 違いない。
さらに、今後益 々増加すると考 えられ る中間言 語分析 による語用論研究が、第二言語学習者 の中 間言語発達の解明 と合わせて、第二言語 コミュニ ケーシ ョンの過程全体 を心的過程 として統一的に 解釈す ることができれば、言語理論の研究に対す る貢献 も、応用的諸分野への貢献 もはか り知れな いほど大きい。
最後 に、今年度か らスター トす る私達の中間言 語語用論共同研究 プロジェク トに、 より多 くの有 志が参加 され ることを期待する。
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平成 20 年度全 国大学
IT 活用教育方法研究発表会 を聴講 して
2008
年7
月5
日 (土) に私学会館 (アルカディ ア市ヶ谷)で開催された標記の研究発表会に参加 ・ 聴講す る機会を得た。本研究発表会は社 団法人私 立大学情報教育協会 (私情協)が1993
年から主催 しているもので、本学 も私情協の正会員である。今回の研究発表会の参加者は、122大学、12短大、
5
賛助会社で計227名であった。参加費は9500円、筆者は科研費か ら支弁を うけた 〔基盤研究(
C)20 520530
「非専攻課程 のための新 しいロシア語習 得基準 とその教育 内容 に関す る総合的研究」 (研 究代表者外国語学部堤正典/研究分担者小林潔)2008
年度〜2010
年度 (日本学術振興会)〕。境教 授 と筆者は言語研究センターの08年度共同研究 としても 「ロシア語習得基準の研究 新 しいロシア 語習得基準策定のための諸問題の検討」 を進めて お り、今回の聴講 もその活動の一環をなす。
当日の諸報告は、語学系、 医師薬系、理学系、
情報専門系の4分野 に分かれて行われ、筆者 は語
小 林 潔
学系の以下の
6
報告および合同特別セ ミナー 「教 育効果を高めるための授業方法」 を聴講 した。川島浩平 (武蔵大学) 「地域研究講義 における 語学学習 と概説授業 の統合」 (英語動画ニ ュース を用いた地域研究と英語学習との リンクの試み);
木 内徹 ・福 島昇 (日本大学) 「学生のや る気 と 集中力を高 める英語教育 の
IT
化」 (学生の集中 力 を考慮 し3
部構成授業、 スク リーンへの教材投 影 とマークシー トを用いた問題演習を実施);鈴木靖 (法政大学) 「授業 同期型
e
ラーニング による自宅学習について」 (教員 に特別 なI T
技術 を要求せず、宿題提出期限の曜 日と時刻、宿題範 囲の設定のみ求めるシステム);水野邦太郎 (慶鷹義塾大学)
「 I nt e r ac t i veWr i t i ngCo mmuni t y
における学びの共同体創 りとライ テ ィング能力 の育成」 (学習用 ウェブサイ ト構築 で、 ライティング教育の4問題 一 題材、 目的、対 象、ニーズ ー を解決する);IHIH日日Hll=ll1日IHIIH=llllllmIlll日日flll=H‖lH‖11日HlllHll日日lHHHIllllHHHIl=1日HllHH‖日日HIHI日日)l=JHIHHHIHlH日日H=HJllllHHlHHl‖HIILLH]日日
松浦宏之 (太成学院大学) 「英語学習のためのI
T
リテラシー活用法」 (学生にネッ ト上の リソースを利用 させ ることで英語運用能力 と情報処理能力 を育む);
金義範 (東北学院大学) 「韓 国語初心者 のため の手書 き指導お よび 自習 ソフ トウェアの活用」
(動画 カメラで学生の筆記をソフ トに取 り込み、
ハングル (文字)指導を効率化)。
何れ も興味深 く有益な報告であったが、習得基 準策定および日々のロシア語教育の観点か らは特
に鈴木報告 と金報告が参考 にな る
。e
ラーニング を効果的にするためには1回1課でこなせ る教科書 が必要で、それは何 らかの習得基準に基づいた共 通教材であるべきであろう。 またロシア語は所謂 なじみのないロシア文字を用 いてお り、その文字 習得 も習得基準 に入 る。金報告 にあるような文字 自習ソフ トはロシア語学習にもあって良い。習得基準を画餅に終わらせない実践と到達度チェッ クのために
IT
活用が効果的だということを教 え て くれた研究発表会であった。*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究
2008 年度言語研究セ ンター
英語入学試験問題 リサーチグループ報告
デ ビッ ド ア リン
本 リサーチグル‑プは、今年度、英語入試問題 のあらゆる側面 の分析において成果をおさめるこ とができた。試験問題分析 に用 いられ るい くつか のアプローチについて、それ らが学習者 の目標言 語の習熟度 と習得 をより良 く測定す ることにどの
ように繋がるかを議論 した
。Ra s c h
分析のための 最新のソフ トウエアを入手 し、 また、 日本国内 ・国外における言語テス ト研究の成果を収集す るこ とが出来た。
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究
HSK 聴解問題 を題材 とす る
中国語 自動学習システムの構築
多 くの外国語同様、 日本人が中国語 を学ぶとき の最大の課題は聴き取 り能力がなかなか向上 しな いことである。 こうした課題 を克服す るための一 手段 として、本研究グループは
HSK
(漢語水平考 読) の聴解問題 を題材 とした自動学習システムを 構築 している。HSK
の問題 を題材 としたのは、試加 藤 宏 紀
験対策 という実用面だけでな く、音声、語嚢、文 法知識などがきわめて標準的であ り、かつ出題の ポイン トが比較的まとまっているため、学習者の 聴き取 り能力を向上 させ るのに非常 に適 している か らである。
現段階では、試験的にい くつかの聴解問題を作
HIIHHHIHHHlllHlLHHllHHHllJHlHHl日日HllllHIHHHIHHHlHHHHIIHIHHlllMHIHHllHllllHHIHllH)HHllHHHHHHLHHHIHllHHlHHHHHHlIHlHlllHllH日HIIl
成 し、その音声および選択肢 を電子データ化 し、
それをもとにパソコン上の操作で 「出題‑解答‑
正解確認」 のプロセスを行 うためのプログラムを 作成 した。
今後は問題数 を増やす と同時に、正解 を導 くた
めに必要な音声、語嚢、文法、その他関連す る知 識や聴き取 りのポイン トを含めた解説文を作成 し、
利用者が自律的に学び、聴き取 り能力 を向上 させ るためのシステムの充実を図ってい く。
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究
朝鮮語初級用 リスニング練習教材の開発
近年、語学教育の目的はコミュニケーシ ョン能 力を身につけさせ ることに重点が置かれ る傾向が 強い。本学における朝鮮語教育でも、実際に使 え る朝鮮語を目指 して日々の指導に取 り組んでいる。
しか し、 リスニングの訓練は授業内だけでは十分 とは言えず、学生が自宅で授業 の予習 ・復習に使 用す るテキス トに沿 った発音・リスニングの練習 課題用教材が必要である。
本研究では、単なる音声CDではな く、学習者 の困難な点に着 目した教材作成 のため、学習者が 文字を見ただけでは発苦 しに くい単語やフレーズ、
聞き取 りが困難な単語やフレーズを授業テキス ト やハングル能力検定試験の過去問題か ら収集 ・分 析を試みている。
ヂ 亭仁 ・永原 歩
今年度 は、 「朝鮮語初級BI・Ⅱ」の教材 として 本学の教員が作成 した会話用テキス ト 『文型で覚 えるワン・フレーズ・コリアン』 の内容に沿 った
CD
教材を、録音ができる専門機関及びNHKのフリー アナウンサーでもある本学の非常勤講師の協力を 得て約100枚作成 した。学生に配 った結果、反応 は上 々である。初習言語である朝鮮語の日常会話 に基づいた発音 とフレーズに慣れ ることで、最近 接す ることの多 い韓国 ドラマや映画 を理解す る上 でも役立つはずである。次年度は、年 々受験生が増 えているハングル能 力検定試験 の
4、5
級 に出題 され る発音 問題や リ スニング問題 を分析 し、 その語嚢 リス トのCDを 作成する予定である。*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・* 言語研究センター共同研究
ロシア語習得基準の研究
新 しいロシア語習得基準策定のための諸問題の検討
堤 正典 ・小林 潔
大学における非専攻課程 の外国語教育は、専攻 課程 に比べて非常 に少ない時間数で行なわなけれ ばな らないO しかし、当然‑歩一歩ステ ップアツ
プす ることはおろそかにできず、そのなかで、で きうる限 りの実用性を盛 り込むことが理想である。
すでに、 ロシア本国や 日本 においてのロシア語検
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定試験では、各級 の合格基準が (ある程度)公表 され、事実上の習得基準 となっているが、 いまだ 広 く普及 しているわけではない。
これ らの既存 の習得基準 を検討 し、 また、既存 のロシア語教材 を検討す るなかで、非専攻課程 に (さらにはセ メスター制 にも) 対応す るロシア語 習得基準を確立す ることを目指 している。 このこ とは、非常 に必要性が高 いと考 えている。 日本人 に対す るロシア語教育 を念頭 においてお り、 日本 におけるロシア語教育の実践 での経験、 日本語 と ロシア語 との対照研究な どの成果 もふまえて検討 す る必要がある。
まず、既存のロシア語教材 (日本・ロシアで2001 年以降発行 のものを中心 とし、その うちで も非専 攻課程で用 いるのに適 したもの) におけ る語桑 ・
文法 ・表現等 を検討 している。現在 は、主 として 神奈川大学横浜キ ャンパスでの外国語科 目ロシア 語初級を念頭において検討 を行なっている。また、
ロシア連邦 におけるロシア語検定 (TPItH)や その基盤 となっている
E
UのCEFR
など、既存 の習 得基準 について非専攻課程 での適用 を検討 している。
このふたつの検討結果 を結合 しつつ、非専攻課 程 に対応す る新 しい習得基準 の完成 をめざす。上 にも書 いたとお り、 ロシア語教育の実践的経験や、
対照言語学的研究 の成果 も取 り入れて検討 して行 く。
ロシア語 を用 いるための背景 となる知識 (レア リア) について も、 どのような知識が必要 とな る かを習得基準 に連動 させて検討 している。
*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*・辛 言語研究センター共同研究
学術場面における日本語の話 し言葉の分析
一大学学部生対象上級 日本語 シラバスの構築に向けて‑
大学の学術場面 におけ る日本語の話 し言葉 に関 す る関心は最近高 ま りつつあるが、 いまだ十分 に 解明 されているとはいえない。本研究では、前年 度 に引き続 き、少人数 のグループ内での相互作用 を伴 う協 同学習場面 における日本語 の話 し言葉の 特徴 と、 スピーチにおける日本語の話 し言葉 の特 徴 について、 日本語母語話者 の大学生 と学部留学 生の話 し言葉デ‑タを構築 し分析 を行 った。語嚢 と文型 の点では日本語母語話者 と留学生の間に大 きな違 いがな く、 フィラー、 リペア、 ポ‑ズな ど パラ言語面 において違 いが見 られ、 それが話 し言 葉の「分か りやすさ」を決定付ける要因の一部 となっ ていることが明 らかになった。2008年度 には、 こ の結果 を応用 し、学術場面 における日本語 の話 し
富谷 玲子 ・高木南欧子
言葉 の教育 を、留学生 と日本語母語話者 の学生を 対象 として行 った。 「分 か りやす さ」 の要 因を明 示的に提示す ることによって、学部留学生 も日本 語母語話者 の学生 もその特徴 を理解す ることがで きた。運用面では、 日本語母語話者では短期間の うちに改善が見 られたのに対 し、学部留学生の場 合 は顕著 な改善 は見 られず、 「分 か りやす さ」 の 要 因を習得す るためには何 らかの手当てが必要で あることが明 らかにな った。 その具体 的方策 は今 後の課題 とす る。
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